杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

グッド・シェパード

2007年10月31日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年10月20日公開 アメリカ 167分

物語は1961年、キューバのカストロ政権転覆を目論んだピッグス湾侵攻作戦の失敗から始まる。CIA内部の情報漏れが原因とされ、指揮をとったエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は窮地に立たされる。彼の脳裏には、イェール大学在学中に秘密結社スカル&ボーンズに勧誘されて以来の諜報活動と、そのために犠牲にしてきたものの姿が浮かぶ。

映画の題名は、新約聖書ヨハネ福音書の「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」からの引用で、良い羊飼いたらんとした主人公を指している。

エドワードは6歳の時、父を自殺で亡くしている。彼の不幸は父の自殺を隠蔽したことから始まる。愛国心と亡き父の無念を晴らしたい思いが、彼を諜報員の道へ導いてしまったのだろうか。この時、父が家族へ宛てた遺書を隠さずに、あの時に読んでいれば、彼の人生は変わっていただろうか?

この主人公はとことん不器用な男で、それゆえ、自分の愛した女ローラ(タミー・ブランチャー)も、愛してくれた女マーガレット(アンジェリーナ・ジョリー)にも悲しみしか与えられない。エドワードの顔から次第に笑顔と快活さが姿を消し、寡黙=無口で無表情な没個性に変容していくさまを、マット・デイモンが好演している。レオがスケジュールが合わずに断った役だとも聞くが、(確かにレオならはまりそうな役だけど)マットは十分に期待に応えていると思う。

監督はロバート・デ・ニーロ。エドワードを諜報活動に引き込んだサリヴァン将軍を演じてもいる。米国の諜報機関CIAの誕生と冷戦期のスパイ活動を軸に、ヒーローやサクセスストーリーから離れ、エドワードの葛藤に満ちた半生を辿ることで、リアリティを出すことに成功している。

個人的な興味として、「シークレット・ウィンドウ」繋がりのジョン・タトゥーロがエドワードの腹心の部下役でかなりオイシイ役を演じている。淡々と拷問を実行するシーンなどは特にSWとオーバーラップを感じてしまった。
ティモシー・ハットンも出てたとエンドロールで知る。調べたら自殺した父親役でした。ちょっとしか出てこなかったから顔・・覚えてない(^^;
教授(二重スパイ)役でマイケル・ガンボンが。教授役が似合う人です。ダンブルドア校長~~~☆☆

秘密結社スカル&ボーンズはフリーメーソン?入会の儀式の異様性も宗教的儀式の流れを汲むと考えればちょっと納得かも。白人至上主義のこの会に属するエドワードにはそれ以外のマイノリティは米国の「観光客」扱いなのだ。

作戦失敗したエドワードのもとに送りつけられたテープの解析と並行して彼の軌跡を語る手法はさほど時系列の混乱を生じないけれど、老け役のメーキャップが下手なのか、年齢の見分けに混乱してしまった。息子(エディ・レッドメーン)は目の大きな神経質そうなキャラ。彼がしでかした過ちの代価は家族の崩壊だ。

確かだと思っていた相手に裏切られ、愛も家族すら犠牲にして彼が掴んだものは、彼自身を幸せにしてくれたのだろうか?と、最後まで無表情なエドワードの顔を見て思ったのでした。案外、一番の友は敵国のライバル、ユリシーズだったのかも。

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ディスタービア 試写会

2007年10月30日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年11月10日公開予定 アメリカ

試写会場:一ツ橋ホール

一年前、釣りの帰りに自動車事故に遇い、最愛の父を亡くしたケール(シャイア・ラブーフ)は、自暴自棄となる。その態度を教師に侮辱され思わず殴ってしまった彼は、裁判所から3ヶ月間の自宅軟禁処分を言い渡される。足首に半径30メートルを超えると警察に通報される監視システムを取り付けられた彼は、自宅で怠惰な生活を余儀なくされ、退屈しのぎに始めた近所の覗き見がやがてとんでもない事件に繋がっていく・・・。

会場はほぼ満席状態でした。

この映画、良くも悪くもアメリカ的。
そもそも、教師を一発殴って裁判沙汰も、足首に監視装置付きでの軟禁も日本では考えられない状況。性異常犯罪者ならともかく(^^;

殴られた教師の従兄弟が監視役の警官というのも変だし、そもそも教師・警官がメキシコ系らしいのもなんか引っかかるのよ。この警官はケールをいたぶってくれるので、因果応報的オチに使われます。この辺もアメリカ的。

隣に越してきた美人の同級生アシュリー(サラ・ローマー)を親友のロニー(アーロン・ヨー)と覗いてたのがばれて、逆に仲良くなった三人は、裏手に住むターナー(デヴィッド・モース)がある事件の容疑者であると疑い、そのことが大きな事件を引き起こすのですが、サスペンスと若干のホラー趣味と、トランスフォーマー的ハイテク機器(パソコンやビデオカメラなどを駆使した覗き)が混ざった後半へとスピードUPして、思わず手を握り締めてしまうかも。

父を亡くして落ち込んでる筈のケールなのに、家でゴロゴロ(軟禁されてるから仕方ないにしてもかなり怠惰)して、覗きを始めるあたりは、あまり同情を感じないけれど、三人で始めた探偵ごっこは他愛ない青春モノのようでもあり、これはこれで楽しい前半でしたが、後半は一気にサスペンスホラー色が高まり、ちょっとグロイシーンもあり。

ケールの親友役のロニーは韓国系アメリカ人の設定?ひょうきんな性格で観客の笑いを誘うキャラでした。

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モーツァルトとクジラ

2007年10月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年2月10日 アメリカ

ドナルド(ジョシュ・ハートネット)は、タクシー運転手の仕事を失敗して首になってばかり。本当は数学の天才で、仲間たちの良きリーダーでもあり信頼も厚いが、数字に執着するアスペルガー症候群患者だから。そんな彼がとびきり魅力的なイザベラ(ラダ・ミッチェル)に出会い恋に落ちる。彼女は美容師で、動物を可愛がり、絵や音楽の才能に秀でているが、言動はかなりエキセントリックな同病者だった。


自閉症の一種アスペルガー症候群のドナルドとイザベラ。数学や芸術に秀でた才能を持ちながらも、コミュニケーションがうまくとれない彼らは、適当な妥協や融通が効かずにすぐに衝突してしまうのです。

でも待てよ~恋に落ちるのは簡単だけど、続けるのは難しいのも、それに伴う不安も、別に病気じゃなくっても恋人たちは等しく感じることじゃないの?
そう思わせる自然さと直向さが伝わってくる映画でした。

確かに、彼らの「物事への拘り方」は、本当には理解も共感も出来ないかも。
目を合わせての会話が出来ない、咄嗟の物事への対処が出来ない、会話の本質を理解できず、文字通りに受け取ってしまうなどは社会生活においてはかなり不便で誤解を招くものだと思うし
冒頭のタクシー運転などは明らかに注意散漫で恐いもの

でもだからこそ、普通になりたいと思うドナルドの気持ちも、自分らしさを大切にしたいイジーの気持ちも切ないほどに伝わってくるのかも。

彼らの友人である仲間たちの個性もなかなか楽しく、互いの職場にも理解者がいて、こんな風な環境なら、きっと二人で暮らしていけると思えるのが嬉しかった

題名は二人がハロウィンにした仮装からとっています。
ラダ・ミッチェルが可愛い

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ボビー

2007年10月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年2月24日公開 アメリカ 120分

1968年6月5日未明、ボビーの愛称で親しまれたロバート・F・ケネディが銃弾に倒れる。この日、アンバサダーホテルに居合わせた様々な人たちをニュース映像と交えながら展開していく人間模様と共に描く・・・。


主な登場人物たちだけでも20人以上。
・ドアマン・ジョン(アンソニー・ホプキンス)とその元同僚ネルソン(ハリー・ベラフォンテ)はチェスをしながら昔話に花を咲かせている。

・如才ないホテルの支配人ポール(ウィリアム・H・メイシー )は電話交換手のアンジェラ(ヘザー・グラハム)と不倫中。 客の悩みに親身に耳を傾ける美容師ミリアム(シャロン・ストーン)がその妻。

・アル中のラウンジ歌手ヴァージニア(デミ・ムーア)とその夫ティム(エステヴェス)

・レストランでは差別主義者のマネージャーのティモンズ(クリスチャン・スレーター)へ不満を募らせるメキシコ系のホセ(フレディー・ロドリゲス)をアフリカ系副料理長のエドワード(ローレンス・フィッシュバーン)が穏やかになだめる。

・裕福な東海岸の夫婦は倦怠期の悩みを抱えている。夫ジャック役は監督の父であるマーティン・シーン。若い妻サマンサにヘレン・ハント

・徴兵召集区分を変えるための結婚(結婚していれば最前線であるベトナムには送られないため)を考えた若いカップル、ウィリアム(イライジャ・ウッド)とダイアン(リンジー・ローハン)

・珈琲ショップで働くスーザン(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)の夢は女優。

・選挙運動のスタッフ、ウェイド(ジョシュア・ジャクソン)とドウェイン(ニック・キャノン)

・チェコの女性記者

・怪しげなドラッグ・ディーラーはアシュトン・カッチャーからLSDを買ってトリップしている新米ボランティアの二人

人物関係を呑み込むのがちょっと大変だが、頭の中に相関図が出来てしまえば、後半はかなり楽です。


ロバート・F・ケネディが大統領選に立った当時のアメリカでは泥沼化のベトナム戦争を巡る論戦や、公民権運動の高揚が、世界的にもチェコ・プラハの自由闘争(だからチェコの女性記者が登場するのね)、フランスの5月革命といった改革の風が吹く一方で、キング牧師の暗殺といった暗い事件も起きていました。

アンバサダーホテルといえば、「ディズニーランド」が思い浮かんでしまうのだけど、1921年にロスのウィルシャー大通りに建てられたこのホテルは、1930~40年台にはアカデミー賞授賞式会場でもあり、映画「卒業」の撮影にも使われたそうです。

RFKが銃撃に倒れるシーンで流れるスピーチナレーションは奇しくも暴力終結を提唱した4月(死の2ヶ月前)の彼自身のスピーチが使われています。

「暴力は暴力を生み、抑圧は報復を生む
社会全体を浄化することによってしか私たちの心から病巣を取り除けない」

と訴えた彼を凶弾が襲うという皮肉な現実が辛い。

「黒人白人、男女、若者老人、有名無名、富者貧者」という別なく平等な社会の実現を目指した彼を撃った銃は、その言葉通りの無差別な一般人をも襲うのです。
まさにこの言葉を象徴する人物配置と描写だったのだと納得させられます。

撃たれたマネージャーに駆け寄り介抱する支配人(差別を理由に首にされたマネージャーが支配人の不倫をその妻に告げ口して喧嘩をした直後)。撃たれた妻に駆け寄り抱きしめる倦怠期を乗り越える兆しを掴んだ夫。徴兵逃れのペーパー結婚という名目ではなく、互いの愛を確認しあった若夫婦たち。幻覚でラリっていたけれど、根は気の良い新米ボランティアたちとスーザン・・

RFK以外は全員命をとりとめたという、その彼らの中に、和解や互いへの理解・愛を見ることが出来るラストは絶望の中に見出す希望のようでもあり、好きです。

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さくらん

2007年10月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年2月24日公開 111分

原作:安野モヨコ 、監督:蜷川実花

8歳で吉原遊郭の玉菊屋に連れて来られた少女・きよ葉は何度も脱走を図るがあえなく失敗。気位が高く、美しさと知性を兼ね備えた高級花魁の粧ひ(菅野美穂)は、そんなきよ葉に花魁としての生き方を教える。やがて17歳になったきよ葉(土屋アンナ)は、美貌と鼻っ柱の強さで一躍注目を集める売れっ子になるが、客の惣次郎(成宮寛貴)にマジ恋をして・・

一貫して自分の生き方を貫こうとするきよ葉の姿が極彩色の美しい映像のなかで潔いほど清清しい香りを放つ。演じる土屋アンナのキャラとぴったり合っているのも小気味良い。

粧ひ(菅野美穂)は凛とした品と誇りを、高尾(木村佳乃)は狂おしい愛憎の炎に身を焦がす女の性をと、きよ葉に鮮烈な女の生き方をみせる存在として描かれ、艶かしい濡れ場シーンもあるけれど、厭らしさとは違う不思議な魅力がある。

玉菊屋の楼主に石橋蓮次、女将に夏木マリ、吉原一の通人のご隠居には市川左團次と脇を固めるのも豪華俳優陣。彼女を8歳の頃から見守ってきた清次(安藤政信)の穏やかな眼差しに安らぐ。

初めて心を捧げた男(成宮)との一途な恋と別れを経て、日暮(きよ葉)を本気で愛した大名・倉之助(椎名桔平)に妻にと望まれながらも、自分の心に正直に不器用に生きる日暮を「そんなラストはありえないでしょ」と思いつつ、胸の中で小さく拍手を送ってしまうのでした。

桜満開の江戸の景色、吉原大門の巨大な水槽とそこに泳ぐ華やかな朱色の金魚たち、床の間に咲き乱れる様々な花たち、とにかく映像のビビッドな美しさに目を奪われる事間違いなし

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ヘアスプレー

2007年10月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年10月20日公開 アメリカ 

ヘアスプレー企業提供のボルチモアで最高にホットなTV番組「コーニー・コリンズ・ショー」出演を夢見る16歳のトレーシー(ニッキー・ブロンスキー)。ダンスもオシャレも申し分ない彼女だったが、問題は彼女のBIGすぎるサイズ! でも本人はそんなことは気にせず、明るく前向き。欠員が生じたTVショーのオーディションは落選したけど、偶然番組ホストの目に留まりショーのレギュラーとなり番組の人気者になった彼女へ、美人でスリムなライバル母娘の罠が・・・。

ミュージカル映画→舞台→再映画化となった作品。
オリジナル映画から続く伝統を踏襲し、ヒロインは1000人のオーディションで選ばれたシンデレラガール、ニッキー・ブロンスキー。また母親のエドナ役は男性俳優が務め、今作品ではジョン・トラボルタが演じている。黒人&外見差別の代表役の性格最悪なライバル母にミシェル・ファイファー、トレーシーの理解ある父をクリストファー・ウォーケンが演じるなど、脇役陣も豪華です。

何といってもトレーシーという女の子のキャラが最高に良い。外見はチビ&おデブだけど、性格は最高に真っ直ぐで、偏見という曇りが全くない目で物事を見、判断できる賢い女の子です。かなり高めの声で歌い踊るその姿は初めこそ「うわっ!」と思えど、そのうち「うわ~可愛い!」と感じてきます。

母エドナは巨漢な女性・・をトラボルタが演じているとは、知っていても目が点、状態。じーっと凝視して、そういえば目の辺りは確かに・・と思える位。仕草もダンスも女性になりきっていて素晴らしい!あの巨体でヒール履いて軽やかにステップ踏めるなんて凄い
お父さん役のクリストファー・ウォーケンとのダンスも最高に楽しい

このお父さん、娘への理解も妻への愛も溢れるほどあるけど、愛情表現はやや不器用なのがまた微笑ましい。だからこそベルマ(ミシェル・ファイファー)の誘惑にもちっとも気付かず、可笑しいシーンを展開できるってわけ
ベルマは徹底して性格の悪いキャラ。ここまで悪役だと逆に痛快。(そういえば「スターダスト」の魔女役もとぼけた悪役だったな

トレーシーの憧れの王子さまであるリンク(ザック・エフロン)は、ヘアスプレーで固めたオールバックの前髪を一筋だけ垂らし、まさに60年代アイドルそのものといった容姿。(来日時は普通に髪を下ろしてたので現代風の若者に見えたけど)

トレーシーの親友ペニー(アマンダ・バインズ)のおとぼけ加減も笑える(かなり背が高いし、本当はとっても美人?)し、家庭環境(服役中の父と宗教に凝ってる母)にも皮肉が込められてる気がしました。 

そういえば、この時代は日本も高度経済成長期だったんだね。「三丁目の夕日」より数年先位?やっぱりヘアスプレーが流行ったんだろうか??

ミュージカル映画だけど、歌い踊るシーンの背景が動いてる(移動しながら歌ってる)ので、退屈感はなく、最後まで楽しめました。当時流行のポップス満載だそうだけど、今聴いても十分に元気が貰える感じです。

ダンスや歌の楽しさはもちろんですが、それだけで終わる事なく、この時代のボルチモアの現実もしっかり書き込まれています。全米的には人種差別の垣根が取り払われようとしていたけれど、ボルチモアはまだその洗礼を受けていない。というよりまさにトレーシーたちによってその垣根の一端が崩れようとしているのです。

笑いと元気を貰えるハートウォーミングな作品でした

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となり町戦争

2007年10月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年2月10日公開

「舞坂町はとなり町・森見町と戦争を始めます。開戦日5月7日」ある日届いた、となり町との戦争のお知らせ。偵察業務に就かされた“僕”(江口洋介)は、その業務遂行のために、対森見町戦争推進室の“香西さん”(原田知世)と夫婦生活を始める。戦時にもかかわらず、町は平穏を崩さない。かろうじて戦争状態と分かるのは、日々のニュースで発表される戦死者の数だけ。淡々とした日常生活のなかに侵食した戦争。“僕”は、知らず知らずのうちに、その戦争の中心にいたのだ…。(Wikipediaより)

第17回小説すばる新人賞作品の映画化。原作:三崎亜記

隣町との戦争って何?な好奇心からレンタル。
でも・・・何だかよくわかりませんでした。
大体、町どうしの戦争って無理があり過ぎで、実際にありえね~~わけで。

と思いながら観て行くうちに、何となく背筋が寒くなってくるんですね。
これって、世界で起こっていることの、ものすごい比喩なんだろうか。そう思わせる要素が随所に出てくる。他人事であった筈なのにいつの間にか巻き込まれている主人公の「僕」も、やたら事務的で冷静な「香西さん」も、役場の上司たちの更に官僚的で絵空事な態度も、どっかの国の国民や政治家の現状とそっくりだもんなぁ。

「選挙に無関心でいて、批判だけする権利はない」「直接手を下してなくてもあなたは人殺しだ。」など、鋭い言葉の槍がスッと突き出されてきます。

それでもやっぱりどこか退屈というか、引き込まれるまで行かなかったのは、根本的に「リアリティ」が欠けていたからかしらん(^^;

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キングダム 見えざる敵

2007年10月17日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年10月13日 アメリカ 110分

サウジアラビアの外国人居住区で発生した自爆テロ事件で同僚を失ったFBI捜査官のフルーリー(ジェイミー・フォックス)は、現地での捜査を強く主張し、マスコミの手を借りて実現させた。法医学調査官メイズ(ジェニファー・ガーナー)や爆発物専門家のサイクス(クリス・クーパー)、情報分析官のレビット(ジェースン・ベートマン)と共にサウジへと渡ったフルーリーたちは、サウジ国家警察のアル・ガージー大佐に迎えられ、早速本格的な調査を開始しようとするのだが…。

冒頭に、アメリカとサウジとの関係を簡単に紹介するニュース映像が流れて自然に映画の予習となる。自爆テロの首謀者を追うFBI捜査官たちの姿を通して、政治的に西欧よりのサウジアラビア上層と、それに対するテロ組織、アメリカの微妙な均衡の上に立つ関係が浮き彫りにされる。

物語の核となるのはテロの首謀者の捜査だが、捜査を通して現地の警察官であるガージー大佐とフルーリーの間に芽生える男同士の友情に救いも見られる。犠牲になった同僚の遺児との会話が後のガージーの息子との会話とリンクしていく脚本も良い。全体的にも、子供の登場シーンがなかなか効果的に使われている。

外国人居住区でのテロ行為を筆頭に、テロリストと疑われた警官への拷問に等しい取調べや、後半の銃撃戦など、次々と起こる暴力の非道さ、酷さがスクリーンから溢れている。しかし何よりも愕然としたのは、無垢である筈の子供たち、女性や老人といった「弱者」が、被害者であることと加害者であることの二面性を持つ存在として目の前に迫ってきたクライマックスの場面だ。

虐殺の様子を撮影する大人(父?)の傍でじっと凝視する少年や、釘やビー玉(本来は子供の遊び道具の筈)を武器として詰める子供たちが痛々しく感じられる一方で、このようにしてテロリストは作られていくのだなという風にも思えた。

仲間を失い悲しむメイズの耳にフルーリーが囁いた言葉と、テロの首謀者が孫娘に死の間際に囁いた言葉は同じものだ。ここに、暴力は何も解決しない、ただ、負の連鎖が続くだけだという虚しさをこめた製作側の明確な意思を感じる。

外国人への敵意だけでなく、同国人同士でも政治思想の違いから敵対している国情は平和ボケの日本人である私には理解の範囲外なのだが、「神」という存在は一体何なんだろうと思わずにはいられない。「愛」は「憎しみ」を超えられないのなら、何のために人は信仰心を持つのだろう?

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スターダスト ジャパンプレミア試写会

2007年10月15日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年10月27日公開予定 128分

ジャパンプレミア試写会 (国際フォーラム、ホールC)
18:00開場 19:00よりゲストトーク 19:30開映
ゲスト:神田うの 司会:襟川クロ

国際フォーラムの試写会はホールAで観ることが殆どだったので、葉書を指定席と交換だろうと予想していたのが、自由席ということでちょっと焦る。それならもう少し早く着けば良かったわ(^^;三階の中央に何とか席を見つけたけれど、今夜はほぼ満席状態でした。

キャスト・スタッフの来日はなく、スクリーンでの挨拶のみ。トリスタン役のチャーリー・コックス、監督のマシュー・ヴォーン、ラミア役のミシェル・ファイファー、原作者のニール・ゲイマンの4人。

日本のゲストは魔女ラミアの扮装をしているのは誰かというHPでのクイズの答えの発表ということで、魔女は神田うのちゃんが装っていました~!
これ、第一段階の画を見てもうのちゃんとはわからなかったです。
素顔の上に特殊メイク(シュウ・ウエムラ氏が担当)4時間かかったそうです。

うのちゃんは結婚後初の仕事だそうで、流れ星イヴェインのイメージでプラチナ色のドレスに月の髪飾りを付けて、とても美しかったです。コメントも浮ついた所がなく、落ち着いた上品な話し方で、バラェティで見るような軽薄さは全くなく、好感度UPでした。

あらすじはまだ公開前なので、割愛。
ファンタジー・アドベンチャー・ロマンスをぎゅーっと詰め込んだ分、ちょっと欲張りすぎかな~とも思ったけれど、娯楽作としては合格点あげられると思います。

トリスタンの成長物語でもあるのだけど、キャラの深みはあまり感じられなかったのがちょっと残念。流れ星のイヴェインとの会話を含めてどこかコミカルな味付けがしてあり、特に亡霊を含めた王子たちが悪役だけど憎めない滑稽さを持って描かれています。

魔女ラミア役のミシェルやキャプテン・シェイクスピア役のロバート・デ・ニーロ、ストームホールド王のピーター・オトゥールなど、ベテラン陣はさすがの演技。特にシェイクスピアのキャラが笑える~~扇子を持ったダンスは抱腹絶倒。

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記憶の棘

2007年10月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年9月3日公開 アメリカ 100分

10年前に愛する夫ショーンを突然の心臓発作で失った美しい未亡人アナ(ニコール・キッドマン)は、喪失感から抜け出せるまで待ち続けていてくれたジョゼフ(ダニー・ヒューストン)と再婚することを決意する。しかし、そんな彼女の前に見知らぬ10歳の少年(キャメロン・ブライト)が現れ、「僕はショーン。君の夫だ」と名乗る。亡くなった夫の生まれ変わりを主張する少年を最初は疎んじたアナだが、彼女と夫しか知らない秘密を語る彼に気持ちが揺らいでいく。ショーンは本当に夫の生まれ変わりなのか?・・・

ニコール・キッドマンってハッピーな作品にはあまり出ないというか、どうも薄幸な役がお気に入り?と思う位、今回も幸せなキャラじゃなかったなぁ・・。

上流階級らしいアナの家族の生活自体に共感を持てないのが敗因。
亡くなった夫は後姿で映されるだけで、彼とアナの間の愛情はアナによってしか確認できない、というよりむしろ少年ショーンの言葉によって、である。

アナを取り巻く人間関係もなかなかにドロドロしたものがある。

母エレノア(ローレン・バコール)は貴族階級出身の支配型人間。娘たちを思い通りに動かすことに慣れた人という印象を受ける。

婚約者のジョセフは顔つきが善人に見えないために、最後までアナへの愛情が純粋なのか、何か魂胆があるのかが読めなかった。キレてショーンに掴みかかるシーンだけがやけに記憶に残ってしまった・・。

夫ショーンの親友だったクリフォードとクララの関係も何だか微妙。その謎は後半に解けるのだが、ではこれは何角形になるっていうのかしらん?

そもそも少年ショーンの記憶は夫のそれの全てではなく、彼が覚えていたのはアナへの愛だけというからややこしい。そしてその愛が真実なのかどうかが、少年自身をも苦しめることになる。

結局、金持ち未亡人の結婚への迷いと亡き夫への思慕が生んだ幻想に近い結末なので、スッキリしないまま終わってしまった

キャメロン君の演技も、評価ほどの良さというものは私には感じられなかった。作品自体が、止まった演技(顔の表情や引きでの長時間静止)を多用しているのも、余韻を楽しむ向きには高評価と思うけれど、短気な人間には「で・・だから?」というかったるさがある。劇場で観なくて正解って感じでした。

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最‘愛’絶叫計画 ・・完全ネタバレ

2007年10月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年製作 アメリカ 85分

ビッグサイズなジュリア(アリソン・ハンニガン)は王子様の出現を夢見ながら両親の経営するギリシャ料理店で働いていた。意を決して訪れた恋愛ドクターのヒッチ(トニー・コックス)のアドバイスで肉体大改造の末、痩せて綺麗になったジュリアは、運命の恋人グラント(アダム・キャンプベル)と出会い熱々に。両家の親とも会い、ウエディングプランナーと結婚式の相談もして話が進んでいく二人の前に、グラントの元フィアンセ(ソフィー・モンク)が現れて・・・

映画好きな友人の感想を聞いて、レンタル店で探した1本。

『愛しのローズマリー』ばりの超おでぶなジュリアが『ブリジット・ジョーンズの日記』風に綴るシーンから始まり、ダンスはノリノリ、『お熱いのがお好き』のマリリン風に通風孔の上に立っても目のやり場がぁぁ。
(通行人のデブ二人の踊りは『チャーリーズ・エンジェル』消防士の放水で水浸しの踊りは『コヨーテ・アグリー』らしいです。)

ジュリアの家庭環境は『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』相談に行く恋愛ドクターは名前もズバリ『ヒッチ・・最後の恋のはじめかた』ウィル・スミスのような長身とは真逆な小人俳優が演じてます。彼の成功例がブラピと元妻、ベンと元妻・妻・マット、NBAの二人(♂)、エレンとアン(♀)というのに爆笑。彼のアドバイスで連れて行かれたジュリアの肉体改造は『デンジャラス・ビューティー』や『40歳の童貞男』がベース?何故か『SW』のダース・ベイダーまで登場。

願いが叶ってグラントとのキスで片足上がるのは『プリティー・プリンセス』この時逆に折れ曲がるグラントの足が笑える。デートシーンでは主役の後ろでさりげなくマイケルの児童セクハラ疑惑ネタをやらかしてくれます。また彼女の希望であるパティシエのためのハーバード製菓学校入学審査用ビデオは『キューティ・ブロンド』自宅のプールシーン。「ジュリアはじけまくり」のロゴに噴出す。

両家の家族が顔を合わせるのは『ミート・ザ・ペアレンツ1&2』から。
父親どうしのスポーツ対決はバスケ。これも元ネタありですね、きっと。
ロバート・デ・ニーロやダスティン・ホフマン、バーバラ・ストライサンドら、元ネタのキャラもしっかり踏襲してる芸の細かさです。孫ネタや猫のジンクサーズまで。

何とか親問題をクリアして結婚式へ向けて『ウェディング・プランナー』の所へ向かった二人。ジェニロペってこんなにお尻がデカイ人なの?(大爆)
ここで花婿付添い人は昔(三週間前)別れた恋人アンディとわかり、二人の間に微妙な空気が。アンディ登場シーンはパリス・ヒルトン出演のハンバーガーCMなんだとか。女同士のバトルは『キル・ビル』

すったもんだ(回想シーンは『プリティ・ウーマン』)のあげく、式の当日別れた二人だが、『10日間で男を上手にフル方法』式雑誌での告白が効を奏して、無事結ばれた二人なのでした。そしてハネムーンで何故か『キングコング』の撮影をしてるんだな(^^;

始めと終わりの方で挿入される『Mr&Mrs スミス』ばりの二人の告白も笑えました。特にブラピの真似が真に迫っています。また、結婚式に絡めて『トラブル・マリッジ』のデュプリーもどきも登場します。

逆に笑えないシーンも。
フロドとサムが指環を売り払って「酒と女」代にしようとしたり、止めようとしたガンダルフが蹴られて「私の愛しいヒト」と言うなんて、LOTRファンとしてはちょっと複雑~~。

初デートのレストランでグラントが「あえぐ」意味がわからなかった(これも何かのパロディでしょう)のと、ジュリアとグラントが通りかかった通行人?(浮浪者?ニック?)に殴りかかったり蹴ったりするシーンは必要性もギャグも感じず不愉快になりました。全般的に下ネタはエグかったかな。

まだまだ見落としていたり、わからない元ネタ映画がある筈ですが、とりあえずわかった限りの作品を書いてみました。

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パンズ・ラビリンス

2007年10月10日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年10月6日公開 メキシコ=スペイン=アメリカ
PG-12指定 119分

1944年のスペイン内戦で父を亡くしたオフェリア(イバナ・バケロ)は母カルメン(アリアドナ・ヒル)と共に、再婚相手であるヴィダル大尉(セルジ・ロペス)の元へやってくる。義父はレジスタンス掃討のため山中の屋敷にいた。独裁主義の恐ろしい義父から逃れたいオフェリアは、不思議な虫に導かれ、屋敷の近くの迷宮で守護神パン(ダグ・ジョーンズ)と出会い彼から「あなたが探し続けていた魔法の王国のプリンセスに違いありません」と告げられる。その真偽を確かめるため、3つの危険な試練を与えられたオフィリアは・・・。

「風変わりな大人のおとぎ話」という言葉に惹かれて選んだ作品ですが、まさに現実と虚構の世界が裏表になったような不思議な残酷さとファンタジーに溢れています。

原題はEl laberinto del fauno、英題はPan's Labyrinth
「パン」とはギリシア神話の牧羊神のことで、原題の"fauno"はパンに対応するローマ神話の神、ファウヌスです。名前の通り、パンの外見は羊に似ていますが、その使い魔?同様かなり醜い姿をしています。他にも試練の中で様々な「虫」が出てくるので、虫嫌いな人はキツイかな。

13歳の少女が、現実の辛さから逃れるために架空の世界を作って逃げ込んでも仕方のないほど、彼女を取り巻く世界は暴力と恐怖に満ちています。
レジスタンスに容赦ない拷問を加え、村人も疑惑があれば即時に殺してしまう残酷さを持つ義父である大尉は、生まれ来る息子にのみ関心を寄せ、妻は息子を産む道具として、オフィリアに至っては歯牙にもかけない疎んじ方です。

しかし、そんな大尉にもその父から受け継がれた「死を刻む懐中時計」に脅える一面があり、この時計が度々スクリーンにも登場します。彼を愛していたとも思えない母、カルメンもまた、現実の辛さを凌ぐために大尉を受け入れた悲しい女性として映りました。娘に語る「もう大きいのだから、おとぎ話の中に逃げ込まないで」という言葉にも現実を受け入れて欲しいという彼女なりの願いがこめられていたのでしょう。

映画を観終わって、これがオフィリアの空想世界だったと思うより、確かに現実と虚構が入り混じっていたという感覚に囚われます。
だって、マンドラゴマ(ハリーポッターの薬用植物を思い出してしまったけれど)は確かに義父も母も認識していたのですから・・。

レジスタンス側の人間である使用人のメルセデス(マリベル・ヴェルドゥ)はオフィリアにその秘密を知られてはいるけれど、彼女の良き理解者です。辛い現実の中で、メルセデスの強さは希望であり、明るさでもありました。大尉がメルセデスに切り裂かれた「口」を縫うシーンが、なかなかにシュールで暗示的で印象に残りました。またDr.フェレイロ(アレックス・アングロ)の「盲従する人間は心を失くした人です。私はそうではない」という 言葉も心に響きました。

冒頭のシーンがラストに重なる時、現実がおとぎ話を打ち負かしたように見えて、実は・・という展開が良いです。いかに現実は酷くても、オフィリアは幸せになったのだと思える終わり方です。ここで光に包まれて扉が開く・・みたいな終わり方だったら逆に興覚めしちゃったかも。

うん、確かに大人の童話だ☆

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カンバセーションズ (軽くネタバレ)

2007年10月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年2月3日公開 アメリカ 84分

マンハッタンのとあるホテルで開かれたウェディングパーティ。ホールの隅でタバコを吸い始めた花嫁の付添人(ヘレナ・ボナム=カーター)のもとへ、花嫁の兄(アーロン・エッカート)がビールのグラスを二つ手に近づく。見知らぬ他人同士に見えた二人の会話だが、実は10年前に別れた恋人同士。パーティが終わり、女の客室に向かって朝までの数時間を一緒に過ごすことになった二人は・・・。

画面を左右にわけた“デュアル・フレーム”が話題となった映画です。左右の画面には彼と彼女のクローズアップや現在と過去、時に現実と夢想をも同時に映しだされます。この独特の手法が目新しいのだけれど、個人的には普通に撮影したものを観たかったです。何だか落ち着かないんだもの。

アメリカ映画ながら、パリで大ヒットというのはわかる気がします。二人の間に流れる暗黙の了解、元夫婦であり恋人であった関係の気だるさ、安心感、隠し切れない互いへの思慕などが会話の端々からにじみ出てくる感じがたまらないし、お洒落でもあります。

このグラスを受け取ってしまえば、このエレベーターに乗ってしまえば、もう引き返せない。でも・・そもそも花嫁の付添い人を引き受けた段階で、元夫との再会は覚悟していた彼女。その覚悟の中には捨てきれない愛もあったわけです。
そして別れた後も彼女のことを忘れられなかった彼。束の間の逢瀬を何とか永遠にしたいとあがく姿が可愛くも哀れにも見えてしまう。

互いに別のパートナー(女には夫とその連れ子?が、男には恋人が)がいて、それぞれに、一応は幸せな生活を送っている二人なのに、再会したらやっぱり忘れられない過去に引き戻されて肌を重ねてしまう。この辺の心情を理解できるか否かで作品への評価も違ってくるかな。日本的にいえば「焼け棒杭(ぼっくい)に火」状態。

よくわからなかったのは、何故二人が別れたのかです。男がとても浮気性だというのは描かれているし、離れていったのは女の方からのようですが、決定的な出来事があったのかは?です。

二人は同い年で女は38歳、別れたのは10年前。でも過去の映像はどう見ても20代前半。暫し首を捻り思い付いた!付き合いだした頃のエピなのね。そして男の妹、いくつ離れてるんだ~~?彼女が女を付添い人に選んだのは何故?男の入れ知恵?妹の計略?

ラストで2分割されていた画面が一つになり、タクシーの中には共に座る二人。これはそのまま、その後の二人を暗示しているの?どうせまた同じ事の繰り返しの確率高いんだから、そのまま別ちゃうのが一番だよ~って心の中で突っ込んでみました。

アーロン・エッカートの裸(上半身)は正直あまり美しくはないヘレナも可愛い(白い肌にピンクのドレスがお似合い)けどスタイル抜群ではない。でもそんな二人だから逆にリアリティが出てくる気がします。

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レオン

2007年10月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1995年3月25日公開 フランス=アメリカ 110分

受けた仕事は完璧にこなすニューヨークの殺し屋、レオン(ジャン・レノ)。その無口な男へ、悪徳警官に家族を殺された12歳の少女マチルダ(ナタリー・ポートマン)が助けを求めてきた。復讐を誓う少女と、彼女を守る殺し屋の間にいつしか育っていく純粋な愛情・・。

リュック・ベッソン監督のハリウッド進出第1弾として有名。時々TVでも放送されていて、その都度つまみ観をしていたけれど、ちゃんと集中して観たことが殆どなかったので、今回じっくりと観賞してみました。

無学で無骨な掃除屋(殺し屋)レオンが、やむにやまれず助けたマチルダは、彼の住むアパートの隣人で、いつも両親や姉から暴力を受け邪険に扱われている。危うさと聡明さが同居する孤独な少女が心を開いたのは、レオンの優しさに触れたから。一度は突き放そうとしたレオンも彼女の真剣さと脆さを心配して、自分の助手を勤めさせるほど親身になっていく。

この間の二人のやり取りが良い。
冷酷な殺し屋である筈のレオンが少女マチルダの前ではあたふたするオジサンになってしまう。それでいて、孤独な心に温かさを与えてくれたこの少女をいつしか必死に守ろうとするまでの心境も自然に描かれていて、彼の最期に涙を誘われるのです。

レオンが育てていた、観葉植物も大切な存在。逃亡の際にもしっかり包んで小脇に抱え、常に一緒。日光浴をさせ、水をあげ、葉を拭いてあげ、まさに家族の扱い。レオンが夢見ながら叶わなかった永住の地はマチルダによって与えて貰えるのだけれど・・・・余談ですが、この観葉植物が友達で、彼に話しかけるという設定は三原順氏のコミックでも登場していたっけ。

彼らを狙う悪徳麻薬捜査官は憎憎しいことこの上ない人物。まさに悪役そのもので、キレ加減といい、こんなヤツが警察機構にいるという設定にすら腹が立つ位。彼の最期だけは喝采を叫びましたね

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幸せのレシピ

2007年10月03日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2007年9月29日公開 アメリカ

ニューヨークの人気レストランで料理長を務めるケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は仕事に対する情熱は人一倍で努力を惜しまない完全主義者。毎朝4時起きで食材を買い付け、厨房で料理人たちを取り仕切り、正確に、完璧に、すべての料理を仕上げていく。ところが、姉の事故死で仕事を休んでいた間にやってきた新しい副料理長ニック(アーロン・エッカート)はケイトと正反対の陽気で自由奔放な性格だった。残された姪ゾーイ(アビゲイル・プレスリン)ともぎくしゃくする中、今までのキャリアや自信に不安を覚えるケイトは・・・。

今気になっている俳優アーロン・エッカートが出ていることが選択の決め手でした。「サンキュー・スモーキング」でスマートなロビイストを演じた彼が今回は陽気なイタリアかぶれの料理人。これがまた似合ってるんだな

今まで自分の決めたルール通りに生きてきたケイトは、職場のオーナーにセラピーを受けるように言われ渋々従ってはいるけれど、その理由がわからないでいます。そんな彼女とセラピストとの会話は当然噛みあわず、彼女が一方的に話すことが多いのだけれど、彼女に降りかかる予期せぬ出来事がその関係をも徐々に変えていくのが面白い。

仕事場にオペラ(今年亡くなったパヴァロッティの歌が流れます)を流し、周囲の人間を笑わせるのが大好きな陽気なニックが副料理長を引き受けたのはケイトの料理に惚れたから、らしい。タカビーな完璧主義者のケイトに、「人生のゆとり」を教えてくれる男でもある。

予告でよくみた客のテーブルに生肉をブッ刺すシーンは、意外に物語の後ろの方で出てくるのね。これがきっかけで私は○○しましたって感じ 初めの方で出てくるエピソードは正直料理人のエゴに見えて、あまり良い気持ちはしなかったけれど、この客に関しては理不尽なリクエストに対する当然のお返しを受けたという印象です

姪のゾーイ役は「リトルミスサンシャイン」のアビゲイルちゃん。ちょっと太めの女の子だった前作と違い、最愛の母を亡くした利発な美少女を演じています。元々かなりの美少女なのねゾーイがニックとピザを作るシーンがとっても楽しそう

頑なに自分の決めたテリトリーの中で生きてきたケイトがニックとゾーイとの出会いにより、「完璧な世界」からはみ出してみた時、彼女の本当の幸せを見つけることになる。ストーリーとしての新鮮さや意外性には欠けますが、安心して楽しめる物語ではあります。

ラストはちょっと甘過ぎだ~~

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