杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ガフールの勇者たち9 「ガフール伝説」の誕生

2011年03月30日 | 
キャスリン ラスキー (著)  食野 雅子 (翻訳) メディアファクトリー(出版)


ガフールの神木の王となったコーリンは、ソーレンとともにいにしえの書を読みはじめる。エジルリブに託されたその古い本には、王「フール」の誕生と火の石にまつわる伝説が記されていた。それは、黒フクロウと呼ばれるおそろしい怪物たちとの戦いの物語だった。そして、コーリンは母ナイラの衝撃的な秘密を知ってしまう―。 (「BOOK」データベースより)

これより数巻はソーレンやコーリンたちよりずっと以前の伝説の世界の物語となっています。

ソーレンとコーリンはエジルリブの遺言により、いにしえの書『ファイアキャッチャーの誕生』を読み始めるという形ですが、内容は彼らを離れて、そもそもの英雄伝説を紐解くこととなります。

今回の主人公はグランク(後にフール王を教え導いたフクロウ)です。黒魔術が横行する世界で、炎視力のあったグランクは、一度は<最果ての地>で<炎の石>を手にしますが、石は彼の能力で使いこなせないことを悟り、やがて生まれてくるフクロウ世界の救世主となるべきフールを守り導くことを決意するまでが語られています。

グランクにはダイアウルフのフェンゴが、フールの母である王妃シブにはシロクマのスベンカが友となり、彼らの窮地を助けてくれます。

そしてこの物語を読んだコーリンは、母のナイラが恐ろしい黒フクロウの血を引いているのではないかと疑いを持つのでした。  続く。

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しあわせの隠れ場所

2011年03月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年2月27日公開 アメリカ 

父親の顔も知らず、母親とも引き離された10代の黒人の少年マイケル・オアー(クイントン・アーロン)は、家も寝るところなく、ホームレス同然の生活をしていた。ある真冬の夜、Tシャツと短パン姿で歩いていた彼に、白人女性リー・アン・デューイ(サンドラ・ブロック)が声をかけ、夫ショーン(ティム・マッグロウ)、娘コリンズ(リリー・コリンズ)、息子S・J(ジェイ・ヘッド)と暮らす豪邸に招き入れる。一夜の宿を貸しただけのつもりが、マイケルを気に入ったリー・アンは家族として扱うようになり、マイケルの方も、初めての愛に溢れた家族の暮らしを喜ぶ。やがて、デューイ夫妻はマイケルの隠れた才能に気付く。彼の大きいけれど敏捷な肉体と、仲間を守る強い保護本能は、アメフト選手にぴったりだった。家族の応援のもと、マイケルは注目の選手となり、あらゆる有名大学からスカウトが来る。しかし進路をめぐり、リー・アンが自分を引き取った理由に疑問を持ったマイケルは、家を出ていってしまうが・・。

2009年にボルチモア・イレブンスに入団したマイケル・オアー選手の実話に基づいたノンフィクション小説を映画化したものだそうです。

貧しく孤独な少年が、裕福な家庭に引き取られて隠れた才能を伸ばし栄光を掴むお話ですが、劣悪な環境下にいても優しさを失わず、悪にも染まらずにいたマイケルの心の強さが印象に残りました。彼の母親はジャンキーですが、彼女なりにマイケルを愛していたようだし、彼の幼馴染の不運な死を思う時、環境が人に与える影響の深さに胸が痛みました。

デューイ家の中で発言力と絶大なる決定権を持つリー・アンの存在は男性主導の日本人からは極めて異例に見えます。けれど、この家族は互いが信頼と愛情でしっかり結ばれていることがわかってくると、マイケルの資質と彼らの存在のどちらが欠けてもこの幸せな結末はなかったのだろうと思い至ります。マイケルを兄と慕うS.Jや、周囲に好奇の目で見られながらも彼を家族として受け入れているコリンズの姿は、とても自然なだけに好感を強く持ちました。

コーチへの進言や家庭教師への見返りなどにおいて、リー・アンには裕福さ故の少々の強引傲慢さも見受けられますが、マイケルを思う気持ちはまさに母親の愛情そのものでした。調査員によって、自分を面倒見てくれたデューイ夫妻に疑問を持ったマイケルですが、リー・アンとの話し合いの中で自分が家族の一一員として愛されていることをはっきりと認識します。調査員の大学選びの理由を「僕の家族の母校だから」と胸を張って答えるシーンが最高!


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ディア・ドクター

2011年03月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年6月27日公開

笑福亭鶴瓶さん主演のこの映画、公開時に見逃し、レンタルはほぼ一年待たされてようやく手元にやってきました。でも待った甲斐あったなぁ♪

八月下旬。山あいの小さな村から村の唯一の医師・伊野治(笑福亭鶴瓶)が失踪した。伊野は数年前、長く無医村だったこの地に着任し、様々な病を一手に引き受けて村人たちから絶大な信頼を受けていた。連絡を受けすぐに刑事たち(松重豊・岩松了)が捜査を始めるが、伊野の素性を知る者は誰一人いなかった……。約2ヶ月前。東京から研修医の相馬(瑛太)が診療所にやってきた。看護師の大竹(余貴美子)と共に忙しく立ち働く伊野を見て、最初は慣れない僻地医療のやり方に戸惑う相馬だったが、次第に都会の病院では味わったことのない充実感を覚え始める。そんなある日、鳥飼かづ子(八千草薫)という未亡人の診療をした伊野は彼女の病に気付くが、都会で医師をしている末娘・りつ子(井川遥)に迷惑をかけたくないという彼女の願いを受け入れる。そして八月下旬。帰省したりつ子が母の様子に疑念を持ち診療所を訪ねてきた。伊野は懸命な説明を試み彼女を納得させることに成功するが、来年の夏まで帰って来ないという彼女の言葉を聞くと、突然診療所を後にし、二度と戻らなかった……。九月初旬。刑事たちは、まだ伊野の消息を追っている。診療所は閉鎖、相馬も次の研修先に発った。そしてりつ子が勤める病院に入院したかづ子の元へ、ある人物が訪ねてくる・・・。 


村人から全幅の信頼を寄せられていた医師の失踪をきっかけに浮かび上がる彼の嘘と真実を、刑事の捜査を通して描いた作品です。

伊野は、それまで医者のいなかった村のただ一人の医者として村人たちから頼られ慕われるうちに、自分が無資格の偽医者であることを言えないまま三年半を過ごします。ベテラン看護師の大竹は、彼の正体に薄々気付いていながら彼を助けていました。症例や対処法はこれまでの経験で見聞きして知っているけれど、直接治療出来ない彼女にとって、その場に医者がいることが何より必要だったのでしょう。

何も事情を知らない相馬に医師として尊敬されて、思わず自分は「資格がない」と吐露する伊野ですが、人は自分が聞きたいことしか耳に入らないものなのですね。この時相馬は医師免許のこととは考えもせずに、「そんな風に尊敬される資格がない」という風に謙遜と受け取ってしまいます。それが伊野を更に追い詰めることになるとも知らずにね。

伊野は、自分の手に余る患者を抱え込むことはせずに町の病院に紹介し、鳥飼の病状についても熱心に勉強していました。胃カメラを操る技術もありました。そんな伊野を見ていると、例え資格はあっても、金儲けしか考えていなかったり、病気しか診ず心を忘れたような医者に比べたら彼は立派な名医じゃなかろうかと思えてしまうのね。

彼がどんなきっかけで偽医者になったのかは描かれていないのですが、薬卸屋の斉門(香川照之)が、刑事に尋ねられた時の、椅子から倒れてみせて咄嗟に差し伸べられた刑事の手の意味を問い返すシーンから推測できるように思えます。そこに救いを求める手が差し出された時、心ある人ならその手を取らずに知らんぷりは出来ないものですよね。

刑事たちは、初めは伊野を単なる詐欺師という風に見ていましたが、村人や関係者から話を聞くうちに、その印象を変えて行きます。罪は罪として、伊野を偽医者の立場に追い込み逃げ場を取り上げたのは実は村人たち自身ではないかというふうに・・・。

伊野は約束を守れなくなったことを白衣を脱ぐことで鳥飼に伝えますが、ラストシーンの病室で再び目と目の会話がなされます。彼は詫びに来たのでしょうか?そしてこの後どう生きていくのでしょうか?

いや~~それにしても鶴瓶師匠、良い演技しますね~☆☆☆

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築地魚河岸三代目

2011年03月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年6月7日公開 116分

丸の内の商社勤務のエリートサラリーマン赤木旬太郎(大沢たかお)は、人事課長としてリストラ指揮を命じられ、元上司の金谷(大杉漣)にも勧告せざるを得なくなり苦しむ。そんな時、婚約者の装飾デザイナー・明日香(田中麗奈)が築地の仲卸『魚辰』の二代目・徳三郎(伊東四朗)のひとり娘で、体調を崩して入院した父に代わって店を手伝っていたことを知る。自分も余暇を利用して手伝い始めた旬太郎は、厳格なしきたりのある築地市場のやり方に戸惑い従業員の英二(伊原剛志)からは足手まといだと叱責されながらも、活気に溢れた市場の魅力に惹かれ、会社を辞めて第二の人生を歩む決意を固める。一方、英二は、小料理屋の女将の千秋(森口瑤子)に思いを寄せていたが気持ちを伝えられず、彼女は片岡青果の若旦那十四郎(鈴木一真)のプロポーズを受けてしまう。英二の気持ちを知った旬太郎は、強引に彼を連れて祝いの席に乗り込み、千秋の本心を確かめ仲を取り持つのだった・・。

何でも勝手に自分一人で決めてしまって周囲は事後承諾の旬太郎はかなり強引なキャラです。これが大沢たかおじゃなかったら、ただのゴーマン男になってしまうけれど、彼の嫌味のない爽やかキャラは逆に意志の強さを引き立てているから・・美男は得だねぇ(^^;

エリートサラリーマンからの転身動機は、仕事上の悩みもあったでしょうが、一番の理由は活気溢れる市場で働く人々の嘘や誤魔化しのない真剣勝負の世界に惹かれたからだということは見ていて伝わってきます。

英二の出生の秘密や、それを知りながら知らぬ風を装っていた明日香の葛藤なども描かれ、古風で律儀な人間ドラマにもなっていました。

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ニューヨーク,アイラブユー

2011年03月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年2月27日公開 アメリカ

ニューヨーク。スリを生業とする青年ベン(ヘイデン・クリステンセン)は、中年紳士ギャリー(アンディ・ガルシア)から財布を盗む。中に入っていた写真の美女モリー(レイチェル・ビルソン)を偶然、街で見かけたベンは……。47丁目ダイヤモンド取引所。インド人の商人マンスークバイ(イルファン・カーン)のもとへ、結婚間近の仲買人リフカ(ナタリー・ポートマン)が訪れる……。アパートにこもって映画音楽を作曲する音楽家デイヴィッド(オーランド・ブルーム)は、顔も知らない監督アシスタントのカミーユ(クリスティーナ・リッチ)からの電話で、監督の奇妙な指示を伝えられる……。レストランの前では、作家の男(イーサン・ホーク)が魅惑的な女(マギー・Q)に火を貸し、女を口説き始める……。最近失恋した17歳の青年(アントン・イェルチン)は、近所の薬剤師リッコリ(ジェームズ・カーン)から、卒業プロムに一緒に行くようにと美しい娘(オリヴィア・サールビー)の写真を見せられる……。数日前に一夜限りのつもりで愛を交わしたリディア(ドレア・ド・マッテオ)とガス(ブラッドリー・クーパー)は、再会するためにバーへと向かっていた……。元オペラ歌手のイザベル(ジュリー・クリスティ)は5番街のホテルにチェックイン。足に障害のある外国訛りの若いホテルマン(シャイア・ラブーフ)と出会う……。セントラル・パーク。黒人青年ダンテ(カルロス・アコスタ)が、幼い白人少女と遊んでいる。ダンテは少女を母親マギー(ジャシンダ・バレット)のもとへ連れて行き、明日も迎えに来るように頼まれる……。チャイナタウンで働く若い女性(スー・チー)を、記憶を頼りに描き始めた画家(ウグル・ユーセル)。だが、どうしても彼女の目だけが描けなかった……。再びレストラン前。中年ビジネスマン、アレックス(クリス・クーパー)がタバコを吸いながら携帯電話で話していると、魅力的な女性アンナ(ロビン・ライト・ペン)が火を借りに来る……。老夫婦が歩いている。せっかちで心配性の妻ミツィー(クロリス・リーチマン)は、夫のエイブ(イーライ・ウォラック)に歩き方が遅いと小言を言うが、エイブも負けずに離婚して若い男を見つけろと言い返す……。至る所で愛が生まれる街、ニューヨーク。ビデオアーティストのゾーイ(エミリー・オハナ)は、タクシーの窓から、あるいは駅やカフェから、様々な愛を撮影している……。(goo映画より)


世界各国から集まった気鋭の監督11人によるニューヨークで生まれる愛ある瞬間を映し出した小作品を紡いだものです。

日本からは岩井俊二監督が、オーリー主演で参加しています。
短時間の中に若者たちの愛の芽生えを切り取った作品でした。

アンソニー・ミンゲラ(08年急逝)の遺作脚本も(ジュリー・クリスティとシャイア・ラブーフ主演)光のカーテンの使い方が美しかったな。

それぞれの物語がオムニバスになっているわけではないので、NYの町に住む人々の一種のドキュメンタリーとして楽しむことが出来ると思うけれど、好きかと聞かれたら・・う~~ん・・・(^^;
私は「ラブアク」のような形の作品の方が好みです。

ただ、出演俳優たちはかなり豪華ね♪

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ぼくたちの奉仕活動

2011年03月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年製作 劇場未公開 アメリカ/ドイツ 101分

何事にも後ろ向きなダニー(ポール・ラッド)と女のことばかり考えているお気楽男のホイーラー(ショーン・ウィリアム・スコット)は学校を回り、栄養ドリンクを売り込む営業マンコンビ。ある日、鬱憤が爆発したダニーが学校で問題発言をしたあげく、駐車違反を強引に逃れようとして事故を起こしてしまう。裁判所から刑務所行きか150時間の社会奉仕活動かの選択を迫られ、問題児相手の社会奉仕活動を選んだ2人を待っていたのは、ファンタジーに夢中でいつもマントを羽織り騎士になりきっているオタク少年オージー(クリストファー・ミンツ=プラッセ)とおませで小生意気なロニー(ボビー・J・トンプソン)という予想をはるかに超えた問題児2人だった。

仕事に誇りが持てず落ち込んでいたダニーはやけになって恋人に「結婚でもしようか」とプロポーズします。当然受け入れられるわけもなく自暴自棄となった彼は駐車違反でレッカー移動されそうになったことに切れて事故を起こすのです。ここまでは一緒にいてとばっちりを受けたホイーラーはいい迷惑って印象。

服役する代わりに社会奉仕活動ってのは、日本では馴染みのない制度。「折れない翼」は問題のある子供たちをボランティアの大人たちがマンツーマンで面倒を見る施設で、初めはダメな大人が問題児の面倒を見られるのかと不安になりますが、ダニーとオージー、ホイーラーとロニーの二組が次第に絆を強め、互いに成長していく姿は、コミカルではあるけれどまじめに描かれていて好感が持てました。

そもそも、ここの子供たちは一風変わってはいても、寂しかったり自分を認めて欲しかったりという点では普通の人と同じなんですよね。家族も子供たちを愛していないわけではないのですが、つい見落としている彼らの気持ちをダニーやホイーラーが受け止めていくストーリーは、温かみがあって良かったです。ただ、ロニーとダニーのコンビは教育上あまりよろしくない下ネタいっぱいでしたが(^^;

映画に出てくる中世の戦争ごっこ。あれは実際にもあるのかしら?
中世風の衣装に身を包み、敵・味方に分かれて戦い、斬られたら負傷や戦死する。ずるをしないでルールに従うというのはフェアプレー精神がないと出来ないね。

初めはバカにしていたダニーですが、オージーがこのサークルで仲間はずれにされそうになった時には、サークルの王様をそそのかして、大会への参加許可をもらい、ホイーラーとロニーを誘って参加します。この時の衣装がホイーラーが好きなロックグループ「KISS」のコスプレなのが往年を知る者には懐かしいよ♪

ずるっこな王様に勝ったオージーが恋心を抱いていた少女にあっさり斬られてびっくりですが、ちゃんと恋の成就という結末も用意されているのでした。

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ガフールの勇者たち 8 〈新しい王〉の誕生

2011年03月13日 | 
キャスリン ラスキー (著)  食野 雅子 (翻訳) メディアファクトリー(出版)

苦難の末、“最果ての地”にたどり着いたナイロックは、そこで、自分が特別な宿命をもつフクロウであることを知る。一方、純血団からは母ナイラが、ガフールの神木からはオツリッサが、それぞれの目的のために、“最果ての地”へと向かっていた。荒涼たる火山の地に、運命にたぐり寄せられるように集まったフクロウたち。そのとき、新たな歴史が動きだすのだった―。

ソーレンたち「ガフールの勇者」が純潔団を破った6巻までが第一章だとすると、7.8巻は第二章にあたるのかな。

ナイロックは悪の組織の首領であった父母の血を受け継ぎながらも、その精神は叔父のソーレンと同様に、気高く純粋です。
コーリン(ナイロックの綴りを逆に読んだ名前)と名を変えて孤独な旅を続けた彼は心身共に成長し、やがて自らの運命・果たすべき役割に気付きます。

最果ての地で、伝説の「フールの燃える石」を守るダイアウルフの一族と親しくなったコーリンが、グインダーやオツリッサ、友達となったダイアウルフのハミッシュ、純潔団から逃げてきたアグラモアたちが見守る中、「燃える石」をキャッチする場面はわくわくします。

横取りを企むナイラが割って出た時も、仲間が盾になり彼女の野望を止めますが、ナイラはこの巻では死んでないので、また登場してきそうですね(^^;しぶとい!!

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ガフールの勇者たち 7 宿命の子 ナイロック

2011年03月12日 | 
キャスリン ラスキー (著)  食野 雅子 (翻訳) メディアファクトリー(出版)

ソーレン率いるガフール軍は、聖エゴリウスの戦いで、純血団を打ち破った。激闘の末、純血団総統メタルビークは戦死したが、その直後、悪の継承者となるべく運命づけられた雛が誕生する。ナイロックと名づけられた子フクロウは、母ナイラによって、悪と憎しみの教育を受けて成長していく。やがて、組織の幹部となるための特別儀式に臨むナイロックに、きびしい試練が待ち受けていた―。


月食の夜に孵化し、母ナイラから後継者たるべく厳しく育てられたナイロックは、父を卑怯な方法で殺したと教え込まれたソーレンやガフールのふくろうたちを憎み、純潔団のリーダーとなる日のために頑張っていましたが、そんな環境でも生来の優しさは消えることなく彼の中にありました。

はぐれ鍛冶のグインダーは、燃える炎の中に真実を見る能力<炎視力>がナイロックにあるのではないかと思い、彼へ助言を与えます。そして父母の悪行を炎の中に見て混乱したナイロックは純潔団を離れて考える時間を持つことにし、親友のフィリップと逃げ出すのですが、やがて捕まり、フィリップは母の手にかかって命を落とすことになります。そしてこの日を境に、ナイロックはナイラと袂を分かつのです。

この巻では、ナイロックが自分の生き方に疑問を持ち母の元を離れる、云わば巣立ちの章になっています。ナイラは息子としての愛以上に自らの権力のために彼を支配下に置こうとしていて、鬼気迫る者が感じられます。一方ナイロックは自由意志で生きていくことを決意します。

この巻では、オツリッサがやがてナイロックを導くものとして示唆されます。それは彼女の敬愛するストリクス・ストリーマ教授の幽霊が仲立ちを務めるようです。

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ぼくのエリ 200歳の少女  結末ネタバレあり

2011年03月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年7月10日公開 スウェーデン 115分

ストックホルム郊外の集合住宅で、母と2人で暮らす12歳の少年オスカー(カーレ・ヘーデブラント)は、学校で同級生の苛めに遭いながらも、大人たちには気付かれず、助けてくれる友達もなく、ただ復讐を夢想して堪え忍ぶ日々を送っていた。そんなある晩、隣の部屋に父親と引越してきたばかりの少女エリ(リーナ・レアンデション)と出会う。寒さの中で薄手のシャツ一枚で現れた少女は自分の誕生日を知らず、年齢も“だいたい12歳”とはっきりしない。毎晩のように言葉を交わすようになり、自分よりも大人びた彼女に次第に心惹かれていくオスカー。町では凄惨な殺人事件や奇妙な出来事が立て続けに起こり始め、住民の間に不安が広がっていく。そんな中、エリが少女の姿のまま200年も各地を転々として生き血を啜ってきたヴァンパイアだと知り・・。


ヴァンパイア映画といえば、美女との恋物語がセットになることが多いけれど、この作品も中心には少年と少女の心の交流があります。けれど、2人を結びつけたものは互いの孤独感です。それを高めているのが身も凍るような寒い季節という設定です。

エリが「食事」をするシーンは人というより獣のようで、口から垂れた血を拭おうともしない姿は洗練されたヴァンパイア映画の主人公たちとは全く異なりますが、それだけに生々しさがありました。

凍りつく夜空の下や、夜毎のモールス信号による寝室の壁越しの会話を通して、オスカーは強くなりたいと願うようになります。ある日、苛めっ子に逆襲して大怪我を負わせたオスカーは、それをエリに伝えて“血の契りを結ぼう”とします。ところがナイフで切った指から床に滴り落ちる真っ赤な血を目にしたエリが、それを啜ったことで正体を明かしてしまい、オスカーの前から消えてしまいます。

失意のオスカーを、大怪我をした苛めっ子の兄が襲います。(苛めっ子自身がこの乱暴者の兄から虐待され恐れていた節も見られました。)命の危機に瀕したオスカーを救ったのは身を隠していたエリでした。惨劇の後、列車に乗る2人の場面で映画は終わります。

ところで、エリと共に暮らしていた「父親」の存在は、どう解釈したらいいのでしょう?もし彼が本当の父親でなかったと仮定してみたら・・。

エリのために生き血を集める方法がかなり稚拙ですぐにでも捕まりそうな危うさがあり、実際窮地に立った彼は自ら薬品を被り身元がわからないようにした上でエリに自分の血を吸わせて絶命した彼は、エリの保護者というより彼女に自己犠牲をもって仕えていたようにもみえます。それとも、年を取らないエリとオスカーのような出会いをして彼女を守るために暮らしてきたのでしょうか?
だとしたら、オスカーが選んだ未来はこの男と重なるのでしょうか?

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ジュリー&ジュリア

2011年03月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2009年12月12日公開 アメリカ 123分

1949年。アメリカ人のジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は、外交官の夫ポール(スタンリー・トゥッチ)の転勤でパリにやって来る。好奇心旺盛で食べることが大好きなジュリアは、ここでフランス料理に出あい、名門料理学校ル・コルドン・ブルーで学ぶことを決意。持ち前の負けん気と明るい性格を武器に幾多の困難を乗り越え、夫の愛に支えられながらジュリアは学校を卒業する。その後、家庭で誰でも作ることができる524のレシピをまとめた料理本を出版すると、アメリカで大ベストセラーとなる。それをきっかけに料理番組に出演したジュリアは、身長185cmでかん高い声、本番中に失敗しても気にしない大らかなキャラクター、そして「ボナペティ!(召しあがれ)」という決まり文句で国民的大人気となっていった……。50年後の現代ニューヨーク。作家になる夢に破れ、派遣社員として働くOLのジュリー・パウエル(エイミー・アダムス)は、冴えない毎日を過ごしていた。ある日、料理が大好きな彼女は、幼い頃から憧れていた料理研究家ジュリア・チャイルドの524レシピを365日で作り、それを毎日ブログに綴ることを思いつく。それは、自らの人生を変えたいという焦りから始めた無謀な挑戦であったが、試行錯誤を繰り返し、悪戦苦闘するジュリーのブログは、いつしか大評判になっていく……。(goo映画より)


家庭で作れるフランス料理を紹介し、TVにも進出した実在の人気料理研究家のジュリアは、185cmの長身で甲高い声で話す人だったそう。メリルが演じるその姿はおそらくとても似ているのでしょうけど、なんだかコントみたいな滑稽さがありました。持ち前のユーモアと明るさで料理学校の校長に意地悪されてもめげずに努力する強さの裏で、時折みせる子供を持つことがなかった(できなかった?)哀しみや、夫や料理に対する純粋な愛情などがしっかり伝わってくるのはさすが大女優!です。

一方、ジュリーの方も実在の人物で映画の原作者でもあります。
何をやっても中途半端な今までの自分を変えたくて、大好きなジュリアのレシピを全部作ってブログに載せることを思い立った彼女と、50年前のジュリアの姿を交互に描いて物語は進んでいきます。

マッカーサーや赤狩りが時折背景に出てくるジュリアの時代と、PCでブログを立ち上げるジュリーの生きる現代という時の隔たりはありますが、2人に共通しているのは、食べることが大好き・負けず嫌い・理解ある夫に支えられていることでしょうか。
特にそれぞれの夫たちの、妻への献身とも呼べそうな愛情は、観ていて羨ましいほど。生きがいを見つけるよう提案し、応援し、励ましてくれる彼らこそが褒められるべきじゃないかしらん?

敬愛するジュリアが自分のブログを不愉快に思っていると知らされて落ち込むジュリーが可哀想でしたが、このエピソードを敢えて挿入すること自体に彼女のショックが現されているのかなぁと思ってしまいました。ともあれ、ブログが有名になり、新聞の取材を受けたりして、ジュリーの生活は充実したものになったのは確か。

ただ、作品に登場する料理の数々はその調理過程も完成品もあまりクローズアップされずに場面が変わってしまうので、料理本をパラパラめくっているような感じで、美味しそうと感じる間がなかった気がするのがちょっと残念かも。

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しあわせの雨傘

2011年03月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年1月8日公開 フランス 103分

毎朝のジョギングとポエム作りに励むスザンヌ・ピュジョル(カトリーヌ・ドヌーヴ)は、優雅で退屈な毎日を送るブルジョワ主婦。夫のロベール(ファブリス・ルキーニ)は雨傘工場の経営者で典型的な亭主関白、秘書のナデージュ(カリン・ヴィアール)と浮気している。娘のジョエル(ジュディット・ゴドレーシュ)は、母を飾り壺のような人生と非難し、息子のローラン(ジェレミー・レニエ)は芸術家志望で家業には無関心。そんなある日、ストライキに揺れる雨傘工場で労働組合の要求を断固拒否したロベールは社長室に監禁されてしまう。スザンヌは市長のモリス・ババン(ジェラール・ドパルデュー)に力を貸してくれと頼みに行く。2人は昔短い恋に燃えた間柄だった。騒動のショックで倒れたロベールの代わりに工場を運営する羽目になったスザンヌだが、その明るく優しい性格でナディージュを含めた従業員たちの心を掴み、ジョエルとローランも母親をサポートして、工場は見違えるように業績を伸ばしていく。けれど夫が復職してきて・・。


1月の公開で評判が良かったと聞くこの作品が、行きつけのシネコンに登場したので楽しみに観にいきました。(それにしても上映時間が8時と16時の2本しかないってどうよ!いかにも他作品の前座やつなぎ扱いじゃないですかぁ。・・でもね、観終わってまぁ仕方ないかって気になりました(^^; )

そもそも、南欧の「愛」に対する大らかさについていけないんだよな。
私が仏映画より英映画が好きなのはこういうのも理由かもなぁ。

物語の前半はとても楽しめました。スザンヌは創業者の娘なので、組合との交渉では父親の代から勤める従業員たちに対して家族のように接したことが功を奏してストは終結します。夫が倒れたことで仕方なく引き受けた社長職ですが、持ち前の明るさや発想で工場で働く従業員たちに愛されるようになります。
昔の浮気の相手であるババンのことも上手に操る様は単なるお嬢様以上の才能です。

娘には家庭を大事にと説く善き母だけど、いやいやどうしてヒロインの過去には、かなり奔放で情熱的な面があったのね(^^; 目には目をってことでしょうか。
ローランは異母兄妹かもしれない父親の昔の浮気相手の娘と恋愛中の設定ですが、実は二重三重に逆転がありました。何も知らない母想いのローランがちょっとばかし可哀想になってしまいました。

息子は母に、娘は父に懐く。これは不変のセオリーだけど、母を「飾り壺」呼ばわりした娘こそが実は夫に対しては従順な妻だったというのも興味深いです。

夫に社長の座を追われて後、スザンヌは議員に立候補しますが、当選を傍にいて祝う息子と、そのTV中継を家で見ている父と娘(と孫たち)の対比が面白かったな。
でもなんで政界?女性の自立を叫ぶ前に夫が改悪した工場の現状打破の方が大事なんじゃないの?と思うんだけどなぁ。

ともあれ、スザンヌは魅力的な女性でした。ド派手でダサいジャージ上下にふくよかな身を包んでジョギングしていてさえもね(笑)
ドヌーヴとドパルデュー、2人のダンスシーンも良かったなぁ。

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ガフールの勇者たち 6 聖エゴリウス 運命の戦い

2011年03月07日 | 
キャスリン ラスキー (著)  食野 雅子 (翻訳) メディアファクトリー(出版)

純血団が、聖エゴリウス峡谷を占領、“最果ての地”からも傭兵を集めているという知らせに、ガフールの神木は、決戦の日が近いことを知る。ソーレンたち“特別チーム”は、北の王国を訪れ、援軍を派遣してくれるよう訴えるが、交渉は成立しなかった。ガフールの勇者たちは、独力で純血団に奇襲をかける決断を下す。いよいよ、ガフールと純血団の、そしてソーレン兄弟の、運命を分ける戦いの幕が開けた―。 (「BOOK」データベースより)

純血団が勢力を増してガフールに総攻撃をかけてくるのに備えて、ガフール側も勇猛で知られる北の王国の援軍を要請しようとします。そのための正式な使者に選ばれたソーレンたちはいよいよ「ガフールの勇者」として認められるのです。

北では3つのグループに分かれてそれぞれの与えられた任務を果たそうとするソーレンたちですが、武器や戦い方は教えてくれても戦いに疲弊した北の国の援軍は約束されることなくガフールに戻らねばなりませんでした。

ところが帰途、ソーレンの親友のジルフィーが海賊に攫われてしまいます。
これはエジルリブの弟の裏切り者イフガーの差し金でした。
悪いやつってどこまでもワルなのね(^^;

イフガーを疑っていたツイッラに助けられたジルフィーは自分がしなけらばならない使命に気付き実行します。

そしてピンチに陥っていたソーレンたちは北の援軍に助けられ勝利を収めるのでした。
この巻の最後でメタルピークことクラッドは絶命します。けれどナイラは新しい卵を抱えているんだな・・これはまだまだ終わらないねぇ。

数巻前からナイラの副官のアグラモアに「自分の頭(砂嚢)で考える」ということを提起させては、頓挫させるという描写が出てくるのですが、これは何かの布石でしょうか?

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ツーリスト

2011年03月05日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年3月5日公開 アメリカ=フランス 103分

傷心を癒すためイタリアを訪れたアメリカ人旅行者フランク(ジョニー・デップ)は、ベネチアに向かう車中で見知らぬ上流階級の美女エリーズ(アンジェリーナ・ジョリー)に声をかけられる。妖艶な彼女に誘われるまま、アバンチュールに酔いしれるフランク。しかし、すべては仕組まれた罠だとしたら……。謎の美女エリーズに翻弄され、知らないうちに巨大な事件・陰謀に巻き込まれていくフランクの運命は……?


2005年フランス映画『アントニー・ジマー』ハリウッド・リメイクです。
公開初日の初回上映チケットを予約して観てきました。

ジョニーとアンジーという二大スター共演。そして舞台は優美なヴェネチアとくれば、それはもう夢の世界を満喫させてくれることを保証されたようなもの♪光と影が怪しく揺らめく水の都の水路のように周到に張り巡らされた迷路の罠から2人は脱出できるのか?華麗なミステリーの幕開けです。

凡庸なアメリカ人旅行者が美女の誘惑に乗り、危険な罠にはまるという図式ですが、キーワードは「ヤヌス」。エリーズが母から贈られたというブレスレットに付いてる二面神がこの物語の真実を現していました。ヤヌスは後に絶体絶命のシーンの金庫にも出てきます。

平凡なアメリカ人旅行者を演じるジョニーは、美女に誘惑されて鼻の下を伸ばしてその気になってホテルにくっついていったり、パジャマ姿のままで屋根の上を逃げ回ったりと、周囲から浮いた勘違い男のキャラを上手に演じています。しかしその容姿の際立つ美貌は隠し切れないのね。

エリーズを演じるアンジーの方は洗練された貴族的な美しさと豪華さで観客を圧倒します。けばい化粧はともかく、シンプルなゆえにゴージャスなプロポーションを強調する衣装を身にまとった姿はスズメバチの女王のよう。
冒頭の腰で揺れるリボンや、肩剥き出しの黒のイブニングドレスの官能的なシーンは男性ならずとも惹きつけられてしまいます。

エリーズは大物犯罪者ピアースの恋人で、捜査当局とマフィアの両方から追われているのですが、実は元々ロンドン警視庁の捜査官であり、潜入捜査で逆にピアースと恋に落ち停職になっていたのでした。ピアースの身代わりに仕立てられたフランクに彼女が恋したという設定に違和感を覚えるけれど、エンディングまで観たら「あぁ・・」と納得できるかも。

エリーズを執拗に見張り、彼女の危機にも「必ずピアースが助けに来る」(このセリフが真実を言い当てているのね。)と狙撃の許可を出さないアチソン警部(ポール・ベタニー)は、いつも裏を書かれるピアースを逮捕することだけに執念を燃やす男として描かれています。
それは仕事に忠実というより、個人的な恨みのようでもあって歪んだ人間性も覗いていました。

マフィアのボスであるショー(スティーヴン・バーコフ)という男も温厚そうな仮面の下に、自分に逆らうものは許さない冷酷さを隠しています。まぁギャングなのだから当然ともいえるけど。目をかけて引き立て可愛がっていたピアースに裏切られて大金を持ち逃げされたことに激しくプライドを傷つけられ、何としても彼を捕まえようと躍起になって追いかけてくるのでした。

そんな追っ手の上を行くピアースという男の頭の良さが物語りの核心でもあると、観終わって気付きました。ラストも私好みのハッピーエンド(悪党意以外誰も傷つかない)でした♪

欧州人からみたアメリカ人の軽薄さや奢った態度を揶揄していたり、逆に舞踏会にフランクが入り込めた理由が「女房を見張る」というイタリア式言い訳だったりと、作品全体にユーモアが散りばめられているのも楽しかったです。
あの「手配書」欲しい~~~!!とファンなら思うよね♪

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ガフールの勇者たち 5 決死の逃避行

2011年03月04日 | 
キャスリン ラスキー (著)  食野 雅子 (翻訳) メディアファクトリー(出版)

悪の組織“純血団”によるフール島包囲作戦で、ガフール陣営は、大きな痛手を負いながらも、純血団撃退に成功した。そんななか、ソーレンの妹エグランタインは、ふしぎな夢を見るようになる。死んだと思っていた母親が、ふるさととよく似たモミの木の洞で、エグランタインの帰りを待っているのだ。夢に導かれて、たびたび神木からいなくなるエグランタインを不審に思ったプリムローズが、彼女の後をつけていくと、そこにはおそろしい罠が待っていた―。 (「BOOK」データベースより)

この巻はエグランタインが主人公で、少女たちの友情に焦点が当てられています。

兄のソーレンが見た両親の夢に嫉妬していたエグは、スパイとして潜入していた友達と信じるジンジャーに「かけら」を仕込まれて、自らも両親の夢を見たいと望んでいた心の隙を利用し操られるのです。

目はうつろになり、心ここにあらずなエグを心配し見守るプリムローズもまた純潔団に捕まってしまいます。しかし自ら催眠状態に気付きそれを破ったエグと催眠にかかったふりをしていたプリムローズは力を合わせてクラッドの妻のナイラが産んだ卵を人質に逃げ出します。

そんな2人を救いにソーレンたちも駆けつけるのです。
結局卵を割ることになってしまい、エグはナイラの憎悪を買うこととなるのですが・・。クラッドはソーレンを、ナイラはエグランタインを憎む図式ですねぇ。なんだかやりきれないなぁ。

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ガフールの勇者たち 4 フール島 絶体絶命

2011年03月03日 | 
キャスリン ラスキー (著)  食野 雅子 (翻訳) メディアファクトリー(出版)

ソーレンとの対決で重傷を負ったメタルビークは、巡礼中のフクロウに助けられて、一命をとりとめる。そして、ガフールの勇者たちへの復讐を誓うのだった。一方、ふしぎな“かけら”をめぐって、純血団のスパイが聖エゴリウス孤児院に入りこんでいるとの情報があり、ソーレンら“特命チーム”は、孤児院へ潜入することになった。しかし、同じ頃、メタルビ-クは着々と兵力を集め、ガフール総攻撃の準備を進めていた。そしてついに、フール島は完全に包囲され、絶体絶命の危機に陥った―。 (「BOOK」データベースより)

助けてくれた修道士ふくろうのサイモンを残虐に殺し立ち去るクラッドには目を覆いたくなります。この惨劇を目撃するのがミストと呼ばれる体が透き通ったふくろうなのですが、実は彼女は聖エゴリウスでソーレンたちを助けてくれたホーテンスであることが後に判明します。

一方ソーレンたちは密命を受けて聖エゴリウスへ潜入し、純潔団のスパイの有無と彼らの目的、さらに聖エゴリウスの連中がかけらの利用法をどこまで知っているのかを探り出します。脱出の際に傷を受けたソーレンを介抱してくれたのがミストとハクトウワシの夫婦でした。この物語は過去に出会ったキャストが繰り返し出てくるのでどんどん数が増えて覚えるのがちょっと大変になってきたなぁ(^^;

そしていよいよ純潔団との戦いの幕が開きます。
初戦は奇襲で勝利を収めたものの、ガフール学の教授のデューラップの裏切りもあり、フール島を取り囲んだ敵の兵糧攻めで苦しい戦いを強いられるガフール軍ですが、ソーレンたちが秘密のトンネルを掘って背後から攻撃をしかけたことで形成逆転、純潔団は撤退していくのでした。

でも物語はこれで終わりじゃない、だってまだクラッドは生きているものね(^^;

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