2007年10月20日公開 アメリカ 167分
物語は1961年、キューバのカストロ政権転覆を目論んだピッグス湾侵攻作戦の失敗から始まる。CIA内部の情報漏れが原因とされ、指揮をとったエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は窮地に立たされる。彼の脳裏には、イェール大学在学中に秘密結社スカル&ボーンズに勧誘されて以来の諜報活動と、そのために犠牲にしてきたものの姿が浮かぶ。
映画の題名は、新約聖書ヨハネ福音書の「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」からの引用で、良い羊飼いたらんとした主人公を指している。
エドワードは6歳の時、父を自殺で亡くしている。彼の不幸は父の自殺を隠蔽したことから始まる。愛国心と亡き父の無念を晴らしたい思いが、彼を諜報員の道へ導いてしまったのだろうか。この時、父が家族へ宛てた遺書を隠さずに、あの時に読んでいれば、彼の人生は変わっていただろうか?
この主人公はとことん不器用な男で、それゆえ、自分の愛した女ローラ(タミー・ブランチャー)も、愛してくれた女マーガレット(アンジェリーナ・ジョリー)にも悲しみしか与えられない。エドワードの顔から次第に笑顔と快活さが姿を消し、寡黙=無口で無表情な没個性に変容していくさまを、マット・デイモンが好演している。レオがスケジュールが合わずに断った役だとも聞くが、(確かにレオならはまりそうな役だけど)マットは十分に期待に応えていると思う。
監督はロバート・デ・ニーロ。エドワードを諜報活動に引き込んだサリヴァン将軍を演じてもいる。米国の諜報機関CIAの誕生と冷戦期のスパイ活動を軸に、ヒーローやサクセスストーリーから離れ、エドワードの葛藤に満ちた半生を辿ることで、リアリティを出すことに成功している。
個人的な興味として、「シークレット・ウィンドウ」繋がりのジョン・タトゥーロがエドワードの腹心の部下役でかなりオイシイ役を演じている。淡々と拷問を実行するシーンなどは特にSWとオーバーラップを感じてしまった。
ティモシー・ハットンも出てたとエンドロールで知る。調べたら自殺した父親役でした。ちょっとしか出てこなかったから顔・・覚えてない(^^;
教授(二重スパイ)役でマイケル・ガンボンが。教授役が似合う人です。ダンブルドア校長~~~☆☆
秘密結社スカル&ボーンズはフリーメーソン?入会の儀式の異様性も宗教的儀式の流れを汲むと考えればちょっと納得かも。白人至上主義のこの会に属するエドワードにはそれ以外のマイノリティは米国の「観光客」扱いなのだ。
作戦失敗したエドワードのもとに送りつけられたテープの解析と並行して彼の軌跡を語る手法はさほど時系列の混乱を生じないけれど、老け役のメーキャップが下手なのか、年齢の見分けに混乱してしまった。息子(エディ・レッドメーン)は目の大きな神経質そうなキャラ。彼がしでかした過ちの代価は家族の崩壊だ。
確かだと思っていた相手に裏切られ、愛も家族すら犠牲にして彼が掴んだものは、彼自身を幸せにしてくれたのだろうか?と、最後まで無表情なエドワードの顔を見て思ったのでした。案外、一番の友は敵国のライバル、ユリシーズだったのかも。
物語は1961年、キューバのカストロ政権転覆を目論んだピッグス湾侵攻作戦の失敗から始まる。CIA内部の情報漏れが原因とされ、指揮をとったエドワード・ウィルソン(マット・デイモン)は窮地に立たされる。彼の脳裏には、イェール大学在学中に秘密結社スカル&ボーンズに勧誘されて以来の諜報活動と、そのために犠牲にしてきたものの姿が浮かぶ。
映画の題名は、新約聖書ヨハネ福音書の「良い羊飼いは羊のために命を捨てる」からの引用で、良い羊飼いたらんとした主人公を指している。
エドワードは6歳の時、父を自殺で亡くしている。彼の不幸は父の自殺を隠蔽したことから始まる。愛国心と亡き父の無念を晴らしたい思いが、彼を諜報員の道へ導いてしまったのだろうか。この時、父が家族へ宛てた遺書を隠さずに、あの時に読んでいれば、彼の人生は変わっていただろうか?
この主人公はとことん不器用な男で、それゆえ、自分の愛した女ローラ(タミー・ブランチャー)も、愛してくれた女マーガレット(アンジェリーナ・ジョリー)にも悲しみしか与えられない。エドワードの顔から次第に笑顔と快活さが姿を消し、寡黙=無口で無表情な没個性に変容していくさまを、マット・デイモンが好演している。レオがスケジュールが合わずに断った役だとも聞くが、(確かにレオならはまりそうな役だけど)マットは十分に期待に応えていると思う。
監督はロバート・デ・ニーロ。エドワードを諜報活動に引き込んだサリヴァン将軍を演じてもいる。米国の諜報機関CIAの誕生と冷戦期のスパイ活動を軸に、ヒーローやサクセスストーリーから離れ、エドワードの葛藤に満ちた半生を辿ることで、リアリティを出すことに成功している。
個人的な興味として、「シークレット・ウィンドウ」繋がりのジョン・タトゥーロがエドワードの腹心の部下役でかなりオイシイ役を演じている。淡々と拷問を実行するシーンなどは特にSWとオーバーラップを感じてしまった。
ティモシー・ハットンも出てたとエンドロールで知る。調べたら自殺した父親役でした。ちょっとしか出てこなかったから顔・・覚えてない(^^;
教授(二重スパイ)役でマイケル・ガンボンが。教授役が似合う人です。ダンブルドア校長~~~☆☆
秘密結社スカル&ボーンズはフリーメーソン?入会の儀式の異様性も宗教的儀式の流れを汲むと考えればちょっと納得かも。白人至上主義のこの会に属するエドワードにはそれ以外のマイノリティは米国の「観光客」扱いなのだ。
作戦失敗したエドワードのもとに送りつけられたテープの解析と並行して彼の軌跡を語る手法はさほど時系列の混乱を生じないけれど、老け役のメーキャップが下手なのか、年齢の見分けに混乱してしまった。息子(エディ・レッドメーン)は目の大きな神経質そうなキャラ。彼がしでかした過ちの代価は家族の崩壊だ。
確かだと思っていた相手に裏切られ、愛も家族すら犠牲にして彼が掴んだものは、彼自身を幸せにしてくれたのだろうか?と、最後まで無表情なエドワードの顔を見て思ったのでした。案外、一番の友は敵国のライバル、ユリシーズだったのかも。