杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

オカンの嫁入り

2011年02月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年9月4日公開

月子(宮崎あおい)と陽子(大竹しのぶ)は、母ひとり子ひとりで仲良く暮らしてきた親子。ある日の深夜、陽子が酔っ払って若い金髪の男・研二(桐谷健太)を連れて帰ってくる。翌朝、ケロッとした顔で「おかあさん、この人と結婚することにしたから」と宣言する陽子に困惑し怒った月子は、とっさに家を飛び出して隣の大家・サク(絵沢萌子)の元へ転がり込む・・・。

咲乃月音の小説「さくら色 オカンの嫁入り」の映画化ということです。 宮崎あおい&大竹しのぶのダブル主演なのね。

月子の父・薫は、彼女が生まれる前に亡くなっていて、母の陽子は常々「薫さんが、最初で最後の人」と言い、浮いた話もないまま母娘で仲良く暮らしていました。ところが、いきなり現れた母の結婚相手は30歳の失業中の金髪ヘラヘラ男。そりゃ~月子が怒るのも当たり前(^^;

でも、外見とは異なって、元板前の研二は美味しい食事も作れるし、サクの家に居座り続ける月子に遠慮して「月ちゃんがいない家に同居はできない」と軒下で寝泊りする律儀な人でした。母の勤め先の村上医院の村上先生(國村隼)と結ばれてくれたら良いのにと思っていた月子ですが、先生から陽子には既にプロポーズを二度断られた過去があることや、母も一人の女性として愛する人とめぐり合ったのだということを諭されて、渋々だけれど陽子の結婚を了承する気持ちになります。

さて、母に白無垢の衣装合わせに一緒に「電車で」出かけて欲しいと頼まれ拒絶する月子には、一年前まで勤めていた会社でストーカーに遭い、PTSDを発症し電車に乗れなくなって退職を余儀なくされた過去があります。母は家に引きこもり社会生活から逃げている月子を何とかしたい気持ちもあることがわかります。それは自分が末期がんで余命一年という事情を抱えていたからでもありました。

陽子が倒れて病院に運ばれて、彼女の病気は月子や周囲の人に知られてしまいます。延命を拒み、今を生きたいと願う陽子を研二が受け入れたからこそのプロポーズだったことが明かされる母と娘の会話が心に沁みました。

よくあるドラマの展開だと、病院のベッドで親しい人に囲まれての最期のシーンあたりで終わりそうですが、映画は、結婚式の後の何気ない日常で終わっています。
湿っぽくない明るいエンディングも良いな♪
大家のサクちゃんや村上先生が、本当の家族のように母娘を見守っているのも下町の人情を感じさせてくれます。

年の離れた相手がどうとかではなくて、人生の終わりに心から寄り添える人と巡り会えた陽子さんに素直におめでとうと呼びかけたくなったのは、演じている大竹さんのキャラも関係してるかも。あっけらかんとした物言いの中に秘めていた母として、女としての熱い想いが感じられる素敵な演技だったなぁ。

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ちょんまげぷりん

2011年02月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年7月31日公開 

遊佐ひろ子(ともさかりえ)は、子育てと仕事の両立に悩むシングルマザー。やんちゃ盛りの1人息子、友也(鈴木福)を抱え、職場では残業せずに定時で帰ることで同僚に嫌味を言われる毎日にストレスを溜め込んでいたある日、着物にちょんまげ姿の男に出会う。木島安兵衛(錦戸亮)と名乗った男は、180年前の江戸時代からやってきた本物の侍だった。行く当てもなく途方にくれていた安兵衛を、成り行きで居候させたひろ子だが、家事すべてを引き受けて一生懸命に働いてくれる安兵衛に大助かり。友也が無作法をすれば叱り、熱を出せば看病してくれる姿は頼もしく、安心して仕事に打ち込むようになると職場の人間関係もうまく回り始める。ところが、安兵衛がお菓子作りの才能を開花させ、外で働くようになったことで三人のバランスが崩れ始め・・・。

荒木源の同名コミックの映画化です。
江戸時代からタイムスリップしてきたのは直参貧乏旗本の25歳のお武家様。「男は外で仕事、女は奥向き(家事)」が当たり前という考えの持ち主です。

安兵衛の男尊女卑とも取れる言動に反発するひろ子でしたが、礼儀を重んじ、物事の道理を説く彼の姿は新鮮で、年下なのに頼りがいと安心感を与えてくれる存在になっていきます。

友也の方も、叱ったり一緒に遊んでくれたり、病気の時には傍にいて看病してくれて、美味しいプリンやお菓子を作ってくれる安兵衛に父親のように懐いていきます。

家事の合間にお菓子作りを始めた安兵衛が、お菓子作りコンテストに出て優勝しちゃう展開はちょっと出来すぎな印象もありますが(プロ顔負けの技術と、助手である友也と10時間もの長い時間をコンテストで戦うなんてありえないっしょ)、パティシェの才能を認められて外で働くようになると、「男は仕事!」とばかり突っ走る姿は、侍も現代人も変わらないんだねぇ。

安兵衛をコンテストに出場させたり、外の世界で働くことを勧めたりしたひろ子ですが、彼が忙しくなって家事や友也と触れ合う時間が無くなると「約束が違う」と責めます。それは元夫との離婚理由でもありました。

映画の冒頭で、食事は冷凍ものをチンするだけの母子の生活が描かれますが、安兵衛が家事を担うようになると、食卓は手作りの美味しそうな風景になります。
ひろ子を見ていると、家庭より仕事を選んだ彼女の生き方はちょっと我儘で身勝手な印象も受けますが、友也との関係は終始良好で幸せそうなので、ほっとします。

家からいなくなった安兵衛を連れ戻そうと友也が保育園を抜け出すことで一騒動持ち上がります。ヤクザ?に絡まれてケーキナイフで一刀両断する安兵衛はカッコよかったです♪

この事件の後、三人は互いに必要な存在と認め合いますが、安兵衛は元の世界では仕事にあぶれた貧乏侍だったので、自分を生かす仕事を得て願いが叶ったことで元の世界に戻されてしまうの。この時、一緒に行きたいと縋った母子を突き放し「もう一度会える」と運命を受け入れる安兵衛も凛々しかったです。

そして友也の卒園の日、安兵衛の住んでいたという住所を尋ねた母子は一軒の和菓子屋を見つけ、中に入ると・・・そこには江戸時代から続くという「ぷりん」が2人を迎えてくれたのでした。

こういう再会も悪くないね♪

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新しい人生のはじめかた

2011年02月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年2月6日公開 イギリス 93分

CM音楽家のハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)は、離婚してNYで1人暮らし。ある週末、イギリスで働く一人娘(リアン・バラバン)の結婚式に出席のためロンドンを訪れたハーヴェイは、娘に義理の父とバージンロードを歩くと言われ寂しさを感じる。トラブルから仕事も干され、落胆してヒースロー空港のバーでヤケ酒をあおるハーヴェイ。一方、空港の統計局で働くケイト(エマ・トンプソン)は、過干渉な老いた母親マギー(アイリーン・アトキンス)を抱える独身の40代。友人が良い相手を紹介しようとお膳立てしてくれても、うまく溶け込めず孤立してしまう自分に諦めを持っている。そんな2人が空港で出会い、ロンドンの街で一緒に過ごす中で見つけ出したのは・・・。

たった一日で新しい人生を踏み出す決意が出来るかどうかは別としても、上質な大人のラブストーリーです。

ハーヴェイは仕事も人生も曲がり角にきています。娘の結婚式出席のため、NYからロンドンまで長旅をしてきたら、自分独りが他の招待客と別のホテル。式前夜の会食でも、離婚した元妻とその再婚相手が娘を囲んで談笑する姿に疎外感を味わいます。

一方ケイトは父が愛人と家を出て、残された母は彼女に過干渉。夢見るよりは諦めが先に立つ40代の独身女性です。

仕事を口実に披露宴を欠席したハーヴェイですが、渋滞で搭乗予定の飛行機に乗り遅れ、仕事自体も首になります。一杯引っ掛けずにはいられない気持ちはわかるなぁ。
そんなハーヴェイの目に映ったケイトは前日に素気無くアンケートを断った女性。思わず話しかけたハーヴェイですが、友人の設定したデートがうまく行かず落ち込んでいたケイトは初めは相手にしません。けれど会話するうちに互いに何か惹かれるものを感じたのでしょうか、やや強引な彼に付き合ってロンドンの街で半日を過ごします。
周囲から浮き上がった孤独感が2人を惹きつけたとみれば、違和感ない?かな(^^;

話の中で、娘の披露宴に出席するよう諭され、友人として一緒に行って欲しいというハーヴェイ。ドレス選びのファッションショーシーンは要らないと思うけど(しかも黒のドレス以外はコスプレ状態だし)、これはエマのための演出?

ともあれ、参加者の心に沁みるスピーチもして、ケイトとダンスも楽しんで、一夜を楽しく過ごした二人はお昼に再び会う約束をします。しかし、ホテルで不整脈を起こしたハーヴェイが病院に運ばれて・・・という展開は月並み。一瞬悲恋モノなのかと思っちゃったけど、持病の薬を忘れただけってのがなんだかなぁ~。でもこの年頃の哀しい現実をしっかり描いているともいえるかな。

約束の場所に現れなかったハーヴェイを心のどこかで諦観していたケイトは、誤解が解けても傷つくことを恐れて今までの平穏で楽な生き方にしがみつこうとします。そんな彼女に優しく寄り添おうとするハーヴェイ。先のことはわからないけれど、この幸せを壊さない努力をするという彼の言葉が彼女に新しい人生の扉を開ける勇気をもたらすのでした。

エマ・トンプソンは「日の名残り」でも胸に沁みるロマンスを演じていましたが、この作品でもとても魅力的。挫折と孤独感を抱えていたケイトがハーヴェイと会話が弾んで生き生きとしていく過程を表現豊かに演じていてさすがでした。

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ガフールの勇者たち〈1〉悪の要塞からの脱出

2011年02月18日 | 
キャスリン ラスキー (著)  食野 雅子 (翻訳) メディアファクトリー(出版)

メンフクロウのソーレンは、ティト王国の森で、家族と幸せに暮らしていたが、ある日、何者かによって巣からつき落とされ、峡谷の孤児院へと連れ去られてしまう。そこでは、さらわれてきた子フクロウたちが、催眠術にかけられ、奴隷にされていた。ソーレンは、サボテンフクロウの少女ジルフィーと協力し、決死の脱出をこころみる。だがそれは、フクロウ世界の支配をたくらむ組織との、長い苦しい戦いの「はじまり」にすぎなかった―。フクロウ世界を舞台にした、壮大な冒険ファンタジー。 (「BOOK」データベースより)


映画鑑賞後に原作を読みたくなり図書館に予約。
原作は米作家Kathryn Lasky による、フクロウ世界の冒険と戦いを描いたファンタジー小説で全15巻ですが、日本語訳は昨年末現在で11巻まで発行されています。

第一巻は、攫われたソーレンがジルフィーと共に助け合い、孤児院を逃げ出してトワイライトやディガーと出会うまでが書かれています。

映画ではソーレンは兄のクラッドと共に攫われる設定ですが、原作ではクラッドがソーレンを巣から突き落とした犯人となっています。性格も映画以上に身勝手で酷薄です。

孤児院でソーレンとジルフィーに飛び方を教え脱出の手助けをしてくれるのはグリンブルですが、寮母のフィニーや潜入スパイだったホーテンスとの間のエピソードは映画では割愛されてるのね(^^;

ディガーの親兄弟が聖エゴリウスのパトロールであるジェットとジャットに食い殺されたというのはちょっとショック(泣)え?ふくろうって共食いするの??

それから、映画では同一化されていたけれど、聖エゴリウス孤児院とこの巻では未だ登場しない純潔団とは別の組織なのですね。ということは、映画の続編はちょっと難しいかな?

フクロウたちにとって砂嚢は人間の「ハート」と同義に捉えられていて、感情や精神力の源です。一口にフクロウといっても多種存在することも、人間世界での人種の多様さと似ていて、まさに擬人化による勇者の物語であるわけです。とはいえ、フクロウの特徴や習性については鳥類学者のような観察力に基づいて書かれているので、読みすすむうちに自分もフクロウの仲間になった気分になれそう♪

大人も楽しめるファンタジーでした。続巻も予約してるので、11巻まで読み通すぞ~!

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ウェルカム・ドールハウス

2011年02月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1997年6月21日公開 アメリカ 87分

ジュニアハイスクール7年生のドーン(ヘザー・マタラッツォ)は、クラスメートから「ブス」と罵られ、先生からも叱られてばかり。家では母親が妹のミッシー(ダリア・カリーニナ)をえこひいきして父や兄マークは彼女に殆ど無関心だった。いじめっこのブランドン(ブレンダン・セクストン・Jr)が、実は自分に好意を持っていることも感じていたが、兄の友達のスティーヴ(エリック・メビウス)に熱を上げるドーン。だが全く相手にされない……。

1996年のサンダンス映画祭審査員大賞、ベルリン映画祭国際批評家連盟賞受賞作品。

学校で苛められ、家でも疎外感を味わっているドーンだけど、素直に同情出来ない外見と我の強さがあります。(^^;母が妹の言い分だけ聞いて一方的に自分だけ怒られれば、妹の人形の首をちょん切って鬱憤を晴らしたり、カンニングされれば先生に告げ口、紙鉄砲を投げつけられたら応戦もするという、めそめそ泣くタイプじゃなくて、やられたらやり返すので、「ああ、可哀想に」と思うより「あ~~あ、お互い様だぁね」と思ってしまうんだな。(笑)所謂、大人から見た可愛くない子の代表的キャラなんですね。

ドーンが母の伝言をわざと伝えなかったことで妹が誘拐されても、平気な顔をしているかと思えば、家出して街角で尋ね人のポスターを貼って捜し歩いたりする。相反する行動の裏には、自分が見つけて家族に感謝されたい、自分を認めて欲しいという自己顕示欲があるし、唯一の仲良しの少年を、自分の虫の居所が悪いと「オカマ」と呼んで突き放したりする酷薄さなど、彼女の嫌な部分もしっかり描かれているので、妙にリアル。本来子供って残酷な一面があるんだよね。傷ついた自分を主張はしても、他人を傷つけることには無頓着だったりするし。

スティーブに憧れながらもブランドンのことも嫌いじゃないという欲張りな気持ちも、自分をヒロイン化して夢想するのも女の子ならよくやることで、ドーンは風変わりというよりはごく平凡な女の子を象徴しているキャラなんじゃないかと思いました。

ミッシーはいつもバレエタイツ姿で家の前で踊っているけれど、子役自身がバレエ一家の一員なのだそう。誘拐されてもTVと食べ物を与えられて恐い思いをすることもなく、両親に溺愛される得なキャラでした。
一方、男の子たちはちょっと複雑。麻薬使用の疑いをかけられたブランドンが、ドーンにだけ無実だと打ち明けるシーンで、彼のナイーブさが覗きます。
また、ドーンの兄がガリ勉で内申に拘るのは、容姿の劣等感を頭脳で克服しようとする表れのようです。妹にも内申のための課外活動参加を勧める様子に、ミッシーだけが溺愛されている中での2人の連帯感みたいなものが感じられました。

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カレには言えない私のケイカク

2011年02月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年製作 アメリカ 104分

ニューヨークでペットショップを経営するゾーイ(ジェニファー・ロペス)は、運命の男性がなかなか現れないため、人工授精で未婚の母になる「バックアッププラン」を決意し実行した帰りにタクシーを取り合った男性スタン(アレックス・オロックリン)と運命の出会いをする。悪印象の出会いからデートを重ねるうちに気持ちが燃え上がっていったゾーイは、妊娠の事実をスタンに打ち明けるが・・・。

学歴も仕事の手腕もあり、経済的にも余裕のあるゾーイは、理想の結婚相手を追うのを諦め、子供を持ちたいという夢を先に実現させようとします。この時点では、運命の人との出会いは彼女の念頭にはないのですが、人工授精した帰り道で出会った男性に惹かれ始めた頃に妊娠したことがわかり、混乱するのです。

それはスタンの方も同様で、好きな女性が出来たらいきなり父親にならなくてはならないのですから、彼の方がより大変な状況ですが、悩んだり愚痴ったりはしても、一貫してゾーイへの愛が醒めることがないのは凄いなぁ。公園で出会う三人の子を持つ男性との会話がいい感じでした。彼のアドバイスも大きな後押しになっているのね。また、高学歴のゾーイと違い大学も出てないことや収入格差にも悩む姿には男女逆転な状況が伺えて面白いです。

それに引き換え、ゾーイは過去のトラウマから人を信じることに臆病になっていて、スタンに捨てられることを恐れて逆に彼を信じ切ることができないの。そんな彼女を諌め励ますのは祖母と親友。ゾーイが子供を欲しがったのは、祖母がいなくなった後独りきりになるのが恐くて家族が欲しかったからで、ちょっと自分勝手な感じは否めないけれど、それを非難することもまたできないかなぁ。

スタンはゾーイにはもったいないような相手だけど、ロマコメらしく笑えてハッピーな結末は嬉しいです。



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相棒シリーズ 鑑識・米沢守の事件簿

2011年02月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年3月28日公開

東京ビッグシティマラソンの爆破テロ予告事件を無事解決した特命係・杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)に協力していた鑑識課・米沢守(六角精児)は、顔認証システムでマラソンの映像をサーチする中で、数年前に離婚届を残し米沢の前から姿を消した元妻・知子(紺野まひる)の姿を見つける。数日後、友子が変死体となって発見されるが、実は彼女は同名の別人とわかりほっとする米沢。事件は自殺と断定されるが、腑に落ちない米沢は、同じく異を唱える彼女の元夫で所轄の刑事・相原(萩原聖人)と共に極秘の捜査を開始する。二人は、知子の勤務先だった警察の外郭団体・青少年防犯協会の同僚の早苗(片桐はいり)や、経理課長の天野(市川染五郎)に聞き込みをして、理事長・設楽(伊武雅刀)が警察の天下りでセクハラ疑惑のある人物であることを知る。また、知子と理事長の部屋に盗聴器が仕掛けられていたことから他殺の疑いを深めていく。警察上部の圧力で謹慎処分を受けながらも捜査を続ける二人は、天野から知子が協会の金を横領していたと打ち明けられるが、証拠の不自然さに気付き、監察による24時間の監視の目をかいくぐり、大胆な手段で真実を引き出そうとする・・・。

テレビドラマ『相棒』シリーズに登場する警視庁鑑識課の米沢守が主人公のスピンオフムービーです。といっても、ドラマはつまみ見だし、このサブキャラのこともよく知らないのですが(^^;

米沢の姿を消した女房と同名の友子という女性の不自然な死亡事件を、彼女の元夫の刑事と「相棒」になって解決する物語で、米沢の専門である鑑識能力(盗聴器の発見、指紋採取や照合、PCの情報復元など)が冴える筋書きとなっています。

自殺に見せるには杜撰な手口なのにあっさり自殺で片付けられた裏には、警察の事情が隠れているという設定もありがちだけど、それをフィクションと片付けられない現実にこそ問題だよな~~(^^;

遺書のトリックや他殺だろうなというのはすぐに推察できますが、犯人がいかにも怪しそうな天野でも設楽でもなくてアノヒトだったのは意外でした。

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マイマイ新子と千年の魔法

2011年02月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年11月21日公開 93分

時は昭和30年代。平安時代には周防の国と呼ばれ、遺跡や当時の地名を今もとどめている山口県防府市国衙の町に住む小学3年生の青木新子(声:福田麻由子)は、おでこにマイマイ(つむじ)がある想像力豊かな女の子。祖父から千年前の町や人々の話を聞いては、その時代の様子を鮮やかに思い描いていた。ある日、東京から島津貴伊子(水沢奈子)が転校してくる。田舎の生活に馴染めず独りでいる貴伊子に好奇心旺盛な新子は声をかけ、仲良くなっていく。2人は同級生のシゲルや上級生のタツヨシたちと一緒に、ダム池を造り、赤い金魚に、大好きなひづる先生の名前を付けて可愛がるが、ふとしたことで金魚のひづるが死んでしまい、彼らの絆も揺るぎ始めていく。そんな折、ひづるに似た金魚を川で見たという話を聞いて、新子は仲間たちと金魚探しを始めるが・・・。

高樹のぶ子の自伝的小説『マイマイ新子』のアニメ映画化で、製作スタジオは『サマーウォーズ』を手がけた「マッドハウス」。うんうん、似た雰囲気あるなぁ~。

田舎の豊かな自然の中で暮らす子供たちが、遊びを通して触れ合い成長していく様子が、新子の描く千年前の空想の世界を織り交ぜながら描かれています。

新子たちの町には、まだ各家庭にTVもなく、外の自然が遊び相手です。
広大な麦畑に隠れたり、水路をせき止めて小さな池を作ったり、都会の子では考え付かないような遊びの様子が生き生きと描かれ、実際に経験がなくても郷愁をそそります。

憧れの先生に亡き母親の面影を重ねる貴伊子の寂しさや、警官の父親への複雑な思いを持つタツヨシの大人びた言動など、現実の厳しさや辛い出来事も交えたエピソードは、大人の鑑賞にも十分に耐える出来です。というより、大人だからこそ理解できる内容なのかもしれません。

新子と貴伊子が見上げた夜空の天の川の煌きとホタルの小さな灯火の美しさに、忘れていた子供時代の懐かしい記憶が蘇りました。

新子の祖父は元教師で、父親も研究者という設定ですが、彼女の好奇心と真っ直ぐな心持と前向きな考え方は、まさしく親から子へと受け継がれた長所なのね。


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ハゲタカ

2011年02月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年6月6日公開

瀕死の企業を徹底した合理主義で買い叩き再生させる天才ファンドマネージャーで「ハゲタカ」と呼ばれていた鷲津政彦(大森南朋)は、閉鎖的で不透明な日本のマーケットに絶望し海外でセミリタイヤ生活をしていた。そこに銀行員時代の鷲津の上司・芝野(柴田恭平)が訪れ、日本有数の大手企業・アカマ自動車が直面する、巨大ファンドによる買収計画の危機からの救出を依頼する。巨大ファンドの正体は、日本の先進技術力を吸収しようとする中国系ファンドで、指示を受けて動いていたのは「赤いハゲタカ」こと劉一華(玉山鉄二)という鷲津が以前勤めていた投資会社ホライズン社の後輩だった。
「ハゲタカ、復活!」の情報を、東洋テレビのキャスター三島由香(栗山千明)は複雑な思いで見る。彼女の父は工場の経営者で、銀行員時代の鷲津の貸し渋りにより自殺に追い込まれていた。一方、アカマ自動車社長の古谷(遠藤憲一)は、人件費圧縮のため派遣切りを実施するが、劉は派遣工の守山(高良健吾)を焚きつけて労働争議を起こさせ経営陣に揺さぶりをかける。鷲津は西野(松田龍平)に協力を請い、アカマ自動車の買収を側面から切り崩していく・・。


NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」の好評による映画化だそうです。
リーマン・ショックの影響で脚本に変更が加えられ公開も延びたんだとか。
前日に観た「ウォール・ストリート」とはまた赴きの違う作品でした。

アカマは日本の誇る大企業会であり、オハコの自動車会社ということで、日本という国を象徴する存在となっています。その会社の経営危機=日本の国家の危機を暗示していて、仕掛けた相手は中国、アメリカやドバイのオイルマネーも巻き込む経済戦争というのですから、経済通には興味津々な筋書きなのでは?

でも大丈夫、ホワイトナイトって何?(白馬の騎士=頼もしい助っ人ですかね?)的素人でも、鷲津の描いた作戦は理解できるように作られていましたから。根底には日本(車)大好き浪花節的人間感情も描かれ、日本人の勤勉さや実直さを高く評価してもいます。

劉にとって鷲津はかつての憧れの存在で、乗り越えるべき最大のライバルです。
そもそも劉という名前は偽名で、実はかなり貧しい寒村の出で、そんな境遇から身を起こしのし上がった彼の中にも幼い頃に見た「アカマ」の自動車に対する憧憬が原点になっていることを覗わせる終わり方でした。

金融界を映画化する場合、あまりリアルだと救いがないから、人間ドラマを加えてオブラートに包むことが必須になるのかしらん?(^^;

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ウォール・ストリート

2011年02月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年2月4日公開 アメリカ 133分

2008年、NY。投資銀行ゼイベル社に勤めるジェイコブ・ムーア(シャイア・ラブーフ)は、若くして成功を収めた金融マンで、クリーンエネルギーの研究開発をバックアップする夢を持っていた。彼を支えてくれる婚約者ウィニー(キャリー・マリガン)は、非営利ニュースサイトの運営に携わるジャーナリストで、金融界の伝説的人物ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)の娘だったが、金の亡者の父を嫌い親子の縁を切っていた。そんな中、ゼイベル社の株価が暴落し、父のように慕っていた経営者ルーが自殺してしまう。金融界の黒幕ブレトン・ジェームズ(ジョシュ・ブローリン)の仕業だと知ったジェイコブは、ウィニーに内緒で彼女と絶縁中のゲッコーのもとへと向かい、娘との復縁を願う彼と取引し、ブレトンを叩き潰す方法を授かるが・・・。


「ウォール街」のオリヴァー・ストーンとマイケル・ダグラスが再びコンビを組んだ23年ぶりの続編です。といっても、前作も金融業界のことも知らないんですが(^^;

前作で「欲は善」と言い放ったゲッコーは、さらにスケールアップしています。
そもそも、昔の因縁により、ブレトンはルーを陥れるのですが、それは実はゲッコーも同様だったという筋書き。そのために必要な資金と人材がジェイコブでありウィニーであったというわけです。

冒頭、出所したゲッコーを迎えるものが誰もいないという場面で、彼の孤独と寂寥感を上手く表現していました。(所持品が返されるシーンでの携帯電話のサイズの大きさに塀の中での年月の長さを感じます。)ゲッコーは冷血漢ではなく人間味のある人物として描かれていて、ウィニーの赦しを得るためにした謝罪の言葉は本心からであり、2人を裏切った後の結末も、「な~んだ、結局は親ばか・孫ばかじゃん」な感があって、ハッピーエンドは嬉しいのですが、現実はもっと厳しく非情なんじゃないの?と思ってしまいました。

ジェイコブは父と慕っていたルーを自殺に追い込んだブレトンへの怒りに任せて復讐を遂げるのですが、結果としてウィニーの信頼を失いかけ、また一連の出来事で人の欲望の深さを思い知ることとなります。ジェイコブを次世代エネルギーという未来へ賭ける夢を持つ若者として描いているのは、巨大な数字の踊る無機質で非人間的な世界の住人であることを和らげ、希望へ繋げる効果を出したいのかな。

映画の中で出てくる経済市場国が中国やアラブで、日本の名が出ないのも、今の世界情勢をリアルに映し出しているのかもと考えたら、ちょっと寂しい気分になりました。

機会があれば、前作も観てみようかな。

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サマーウォーズ

2011年02月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年8月1日公開

ネット上の仮想都市OZにより、ショッピングやゲームの他に納税や行政手続きも出来るようになった現代。高2で物理部の小磯健二(声:神木隆之介)は、憧れの先輩篠原夏希(桜庭ななみ)から一緒に夏希の実家に行くという「バイト」に誘われる。曽祖母陣内栄(富司純子)の90歳の誕生日を祝うために集まった親族の前で、夏希の婚約者のふりをすることになり戸惑う健二。その夜、携帯電話に送られてきたメールにあった数字の羅列を何かの問題と思って解いてしまった健二だったが、翌朝OZの管理権限の暗号パスが何者かによりハッキングされたというニュースに驚く。犯人は謎の人工知能ラブマシーンで、OZが乗っ取られたことで引き起こされた現実世界の混乱を止めるために、健二や佳主馬(谷村美月)たちは力を合わせて立ち向かうのだが・・・。

唯一得意な数学でチャンピオンの座を逃し、自分に自信を失いかけていた健二が、憧れの先輩の誘いに乗って出かけた先は、長野県上田市の高原にある旧家で、室町時代から続く陣内家の当主・栄は90歳の女丈夫。元教師で、教え子には政治家、官僚、地方の実力者なども多く、一族はもとより、国を動かせる影響力の持ち主でした。親族も医者や漁師、消防士、水道局員、電気店経営、警官や自衛隊の将校など多彩な顔ぶれです。
核家族で不在がちな親を持つ健二は、その賑やかさと和やかさに憧れと羨望を感じていて、夏希にフィアンセを装うように頼まれ困惑はしますが受け入れます。

ところが、送られてきたメールの問題をクイズのつもりで解いたことで、OZに出現した謎のアバター“ラブマシーン”に加担したことを知り驚愕します。実は健二の他にも多くのアバターが解答していて、しかも健二の答えは一箇所間違えていたので、犯人の疑いは晴れるのですが、OZの心臓部に侵入したラブマシーンは4億人以上のアカウントを奪い、緊急通報システムや交通管理システムを麻痺させ、現実世界に多大な被害を与えます。
OZの管理権限や個人情報は世界一安全なセキュリティによって守られている筈なんですが、健二がいくら数学的才能の持ち主でも高校生程度に破られるってのはどうなん?(^^;

ともあれ、自分のアバターを乗っ取られた健二は、汚名を晴らし、事態を収拾させるために力を尽すことを決意し、親戚一同も彼を助ける中で一族の団結が実を結び・・・というお話。一連の(仮想空間における)戦いの中で、自分に自信をつけ成長する健二や、彼に触発されて変わっていく親戚たちの姿が描かれます。
室町時代から続く戦国武士の末裔という設定は、近未来の仮想空間を戦場と捉えるために必要だったということなのね。

キャラクターデザインは貞本義行氏。どうりでエヴァっぽいキャラ設定だなぁと(笑)
何しろ主人公は気が弱くて内向的なケンジ君で(シンジよりはかなり前向きですが)女性は総じて強いときてるしね。
人工知能“ラブマシーン”を発明したのは陣内侘助(斉藤歩)で栄の養子(夫の隠し子)でした。彼は捻くれた性格ですが、本当は我が子として慈しんでくれた栄を慕っています。詫助と親族の間の感情的なもつれも事態の収束と共に解けるのは定石。
物語に登場する26人の親戚の一人ひとりに細かいキャラと職業設定が割り振られているのも拘りの一つかな?

冒頭OZの説明が続くので、作品を間違えたかと思っちゃいましたが、近未来の仮想空間と地方の旧家という異なる二つの世界がPCを通して融合していて楽しめました。ただ、肝心の仮想空間が作りこまれていない感があって安っぽい気が否めないのはどうなんだろ?(^^;

世の中のシステムが複雑便利になるほどに、攻撃に曝された時の被害が増すことについて改めて脅威をおぼえたり、最後に頼れるのは生身の人間の勇気や諦めない心といった感情的なものなのだということに気付かされたりもします。

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特命係長 只野仁 最後の劇場版

2011年02月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年12月6日公開

只野仁(高橋克典)は大手広告代理店・電王堂の総務二課係長。ダメ社員を装う裏の顔は、社内外のトラブルを秘密裏に解決する“特命係長”だった。ある日、黒川会長(梅宮辰夫)から、電王堂が手がける“フラワー・アース・フェスタ2008”のメインキャラクターのグラビアアイドル・シルビア(秋山莉奈)の護衛と身辺調査の指令を受ける。シルビアは“暗黒王子”と名乗る謎の人物から脅迫を受けていて、先日も新商品の発表イベントで事故に遭ったばかりだった。只野はイベントの責任者である電王堂大阪支社の山西(赤井秀和)をサポートしつつ、パートナーの森脇(永井大)と調査を開始する。謎の大男チョウ(チェ・ホンマン)や組織の影、電王堂内部の裏切り者の存在が浮かぶ中、イベント開催日が迫ってくる。遂に敵を追い詰めた只野がつかんだ、事件の真相とは・・。

TV放映されたものを塩漬けしてて、一年ぶりくらいに思い出して鑑賞しました。
最後の劇場版、と謳うだけあって、なかなかしょぼい内容!と言ったら非難を受けるかしら?(^^;

だって、グラビアアイドル=健康的なお色気=パンチラという発想の稚拙さに、マネージャー役の加藤エミを演じる西川史子女史の演技の下手さ加減。さらに真相のしょぼさの割りに無駄な殺人まであって、もう 勝手にしたら~という脱力気分になっちゃったんですもの。

真面目な社会派作品じゃなくあくまで娯楽作として気負わず観るのが正しい姿勢なんですね、きっと(^^;

そういえば、TV版も殆ど見た事無いからな~~汗

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火天の城

2011年02月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年9月12日公開 

1575年、織田信長(椎名桔平)は長篠の戦いで、甲斐・武田勢を破り、翌1576年、琵琶湖を臨む安土の地に居城を建設することを決意する。その城は、五重七階の天主を持つ大城郭であった。設計及び現場の総棟梁は、金閣寺を建立した京の池上家・池上五郎右衛門 (石橋蓮司)、奈良の大仏殿を造った中井一門・中井孫太夫 (内田朝陽)らとの図面争いを勝ち抜いた熱田の宮番匠・岡部又右衛門(西田敏行)に一任された。右衛門は妻・田鶴(大竹しのぶ)や娘・凛(福田沙紀)、門下の番匠らに支えられながら、築城を進めていくが、巨大な城を支える主柱を木曽上松の檜に求め、信長の敵・武田勝頼の領国に危険を顧みず分け入っていく・・・。

山本兼一氏の同名歴史小説の映画化です。戦国時代といえば、武将たちの国盗り物語が主流ですが、幻の名城・安土城を築城した名工が主人公の異色の時代劇であるとともに、歴史に名を刻まれることもない名も無い男たち、女たちにも光が当てられています。

五層七階の楼閣、天主の部材だけでも40000点もあり、主柱は樹齢2000年の神木を使用した前代未聞の“城郭要塞”安土城。その壮大な築城の過程を目にするという楽しみもありますが、第一の見せ場は、池上・中井と競った図面争いの場面。

信長の意向そのままに吹き抜けの天主を考えた両家とは異なり、城主の身の安全を配慮した上で敢えて吹き抜けを作らなかった又右衛門が、その意図を模型に火をつけることで証明してみせるのです。華やかな模型が炎上する様に、現実的な論拠を見せ付けています。

第二は、敵方の木曾義昌(笹野高史)に檜を懇願するシーン・・よりは、その配下である大庄屋陣兵衛(緒形直人)と山を歩いて心を通わせるところかな。

そして圧巻なのが、礎の石の沈下で城の主柱が危うくなった時に、皆の力を合わせて難局を乗り切る場面でしょう。

又右衛門お田鶴の夫婦愛や、凛の市造(石田卓也)への恋心、熊蔵(山本太郎)のうね(水野美紀)に対する想いなどが、主たる築城のエピソードに寄り添うように描かれているのも好感が持てました。特に田鶴が「女子は常に笑顔を絶やさぬように」との父親からの教えを守り生きる姿が良かったなぁ。家の中にあっては妻は日輪(太陽)の如くあれ、という教えは、今でも十分に通用する考え方ですね。

ただ欲を言えば、築城そのものの過程をもっと見たかったな。

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ガフールの伝説

2011年02月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年10月1日公開 アメリカ 

メンフクロウのソーレン(声:ジム・スタージェス)は、父から“ガフールの勇者たち”の物語を聞いて育つ。それは親子代々語り継がれる、世界征服を企む悪の純血団からフクロウたちを救うべく戦った正義の戦士たちの伝説だった。勇者になることを夢見るソーレンを、好戦的な兄のクラッド(ライアン・クワンテン)は、バカにしていた。ある日、兄弟ゲンカをしていて巣から地面に落ちてしまったソーレンとクラッドは、純血団に捕まり、聖エゴリウス孤児院に連れ去られる。小さなサボテンフクロウのジルフィー(エミリー・バークレー)を庇ったことで純潔団総統メタルビークの妻ナイラ(ヘレン・ミレン)の不興を買い、兄と離れ離れにされたソーレンは、キンメフクロウのグリンブル(ヒューゴ・ウィービング)の助けにより孤児院を脱走し、勇者たちが今も住むという広大な湖の島にあるという「ガフールの神木」へ向かう・・。

フクロウの世界を舞台に、悪と戦う若きフクロウたちの活躍を描いたキャスリン・ラスキーの小説『ガフールの勇者たち』のアニメ化で、第3巻までの物語が描かれています。また、原作にないキャラ、カラフトフクロウのアロミア卿(サム・ニール)とハリモグラのエキドナ(賢者の役割)が登場しています。そして声優たちの豪華なこと!!

映画に登場するのは人ではなくふくろうなので、「飛ぶ」という要素が加わりファンタジーとしてより楽しめますが、基本は悪をくじく若きヒーローの成長物語です。

神木へ向かう途中で、アナホリフクロウのディガー(デビッド・ウェナム)とカラフトフクロウのトワイライト(アンソニー・ラパーリア)という仲間を得て無事にガフールの勇者たちの元へ辿り着いたソーレンたちですが、最初は純潔団の復活を信じてもらえません。アロミア卿たちの偵察で、囚われていた子ふくろうたち(その中にはソーレンの妹のエグランタインもいました)が救い出されますが、実はそれ自体が大きな罠でした。
真実を知ったソーレンと仲間たちは勇敢にも純潔団に戦いを挑みます。

純粋な正義感に燃え、素質も持ち合わせているソーレンに対し、兄のクラッドは弟への劣等感を抱えた野心的な性格です。ナイラはそんなクラウドを自分の思うままに操ろうとするのです。原作は未読ですが、彼ら兄弟の葛藤と確執も大きなテーマの一つなのかもしれません。

またヒゲコノハズクのエジルリブ(ジェフリー・ラッシュ)は歴戦の戦士で、年老いてはいますが、ソーレンたちを導く師匠的役割を果たします。

とにかく、映像が素晴らしい。劇場では3D版も上映されていたようですが、2Dでも兄弟が暮らしていた森や勇者たちが住む神木などの自然の美しい様や、フクロウたちのリアルな生態を生き生きと映し出しています。リアルすぎて鳥が苦手な人には辛いかもですが(^^;

実は原作を映画の公開直後から図書館予約してるのだけど、まだ順番が来ない・・・。
いっそ4巻目から先に読んじゃおうかしら?

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RED/レッド

2011年02月02日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年1月29日公開 アメリカ 111分

静かな引退生活を送る元CIAのフランク(ブルース・ウィリス)の唯一の楽しみは、年金課の担当者サラ(メアリー=ルイーズ・パーカー)と電話でおしゃべりをすることだった。ある夜更け、何者かの襲撃を受けながらもあっさりと撃退した彼は、自分を襲ったのがCIAと知る。サラに好意を持っていることをCIAに知られたと察知したフランクは、サラの家を訪ねて無理矢理救出する。元上司のジョー(モーガン・フリーマン)に襲撃者たちの身元を調べてもらうと、彼らが最近NYタイムズの記者を暗殺した疑いが浮上。上司ウィルクス(レベッカ・ピジョン)の密命でサラを連れ去ろうとしていたCIAの若手エージェントのクーパー(カール・アーバン)から彼女を奪い返し、元同僚のマーヴィン(ジョン・マルコヴィッチ)や、女狙撃手ヴィクトリア(ヘレン・ミレン)と共に、隠された陰謀に迫っていく・・・。


REDとはRetired(引退した)Extremely(超)Dangerous(危険人物)の略なんだそう。コミックが原作です。

引退した年寄りエージェントが大活躍するという痛快さが売りだけあって、フランクとその仲間たちは一癖も二癖もある超個性的キャラ揃い。

他人を信用しない上に、拷問された影響で精神的に問題ありなマーヴィンはちょっと「Aチーム」のマードックに似てるけど、こちらは武器爆薬のプロという設定。予告編にも出てくる西部劇のような「一騎撃ち」シーンは決まってましたね。

元上司のジョーは老人介護施設で女性介護士のお尻を見ることが生きがいの80歳。肝臓がんで余命宣告を受けているせいか、死を恐れない頼もしい助っ人です。

紅一点のヴィクトリアは元MI6の女スパイで美貌の外見と裏腹に非道な狙撃手=殺しのプロです。彼女がマシンガンを顔色一つ変えずにぶっ放すシーンは超カッコイイ!!!
パーティ会場に潜入する時の白のドレス姿はとても品があって美しかったなぁ~さすが「女王」役も見事にこなすヘレンだけあるわ♪

旧ソ連の敏腕スパイでフランクとは仇敵だったイヴァン(ブライアン・コックス)も彼らに協力してくれますが、実はヴィクトリアとわけありだった過去を持っています。

本部に侵入するために旧ソの情報の手助けを借りること自体、痛烈な皮肉そのもの。CIA本部の記録保管庫の番人ヘンリー(アーネスト・ボーグナイン)に至っては、往年の名スパイであるフランクに敬意を隠そうともしないしね(笑)

フランクやマーヴィンが過去に関わった任務の裏に隠された「真実」が彼らを現役に復帰させることになったのですが、早い話、裏の人物が誰かなんてことより、彼らREDたちの知識や経験でもって現役たちをなぎ倒していく様を楽しむための作品ですね。

フランクが惚れた年金課のサラという女性も、現実に飽き飽きしていて「ハーレクインロマンス」のようなスリルに憧れていたのが現実になり・・という戸惑いがやがて興奮に変わっていくのを観ているのも楽しかったです。

他にもや副大統領スタントン(ジュリアン・マクマーン)や軍需産業会社社長のダニング(リチャード・ドレイファス)

ほんと、熟年なめんじゃね~~よ!!だね。楽しい映画でした。

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