杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ニューイヤーズ・イブ 

2011年12月28日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年12月23日公開 アメリカ 

『年越しのカウントダウンまで、あと数時間のNY。一年の最後の日に、大切な人との絆を取り戻そうとする8組の人々。果たして彼らは、幸せな新年を迎えることができるのか?』

2011年のニューイヤーズ・イブ。NYのタイムズスクエアでは、カウントダウンを彩るイベント“ポール・ドロップ”が行われる。責任者のクレア(ヒラリー・スワンク)は、イベントを成功させるため朝から奮闘していた。世界中のメディア注目のこのイベントに失敗は許されない。ナーバスな彼女が唯一安心して不安を打ち明けられるのはNY市警の警官ブレンダン(クリス・ビリッジズ)だ。しかしボールに故障が見つかり・・・

サム(ジョシュ・デュアメル )はコネチカットで親友の結婚式に出たあと必死でNYへ戻ろうとする。スピーチをしなければならないという用事の他にもう一つ大事な理由があったのだ。それは一年前に出会った「運命の女性」との約束だった・・・。

ケータリング会社を経営するローラ(キャサリン・ハイグル)はパーティの注文を受け大忙し。そんな中、自分を振った元恋人のロックスターでカウントダウンコンサートに出演するジェンセン(ジョン・ボン・ジョヴィ)と再会する。彼が許せず攻撃的な態度を取るローラにジェンセンは・・・。

「今年の目標リスト」を睨みながら浮かない顔のイングリッド(ミシェル・ファイファー)はパーティーチケットを届けに来たバイクメッセンジャーのポール(ザック・エフロン)と出会う。今年もリストを一つも達成できずに変化のない毎日にうんざりした彼女は遂に会社を辞めてしまう。それはリストの一つ目の項目だった。彼女はNYで一番ホットなパーティーチケットを譲る代わりに目標リストを埋める手伝いをポールに頼むが・・・。

出産が近いテス(ジェシカ・ビール)とグリフィン(セス・マイヤーズ)の夫婦は待合室で新年最初に生まれた赤ちゃんには賞金が出るという情報を耳にし、同じく子供が産まれそうなジェームズとグレイス夫婦に闘志を燃やし、何とか一番に産もうと画策するが・・。

大病を患い病院のベッドで最後の時を迎えようとしているスタン(ロバート・デ・ニーロ )の願いは新年のボール・ドロップを病院の屋上から見る事だった。延命治療を拒否し見舞う客もないスタンを看護するエイミー(ハル・ベリー)は混濁する意識の中でスタンが呟いた言葉から彼の真意を知り・・。

友だちとカウントダウンを見に行く約束をした15歳のヘイリー(アビゲイル・ブレスリン)だが、娘を心配する母キム(サラ・ジェシカ・パーカー)に禁止される。思いを寄せるセスとカウントダウンの初キスを願うヘイリーはこっそり部屋を抜け出し心配したキムは娘の後を追うが・・・。

大晦日を憎むランディ(アシュトン・カッチャー)とカウントダウンライブでバックシンガーを務めるエリーズ(リア・ミシェル)は同乗したエレベーターが停止し閉じ込められてしまう。シニカルなランディに逆に興味を抱くエリーズ。2人は閉じ込められた空間で過ごすうち意外な価値観の一致に気付く。やがてエレベーターが動き出し・・・。


今年の劇場作品の見納めはコレ!
年が明けたらタイムリーじゃなくなるし、そもそもこういう市井の人々の物語はけっこう好きです。クスクス笑えてちょっぴりジンとくる締めくくりに相応しい物語でした。

NYのタイムズスクエアでのカウントダウンを舞台にした複数の物語に共通しているのは“愛”と“希望”です。大晦日は過ぎた一年に感謝し、新年に希望を託しましょうとのクレアのコメントがです。

個人的には、冴えないイングリッドの勇気ある行動が起こす奇跡のような一日がちょっと感動です。(ザックって高校生役から急に大人びた感じ)基本的にラブコメなので、元恋人同士の痴話喧嘩や子供の誕生を巡るバトル、引きこもり男のランディ(アシュトンが演じてるとどんなダサイ格好しててもやっぱり素敵なのが惜しい?)の話も笑いながら楽しめました。キムの変身にはぶっ飛んだけど(そこまでやるかな大女優扱いだね)・・そういえば今回は二組が女性の方が年上だね

クレアとポールが姉弟だったり、スタンとクレアが父娘だったりと登場人物たちの繋がりもあるのは『バレンタインデー』や『ラブアク』同様の手法です。ぼんやり観てると見逃しちゃうのですが、意外な大物俳優も出てる・・・よね
(クレアの上司(会長)役でマシュー・ブロデリック出てません?)

オールスターものといえば、ジョニーやトム、ブラピやアンジーなど超大物がちょっとづつ出演して作った映画を収益を寄付という形で作ったら面白いと思うなぁ

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キッズ・オールライト

2011年12月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年4月29日公開 アメリカ 106分

18歳のジョニ(ミア・ワシコウスカ)は、自分の母親ニック(アネット・ベニング)、同じ父親を持つ15歳の弟レイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)、そしてレイザーの母親ジュールス(ジュリアン・ムーア)の4人暮らし。ママ二人と姉弟という家族で、仲良く、楽しく愛情に満ちた生活を送っている。しかし、大学進学のための一人暮らしを機にジョニは、まだ会ったことのない自分たちの医学上の父親・ポール(マーク・ラファロ)に興味を持ち、レイザーと共にこっそり会いに行くことに。オーガニックレストランを経営し、気ままな独身生活をするポールに親しみを感じた二人。しかし、ニックとジュールスにもポールのことがばれたことから、家族に少し異変が起き始める……。(goo映画より)

同性愛のカップルが精子提供を受けてそれぞれに子供を産んだという設定です。
生物学上の父親を知りたがったのは弟のレイザーの方でした。けれど実の父親を知る権利は18歳にならないと行使出来ないため、姉のジョニが申し込んだのです。もちろん母親たちには内緒です。

ところが、父親に会いたがっていたレイザーが自由人のポールに戸惑ったのと逆に、気乗りのしなかったジョニの方は彼と気が合ってしまいます。一度きりの筈がその後も会って話すようになり、遂に母親たちにもばれてしまうの。そこで母親たちも加わってポールとの交流が始まるのですが、あろうことか、ジュールスがポールと浮気しちゃうんですね(^^;

ニックは優秀な医者で、保守的な性格。家庭では父親的役割です。自分の意見を押し付けるニックは、ジュールスのことも無意識に束縛していました。それがジュールスにはストレスになっていて、だから自分を認める発言をしてくれたポールに高揚したのかな?それでも彼女の行動は衝動的で引いちゃうけど元々開放的な性格なんだね。

ポールの方は突然自分の血を引く子供たちが現れたことに驚きより喜びを感じています。50歳近くになっても気ままな暮らしをしていましたが、あわよくば「家庭」を持てるかもと期待した面もあったようです。

やがて彼らのアバンチュールは家族の知るところとなります。もちろん最初に気付いたのはニック相手に裏切られたことを知るのは辛いよね
2人の口論で子供たちにも知られてしまいます。ジュールスは家族に自らの罪を認め詫びますが、その姿は居直ったというのではなくいっそ清清しいくらいでした。

ジョニが大学進学で家を離れる日を迎え、寮へ送り届けた「家族」は改めて絆を確認して物語は終わります。

う~~ん・・・なんだかなぁ~
結局ポールは招かれざる客に終始しちゃってる感じで、気の毒なような・・精子バンク登録も子供に恵まれない人の役に立ちたかったなんて説明してましたが、結局は小遣い稼ぎだったようだし、気ままな生活をしてきたツケを払わされた感じかな 
ニックがポールに投げつけた「自分の家族を作りなさい」という言葉、重かったです。

この家族は親が同性愛のカップルですが、男と女でも状況的にはありえるお話なので、さほど違和感なく観ることができます。

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セレスティアル・キングダム 天空の城と魔法の剣

2011年12月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年製作 アメリカ 109分 日本未公開

父親の元を飛び出し、盗みを働きながら廃品置き場で生活をしていたクリスは、一人の牧師と出会い、本から知識を得ることを学びます。ある日、牧師から、父親は”セレスティアル・シティ”にいてクリスに会いたがっている事を聞かされ、今の生活に終止符を打ち、父親を探しに旅に出る事を決意します。けれど、その旅は苦難に満ちたものとなります。果たして彼は、父親に再会する事ができるのでしょうか?!

原作はプロテスタント世界で最も多く読まれていて、大英博物館や、ニューヨーク公立図書館にも蔵書のあるという、由緒正しい寓話『天路歴程』です。
といってもキリスト教徒でもない私には全く聞いたこともなく、読んだこともないお話(^^;

クリスは親元を飛び出し悪の道に染まりそうになっている少年ですが、牧師という正しい指導者を得て本(聖書?)の知識にめざめます。逸れた軌道を戻すための父親(家)探しの旅は、
悪の巨大ロボットや沼地に潜むモンスターなどが登場します。これは悪魔の現代的な比喩でしょうか。

苦難の旅を強調するかのような素人っぽいカメラワークがあざといし、揺れるので早送りしました。意味無いってか?

純粋なファンタジーだと思って借りた私が甘かった!!
まあとにかくお説教臭いので、早々に音を上げてしまいましたが、とりあえずは最後まで見ました。信仰心のある人向けですね。



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ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル

2011年12月21日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年12月16日公開 アメリカ 

ロシアのクレムリンで爆破事件が発生。その容疑が極秘諜報機関IMFのイーサン・ハント(トム・クルーズ)とそのチームにかけられる。米大統領は政府が事件に関与した疑いを避けるため、「ゴースト・プロトコル」を発令し、IMFは存在そのものを抹消されてしまう。汚名を着せられ国や組織という後ろ盾を失ったまま、クレムリン爆破の黒幕を追い、さらなる核テロを未然に防ぐというミッションの遂行を余儀なくされるイーサンたち。失敗すれば彼らは、凶悪テロリストとして全世界に指名手配されてしまうのだ。黒幕たちの取引の現場は、世界一の高さと最新のセキュリティを誇るドバイの超高層ビル、ブルジュ・ハリファ。難攻不落の天空城に、特殊粘着グローブと命綱一本で外部からの侵入を試みるイーサンだが……。幾重にも張り巡らされた罠と、よぎる裏切りの影。そして次第に明らかになるミッションの〈真の目的〉とは……。

ミッション:インポッシブル シリーズ最新作です。
今年最後の劇場鑑賞の予定でした(後日もう一本観たのでラス2になった

今回はトム自身が命懸けで挑んだドバイの超高層ビル、地上828mの天空城での超絶アクションに目が釘付け!!しかもそんな場面でも笑いを忘れない余裕に舌を巻きます。もちろんドバイ・ムンバイ・ブダペスト・バンクーバーと世界を駆け巡るロケーションもお楽しみの一つ。

新パートナーは分析官のブラント(ジェレミー・レナー)、美人諜報員ジェーン(ポーラ・パットン)、天才エンジニアのベンジー(サイモン・ペグ)の三人。ブダペストで同僚で恋人のトレヴァー(ジョシュ・ホロウェイ)を殺したサビーヌ・モロー(あるファイルを彼から奪った)と対決した際、感情が高ぶってつい蹴り落としちゃうシーンは任務に徹し切れない女心が逆に人間味がありました。

敵役は「コバルト」というコードネームの人物。何故かモスクワの刑務所に収監されていたイーサンはジェーンたちに助けられて脱出後、秘密ファイルを奪回すべくクレムリンに侵入しますが、コバルトに裏をかかれてしまうのです。

ロシア諜報員のアナトリー(ウラジミール・マシコフ)に爆破テロの首謀者と決め付けられ、IMF長官(トム・ウィルキンソン)から「ゴースト・プロトコル」が発動されたことを聞かされた直後、彼らが乗る車がロシア諜報局部隊に銃撃されて長官は射殺されてしまいます。この時長官に同行していた分析官のブラントと脱出したイーサンは、カーターとダンと合流してミッションを続行します。

コバルトの正体は、カート・ヘンドリクス(ミカエル・ニクヴィスト)という核兵器戦略家で、人類の更なる進化には核兵器による浄化が必要と考える狂信家で、クレムリンの核兵器発射制御装置を盗み出したというわけです。モロー(レア・セイドゥ)がトレヴァーから奪ったファイルには、装置を機動するための暗号が記されていました。ここでやっと筋書きが明確になったな

イーサンたちは、モローとヘンドリクスの部下が取引する手筈になっているドバイの超高層ホテルに先行し、互いの取引相手になりすましてヘンドリクスに偽暗号をつかませる作戦を立てます。この時、予告で流れている空中アクロバットシーンが登場するのね

決死の作戦でしたが、結局はヘンドリクスに見破られ追跡するも逃がしてしまい、装置は起動されてしまい絶体絶命大ピンチ!!でも最後まで諦めないのがイーサン・ハント
そして対決シーンも見応えのある派手なアクションの連続。ストレス発散にはもってこいの作品です。

あ~~んな状態になってるのに世界を救えるなんてまさにありえない展開なんですが、それをやっちゃうのがM:Iなのだから、頭柔らかくして楽しみましょう

イーサンの妻の生死とブラントの秘密は、ちょっとしたおまけ(サービス)の印象。ちゃんと最後に丸く収まるのも安心して楽しめるトム作品です。

そしてまだまだ続きそうなイーサン(と新たな仲間たち)の活躍に期待

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水曜日のエミリア

2011年12月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年7月2日公開 アメリカ 102分

新人弁護士のエミリア(ナタリー・ポートマン)は、毎週水曜日が憂鬱だった。その理由は、8歳になる夫ジャック(スコット・コーエン)の息子ウィリアム(チャーリー・タハン)。ウィリアムはジャックと前妻キャロリン(リサ・クドロー)の間の子どもで、別れた両親の家を行き来し毎週水曜日は泊まりに来る日なので、学校まで彼を迎えに行くのがエミリアの役目なのだ。しかし、両親の離婚の原因であるエミリアには、決して打ち解けようとしないウィリアムとの仲は良好とは言えず、小児科のエリート医師のキャロリンが、育児のあれこれを事細かに指示してくることもプレッシャーだった。ジャックは、エミリアが新人弁護士として勤め始めた事務所の上司だった。不倫関係から妊娠し、ジャックの離婚成立を待って再婚したものの、“イザベル”と名付けた赤ん坊は生後3日で突然、亡くなってしまったのだ。彼女を悩ませる問題は、他にもあった。離婚した両親の復縁を知り、エミリアは長年浮気を続けた父にも、そんな父を許す母にも、怒りをぶつける。そして心が離れていくジャックへ、エミリアはイザベルの死の“真相”を告白し家を出る。独りで生きる決意したエミリアだったが、ある日予期せぬ人物から1本の電話で呼び出しを受け・・・。

後味は悪くないよと先に観た友人の感想を読んでレンタルしてみましたが、好きなジャンルの映画ではないなぁ。そもそも略奪愛というのが引っかかる
何でも思い通りに生きてきた女性が、子供の死をきっかけに狂い始める歯車に感情を振り回されて自分も周囲も傷つける様が痛々しいというより傲慢に見えてしまいました。

前妻であるキャロリンもエミリアと同タイプの傲慢女。
思ったことはエキセントリックに主張し、周囲を引っ掻き回すタイプ。
そんな妻にうんざりして浮気に走った夫のジャックもなんだかなぁです

それでも3人ともウィリアムのことは好きでそれぞれのやり方で彼に愛情を注ぎます。
この中ではジャックが一番まともな接し方かな
囲い込み過ぎなキャロリンと対照的に突き放すやり方のエミリアは最初は冷たい印象を与えますが、だんだん彼女なりにウィリアムを好きな様子がわかってくるのは良い感じでした。

実はエミリアはイザベルの死の原因は自分が不注意で抱いたまま眠り込んだための窒息死ではないかと思い込んでいました。だからこそ過剰なほどに反応してしまいそれが周囲の人をも傷つける結果になっていたのです。告白により家族に公となったことでしかしこの問題は意外な解決を見せます。心配したウィリアムに頼まれたキャロリンが、エミリアに医学的な確証を伴う説明をするのです。(その時の2人のやりとりは、とても重い話なのにどこかユーモラスでちょっと心優しいシーンになっていて好きです。)

それでも埋められずにいたエミリアとジャックの仲を取り持ったのもウィリアムでした。
継母であるエミリアが去って戻ってくると思った実母キャロリンが再婚することを知り、次善と思える解決策を自ら考え出すその柔軟性というか適応性に素直に感服です。
案外エミリアと相性が良さそうと思えてきます。
そっか、この結末は確かに後味悪くはないですね

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ヤコブへの手紙

2011年12月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年1月15日公開 フィンランド 75分

1970年代のフィンランド。レイラ(カリーナ・ハザード)は模範囚として恩赦を受け、12年間暮らした刑務所から釈放される。身寄りのない彼女は、盲目の牧師ヤコブ(ヘイッキ・ノウシアイネン)の家に住み込みで働くことになる。自転車に乗った郵便配達人(ユッカ・ケイノネン)が毎日届ける手紙を代読し返事を代筆するのがレイラの仕事だった。手紙には、様々な悩みが書かれていて、ヤコブはその1つ1つに丁寧に返事をする。雨漏りのする家を離れないのも手紙が届かなくなることを恐れてのことだった。レイラはその仕事が好きになれず、郵便配達人とも互いに疑念を抱きあい、険悪になる。やがて毎日届いていた手紙が、まったく届かなくなり、それが生きがいとなっていたヤコブは、すっかり気を落としてしまう。ただ1人自分を受け入れてくれるヤコブに、心を許し始めていたレイラは、郵便配達人に手紙が届かなくなった理由を尋ね、明日必ず手紙を届けるようにと言う。しかし手紙は届かず、レイラはヤコブに架空の手紙を読み始める。それはレイラ自身の過去についてだった・・。


レイラは自分が犯した罪が身内に許されないと思い込んでいました。そのため恩赦も彼女にとっては望まないことでした。
他に行く宛てもなく仕方なく赴いたヤコブ牧師の家で、レイラは牧師が恩赦を頼んだのだと思います。余計なことをした牧師が許せないレイラは彼に打ち解けようとしません。盲目の牧師に代わり手紙を読み返事を代筆する仕事も好きになれず、手紙が来なければ煩わしさから解放されると考え手紙を間引いて捨てることさえします。

一方、郵便配達人はレイラが恩赦を受けた囚人という素性を知っていて、彼女に不信感を持っています。ヤコブがレイラと彼を少しでも打ち解けさせようとわざと戸口に立たずにいると、牧師がレイラに殺されたのではないかと疑うという皮肉な結果になり、二人の溝は決定的になってしまうのです。その後何故か手紙もぴったり来なくなってしまいます。

3人の関係が平行線のまま終わるのかと思った矢先、牧師のある行動でレイラが切れて家を出て行こうとします。ところがタクシーを呼んでいざ離れようとした時、彼女は自分がどこにも行くあてがないことに気付くのです。そんな彼女を優しく受け入れてくれるヤコブに少しづつ心を許し始めるレイラの様子が、例えばテーブルに座る位置だったり、郵便配達人が手紙を持ってこないことを問い詰めることに表現されていました。

ヤコブはといえば、今まで手紙の相談に答えることで自分は他の人間に必要とされていると感じていたのが、手紙が来なくなり、祭礼への招待も途絶えて、最早自分は必要とされていないのだと絶望に打ちのめされてしまいます。きちんとした身なりをしていたヤコブが寝巻き(肌着)姿で外に出てくる様子が痛々しく彼の絶望感をよく表していました。

ヤコブを案じたレイラが「ないものは届けられない」という郵便配達人に無理矢理手紙を届けるよう強要しますが、翌日彼が持ってきたのは雑誌でした。これは配達人なりの善意です。そしてレイラは架空の手紙を読み始めます。けれどヤコブは本当は手紙がないことを気付いていました。

物語の核心はここからです。
次にレイラが語った「手紙」の内容は自分の過去についてでした。
赤ん坊の頃から自分を庇ってくれていた最愛の姉が、夫の暴力に苦しんでいるのを見かねて衝動的に姉の夫を刺し殺してしまったことがレイラの罪だったのでした。姉への罪の意識に苦しみ自分を許せず他人を受け入れられずに孤独の殻に閉じこもっていたのです。

ヤコブは優しくレイラに語りかけ、ある手紙の束を見せます。そこにはレイラの姉が牧師に宛てたレイラへの恩赦を望む内容が記されていました。

2人の心が通い合ったのも束の間、永遠の別れが訪れます。
悲劇ではありますが、しかし牧師は一人の女性を救った満足感を持って神に召され、一方レイラも心の安息を取り戻すことができたのですから、これはハッピーエンドと言っても差し支えないのではないかしら☆

主要キャスト3人の地味な映画ですが、心に浸みる良い作品です。

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源氏物語 千年の謎

2011年12月15日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年12月10日公開 136分

絢爛豪華な平安王朝の時代。一条帝の心を娘の彰子(蓮佛美沙子)に向けさせようと企む時の権力者・藤原道長(東山紀之)は、紫式部(中谷美紀)に物語を書くよう命じる。その物語の題名は『源氏物語』。主人公は今上帝と桐壺更衣(真木よう子)の間に生まれた光源氏(生田斗真)。だが、帝の寵愛を受ける桐壺更衣は、嫉妬に燃える帝の正妻・弘徽殿女御(室井滋)により殺される。光源氏は宮中の女性たちの憧れの的だったが、桐壺に瓜二つの義理の母・藤壺(真木よう子:二役)への狂おしい思いを断ち切ることができずにいた。その苦しさから逃れるため、正妻・葵の上(多部未華子)、艶やかな大人の色香を放つ六条御息所(田中麗奈)、儚げで慎ましやかな夕顔(芦名星)と、奔放に愛を求めて彷徨う。やがて、女の心の奥に潜む“嫉妬”という魔物に追いつめられてゆく光源氏……。紫式部が綴る『源氏物語』は、たちまち帝の心を掴み、帝と彰子の間に男の子が生まれた。これによって道長の栄華は確固たるものとなり、紫式部の役目は終わるはずだった。しかし何故か紫式部は『源氏物語』を書き続ける。そんな中、道長の友人で陰陽師の安倍晴明(窪塚洋介)は、物語に没頭する紫式部に不穏な気配を感じ始める……。光源氏に心奪われる女性たちに深く嫉妬した御息所の修羅の心が、道長への思いを心に秘めた式部自身の心と重なり、生き霊となって現実と物語の空間を越え始めていたのだ。愛と嫉妬と憎悪にゆがむ時空を超えた紫式部、道長、光源氏の運命。そして、陰陽師・安倍晴明がその生き霊を追う……。(goo映画より)


実は内容は期待していませんでした。
平安貴族の宮中の様子や衣装見たさでポイントで鑑賞
でも・・意外とまともというか楽しめました

「源氏物語」のお話の方は正妻葵の上の死までが描かれます。
末摘花の姫のお話も観たかったけど、本題を思えば割愛されても仕方ないかぁ。

物語と平行して描かれるのは道長への想いが凝っていく紫式部です。それを安倍晴明が脇で見守る形で、時には物語の中に分け入って生霊となった御息所を封じることまでさせるのですが、それはちょっとやりすぎな感も

ドラマ「仁」で演じた花魁とイメージが重なってしまってついついセリフの語尾に「ありんす」を付けたくなってしまった中谷さんや、六条御息所といえば大人な貴婦人のイメージなのにちょっと若すぎないか?な田中麗奈さんや、子供っぽい印象の葵の上役の多部さんとか・・登場するキャラと演じる女優たちが必ずしも自分が思うのとは違う印象で、ミスマッチに思える人もいましたが、観ているうちに「この配役もありかな」と思えてくるのは女優たちの技量によるのでしょう。

特に生霊になるほどの嫉妬心を演じてみせた田中さんは凄い。ただそのシーンがともすればホラーちっくになるのは演出的に残念な感じ

もちろん道長役の東山君や光源氏の斗真君の美しさもです。幻想的な舞いのシーンなど美しさ溢れる豪華絢爛な絵巻物語になっています。貴公子と美女たちとの秘め事も厭らしくならない程度に官能的に描かれています。

己の中の「鬼」に気付いた紫式部が身を引く(都を去る)という結末ですが、今も昔も嫉妬は人を狂わせ運命を変えていくのねぇ 

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リアルスティール

2011年12月14日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2011年12月9日公開 アメリカ 

才能溢れるボクサーだったチャーリー・ケントン(ヒュー・ジャックマン)は、高性能のロボットたちが死闘を繰り広げる“ロボット格闘技”の時代の到来により生きる場所を失った。今では古馴染みのベイリー(エヴァンジェリン・リリー)に支えられ、辛うじてロボット格闘技のトレーナーとして生計を立ててはいたが、乏しい資金力で手に入れられるロボットはなる、リングの上であっという間にスクラップ状態に。そんな彼の前に、赤ん坊の時に別れたきりの11歳の息子マックス(ダコタ・ゴヨ)が現れる。最愛の母を亡くしたマックスは、チャーリーに心を開くはずもなく、親子関係は最悪のまま2人は暮らすことに。ある日、2人はゴミ捨て場でスクラップ同然の旧式ロボット“ATOM”を発見する。それが、彼らの人生に奇跡を巻き起こす“運命の出会い”であることに、チャーリーもマックスもまだ気づいていなかった……。

格闘技は基本的に苦手です。でもこの物語では人間が闘うのではなくロボットということと、基本的には父と子の絆のお話ということに惹かれてチョイス。
レディースデーですが、かなり席は埋まっていました。

前半、チャーリーのダメダメぶりがこれでもかと出てきます。後先考えずに事を先走るチャーリーは、せっかく手に入れたロボットも特性を理解する前に試合に出して、結果ぼこぼこのスクラップ状態にしてしまいます。息子のことも、お金と引き換えに養子に出すのを承諾する始末です。

そんな父を醒めた目でみるマックス(めちゃ可愛い子役ね)ですが、ロボット格闘技への興味は父譲り。ゲームっ子でもあり、父のチャーリーより性能に詳しいくらいです。
父子の出会いの時に出てくるノイジー・ボーイというロボットには日本帰りの設定で「男」や「悪」という漢字が書かれています。またマックスが興じるゲームにはWiiソフトもあり、日本の観客を意識しているようにも思えますが、それだけゲーム先進国というイメージがあるのかな そもそもATOMという名前自体あの名作を連想されるものね。

偶然見つけたATOMは身体も小さく格闘ロボットのスパーリングの相手用に作られたものでしたが、ある特別な機能を持っていました。それは相手の動きをマネすることで闘いを学ぶシャドー機能です。それに気付いたマックスは父を説き伏せ試合に出させます。
そしてぐんぐん頭角を現し、やがて最強ロボット・ゼウスとの試合が実現するのです。
マックスとATOMが試合前の入場で披露するダンスがとても愛らしく劇中の観客と同様楽しめました。

その間に父子の関係も良い感じになっていきますが、マックスの将来を考えたチャーリーが彼を手放すことを決意するのです。そしてマックスとの最後の約束がこの試合というわけ。

私はまともに観たことないけれど、「ロッキー」と展開が似ているのかな?
敵役のロボットもそれを操る人たちも憎々しげに大仰に描かれているので、遠慮なくATOMを応援できます

音声機能を壊されたATOMの窮地にシャドー機能で対抗するシーンではチャーリー演じるヒュー・ジャックマンの華麗なステップが楽しめました

試合結果は判定負けですが、実質的には大勝利な結末にも満足です。

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SOMEWHERE

2011年12月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年4月11日公開 アメリカ 98分

ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ(スティーヴ・ドーフ)は、ロサンゼルスのホテル“シャトー・マーモント”で暮らしている。フェラーリを乗り回し、パーティで酒と女に溺れる日々は、華やかさとは裏腹に孤独で空虚だった。ある日、彼の元に前妻レイラと同居する11歳の娘クレオ(エル・ファニング)がやってくる。久しぶりに娘と過ごす時間。ジョニーの友人サミー(クリス・ポンティアス)を交えてゲームに熱中したり、イタリアでの授賞式に参加したり、卓球に興じプールサイドでまどろむ2人。ジョニーが寝ている間に朝食の支度をするクレオ。他愛のない会話。それは本来なら父と娘が触れ合うごく普通の風景だった。そしてジョニーは自堕落な生き方が置き去りにしてきた大切なものに気付いていく・・・。


映画界の“巨匠”フランシス・フォード・コッポラ監督の娘であるソフィア・コッポラならではの視点で描かれた作品でしょう。ハリウッドで育ち経済的に恵まれてはいるけれど、親の都合で振り回される生活で、周囲の大人に笑顔で愛想良く振る舞う処世術を身につけざるをえない少女は、まさにソフィア自身のように見えます。エルちゃんの透明感のある美しさが抜きん出ていました。

クレオがやってくる前の自堕落な女性関係は、彼女がきてもすぐに解消されるわけではなく、イタリアでは女性と三人で朝食のテーブルに着くようなこともあります。またスターとして常に視線に囲まれた生活に、慣れとある種の諦観を持って臨む二人の様子も描かれます。・・・やっぱり彼らの世界は一般人とは異なる日常であり感覚なわけで 物語の本質は、普通の父娘の触れ合いを描いただけなんですよね。それが眩しい宝物のように輝いて見えるのは、それだけ彼らが特殊な環境にいるって証でもあるんじゃないかしらん?

ジョニーは束の間の愛娘との生活に夢を求め、現実の怠惰な生活から抜け出そうとしているようだけれど、でもやがてまた元の自堕落な生活に戻っていくのでしょう。だって普通の人になっちゃったらこの世界で生き残れないでしょ? だからこそ一瞬の宝物としてこの「休暇」が輝きを持つのでしょう。

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マリア様がみてる

2011年12月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年11月6日公開 90分

長い歴史と伝統を誇るカトリック系お嬢様学校、私立リリアン女学園には、生徒自身の自立性を重んじ、上級生が下級生を指導する“姉妹(スール)制度”が存在する。ロザリオ授受の儀式を行い、“姉妹(スール)”になることを誓うと、周囲からも特別親しい間柄と認められる。お姉様がいることは、下級生にとってはステータスである。リリアン女学園では、一般の学校で生徒会にあたる組織を“山百合会”と呼ぶ。山百合会は、ロサ・キネンシス=紅薔薇さまの水野蓉子(平田薫)、ロサ・ギガンティア=白薔薇さまの佐藤聖(滝沢カレン)、ロサ・フェティダ=黄薔薇さまの鳥居江利子(秋山奈々)の3名と、その妹たちで取り仕切っている。そんな学園で平凡な日常生活を送っていた1年生の福沢祐巳(未来穂香)は、ひょんなことから、全校生徒の憧れの的、ロサ・キネンシス・アン・ブゥトンの2年生小笠原祥子(波瑠)から、妹になる申し出を受け、薔薇さまたちが主催する学園祭の舞台『シンデレラ』の制作に参加することになる。


原作は今野緒雪の少女小説です。
名門女子高を舞台にした青春物語といった趣でしょうか

女子高には当然女の子しかいない(先生は除く)ので、憧れの「お姉さま」は実際存在する率の高いものです。そして生徒会というのもなかなかステイタスのある存在ですから、それらを合体させたこの物語は初めからがっちりと女の子のハートを掴んでいるんだな

平凡な福沢祐巳(とはいえ、エスカレーター式に進級してきた生粋のお嬢様なんだな)は、憧れの祥子から突然妹の申し出を受けて、いきなり華やかな薔薇様たちと関わっていくことになります。男嫌いの祥子が王子役の男子校の生徒会長の相手役をするのが嫌だったから、逃げ場として一番初めに出会った自分を選んだのではと疑う彼女は、素直に妹の申し出を受けられません。そりゃ、祐巳の立場なら当然の反応よね

祐巳が申し出を受けたらシンデレラになるという賭けをさせられて、共に舞台の練習をするうちに、互いに相手のことを知るようになり、祥子が何故男嫌いになったのかもわかります。
賭けの結果はともかくとして、この出来事で二人の間に強い絆が生まれるのでした。

おそらく好き嫌いの別れるジャンルだと思いますが、私は好き

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ラスト・ターゲット

2011年12月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年7月2日公開 アメリカ 106分

スウェーデン、ダラルナの森の一軒家で女性と一夜を過ごしたジャック(ジョージ・クルーニー)は、翌朝白銀の世界で何者かに狙撃される。間一髪で命拾いした彼は、狙撃手と連れの女性を同時に撃ち抜く。ジャックはイタリア・ローマに移動し、組織の連絡係パヴェル(ヨハン・レイゼン)に自分が襲われた理由を問いただすが、身を隠して連絡を待てと指示される。
カステル・デル・モンテでアメリカ人カメラマンとして、身を落ちつけたジャックは、室内トレーニングと双眼鏡での屋外観察を日課としながら日を送り、ベネデット神父(パオロ・ボナチェッリ)と知り合う。ある日、パヴェルから潜伏中の仕事の依頼をされたジャックは、マチルダ(テクラ・ルーテン)という若い女に減音器付き狙撃ライフルを制作する一方、なじみの娼婦クララ(ヴィオランテ・プラシド)に昼間のカフェで偶然出会い、夜と違った明るく美しい表情に魅かれていく。クララと共に生きることを決意したジャックは今回の仕事を最後に足を洗うとパヴェルに告げるが・・・・。

う~~ん・・・クルーニーの作品って『オーシャンズ11』やコメディ以外、どうも自分の好みから外れている気がします。

一匹狼で孤独な魂を抱えて生きてきた殺し屋が、初めて心を許して愛せる女性と出会い、共に生きることを決意した矢先の悲劇がこの物語の展開なんだけど、そもそも突然の襲撃を受けた時点で「おかしいな」と思うのがプロだと思うし、潜伏先があっさり見つけられて暗殺者が現れた時にも絶対予見できる筈だもの。 

途中でクララに疑いを向けるような小細工もあるけれど、これは観客サービスが透けて見えるし、ジャック自身が銃の納品時には事の真相に気付いていたのもバレバレで、展開読めちゃうんですよね。その割りにあっさり相打ちになってるし、なんか独りよがりな男のロマンを見せられている感がありました。この手のお話が好きな向きには楽しめると思います。

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レジェンド・オブ・シルバー ~借りぐらしの妖精~

2011年12月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年SKIPシティ国際Dシネマ映画祭上映作品 ノルウェー 83分

遥か昔、世界が闇に覆われていた時代。雪山のてっぺんの洞窟に住む“青の妖精”は、昼と夜の移り変わりを司る“銀の砂(マジック・シルバー)”を守って暮らしていました。老齢の王にはフェルローサという娘がいましたが、勇気のない彼女は、仲間が外界に出て遊ぶ時も、時間が過ぎて戻れなくなることを恐れて外に出ることが出来ませんでした。けれど父王の病を知り、これを治す方法を太古の精霊に聞いて、人間からあるものを拝借しようと勇気を奮い起こして外界へ出かけます。そこで出会った赤の妖精の王と名乗る男の子ドゥレンに人間の家を教えてもらい、何とかそれを拝借することに成功するのですが、それが元で借りぐらしの赤の妖精たちをトラブルに巻き込んでしまい・・・。

妖精を演じた子供たちの可愛さが、まさに純粋なファンタジーの世界にぴったり
勇気がなくて臆病だった姫と、王位を譲り受けたばかりで周囲の信頼を得られていない若い(というより幼い)王が出会い、共に困難に立ち向かう中で互いにその立場に相応しい成長を遂げるお話でもあります。

青の妖精はとんがり帽子に青の衣装、赤の妖精は赤い帽子と衣装でわかりやすいけれど、普通に人間サイズなのが意外なような・・

農場を追い出された赤の妖精たちに責任を感じたフェルローサが、彼らを青の妖精の洞に連れてきてしまったことは青の妖精のきまりを破ることでした。それによって大切な「銀の砂」を人間に奪われてしまうことにもなりました。けれど、本当の原因は赤の妖精の一人が盗みを働いていたからで、それを知った二人は盗んだものを取り返してそれを人間に返すために危険を承知で再び外界へ出かけていきます。

彼らが出かけた後、他の妖精たちも協力して二人を助けることを決めます。
青の妖精は仲良く助け合うことがモットーですし、赤の妖精も元来気の良い連中ですから、争い事といってもすぐに収まってしまうのが人間との違いといえるかも

また、農場主の青年の方も、ちょくちょく物が失くなるのは妖精の仕業と気付いていても許容していたのですが、大切なお金や指輪まで盗られたことで切れちゃったんですねなぜってそれは、好きな女性を喜ばすために必要なものだったからです。だから全てが丸く収まった後、彼(と女性)が借りぐらしの妖精たちを再び受け入れてくれて嬉しかったなぁ

さて、フェルローサとドゥレンは互いの得意とする知恵を合わせて「銀の砂」を取り戻し、他の妖精たちの協力で無事元の場所に戻します。一方盗人の妖精はドゥレンの説得に耳を貸さず欲張ったあげくに人間に姿を見られて消えてしまいました。(妖精は人間に見られると消滅しちゃうのだそうです)自分の力が及ばなかったと肩を落とすドゥレンは王としての責任を自覚しています。そしてフェルローサの方も女王となるに相応しい勇気を手に入れています。二人は共に仲間の妖精たちに認められる存在になったのです。

父王が「山に呼ばれ」た後、フェルローサは立派に女王として青の妖精たちを率いていくだろうことは想像に難くありません。めでたしめでたしじゃ

実は初めのうち、「借り暮らしのアリエッティ」の二番煎じの子供だましのお話だろうなんてタカをくくっていたのですが、どうしてなかなか素敵なファンタジーでした。

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