杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

サブウェイ123 試写会

2009年08月27日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
ニッショーホール 19:00開演

2009年9月4日公開予定 アメリカ

2時00分-ニューヨーク地下鉄運行指令室。ここで働くガーバー(デンゼル・ワシントン)は、ペラム発1時23分列車が緊急停車したことに気づく。しかも、その車両は切り離され、1車両のみが停まっていた。無線で回答してきたのは、ライダーと名乗る男(ジョン・トラボルタ)。その要求は1000万ドル、身代金を用意するのはニューヨーク市長、人質は19名、残された時間は59分間、さらに、交渉相手にはガーバーを指名。地下鉄のことなら全てを熟知しているガーバーは、犯人は逃げ切れないはずだと確信を持っていた。しかし、圧倒的な自信で次々に要求を重ねるライダー。ガーバーは交渉を進める中、さまざま疑問を抱いていく…。(チラシより)

虎ノ門で夜7時開演ということから、会社員・OLが多かったかな。
30分前には列が3重になってましたが、客席は8~9割の入りでした。

1974年製作「サブウェイ・パニック」は多分過去にTV放送で観たような気がしますが、今回のリメイク版は登場人物の背景も結末も全く違うようです。

キレた犯人役のトラボルタが狂気を放つ演技を魅せる中、デンゼルは抑えた演技で対抗しています。

ガーバーは車両調達の収賄疑惑がかけられているけれど、相手が日本企業ってのが笑っていいのか嘆いていいのか迷うところ(^^;
ライダーの過去(と職業)は物語が進むうちに明らかになってきますが、そのことと彼の真の目的がリンクしています。
人質となった乗客の中にパソコンでチャットをしていた青年がいて、事件のライブ映像がネットで流れるというのも現代ならではの設定だね。

結末は個人的にはなんだかな~~なんですが、これは観た人それぞれで感想が異なるかも。

個人的なツボはカモネッティ警部補(ジョン・タートゥーロ)とNY市長(ジェームズ・ガンドルフィーニ)。初めは居丈高な警部補がやがてガーバーのよきパートナーとなっていく姿や、どことなくひょうきんで人間味のある市長の発言や人柄が一服の清涼剤になっていて楽しかったです。

主役の二人のどちらにも感情移入出来なかったため、脇役に目がいっちゃったわ。

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ホッタラケの島 ~遥と魔法の鏡~

2009年08月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2009年8月22日公開 

幼い頃に母を亡くした女子高生・遥は、不在がちな父との関係も少しギクシャクしていた。ある日遥は子供の頃に願い事をした神社で不思議な光景を目にする。小さな“きつね”がおもちゃのゴム式飛行機をどこかへ運んでいるのだ。後を追って森の奥に入った遥は不思議な世界に迷い込む。そこは人間が忘れた「ホッタラケ」を集めて暮らす住人が住む世界だった…。

東京・武蔵野にある神社にまつわる伝説がベースになっているとのこと。
映画の冒頭は「日本昔話」か?と見紛う絵だが、すぐにCGアニメの世界になりました。自然の残る東京郊外の素朴な風景や、様々な「ホッタラケ」で構築された不思議な島が細部まで丁寧に描きこまれていて、色彩も豊かで楽しいです。

テオを追って水たまりに吸い込まれるシーンは「不思議の国のアリス」を思わせ、島の描写は「千と千尋~」を、鏡は「鏡の国のアリス」を意識させます。

遥役の声は綾瀬はるか、父母には大森南朋・戸田菜穂が、島の住人の声は声優さん (沢城みゆき 、谷村美月 、家弓家正 )が演じてます。台詞を先に収録し、アニメーションをそれに合わせて制作するプレスコという手法で作られたそうです。

昔はとても大事にしていたのにいつの間にか忘れ置き去られたものたちへの気持ちを思い起こさせる映画です。

遥が大切にしていた母から貰った手鏡の他に、幼い日の誕生日に貰ったコットンという名のぬいぐるみが登場するのですが、このキャラがもう可愛くていじらしくてやられちゃいました。画面から手触りや質感までが伝わってくるようです。

テオは魔法の力が弱いというコンプレックスを持っていて島の住人に疎外感を感じています。遥も父とのぎくしゃくした関係に閉塞感があり、そんな二人が手鏡を探すうちに変り成長する姿が描かれていきます。

敵役の男爵にも実は容姿・外見へのコンプレックスがあるのが面白い点。
人間の「ホッタラケ」で飽き足らずに人間界に攻めていこうとする男爵との戦いはなかなかドキドキする面白さがありました。

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ベティの小さな秘密

2009年08月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年9月28日公開 フランス 90分

10歳のベティ(アルバ=ガイア)はパパ(ステファヌ・フレイス)が院長を務める精神病院の隣に建つお屋敷に住んでいる、幽霊と暗闇が怖い女の子。1歳上の姉アニエスが寄宿学校に入ってひとりぼっちなうえにパパとママ(マリア・ド・メデイルシュ)は毎晩喧嘩ばかり。孤独なベティの友達は、檻に囚われた犬のナッツだけ。ある日、ベティは精神病院から逃げ出した青年・イヴォンと出会い、庭の自転車小屋にかくまうことに。無口だけど、優しいイヴォンにほのかな恋心を抱いたベティは、あれこれと世話を焼く。学校で嫌な目に遭い、家でナッツを飼うことも許してもらえず絶望したベティは、イヴォンとナッツを連れて家出するが・・。

人より鋭く繊細な感情を持つ少女の日常に起こった一週間の出来事を綴り、誰しもが小さな頃に感じた自分を取り巻く世界に対する不安や恐れの感情を瑞々しく切り取って描かれた作品です。

今までずっと一緒にいたお姉ちゃんが寄宿学校に行ってしまって取り残された悲しさ寂しさを、ベティは病院から逃げ出してきたイヴォンの世話をすることで埋めようとしているかのように見えます。あらすじの解説には恋心と謳っているけれど、恋というより母性本能かなぁ?守ってあげる存在を得たことで自分の存在意義を自らに主張しているのかも。

学校で転校してきた顔に痣のある男の子から聞かされた痣を消す「薬」を信じたベティが裏切られるエピソードは、子供の世界の残酷さを思い出させてくれました。
また彼女にとってはナッツを飼ってもらえないことよりも、処分されてしまうことの方が悲しく恐ろしかったのだと思います。

屋敷で料理や家事を手伝ってくれるローズ(ヨランド・モロー)も病院の患者さん。他人に危害は加えないけど、子供の目からみたらちょっと怖いかも。でもローズとベティの挨拶のキスは互いに相手を想う素敵なキスだなぁ。
院長であるパパの患者や娘に向ける目の優しさが好き。芸術家肌で田舎暮らしに閉塞感を募らせ浮気に走ったのであろう母も子供への愛情は強く感じられます。

(ちょっと深読み)
ローズが心を病んだ原因は戦争で家族を喪ったこと。イヴォンが母を傷つけ自殺未遂を繰り返したことや、ベティの祖母が自殺した話、引き取り手がいなければ処分されてしまうナッツ、幽霊屋敷の存在や地球は死にゆく星だという友だちの言葉など、何気にベティを取り巻くのは死の存在の身近さです。対をなすものとして監督はベティの服装(赤の装い)で「生」を強調したのかしらん?

捜しにきた両親と姉にすぐに見つけられて、ちょっとしたハプニングはあるものの、ベティを悩ませる問題が解決するだろうと思わせるラストは嬉しいです。
ベティ役の子のまっすぐな瞳の力の強さが良いです。

イヴォンや家族に対して自分を愛称のベティではなくエリザベス(正式名)と呼んで欲しいと言った少女は、確かに一歩大人への階段を上ったのでしょう。

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トランスポーター3 アンリミテッド

2009年08月19日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2009年8月15日公開 フランス 103分

運び屋のフランク・マーティン(ジェイソン・ステイサム)の部屋に、一台の車が突っ込んできた。運転手は知人のマルコムだった。車の後部座席には赤毛の美女ヴァレンティーナ(ナターリア・ルダコワ)が腕に謎のブレスレットを付けて横たわっていた。助けようとするフランクだったが隙をつかれて気を失い、気付くと同じブレスレットが手にはめられていた。これは一度断った凶悪な依頼主ジョンソン(ロバート・ネッパー)の罠で、車から20メートル離れると爆死してしまうのだ。否応なく依頼を引き受けざるを得なくなったフランクはヴァレンティーノと共にマルセイユ・ミュンヘン・ブダペスト・オデッサへと車を走らせる。途中謎の組織の追撃をかわし、次第に二人は心を通わせていく。依頼主の目的とは?そして彼女の正体は?・・・。


リュック・ベッソンプロデュースの『トランスポーター』シリーズ第3弾。
ディオールのブラックスーツに身を包んだフランクが、愛車AUDI A8で壮絶なカーチェイスや華麗なアクション&銃撃戦を魅せてくれます。

事件の幕開けを思わせる産業廃棄物を積んだ謎の貨物船とマルセイユでのんびり釣り糸を垂れるフランクとタルコーニ警部(フランソワ・ベルレアン)が対照的な冒頭シーン。警部は今作でも度々登場し、そのどこか愛嬌のある物言いや仕草は緊迫した状況に和みを与えています。

ウクライナの産業廃棄物に絡む企業の陰謀が軸となり、政治家とテロ組織、警察がスリリングな駆け引きを繰り広げる展開に巻き込まれたフランクが、窮地を脱しバレンティーナを救う八面六臂の戦いを繰り広げるのですが、湖からの脱出や列車に車ごと飛び乗ってのアクションは映画ならではの派手さがありますね。

フランクの上半身ヌードやワイシャツ&ジャケットを使ったダンスのような華麗なアクションが好き♪K1選手のセーム・シュルトが敵役で登場してます。

第一弾に続き、依頼品は謎の美女だけど・・・うん、確かに美女ではあるけど若過ぎませんか?そしてソバカス多過ぎじゃないですか(^^;顔だけじゃなく全身ソバカスあるんじゃないかと思うほど多量のソレはアップで見るの辛いんですが。
しかもしっかり恋仲になっちゃってるし。絶対尻に敷かれるぞ(汗)

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エージェント・ゾーハン

2009年08月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
劇場未公開 アメリカ 113分

イスラエルの諜報機関モサドのスーパー・エージェント、ゾーハン(アダム・サンドラー)の密かな夢は美容師になることだった。ある時、パレスチナのライバル、ファントム(ジョン・タートゥーロ)との戦いで殉職したと見せかけ、まんまと渡米に成功する。しかし、ニューヨークでカリスマ美容師への道を目指すも、その時代錯誤なスタイルとセンスから相手にされず、友人サリム(ロブ・シュナイダー)のつてで、ダリア(エマニュエル・シュリーキー)が営む美容室でした働きに雇われることに。ある時美容師の欠員というチャンスが巡ってきた彼は、様々な裏技を繰り出してたちまちご婦人たちの人気スタイリストになる。ところがゾーハンの生存を聞きつけたファントムが決着をつけるため姿を現わして・・。

これって本当にアダサン?と目を疑うお下劣キャラ。
下ネタに走り過ぎで、最初はかなり引いてしまったけれど、良くみたら敵役はジョン・タートゥーロだし、他にも有名人が多数出演してるんですねぇ。
皆楽しそうにおバカな演技してるので、ついつい釣られて最後まで観ちゃった。

クリス・ロック:タクシードライバー
シド・ジャニス(医師)
マッケンロー(観客)
マライア・キャリー(本人役) などなど

アクションもコメディなのにかなり本格的且つ超人的。(ワイヤーアクションもあるけど)お下品だけど、お話としては正統派人情コメディだから、たまには良いか。でも映画館では観れないなぁ~~あ・・劇場非公開ね。そりゃそうねぇ。

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ラースと、その彼女

2009年08月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年12月20日公開 アメリカ 106分

アメリカ中西部の小さな町に暮らすラース(ライアン・ゴズリング)は、純朴で優しい青年で町の人に好かれているが、独りが好きで彼女もいないため兄夫婦ガス(ポール・シュナイダー)とカリン(エミリー・モーティマー)は心配しあれこれ世話を焼いていた。そんなある日、ラースが「彼女を紹介する」と兄夫婦のもとにやってくる。しかしラースが連れてきたのは、ビアンカと名づけられた等身大のリアルドールだった。兄夫婦を始め、街の人たちは驚きながらも、ラースを傷つけないようにビアンカを受け入れようとするが…。

主演のライアンは『きみに読む物語』に出てた俳優さんなのね。整った優しい顔立ちが印象に残ります。

内気な青年が“リアルドール”に恋したという設定はかなり奇抜ですが、それを彼の妄想と否定するのではなくラースを傷つけないようビアンカに接する兄夫婦や町の人や彼の友人たちこそ、ラースに劣らず優しい人々じゃないかしらん。

カナダ・トロントの田舎町が舞台で冬の凛とした空気と清浄な雪景色が、登場人物たちの温かさをより一層輝かせていました。実際、都会でこの設定はありえないでしょう(^^;

初めはただの人形としか見えなかったビアンカが、物語が進むにつれて感情を持った人間のように思えてくるのは俳優陣の演技と脚本の賜物なのでしょうか。

ラースが何故そのような妄想を作り出したかは、彼の生い立ち(誕生と引き換えに母を喪い、そのことで人が変わってしまった父親を嫌い家を出た兄に取り残された)や、自分でも気付かなかった職場の同僚マーゴ(ケリ・ガーナー)への恋心にあるようですが、周囲がラースを嘲ったり拒否したりせずに、彼の現状をあるがままに受け止める姿が素敵です。

兄は初めは弟の異常を受け止められずに苦しむのですが、それもまた当然の姿だと思います。隣人を愛せとの神の教えを体現するかのような町の人の優しさは、彼らの敬虔な信仰心が大きく働いているのでしょう。

ビアンカの「病気」が重くなって死を迎えるのとは逆にラースの心は修復・治癒に向かうのが印象的でした。担当のバーマン医師(パトリシア・クラークソン)の対処法も淡々とした中に深い理解を感じられて良いなぁ。

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パコと魔法の絵本

2009年08月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年9月13日公開 105分

一代で会社を作り、我侭放題に生きてきた大貫(役所公司)が入院した病院には、患者(妻夫木聡、阿部サダヲ、劇団ひとり、國村隼 )も医者(上川隆也)も看護婦(小池栄子、土屋アンナ)もクセのある者ばかりが集まっていた。その中で唯一、ピュアな心を持っていたのが、交通事故で入院した少女パコ(アヤカ・ウィルソン)。我侭な大貫だったが、パコの優しい心に打たれ、毎日、絵本を読み聞かせるように。しかし、事故の後遺症でパコの記憶が一日しか持たないと知った大貫は、パコのために絵本をお芝居にしようと病院の人々に呼びかける。

『下妻物語』『嫌われ松子の一生』の中島哲也監督作品。
独特の色使いと3DのCGを駆使したインパクトの強い大人のファンタジーになってます。
原作は、後藤ひろひとの舞台「MID SUMMER CAROL ガマ王子VSザリガニ魔人」。

一見、ハチャメチャでとんでもないお話かと思いきや、中味は純粋で傷つきやすい心を持った人たちの再生のお話なのね。

わがまま放題のくそじじい・大貫だけど、事故の後遺症で一日しか記憶の持たない少女・パコとの出会いで、自分の心の奥に眠っていた優しさ・愛を甦らせます。彼らを軸として、他の患者やナースのそれぞれの事情も徐々に明らかにされつつ進んでいく物語はシニカルでブラックで原色に彩られた不思議ワールドです。

役者たちは日頃の抑制をとっぱらったかのような突き抜けた演技を楽しそうにしています。國村さんのオカマ姿は抱腹絶倒もんです。

大貫じいさん、ここで往生か?と思わせておいてのどんでん返しにはちょっとうるうるしてしまいました。へっぴり消防士役の劇団ひとり演じる患者の放水=雨のシーンも良かったな。

阿部サダヲの役は物語の語り部でもありますが、その正体は・・・☆☆

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グイン・サーガ127巻 遠いうねり

2009年08月12日 | 
栗本薫 著 早川書房 発行

世界最強の国家として知られるケイロニアの首都サイロンが、黒死病の脅威にさらされ、壊滅の危機にあり、グインの安否も不明だという驚くべき知らせに、ヴァレリウスは苦悩を深める。一方、聖地ヤガに潜入したヨナとスカールは『ミロクの兄弟の家』の虜囚とされてしまう。さらに、フロリーたちの行方を捜しながらヤガの様子を探る彼らは、ミロク教がなにやら不可解な変貌を遂げつつあることに疑念と不安を抱くのだった。

前半はヴァレちゃんの受難がクローズアップ。
盗賊上がりと内心軽くみていたイシュトが意外にも一国の王として論理的にフロリー母子の行方とリンダへの求婚についてヴァレちゃんに返答を求めてくるんですね~~。二人の生い立ちにも似たところがあることがわかり、イシュトの成長を目にして考えを少しだけ変えていくヴァレちゃんの頭の中を覗いているようでした。しかしこの会話の中に、後の展開のヒントが秘められているような気が致します。何巻先になったのか・・筆者が健在ならまだまだあっと驚く展開があっただろうにと、残念でなりません。

後半はスカールとヨナがヤガに潜入する様子が描かれ、ここでも新たな脅威となっていく予感漂う終わり方になっています。

このミロク教はキリスト教が原型になっているんだろうけれど、新興宗教が信者が増えるにつれて次第に階級ができ、上層部が腐敗していくという一連の図式をここでも辿っているようで・・・だ~~か~~ら、宗教なんて嫌いなんだよ(^^;

グインは不在ですが、新たな展開の芽が見えて先への期待が高まる巻となっています。

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アントキノイノチ

2009年08月11日 | 
さだまさし(著)幻冬舎(刊)
2009年5月20日 発行

21歳の杏平は、ある同級生の「悪意」をきっかけに2度、その男を殺しかけ、高校を3年で中退し、それ以来、うまく他人とかかわることにできない心の病を抱えていた。
彼を心配する父の口利きで、遺品整理業“CO-OPERS”の見習い社員になった杏平は、亡くなった方のため、ご遺族のため誠実に働く会社の先輩たち、そして同い年の明るいゆきちゃんと過ごすことで、少しずつ心がほぐれてゆく。
けれど、ある日ゆきちゃんの壮絶な過去を知り、「生命」の本当の意味を初めて知ることになる……。

本に出てくる同級生・松井というのは、自分が一番でちやほやされていないと我慢がならないというヤツで、その悪意は人を死に追いやるほどのものでした。そうやって他人を傷つけても彼自身はちっとも自分の行為を顧みることも反省することもなかったのです。悪意の塊のような松井ですが、でも彼のエゴはもしかしたら心の奥底に誰でも少しは隠し持っている悪意なのかも知れないとも思いました。だからといって、松井のしたことは許される範囲を超えているけれど。

この松井に苦しめられた高校時代と現在の“CO-OPERS”での仕事の様子が交互に書かれ、やがて二つの時が重なる一瞬に、筆者の視線の温かさを感じることができます。

杏平の働く遺品整理業という仕事はこの小説で初めて知りました。
亡くなった方の遺品を整理するだけでなく、その現場の処理も仕事のうちで、特に死後時間が経過した現場の「お掃除」場面は壮絶ですらあります。私の大嫌いなあの虫の描写はかなりキツイものでしたが、そういうことも敢えて避けずにしっかりと伝える筆の真摯さを前に、読み手もしっかりと受け止めなければという思いになりました。生半可な気持ちでは続けられない仕事ですね。

「キーパーズ」という実在する会社の方々に協力頂いての執筆だそうです。

この本を読んでいる間に大原麗子さんの孤独死のニュースとか、タクシー強盗の米兵への判決が出たりとか、なかなかにタイムリーな時期に読んじゃったなぁという気もしております。

人生の最終課題である死んだ後の身辺整理・・・生きているうちから少し真面目に考えようかな~~。

タイトルはゆきちゃんが亡くした「あの時の命」、杏平が奪い損なった命、奪い取られた命をもじったもので、二人の会話の中で登場します。この言葉とそれから連想される「元気ですかぁ」というフレーズが小説の終わりにとても爽やかな余韻を与えています。

とても重い題材を扱っているけれど、読み終わって、前に向かう勇気を貰える一冊です。

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96時間 試写会

2009年08月10日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2009年8月22日公開予定

2009年8月10日 よみうりホール
18:30開演
台風が逸れたのと夏休みのせいか、会場はほぼ満席の盛況でした。

17歳になったばかりのキム(マギー・グレイス)が、友だちと初めての海外旅行で訪れたパリで何者かに誘拐される。まさに誘拐される瞬間にキムと携帯電話で話していた父親のブライアン(リーアム・ニーソン)は、自らの手で犯人たちを追い詰め、娘を奪還しようと決意し、単身パリに乗り込む。誘拐犯はアルバニア系の人身売買組織だと判明。政府の秘密工作員として活動してきた経験を生かし、単独で捜査を開始する。

リュック・ベッソン製作のアクション・スリラー。96時間とは組織に誘拐された娘を奪還できる猶予時間です。いくら特殊能力を体得した元秘密工作員という設定でも、かなりの超人的活躍で娘を救うスーパーダディで、ちょっとありえね~~!!だけど、だからこそフィクションとしてその暴力をも楽しめるのかも。

人身売買という背景が絵空事とは思えないのが恐いところで、もし 娘を持ってたらフランスには行かせたくなくなるよ~(汗) 職業柄、危険を予感していたブライアンだけど、妻と離婚して娘と離れて生活してるので、強く拒否も出来ず、結局旅行を許してしまうという設定はいかにもありそう。

ところが、事件が起こった後の行動といったら物凄いの。激しいカーチェイスあり、問答無用の銃撃戦やマーシャルアーツありのノンストップアクションに息をのみます。ボンドも真っ青だぁ。

でもこんなダディだったらボディガードには最強だなぁ。

どっかで見た顔と思ったら、別れた妻レノーアは「X-MEN」のファムケ・ヤンセンでした。

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