杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ウォール・ストリート

2011年02月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年2月4日公開 アメリカ 133分

2008年、NY。投資銀行ゼイベル社に勤めるジェイコブ・ムーア(シャイア・ラブーフ)は、若くして成功を収めた金融マンで、クリーンエネルギーの研究開発をバックアップする夢を持っていた。彼を支えてくれる婚約者ウィニー(キャリー・マリガン)は、非営利ニュースサイトの運営に携わるジャーナリストで、金融界の伝説的人物ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)の娘だったが、金の亡者の父を嫌い親子の縁を切っていた。そんな中、ゼイベル社の株価が暴落し、父のように慕っていた経営者ルーが自殺してしまう。金融界の黒幕ブレトン・ジェームズ(ジョシュ・ブローリン)の仕業だと知ったジェイコブは、ウィニーに内緒で彼女と絶縁中のゲッコーのもとへと向かい、娘との復縁を願う彼と取引し、ブレトンを叩き潰す方法を授かるが・・・。


「ウォール街」のオリヴァー・ストーンとマイケル・ダグラスが再びコンビを組んだ23年ぶりの続編です。といっても、前作も金融業界のことも知らないんですが(^^;

前作で「欲は善」と言い放ったゲッコーは、さらにスケールアップしています。
そもそも、昔の因縁により、ブレトンはルーを陥れるのですが、それは実はゲッコーも同様だったという筋書き。そのために必要な資金と人材がジェイコブでありウィニーであったというわけです。

冒頭、出所したゲッコーを迎えるものが誰もいないという場面で、彼の孤独と寂寥感を上手く表現していました。(所持品が返されるシーンでの携帯電話のサイズの大きさに塀の中での年月の長さを感じます。)ゲッコーは冷血漢ではなく人間味のある人物として描かれていて、ウィニーの赦しを得るためにした謝罪の言葉は本心からであり、2人を裏切った後の結末も、「な~んだ、結局は親ばか・孫ばかじゃん」な感があって、ハッピーエンドは嬉しいのですが、現実はもっと厳しく非情なんじゃないの?と思ってしまいました。

ジェイコブは父と慕っていたルーを自殺に追い込んだブレトンへの怒りに任せて復讐を遂げるのですが、結果としてウィニーの信頼を失いかけ、また一連の出来事で人の欲望の深さを思い知ることとなります。ジェイコブを次世代エネルギーという未来へ賭ける夢を持つ若者として描いているのは、巨大な数字の踊る無機質で非人間的な世界の住人であることを和らげ、希望へ繋げる効果を出したいのかな。

映画の中で出てくる経済市場国が中国やアラブで、日本の名が出ないのも、今の世界情勢をリアルに映し出しているのかもと考えたら、ちょっと寂しい気分になりました。

機会があれば、前作も観てみようかな。

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