杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

スキャンダル

2020年11月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年2月21日公開 アナダ=アメリカ 109分

アメリカで視聴率ナンバーワンを誇るテレビ局FOXニュースの元・人気キャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が、CEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴー)を提訴した。人気キャスターによるテレビ界の帝王へのスキャンダラスなニュースに、全世界のメディア界に激震が走った。FOXニュースの看板番組を担当するキャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)は、自身がその地位に上り詰めるまでの過去を思い返し、平静ではいられなくなっていた。そんな中、メインキャスターの座のチャンスを虎視眈々と狙う若手のケイラ(マーゴット・ロビー)に、ロジャーと直接対面するチャンスがめぐってくるが……。(映画.comより)

 

2016年にアメリカで実際に起こった女性キャスターへのセクハラ騒動を映画化したもので、それぞれ立場も年代も違う女たちの、華麗なる戦いと逆転劇が描かれています。

といっても、三人のキャスターが協力して訴訟を起こしたわけじゃないところに、複雑な局内パワーバランスが覗きます

FOXニュースは、ケイラが語ったように、一日中つけっ放しにして観ている家庭も多い保守層に圧倒的な人気があるチャンネルだそう。ケイラの同僚のジェス(ケイト・マッキノン)はレズビアンで民主党支持者であることを隠しています。

興味深かったのは、FOXチャンネルが最初からトランプ氏を支持していたわけではなかったというエピソードです。共和党の大統領候補者討論会の進行係を務めたメーガンが、ドナルド・トランプの女性問題に踏み込むことができたのは、ロジャーの了解のもとだったというから面白いしかしその代償は大きく、怒ったトランプはツイッターでメーガンを批判し続け、彼の狂信的支持者からの憎悪にも悩まされることになります。結局彼女は一年以上続いたトランプとの確執に終止符を打つため、手打ちせざるを得なくなるんですね。

ロジャーは忠誠心という言葉を使って女性たちを自分の欲望の対象にしましたが、女性たちも自分の利益のために甘んじて受けて出世の足掛かりにしていた点は否めません。拒否すればグレッチェンのように日陰に追いやられクビにされるのだから、これはもうパワハラ以外の何者でもないけれど、抗えない事情も汲み取れます。

グレッチェンが提訴したと知っても、メーガンは初めは静観というか状況を窺っていました。FOXニュースのアンカーウーマンで、人気実力共にトップに君臨していた彼女にとって、セクハラ被害を公表することはキャリアに傷がつくことでもあったからです。過去に被害を受けた女性が数名名乗りをあげますが、FOX内では誰も声を上げずにいました。そんな状況がメーガンが名乗りを上げたことで変わります。

きっかけとして出てくるのは、ケイラとの会話かな。ロジャーからセクハラを受けているのではないかとメーガンから指摘されたケイラは、なぜわかったのかと訊ねます。かつて自分もそうだったからと答えたメーガンに対して、その後も被害を受ける人がいるとわかっていて何故その時声をあげなかったのかと責めるんですね。これは効くな~~ あと、ロジャーは自分の取り巻きたちにも女性たちに奉仕をさせていたと知ったことも大きいかも。

ロジャーは事実無根と言い張りますが、グレッチェンはロジャーとの会話を録音するなど周到な準備をして訴訟に臨んでいたため、解雇を言い渡されました。この時彼は自分は女たちに仕事を与え、世に出した貢献者だと主張しますが、メディア王ルパート・マードックは聞く耳を持ちませんでした。ま、当然だぁな。解せないのは、ロジャーの妻のベスがあくまで夫を庇って戦おうとしたことです。こんな卑劣なパワハラ亭主、愛想を尽かして当然な気がしますが・・・。彼女は本当に夫が無実だと信じていたのか、それとも目を背けていたのか、心情が伝わって来ませんでした。

双方の弁護士同士の話し合いの結果、グレッチェンとロジャーは和解し、グレッチェンは賠償金を得る代わりに、過去の詳細については口を閉ざすという契約を結びます。あくまで処罰を求めるということではないあたりがアメリカ的?

メーガンはその後もFOXで活躍を続けますが、マードックがFOXニュースはこれまで通りと宣言するのを横目に、ケイラは退社を決意してその場を去ります。個人的には彼女の判断に拍手を送りたいかな。

ロジャーに対する局内の女性たちの反応も一律ではなく、彼を擁護しようとする人もいるところに、根深い問題があるように感じられました。

 

 


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架空OL日記

2020年11月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年2月28日公開 100分 G

憂鬱な月曜日の朝。銀行員OLの“私”(バカリズム)の1週間が始まった。眠気に耐えながらもきっちりメイクして家を出る。ストレスフルな満員電車に揺られ、職場の最寄り駅で合流するのは社内で一番仲良しの同期=マキ(夏帆)。私と価値観の近いマキとの会話は、時に激しく不毛ながらも不思議に盛り上がる。会社の更衣室で後輩のサエ(佐藤玲)と入社8年目の小峰(臼田あさ美)、10年目の酒木(山田真歩)が加わり、いつものように就業前のおしゃべりに華が咲く…。(公式HPより)

 

バカリズムが主演や脚本を務め、2017年に放送された連続ドラマの劇場版です。原作は、バカリズムのブログを書籍化した「架空OL日記」で。銀行で働く彼女達の日常が、淡々とユーモラスに(時に辛辣に!)なんとも言えない絶妙な空気感で描かれています。

映画版の新キャストとして、おとなしめだけど独特なセンスを持つ後輩かおりん(三浦透子)、韓国からの海外採用で、日本のアニメや漫画が大好きで歌にも詳しいソヨン(シム・ウンギョン)、仕事はできるが感情の波があり怒ると怖い小野寺課長(坂井真紀)、地元の友達リエ(志田未来)とクミ(石橋菜津美)が加わっています。

といっても、私はTVドラマの方は見てないんですけどね~~ かつ、OL生活も未経験。なので興味深く鑑賞いたしました。

それでも女性の同僚が集まると、あんな感じなんだろうなと想像はできるし、会話の内容も「あるある」感満載です。

職場の男性同僚や上司への、本人には謂れのない濡れ衣や悪口には、鬱憤晴らしの良い餌なんだよね~~と失笑。

彼女たちの良いところは、誰か不在の時にその人の悪口が一切出ないことかな。(現実にはそういうのありそうだもんな

フィットネスジムでのエピソードも、微妙な気持ちの揺れが視線の会話で見事に表現されていて、どうしてこんなに女心がわかるんだろ?って逆に恐くなっちゃいました

後輩の結婚報告を我が事のように喜び、式場で感涙する先輩とか・・・ほんと良い奴だ~~


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名探偵コナン 江戸川コナン失踪事件 史上最悪の二日間

2020年11月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年12月26日 金曜ロードSHOW!スペシャルドラマ

2020年9月18日 金曜ロードSHOW!放送

ゴルフをプレイしながら、英語で謎の密談を進める2人の老人がいた。彼らの会話では、ある男の名前が飛び交っていた。一方、警察の取調室では「運び屋のジョー」が刑事に対して「俺は何も知らない」と言い訳を始めていた。彼の言葉からある人物によって運び屋をやらされたこと、そして、その人物に裏切られたことが告げられる。ある晴れた日、コナンは阿笠博士の家のお風呂が故障してしまい、蘭や灰原らと共に銭湯を訪れることになった。コナンはその脱衣場で、怪しい2人の男を目撃する。しかし、男湯に戻ったコナンは足を滑らせ転倒してしまい、気絶した全裸のコナンを車に乗せたのは、裏世界で「伝説の殺し屋」とされるコンドウと「アドリブのタツ」として知られる入れ墨の男・タツであった。とある任務を銭湯で遂行しようとしていたコンドウとタツは、不信を抱いたコナンを連れ去ったのだ。しかも、コナンは目を覚ますと記憶喪失になってしまっていた。杯戸町の廃倉庫で「鍵屋のマル」と待機していると、拳銃を持った「詐欺師のナナ」が合流する。しかし、ナナは用済みとなったタツとマルを始末して、コナンとコンドウを真のアジトに連れて行く。このアジトは「天才ハッカーのM」の監視カメラで厳重に管理されていた。その頃、毛利探偵事務所では水嶋香苗という美女が浮気調査の依頼に訪れていた。元便利屋だという夫の仕事場へ灰原と向かう小五郎が夫の写真を見ると、そこにはあのコンドウの姿があった。一方、灰原は車に乗り込もうとするナナを目撃したことで、小五郎らと別れ阿笠博士と合流し、博士のビートルで尾行を開始する。しかし、突然トレーラーが出現してビートルを潰そうと迫ってきた事により、灰原は崖下に転落して、阿笠博士は捕らえられてしまう。次の日、コナンは横浜赤レンガ倉庫で解放される手筈となったが、犯人グループには何やら思惑がある様子で、コナンも真相に辿り着き、パーキングエリアで善良な人物だと悟ったコンドウに、自分の記憶喪失は演技であること、黒幕の正体はタツであることを聞かせる。すべてを悟ったコンドウは、銃を携帯して犯人グループの屋敷に向かうが、ナナによって捕らえられてしまう。レインボーブリッジに着いたコンドウは、そこで、来日中のニホリカ国の女王と子息が乗った車に、爆弾が積まれたトレーラーごと自爆するように迫られる。そして、アジトへ助けに行ったコナン自身もまた、監視役のMに捕らえられてしまう。一方、小五郎も蘭を引き連れて犯人のアジトに向かっていた。そして、銃を突きつけたMを一瞬で倒した蘭はコナンらを救出することに成功する。マンションの一室では、早苗を拘束したタツがコンドウに真相を語り始めていた。タツは、マンションの隠し部屋に侵入してニホリカ国の王女と子息を狙う依頼を、コンドウの代わりに引き受けたことを暴露する。タツが勝ち誇った瞬間、部屋に警察が突入してきた。驚愕するタツと話していた電話の主は、変声機でコンドウの声を借りたコナンだったのだ。事件の解決後、コナンにお礼を言われて赤面する灰原の後ろで、阿笠博士は、お風呂が壊れていたことを忘れて入浴姿のまま立ち尽くしていた。(ウィキより)

 

主役はコナン君だけど、今回は誘拐されてしまうので、代わりに活躍するのは灰原さんという珍しい設定です コナン救出のため、阿笠博士と車で追跡中に車外に放り出されるなど、身体を張ったアクションシーンも といっても、コナン君、記憶はちゃんとあって、事件解決のために「普通の男の子」のふりしてるだけだったという 蘭姉ちゃんの出番は監視役を一撃で倒す蹴りのシーンに集約されるかなちなみに新一の出番はありませんでした。


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風の電話

2020年11月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年1月24日公開 139分

17歳の高校生ハル(モトーラ世理奈)は、東日本大震災で家族を失い、広島に住む伯母、広子(渡辺真起子)の家に身を寄せている。心に深い傷を抱えながらも、常に寄り添ってくれる広子のおかげで、日常を過ごすことができたハルだったが、ある日、学校から帰ると広子が部屋で倒れていた。自分の周りの人が全ていなくなる不安に駆られたハルは、あの日以来、一度も帰っていない故郷の大槌町へ向かう。広島から岩手までの長い旅の途中、彼女の目にはどんな景色が映っていくのだろうか―。憔悴して道端に倒れていたところを助けてくれた公平(三浦友和)、今も福島に暮らし被災した時の話を聞かせてくれた今田(西田敏行)。様々な人と出会い、食事をふるまわれ、抱きしめられ、「生きろ」と励まされるハル。道中で出会った福島の元原発作業員の森尾(西島秀俊)と共に旅は続いていき…。そして、ハルは導かれるように、故郷にある<風の電話>へと歩みを進める。家族と「もう一度、話したい」その想いを胸に―。(公式HPより)

 

震災で家族を失った少女の再生の旅を描いた人間ドラマです。今は亡き大切な人と思いを繋ぐ電話として、岩手県大槌町に実在する「風の電話」がモチーフになっているため、タイトルもずばり「風の電話」なのですが、登場するのはラストシーンだけ。勝手にその電話にまつわる複数の登場人物の話かと思っていたので、ちょっと拍子抜けでした。

ハルが出会う人たちは、彼女同様、過去の災害で心に傷を抱えていました。だからこそ、ハルを問い詰めたりせずにそっと包み込んでくれたのかなぁ。正直、倒れて意識のない叔母を置いて飛び出してしまったハルの気持ちには寄り添えなかった自分がいます。彼女のような壮絶な喪失体験がない者の想像力の不足なのかもしれません。でも、ヒッチハイクをしたり、夜のベンチで一人でいたり、襲ってくださいと言わんばかりの自暴自棄にも見える行動には、どうしても嫌悪感を覚えてしまったのです。

最初に出会った公平さんは、家に連れ帰って食事をさせてくれました。彼は豪雨被害にあった広島で年老いた母と暮らしています。ヒッチハイクで乗せてくれた姉弟は食堂でハルに食事を奢ってくれました。臨月の姉の胎動に触れたハルは「生」の躍動を感じ取ります。降り際、5000円を渡され家に帰るよう言われますが、ハルは旅を続けます。男たちに絡まれているハルを助けてくれた森尾は車で旅をしていました。埼玉で出会ったのは、不法移民として収監されている男の家族や仲間たちです。何も悪いことはしていないのにどうして?と嘆く彼らですが、二人をとても温かくもてなしてくれました。森尾はハルを連れて福島の自宅に向かいます。彼もまた、震災の時に妻子が行方不明になったままでした。福島では、今田から、震災時の避難生活のことや、かつての穏やかだった暮らしの話を聞きます。彼らとの出会いを通して、ハルは少しずつ「光」を取り戻していくのです。

森尾は大槌までハルを送ります。懐かしい、でも変わってしまった故郷で、ハルは仲良しだった友だちのお母さんに出会います。共に避難する中で手を放してしまった二人。ハルは生き残り友達は・・・「私が手を放さなかったら」と詫びるハルを友達のお母さんは泣きながら抱きしめます。

森尾から帰りの汽車賃を渡され、駅のホームで電車を待つハルに、一人の少年が声をかけてきたことで「風の電話」の存在を知ったハルは、少年とその場所に向かいます。少年もまた事故で亡くした父親と話をしたいと母に黙って出てきたのでした。

ハルが少年に「お母さんが心配してるだろうから」と連絡を入れさせるシーンが出て来ますが、彼女の心が他人に寄り添えるようになったことが示される印象的なエピソードでした。

「風の電話」はもちろん、死者と本当に繋がるわけではないけれど、電話を通して亡き愛する人たちと会話(口に出して気持ちを伝える)するという一種の儀式を通して、自らの心(気持ち)もまた「生」に向かうということなのかなぁ

ハルはいっぱい泣きますが、泣くという行為も、前に進むためには大事な過程なのだと感じました。彼女は震災後、叔母が倒れるまで、おそらくは泣くことすらできずに心を閉じ込めていたのではないかなぁ。叔母が倒れ、自分ひとりになってしまう不安が、彼女のリミットを外したのかも。


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ジャック&クロックハート 鳩時計の心臓をもつ少年

2020年11月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2013年製作 92分 フランス=ベルギー

1874年スコットランド・エジンバラ。この世で最も寒い日に生まれたジャックは、あまりの寒さで心臓の鼓動が停止してしまう。助産婦のマドレーヌは、彼の命を救うため心臓をハト時計と取り替える。母親はジャックをマドレーヌに託して失踪してしまい、ジャックはマドレーヌの手で育てられた。成長したジャックは、怒ったり、興奮したり恋をすることが許されなかった。なぜなら、3つの約束を守らなければハト時計の心臓が永遠に停止しジャックは死んでしまうのだ。そんなジャックが初めて街に出た日、少女のアカシアに一目ぼれをしてしまう…。

 

フランスのロックバンド「ディオニソス」のマティアス・マルジューのグラフィック小説を映画化した、 ティム・バートンの作品を彷彿させるダーク・ファンタジーです。ハリウッドなら絶対こういう展開にはならないだろうなと思ったのは結末。まさにダークでした 劇中の曲も彼らのアルバムから使われているようです。ファンタジーとロックという一見合わなそうな組み合わせですが、ダークな物語の雰囲気にはマッチしていました。

突っ込み処も満載ですが、それをいっちゃぁファンタジーにならないよ!でも言わずにいられない

町はずれの魔女と噂されるマドレーヌに出産を手伝ってもらおうと考える時点で、ジャックの母親はかなりのわけあり?案の定、産んだその夜に我が子を置いて失踪してしまうんですね。鳩時計の心臓を持つという特殊な条件を引いても、我が子を手放す理由について色々想像してしまいます。もちろん、本筋には全く関係ないのですが

マドレーヌの「患者」たちも超個性的、鉄筋の背骨を持つ男性とかね。脆い心臓を守るため、ジャックに3つのルールを厳しく教え込んだマドレーヌでしたが、10歳(11歳だったかな)の誕生日のお祝いに、初めて町に連れて行ってもらったジャックは、オルガンに合わせて歌う女の子に速攻で恋に落ちてしまいます。何とも早熟な

彼女が着ていた制服と同じ学校に入学したジャックは、ボス的存在のジョーから、女の子はミス・アカシアという名前で、つい最近町を出て行ったと教えられます。実はジョーも彼女に想いを寄せていたので、以後何年もジャックは虐められる生活を送ることになります。怒りを抑えていたジャックでしたが、遂に喧嘩になった時、鳩時計の針が飛び出してジョーの目を突き刺してしまいます。彼を殺したと思い込んだジャックは、マドレーヌから町を出るよう促され、汽車に乗ってフランス・パリへに辿り着き、奇術師兼映画技師のジョルジュ・メリエスに出会います。汽車の中で切り裂きジャックに追いかけられるシーンが突如出てくるのだけど、意味不明

メリエスはジャックの心臓のメンテとミス・アカシアの捜索に協力してくれることになり、彼女が(ジョーに)送った葉書にあった住所を頼りにスペイン・アンダルシアへ向かった二人は、遂にサーカスで歌手として舞台に立つつミス・アカシアを見つけます。

彼女には他に想い人がいると知り、ジャックは自分の気持ちを伝えられずにいましたが、徐々に話をする中、それがあの日エジンバラで会った彼自身のことだとわかります。強度の近眼の彼女は、出会った時に眼鏡をかけていなかったので、それがジャックだと気付いていなかったのね。メリエスの後押しもありジャックは告白、二人は急接近します。ジャックは彼女に心臓のネジを巻くカギを預けます。それって、命を預けるってこと。何だか次の展開が危ぶまれるなぁ・・・と思ったら案の定、隻眼のジョー登場!あら、死んでいなかったのね。

ジョーはミス・アカシアを得、ジャックに復讐しようと、彼女にジャックの心臓の秘密を明かします。ジャックの心臓が恋のため壊れることを恐れ、彼女はジャックを拒絶してジョーと共に去ります。おいおい!カギ返せよ!!

傷心のジャックは、心臓を直してもらうため、マドレーヌのところに戻ろうとしますが、実はマドレーヌはジャックを逃がした後、逮捕され刑務所に入れられ、そこで亡くなっていました。犯人隠避罪?他にも彼女には警察から疑われることがあったという設定らしい

一方、ミス・アカシアも自分がジャックのカギを預かっていたことに気付くと、急いでジャックを追いかけます。(すぐに気付けよ

やっと互いの気持ちを確かめ合った二人ですが、キスした直後時が止まり、ジャックは雪(星?)の粒を踏んで空へと上っていきます。そうだった!3つ目のルールを破ったのだから、彼の心臓は動きを止めてしまったのね。時計を直してくれるマドレーヌももはや存在しないのですから、当然の帰結ですが、ハリウッド映画なら、なんだかんだと理由をつけてハッピーエンドにしちゃうんだろうなぁ あ、それではダークじゃなくなっちゃうか


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ヱヴァンゲリヲン新劇場版「破」「Q](TV版)

2020年11月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年8月27日、28日 TV放送 

「破」:北極にあるネルフの基地・ベタニアベースで発掘された第3使徒をエヴァ仮設5号機で倒した真希波・マリ・イラストリアス。一方、日本には式波・アスカ・ラングレーとエヴァ2号機が到着し、第7使徒を撃滅した。そして第8使徒が衛星軌道上から飛来し、ネルフ本部を襲撃。3機のエヴァが連携する作戦でこれを迎え撃ち、孤立気味だったアスカも仲間の存在に目覚め始める。ところが、起動実験中のエヴァ3号機が第9使徒に乗っ取られてしまう事態に。迎撃に出たシンジは、その中に乗るのがアスカと知り戦慄する。ゲンドウは初号機の制御をダミーシステムに切り換え、3号機との戦闘を始めた。

「Q]:14年の歳月を経て目覚めたシンジは、ミサトら元ネルフ職員が新たなクルーを加えて結成した反ネルフ組織「ヴィレ」の戦艦AAAヴンダーにいた。初号機から発見されたのはシンジひとりで、綾波レイの姿はなかった。だが、シンジ奪還のため急襲を仕掛けてきたEVA Mark.09からレイの声を聞いたシンジは、ヴンダーを去りネルフへ。そこで出会った渚カヲルに導かれ、変わり果てた大地の姿を見たシンジは、レイを救出したことをきっかけに“ニア・サードインパクト”が起き、地球に甚大な被害を与えたことを知る。

 

新世紀エヴァンゲリオンのリメイク作で、全4編の予定で製作されていて、前編『序』はTVシリーズの第1話から第6話までを踏襲していましたが、中編『破』は既存のストーリーを元に新たな機体やキャラクターが登場し、後編『Q』では序・破の14年後の世界が舞台の新たな物語が展開されています。完結編の『シン・エヴァ』はコロナで公開延期となっていましたが、ようやく来年1月23日公開予定です。

1995年のTVシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」から四半世紀。アスカとミサトが好きで観てたっけな~~

シンジの内にこもった中二病丸出しな精神の弱さには今も昔もまるで共感できずにいるけど 

リメイクシリーズは最早別物として観ないとついていけない感ありです。 ここまできたら完結編も観るけど・・


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この世界の(さらにいくつもの)片隅に

2020年11月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2019年12月20日公開 168分

広島県呉に嫁いだすず(のん)は、夫・周作(細谷佳正)とその家族に囲まれて、新たな生活を始める。昭和19年、日本が戦争のただ中にあった頃だ。戦況が悪化し、生活は困難を極めるが、すずは工夫を重ね日々の暮らしを紡いでいく。
ある日、迷い込んだ遊郭でリン(岩井七世)と出会う。境遇は異なるが呉で初めて出会った同世代の女性に心通わせていくすず。しかしその中で、夫・周作とリンとのつながりに気づいてしまう。だがすずは、それをそっと胸にしまい込む……。
昭和20年3月、軍港のあった呉は大規模な空襲に見舞われる。その日から空襲はたび重なり、すずも大切なものを失ってしまう。 そして、昭和20年の夏がやってくる――。(公式HPより)

 

こうの史代の同名漫画をアニメ映画化した「この世界の片隅に」に、新たなシーンを追加した長尺版です。

前作は劇場で観たけれど、こちらはレンタルで鑑賞です。

本筋は前作と変わらないものの、今作ではリンにも焦点が当てられ、周作との関係や生い立ちも説明されていました。

リンと周作の出会いは、会社の人に連れられて初めて行った遊郭。そこで出会ったリンに一目惚れし、その生い立ちに同情した彼が、身請け金を払って救い出したいと願いますが、家族に反対されます。諦める代わりに出した条件がすずとの縁談だったんです。何故すず?という理由も、冒頭ですずが妹に物語ったエピソードに繋がっています。

義父母の会話を耳にして「真実」を知ったすずの胸中についても、丁寧に綴られていきます。リンさんに対する友情と、本当なら彼女が自分の立ち位置にいたかもしれないという罪悪感と嫉妬。相反する感情に苛まれながらも、表向きは何も知らない風を装わなくてはならないジレンマ。おっとりしてトロそうなすずの中にもまた女の感情が湧きたっていました。

リンとすずの出会いについても、前作でチラッと触れられていましたが、更に数カット加わり、リンが遊郭に売られる前に逃げ出して、すずの祖母の家の屋根裏に隠れていたことが明かされています。

また、リンを訪ねて行った遊郭で、風邪を引いて熱のあるテル(花澤香菜)のために、彼女が夢見た「南国」を描くシーンも印象的でした。

テルはその後肺炎になり他界します。(初めは結核の設定かと思ったその原因が客との心中未遂というのもけっこうキツイ設定だけど。)

リンとの再会は花見に出かけた時。リンと周作が穏やかに挨拶を交わし通り過ぎる場面で、彼らの間ではもう「過去」であることを示しているように思えました。

リンの存在を前作で大幅に割愛したのは、テーマが分散するのを避けたかったから?それでもところどころに散りばめられていた伏線で「想像」していたあれこれが、今回の追加で確かな形になって届いた気がします。

広島で、母を亡くした少女を連れ帰るエピソードでは、前作ではほんの1カットだったような気がしますが、今回はかなり衝撃的な連続シーンとなっていました。声高に叫ばなくても、一面の焼け野原のあの映像だけでも十分に戦争の悲惨さは伝わりました。

連れ帰った少女がきっと北條家の皆にとって希望となっていくような気がするラストです。

やっぱり「のん」の声はすずにぴったりですね


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his

2020年11月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年1月24日公開 127分

春休みに江の島を訪れた男子高校生・井川迅(宮沢氷魚)と、湘南で高校に通う日比野渚(藤原季節)。二人の間に芽生えた友情は、やがて愛へと発展し、お互いの気持ちを確かめ合っていく。しかし、迅の大学卒業を控えた頃、渚は「一緒にいても将来が見えない」と突如別れを告げる。出会いから13年後、迅は周囲にゲイだと知られることを恐れ、ひっそりと一人で田舎暮らしを送っていた。そこに、6歳の娘・空(外村 紗玖良)を連れた渚が突然現れる。「しばらくの間、居候させて欲しい」と言う渚に戸惑いを隠せない迅だったが、いつしか空も懐き、周囲の人々も三人を受け入れていく。そんな中、渚は妻・玲奈(松本若菜)との間で離婚と親権の協議をしていることを迅に打ち明ける。ある日、玲奈が空を東京に連れて戻してしまう。落ち込む渚に対して、迅は「渚と空ちゃんと三人で一緒に暮らしたい」と気持ちを伝える。しかし、離婚調停が進んでいく中で、迅たちは、玲奈の弁護士や裁判官から心ない言葉を浴びせられ、自分たちを取り巻く環境に改めて向き合うことになっていく――。(公式HPより)

 

友情が愛情へと変化していくなかで自身のセクシャリティに揺れ動く二人の男子高校生を描いたドラマ「his〜恋するつもりなんてなかった〜」を前日譚に、大人になった二人が周囲と関わりながら自分たちの生き方を模索していくストーリーですが、ドラマ未見です  

大学卒業を前にして、渚に別れを告げられてからずっと孤独に生きてきた迅の前に、突然娘を連れて現れた渚。ゲイであることを周囲に隠し、友人も作らず田舎で孤独な生活を送ってきた迅は、動揺します。愛した男が結婚し子供まで作ってたら、そりゃショックよね。 でも人懐こい空ちゃんが二人の間の溝をいつしか埋めていき、周囲の人たち、緒方(鈴木 慶一)・吉村(根岸 季衣)・美里(松本 穂香)も3人を受け入れていきます。美里は迅に好意を持っているのですが、迅は断っちゃうんですね~。ま、そうなるよね

渚は妻と娘の親権を争っていることを明かし、迅への思いを告白します。実は渚は就職が決まった迅の将来を思って身を引いたようです。

田舎=偏見が強いと思うのは逆差別 空が「パパと迅君がキスしてた」と無邪気に放った言葉にも拒絶することなく大らかです。

法廷で娘の親権を争う様子は、かなり過酷なバトル模様です。妻側の水野弁護士(堀部 圭亮)も、渚側の桜井弁護士(戸田恵子)も、容赦なく相手の隙を付いて舌戦を繰り広げます。ある意味殺人事件より迫力あるんじゃないかと思うほどでした 水野の主張する、子供は母親と暮らすのが自然だとか、ゲイカップルを認めない頭の固さは定型的過ぎる気もしますが、法廷闘争の手段の一つなのでしょう。桜井もまた、妻が娘のことを何も知らないと容赦なく糾弾します。当事者の肩越しのバトルが続く中、渚が出した答えは、少し意外でした。でもそこに至ったのは空ちゃんがお父さんに話した素直な気持ちと言葉からです。「ごめんね」を素直に言うことの難しさは大人になって身に沁みていますが、それでもその一言が相手の心を動かす強い力になるのだと改めて気付かされました。

ラストシーンの、玲奈が迅にこっそり打ち明ける「私、自転車が乗れない」というセリフは、空ちゃんに自転車を教える渚と玲奈、それぞれのシーンが伏線となっていて、4人の関係が穏やかに良い方向に変わったことを示唆していました。


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私のちいさなお葬式

2020年11月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2019年12月6日公開 ロシア 100分 G

村にひとつしかない学校で教職をまっとうし、定年後は慎ましい年金暮らしを送っている73歳のエレーナ(マリーナ・ネヨーロワ)が、病院で突然の余命宣告を受けた。5年に1度しか顔を見せないひとり息子オレク(エヴゲーニー・ミローノフ)を心から愛しているエレーナは、都会で仕事に大忙しの彼に迷惑をかけまいとひとりぼっちでお葬式の準備を開始する。まずは埋葬許可証を得ようとバスで戸籍登録所を訪れるが、中年の女性職員に「死亡診断書がなければ駄目です」と素っ気なく告げられ、元教え子のセルゲイが勤める遺体安置所へ。「息子は忙しすぎて、葬儀だのお通夜だの手配できないわ。私はただ、いいお葬式にしたいだけなの」そう事情を説明してセルゲイにこっそり死亡診断書を交付してもらったエレーナは、戸籍登録所での手続きを済ませたのち、葬儀屋で真っ赤な棺を購入する。
 翌日、ふたりの墓掘り人を引き連れて森の墓地に出向いたエレーナは、そこに眠る夫の隣に自らの埋葬場所を確保する。隣人のリューダに秘密のお葬式計画を知られたのは誤算だったが、すぐさまエレーナの心情を察したリューダは、ふたりの友人とともにお通夜で振る舞う料理の準備まで手伝ってくれた。リューダらが去った後、生前の夫との思い出の曲をかけながら死化粧を施す。
 かくしてすべての段取りを整え終えたエレーナの“完璧なお葬式計画”は想定外の事態へと転がり出すのだった……。(公式HPより)

 

突然の余命宣告を受けた73歳の女性が自身のお葬式計画に奮闘する姿を描いたロシア映画です。いわゆる終活ものですが、そこには悲壮感のかけらもありません。

遅くに授かった息子を溺愛しているエレーナは、彼の迷惑にならないようにとお葬式の準備を始めます。文学をこよなく愛し、聡明なエレーナには全く悲壮感がありません。自ら役所や遺体安置所に出向き、棺桶を台車に乗せて自宅に持ち帰ってくる姿はユーモアとバイタリティに満ちあふれています。客観的にみたら滑稽に見える彼女の奮闘ぶりですが、本人は至って真剣なんですね セルゲイやリューダが敢えて協力したのは、エレーナを恩師として、友として心から愛していたからに他なりません。地元で長年暮らし、住民に愛されている彼女の人柄が透けてみえます。

物語の冒頭で登場する「鯉」が騒動に一役買っています。元教え子に半ば押し付けられたこの鯉、とってもしぶといんです。叩きつけられようが、冷凍されようが、不死身なんだから しまいに心配して駆けつけたオレクの車のキーを飲み込んでしまいます。

エレーナはこの鯉をペットのように可愛がっていたので、オレクが腹を裂こうとするのに猛反対。スパイスを使って排便させようとするなど、コミカルな描写もふんだんに盛り込まれています。

オレクが鯉を逃がしたのは、仕事を言い訳に母親と向き合ってこなかったことを後悔して母親のそばにいることを選んだのだと思ったのですが、ラストのシーンはどう解釈するのが正解なのかしら?エレーナは永眠したのか?それともただ眠っているだけなのか? タフな彼女の事ですから、そう簡単に逝ってしまったわけではないと思いたいですね。

オレクは昔付き合っていたナターシャとの交際をエレーナに反対された過去があり、未だに引きずっているため独身のよう。再会した二人をまたしても引き離すエレーナの姿はまさに母のエゴに見えます。このエピソードはごく短いものでしたが、オレクが村に残るのであれば、二人の行く末も気になるところではあります

気になるといえば、劇中で流れるザ・ピーナッツの「恋のバカンス」のロシア語カバー・バージョンも印象的。ロシアで世代を超えて広く愛されているんだそうな。まさか恋と鯉を掛けているんじゃなかろうな?


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0.5ミリ

2020年11月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年11月8日公開 196分 G

介護ヘルパーの山岸サワ(安藤サクラ)は、派遣先の家族から「冥土の土産におじいちゃんと寝てほしい」との依頼を受ける。しかしその当日、サワはある事件に巻き込まれ、家も金も仕事も全てを失ってしまう。人生の崖っぷちに立たされたサワは、訳ありの老人を見つけては介護を買って出る、押しかけヘルパーとして生きていくことになる。(映画.comより)

 

奥田瑛二の長女で映画監督の安藤桃子が、実妹サクラを主演に姉妹タッグを組んだ作品です。自身の介護経験から着想を得て書き下ろした小説を映画化した人間ドラマとなっています。三時間超えの長編とは知らずに観始めましたが、どんどんサワの人間性に引き込まれていきました。

派遣先の片岡家で、寝たきり老人昭三(織本順吉)の身体介助を担当していたサワは、昭三の娘雪子(木内みどり)から出された別料金の依頼を、お金欲しさに引き受けます。雪子が用意した赤いワンピースを着て添い寝を始めたサワですが、猛然と迫る昭三に耐え兼ねてて思わず突き飛ばすと、衝撃でストーブが倒れて火事に。昭三を引きずって部屋から出て助けを求めに階下へ降りたサワが見たのは、雪子の息子マコト(土屋希望)が呆然と立ち尽くす傍で首を吊って死んでいる雪子の姿でした。・・・っていきなりハードな展開

この件で、仕事をクビになり、寮も追い出されたサワに追い打ちをかける出来事が!電車の中に全財産を入れた上着を置き忘れ、無一文になってしまったのね ところが、ここからが彼女の本領発揮です。

カラオケ屋をホテルと勘違いして宿泊しようとしていた老人康夫(井上竜夫)を見かけたサワは、強引に一緒に部屋に入ると、あっという間に康夫やの心を掴んで朝まで楽しく過ごします。介護ヘルパーという職業柄、老人の扱いは手慣れたものですもんね。妻に先立たれ遺産を狙う息子夫婦と暮らす孤独な老人の康夫にとって、サワとの出会いは束の間の憩いだったのでしょう、別れ際にサワに一万円を渡します。彼が小金を持っていることに気付いているサワですが、寝ている隙に持ち逃げしようとかは全く思っていなかったんですね このエピソードでサワの人間性が少し見えてきます。

次にサワは、スーパーの駐車場で憂さ晴らしに買物客の自転車をパンクさせていた老人茂(坂田利夫)と出会います。誰にも言わないからと脅し、一人暮らしの茂の家に上がり込んで強引に一緒に暮らし始めたサワ。料理はもちろん家事全般を完璧にこなすサワに徐々に心を許していく茂。彼もまた娘夫婦から邪険に扱われている孤独な老人なんですね。知人の斉藤(ベンガル)から怪しげな投資の話を持ち掛けられている現場を見たサワは、詐欺を疑い確認の電話を入れると、相手がヤクザだとわかります。乗り込んできた斉藤に妻だと嘘をついて撃退するサワ。あっぱれですショックを受けた茂は突然「家に帰る」と言い出し、自慢の愛車にサワを乗せ向かった先は高級老人ホームでした。タンス貯金の一千万円で手続きしていたのね サワに愛車を譲り、ありがとうと言ってホームに入って行く茂を見送るサワがちょっと寂しそう

あてどなく辿り着いたショッピングセンターで、ベンチで時間を潰す老人真壁義男(津川雅彦)を見て好奇心から後をつけたサワは、本屋でエロ写真集を万引きしようとする義男を捕まえ、家に連れていってと脅します。(茂の時もでしたが、老人の首根っこを摑まえるのが上手いなぁと変なところで感心してしまいました)義男は広い一軒家に寝たきりの妻静江(草笛光子)と二人で暮らしていました。サワは早速家政婦の浜田(角替和枝)と仲良くなって交代で静江の介護にあたることを勝手に決めてしまいます。近所にエロ本を盗もうとしたことをバレされそうになり、渋々サワを家に置いた義男ですが、料理上手で若く色気のあるサワに徐々に惹かれていきます。風呂場でサワの裸を盗み見して興奮するなんぞは老人でも男は男ってことね。 でも、サワの株が上がるにつれ仕事を奪われて不満が募った浜田が、遺産目当じゃないかと姪の久子(浅田美代子)に告げ口したことで居づらくなります。

駄菓子屋で万引きをしていたマコトと再会したサワは、雪子の別れた夫で父親の健(柄本明)の家に転がり込みます。飲んだくれでスケベな健にうんざりしながら、マコトとは程よい距離感で心を通わせるようになります。息子が話そうとせず本ばかり読んでいるのが気に入らなかった健は、ある日泥酔してマコトに暴力を振るい、無理やり伸ばした髪を切ろうとします。それを見て激昂したサワは、健を殴り倒して逃げ出したマコトを追いかけます。これまでの老人たちと比べ、健には同情すべき点が見当たらないですねぇ

マコトに追いついたサワは、マコトの足元を流れ出た月経の血が足をつたってスニーカーを赤く染めているのに気づき、マコトが女だと知ります。彼女が言葉を失ったのは、幼い頃から母に男として育てられ心を閉ざした結果だったんですね。その夜ホテルに泊まった二人。翌朝、サワは雪子から貰ったワンピースをマコトに返します。その時、車のトランクの裏に貼り付けられていた茂からの餞別の100万円が入った封筒を見つけます。母のワンピースを胸に涙するマコトと大金に嬉し泣きするサワ。涙は一緒でも意味がだいぶ違いますね

サワは自分には子宮がないのだとマコトに打ち明け、マコトは男の恰好をするのをやめ、健に別れを告げて別の町へと旅立つ二人。

これから二人で生きていくのかな~~

サワはかなり強引に老人たちの家(生活)に踏み込んでいきますが、お金を盗んだり悪いことをしているわけではなく、むしろ老人たちは彼女と出会ったことで人生に再び希望を見出しています。

サワが作る料理もどれも美味しそうで、やっぱ、「食」って大事だよな~と考えさせられるところもありました。


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真夜中の五分前

2020年11月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年12月27日公開 日本=中国 129分 G

時計修理工の青年リョウ(三浦春馬)は、知りあったばかりの美女ルオラン(リウ・シーシー)から、彼女の双子の妹ルーメイ(リウ・シーシー)への婚約祝いのプレゼント選びを手伝って欲しいと頼まれる。魅力的なルオランにひかれるリョウだったが、ルオランはルーメイの婚約者ティエルン(ジョセフ・チャン)を愛しており、大切な妹への嫉妬心に悩んでいた。リョウはそんなルオランの気持ちを優しく受けとめることで少しずつ彼女との距離を縮めていくが、ルオランとルーメイが旅先で事故に遭ってしまう。(映画.comより)

 

行定勲監督が、本多孝好の小説を映画化した日中合作の恋愛ミステリーです。

姉妹は外見も服の好みも一緒。双子だからとはいえ、当事者には悩みもあるはずよねぇ…と思ったらやっぱりな展開に。

ルーメイは女優として活躍していますが、最初に女優を志したのはルオランで、ティエンルンとルーメイの婚約も、初めに知り合ったのはルオランでした。自分の大事なものを妹が奪っていくとルオランはリョウに双子ならではの辛さを打ち明けます。

あるときルーメイと喧嘩して飛び出したルオランはリョウの家に身を寄せます。部屋の時計が5分遅れていることに気付いた彼女が理由を尋ねると、リョウは「世界の時間に追いつく五分間を楽しみたいから」と答え、その後二人はささやかなデートを楽しみます。リョウは彼女に5分遅れの腕時計を贈るの。このままハッピーエンド・・になるはずもなく

ある日、ルーメイと間違えられファンに囲まれたルオランを、通りかかったティエンルンがルーメイだと思って助けます。彼が自分と妹とを見分けられないことに気づきながら、ルオランは妹のふりを続けました。妹との婚約で彼のことを諦めた筈のルオランですが、この時彼女の中にある強い願いが生まれたのでしょうか。

突然姉妹で旅行に出かけますが、旅先で事故に遭ってルオランは亡くなり、ルーメイは怪我を負います。病院で目覚めた彼女が握ったのは婚約者の手でした。つまり生き残ったのはルーメイということになるのね。

2人は結婚しますが、やがてティエンルンは本当にルーメイなのかと疑うようになります。彼はリョウに連絡を取って、彼女がルオランではないか確認を求めるのですが、リョウもまた確信が持てません。双子同士での思い出の共有が強すぎたため、ルーメイ自身、自分が誰なのかわからなくなっていたことが混乱に拍車をかけていき、やがて2人は離婚します。

ルーメイとリョウは、ルオランの時のように徐々に近しくなっていきます。ある日、時計屋の老主人の持つ詩集の「お前はお前のままであろうと務めよ」という一文を読んだルーメイは、ルオランと旅した教会を訪れ、そこでリョウの時計を見つけ、ロザリオを交換します。
実はルオランは、リョウから贈られた腕時計と祭壇に置かれていたロザリオを交換し、そのロザリオをルーランに渡していたのです。

突然ルーメイがいなくなり途方に暮れていた良は、ある晩何かの気配に気づき時計を見ると23:55(真夜中の五分前)つまり丁度翌日ですね。ルオランに贈った時計が戻されているのを見つけて急いで外に出たリョウの前には一人の女性が。ふと時計を見ると5分の遅れは直されています。見つめ合う二人・・・さて、彼女はルオランなのかルーメイなのか。解釈は観客にお任せなラストでした。

全体的にゆったりとした時間が流れ、美しく抒情的な作品ですが、正直こういうもやっとする結末、好きじゃないんだよな~~

個人的にはルオランだと思うんだけど・・・泳げなかったしなぁ 亡くなったルオランの想いがルーランに乗り移った的な?


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Fukushima 50

2020年11月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年3月6日公開 122分 G

マグニチュード9.0、最大震度7という巨大地震が起こした想定外の大津波が、福島第一原子力発電所(イチエフ)を襲う。浸水により全電源を喪失したイチエフは、原子炉を冷やせない状況に陥った。このままではメルトダウンにより想像を絶する被害をもたらす。1・2号機当直長の伊崎(佐藤浩市)ら現場作業員は、原発内に残り原子炉の制御に奔走する。全体指揮を執る吉田所長(渡辺謙)は部下たちを鼓舞しながらも、状況を把握しきれていない本店や官邸からの指示に怒りをあらわにする。しかし、現場の奮闘もむなしく事態は悪化の一途をたどり、近隣の人々は避難を余儀なくされてしまう。
官邸は、最悪の場合、被害範囲は東京を含む半径250㎞、その対象人口は約5,000万人にのぼると試算。それは東日本の壊滅を意味していた。
残された方法は“ベント”。いまだ世界で実施されたことのないこの手段は、作業員たちが体一つで原子炉内に突入し行う手作業。外部と遮断され何の情報もない中、ついに作戦は始まった。皆、避難所に残した家族を心配しながら―(公式HPより)

 

2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマです。原作は門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」(角川文庫刊)

大津波に飲み込まれ、全電源を喪失したイチエフの中で、必死に被害を防ごうと奔走する現場の人々の話です。震災から10年近い歳月が経ち、やっと映画として客観的に描くことが許される状況が生まれたってことかな。当事者にとっては辛い記憶が蘇る話かもしれないけれど。

メインの舞台となる1・2号機中央制御室(中操)と、緊急時対策室(緊対)のセットは細部までリアリティが追求され、当時の状況さながらに中操は基本的に薄暗い状態で映し出されます。ベントに向かう運転員たちの重装備や「緊急時も走らず早足で」と行動もリアリティが追求されたそう。1号機原子炉建屋が爆発する中、運転員たちが防護マスクを探して右往左往し、天井の板や蛍光灯が落下してくる状況も真に迫っていました。

本社からの無謀な指令に声を荒げる所長の姿を通して現場と本社の温度の違いがまざまざと伝わってきます。所長を演じた渡辺謙は背中の曲がり方や首の動きに至るまで吉田所長の所作そっくりで、本人が乗り移ったかのようと評されています。本社と現場の板挟みで無為に過ぎる時間を前に、掌からこぼれていく砂のような無力感と焦燥感が伝わって、それでも出来る精一杯のことをしようと一丸となって取り組む現場の人たちに頭が下がる思いでした。

後に世間の非難を浴びた総理(佐野史郎)の状況視察も、その意図がどうかは別として、確かに現場の足かせになったように感じました。もしあの時、現場に判断を任せていたら、被害はもっと少なかったのか?たらればは所詮言い訳にしかならないけれど、やっぱり考えてしまうなぁ。

要人輸送ヘリ“スーパーピューマ”は陸自が協力しています。またトモダチ作戦のシーンをアメリカ軍の協力を得て在日アメリカ軍横田基地で撮影、基地内で勤務する兵士もエキストラとして参加するするなど、原発の描写以外も徹底してリアリティにこだわったそう。

まだ、処理は終わっていないし、故郷に永遠に戻れない人たちも大勢いる事実はとても重いです。

原発という人の手に余るエネルギーをそれでもまだコントロールできると思うなら、それはあまりにも傲慢な考えだと思ってしまいます。

けれど、電気のある生活は享受したいというエゴもまた確かに自分の中にあるのです。 


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水上のフライト

2020年11月05日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2020年11月5日 18時半~ 試写会 (イオンシネマ)

2020年11月13日公開予定 106分 G

自分の実力に絶対の自信を持つ高慢な遥(中条あやみ)は、走高跳で世界を目指し、有望スポーツ選手として活躍していた。だがある日、不慮の事故に合い、命は助かったものの二度と歩くことができなくなってしまう。将来の夢を絶たれた遥は、心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えられパラカヌーという新たな夢を見つける―。きらめく水面を背景に、母の愛、淡い恋心、恩師との約束・・・そして、大切な人の想いを乗せて、どん底から道を切り開いていく。(公式HPより)

 

不慮の事故で走り高跳び選手としての夢を絶たれた女性が、パラカヌーとの出会いを通して希望を取り戻していく姿を、中条あやみ主演で描いたヒューマンドラマです。「超高速!参勤交代」シリーズの脚本家・土橋章宏が、実在のパラカヌー日本代表選手・瀬立モニカとの交流に着想を得て執筆したそうな。

シネコンでの映画鑑賞はコロナ以後二回目。試写会となると数年ぶりでした。

以前はチケット引き換えブースに並んで葉書と交換だった(いつの話だ!)けれど、今は当選メール画面を見せて普通にチケット売り場で引き換え。しかもイオンシネマは間引販売継続中なので、観客は席数の半分。これって当選確率かなり低かったのかしら

暫く行かなかったら、席の椅子も新しくなっていたみたい。前の席に傘立てや荷物ホールドついてた

さて、作品に戻って。

事故(始まって早々に車に跳ね飛ばされるシーンが出てきますが、これがけっこう激しい衝突で驚きました。あの状態なら即死じゃないかしら)に遭う前の遥の傲慢にも見える高飛車な態度に最初は引いてしまったけれど(表情もキツイ感じ)、カヌーを始めてどんどん変わっていきます。周囲への感謝の気持ちが芽生えていくにつれて表情も柔和になっていって、好感度UP。

記者の質問への返答や、後輩のみちる(高月彩良)への態度など、けっこうむかつきました そもそも、遥は好きなことに全力でぶつかっていって、努力を惜しまないキャラなんですね。他人に厳しいけど、自分にはもっと厳しい

でも、事故後、遥を支えてくれる人たちとの出会いで、自分だけで生きているわけじゃないことに気付かされるんですね。、コーチの宮本(小澤征悦)は亡くなった父親の親友で、遥も子供の頃にカヌーの経験があるという設定で、自分の殻に閉じこもってしまった娘を心配した母(大塚寧々)が宮本に外の世界に連れ出して欲しいと頼んだことから、彼女の第二のスタートとなります。

宮本が教える子供たちはそれぞれ家庭に恵まれなかったり問題を抱えていたりなのですが、その詳細は描かれていません。卒業生の颯太(杉野遥亮)の事情(両親が離婚しどちらも引き取らなかったため祖父母に育てられた)も若干弱いけど・・主役じゃないからねぇ

カヌー教室で子供たちと接するうち、遥の頑なな態度に変化が生じてきます。パラカヌーを始めるという決意を固めた後の努力は、走り高跳びでオリンピックを目指しただけあって、半端ないものになっていました。とにかく彼女は自分の前に誰かがいることが嫌で、負けたくないのです

山場となるパラカヌー選手 朝比奈麗香(冨手麻妙)との対決シーンは200mという距離にしては、時間的に長く感じてしまったけれど、それなりにドキドキさせてくれます。勝敗は別として、この大会で遥は人間的にも一層の成長を遂げます。

走り高跳びで「空を飛ぶ」ことは出来なくなった遥ですが、カヌーで水上を軽やかに進む姿はまさに水の上(空)を飛んでいるかのように見えました。山中湖での合宿でのシーンが象徴的でした。(このシーンを美しく撮るため敢えて髪を結ばなかったのかな


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ヲタクに恋は難しい

2020年11月01日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年2月7日公開 114分 G

26歳OLの桃瀬成海(高畑充希)は、転職先の会社で、幼馴染の二藤宏嵩(山崎賢人)と再会する。ルックスが良く仕事もできる宏嵩は、実は廃人クラスの重度のゲームヲタク。そして成海もまた、マンガ・アニメ・BLをこよなく愛する隠れ腐女子であった。周りの人々にヲタクだとバレる「ヲタバレ」を何よりも恐れている成海はその本性を隠しており、真実の自分をさらけ出せるのはヲタク友達の宏嵩の前だけ。会社が終われば2人はいつもの居酒屋でヲタ話に花を咲かす。男を見る目がない事を嘆く成海に対して宏嵩は「ヲタク同士で付き合えば快適なのでは?」と交際を提案。こうして2人はお付き合いすることに。お互い充実したヲタクカップルライフを始めるはずだったが、時に恋愛とは我慢、妥協、歩み寄りが必要なもの。"恋愛不適合"な2人には、数々の試練や困難が待ち受けていた!(公式HPより)

 

隠れ腐女子のOLと重度のゲームオタク(ヲタク)の幼なじみが繰り広げる不器用な恋模様を描いたコミックの実写映画化です。

突然踊り出し歌いだすミュージカル風な展開に最初は戸惑いましたが、何しろ主演の2人が可愛くて、特に成海役の高畑充希がめちゃくちゃキュートではまりました 

腐女子の定義はよくわからないけれど、成海のファッションは好きピンクのスーツも、ロンスカも頭のリボンもぜ~~んぶ好み って、あれ?私も腐女子か セリフの中にゲームやアニメのキャラがポンポン出てきて、ヲタならずとも知ってる単語が登場すると俄然親近感がわきますね

コミカルでテンポ良く進む中、ぎこちない恋模様はヲタクであるなし関係なく、普通に見守り応援したくなりました。

なんでこんなに面白いの?と思ったら、監督は「勇者ヨシヒコ」「銀魂」シリーズの福田雄一だったのね~!妙に納得!!

ツンデレ上司な樺倉(斎藤工)と花子(菜々緒)のカップルの喧嘩は、罵り合いまでがヲタ。「お前のものは私のもの。私のものは私のものなんじゃい!」(花子)「ジャイアン殺すぞ!コラッ!!」(樺倉)には噴き出してしまいました。このシーンは原作者から、「思いっきり下品な言葉のやり取りで喧嘩してほしい」というリクエストがあったとかで、「ピー音」が数度が入っています。なんて言ったのかしらん

福田監督作品常連の佐藤二郎(成海の上司)やムロツヨシ(バーのマスター)ももちろん出演しています。

賀来賢人が演じる宏嵩の同僚・坂元のアイドルヲタク(ドルヲタ)っぷりも清々しいくらいの熱演でしたが、彼の熱弁を無表情で聞き流す宏嵩が最高にツボです。 ダンスは初心者だったという山崎君ですが、なかなかどうして達者なダンサーぶりで、こちらも楽しめました。あ、斎藤さんのタップも素敵だったな~。

決してプロ級とは言えないけれど、それぞれ歌も踊りも頑張っていて、見ているだけで楽しくなる作品でした。

 


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