2019年2月22日公開 107分
埼玉県の農道を、1台のワンボックスカーがある家族を乗せて、東京に向かって走っている。カーラジオからは、さいたまんぞうの「なぜか埼玉」に続き、DJが語る埼玉にまつわる都市伝説が流れ始める――。その昔、埼玉県民は東京都民からそれはそれはひどい迫害を受けていた。通行手形がないと東京に出入りすらできず、手形を持っていない者は見つかると強制送還されるため、埼玉県民は自分たちを解放してくれる救世主の出現を切に願っていた。東京にある、超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が、埼玉県人を底辺とするヒエラルキーの頂点に、生徒会長として君臨していた。しかし、アメリカ帰りの転校生・麻実麗(GACKT)の出現により、百美の運命は大きく狂い始める。麗は実は隠れ埼玉県人で、手形制度撤廃を目指して活動する埼玉解放戦線の主要メンバーだったのだ。その正体がばれて追われる身となった麗に、百美は地位も未来も投げ捨ててついていく。2人の逃避行に立ちはだかるのは、埼玉の永遠のライバル・千葉解放戦線の一員であり、壇ノ浦家に使える執事の阿久津翔(伊勢谷友介)だった。東京を巡る埼玉vs千葉の大抗争が群馬や神奈川、栃木、茨城も巻き込んでいくなか、伝説の埼玉県人・埼玉デューク(京本政樹)に助けられながら、百美と麗は東京に立ち向かう。果たして埼玉の、さらには関東の、いや日本の未来はどうなるのか――!?(公式HPより)
魔夜峰央の同名漫画の実写映画化です。監督は「のだめカンタービレ」「テルマエ・ロマエ」の武内英樹ということで、コメディの王道をいいく娯楽作になっています。魔夜さんと言えば、『花とゆめ』に載っていた「パタリロ!」が強烈な印象。少女漫画なのにギャグですか~~ってあまり好きな作品じゃなかった記憶がありますが、キャラはしっかり覚えてます。今作の麗と百美のビジュアル、どこかで見たような・・・と記憶の引き出しを開けてみたら・・バンコランとマライヒだ~~!(あ、「翔んで埼玉」は未読ですのでビジュアルは知りません。)
原作は魔夜峰央が当時住んでいた埼玉県を自虐的に描いたギャグ漫画ということで、埼玉はもちろん、千葉・茨城・栃木・群馬も巻き込んで散々な描かれよう。 なんたって病気の埼玉県人にはその辺の草でも食わせとけ!(予告)ですから
白鵬堂学院と生徒たちの描写も、さながら宝塚のような煌びやかで豪華でまさに少女漫画の世界。クラス毎に異なる制服もBクラスはメイド風、埼玉県民のZクラスにいたってはどこの貧民?なボロ服。ありえね~~
麗を敵視していた百美ですが、あることをきっかけに彼に恋心を抱くようになり、麗の正体がわかっても彼についていく・・このあたりも少女漫画的展開です。そういえば、原作者は昔からボーイズ・ラブ描いてたっけね~~。
執事の阿久津が実は千葉解放戦線のメンバーで、逃げた二人を追っての千葉VS埼玉のバトルが勃発。その裏で都知事(中尾彬)と神奈川県知事(竹中直人)の密約が発覚。(ここでは崎陽軒の醤油さしの「ひょうちゃん」が登場します。神奈川県民に大受けのネタかも)代々の都知事が隠していた秘密を百美が暴き、埼玉と千葉が共同戦線を張って都庁に押し掛け・・・時にしんみりと、でもほぼギャグで進むお話はひたすら可笑しく久々、劇場で声を出して笑ってしまいました。それにしても群馬は限りなく秘境扱いなんですが
並行して、婚約者(成田凌)との結納に向かう家族が道中の車の中でラジオから流れてくるこの「都市伝説」を聞きながら、千葉出身の妻(麻生久美子)と埼玉出身の夫(ブラザートム)がバトルを繰り広げます。都会生活に憧れる娘(島崎遥香)が呆れながら突っ込みを入れるのも笑えるツボです。
登場する埼玉の地名(浦和に大宮、川口、草加、川越などなど)が地図上のどのあたりにあるか知ってる人と、全く埼玉を知らない人(純然たる都民や神奈川県民)では笑いのツボが違うかも でも愛があるから笑えるんですよ~~
終始おバカな笑いに溢れたお話ですが、人の価値は出身地で決まるものではないという当たり前のこともちゃんと伝えています。
かくて手形制度は撤廃され、次なる埼玉県民の野望は日本制圧、さらに世界へと向かうのでありました。めでたしめでたし。
出身地有名人合戦や、シラコバトが描かれた草加せんべいの踏み絵、浦和と大宮の小競り合い(仲裁に入る与野が相手にされない図)あるある、山田うどん(通称だうどん)・・・極めつけはエンドロールで流れるはなわが歌う「埼玉県のうた」に捧腹絶倒の107分でした。