杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

遠距離恋愛 彼女の決断

2018年12月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2010年10月23日公開 アメリカ 109分

ニューヨーク。音楽業界で働いているギャレット(ジャスティン・ロング)は恋人に振られたばかり。そんなとき、ジャーナリストを目指しているエリン(ドリュー・バリモア)とバーで出会い意気投合、一夜を共にする。しかし6週間後エリンは新聞社のインターン期間が終わりサンフランシスコへ戻ることに。ふたりの恋もそれで終わるはずだった。ところが、この期間限定の恋が意外にも真剣なものになり、ふたりとも別れがたくなる。エリンは過去に遠距離恋愛を叶えようと大学を退学したが失敗、ようやく再入学して人生を立て直そうとしているところだったのに……。かくしてニューヨークとサンフランシスコの遠距離恋愛が始まった。ギャレットの男友達、ボックス(ジェイソン・サダイキス)とダン(チャーリー・デイ)は、ギャレットが初めて真剣な恋をし、エリンのためにダイエットしたり、日焼けサロンに行ったり、いつも携帯電話を離さないことをからかいつつも親友の恋の行方を心配する。そして過保護なエリンの姉コリーン(クリスティナ・アップルゲイト)も、あまりにも先が見えている道に妹を進ませまいと説得する。西海岸と東海岸に離れ離れになり、親友や家族は大反対。近くにいる魅力的な異性からの誘惑もある。睡眠時間を削ってのメールのやりとり、スカイプでの会話。恋を長続きさせようと努力するふたり……。でもやがてエリンは恋か仕事か、決断を強いられることになる。はたしてふたりの恋の行方は?(公式HPより)

 

一夜限りの関係と割り切った筈の二人ですが、相性が合ったようで離れがたくなり遠距離恋愛に踏み切るけれど、やはり離れていることで色々問題が

こういうお話、昔なら女性の方が折れるパターンですが、エリンは最終的に仕事を選びます。ギャレットも勧めるんですね

で、彼の方が仕事を辞めてエリンのところへ ギャレットが自分の職場に未練がないってこともあるんですけど2010年当時の公開時、時代は変わった!と感じさせる作品だったかも。

ロマコメらしく、姉の家でのエピソードにニヤッとしたり、ギャレットと男友達の掛け合いも楽しい。


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アバウト・タイム 愛おしい時間について

2018年12月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年9月27日公開 イギリス 124分

イギリス南西部コーンウォールに住む青年ティム(ドーナル・グリーソン)は、両親と妹シャーロット(マーゴット・ロビー)、そして伯父の5人家族。どんな天気でも、海辺でピクニックを、週末は野外映画上映を楽しむ。風変りだけど仲良し家族。しかし、自分に自信のないティムは年頃になっても彼女ができずにいた。そして迎えた21歳の誕生日、一家に生まれた男たちにはタイムトラベル能力があることを父(ビル・ナイ)から知らされる。そんな能力に驚きつつも恋人ゲットのためにタイムトラベルを繰り返すようになるティム。弁護士を目指してロンドンへ移り住んでからは、チャーミングな女の子メアリー(レイチェル・マクアダムス)と出会い、恋に落ちる。ところが、タイムトラベルが引き起こす不運によって、二人の出会いはなかったことに!なんとか彼女の愛を勝ち取り、その後もタイムトラベルを続けて人とは違う人生を送るティムだったが、やがて重大なことに気がついていく。どんな家族にも起こる不幸や波風は、あらゆる能力を使っても回避することは不可能なのだと。そして、迫られる人生最大の選択——。(公式HPより)


「ラブ・アクチュアリー」のリチャード・カーティス監督作品で、タイムトラベルを繰り返す青年が本当の愛や幸せとは何かに気づく姿を描いています。

タイムトラベルものは同空間に同一人物が存在してはいけないとか色々な制約がある筈ですが、今作では過去と現在を行き来しても何故かティムと父の間では話が通じている

ティムは恋人ゲットのために過去を変えてしまうのですが、その結果、現在も変わってしまうんですね。当たり前ですが

変わった現在を修正するために努力するティムを見ながら、変えられてしまった相手にとってはどうなんだろう?と思うのは余計なお世話か (どうも恋愛映画に辛口になってしまう私)基本、ティムと彼女は相思相愛の運命の相手という設定ですからね。

妹が事故に遭った時、過去を変えようとしたティムは父からある指摘を受けます。安易に過去を変えると現在に大きな代償を払うことになることを学ぶのですね。結局妹が事故に遭ったという事実は変えず、その原因となった関係を解消するよう説得するティムです。

愛する父が病に侵されたことを知った時も同様です。(発病していない過去まで遡ってしまうと、現在の家族関係が異なるものになる確率が高いのね)

父がティムに授けた幸せの法則は「一:一日を普通に生きる。二:その普通の一日をもう一度経験する」ということ。

今日という一日は(たとえ過去に遡ることができたとしても)二度と来ない特別な一日かもしれない。永遠なものはないからこそ、戻せないからこそ大切に生きなければならないと・・・そういうことなのかな。


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ビブリア古書堂の事件手帖7 ~栞子さんと果てない舞台~

2018年12月24日 | 

三上 延(著) メディアワークス文庫

ビブリア古書堂に迫る影。太宰治自家用の『晩年』をめぐり、取り引きに訪れた老獪な道具商の男。彼はある一冊の古書を残していく――。奇妙な縁に導かれ、対峙することになった劇作家ウィリアム・シェイクスピアの古書と謎多き仕掛け。青年店員と美しき女店主は、彼女の祖父によって張り巡らされていた巧妙な罠へと嵌っていくのだった……。人から人へと受け継がれる古書と、脈々と続く家族の縁。その物語に幕引きのときがおとずれる。(「BOOK」データベースより)

 

シリーズ完結編です。栞子さんと大輔君が両想いになったのは何巻からでしたっけ?ともあれ、今作では息のあった恋人同士となっていて、一方が窮地に陥ると他方が助言や励ましを与えて救うという展開になっているのが微笑ましいです。

前作を読んでからかなり時間が経っていたのですが、冒頭でこれまでの登場人物:母の智恵子、妹の文香、せどり屋の志田、久我山家の人々、大輔と血縁のある田中敏雄、滝野ブックスの蓮杖、ヒトリ書房の井上などなどの紹介がさりげなく書かれているので、詳細は忘れていても何となく「あぁ、こんな人いたっけな~」と記憶の底から浮かび上がってきました。 

今作で新たに登場したのは、久我山尚大の最後に残った番頭である吉原喜市と智恵子の母であり栞子の祖母である英子です。

プロローグの内容がそのまま本編のヒントにもなっている趣向。跡継ぎにしようと目論んでいた智恵子に手酷く拒絶され激怒した久我山尚大の壮大な復讐劇に巻き込まれていく栞子たちですが、その因縁となる本は洋書というのが今までと異なる点かな。シェークスピアのファースト・フォリオ(これも聞きなれない単語ですがシェイクスピアの戯曲をまとめて出版した最初の作品集という意味らしいです)が焦点となっていて、智恵子が家を出たのもこれを求めてのことだと明かされます。

尚大の意志を忠実に引き継いだ吉原が篠原母娘に仕掛けた罠はしかし、母娘の見事な逆転劇へと変わります。吉原という人物もなかなかに食えない御仁で、本当は自分こそが尚大の後を継ぐべき人物だという自尊心が彼の原動力のような気がします。だからこそ、「真実」を見抜けなかった彼の悔しさは負けを認めることに繋がり、このままでは終わらないような不穏さも残す結末でした。膨らませたらスピンオフでまだまだ書けそうだしね

物語のクライマックスとなるシーンでは、母と娘による競り合いの駆け引きや心理戦にドキドキさせられ、大輔君の「ジョーカー」に喝采し、最後の栞子さんの推理に「そういうことか!」と納得させられ、けっこう一気に読んでしまいました。(家や土地を抵当に数千万を調達って、今までとは桁の違う話になってるし)大輔君の決意に触れ、交際を反対していた智恵子も彼を認めた様子なのも嬉しい要素ですね。

強引であくどい商売をする祖父と栞子さんの間に類似点は見つけられずにいましたが、最後まで読むとこの祖父にも一片の本に対する思いは確かに存在していたのだなと思わせてくれ、そこにかすかな救いを見出すことができました。 

 

2022年5月30日再読


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ファントム・スレッド

2018年12月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年5月26日公開 アメリカ 130分

1950年代、ロンドン。英国ファッションの中心に君臨し、社交界から脚光を浴びる天才的な仕立て屋のレイノルズ(ダニエル・デイ=ルイス)。ある日、レイノルズはウェイトレスのアルマ(ビッキー・クリープス)と出会い、彼女を新たなミューズに迎え入れる。彼はアルマの“完璧な身体”を愛し、彼女をモデルに昼夜問わず取り憑かれたようにドレスを作り続けた。しかし、アルマの気持ちを無視して無神経な態度を繰り返すレイノルズに不満を募らせたアルマは、ある日朝食に微量の毒を混ぜ込む…。やがてふたりは、後戻りできない禁断の愛の扉を開き、誰もが想像し得ない境地へと向かう。この愛のかたちは、歪んでいるのか?それとも純愛なのか   ?華やかなオートクチュール(高級仕立服)の裏側で、映画史上もっとも甘美で狂おしい愛の心理戦がはじまる!(公式HPより)


有名デザイナーと若いウェイトレスとの究極の愛がテーマの作品だとか。

デイ=ルイスは今作をもって俳優業から引退することを表明しています。 彼の端正で気品のある佇まいが映える作品です。

レイノルズの日常は、ドレスの仕立てを中心に回っています。規則正しく整然とした毎日が繰り返されることを望む彼にとって、相手が妻であろうと愛人であろうと、その静寂を乱すことは我慢がなりません。ところが、アルマとの出会いが彼の日常に変化の波を立てていきます。初め、彼女の(彼にとって)完璧な身体をレイノルズは愛しますが、次第にアルマ自身に深く惹きつけられていくのですね。

いわゆる上流階級の出ではないアルマの作法振る舞いは、レイノルズにとって騒音であり我慢の範疇を超えています。レイノルズの姉・シリル(レスリー・マンビル)の忠告に従っていたアルマですが、徐々に生来の自分が出てきます。そんな彼女の態度に苛立ちを募らせたレイノルズはシリルに愚痴をこぼしますが、それを耳にしたアルマは彼にキノコの毒を盛るんですね

でもそれは彼を殺そうという意図ではなく、弱った彼を看病することで自分の存在を誇示したい、彼の時間と愛を独占したいという思いからの行動です。まぁ、この時点で普通じゃないけど。いわゆる代理ミュンヒハウゼン症候群の気がしますが

この企みは成功し、レイノルズはアルマに求婚。二人は結婚します。しかし、アルマの振る舞いは徐々にレイノルズを疲弊させていきます。静寂を好む夫と、華やかで楽しいことを求める若い妻。両者の間に溝ができていくのも当然の成り行きです。

そしてアルマの二度目の「行為」はレイノルズの目の前で行われます。当然彼は気付いていますが、その料理が毒であることを知りながら口にするんですね。二人にとって、それは究極の愛の形なのかもしれませんが・・・こういう感情は私の理解の範疇外かな

(それよりも、毒の効果や量について素人の筈のアルマが、全て承知と言わんばかりの落ち着き払った態度の方が気になったりして

何より、レイノルズの作るドレスの素敵なこと彼の邸宅の豪華な作りや華やかな社交界の様子は一見の価値ありでした。


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娼年

2018年12月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年4月6日公開 119分 R18+

主人公の森中領(松坂桃李)は東京の名門大学生。日々の生活や女性との関係に退屈し、バーでのバイトに明け暮れる無気力な生活を送っている。ある日、美しい女性がバーに現れた。女性の名前は御堂静香(真飛聖)。「女なんてつまんないよ」という領に静香は"情熱の試験"を受けさせる。それは、静香が手がける会員制ボーイズクラブ、「Le Club Passion」に入るための試験であった。 入店を決意した領は、翌日から娼夫・リョウとして仕事を始める。最初こそ戸惑ったが、娼夫として仕事をしていくなかで、女性ひとりひとりの中に隠されている欲望の不思議さや奥深さに気づき、心惹かれ、やりがいを見つけていく(公式HPより)


「娼夫」として生きる男を主人公に性の極限を描いた石田衣良の同名小説を、2015年に上演した舞台版が大きな反響を呼んだ監督・三浦大輔×主演・松坂桃李のコンビで映画化したのだそうです。桃李君主演という一点に惹かれた作品ですが、さすがに劇場で観るのは抵抗がありDVD発売まで待ちました 

リョウと女性たちが織りなす物語は、単なる性表現ではない"人と人との本質的なコミュニケーション"を描き出す。リョウは女性たちと体を重ねながら、彼女たちの心の奥に隠された欲望や心の傷を優しく癒やし、自らも人間として成長していく。と公式さんでは

娼夫になったきっかけは、ホストクラブで働く中学の同級生シンヤがバイト先のバーに連れてきた御堂静香との出会い。恋愛や女性に興味がないというリョウでしたが、彼女との出会いが彼の運命を大きく変えていきます。しかし「情熱の試験」って・・それって「あり」かよ!!叙情的に描かれていても、自分の娘にそんな相手をさせるなんて普通の感覚じゃありえないでしょそもそも、この商売自体がいわゆる「普通」じゃないのだから、そういうことを割り切って観ないと始まらない作品でもあるのですが

彼の「客」として登場する女性たちにも様々な事情があります。彼女たちの欲望を引き出し解放するのと同時に彼自身の心も解放されていくようすが表情から伝わってくるあたりはさすが、俳優・松坂君です。しかしよくこの仕事引き受けたな~~!セックスシーンはもちろん見所の一つではありますが、厭らしさはなく、何かの儀式のようにさえ映ります。でもこれを誰かと一緒に観るのは無理だ~~

仕事仲間の、自傷行為にしか喜びを見出せない男性のエピは哀しかったです。

シンヤや大学の女友達(彼女はリョウに好意を抱いてますが、後に彼とは棲む世界が違うことに気付かされるエピも切なかった)に非難されても、その頃にはリョウはこの「仕事」に誇りすら持ち始めています。いやいや、それ、違法だし・・とか思ってしまう時点でこの作品に共感はできないかな。リョウの母親が静香と同じく元娼婦だったというのもなんだかな~~。

ラストでは、おそらくはエイズを患っていた静香は亡くなっている設定のようで、彼女の娘とリョウが仕事を引き継いでいます。個人的には、こういう「癒し方」もあるのだと思うことはできるけど、許容は出来かねるというのが本音かな 所詮金銭が絡むだけにそこに本当の愛はない!と思うから


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オンネリとアンネリのおうち

2018年12月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年6月9日公開 フィンランド 80分

ある日、バラ通りで封筒を拾った仲良しのオンネリ(アーバ・メリカント)とアンネリ(リリャ・レフト)。封筒にはお金と「正直者にあげます」と書かれた手紙が入っていた。2人はそのお金でバラの木夫人(エイヤ・アフボ)というおばあさんから水色のおうちを買い、気難しそうなお隣さん、魔法が使える陽気なおばさん姉妹などご近所さんたちと交流しながら楽しいふたり暮らしをスタートさせる。しかし、ある日お隣さんに泥棒が入り……。(映画.comより)


マリヤッタ・クレンニエミの児童文学「オンネリとアンネリ」シリーズの実写映画化です。

そもそも拾った大金をそのまま渡してしまうおまわりさんって・・・と言ってしまうとお話が成立しないわけでそこはスルー。

子供がいなくても気付かないのは、それぞれ家庭の事情があるから。9人兄弟のオンネリと、両親が離婚し双方を行ったり来たりのアンネリ。忙しすぎる両親たちが二人の不在に気付かなくてもありという設定ですね。

まぁ、いちいち設定進行にケチをつけたら始まらないのがこの手のお話です。ひねくれた大人の楽しみ方としては、二人の住むフィンランドの可愛いお家の家具やインテリアに雑貨、お揃いの可愛らしい洋服といったキュートでカラフルな世界観を満喫することです。

泥棒の正体がギャンブル好きな祖母に無心されて仕事の運転資金が無くなったアイスクリーム屋さんというのも、何気なく現実世界を皮肉っているようなと考えるのは穿ち過ぎでしょうか。でもそこは児童文学!オチはアイスクリーム作りの上手な祖母が孫を手伝って商売繁盛というハッピーエンド系です。

例のおまわりさんと気難しそうなお隣さんの意外な接点と、そこから繋がるとか、愉快な魔法姉妹と二人の交流も微笑ましいです。

 


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ハイジ アルプスの物語

2018年12月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年8月26日公開 スイス=ドイツ 111分

アルプスの山の大自然に囲まれ、ガンコだけれど優しい祖父(ブルーノ・ガンツ)や、麓に住むヤギ飼いのペーター(クィリン・アグリッピ)と楽しく暮らしていたハイジ(アヌーク・シュテフェン)。ところがある日突然、大富豪のお嬢様のクララ(イザベル・オットマン)の話し相手として、フランクフルトの都会へ連れていかることに。足が悪く車いす生活を送っていたクララは、明るく素直なハイジに励まされ、元気を取り戻していきます。やがてハイジとクララは固い友情で結ばれますが、ハイジは日に日に山へ帰りたいという想いが強くなっていくのでした。そんな時、お屋敷で幽霊騒動が持ち上がります――。(公式HPより)


お馴染み「アルプスの少女ハイジ」を、原作が生まれた本国スイスで新たに実写映画化した作品です。

アニメ版のイメージが強いこのお話ですが、内容的にもそのイメージと同じだったので素直に楽しめました。

実写ならではのスイスの雄大な自然描写が素晴らしく、ハイジをはじめ、登場人物もイメージ通りでした。

オンジの山小屋の素朴で頑丈な作りやハイジが寝る屋根裏の藁のベッドに降り注ぐ日差しの眩しさ。ヤギを放牧する岩場と草原の緑の輝き。雪の上を失踪するソリのスピード感、ペーターの家から立ち上る湯気が厳しい冬の寒さを強く印象づけます。

デーテ伯母さん(アンナ・シンツ)は自分の都合でハイジをオンジに押し付けたり、お金のために連れ戻したりと身勝手な人物として描かれますが、それでもハイジを育ててくれた人であることもまた事実。自分が大人の事情がわかるオトナになったってことね。

ロッテンマイヤー(カタリーナ・シュトラー)さんは自然児のハイジをクララの話し相手には相応しくないと初めから拒否反応。子供を大人の縮小版と考えるタイプの人間だということが伝わってきます。彼女がクララのお父さんのゼーゼマン(マキシム・メーメット)氏に媚びる姿が1シーンだけ挿入されていますが、人間性を感じさせて逆にちょっと親近感がわきました

使用人のセバスチャン(ペーター・ローマイヤー)だけはハイジを面白がり、優しく接してくれます。 

クララのおばあさま(ハンネローレ・ホーガー)も、ハイジの良き理解者となり、頑なに文字を覚えようとしないハイジにさりげなく優しい助言を与えます。とても聡明で愛情あふれる上品な婦人です

ゼーゼマン氏が、ハイジが山へのホームシックから夢遊病に罹った時、お医者様(マルクス・へリング)にハイジを山に返すよう忠告されても娘が寂しがるからと初めは首を縦に振らないのも、娘への愛ゆえ。
オンジのハイジへの感情の変化など、大人になったからこそわかるあれこれも実写ではストレートに表現されてます。
 
「クララが立った!」シーンはアニメと違ってけっこうあっさりしていました そういえば他の実写版でもそうだったような。
アニメのイメージがあまりにもインパクトあったからなぁ

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女神の見えざる手

2018年12月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年10月20日公開 フランス=アメリカ 132分

ワシントンD.C.で、スパーリング上院議員(ジョン・リスゴー)による聴聞会が開かれていた。召喚されているのは、敏腕ロビイストとして名高いエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)。大手ロビー会社、コール=クラヴィッツ&W在職中に手がけた仕事で不正を行っていたとされ、その真偽が問われている。聴聞会から遡ること、3ケ月と1週間前。エリザベスは、コール=クラヴィッツ&Wの花形ロビイストだった。勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在だった。エリザベスは、銃擁護派団体からの仕事を依頼されていた。新たな銃規制法案に対し、女性の銃保持を認めるロビー活動で、廃案に持ち込んでくれというのだ。団体の代表者は議員たちにも強い影響力をもつ人物だが、エリザベスは彼の目の前でその仕事をきっぱりと断る。その結果、上司のデュポン(サム・ウォーターストン)から、「依頼を断るなら、君にいてもらう必要はない」と言い渡される。その夜、パーティに出席したエリザベスは、銃規制法案の成立に尽力する小さなロビー会社のCEO、シュミット(マーク・ストロング)から、自分と一緒に闘わないかと誘いを受ける。次の日、エリザベスは部下を引き連れ、シュミットの会社へ移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。だが、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や元同僚も負けてはいない。エリザベスの過去のスキャンダルが暴かれ、スタッフに命の危険が迫るなど、事態は予測できない方向へ進んでいく……。(公式HPより)


天才的な戦略を駆使して政治を影で動かすロビイストの知られざる実態に迫った社会派サスペンス。ロビイストといえば個人的には「サンキュー・スモーキング」という映画を思い出しますが、口八丁手八丁で世論を操る彼らの頭脳戦に舌を巻き、最後はスカッとする結末でしたが、今作はより強烈なインパクトがあります。

ヒロインのリズは真紅のルージュにブランド服とハイヒールに身を包む美女。天才的閃きと驚異の決断力を持ち、一切の妥協を許さない姿勢は、敵味方問わず畏怖される存在です。寝る時間も惜しい彼女は薬(精神刺激薬)を常用しプライベートを持たず、欲望はエスコートサービスで代用するというその強烈な個性に終始目が離せませんでした。

味方も信用せず、常に複数のプロットを想定し、時に非合法な手段も顧みない姿は凄みすら感じさせます。エスコートサービスに束の間の安らぎを求めるリズですが、その行為自体が諸刃の剣だなぁとみていると、案の定窮地に立たされる展開に ところが、証人に立った「彼」は偽証罪を承知で否定するんですね。彼はリズの奥底の孤独を理解し庇ったのかな 

スタッフの一人であるエズメ(ググ・バサ=ロー)の触れられたくない「銃乱射事件の生き残り」という過去すら、リズは利用します。超えてはいけない一線に敢えて踏み込む行為は人として許されないけれど、ロビイストとしての戦略では「あり」なんですね

銃規制法案を巡るロビー活動の攻防には巧妙な罠も仕掛けられますが、赤裸々な自身のプライベートさえも彼女は逆手にとって利用します。一瞬先も読めないロビイストたちの闘いはスリリングで惹きつけられます。

盗聴のためのハイテク生物なんてものも登場し、決別した筈の元部下まで実はリズの持ち駒だったというのだから恐れ入ります

彼女のやり方は褒められたものではありませんが、自ら犠牲を払ってまでも法案を潰し目的を達したその結果は称賛すべきでしょう。そして全てを見通して行動したリズの聡明さと類まれな精神力にもね

日本にもリズのような強烈なロビイストがいたら政治も少しは変わるかしら


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オン・ザ・ミルキー・ロード

2018年12月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年9月15日公開 セルビア・イギリス・アメリカ 125分

隣国と戦争中のとある国。右肩にハヤブサを乗せたコスタ(エミール・クストリッツァ)は、村からの戦線の兵士たちにミルクを届けるため、毎日銃弾をかわしながらロバに乗って前線を渡っている。 国境を隔てただけの、すぐ近場同士で続く殺し合い。いったい戦争はいつ終わるのか、誰にも見当がつかない。そんな死と隣り合わせの状況下でも、村には呑気な暮らしがあった。おんぼろの大時計に手を焼いている母親と一緒に住んでいるミルク売りの娘ミレナ(スロボダ・ミチャロビッチ)。美しく活発な彼女の魅力に村の男たちはメロメロで、皆がミレナ目当てもあってこの家のミルクを注文する。そのミルクの配達係に雇われているのがコスタだ。コスタに想いを寄せているミレナは、ひとつの計画を思い描いていた。戦争が終わったら、兵士である兄のジャガ(プレグラグ・ミキ・マノジョロビッチ)が戦場から帰ってくる。兄は、この家に花嫁として迎える女性(モニカ・ベルッチ)と結婚する予定だ。その時と同じ日に、自分はコスタと結婚するのだと――。(公式HPより)


戦争の混乱の中で運命に翻弄される男の波乱万丈な人生を描いた作品・・ですが、これって風刺コメディ?

コスタは音楽家だったようですが、戦争が彼の人生を変えたというところでしょうか。しがないミルク配達人の生活にそれなりに満足して暮らしていた彼ですが、ミレナが連れてきた兄の花嫁に心奪われてしまいます。だからと言って彼女を略奪しようとするわけでもなく、結局は流されるまま。危険と隣り合わせながら妙にのんびりした村人たち同様、彼も特段の野心や希望を持っているわけではないのです。

銃弾の飛び交う中での日常という異常な生活は人間の感情を麻痺させてしまうのかな村人たちの呑気さがコメディのように見えることが逆に状況の深刻さを際立てています。ミレナの家の大時計は時に人を食ってしまうしね(修理しようとして挟まれて怪我をする)・・治療をする医師がジョークか精神異常と捉える、その感覚の方が正常なのですが

戦争がやっと終わったのも束の間、花嫁を狙う多国籍軍の将軍が差し向けた兵士が村を襲います。一人の女性を狙って村人を虐殺する光景は残酷ですが、黒焦げの死体は滑稽にも見えます。井戸に身を隠すシーンもファンタジックに見えてしまう 

劇中、コスタがこぼしたミルクを飲む蛇が登場しますが、物語が進むとまるで「鶴の恩返し」のような展開が(でも助けているようには見えなかったのですが)追手からの逃避行は花嫁の死で幕を閉じますが、彼女の死にこの蛇が関わってくるんですね。コスタと蛇の間にはある種の信頼関係があったけれど、彼女にはなく、単に毒蛇という恐怖しかなかった。これは何を意味するんだろう?

作品には、蛇を初め、コスタの相棒であるロバやハヤブサ、二人が隠れた羊など、動物が多く登場しています。でもハヤブサ以外、けっこう悲惨な最期が・・・特に地雷で吹き飛ばされて黒焦げになった羊さんが・・・ この黒焦げは焼かれた村人たちとも重なる光景でした。

彼女の死に絶望し後を追おうとしたコスタを羊飼いが止めます。そして15年後。コスタは地雷原の草原(彼女が死んだ場所)を瓦礫で埋め尽くそうとしている様子が描かれます。この行為は彼なりの贖罪なのか、それともやり場のない憤怒の発露なのか・・・色々深いなぁ


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くるみ割り人形と秘密の王国

2018年12月14日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年11月30日公開 アメリカ 100分

愛する母を亡くし心を閉ざした少女クララ(マッケンジー・フォイ)が、クリスマス・イブの夜に迷い込んだのは、誰も知らない秘密の王国。「花の国」「雪の国」「お菓子の国」「第4の国」からなる4つの王国だった。プリンセスと呼ばれ戸惑うクララだが、やがて「第4の国」の反乱によって危機に瀕した王国の戦いに巻き込まれていく。クララに向けられた「見た目に惑わされるな」という忠告。その言葉が意味するものとは?すべては亡き母がこの目を奪うほどに美しい世界に隠した「真実」を探す、驚くべき冒険の始まりだった・・・。(公式HPより)


チャイコフスキーのバレエ「くるみ割り人形」の実写映画化です。このバレエの原作はE.T.Aホフマンの童話「くるみ割り人形とねずみの王様」ですが、これは子供の頃読んだことがあって、むしろバレエのお話の方はよく知らなかったりします。童話の主人公の名前はマリーといいますが、バレエのヒロインはクララという名前です。なので、やはり映画はバレエ版のお話というわけですね。

物語の舞台はヴィクトリア朝のロンドンです。シュタールバウム氏(マシュー・マクファディン)は亡き妻マリー(アンナ・マデリー)に代わり子供たちにクリスマスプレゼントを配ります。姉のルイーズ(エリー・バンバー)は母のお気に入りだったドレスを、弟のフリッツ(トム・スウィート)は玩具の兵隊を、そしてクララには卵型の置物でした。鍵穴があるのに鍵はなく、「この卵の中には貴方が必要とするもの全てが入っています」と書かれた母のメモがありました。冒頭、クララが作ったネズミ捕りが登場しますが、このエピソードから彼女が聡明な発明家であることが示されています。

大好きな母の死を悲しみ、家に閉じこもっていたクララですが、同じく発明家であり名付け親でもあるドロッセルマイヤー(モーガン・フリーマン)おじさんにこれを開けてもらおうと思いつき、家族と一緒にドロッセルマイヤーが主催するクリスマスパーティーに出席します。ドロッセルマイヤーは「それは昔マリーにプレゼントしたものだ」と話し母の思い出を語ります。クリスマスプレゼントを受け取る時間になり、自分の名札のついた糸を辿っていったクララはいつの間にか森の中へ・・・ここから不思議な国の冒険が始まるのです

鍵を見つけたクララの目の前で一匹のネズミがそれを奪って逃げていきます。後を追ったクララはくるみ割り人形のホフマン大尉(ジェイデン・フォーラ=ナイト)と出会い、彼と共に4つの王国の世界へ足を踏み入れるのです。初め、ネズミは鍵を奪った憎い敵として登場しますが、後に「真実」がわかると一転、味方となってクララたちを助けてくれます。仕草がとても愛らしく可愛かったです。

お菓子の国の摂政シュガー・プラムを演じているのがキーラ・ナイトレイだと気付かず、鑑賞後に知ったのですが、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のイメージしかなかったので大変驚きましたさすが女優!!同じく第4の国のマザー・ジンジャーのヘレン・ミレンもね 

「見た目に惑わされるな」とはよく言ったもの。外見に騙されてはいけません 誰が嘘つきで何が真実か!クララの冒険は本当を知る旅でもありました。 愛を喪ったと思って自分の殻に閉じこもるのではなく、周囲に目を向ければ独りぼっちじゃないことに気付ける筈・・・その意味では可哀想とも言える敵役でした。

現実世界に戻ってきたクララは愛する妻を喪ったお父さんの内面の悲しみも察してあげられるほどに成長していました。 

映画ではチャイコフスキーの名曲の数々と共にバレエシーンも盛り込まれています。バレエ界のトップダンサーであるミスティ・コープランドやセルゲイ・ポルーニンらの踊りも堪能できました。更にパーティーシーンや4つの王国の住人たちの贅を極めた豪華な衣装に目を奪われ、煌びやかな映像世界を楽しむことができました。


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インクレディブル・ファミリー

2018年12月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年8月1日公開 アメリカ 118分

スーパーパワーを持つボブ(声:三浦友和)たち家族は平凡な日常を送っていたが、ある出来事をきっかけに、母ヘレン(黒木瞳)がイラスティガールとしてヒーロー活動をすることに。多忙になった彼女の代わりに家事と育児を任されたボブは、底知れない能力を秘める息子ジャック・ジャックの世話に悪戦苦闘。そんな中、新たな敵が家族の前に立ちはだかる。

 

「Mr.インクレディブル」の14年ぶりの続編です。・・え?14年も経ってるの?

超人的なパワーをもつボブ、伸縮自在なゴム人間のヘレン、超高速移動できる長男ダッシュ、鉄壁バリアで防御できる長女ヴァイオレット(綾瀬はるか)。加えて今回はスーパーパワーに目覚めたばかりのジャック・ジャックの未知数の潜在能力が凄すぎです!

スーパーヒーロー活動が法律で禁じられているのに、銀行を襲ったアンダーマイナーと戦い街を破壊してしまったボブたちは、スーパーヒーロー保護プログラムを廃止されてしまいます。そんな中、通信会社デブテックのウィンストン・ディヴァーと妹のイヴリンがボブやヘレン、ボブの親友のルシアスにスーパーヒーロー復活の支援を申し出ます。イラスティガール=ヘレンの活躍する姿を世界に見せることでスーパーヒーロー活動を法律で認めてもらおうというのです。

ヘレンが任務で家を留守にする間、ボブは子守と家事を引き受けるのですが、内心ではちょっと不満な様子が伝わってくるのが何だか生々しいような ともあれ、同級生との恋に悩むヴァイオレットへの対応や、算数の宿題に頭を抱えるダッシュの世話に追われ、ジャック=ジャックが突然数々のパワーを出し始めたことに振り回されるボブには同情の余地ありですね。

ヘレンは暴走列車を止めて一躍脚光を浴びるのですが、人々を催眠状態にして操るスクリーンスレイヴァーと名乗る人物が現れます。黒幕がイヴリンだと気付いたヘレンですが、逆に彼女に特殊なゴーグルをつけられ操られてしまうの。イヴリンは両親がスーパーヒーローを頼りすぎて強盗に殺されたことを恨み、スーパーヒーローを嫌っていたのです。(彼女の、もっと他人任せが人を堕落させるという考え方にも一理あるとは思うけどね

ボブやフロゾン=ルシアスまでゴーグルを付けられ操られる中、大人たちの危機を救ったのは三姉弟ですダッシュが呼び寄せたインクレディビール(車)で家を脱出した三人は豪華客船で行われているデブテックの調印式に潜入し、スーパーヒーローたちのゴーグルを外し洗脳を解きます。イヴリンの企んだ船の暴走を止めた彼らは、再び法律で活動を許されるという結末でしたとさ

今作の見どころは、家事も育児も世界の危機も、驚異のスキルと家族の絆で乗り越える姿ですね。そして制御不能な赤ちゃんパワーとそれに振り回されるボブの姿かな



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家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。

2018年12月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年6月8日公開 115分

サラリーマンのじゅん(安田顕)が仕事を終えて帰宅すると、玄関で妻のちえ(榮倉奈々)が口から血を流して倒れていた!動転するじゅんだが、「ククク……」と笑うちえの傍らにはケチャップ。ちえは死んだふりをしていたのだ。それからというもの、家に帰るとちえは必ず死んだふりをするようになった。ある時はワニに喰われ、ある時は銃で撃たれ、またある時は頭を矢で射抜かれ…次第にエスカレートしてゆく“死んだふり”。最初は呆れるだけのじゅんだったが、何を聞いても「月が綺麗ですね」と笑うだけのちえにだんだん不安を覚え始める。寂しいだけなのか、何かのSOSのサインなのか―。ちえの謎の行動には、“秘密”があった。(公式HPより)


2010年に「Yahoo!知恵袋」に投稿されて話題になったらしいですが…知りませんでした。初音ミクでオリジナル楽曲が制作されたこともコミックエッセイ化も 映画は妻の「奇行」の理由に悩む夫を描いたラブコメディになっています。

劇中では、15パターンもの“死んだふり”が描かれます。この夫、随分と物分かりが良いというか、優しい人だな~~!もし私が同じことをしたら二回目でキレられること間違いない

じゅんは再婚で、最初の結婚が3年で破綻したことから、ちえとも3年経ったら「見直し」をすると約束していたという設定。そろそろ3年が経とうとしているのですが、二人とも互いを想っているのにうまく気持ちを伝えられないでいるんですね。

ちえの行動は結局はじゅんへの愛のメッセージなのですが、そりゃ~わかりづらいっちゅうの

彼女の愛読書のお気に入りの言葉「月が綺麗ですね」は夏目漱石が " I love you "の日本語訳について語ったエピソードです。これは単刀直入な「愛している」を遠回しに表現した言葉なのですが、劇中でも使われています。

不器用な二人のラブストーリーって・・なんじゃそりゃ でも榮倉奈々の可愛い死体パフォーマンスや健気さが受けたのでです。


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ベスト・バディ

2018年12月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年7月29日公開 アメリカ 92分

リタイアした紳士淑女が余生を満喫する楽園リゾート、ビラ・カプリでボスの座に君臨する総支配人デューク(モーガン・フリーマン)。ところが、新たな入居者である謎めいたカウボーイのレオ(トミー・リー・ジョーンズ)と、本社から送り込まれた女性ボスのスージー(レネ・ルッソ)の登場により、デュークの日常は一変する。さらに、かつて裏切ったギャングに居所を知られ絶体絶命のピンチに陥ったデュークは、あらゆる分野でレオと張り合いながらも危機を乗り越えるべく奮闘する。(映画.comより)


モーガン・フリーマンとトミー・リー・ジョーンズの共演ということで期待値が高かった分、「なんじゃこりゃ!!」感が拭えませんでした

プレイボーイ気取りで3人の女性とアバンチュール、ポーカーやゴルフに興じる楽園生活をエンジョイしていたデュークですが、本社から送り込まれたルーシーから解雇通告を受けてしまいます。。デユークはギャングのボスを裏切ったため、証人保護プログラムで新しい生活を手に入れて今の地位を築いたのですが、ギャングの妻に居所を知られ、その息子に命を狙われるんですね~~まぁ、この息子がドジばかりしでかすのはコメディのお約束ってわけで

ところが、レオとポーカー、ゴルフ、女性をめぐって張り合ううち、奇妙な友情が二人の間に芽ばえたようで、スージーが攫われたこともあり、共同戦線を張ってギャングの息子をやっつけちゃうというお決まりの結末。

展開もつまらないし、リタイアした紳士淑女の面々もなんだか脂ぎってて下品。(どうしてこの二人がこんな映画の出演をOKしたのかしらん)そもそも笑いのツボが自分とずれてる 久々に早回しで観ちゃったぞ


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キング・オブ・トロール 勇者と山の巨神

2018年12月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年8月1日公開 ノルウェー 104分

19世紀半ばのノルウェー。貧しい家庭で生まれ育った17歳のエスペン(ヴェービョルン・エンゲル)は、いたずらばかりしていつも兄たちを困らせていた。一方、王国の宮殿では勝ち気で聡明なキリステン王女(エイリ・ハーボー)が、悪賢いシグール王子と政略結婚させられそうになっていた。ある日、宮殿から抜け出した王女は、森の中でエスペンと出会い、互いに惹かれ合うが、キリステンは「マウンテン・キング」と呼ばれるトロールに連れ去られてしまう。王はキリステンを救った者に黄金を与えると国中にお触れを出す。エスペンやシグール王子はキリステンを助け出すべく、トロールのもとへと向かうが……。(映画.comより)

 

ノルウェーで古くから語り継がれてきた森の妖精トロールの伝説を映画化したファンタジーアドベンチャーです。

お伽噺によくあるパターンは三人の息子が登場する場合、末っ子が賢く、上の二人は狡いかトロいと相場が決まってますが、このお話では兄弟仲が良いんです。もちろん喧嘩はするのだけれど、憎み合ったり嫌ったりというのとは違って、本当は互いを愛しているんですね。この違いはけっこう新鮮です。ついでに兄弟のお父さんも息子たちを心底愛してることが伝わってきました。

エスペンはいたずら者というより、少し足りないのでは?と思うような行動をします。最初は失火で家を全焼させたり、とんでもないバカ者に見えたのですが、王女を救う旅に出てからは、優しさと勇気と「何かに使えるかも」と拾い集めたがらくたが後でとても役に立つ道具に変わるなど、生活能力のある若者に見えてくるから不思議

一方シグール王子は典型的な傲慢タイプとして描かれます。王女と結婚したいのは王国を手に入れたいからという魂胆が見え見えの男尊女卑の嫌な奴で、トロールに捕まりそうになると平気で忠臣も切り捨ててしまう冷酷な男です。

老婆の魔女にたぶらかされた二人の兄をエスペンが救ったことで、兄たちも弟を認めるようになります。魔女は若い美女に見える幻影で惑わすのですが、後のシグールの運命にも彼女たちが・・因果応報、ざまーみろ!な結末に胸がスッとします

結婚が嫌で城を抜け出した王女はトロールに捕まって閉じ込められてしまいますが、エスペンたちに助け出されます。ディズニー映画なら二人は結婚してめでたしというところですが、エスペンは身分をわきまえ、家を再建するだけのお金しか要求しません。なかなか現実的?と思ったらラストでは王女が自ら赴くという・・・このあたりにも女性の意志が尊重される現代風な味付けが加えられているのかしらん。


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ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

2018年12月03日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2018年11月23日公開 アメリカ 134分

アメリカからイギリスに戻ってきたニュート(エディ・レッドメイン)は、アメリカ合衆国魔法議会が捕らえた強大な魔法使いグリンデルバルド(ジョニー・デップ)が逃げ出したことを知る。恩師のダンブルドア(ジュード・ロウ)から特命を受け、パリに向かったニュートは、仲間の魔法生物たちとともにグリンデンバルドの行方を追う。(映画.comより)

 

本当は初日初回に鑑賞しようと目論んでいましたが諸事情で今日になってしまった でも期待通りの満足感のある作品でした

魔法動物学者ニュート・スキャマンダーの冒険を描いた「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」から続く物語の二作目です。予定ではシリーズは5部作となっているので、まだまだ序盤ですね ちなみにニュートの出身寮は「誠実」「勤勉」のハッフルパフです。今作は世界中の魔法動物についてまとめた「幻の動物とその生息地」(ハリーの時代にはホグワーツの教科書に指定されていますね)を出版してまもない頃のお話です。

前作に比べてダークな展開となる本作は『ハリー・ポッター』シリーズでも描かれてきた魔法使いとマグル間の差別や偏見が広がっていく内容になっています。特にクライマックスでグリンデルバルドが演説するシーンが圧巻。彼は予知された光景として第二次世界大戦の近代兵器が街を破壊する様子を見せつけるのですが、その中にはホロコーストや原爆のキノコ雲も登場します。マグルの愚かしさや危険性を説くことで魔法使いの優位性を押し出し、マグルへの偏見や憎悪を煽るのです。ヒトラーの優性思想を彷彿とさせて背筋が寒くなります。そして彼に賛同した集会の参加者たちがこの思想を広めるべく各地へ散っていく・・・次回作はより険悪な空気が増幅されそう

冒頭で、グリンデルバルドは信望者の内通(前作でティナの上司だった男)の助けを借りて移送途中に逃亡します。今作のダーク感を協調するかのような迫力あるシーン展開でした。

あ、前作に引き続きティナ(キャサリン・ウォーターストン)と妹のクイニー(アリソン・スドル)、ノーマジのジェイコブ(ダン・フォグラー)、クリーデンス(エズラ・ミラー)も出ています。

死んだ筈のクリーデンスが実は生きていて、彼がこの先の物語を大きく左右する人物になっていくようです。ラストでグリンデルバルドがクリーデンスの身元を示唆するシーンはちょっとした動揺を引き起こしました。

ニュートがリタ・レストレンジ(ゾーイ・クラビッツ)と破局していたことは前作でクイニーが心を読んだ時に観客にも示されましたが、ニュートの兄のテセウス(カラム・ターナー)と婚約していたというのにもびっくり!でもリタが本当に愛していたのはどっちなの?という疑問を掻き立てる展開にも胸が騒ぎました。クイニーが禁じられたノーマジ(ジェイコブ)との恋愛を成就させたいという想いをグリンデルバルドに利用され、純粋であるがゆえに間違った道に踏み込んでしまうのは悲しかったです。(心を読めるクイニーがグリンデルバルドの心は読めなかったのか、恋は盲目!で曇らせたのかは不明ですが

また、衝撃的だたのはナギニ(クローディア・キム)の登場です。ナギニってあのヴォルデモードが分霊箱にした大蛇ですよね。

実はナギニはもとは人間の女性だったということが明かされます。「マレディクタス」(“血の呪い”を持ち、最終的には自らの意志に関係なく、永遠に動物の体に囚われたままになる者)という悲劇的な宿命を持つ彼女が、養母から虐待されて育ち、強大な魔力を内に秘めた「オブスキュラス」となったクリーデンスに心を寄せたのも自然な成り行きでしょう。

グリンデルバルドとの戦いをニュートに丸投げしたダンブルドア・・実は青年時代のダンブルドア(トビー・レグボ)とグリンデルバルド(ジェイミー・キャンベル・バウアー)は「お互いに闘わない」という“誓い”を立てていたのでした でも今回愛しのニフラーちゃんがその「約束」の元をちゃっかりグリンデルバルドから盗んじゃったので、次回からはダンブルドアも活躍してくれそう
 
ダンブルドアといえば、ホグワーツで若きニュートに闇の防衛術を教えるシーンが登場するのも楽しみの一つです。また若きマクゴナガル先生も出てきます
ニュートが恐れていたのは「事務職」というのにクスッとしました。この時リタが恐れていたもの(白いものにくるまれた物体)はよくわからなかったのですが、自分が犯してしまった間違いの哀しい結果だったことが終盤で判明します。レストレンジ家は純血の家系ですが、家系図にも女性は名前も載らない男尊女卑の家なのね。 彼女の孤独は自分へ課した罰のようにも思えました。
 
 
もう一つのお楽しみは、「賢者の石」に名前の出てくるニコラス・フラメル(ブロンティス・ホドロフスキー)の登場です。パリのニコラスの自宅の棚の中できらりと光っている賢者の石も出てきてテンション上がっちゃいました
 
魔法動物も、ベビー・ニフラーやボウトラックル、ケルビー、オーグリー、ズーウーなどが出てきます。日本の妖怪の河童まで出たのはちょっと笑っちゃいましたが 
 
グリンデルバルドは前作では終盤までジョニーじゃなかったけれど、今作ではほぼ出ずっぱりでニュートより存在感があったような
ジョニーファンとしては、次回作以降の活躍も楽しみです。(でも美青年の若きグリンデルバルドとダンブルドアの物語も見たいかも

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