2016年11月26日公開 109分
医科学研究所から拡散すれば大量死となる危険な違法生物兵器「K-55」が盗まれ、研究所所長(柄本明)のもとに届いた脅迫メールには、三億円の要求と「K-55」が隠された場所を示すテディベアの写真が添付されていた。犯人は研究所を解雇された葛原()という元研究員。慌てふためく主任研究員・栗林(阿部寛)と所長だが、警察からの電話で、葛原が事故死したことが判明する。違法生物兵器であるため、何としても秘密裏に処理しなければならず、しかも発信機の電池は4日しか持たない。その無理難題を押し付けられた栗林は、わずかな手がかりである葛原の遺品から辿り着いた日本最大級の野沢温泉スキー場へと向かうが……。
東野圭吾の同名サスペンス小説の映画化です。サスペンスなのにコメディ?まさに衝撃の衝の字にバッテンして笑という字に替えただけのことはあると変なところに感心
ワクチン開発途中に精製した最強の炭疽菌が200gって、1gですら大変な事態を招くのにどんだけ~~???栗原の容器の扱いのぞんざいさや、気温10度を超えると割れる筈の瓶がポケットの中で無事だったり、そもそも、我が子を危険に近づけるなんてありえないっつうの警察に届けないのも只管保身のためという情けなさ。サスペンスといえば、息詰まる緊張感を予想しますが、基本コメディなので、医学的な矛盾には目を瞑らないと物語を楽しめません。
スキー場が舞台となれば、スキーやスノボーでの捜索ですが、栗林は学生時代にちょっと経験しただけで、小さな子・ミハルとぶつかりそうになり「下手くそ」と言われる程度の腕前。これじゃ、何日あっても捜せないよ~~!家に残すのが心配で連れてきた一人息子秀人(濱田龍臣)の方が遥かに上手い(スノボーというところが現代っ子らしい)ちなみに妻は亡くなっていて、男で一つで育てている設定。彼がスキー場で知り合った地元の中学生たち(育美、川端、高野ら)が後半に重要な役割を果たすのは冒頭から想像がつくけど、そこにも捻った伏線が隠されていました。
禁止区域に入って深雪にはまったり、転んだりの奇行に疑念を抱いたパトロール隊員・根津(大倉忠)とスノボー選手の千晶(大島優子)に詰問され、咄嗟に出た嘘(無認可のワクチンで、それを待つ子の命がかかっているというもので、それなりに説得力がありました。)がきっかけで捜査に協力してもらうことになり安心したのも束の間、なかなか見つからないうえ、怪しいドドメ色の帽子の男(ムロツヨシ)まで登場。実は補助研究員の折口に何か指示されているようですが、そんなことは知らない栗林です。
実は初日に地元の中学生があっさりテディベアを見つけていて、それが栗林がぶつかりそうになったミハルの手に渡っていました。このことがわかったのが期限最終日。やっと瓶は見つかるのですが、それを狙ってドドメ色帽男が現れ、根津や千晶と争奪戦になります。スキーで逃げるドドメ色をスノボーで追う千晶の迫力あるけどコミカルなシーンが見せ場になっています。(事件解決後ネットにこの時の画像があげられるというオチあり。)
無事に取り戻したと思ったら、中身がすり替えられていてまたひと騒動。それが解決して、やっと瓶を研究所に戻したつもりが、またまた・・・な展開もスピード感があって面白かったです。
「瓶を取り戻したからといって何もなかったことにして良いのか?」と問う秀人をはぐらかしたものの、あの女の子の父親が子供に教えていたスキー上達のコツの会話を思い出した栗林は、(親の背中を見て子は育つ的な)自分に恥じない生き方を息子に示すためにも世間に事実を公表することを決意するのです。 この時のホテルのフロント従業員とのやりとりも、その前段階と合わせて見るとなかなか味わい深いものがあります。
秀人によってまたまたすり替えられていたとは気付かず(中身くらい確かめろよ)海外脱出を試みた折口とドドメ色(彼女の弟だった)はパスポート偽造で捕まり、中から出てきたのは秀人が買ったフランクフルトこういう遊び心が随所に散りばめられていたのも楽しめました
東日本大震災以来、スポーツ選手としての自分の存在意義を見出せずに悩んでいた千晶は、この事件を通して吹っ切れたようだし、根津ともな進展が見られます。育美に淡い恋心を抱いていた秀人ですが、育美は高野君の兄にだったというオチも
それにしても濱田君ってば子役時代の可愛さからイケメン少年へ見事に変貌を遂げてますね~ってそこかい!!
野沢温泉スキー場、行ってみたくなりますね。きっと今年は映画の影響で大盛況かも。