杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ウェルカム・ドールハウス

2011年02月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1997年6月21日公開 アメリカ 87分

ジュニアハイスクール7年生のドーン(ヘザー・マタラッツォ)は、クラスメートから「ブス」と罵られ、先生からも叱られてばかり。家では母親が妹のミッシー(ダリア・カリーニナ)をえこひいきして父や兄マークは彼女に殆ど無関心だった。いじめっこのブランドン(ブレンダン・セクストン・Jr)が、実は自分に好意を持っていることも感じていたが、兄の友達のスティーヴ(エリック・メビウス)に熱を上げるドーン。だが全く相手にされない……。

1996年のサンダンス映画祭審査員大賞、ベルリン映画祭国際批評家連盟賞受賞作品。

学校で苛められ、家でも疎外感を味わっているドーンだけど、素直に同情出来ない外見と我の強さがあります。(^^;母が妹の言い分だけ聞いて一方的に自分だけ怒られれば、妹の人形の首をちょん切って鬱憤を晴らしたり、カンニングされれば先生に告げ口、紙鉄砲を投げつけられたら応戦もするという、めそめそ泣くタイプじゃなくて、やられたらやり返すので、「ああ、可哀想に」と思うより「あ~~あ、お互い様だぁね」と思ってしまうんだな。(笑)所謂、大人から見た可愛くない子の代表的キャラなんですね。

ドーンが母の伝言をわざと伝えなかったことで妹が誘拐されても、平気な顔をしているかと思えば、家出して街角で尋ね人のポスターを貼って捜し歩いたりする。相反する行動の裏には、自分が見つけて家族に感謝されたい、自分を認めて欲しいという自己顕示欲があるし、唯一の仲良しの少年を、自分の虫の居所が悪いと「オカマ」と呼んで突き放したりする酷薄さなど、彼女の嫌な部分もしっかり描かれているので、妙にリアル。本来子供って残酷な一面があるんだよね。傷ついた自分を主張はしても、他人を傷つけることには無頓着だったりするし。

スティーブに憧れながらもブランドンのことも嫌いじゃないという欲張りな気持ちも、自分をヒロイン化して夢想するのも女の子ならよくやることで、ドーンは風変わりというよりはごく平凡な女の子を象徴しているキャラなんじゃないかと思いました。

ミッシーはいつもバレエタイツ姿で家の前で踊っているけれど、子役自身がバレエ一家の一員なのだそう。誘拐されてもTVと食べ物を与えられて恐い思いをすることもなく、両親に溺愛される得なキャラでした。
一方、男の子たちはちょっと複雑。麻薬使用の疑いをかけられたブランドンが、ドーンにだけ無実だと打ち明けるシーンで、彼のナイーブさが覗きます。
また、ドーンの兄がガリ勉で内申に拘るのは、容姿の劣等感を頭脳で克服しようとする表れのようです。妹にも内申のための課外活動参加を勧める様子に、ミッシーだけが溺愛されている中での2人の連帯感みたいなものが感じられました。

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