杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ルノワール 陽だまりの裸婦

2014年07月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年10月4日公開 フランス 111分

1915年、コートダジュールで人生の黄昏期を迎えていた印象派の巨匠ルノワール(ミシェル・ブーケ)は、病気のため満足に絵筆が握れなくなっていた。さらに最愛の妻を亡くし、息子ジャン(ヴァンサン・ロティエ)が戦地で負傷したという知らせも届き、失意のどん底にいた。しかしある日、彼の前に美しい娘アンドレ(クリスタ・テレ)が現れる。光を纏ったような彼女は溢れんばかりの生命力と輝くような美しさをたたえ、ルノワールに画家としての活力を吹き込む。ルノワールはアンドレを最後のモデルに、『浴女たち』の創作を始める。それは後に、彼自身により生涯最高傑作と位置づけられるのだった……。(Movie Walkerより)



ルノワールのひ孫で、写真家のジャック・ルノワールが書いた祖父ルノワールの伝記小説が原作です。
暖かな色合いのルノワールの絵は見ていて癒されます。
その印象派の巨匠と呼ばれる彼の晩年を描いた作品ということと、舞台となる南仏コート・ダジュールの景色見たさにレンタルしました

病に侵され不自由な手でキャンバスに向かうルノワールの姿からは強い使命感のようなものが漂ってきました。私の絵に暗い色は必要じゃない!というルノワールの言葉の中に、世界が戦争に向かう中で、せめて絵の中に平和をという彼の意志が伝わってきました。

足の不自由なルノワールを世話するのは女性ばかり。(おそらく男性は出征しているのでしょう。)
泉に出かける時もアトリエと寝室を行き来するのも椅子に座って彼女たちに担がれて行くの。
画家として成功していたこともあり、生活は豊かで満ち足りていたようです。

彼の遺作となった「浴女たち」の創作場面も作中に登場します。
戦争の暗い影の落ちる世間とかけ離れた、穏やかで煌めく風景に心奪われます。

彼の最後のミューズとなったモデルのアンドレは後に息子のジャン・ルノワールと結婚したんだそうな。
ジャンは有名な映画監督になったんだそうな・・・調べてみたら『女優ナナ』『どん底』『ピクニック』などなんとなく聞いたことがあるような作品名が。でもどれも未見ですが

それにしてもルノアールが魅せられたアンドレの光を吸い込むような肌、美しかったです

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タイガー 伝説のスパイ

2014年07月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年4月20日公開 インド 132分

インド諜報局RAWの最強スパイ“タイガー”(サルマーン・カーン)は、敵国パキスタンに寝返った元同僚を始末する。ところが新たなミッションで向かったダブリンで、ゾヤ(カトリーナ・カイフ)という女性に一目ぼれ。しかし、彼女はパキスタンのスパイだった。“タイガー”は愛に生きる道を選び、決して結ばれてはいけない相手と共に逃避行を続けるが、それは全てを敵に回す壮絶な戦いの始まりであった……。   


先日観たインド映画が面白かったので、そのDVDに入っていた作品紹介からチョイスしてみました。
トム・クルーズばりの颯爽とした?スパイが敵国のスパイと恋に落ち、手を取り合って逃避行を繰り広げるアクション恋愛作品ですが、いきなり歌と踊りが入るのはさすがインド映画だ!!でもタイガー役の俳優さんはトップスターらしいけれど、もう少し若い俳優さんの方が良かったような・・

インドとパキスタンってアメリカと旧ソ連みたいな関係なの?とか、社会情勢に疎い時点で作品の背景の理解には欠けてしまうのだけど、アクションやロマンスなど内容的には問題無く楽しめました。
彼らが訪れる国々(アイルランド、トルコ、キューバなど)の映像も異国情緒たっぷりで観光気分も味わえます

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思い出のマーニー

2014年07月23日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年7月19日公開 103分

札幌に暮らす12歳の内気な少女・杏奈(高月彩良)は、悪化するぜん息の療養のため、夏の間、田舎の海辺の村に住む親戚に預けられることになる。しかし心を閉ざす杏奈は、村の子どもたちとも馴染めない。ある日、村の人々が「湿っ地屋敷」と呼ぶ湿原の古い洋館で、杏奈は金髪の少女マーニー(有村架純)と出会い、秘密の友だちになるが……。


イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学「思い出のマーニー」のアニメ映画化です。
ヒロインが日本人少女なので、舞台も北海道になっています。

杏奈は幼い頃に両親と祖母を亡くして頼子(松嶋菜々子)に引き取られています。
しかし、ある事実を知り頼子に不信感を持つようになり、彼女にも周囲にも心を閉ざしてしまっているの。
頼子は心配性であれこれ口を出すのも杏奈にはストレスになっていて、その結果喘息も悪化の一途というわけです。おそらく、主治医(大泉洋)はそんな母子関係を察して杏奈の療養を薦めたものと推察できます。

預け先である大岩夫婦(寺島進・根岸季衣)はおおらかで明るい人たちです。頼子のようにあれこれ世話を焼くのではなく、杏奈がしたいように好きに振る舞わせてくれます。
地元の子とトラブルになった時も、杏奈を信用してくれて叱ったりはしません。

マーニーと過ごした二人だけの秘密の日々は、楽しさと喜びに満ち、諍いさえも二人の絆を深めることになりました。ジブリアニメは、自然や建物、内装等の精緻な描写にも定評がありますが、今回も湿地の様子や洋館で開かれる華やかなパーティ、野菜畑の瑞々しいトマトなどに

杏奈とマーニーの出会いは、本人も現実とは思っていないのですが、観客としてはマーニーの正体が気になるところ。幼い杏奈が抱きしめていた金髪の人形が頭をよぎるのですが、実は・・・
でも、ちゃんと伏線はあったんですね~~目の色とか・・
互いの孤独な心が二人を引き寄せたのだと思ったのも少し違っていました


ここからネタバレ


杏奈が頼子に心を閉ざしたのは、自治体から養育補助が出ていることを知ったから。自分が引き取られた理由がお金にあったのだと誤解してしまったんですねでも、マーニーと過ごした夏が杏奈を少し大人にしてくれました。確かにお金を受け取っていたことは事実だけれど、それ以上に頼子が自分を愛してくれていたことを理解できるようになったのです。

マーニーの生い立ちとその後の人生は、いつも湿地の洋館を描いている久子(黒木瞳)から聞かされます。久子はマーニーの幼馴染だったのです。この時「あれ?ではマーニーは杏奈の・・・」と心当たるのですが、肝心の杏奈の反応がまるっきり他人事なの。まぁ、随分幼い時に肉親を亡くしているのだから記憶してなくても仕方ないんですが、おかげで観客もはぐらかされちゃう

真実は頼子が杏奈に渡した一枚の写真で明らかになります。それはあの洋館で、裏にはマーニーの署名がありました。そして写真の持ち主は杏奈の祖母だったのです。やっぱりね~!!

東京から越してきて洋館に住むことになったさやかは、マーニーの日記を見つけたことがきっかけで杏奈と友達になります。夏の終わりに謎も解けるのですが、きっと二人はこれからも友情を育んでいくのだろうなぁとか、さやかの兄とはが芽生えるかも~とか余計なことまで想像しちゃったよ

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カイロ・タイム 異邦人

2014年07月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年10月12日公開 カナダ=アイルランド  90分

パレスチナ・ガザ地区で働く国連職員の夫マークと休暇を過ごすため、エジプトの首都カイロを訪れた女性誌の編集者のジュリエット(パトリシア・クラークソン)。しかし夫は遅れて来ることになり、勝手のわからない街の中でジュリエットは心細さを覚える。そんな彼女に、以前マークの警備をしていたエジプト人のタレク(アレクサンダー・シディグ)が案内役を買って出る。由緒のある建造物や古い街並み、街がたたえる情緒やここに暮らす人々など、ジュリエットはタレクのおかげでカイロの魅力に触れることができた。そして一緒に過ごすうちに二人は惹かれあうようになるが……。


内容は大したことないけどエジプト・カイロの観光ビデオとしての価値は高いという評価があるけれど、確かに・・・と思っちゃいました
町の喧騒や男性専用カフェ、水タバコを燻らす様、ナイル川下りや雄大なピラミッドなど、いかにも異国情緒満載といった感じです。

ジュリエットと夫はそれぞれ仕事に忙しくすれ違いの生活が長かったように見えます。子供たちは独立しましたが、長男が親の承諾無しに勝手に結婚を決めたことに憤慨しているようでもあります。いつまでたっても息子は可愛い存在だからねぇ。気持ちはわかるわ
夫婦のバカンスを楽しもうとやってきたのに、肝心の夫は仕事が長引いて、いつ会えるかの予定も立たず、
アメリカとは風土も慣習も違う異国の地に一人ぼっちなのですが、けっこう大胆に歩き回っているようなある意味怖いもの知らずの行動力はいかにもアメリカ女性らしい気がしました。それでも日々寂しさが募っていきます。

空港でジュリエットを迎えてくれたのは、夫が手配していた彼の元警備担当のタレクです。二人の関係は仕事を超えた友情に近いものがあるようです。なのでジュリエットがタレクを頼るのも自然なことだったのかも。初め、タレクは単に元ボスの奥さんという意識しかないように見えましたが、異国で心細そうな彼女の姿に同情心が湧き、やがてそれは仄かな愛情に変わっていきます。

エジプトといえばピラミッド。夫と行くはずのその場所にジュリエットがタレクと訪れる場面は、朝焼けに輝く美しい場所で、二人は互いの感情を共有します。
しかし二人をホテルで待っていたのは遅れてやってきた夫です。タレクとジュリエットの関係はこの瞬間に出会った時のそれに戻ります。何事もなかったように夫と再びピラミッドの前に立つジュリエットの心の中にはどちらがいたのかしら?

タイトルが示すように、見知らぬ異国でのひと時のときめきのお話です。たぶん本国へ帰れば思い出の一ページとして心の底にしまわれてしまう、そんな気がしました。

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セイフ ヘイヴン

2014年07月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年10月26日公開 アメリカ 116分

ボストン発の長距離バスがノースカロライナ州の小さな港町サウスポートに着いた時、一人の女性が下車する。ケイティ(ジュリアン・ハフ)と名乗るその女性は、海辺のレストランで働き、森の中のキャビンを借りて生活を始めるが、その不自由な暮らしぶりを見かねたシングルファーザーのアレックス(ジョシュ・デュアメル)が助けの手を差し伸べる。初めは警戒していたケイティだが、近所に住むジョー(コビー・スマルダーズ)のアドバイスもあり、いつしか2人は親密になっていく。しかしそんなある日、アレックスは警察署でケイティの指名手配書を目にし・・・・。


恋愛ものがお得意のニコラス・スパークスの小説が原作でラッセ・ハルストレムが監督ということで、安心して楽しめる作品だろうと想像した通り、ハッピーエンドで良かったです。

冒頭でナイフを手にしたケイティが隣家に助けを求めるシーンが意味深です。髪の色を変えて長距離バスに乗り、警官の追跡を逃れて小さな田舎町に落ち着いた彼女は、なるべく人目を避けてひっそり暮らそうとします。(長距離バスの中継地にとどまることは危険だと思うんだけどね。)アレックスの好意にも背を向けようとするのですが、隣人のジョーが「南部では当たり前の親切で、無下に断る方が失礼」との助言を受け入れ、彼の娘とも仲良くなって徐々に二人の仲が縮まっていくのです。美しい南部の風景と温かい人情が傷ついた彼女の心をゆっくりと癒していきます。

このままハッピーエンド・・なわけはなくある日アレックスは殺人で指名手配となったケイティの手配書を見つけ彼女を問い詰めるのです。実はそれは彼女のDV夫が警官という立場を利用して逃げ出した彼女を見つけるために勝手にでっちあげたものでした。アルコール依存の夫は、彼女に執着してストーカーのごとく追ってくるのです。
アレックスの娘と共に窮地に陥る場面はさながらサスペンス映画です。
正当防衛とはいえ結局夫を殺してしまうのはなんだかな~でしたが、まぁアメリカ映画らしいともいえますね。生きていられたらず~~っと追いかけてきそうだもの

それから最後にもう一つサプライズな真実が明かされます。
さり気なく、でも何度も登場する隣人のジョーの正体がこの監督らしい設定だなぁと思ってしまったよ

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ダイバージェント

2014年07月14日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年7月11日公開 アメリカ 139分

最終戦争から100年後の近未来。人類は過去の経験から、国家・人種・宗教という概念を捨て、新たな社会共同体を作り上げた。それは一生に一度の「選択の儀式」という性格診断テストにより、人類を「勇敢(ドーントレス)」「無欲(アブネゲーション)」「平和(アミティー)」「高潔(キャンダー)」「博学(エリュダイト)」の5つの共同体に分類し、その中で生平和的に生きるというものだった。
「無欲」の家庭で育ったベアトリス(シャイリーン・ウッドリートリス)も16歳になり、診断の時を迎えるが、結果はどれにも当てはまらない 「異端者(ダイバージェント)」だった。異端者は未知の力を持ち、人類を滅ぼす脅威と見なされて抹殺される運命のため、検査官(マギー・Q)はベアトリスに事実を隠して「無欲」として生きるよう忠告するが、彼女は「勇敢」を選択し、名前もトリスと改名する。軍事・警察の機能を担う「勇敢」での激しい戦闘訓練に耐えるトリスは心身ともに強さを身につけていく。その頃、政権を担当する「無欲」に対する抵抗運動が勃発。同時に何者かによる「異端者」暗殺計画が動き始め、トリスの身にも危険が迫りつつあった。


ヴェロニカ・ロスの『ダイバージェント 異端者』が原作です。映画は三部作になるんだとか。どうりで「・・・続く」な終わり方だった

最終戦争に生き残った人類が選択したのは平和な世界の筈だったんですが、だからといってたった一度の性格診断で一生が決まってしまう社会というのもなんか変
そもそも全て綺麗に5つに分けてしまえるほど単純じゃないっしょ、人間って
というわけで、分類しきれない者が出てくるのは当然の結果だと思うのですが、それを脅威とみなして排除しようとするんだから、この世界の秩序も崩れかけているってことなんですね。

異端者であることがわかれば、即抹殺の運命ですから、これは何としても隠し通さねばならない。でもこのまま「無欲」として生きるのはどうにも性に合わない。となれば、小さい頃から密かに憧れていた「勇敢」として生きていく方が良いのではないか?散々悩んだ末にベアトリスは決断します。一緒に儀式を受けた兄のカレブ(アンセル・エルゴート)も「博学」を選び、二人の両親の心中を思うとこの場面は胸が痛いな。 家族より共同体が重んじられる世界なのです。

「勇敢」でトリスと改名し、次々に試練を乗り越えていくうちに、彼女は心身共に成長し、「高潔」からの志願者であるクリスティーナ(ゾーイ・クラビッツ)と友情を育み、フォー(テオ・ジェームズ )との間には恋も生まれていきます。実はフォーは本名をトビアス・イートンといい、「無欲」の指導者マーカス(レイ・スティーブンソン)の息子でした。
恐怖を乗り越える精神訓練のエピソードで彼の恐れるものは高所と閉所、そして父親だったのですが、この親子関係は次作に繋がる伏線となっているようです。

肉体の訓練ではギリギリで合格したトリスですが、精神訓練では「勇敢」では考えられない素質を発揮したため、フォーはトリスが異端者であることに気付きます。しかし彼は「勇敢」ならどう対処するかをトリスに教え、彼女を庇おうとします。これって・・恋よね

フォーの助けで何とか試験を乗り切ったのも束の間、今度は「博学」の指導者ジャニーン(ケイト・ウィンスレット)らが政権奪還を目論んで「勇敢」を掌中に収め、「無欲」への襲撃を開始します。生まれ育った共同体の危機に二人は思わず反抗、正体を見破られたトリスは処刑されそうになりますが、彼女を救ったのは母のナタリー(アシュレイ・ジャッド)でした。母は娘が異端者であることを見抜いていて、心配して見守っていたのです。命がけでトリスを守った母の愛の深さに

再会した父アンドリュー(トニー・ゴールドウィン)や兄、マーカスと共にジャニーンら「博学」の企みを阻止するため「勇敢」に戻ったトリスは戦いの末、「無欲」の人々を守ることに成功します。そして生きていくべき「家」を失ったトリスとフォーは共同体を出て新たな地へ旅立つのでした・・・。って・・・???あぁ、まだ続くのねとここでやっと気づいたのでした

それぞれの共同体で暮らす人々は衣服も同じような色合いで統一されています。
勇敢はタイトな黒服で体にタトゥーを施し「無欲」は灰色の服、「博学」は紺のスーツで「平和」は黄色と赤の服、「高潔」は白と黒の服といった具合。慣れればスクリーンの中で誰がどの共同体か一目瞭然というわけです

物語は幕を開けたばかりという印象で、この先の展開はまだ読めませんが、それにしては初回長過ぎじゃないのか?

異端者はトリス以外にもたくさんいそうだし、どの共同体にも属すことができずに社会の底辺で生きることを余儀なくされている人たちもいるし、彼らがこの世界を変えるきっかけになりそうね。

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ゲノムハザード ある天才科学者の5日間

2014年07月09日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年1月24日公開 韓国=日本 120分

ある日、帰宅した石神武人(西島秀俊)は、妻が殺されているのを発見する。ところが、死んだはずの妻・美由紀(真木よう子)から電話がかかってきて彼の混乱はMAXに。そこへ警察を名乗る男たち(パク・トンハ)がやってきて彼を拉致しようとするが、逃げ出した石神は、女記者カン・ジウォン(ム・ヒョジン)の車にぶつかったことで彼女と行動を共にすることになる。やがて彼は自分の記憶が何者かに上書きされているということに気付く・・・。


司城志朗のミステリー小説「ゲノムハザード」の映画化だそうですが未読。
選択動機は、脱いだら凄い俳優・西島さん目当てですお約束のように上半身をちょっとだけサービスしてますしかし、春ドラマ「MOZU」でもヘビースモーカー役でしたが、こちらも喫煙シーンの頻度高し。時代に逆行してるし体に悪そうなんだけどなぁ・・ってきっと本当には喫ってないんでしょうけど

日韓合作ですが、「頭脳明晰な韓国人科学者オ・ジヌが狡い日本人科学者・佐藤博士(伊武雅刀)とアメリカの大手医療メーカーに窮地に落とされながらも真実を求めて戦う」的図式(日米が悪者)は韓国人監督だからでしょうか

(ネタバレ)
石神は本当はオ・ジヌという韓国人で、遺伝子工学の研究員でした。アルツハイマー治療の研究課程で生まれたウィルスに、人の記憶を他人に移すことができるという特性が見つかったのですが、研究所の所長の佐藤博士が交通事故を起こして被害者である本当の石神を始末する際、彼を実験に使い、それを知ったジヌともみ合ううち、彼にウィルスが注入されてしまったのです。

このことで記憶が上書きされてしまったジヌは以来石神として別の人生を生きていたわけ。
彼は生きた貴重な実験データですから、博士は監視役に美由紀と伊吹(浜田学)を付けたのですが、美由紀はいつしか本当に石神(ジヌ)を愛してしまいます。ところが、ジヌにはハン・ユリ(中村ゆり)という妻がいて、実は殺されていたのはユリの方だったのです。
ユリは消えた夫を探して遂に居場所を突き止め、美由紀に夫を返してと詰め寄り揉み合った際、不幸にも頭を打って亡くなったのでした。

そんな事とは知らない石神は、ユリの死のショックがきっかけて徐々に本当の自分の記憶を取り戻していくのですが、それはウィルスの効き目が丁度切れる頃合いでもあったようです。
アメリカ企業は、ウィルスで記憶を保存できることに注目し、彼を狙っていたのですが、このウィルスは時限的な効果しかなく、逆にアルツハイマーを起こすという厄介なものだったわけです。

結局ジヌは命は助かるのですが、石神としての記憶は失われていて、カン・ジウォンと再会しても彼女のことを覚えていないの。ただ、記憶は亡くなっても思い出はどこかに残っている、というラストでした。

しかし・・・カン・ジウォンって何者?記者という設定なのに警察めいた行動(というよりスパイっぽい)なんですけどウィルスも何だかよくわからない説明だし、そもそも外国人研究員が消えたらけっこう問題になると思うんだけどなぁ本読んだらもう少しはっきりするのかなぁ?でも映画と若干異なってるらしいし・・・う~~ん・・。



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オンディーヌ 海辺の恋人

2014年07月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年製作 アイルランド/アメリカ 111分 日本劇場未公開

アイルランドの田舎で漁師をしているシラキュース(コリン・ファレル)は、ある日、網に美しく若い女性(アリシア・バックレーダ)がかかっているのを発見する。彼女は意識を失っていたが目を覚まし、名前がオンディーヌであると告げた後、自分の存在を誰にも知らせないでほしいと頼んできた。シラキュースは彼女を家に連れ帰り、娘アニーと三人で暮らし始める。アニーはオンディーヌが海の精か人魚だと信じており、確かに彼女の周りでは不思議なことが起きていた。シラキュースとオンディーヌは恋に落ちるが、彼女には人には言えない秘密が…。


ヒロインが水の精の名前だったりと、一見ファンタジー風な作りなんですが、現実は麻薬密売人の女性が身元を偽っていただけといったら身も蓋もないか
コリン・ファレル、カッコいいんですがやっぱりあのゲジゲジ眉がロマンチックさを帳消しにしてしまうんだなぁ~これは好みの問題なのでどうしようもないんですが。ファンの人、ごめんなさい。

アイルランドという土地の持つ不毛感や寂寥感に漁師や密輸で細々と暮らす社会の底辺に生きる人々の姿が重なって見えるので、結末に明るさというか希望があるのが救いかな。

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マレフィセント

2014年07月07日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年7月5日公開 アメリカ 97分

ある王国で、念願のロイヤル・ベビー、オーロラ姫の誕生を祝うパーティーが開かれ、招待客たちが見守る中、3人の妖精たちが次々に幸運の魔法をオーロラ姫にかけていく。「美しさを贈ります」「いつも幸せに包まれますように」…だが、3人目の妖精の番になった時、“招かれざる客”である邪悪な妖精マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)が突如現れ、オーロラ姫に恐ろしい呪いをかけてしまう──「16歳の誕生日の日没までに、姫は永遠の眠りにつくだろう。そして、真実の愛のキスだけが姫の眠りを覚ます」と。
幸運の魔法の通り、オーロラ姫(エル・ファニング)は幸せに包まれ、美しい娘に成長していく。その姿をいつも影から見守るのは、あのマレフィセントだった。その視線が時に温かな感情に満ちていることを、必死に隠しながら。そして、オーロラ姫が16歳になる瞬間を、密かに恐れながら…。
なぜ彼女はオーロラ姫に呪いをかけねばならなかったのか?──その謎を解く鍵は、人間界と妖精界とのあまりに悲しい戦いの歴史と、マレフィセント自身の封印された過去にあった。マレフィセントの呪いは成就してしまうのか?そして、呪いがマレフィセントとオーロラ姫にもたらす驚くべき運命とは? (公式HPより)


最近のディズニーは王子様の活躍が全くといってよいほど見られない。
半世紀前にはお姫様はただ王子様の登場を待ち、彼と出会うこと=幸せであったけれど、現代のプリンセスは王子なんていなくても自分の力で未来を切り開くパワーを持っている。それは女性の願望が変化したことと無関係ではないだろう。最早男なんて要らないのである。そう思うとなんだかおとぎ話も味気ない気がするのは古い人間だからかしらん

さて、今回、ついに主役はプリンセスから魔女に移ったしかも愛した男に裏切られ棄てられた復讐から、男の娘を奪うのである。何だか「8日目の蝉」を思わせる内容だ男の愛する者を傷つけ、彼の苦しむ姿を見て溜飲を下げようするのだけれど、赤ん坊はあまりに無垢で愛らしかった元々優しい性質のマレフィセントには赤ん坊を憎み切ることは出来ず、いつしか彼女・オーロラ姫に対して母親以上の愛情を持ってしまうのだ。

人を呪わば穴二つとはよくいったもの。自らのかけた呪いは彼女自身にも解けない強力なもので、愛する者の非情な運命はマレフィセント自身を苦しめることになる。

対して、私利私欲のためにマレフィセントを裏切ったステファン(シャールト・コプリー)は、愛娘を襲った過酷な運命を呪い、マレフィセントを呪い、次第に心を病んでいく。映画ではオーロラの母である王妃の心情には一切触れていないが、彼女こそが一番の被害者じゃないだろうか?愛する娘と引き裂かれ、死の床にあっても夫は顔を見せることもなかったのだから・・・。

真実の愛を持つもののキスで呪いは解けるのだが、一昔前なら当然王子の出番だ。しかし今作では、一目惚れしたフィリップ王子のキスでオーロラが目覚めることはない。
絶望したマレフィセントの母性のキスが彼女を目覚めさせることになるのだ。

ところで、ステファンとマレフィセントは互いに「真実の愛など存在しない」と思っているのだが、それは二人の過去が裏切りと不実にまみれたものだからというのが哀しい。
マレフィセントを討つことに妄執するステファンに対し、彼女は許しを与えようとする。人と妖精の違いがここにあるような気がした。人の醜さが際立つステファンの最期だった。

確かに映像はファンタスティックで、姫を育てる役を命じられた参院の妖精ノットグラス(イメルダ・スタウントン)/フリットル(レスリー・マンヴィル)/シスルウィット(ジュノー・テンプル)の家事のできないドタバタぶりも笑えるし、最後はハッピーエンドといえるのだが、どうにも後味の悪さが残るのはステファン王があまりに身勝手だったからかも。

マレフィセントに命を救われたカラスのディアヴァル(サム・ライリー)が恩返しに彼女に仕えるのだが、二人の関係がなかなかよろしい彼女がステファンのように憎悪に取り込まれずに済んだのは、彼がいたからだろう。

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