杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

疾風ロンド

2016年11月28日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2016年11月26日公開 109分

医科学研究所から拡散すれば大量死となる危険な違法生物兵器「K-55」が盗まれ、研究所所長(柄本明)のもとに届いた脅迫メールには、三億円の要求と「K-55」が隠された場所を示すテディベアの写真が添付されていた。犯人は研究所を解雇された葛原()という元研究員。慌てふためく主任研究員・栗林(阿部寛)と所長だが、警察からの電話で、葛原が事故死したことが判明する。違法生物兵器であるため、何としても秘密裏に処理しなければならず、しかも発信機の電池は4日しか持たない。その無理難題を押し付けられた栗林は、わずかな手がかりである葛原の遺品から辿り着いた日本最大級の野沢温泉スキー場へと向かうが……。

 

東野圭吾の同名サスペンス小説の映画化です。サスペンスなのにコメディ?まさに衝撃の衝の字にバッテンして笑という字に替えただけのことはあると変なところに感心

ワクチン開発途中に精製した最強の炭疽菌が200gって、1gですら大変な事態を招くのにどんだけ~~???栗原の容器の扱いのぞんざいさや、気温10度を超えると割れる筈の瓶がポケットの中で無事だったり、そもそも、我が子を危険に近づけるなんてありえないっつうの警察に届けないのも只管保身のためという情けなさ。サスペンスといえば、息詰まる緊張感を予想しますが、基本コメディなので、医学的な矛盾には目を瞑らないと物語を楽しめません。

スキー場が舞台となれば、スキーやスノボーでの捜索ですが、栗林は学生時代にちょっと経験しただけで、小さな子・ミハルとぶつかりそうになり「下手くそ」と言われる程度の腕前。これじゃ、何日あっても捜せないよ~~!家に残すのが心配で連れてきた一人息子秀人(濱田龍臣)の方が遥かに上手い(スノボーというところが現代っ子らしい)ちなみに妻は亡くなっていて、男で一つで育てている設定。彼がスキー場で知り合った地元の中学生たち(育美、川端、高野ら)が後半に重要な役割を果たすのは冒頭から想像がつくけど、そこにも捻った伏線が隠されていました。

禁止区域に入って深雪にはまったり、転んだりの奇行に疑念を抱いたパトロール隊員・根津(大倉忠)とスノボー選手の千晶(大島優子)に詰問され、咄嗟に出た嘘(無認可のワクチンで、それを待つ子の命がかかっているというもので、それなりに説得力がありました。)がきっかけで捜査に協力してもらうことになり安心したのも束の間、なかなか見つからないうえ、怪しいドドメ色の帽子の男(ムロツヨシ)まで登場。実は補助研究員の折口に何か指示されているようですが、そんなことは知らない栗林です。 

実は初日に地元の中学生があっさりテディベアを見つけていて、それが栗林がぶつかりそうになったミハルの手に渡っていました。このことがわかったのが期限最終日。やっと瓶は見つかるのですが、それを狙ってドドメ色帽男が現れ、根津や千晶と争奪戦になります。スキーで逃げるドドメ色をスノボーで追う千晶の迫力あるけどコミカルなシーンが見せ場になっています。(事件解決後ネットにこの時の画像があげられるというオチあり。)

無事に取り戻したと思ったら、中身がすり替えられていてまたひと騒動。それが解決して、やっと瓶を研究所に戻したつもりが、またまた・・・な展開もスピード感があって面白かったです。

「瓶を取り戻したからといって何もなかったことにして良いのか?」と問う秀人をはぐらかしたものの、あの女の子の父親が子供に教えていたスキー上達のコツの会話を思い出した栗林は、(親の背中を見て子は育つ的な)自分に恥じない生き方を息子に示すためにも世間に事実を公表することを決意するのです。 この時のホテルのフロント従業員とのやりとりも、その前段階と合わせて見るとなかなか味わい深いものがあります。

秀人によってまたまたすり替えられていたとは気付かず(中身くらい確かめろよ)海外脱出を試みた折口とドドメ色(彼女の弟だった)はパスポート偽造で捕まり、中から出てきたのは秀人が買ったフランクフルトこういう遊び心が随所に散りばめられていたのも楽しめました

東日本大震災以来、スポーツ選手としての自分の存在意義を見出せずに悩んでいた千晶は、この事件を通して吹っ切れたようだし、根津ともな進展が見られます。育美に淡い恋心を抱いていた秀人ですが、育美は高野君の兄にだったというオチも

それにしても濱田君ってば子役時代の可愛さからイケメン少年へ見事に変貌を遂げてますね~ってそこかい!!

野沢温泉スキー場、行ってみたくなりますね。きっと今年は映画の影響で大盛況かも。


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幸せをつかむ歌

2016年11月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年3月5日公開 アメリカ 101分

かつて夫や3人の子どもたちを捨て、ロック歌手になる夢をかなえたリッキー。54歳になった今は、売れないバンド“リッキー&ザ・フラッシュ”のギター兼ボーカルとして、小さなライブハウスで歌う日々を送っていた。そんなある日、元夫ピート(ケヴィン・クライン)から電話が入り、娘ジュリー(メイミー・ガマー)が離婚して実家に戻ってきて以来、着替えも入浴もせず引き籠ったままだと連絡を受ける。なんとか飛行機代を工面してジュリーの元に駆けつけたリッキーだが、20年ぶりの再会にも、ジュリーは自分を捨てた母を許すことができない。そんな中、ピートから連絡を受けた2人の息子たち・ジョシュ(セバスチャン・スタン)も戻ってきて、久々に家族が全員顔を揃えたが・・・・。

 

ロックスターの夢を追うために家庭を捨てた女性が、娘の離婚をきっかけに家族との絆を取り戻そうとする姿を描いたヒューマンドラマで、メリルの実の娘のメイミーが母娘共演しています。(って・・知らなかったよ~~)また、バンド仲間で恋人のグレッグを演じているのは1980年代に一世を風靡したグラミー賞歌手リック・スプリングフィールド。(それも知らなかったけど、ワイルドなイケメンでした

正直、音楽モノ、特にロック系は苦手だったりします。劇中で歌われている曲もたぶん有名な曲なのだと思うけど、「あ、聞いた事ある・・かも」程度の疎さ加減です。レディー・ガガくらいは知ってた

でもリッキーが楽しそうにシャウトする様子はいい本当に音楽(ロック)が好きなんだと伝わってきます。それは息子の結婚式の披露宴で歌った時に最高潮にお堅い地元の招待客も最後はノリノリで踊ってるのが良いです

元夫のピートも彼女が嫌いで別れたわけじゃないので、多少の未練は残っていますが、再婚した今の自分を律する真面目な男性。まあ、それが二人の間の溝を埋められなかった理由なのかもですが ネックレスや指輪をこれでもかとつけ、濃いメイクに派手なロッカー衣装のままで高級住宅地にある元夫の家を訪ね、レストランにもその恰好で行っちゃう奔放さは、保守的な町には不似合いで異質です。 

夢のために自分たちを棄てた母親を許せずにいたジュリーですが、離婚して精神のバランスを崩した時に無意識に頼ったのも母親です。義母のモーリーン(オードラ・マクドナルド)が、安定剤の服用とセラピー治療を勧めたのがノーマルな選択とすれば、リッキーが取った行動は常識外とも言えます。でもそのおかげでジュリーは外に出てストレスを発散させ、着替えも入浴もするようになります。自分のために親身になってくれる両親の存在を受け入れることで、彼女は辛い現実を乗り越えるための勇気と元気を得たのね

二人の息子の母親に対する気持ちは、ジョシュの方が軟化している感じ。元々ママっ子だったのかな次男の方は、他のことでは過激で自由な母が、性癖に関しては保守的な考えなことに反発しています。彼はゲイなのね。でもいろいろあって、リッキーは次男のことも自然に受け入れることができるようになったよう大人になるということは、色んなことを受け入れていく柔軟な発想を持つということでもあるのかな。

モーリーンのリッキーに対する態度は、けっこう辛辣で嫌みがあります。でも彼女の立場だったら、家族を棄てて夢を追って出て行った後の面倒を見てきたのは自分だという自負と、今の幸せを壊されるかもしれない不安がそうさせたのかもとも思えます。(式に招待しておいて、返事がギリギリだったとはいえ親族席でもない末席に座らせるのはどうかと思うけど

夢を二つ持っちゃいけないの?と問うリッキーですが、現実はそれを許してはくれなかったから、選ばざるを得なかったのですね。だからその結果も逃げずに受け止める彼女の姿は潔くみえます。そんなリッキーを支えてくれるグレッグも素敵。時に優しく、時に厳しく彼女を見守る姿がとても男らしかったな


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ハッピーエンドの選び方

2016年11月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年11月28日公開 イスラエル=ドイツ 93分

エルサレムの老人ホームで妻のレバーナ(レヴァーナ・フィンケルシュタイン)と一緒に暮らすヨヘスケル(ゼーヴ・リヴァシュ)。彼の趣味は発明。みんなの生活が少しでも楽になればと、日々ユニークな発明に精を出していた。そんなある日、末期の病気で望まぬ延命治療に苦しむ友人マックスから、楽にさせて欲しいと苦しまずに死ねる装置の発明を所望される。レバーナは猛反対するが、親友の切なる願いを叶えるべく、同じホームの仲間たちの協力も得て、自らスイッチを押して静かに最期を迎えられる安楽死装置を発明する。ところが、秘密にしていたはずのその発明は、瞬く間にイスラエル中に評判が広まり、殺到する依頼の対応にてんてこまいとなるヨヘスケルだったが…。(allcinemaより)

 

人生の最期の選び方というテーマをユーモラスに描き、第71回ベネチア国際映画祭で観客賞を受賞したイスラエル映画です。観終わって邦題のチープさが気になりましたが、内容は良かったです

老人ホームに暮らすヨヘスケル夫妻は、それなりに満ち足りた人生を送ってきたように見えます。居心地の良さそうな設備と広い部屋を持つホームはある程度の資産がないと入れないんじゃないの?少なくとも日本ならかなり豪華な部類に入りそうですが

そんな恵まれた場所で暮らす老人たちですが、健康という意味では重い現実と対峙しなければなりません。

ヨヘスケルは末期癌に冒されたホーム仲間の婦人を神様を装って励まそうとする優しい人ですが、親友のヤナ(アリサ・ローゼン)とマックス夫妻から安楽死の相談を受けます。望まぬ延命治療に苦しむマックスのたっての願いにヨヘスケルの心は揺れます。彼の妻のレバーナは、人間は生に執着すべきだと断固反対しますが、獣医のダニエル(イラン・ダール)やその恋人のラフィ(ラファエル・タボール)も加わり、計画は実行に移されるの。点滴に麻酔とある薬物を混入させて苦しまずに逝かせるという手法は末期の患者の死では検視が行われないという盲点をついたものですが、マックスの死後、ホームの仲間たちの間では彼らが安楽死させたのだという噂が広まります。これきりの筈だったのに、同様に延命治療に苦しむ家族からの依頼が次々飛び込んできて、第二・第三の尊厳死が行われます。(その際、必ずビデオを回して本人の意志を遺すのですが、患者自らが死を選択するのが尊厳死であり、他者の意思による安楽死との違いなんだそうです。)

ところで、レバーナには当初から軽い認知症の症状がありましたが、これがどんどん悪化していきます。ホーム側は彼女を専門施設に移すよう求め、本人も望むようになるのですが、夫であるヨヘスケルは頑として受け入れません。彼にとって妻はずっと昔のままの「正常な」妻であり、彼女の病を認めることはこれからの人生を否定することでもあったのでしょう。

渋々見学に行った施設で、認知症が進行した患者の姿を見た二人はショックを受けます。レバーナは自分が日々「壊れていく」不安と恐怖に、あれほど反対だった尊厳死を望むようになるの。もちろん夫は大反対しますが、症状の進む妻の「自分」でいるうちに幕を閉じたいという願いを最後は受け入れるのです。

一方、ヨヘスケルが励ましていた婦人は最後の最後で停電となったことを「神のお告げ」として尊厳死を取りやめます。死を望むのも生に執着するのもまた人間として当然の姿であることをこの事例を挟むことで語っている気がしました。この時、ラフィがお金を取って依頼を引き受けていたことも判明します。何が悪いと開き直る彼の姿にダニエルは恋人の本質を見てしまうの。妻と別れようとせず、同じホームに入居を勧めたのもラフィにとって都合が良かったからだということに気付かぬふりをしていたことも・・病でなくても悩みや苦しみは等しく人を襲うものなのね

体と心の違いはありますが、ともに治る見込みのない病気に苦しむ老人たちの姿は痛々しく切ないです。そんな彼らが自ら死を選択することを私は積極的ではないにしろ否定することはできません。自らに置き換えた時、やはり同じように望むのではないかと思うのです。

物語のテーマはとても重いものですが、彼らの姿は時にユーモラスでさえあります。ヨヘスケルとヤナが強力を持ちかけた相手が人間相手の医師ではない獣医で、元警官の男(二人の関係がばれるシーンが)がその恋人というのも笑えます。目立たないよう行動しなければならない時にゴミ箱を蹴飛ばして派手な音を立てたり、レバーナを励まそうと皆で全裸になったり、正直に「安楽死装置を作っている」と言ったのに信じてもらえなかったり・・・シリアスなのにユーモアが満載で、そこが逃げ道であり救いにもなっています。

必ず訪れる人生の終わり、死について、こんな角度から考えてみるのもありじゃないかしら?


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ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅

2016年11月25日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2016年11月23日公開 アメリカ 133分

魔法使いのニュート・スキャマンダー(エディ・レッドメイン)は、優秀だけどおっちょこちょい、そして魔法動物をこよなく愛する変わり者。世界中を旅しては魔法動物を集め、不思議なトランクに詰め込んでいる。ある時、旅の途中で立ち寄ったニューヨークで、ひょんなことからニュートのトランクと普通の人間のトランクが入れ替ってしまう。トランクの中から魔法動物たちが逃げ出してしまい、魔法省から追われることに。さらに、魔法省壊滅を目論む謎の組織も現われ、事態は思わぬ方向へ転がっていく。

 

「ハリー・ポッター」シリーズ完結から5年。新たなシリーズは、J・K・ローリング自ら脚本を手がけ、ホグワーツ魔法魔術学校の指定教科書「幻の動物とその生息地」の編纂者の魔法動物学者ニュート・スキャマンダーを主人公にした大冒険です。

 ハリポタシリーズは原作も映画もぜ~~んぶ読んだ(観た)私としては、こちらも絶対外せない作品。しかもジョニーがグリンデルバルド役でちらっと登場していると聞いてはもうたまりません。でも初日も翌日も都合がつかず、やっと今日鑑賞できました。3Dもちょっと惹かれたけど、ここはやはり字幕で(3D字幕の上映は行きつけのシネコンにはなかった)

原作も「幻の動物とその生息地」も未読なので比較はできませんが、J・K・ローリングが脚本を手掛けているとなれば、その世界観が正しく実写化されているのだと思います。ニュートを演じるエディ・レッドメインは個人的「美男子」の基準からは少し外れるファニーフェイスなんですが、「リリーのすべて」で魅せた色気は今回は人懐こい親しみやすさに変化を遂げています。シリーズ化の予定ということなので、これからもエディ=ニュートを観られるんですね

さて、ジョニーですが、いきなり冒頭で後頭部(後ろ姿)、そして山場でのあの登場は・・・思いっきり次回作に期待させてくれる盛り上げ方です。ヒースレジャー遺作となった『Dr.パルナサスの鏡』で彼の代役を引き受けた3人の中にジョニーもコリン・ファレルもいましたが、今回も因縁のある役柄をそれぞれ演じていて、不思議な巡り合わせを感じます。顔や体格が似ているとも思えないんだけどちなみに第二弾公開日は2018年11月16日らしい

ニュートの時代(1926年)はハリポタシリーズより約70年前ということで、当然ハリーもヴォルデモートも出てきませんが、ダンブルドアやグリンデルバルド、レストレンジと言った名前が出てきます。この時ニュートは20代半ばといったところでしょうか。魔法生物学者である彼は魔法生物に関する基礎知識や約80種の魔法生物の生態と危険度を示した本を後に著すこととなります。

彼のトランクから逃げ出す魔法生物たちは個性派揃い。中でもキラキラしたものが大好きなニフラ―とのやり取りはとてもコミカルで楽しいの。またボウトラックルは植物ですがニュートの良き相棒といった役割です。他にもデミガイズ(透明になる)、サンダーバード、オカミーなどがいます。ニュートは彼らをトランクの中の世界(まさにファンタスティックな不思議空間)に保護していたのです。ただ、逃げ出したオカミーを捕まえるために必要だった虫がGの付く名前の虫で、そのUPもあったのが・・・ダメ~~!!!思わず目を逸らしちゃいました

「ハリポタ」がイギリスを舞台にしていたのとは異なり、こちらはアメリカが舞台とあって、普通の人間の呼び方も「マグル」ではなく「ノー・マジ」です。そして今回ニュートと一緒に冒険するのはノー・マジのジェイコブ(ダン・フォグラー)。彼は缶詰工場で働いていましたが、キツイ仕事に嫌気が差してパン屋になろうと資金繰りに銀行を訪れた際、逃げ出したニフラ―を捕まえようとしていたニュートと出会ったの忘却術をかけようとしたものの不意を突かれてジェイコブに逃げられ、おまけにトランクも間違えられ、さらにMACUSA(アメリカ魔法省)で働くティナ(キャサリン・ウォーターストン)に魔法動物持ち込み違反で捕まったニュート。なんやかんやで、逃げ出した魔法動物たちを捕まえる手伝いをするはめになった二人にティナの妹で相手の思考や記憶を読み取ることができるクイニー(アリソン・スドル)も加わり物語は進んでいきます

それと並行して、魔法使いと魔女の絶滅を目論む過激派・新セーレム救世軍リーダーのメアリー(サマンサ・モートン)と彼女の養子のクレデンス(エズラ・ミラー)、モデスティらが登場しますが、彼らが何故魔法使いを目の仇にするのかの理由や、そもそも魔法使いの存在を知っていること自体への説明がされていないのが気になります。クレデンスは闇祓いのグレイブス(コリン・ファレル)から何やら密命を受けている様子。そしてこのグレイブスが大いに怪しい動きをしています。

ここからネタバレ

実はグレイブスはグリンデルバルド(ジョニー・デップ)が化けていた!そして彼はある強力な破壊能力を持つ生物を宿した魔法使いを探していたのでした。あまりに強力なため、宿主となった者は短命で10歳までも生きられないとされていたのだけれど、クレデンスこそが探していた「者」だったのです。養母に虐待されていたクレデンスの心の闇が産みだした怪物は、グレイブスに裏切られたことで暴れ出し、NYの街を破壊していきます。それを何とか止めようとしたニュートたちですが、結果的にクレデンスは闇祓いたちに殺されてしまうのです。この時、ニュートによって正体を晒したグリンデルバルドも捕まるのですが・・大人しく捕まってるわけないよね~~

事件が解決した後は、魔法省の規則に従い、ジェイコブの記憶も消さなければなりません。ジェイコブの人柄に惹かれていたクイニーが彼に最期のキスをする場面を含め、心に響くシーンとなっています。ジェイコブのために魔法動物の卵の殻(純銀)を贈ったニュートや、パン屋を開業した彼の元に現れるクイニーをみても、彼らの友情&はその後も続いたのかもね。

前半は魔法動物たちとのやりとりが楽しく、後半のバトルはいかにも魔法使いらしい(人間離れした)ものとなっています。

続編が今から待ち遠しいよ~~


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プロヴァンスの休日

2016年11月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年7月25日公開 フランス 105分

アドリアン、レア、テオの3兄姉弟は、祖父のポール(ジャン・レノ)に会いに南フランスのプロヴァンスへと向う。
彼ら3兄姉弟の母と祖父ポールとの間には確執があった為、ずっと疎遠な関係が続いており、彼らにとっては今回が初めての対面だった。
頑固で気難しいポールに、なかなか馴染めなかった3兄姉弟だったが、末っ子で生まれつき聴覚障害のあるテオが、徐々に慕いはじめたのをきっかけに、ポールと3兄姉弟の距離は縮まって行った。
ある日、長男のレアが悪戯でSNSにポールを登録してしまう。すると若き日のバイク仲間が彼らの前に現れる。
そこには、懐かしさから笑顔と優しさを取り戻したポールの姿があった。(公式HPより)

 

ジャン・レノが気難しいお祖父ちゃんを演じるハートフルコメディです。フランス版「ウォルター少年と、夏の休日」(テイストは違うけど)みたいな感じ?プロヴァンスの美しい自然の中で、疎遠だった孫と祖父のひと夏の交流が描かれます。

3兄姉弟の母は17歳の時にポールに反発し、妊娠をきっかけに家出して以来疎遠になっていたようです。ところが離婚することになり、職探しでカナダに行かねばならなくなって、子供たちを両親に預けることになります。(どうやら、父親とは音信不通でも母親とは連絡を取っていたみたいですね)

冒頭、列車の窓から見える景色とまだ幼い末っ子のテオが映し出されます。テオは耳が聞こえないので家族との会話は手話です。(言葉は発しないけれど、その存在の愛くるしさは半端ない!!登場するだけで癒される感じです。)子供たちを連れてきたのは祖母で、祖父は孫を預かることをまだ知らないということが列車を降りる段になって明かされ、一波乱ありそうな展開を予想させます。案の定、何も聞いてないポールは苦虫をかみつぶしたような態度を取り、そうなると上の二人も反発。都会っ子(パリ在住)には携帯の電波もうまく入らないような田舎は退屈な場所でしかないのよね

でも、末っ子のテオの存在が潤滑油の役割を果たして、孫たちとポールの間に徐々に交流が生まれていきます。TVはただの箱、ネット?とんでもない!なポールでしたが、アドリアンがポールをSNSに登録をしたことから、昔の仲間たちが訪ねてきて旧交を温めることに。(お祖母ちゃんがお爺ちゃんの弟の恋人だった話とか、彼らの間にも色々あったようで

若かりし頃の祖父母は世界をバイクで旅し、大麻も吸っていたという(ヒッピー?)驚きの事実を知ったアドリアンとレアは二人に対する認識を改め、親近感(尊敬?)を抱いた様子

アドリアンは女好きだし、レアは初恋に夢中。よくあるティーンのひと夏の経験ですが、レアの相手はヤクの売人だったから、ひと騒動持ち上がり・・・この時ポール祖父ちゃんが颯爽と助けに駆けつけるのよね (傷心な筈のレアですが案外立ち直りが早かったのにはちょっとびっくり 若さの特権だね)ポールはレアに昔の娘の姿を重ねていた気がします。だからこそ反発もし、心配もしたのでしょう。日本なら大問題になるかもな展開も、あちらでは「よくあること」なのかしらん?小さな村の中の出来事は、例えば飲酒運転でも大目に見てもらって見逃されたり、「へぇ~そうだったんだ」で済んでしまったり。(そこは突っ込んじゃいけないのね)

さて、孫たちとの生活の成果はてきめん!アル中のポールは断酒を決意します。彼らと一緒にバーチャルゲームで運動する姿は好々爺そのもの夏が終わり、孫たちを送っていったポールは娘と再会。「家に(帰って)来ないか」とのポールの言葉にうなずく娘(母)。あら?パリっ子の孫たちはそのままUターンなのかな 


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クーパー家の晩餐会

2016年11月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年2月19日公開 アメリカ 107分

4世代11人と1匹のクーパー一族が集まるクリスマスイブ。夫(ジョン・グッドマン)との離婚が決まっていたシャーロット(ダイアン・キートン)は、一家全員の最後の団欒となるその夜を完璧な晩餐会にしようと決心していた。しかし、不倫をごまかすため空港で出会ったばかりの男を恋人として同伴する娘・エレノア(オリビア・ワイルド)、失業したことを言い出せない息子・ハンク、クリスマスプレゼントを万引きして逮捕されてしまう叔母(マリサ・トメイ)など、一族の多くが秘密を抱えていた。クリスマスディナーは予期せぬハプニングが連続し、それぞれの嘘が次々とばれていく。

 

正直、もう少しドタバタか、あるいはもっと毒のあるコメディだと思ってレンタルしたのだけど、よくあるクリスマスのハートウォーミングな群像劇だったのね。幸せはすぐ目の前にあるのに気付くのはけっこう難しい。でも気付いたらそこから幸せが広がっていく・・・って感じかな

クリスマスイブの夜は家族揃って食卓を囲むのがアメリカ人家庭の定番。日本のお正月みたいなもんね。個人的にどんな事情を抱えていても表面上は「私はとっても幸せ」みたいな顔でテーブルに着くんですね。

クーパー夫妻はクリスマスが終わったら離婚する予定。でもその直接的な理由は何だかな~~。子育ても終わり、やっと夫婦水入らずの旅行に行けると思った夫にNOを突きつける妻。これまで母として立派に勤めを果たしてきたシャーロットだけど、夫に対しては良き妻だったといえるのかしら?彼女は、子供の世話を焼くということにしか自分の存在意義を見出せなくなってしまい、子供や孫のためと言いながら彼女自身が彼らに依存していることに気付いていません。

クーパー家の長男ハンクは離婚して一年が経ちます。最近リストラされ、再就職先を探すも連続面接不合格記録を更新中。子供に自転車をするお金にも困っていますが、両親にリストラのことを言い出せずにいます。長女のエレノアは祖父バッキ―の通院付き添いで知り合った医師と不倫中だけど、そんなことは親には言えず、空港でナンパした男・ジョーを偽の恋人として紹介します。彼は戦地に赴く兵士のため後腐れないと踏んだわけ。宗教も考え方もまるで正反対なのに惹かれていく二人。自分の気持ちを素直に伝えられず憎まれ口ばかりきいてしまうエレノアがちょっと可愛いな

姉にクリスマスの贈り物を買うのも癪だとついつい出来心で万引きをして捕まってしまった妹のエマ。連行される車中で警官の青年と人生相談の展開もコミカルでしたが、この会話の中で、完璧な母であり何もかも手に入れた幸福な女性である姉をうらやみ嫉妬していた自分に気付くの。警官の方も、自身の悩みに対する答えを見つけたようです

祖父のバッキ―(アラン・アーキン)は行きつけの店のウェイトレスのルビー(アマンダ・セイフライド)が、新しい自分になるため町を出ようとしていることを知り、思わず彼女に厳しい忠告をしてしまいます。今までと違った人生を歩きたいなら、場所を変えるのではなく自分が変わらなければいけないと言うの。実はバッキ―はルビーに会いたいためにこの店に通っていたのです。自分の想いを伝えるバッキ―にルビーも感じるものがあるようです。

ハンクの元妻も含め総勢11名でイブの食卓を囲んだクーパー家ですが、停電の最中にバッキ―が倒れ大騒ぎ!病院に運ばれ事なきを得たものの、エレノアの不倫やハンクの失業もバレちゃってさあ大変。誰も彼も本音をぶちまけた後、やってくる和解と融和の和やかな時間。ついでに離婚も止めちゃったとさ めでたしめでたし。孫の男の子がヤドリギを掲げてキスをと声かけるシーンも微笑ましかったです。

物語のナレーションがクーパー家の愛犬(声:スティーブ・マーティン)だったというオチが実は一番びっくりでした!!


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オケ老人!

2016年11月16日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2016年11月11日公開 119分

梅が岡高校に赴任してきた数学教師の小山千鶴(杏)は、バイオリンをもう一度演奏したい!という気持ちに駆られ、早速地元でエリートと言われているアマチュア・オーケストラに連絡を取り「入団したい」と伝えると、あっさりOKの返事。翌日、心躍らせながら練習会場の公民館へ向かうが、なんだか様子がおかしい。やってくるのは老人ばかり──。どうやら梅が岡には2つのアマチュアオーケストラが存在し、千鶴が入団したかったオケは「梅が岡フィルハーモニー」(梅フィル)というエリート楽団で、問合せをした「梅が岡交響楽団」(梅響)は老人ばかりのオケだった!年寄りばかりのアマオケ「梅響」のメンバーは、コンマスの野々村(笹野高史)をはじめ、クラリネットのクラさん(左とん平)、チェロのトミー(小松政夫)、オーボエのマーサ(藤田弓子)、ティンパニの棟梁(石倉三郎)、第二バイオリンのしま子(喜多道枝)、フルートの真弓センセイ(茅島成美)、トランペットのラバウル(森下能幸)。音楽は大好きだけれど、演奏はどヘタくそ、オケの練習よりもその後の“飲み会”が楽しみな彼らは、若い千鶴の入団を無邪気に喜ぶ。その姿を見て千鶴は自分の勘違いを言い出せないまま、しぶしぶ梅響のメンバーに加わることに……。さらには、心臓の調子が良くない野々村の代わりに指揮棒を振るはめになってしまう。そして実は、「梅響」と「梅フィル」には因縁の関係があった。もともと梅フィルは梅響を勝手に脱退して作り上げた楽団。さらに梅フィルのコンマス・大沢(光石研)は町に出来た大きな家電量販店「OS電気」の社長。彼は野々村が経営する今にもつぶれそうな電気店「野々村ラヂオ商会」を買収しようとしていたのだった。 老人集団「梅響」と音楽エリート集団「梅フィル」という二つのアマオケの対立は深まるばかりだが、そんなとき、野々村が倒れてしまい、千鶴は梅フィルに内緒で入団して梅響のことはほったらかし、いよいよ梅響の存続に危機が訪れる。千鶴がほのかに恋心を寄せる同僚の坂下先生(坂口健太郎)、また、千鶴に何かとおせっかいを焼いてくる野々村の孫の和音(黒島結菜)をも巻き込んで、果たして千鶴とオケ老人!たちの梅響はどうなってしまうのか!?(公式HPより)

 

荒木源の同名小説の映画化。ひょんなことから老人だらけのアマチュアオーケストラの指揮を任された高校教師の奮闘を描いた人間ドラマです。平日初回の劇場は「オケ老人」と同年代と思しき観客で7割方埋まってました。いつもこの時間帯は1~2割の入りのことが多いんですが

いくらなんでも音楽の心得があるなら、不協和音そのものの合奏に無頓着でいられる筈はないと思うのだけど・・・そこはフィクションなのでスルーしましょ

梅フィルの公演を聴いて音楽に対する情熱を呼び覚まされた千鶴は早速入団を希望しますが・・・肝心なオーケストラを間違っちゃダメでしょ。つか、初めに確認しましょうよ~~(でも小さな町?に二つもオーケストラがあるとは普通思わないよね、たしかに。

基本コメディなので、千鶴がズルズルと梅響に巻き込まれていく様や、奮闘する姿はちょっぴりの同情心とそれを上回る可笑しさに溢れていて楽しめます。

ほのかに恋心を寄せる同僚の坂下先生とはセオリー通りの展開を辿り、これは新鮮味はないけれどお約束の安心感はありました。和音とのバトルも教師と生徒の枠を超えた友達感覚です。

憧れの指揮者ロンバール(フィリップ・エマール)が梅フィルのコンサートの指揮をすることになったと聞いて夢捨てがたく、梅響に内緒で梅フィルに入ったものの、実力主義の梅フィルでは、千鶴程度の腕では30万を超える防音部屋まで買って寝る間も惜しんで練習しても、付いて行くのがやっとというか団のお荷物状態です。遂に落ちこぼれ、音楽すら諦めようとした千鶴を励ましたのは梅響と彼らの音楽を楽しむ姿勢に共感したロンバールでした。

大沢の息子と和音が付きあっていて、父親の考え方に反発する彼は梅響に協力を申し出ます。(ピアノもバイオリンもフルートも一通りこなせるって凄すぎですが)

千鶴に影響され、やる気と本気を出してきた梅響メンバーたち。新しい仲間も増えてコンサート本番は梅フィルと同じ大きな会場で開かれることに。野々村が倒れて入院というアクシデントも乗り越え練習に励む千鶴たち。当日、悪天候で停電になっても、猛練習してきた彼らには無問題(いや、手元の楽譜見えないと思うんですが

大成功となったコンサート。大沢とも和解して、野々村の電気店はOS電気の修理部門に併合となり両者共存の道が拓けてめでたしめでたしです。あ、坂下先生とはやっぱりでしたが

そうなんだよね~~楽しい音と書いて音楽。演奏する本人が楽しくなければ聴く方も楽しい気持ちになれないよね(もちろんある程度の技術あってのことですが


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ザ・ブリザード

2016年11月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年2月27日公開 アメリカ 118分

真冬の北大西洋を史上最大級のブリザードが襲い、巨大タンカーが遭難した。真っ二つに裂けたタンカーに取り残された32人の生存者を救出するため、バーニー(クリス・パイン)率いる4人の沿岸警備隊が出動する。定員はたったの12名という木製の小型救助艇で荒れ狂う海へと乗り出したバーニーらは、タンカーが沈むまで約3時間という厳しい状況の中、決死の救出に挑む。

 

アメリカ沿岸警備隊による海難救出劇(SSペンドルトン号の救出劇)の実話を映画化したものです。

電話で話すだけだったミリアム(ホリデー・グレンジャー)と初めて会うことになった夜は、親友ガスとWデートの設定。一目で恋に落ちた二人、三か月後のダンスパーティでミリアムの方から求婚され思わずNOと言ってしまったバーニー。危険な仕事のため結婚に踏み出せなかったのだけれど、彼女の押しに負けた形です

嵐の夜の海で遭難した巨大タンカーが二隻。そのうちの一隻がペンデルトン号です。船が真っ二つに割け、船長と上級船員が乗った方はあっという間に海に沈んでしまいます。残った方にはシーバート(ケイシー・アフレック)一等機関士がいました。誰よりも船に詳しい彼は、救命ボートを下ろそうとする船員たちを制するため、わざとボートを荒れ狂う海中に落とします。粉々に砕けたボートを見て船員たちは彼の提案する船を浅瀬に乗り上げて座礁させ救助を待つという案に従うのです。

遭難の報を受けたクラフ(エリック・バナ)は、バーニーに救助に向かうよう命じます。でも外海に出るためには危険な砂州を超えねばならず、命がけの任務です。バーニーは乗組員を募り、リッチー(ベン・フォスター)、フィッツ(カイル・ガルナ―)、マスキー(ジョン・マガロ)が応じます。親友のガスは運悪く体調を崩していたためお留守番です。

心配して基地にやってきたミリアムはそれを聞いてクラフに呼び戻すよう懇願します。(軍隊でも同じだと思うけれど、隊員の任務に家族が口を挟むことはタブーでしょう。ミリアムの行動は愛する人を思ってのことではあるけれど、やはり当時も今もかなり非常識なことだと思います。)クラフに拒絶されたミリアムは基地を飛び出し、車をぶつけてしまいますが、それを助けてくれたのは他の隊員家族でした。後方支援に徹する家族の心構えを知ってミリアムも態度を改めるのでした。

さて、必死に操船し砂州を超えることに成功したものの、コンパスを失くしたバーニーたちは途方に暮れますが、奇跡的にペンドルトン号を発見し、32人を救助します。(コックのタイニーが亡くなったのは悲劇です。)定員を遥かにオーバーした船は、普通の天候でも危なっかしい気がしますが

クラフは外洋にいる他の船に救助者を預けるよう命じるのですが、コンパスがないのにどうやって合流できるのよ?? それは無理だと判断したバーニーは命令に逆らい港へ向けて船を戻すことにします。ところが港の灯りを頼りにしていたのに、停電が心配して港へ集まったミリアムたちの車のライトは・・消すなよ~~!!と思っていたら、ミリアム点灯!!それに気付いた他の車もライトを点け、その灯りを目指して無事バーニーたちは戻ってくることができました

二人は結婚し81歳になるまで58年間幸せに暮らしたということです。

実話ベースなのであまり話は盛っていないとは思うのですが、上官のクラフは冷徹そうで好きになれなかったな。エリック・バナが演じていたのにも気づかなかった キャラ的にも、新任で現地の事情に疎く周囲から浮いた存在という感じでした。バーニーは以前に救助に失敗した過去があり、遺族との間にしこりが出来ていたようですが、この遭難事故の救助でわだかまりも解け、一躍ヒーローとなって、彼自身の自信にもつながったようです。

ミリアムは、女性の方から求婚したり、婚約者の上司に食って掛かったりと、当時はかなり異質な存在だったのではないかと思いますが、自分の意思を持ち行動するという点で現代女性に通じる強さがある人ですね。


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セブンス・サン 魔使いの弟子

2016年11月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年製作 アメリカ・イギリス・カナダ・中国合作 102分 日本劇場未公開

長きにわたって封印されていた邪悪な魔女マルキン(ジュリアン・ムーア)が復活を遂げ、恐ろしい魔物たちが人間界に闇をもたらした。魔女マルキンを倒すべく立ちあがった魔使いマスターのグレゴリー(ジェフ・ブリッジス)は、特殊な能力を持つと言われる一族の7番目の息子トム(ベン・バーンズ)を探し出し、魔物退治の旅を続けるが……。

 

ジョゼフ・ディレイニーのファンタジー小説「魔使いの弟子」の映画化ですが、原作は未読のため内容的な比較はできません。そもそも魔法使いじゃなくて魔使いって何?なんですが・・・どうやら魔女や闇の生物を退治するのがお仕事のようです。魔使いの能力は銀の毒や金属の鎖といった道具を使うこと?

グレゴリーは昔、マルキンと愛を交わしたのですが、彼はこの時既に妻がいたらしいそれを知ったマルキンが妻を殺してしまったので、グレゴリーは彼女を捕え、地下深くの牢獄に閉じ込めた。この時彼女を殺さなかったのは情けをかけたから。でもそのために、復活したマルキンにより大勢の人が殺されて、責任を感じたグレゴリーは今度こそ彼女を殺そうと思っている・・・らしい。

弟子が殺されると次を補充してきたグレゴリー。最後に見つけたのは7番目の息子の7番目の息子。何やら特殊な力があるんだそうな。それがトムというわけです。実はトムの母親も魔女で、しかもマルキンの「魔女の石」を盗んで彼女が捕らえられるきっかけを作った女性だったという因縁ありありな設定です。

グレゴリーはトムに厳しくあたりますが、それもこれも過去の自分の過ちを繰り返させないためだったのね。でも運命は巡る・・・トムはこれまた魔女と人間の間に生まれたアリス(アリシア・ビカンダー)と恋に落ちます。アリスはマルキンとその腹心である母親に命じられてトムたちをスパイしていたのだけど、トムの優しさを知り彼を好きになったの

トムが母親からもらったペンダント(くだんの魔女の石ですね)を持っていることを知ったマルキンはトムの命を助ける代わりにそのペンダントを盗んでくるようアリスに命じます。恋人を助けようとその命令を実行するアリスですが、グレゴリーは捕まり、トムも殺されそうになります。それを知ったアリスはマルキンからペンダントを取り戻すの。怒ったマルキンから娘を助けようと母親は女王であるマルキンに逆らいます。そこへトムとグレゴリーも加わり壮絶な戦いが始まるのですが、魔女やその部下たちの実体はドラゴンや熊や豹だったりします。(マルキンたちから町を守ろうとして殺されたトムの母親の方がよほど魔法使いっぽい能力を持っていたなぁ)肝心の主人公たちの直接対決はその意味では迫力不足だったかな。

結局、魔使いと魔女の善と悪の戦いというより、愛情のもつれ、愛ゆえの戦いという感がありました。映像は迫力があったし、ファンタジーらしさも出ていたのに日本未公開なのは、物語の背景の説明や知名度が不足していたから?


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ぼくのおじさん

2016年11月07日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2016年11月3日公開 110分

「自分のまわりにいる大人について」というテーマで学校の作文コンクールの宿題を課せられた小学生のぼく=春山雪男(大西利空)は、お父さん(工藤官九郎)の弟で居候の「おじさん」を題材に作文を書くことにした。おじさん(松田龍平)は、大学の臨時講師で哲学を教えているせいか、屁理屈をこね、時には雪男をダシに母(寺島しのぶ)からお小遣いをもらい、万年床でマンガばかり読んでいる。そんなおじさんに見合いの話が持ち上がる。相手はハワイの日系4世で、絶世の美女・稲葉エリー(真木よう子)。見合いに消極的だったおじさんはエリーに一目ぼれ。しかし、祖母が経営するコーヒー農園を継ぐためエリーはハワイへ帰ってしまう。エリーに会いたい一心で、おじさんはハワイへ行く作戦をあれこれと練り出すが……。

 

北杜夫が自身をモデルに書いた児童小説が原作ですが、設定は現代に、あらすじも一部変更されているそうです。そういえば、学生時代は星真一、遠藤周作、そして北杜夫の小説を良く読んでました。

おじさん役の松田龍平は、どこか茫洋としていてとらえどころのない感じがあり、浮世離れした雰囲気がおじさん役にぴったりはまっていました。 この困った大人だけどどこか憎めないおじさんのお守り役が、子供とは思えないしっかり者の少年雪男です。映画は雪男から見たおじさんの姿をコメディタッチで描いていきます。

宿題で出された「周りにいる大人について」の作文のモデルに悩んでいた雪男。両親は平凡を絵に描いたような人だし、妹は大人じゃないし・・そこへ颯爽?と登場したのは漫画雑誌を甥にねだるおじさん 妙ちくりんな屁理屈をこね回すおじさんを見て、雪男は「そうだ!おじさんを書こう!」と思いつくのです。

お小遣いはくれないし、勉強も教えてくれないし、スポーツも全然ダメ。何かにつけて屁理屈ばかりでお母さんに叱られるおじさんは格好のネタです 伯母さん(キムラ緑子)から強引に押し付けられたお見合いも、雪男がおじさんを連れていきます。渋々出かけたおじさんですが、相手の女性に一目惚れでも彼女はハワイの日系4世で、祖母の珈琲農園を継ぐために帰ってしまいます。彼女にもう一度会いたい一心でおじさんが考えたのが、発泡酒やコーラを飲んで懸賞のハワイ旅行を当てようという作戦。その気力と根気とお金があるなら普通に旅費を稼げば良いのに!と雪男じゃなくても思ってしまうけど

懸賞作戦は見事失敗に終わるのですが、おじさんのことを書いた作文がコンクールで入賞して、副賞がハワイ旅行。(最初からこの展開は推測できるけど)雪男はおじさんを引率者に選びます。だっておじさんのことを書いて貰った賞だものね

ハワイにやってきてもおじさんは相変わらず。英語の会話力もほぼゼロで(哲学者で洋書の原書も読んでいそうなのにあの英語力はないっしょ)、道に迷うわ、挙句の果てに危ないブツを買わされ警察に捕まる始末。エリーの農園でも猫の手ほどの労働力にもなりません

実はエリーは和菓子屋の御曹司・青木(お見合いの時に和菓子屋に寄る件があり伏線となっています)と恋仲でしたが、家を継ぐことでもめて別れたの。でも青木(戸次重幸)はエリーを諦めきれず、家業を弟に譲り、身一つになって追いかけてきます。

青木とおじさんがエリーを巡って争う様子は小学生の雪男からみても子供の喧嘩のような低レベルの戦いです でも雪男がエリーの部屋にあった青木の写真のことをおじさんに話すと、おじさんは二人の仲を取り持つ発言をして身を引きます。一応おじさんもちゃんと「大人」なんだな~と思える良いシーンになっていました

雪男役はオーデションで選ばれたそうですが、大人顔負けの良い表情をするの

セリフは少々古臭い言い回し(いまどきの小学生の言葉遣いとは思えない)ですが、それが逆に雪男というキャラを際立たせてもいます。ホテルで爆睡するおじさんの靴を脱がせてあげたり、凹んだおじさんの手をそっと握る雪男はまるで小さな大人 

雪男の作文を褒めてくれた担任の先生(戸田恵梨香)がおじさんに興味を持つのもなんかわかるな~~。(自分一人でも生きていけるような生活力のある女性にとっては)このおじさんみたいな愛すべきダメダメ君には妙に母性本能をくすぐられるんですよね


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二ツ星の料理人

2016年11月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年6月11日公開 アメリカ 101分

美食の街パリの二ツ星レストランで腕をふるう料理人アダム・ジョーンズ(ブラッドリー・クーパー)は、傲慢さからトラブルを引き起こし、店から出ていく。それから3年後。アダムは再起を図り、ロンドンでレストランを営む友人トニー(ダニエル・ブリュール)に、世界一のレストランにするとかけあう。自分を雇う約束を取り付けた彼は、女性料理人エレーヌ(シエナ・ミラー)や、かつての同僚ミシェル(オマール・シー)ら最高のスタッフを集め、レストランを新しくオープンさせる。しかし彼の抱える問題は、まだ解消しきれてはいなかった……。(Movie Walkerより)


あらら~~「ブリジット~」で産科医を演じていたエマ・トンプソンですが、こちらではセラピスト役ですか・・ってこっちが公開は先でしたがちょっとシニカルでどことなくコミカルな雰囲気は彼女の持ち味ですね。

アダムは料理の腕は天才的だけど、人間性は大いに問題ありの人物です。自分にとっての料理を追求するあまり、周囲のことは一切お構いなしの我儘し放題。酒やクスリに溺れて借金を作りトラブルのあげく姿を消していた彼は、自分に牡蠣の殻剥きの修行?を罰として課していましたがそれって単なる自己満足よね

トニーの店に押しかけて強引にシェフに納まったアダム。なんでこんな奴に甘いの?と思ったらトニーはアダムに好意を持っていたという・・・。ふぅぅん・・ま、それだけじゃなくて、彼の腕に純粋に惚れ込んでもいたのですけどね。

意気込んで新規開店に臨んだものの、自分の想いがスタッフにうまく伝わらずギクシャクした挙句癇癪を起す始末。それでも皆が逃げ出さないのはやはり彼の腕に対する絶大なる尊敬と信頼があるからってことかしら?

エレーヌを引き抜いたのは彼女の作るソースの味に惚れ込んだから。当然のごとく喧嘩しながらも互いの腕を認めあっていく二人の関係も見どころの一つのようです。

アダムはフランスでの修業時代の同期でライバルがいたり、トラブルで師匠に迷惑をかけていたり、その時の借金に追われていたりで、色々問題が生じます。仲間の裏切りに遭い落ち込んだ彼を、でも当のライバルやエレーヌが励ますシーンがちょっと良い感じ

料理は一人で出来るものではない、皆が力を合わせることで本当に美味しい料理が生まれるのだと、やっとアダムは気付くのです。(気付くの遅すぎるっちゅうのと突っ込んでおきます。

ところでミシュランの評価人の行動の特徴(必ず二人連れで19時半の予約で一人は30分遅れてくる。さり気なくフォークを落としてすぐに気付くか様子を見る。コースとアラカルトを頼む。ワインと水を頼む。etc)とか・・・ほんと??

劇中に登場する料理はさすがにどれも美味しそうでした

 


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さざなみ

2016年11月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年4月9日公開 イギリス 95分

イギリスの小さな地方都市に暮らす夫婦、ジェフ(トム・コートネイ)とケイト(シャーロット・ランプリング)は、結婚45年になる。子供はおらず、仕事を引退した今はささやかな日常を送っている。土曜日に結婚45周年祝賀パーティを控えた月曜日、ジェフに一通の手紙が届く。50年以上前、雪山でジェフの恋人カチャがクレパスに落ち、行方不明となっていた。しかし温暖化により雪が溶け、当時の姿のまま発見されたので遺体確認に来てほしいというスイスの警察からの手紙だった。ジェフが「ぼくのカチャ」と不用意に口にしたとき、二人の日常に変化が訪れる。ケイトに事情を説明するジェフは目の前の妻の存在を忘れ、上の空となっている。ケイトは家の中に冷たいものが入り込むのを感じる。祝賀会の下打ち合わせに出掛けたケイトは、時計店でスイス製の高級時計を見つける。45周年の記念に夫にふさわしいと思い、家に電話を掛けるが、夫は出ない。何かに気を取られて電話に出られないのだと察し、ケイトの気持ちに陰りが生まれていく。ケイトが家に戻ると、ジェフはいつもの夫に戻っていた。しかし夕食の席で、ジェフはケイトにカチャとの出来事を語り出す。警察には夫婦と言ってあり、カチャはおもちゃのような指輪を左手の薬指にしていた、と。ケイトは余裕の表情でやり過ごすが、内心は話を切り上げたくて仕方なかった。ケイトは存在しない女への嫉妬心を重ねていき、夫へのぬぎいきれない不信感を募らせていく……。(Movie Walkerより

 

まもなく結婚45周年を迎えようとしている熟年夫婦の間に立ったさざなみが次第に波紋を広げていく様が描かれています。始まりは一通の手紙。50年以上前にジェフは山での遭難事故で恋人を喪いましたが、それはまだケイトと出会う前のことです。でも行方不明だった恋人が発見されたという通知が夫婦の関係を波立たせていきます。

過去の若い日の記憶がジェフの中に甦り、亡き恋人への追憶で心が一杯になっていき、現実の生活が上の空となります。ケイトは夫が自分と出会う前の出来事と始めは理解のある態度を取りますが、心中は穏やかではありません。何しろ夫の恋人は当時ままの若さを留めた遺体で発見されているのです。同じ時を生きている生身の人間なら張り合うことも出来ますが、思い出の中の恋人と対等な勝負なんかできるわけもありません。どんどん過去の恋愛の記憶にのめりこんでいく夫に妻の苛立ちや苦悩は届かず、二人の心に隔たりが生じます。

もちろん、ジェフにとって現実の生活は生活として、ケイトに対する愛情も変わってはいないのですが、ケイトは・・・・夫へ投げかけた「もし事故がなければあなたは彼女と結婚していたの?」の問いに「イエス」と答えた彼の言葉が決定的な刃となって心を切り裂きます。だってこれまでの結婚生活のすべてを否定されたようなものだから。ジェフは何かに夢中になると周囲が見えなくなってしまう性格とされてはいますが、まったく男ってどうしてこうも無神経で考えなしなの? 

表向きは淡々とパーティの準備をしながら、ケイトの心はもはや安寧ではありません。当日、パーティの席でジェフがケイトを讃え愛していると感謝の挨拶をしても、ケイトの心は鎮まりません。映画はここで終わってしまいますが、ケイトはこの先、夫へ全幅の信頼と愛情を注ぐことはないんだろうなと感じました

 (アメリカ映画なら派手に喧嘩して腹の中をぶちまけ合ってハッピーエンドかもね~この作品は感情の襞を丁寧に描いている点では日本的なウェットさがありました。)


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ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期

2016年11月02日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

(2016年10月29日公開 イギリス 123分

アラフォーになったブリジット(レニー・ゼルウィガー)はテレビ局でバリバリ働くニュース番組のの敏腕プロデューサーとして活躍していたが、私生活では未だ独身のまま。彼女がかつて愛したマーク(コリン・ファ―ス)は他の女性と結婚し、ダニエル(ヒュー・グラント)は飛行機事故で死亡。誕生日の夜も友人たちにフラれ”ぼっち”の彼女は、ある日、同僚ミランダの誘いに乗り野外ロックフェスへ出かけ、盛り上がり泥酔した勢いでイケメンのジャック(パトリック・デンプシー)とベッドイン。数日後、旧友の赤ちゃんの洗礼式でマークと再会し、「君が恋しかった」と言うマークと良い雰囲気になりこれまた思わずベッドイン。ところが数か月後にまさかのオメデタが発覚し・・・。

 


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