杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ジャック・リーチャーNever Go Back

2017年12月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年11月11日公開 アメリカ 118分

ターナー少佐(コビー・スマルダーズ)は、ジャック・リーチャー(トム・クルーズ)がかつて所属していた陸軍内部調査部の軍人。彼女は、身に覚えのない国家への反逆行為の罪で逮捕される。リーチャーは、ターナーを脱獄させ、巨大な政府の陰謀の裏に隠された真実を暴き、彼女の身の潔白を証明しなければならない。彼らは逃亡犯として捜査網をすり抜け、重大な秘密を知ることになる。(公式HPより)

 

リー・チャイルド原作の「ジャック・リーチャー」シリーズを実写映画化したサスペンスアクション「アウトロー」の続編です。

ジャック・リーチャーは元アメリカ軍のエリート秘密捜査官ですが、今は独り放浪の旅を続けています。どうして?というのは前作あるいは原作を読まないとわからないけどそれは置いといて

喧嘩騒ぎに巻き込まれたリーチャーは、この騒動が仕組まれたものだと気付いて、元同僚のターナー少佐に会いに軍を訪れるのですが、彼女はスパイ容疑で逮捕・拘束されていました。裏を探るべく調査を始めたリーチャーにも殺人の嫌疑がかかります。ターナーを救い出したリーチャーは、軍内部の不審な動きを察知して真相を掴もうと動きます。

アフガニスタンで殺害されたターナーの二人の部下が調査していたある事実が発端となり「ハンター」から命を狙われるターナーとリーチャーですが、他方でリーチャーはキャンディスという女性から親権訴訟を起こされていることが判明します。娘とされるサマンサもハンターの標的となります。この娘がリーチャーと父娘と言っても違和感ない聡明さと大胆さを持った少女でした

ハンターの追撃をかわしながら真相に近づいていく二人ですが、サマンサの軽率な行動が危機を招いたり、逆に彼女に助けられたりの展開はけっこうスリルがありドキドキします。

将軍の汚職を暴いて事件は解決しますが、ハンターはリーチャー個人に執着しているのでそんなことはお構いなしでサマンサを狙います。クライマックスのバトルは観てるだけでも痛そうでした。 

結末としては実の親子じゃなかったんですけど、それはDNAとかの科学的証拠ではなく、サマンサらしい機転の利いた確認方法だったのもです。でも血縁の有無はもう二人の間では重要なことではなくなっています。一緒に危地を乗り越えた連帯感?が強い絆を生んだようです。それにしてもトムクルも遂に10代の子を持つ親役が似合うようになったのかとちょっと感慨深いものがありますね。


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フレンチ・ラン

2017年12月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年3月4日公開 イギリス=フランス=アメリカ 92分

パリ、革命記念日前夜、市街で爆弾テロが発生。容疑者として浮上したのは、スリの若者マイケル(リチャード・マッテン)。
捜査を担当することになったCIA捜査官ブライアー(イドリス・エルバ)は、イラクで命令を無視し、テロリスト6名を射殺した当局きってのアウトロー。いち早くマイケルを確保したブライアーは、彼が無実であることを感じ取る。ブライアーはマイケルの抜群のスリテクニックを買い、自らの無実を証明するために、捜査に協力することを持ちかける。誕生した“CIAとスリ”による前代未聞のコンビは、真犯人を探すため、パリの街を疾走する!そして、「36時間後の革命記念日にパリの街を制圧する」という犯行声明が出たことから、事件はフランスの国家的危機へと発展していく―。真犯人は誰なのか?事件に隠された巨大な陰謀とはー?(公式HPより)

CIAのはぐれ者捜査官とスリの天才がコンビを組んでテロ事件の犯人捜索のためパリを奔走するバディムービーです。
舞台はフランスですが、バディの二人はアメリカ人ってのがミソですね B級ではありますが楽しめました
 
恋人に騙され爆弾の運び屋にされたゾーエ(シャルロット・ルボン)ですが、直前に疑問を持ち悩んで頭を抱えているところを、金目の物をもっていると誤解したマイケルがそのBAGを置き引きしちゃうんですね~当てが外れてポイっとした次の瞬間BAGが爆発して死傷者が出てしまいます。ブライアーは監視カメラに映ったマイケルを探し出します。(この時の屋根の上の追いかけっこはパルクールっぽいアクションで良かったな)捕まえてみるとどうもテロリストの仲間ではないらしい マイケルのスリの腕を見て「これは使える」とばかりに犯人逮捕に協力させちゃうんですね。(冒頭のエピソードで彼のスリの腕についてはバッチリ魅せています。)
BAGの持ち主を訪ねた二人は彼女もまた騙された被害者であることを知り、これまた三人での逃走&追跡劇となっていくのでした。
 
当節テロというと疑われるのはイスラム教徒の移民です。移民排斥を唱える右翼や反対勢力は対立し、市民は過激化・暴徒化(フランス革命を連想させますね)していく中、それを裏で操っている人物によりブライアーに理解ある上司カレン(ケリー・ライリー)が殺されてしまいます。偽警官を見破ったブライアンたちは、この事件の真相(混乱に乗じた銀行強盗)に気付き、阻止すべく乗り込んでいくのです。ここからのアクションはブライアンの独り舞台ですが、マイケルやゾーエもここぞという場面でしっかりブライアンを助けています(そりゃバディものだから
 
ラストはマイケルの腕が一役買っていて、やっぱ悪人はぎゃふんと言わせなくっちゃねちょっと留飲下がりましたね。
で、マイケルはゾーエとくっついて、そんでもってCIAに入っちゃうのかな

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トランスフォーマー 最後の騎士王

2017年12月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年8月4日公開 アメリカ 149分

トランスフォーマーの起源であり「創造主」(クインテッサ)と呼ばれる異星人が、惑星サイバトロンの再生と地球侵略を計画。それを阻止すべく旅立ったオプティマス・プライムだったが、創造主に捕えられて洗脳されてしまい、人類を滅ぼすべく地球に舞い戻ってくる。一方、オプティマスが不在中の地球では、バンブルビーがオートボットの新たなリーダーとなり、復活したメガトロンとディセプティコンに対抗していた。バンブルビーらオートボットと行動をともにするケイド・イェーガー(マーク・ウォールバーグ)は、孤児の少女イザベラ(イザベラ・モナー)を助け、謎の英国紳士バートン(アンソニー・ホプキンス)の導きによってイギリスに向かうが、バートンのもとでオックスフォード大学の教授を務める女性ヴィヴィアン(ローラ・ハドック)と引きあわされる。バートンは、ケイドとヴィヴィアンに、これまで隠されていた真実を明かすが……。

 

『トランスフォーマー』シリーズ第5弾は、地球に迫る危機に、人類とトランスフォーマーの混成チームが立ち向かう図式です。監督は前作に引き続きマイケル・ベイ。

・・・このシリーズどこまで観たんだっけ

サム(シャイア・ラブーフ)が主人公だったのは三作目までよね?ストーリーが頭に残ってないぞそもそもディセプティコン対オートポッドだった筈がいつのまにか人類対トランスフォーマーになってるしおさらいしないとついていけない感がありました。

いきなりアーサー王(リアム・ギャリガン)やマーリン(スタンリー・トゥッチ)が出てきて「あれ?作品間違えちゃった?」と思ったら、トランスフォーマーとの因縁が出てきて「あ、確かにトランスフォーマーだ!」と一安心。授けられた杖により勝利を収めたあと、『ウィトウィック騎士団』が結成されて代々トランスフォーマーの秘密を守ってきたということですね。

今作ではクインテッサに洗脳されちゃったオプティマスが敵として立ちはだかり、バンブルビーと戦うのですが、ケイドとの絆が彼の目を醒まします。(このあたりの展開はベタ過ぎな気がするし、そもそもオプティマスったら簡単に洗脳されてるし~~)

対トランスフォーマー部隊「TRF」の指揮官のサントス(サンティアゴ・カブレラ)の指揮下にいるレノックス(ジョシュ・デュアメル)は以前は共に戦った仲の筈ですが、前半では敵対していて、でも対クインテッサ戦では一転協力関係になっちゃうとか、そもそもトランスフォーマーの中の相関図が頭にないので混乱してしまいました。

ちょっと和み系だったのが、ケイドの協力者で騙されてスクラップ場の副社長になってるジミー(ジェロッド・カーマイケル)や、バートン伯爵の召使のオートボッドのコグマン(ジム・カーター)のおとぼけキャラです。特にコグマンはSWのC3POを意識したキャラのようにみえました。

伯爵はウィトウィック騎士団の最後の生き残りという設定で、タリスマンを託されたケイドとマーリンの直系の子孫であるヴィヴィアンを引き合わせ、彼らを最終決戦の地ストーンヘンジへと導く役割を担っていました。(彼の最期については武器ももたずに戦火に飛び込んであっさりやられちゃったな感がぬぐえなかったのが残念)彼に情報をもたらすのは、トランスフォーマーの存在を調査していた「セクター7」の元捜査官のシモンズ(ジョン・タトゥーロ)。ちょい役ですが強烈な個性を醸し出していました。

クインテッサとの戦いは普通に考えたら人間がかなうはずない気がしますが、そこは魔法の杖とタリスマン(剣に変形)の力とそれを使う能力のある者(ケイドとヴィヴィアン)が鍵を握っているというわけです。そこに正気に戻ったオプティマスが手助けする構図

これにてようやく一件落着かと思ったら・・・まだ続くんですか?

 


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グッバイ、サマー

2017年12月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月10日公開 フランス 104分

14歳。子供でもない、大人でもない狭間の時期。画家を目指すダニエル(アンジュ・ダルジャン)は沢山の悩みを抱えていた。中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれて馬鹿にされており、恋するローラ(ディアーヌ・ベニエ)にはまったく相手にされていない。おまけに母親(オドレイ・トトゥ)は過干渉で、兄貴は暴力的なパンク野郎だ。誰も本当の自分を理解してくれる人はいない……。
そんなある日、ダニエルのクラスに変わり者の転校生がやってくる。名前はテオ(テオフィル・バケ)。目立ちたがり屋で、自分で改造した奇妙な自転車を乗り回し、家の稼業のせいで身体からガソリンの匂いを漂わせている。周囲から浮いた存在のダニエルとテオは意気投合し、やがて親友同士になっていく。学校や家族、そして仲間達、みんなが二人を枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しくて、うんざりするような毎日から脱出するため、彼らは“ある計画”を考え付く。それは、スクラップを集めて〝夢の車”を作り、夏休みに旅に出ることだった―。(公式HPより)

 

14歳の少年二人が夏休みに“動くログハウス”で旅をするロードムービーで、ミシェル・ゴンドリー監督の自伝的青春映画です。

ダニエル役の子は女の子と言われても納得の容姿。でもそれが彼のコンプレックスでもある。それなら髪を切れば良いと思うけど、それでは他に何も取り柄がない(と自分では思っている)彼にとって没個性になってしまうというジレンマがある。思春期特有の複雑な感情がダニエルを支配しています。

クラスで浮いてる彼は、転校してきて同じように周囲から浮いてるテオにシンパシーを感じます。廃品から見つけたエンジンが発端で、二人は自動車を作ります。そのままでは公道を走れない(当然年齢的にもOUT)のですが、ダニエルは外観を家にしてカムフラージュすることを思いつきます。実に楽しそうに「夢の家」を作る様子が描かれます。テオのお母さんも薄々気付いていながら見て見ぬふりをしてくれているように感じました。

夏休みに入ったある夜、親に嘘をついて旅に出た二人。(ダニエルは兄には本当のことを打ち明けていて、兄も彼にスマホを持たせて協力的です。これは母に心配をかけないための工作でもあって、やはり男の子は母親に優しいんだな~とか筋書と関係ないことで嬉しくなったりでもそのスマホは悲惨な運命を辿るのですが)途中で出会った警官たちも家の外観に騙されます。窓辺に飾った花鉢が効いてるんだな~~(いやいや、普通道路の端っこにそんな建造物があったら疑問を持つと思うんだけどね

旅の途中で出会ったちょっと変わった大人たち(風俗店のおねーさんや不良?たち、子供に家を出ていかれた歯医者の夫婦)とのエピソードが愉快。

テオが決めた目的地へ行く途中、坂道に挫けたダニエルは言葉巧みに恋するローラの滞在先へと変更させますが、告白するしないで口論している最中にロマの家と間違われて彼らの車も燃やされてしまいます。仲違いした二人はしばし別行動。ダニエルは風俗店で中途半端に切られた髪を自分で刈り上げます。(あらら~~短髪だとちゃんと男の子に見えるね)不良への仕返しでラグビーボールを奪って逃走中にテオと再会し、二人で逃げる途中で車は完全にオシャカに

でも、ダニエルが得意の絵でパリまでの航空券をGETして二人は家に戻ることができました。(年齢詐称とかすぐばれそうなものですがね

ここまでなら夏休みの愉快な冒険談で終わるところですが、この旅行中にテオの母親が病死していて、彼は親戚のところに行くことになります。(おそらくは働くことになるのでしょう)テオのいない新学期、ダニエルはテオのことを悪く言った同級生を殴って(テオに教わったやり方ですね)しまいます。以前のダニエルからは考えられない行動ですが、これも一つの成長の証でしょう。

ダニエルとテオの母親は接し方は放任と過干渉と違ってはいますが、愛情という点ではどちらも息子を間違いなく愛しています。それが伝わってきたのも良かったです。


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追憶 ネタバレあり

2017年12月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年5月6日公開 99分

1992年、冬。親に捨てられた13歳の少年・四方篤は、似た境遇の田所啓太、川端悟と共に、軽食喫茶を営む仁科涼子(安藤サクラ)と常連客の山形光男(吉岡秀隆)のもとで家族のように暮らしていた。しかしある事件をきっかけに幸せな日々は終わりを迎え、彼らは離れ離れになってしまう。25年後、成長して刑事になった篤(岡田准一)は、無残な刺殺体となって発見された悟(榎本佑)と再会を果たす。そして捜査が進められていく中、啓太(小栗旬)が容疑者として捜査線上に浮上し……。(映画.comより)


降旗康男監督によるヒューマンサスペンス。撮影は木村大作。ある殺人事件を追う刑事・容疑者・被害者として再会した幼馴染3人が、心の奥に封印してきた過去と向き合う様子を描いています。

涼子はヤクザな情夫の貴船から逃げてきた過去があるのですが、その貴船が涼子を追って現れたことから事件が起きます。男の暴力に怯える涼子を助けようと子供たちは貴船の殺害を企てます。男の逆襲に遭った子供たちを助けた涼子は三人に事件を忘れて別々の人生を歩くように言い含めます。

25年後。篤は富山県警の刑事になっています。妻の美那子(長澤まさみ)とは流産をきっかけにすれ違いの生活になっていて、幼い頃に自分を捨てた母(りりぃ)からお金の無心をされるなど孤独を抱えた日々を過ごしていましたが、ある日ラーメン屋で悟と再会します。子供の頃と同じようにメンマが嫌いで皿に寄せている篤を見て悟が声をかけてきたのです。酒を酌み交わしながら、悟は結婚してガラス店を継いでいるが資金繰りに困り金策のために啓太に会いに来たと話します。ところが翌日、悟の刺殺体が発見され、篤は彼との関係を言い出せないまま捜査に加わるのです。(関係を話せばあの事件に触れないわけにはいかないですが、刑事としてはその時点でoutな気がしますが)

輪島で働く啓太に単身会いに行った篤は彼を問い詰めますが、否定されます。情況的にはとっても怪しく見える・・こういう場合はたいていミスリードなのよね

啓太の妻(木村文乃)は出産を控えていて、啓太は新しい家を建てるため土地を買ってもいます。(実はその土地こそ涼子の営んでいた喫茶店のある場所だったことが後でわかるのです)

捜査の過程で、悟が「懐かしい人に会えた」と家族に電話で話していたことがヒントにもなります。

実はあの事件のあと、涼子は服役していて、出所後に山形と結婚していましたが、事故で障害を負い過去の記憶を失っていました。山形は再会した篤に「あっちゃんは忘れていいんだよ」と言葉をかけますが、それは悟が篤にかけた言葉と同じものでした。ここでも「真犯人は…山形?」と一瞬思ってしまいましたが、もちろんそんなわけはなく、実は悟の妻の小夜子(西田尚美)が従業員とできていて、保険金目的で殺害したというのが真相でした 家族のために必死だった悟にとってあまりにも残酷な結末ですね。

啓太の妻の素性も意外なものでした。彼女は里子に出された子でしたが、母親は涼子だったのです。涼子が刑務所で産んだ貴船との間の子供というわけ。事故に遭った涼子を見舞いに尋ねた啓太が山形から聞かされたことがきっかけで二人は出会い結婚しているのですが、妻は真実を知らないのです。啓太にとって、この事件で過去が掘り返されることは妻が真実を知ってしまうことに繋がるため、隠し通したいと願っていたのでしょうね。

被害者との関係を隠して捜査に加わっていた篤は刑事としては失格ですが、彼の本来の願望(愛されたい、抱きしめて欲しい)は、事件解決後に涼子と向き合った時に満たされます。今回の事件を通し、懐かしい人々と再会する中で、愛されるためにはまず自分が愛することを彼は学んだのだと思います。妻との関係にも修復の兆しが見える終わり方でした。

物語の背景として描かれる日本海の夕日の光景はまさに木村大作の真骨頂でしょう。冒頭に出てくる冬の荒れた情景からクライマックスでの柔らかな光を放つ夕日まで、登場人物の心情と合致する光景が印象に残りました。


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スター・ウォーズ 最後のジェダイ ネタバレあり

2017年12月18日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年12月15日公開 アメリカ 152分

『フォースの覚醒』のラストシーンで、万感の思いを込めてルーク(マーク・ハミル)にライトセーバーを差し出すレイ(デイジー・リドリー)。彼女をじっと見つめるルーク。そこに言葉はない。観る者の胸を感動で満たし、同時に様々な想像をかき立てずにはいられなかった、このラストシーン。――そして物語は、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』へと受け継がれる。
伝説のジェダイ、ルーク・スカイウォーカーとめぐり逢ったレイが知ることになる驚くべき真実とは? なぜカイロ・レン(アダム・ドライバー)はダース・ベイダーを受け継ごうとするのか? さらには、レジタンスを率いるカイロ・レンの母親レイア(キャリー・フィッシャー)と、ポー(オスカー・アイザック)、フィン(ジョン・ボヤーガ)、BB-8らレジスタンスたちの新たなるミッションとは? そして、タイトルの“最後のジェダイ”が意味するものとは?
――知られざる秘密が明かされるとき、さらなる謎が生まれる。(公式HPより)


レイア率いるレジスタンスとファースト・オーダーの戦いと、ルークの元へ向かったレイがそこで知るジェダイの真実が交互に描かれます。二時間半は長い尺ですが、飽きずに楽しめました。

退却命令を無視してファースト・オーダーの艦隊のキャノン砲を破壊したポーですが、味方に多大な犠牲を出してしまい、命令違反で降格処分になります。ヒロイズムにはやるという点ではまだまだ未熟な感がありますね

一方ルークに助力を求めてすげなく拒絶されたレイは諦めず彼のもとに留まります。ルークの翻意に一役買ったのはR2-D2この時、SWエピソード4での懐かしいシーン(レイア姫がオビ=ワンに向けた救援メッセージ)が再び登場ルークじゃなくても「それはずるいよ」 この島に住むペンギン様の鳥さん(ポーグ)を捕まえて食料として丸焼きにして食べようとしたチューバッカと鳥さんたちのやりとりがめっちゃ面白いいつのまにかミレニアム・ファルコン号に棲みついちゃってるし

前作で負傷したフィンが目覚め、レイの下へ向かおうと脱出ポッドに忍び込もうとしたところを、整備士のローズ(ケリー・マリー・トラン)に見つかり捕えられるのですが、その一件から二人はファースト・オーダーがレジスタンス艦隊を追跡できるからくり(トラッカーの存在)に気付きます。

攻撃により重体となったレイア(宇宙空間に丸腰で投げ出されても自力で戻れるって・・やはり彼女にも父の血が受け継がれているのね)に代わり、ホルド提督(ローラ・ダーン)が指揮官となるのですが、彼女の消極的な作戦に納得できないポーは、フィンとローズと共にトラッカーを一時的に壊すための作戦を立てるのシールド破りの名人を探しに出かけた星でフィンとローズは窮地に陥るのですが、ローズがフィンに好意を抱く展開には、もしや続編で三角関係勃発か?

スライサーのDJ(ベニチオ・デル・トロ)は褒賞で動く男のようですが、今作だけでは彼が敵なのか味方になるのかまだ判断できかねますね

レイは島にいながらカイロ・レンと繋がることができます。なぜ彼が暗黒面に堕ちることになったのか、その真実にはルークが深く関わっていました。いや、それはないでしょと初めは思いましたが、スノーク(アンディ・サーキス)との戦いの後で、再び「いや、ルークは正しかったのかも」と思い直したり、「いやいや、これはやはりルークの弱さが招いたのかも」とか・・・続編観るまで結論出ないかな 

束の間、レイとカイロ・レン(この時は本名のベン・ソロの心に戻っていたのかな)が協力して敵と戦うシーンはけっこう感動ものだったのになぁ レイの出自もこの時明かされますが、散々想像を掻き立てておいてスカイウォーカー一族と無関係って・・おぃ!

ポー達の作戦は失敗しますが、ホルド提督はただ無意味に逃げていたわけではないことが判明し、やはり指導者たるもの、目先の勝利より未来への布石を考えているものだなぁと感心させられました。責任者として最後まで艦に残り玉砕する姿に涙です 彼女の姿勢を通してポーも学び成長したようです。

さて、追い詰められたレジスタンス軍の救世主となったのはやはりルーク。最後のジェダイであり、新世代のジェダイへの橋渡し的存在でもあるのねその萌芽はフィンたちが訪れた星で助けられた子供にも顕れているようです

カイロ・レンとの哀しい決着はしかし、レイアたち生き残ったレジスタンスを逃すための時間稼ぎだったのですね。銃器の集中砲火を浴びて無傷だったのも種明かしがわかれば納得です。

カイロ・レンとの戦いでライトセイバーの折れたレイはファルコン号で救出のお手伝い。

レンとの決着は続編で、ってことですね


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DESTINY 鎌倉ものがたり

2017年12月11日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年12月9日公開 129分

鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和(堺雅人)のもとに嫁いだ年若い妻・亜紀子(高畑充希)はその生活に驚くばかり。道を歩けば、魔物や幽霊、妖怪や仏様、死神(安藤サクラ)までも現れるのだ。どうやらここ鎌倉は、人と人ならざるものたちが仲良く暮らす街らしい。本業の小説執筆に加え、鎌倉署の捜査にも協力する夫・正和は、その上、鉄道模型収集やら熱帯魚飼育やら多趣味でもあり忙しい。そんな一色家には、実年齢130歳? の家政婦・キン(中村玉緒)、腐れ縁の編集担当・本田(堤真一)、果ては貧乏神(田中泯)が居座るなど個性豊かな面々が次々に現れ騒がしい日々。亜紀子の理想とはちょっと違うけれど、楽しい新婚生活が始まった。しかし、正和には亜紀子に隠していた秘密があった。その秘密が原因で正和は結婚に疑問を感じて生きてきたようだ。正和はなぜ亜紀子を見初めたのだろうか?ある日、病に倒れた正和が目を覚ますと、亜紀子の姿が消えていた。夫への愛にあふれた手紙を残して――。なんと亜紀子は不慮の事故で亡くなっており、黄泉の国(あの世)に旅立っていたのだった。失って初めて気づく妻・亜紀子への愛。正和は亜紀子の命を取り戻すため、一人黄泉の国へ向かう決意をする。そこで彼を待っていたのは、亜紀子を黄泉に連れさった魔物たちとあの人の姿・・・・・・。一色夫婦の命をかけた運命が、今動き出す。(公式HPより)

 

「ALWAYS 三丁目の夕日」の原作者・西岸良平のコミック「鎌倉ものがたり」を実写映画化したファンタジードラマです。監督も「ALWAYS 三丁目の夕日」と同じ山崎貴ということで、山崎組常連の堤真一、三浦友和、薬師丸ひろ子(先生の通う小料理屋の女将役)も出演しています。

ファンタジー好きとしては予告編を観た時から興味津々で公開を待っていました。

古都・鎌倉が舞台ということで、人ならざる者たちと共に暮らす設定も違和感なく入っていけましたが、観終わった今、鎌倉を訪れるのがちょっと怖いような楽しみなような不思議な感覚になりました。

前半で、これでもかというくらい夫婦の熱々ぶりを見せつけられますが、演じている二人の人柄からか、ちっとも嫌味じゃなく、微笑ましく見えます。新婚生活が幸せであるほどに、妻が黄泉の国へ旅立ったあとの夫の悲しみが切なく迫ってくるのです。

隣家に住む老夫婦(吉行和子・橋爪功)の長年連れ添った夫婦愛、先生の編集担当の本田(堤真一)が遺した妻子へ向ける愛と決断、入り込んだ貧乏神(田中泯)に優しく接する亜紀子や一式家に長年使えてきたキン(中村玉緒)の正体などなど鎌倉に住む魔物や幽霊のエピソードも笑いあり涙ありの人情に富んでいます。

亜紀子の早すぎる死の真相は、黄泉の国の魔物である天頭鬼の横恋慕が原因でした。それを知った先生は自らの命を懸けて妻を取り戻しに向かいます。「あの世」の描写は懐かしの昭和のイメージですが、これは先生が頭の中に描いた世界ということになっています。ですから一人ひとりイメージが異なっているらしい・・・亜紀子にも先生と同じ風景が見えていたんだろうか?もし自分ならどんな「絵」になるんだろう?そんな疑問が頭を掠めました

実は先生は子供の頃に母(鶴田真由)が作家の甲滝五四郎(三浦友和)と会っている所を目撃し、自分は母が夫に隠れて浮気をした子ではないのかと思い込み、夫婦というものに懐疑心を持つようになっていました。しかし、黄泉の国で再開した母から甲滝は父が祖父に隠れて文筆業をするための変装した姿だったことを知らされ、長年の苦悩から解放されます。

天頭鬼相手のバトルはVFX効果もあり見応えのあるものになっています。(先生って、剣道の使い手だったんだ)天頭鬼は平安時代からずっと亜紀子に横恋慕していて、先生はその都度戦ってきたようです。その証拠が前半の魔物の夜市で登場した骨董品の中にも伏線があったことをエンドロールで改めて確認できるのも良いね まさに運命(DESTINY )の二人だったわけです

作中、一番心動かされたシーンは、病床の先生に最後の別れをするべく寄り添った亜紀子の頬を流れる一筋の涙でした。いいな~~こんな夫婦になりたいなぁ、運命の人に出会いたいなぁ・・と思わせてくれる映画です。


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ちょっと今から仕事やめてくる

2017年12月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年5月27日公開 114分

仕事のノルマが厳しく精神的に追い詰められていた隆(工藤阿須加)は、疲労のあまり駅のホームで意識を失い電車に跳ねられそうになったところを、ある青年(福士蒼汰)に助けられる。幼なじみのヤマモトと名乗るその青年に全く見覚えのない隆だったが、ヤマモトとの交流を通して徐々に明るさを取り戻し、仕事も順調に進むようになっていく。ところがある日、ふとしたことからヤマモトについて調べた隆は、ヤマモトが3年前に自殺していたという信じがたい事実を知る。(映画.comより)

 

北川恵海の同名小説の映画化。監督は「八日目の蝉」「ソロモンの偽証」の成島出。

阿須加君は総じて好青年役が多いですが、今回も真面目で優しい会社員を演じています。素直で優しい故に、何とか頑張らなくちゃ!同僚に迷惑かけないようにしなくちゃ!と無理をして自分を追い込んでしまい、どんどん負のスパイラルに陥ってしまうんですね。もっと要領よく手を抜いたり他人を出し抜いたりできたら追い詰められないんだろうけど・・観ていて辛くなります。(逆に要領のいいやヤツだったら物語として成立しないか

そんな隆に近づいてきたのが謎の青年ヤマモト。駅のホームから転落しそうになった(生きることから逃げようとしていた)のを助けてくれます。たまたま昔の同級生に同じ苗字の子がいたので、そうかなと思って受け入れてしまう隆。素直ですね~

ヤマモトは隆に営業のコツなどアドバイスしてくれたり、ネクタイを選んでくれたり親身に相談に乗ってくれたりします。そんなヤマモトに影響されて仕事への姿勢も上向きになり、そうすると不思議に顧客を開拓できたりするのですが、好事魔多しである日大失敗をしてしまうの。 客観的に観ている側からは「あ、これは五十嵐さん(黒木華)の仕業だな」とピンとくるのですが、根がまっすぐな隆は全く気付かないんですね~~。

ヤマモトが同級生とは別人であることがわかり問い詰める隆にヤマモトはあっさり「勘違い」を認めます。この頃には彼が誰であっても友人であることにかわりないと思えるようになっているんですね でも彼の名乗った「山本純」で検索してみたら自殺した故人であることがわかります。

部長(吉田鋼太郎)の容赦ないパワハラに負けてビルの屋上から飛び降りようとした隆を、またまたヤマモトが引き止めます。どうせあっちで会えるんだからという隆にヤマモトは自分は現実に生きている人間であること、命は自分だけのものではないことを説くのです。

隆は実家で両親と向き合い、過去に仕事に失敗して田舎暮らしを始めた父を責めたことを詫びます。仕事辞めようかなと言う隆を「それも良いんじゃないか」と肯定してくれた両親とヤマモトが隆の背中を優しく押してくれたんですね

気持ちが吹っ切れた隆が、部長に辞表を出すシーンも印象的でした。恨みつらみをいうわけじゃなく、自分のふがいなさを詫び、同僚への気遣いまでする姿に「この子は本当に良い子なんだな」と思いました。部屋を出ていく隆を追いかけてきた五十嵐さんは自分のしたことを告白し詫びますが、そんな彼女のことも赦せる隆は、逆にすごく強い人なのかも

ノルマがどんどん増えていき、後輩が自分を越していくのではないかという焦りと不安が彼女を追い詰めたことは想像に難くありません。ここに登場する部長は典型的なパワハラ人間ですが、こういう上司の下では部下は育たないので早晩この会社は破綻するんじゃないかしらでも世の中、多かれ少なかれこんな人間関係はざらにありそうですが こんな会社に心まで食いつぶされるのは願い下げですよね。

ヤマモトの本当の正体についてはある程度予想できますが・・双子でしたか

仕事を辞めた隆がヤマモトに会いに行きそこで共に働くというのは原作小説と異なるラストのようですが、映画的にはアリかもね

ところで、この作品の主演は阿須加君じゃなくて福士君だったのね 私はてっきり・・・


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ラストコップ another story of THE MOVIE

2017年12月10日 | ドラマ

2017年作成 139分

「結婚にまつわるエトセトラ」

いつの間にか付き合っていた亮太(窪田正孝)と結衣(佐々木希)。結婚を見据える二人だが、亮太は結衣の父親である京極(唐沢寿明)に課された過酷な「結婚段取りリスト」に奮闘する日々を過ごしていた。鈴木家で開催された気まずい女子会では、亮太と結衣の馴れ初めや京極と加奈子(和久井映見)のデートの思い出が語られる。そんな中、鑑識課の栞(伊藤沙莉)が婚活パーティーに参加し、元海軍将校の国際ジャーナリストと運命的に出会い一目惚れする。しかしその恋は新たな事件の幕開けだったー。

「密着神奈川県警24時」
神奈川県警の密着ドキュメンタリー番組が制作されることになり、番組スタッフが横浜中央署メンバーに密着取材することになった。パトロール中の京極と亮太の独占インタビューや、京極と結衣の休日親子デート取材、さらには警察官アイドルKBDホーリーナイトのLIVEと、知られざる一面が撮影されていく。番組スタッフはハチャメチャな中央署に当惑し、密着ドキュメンタリーから不正を糾弾する告発番組への方針転換を決めるが、半グレ集団との事件に巻き込まれて―。

 

「ラストコップTHE MOVIE」と連動したオリジナルドラマです。Huluは入っていないので指咥え組でしたが、DVDが出ていると知り早速レンタル 

内容は他愛ないものですが、可愛い亮太君のダンスシーンが見られたのが何より嬉しいよ~

そういえば当時はフラッシュモブが流行ってたっけね。

どちらも映画に繋がっていく伏線が散りばめられているので両方見るとより楽しいかも


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オリエント急行殺人事件

2017年12月08日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年12月8日公開 アメリカ 114分

トルコ発フランス行きの寝台列車オリエント急行で、富豪ラチェット(ジョニー・デップ)が刺殺された。教授(ウィレム・デフォー)、執事(デレク・ジャコビ)、伯爵(セルゲイ・ポルーニン)、伯爵夫人(ルーシー・ボイントン)、秘書(ジョシュ・ギャッド)、家庭教師(デイジー・リドリー)、宣教師(ペネロペ・クルス)、未亡人(ミシェル・ファイファー)、セールスマン(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)、メイド(オリビア・コールマン)、医者(レスリー・オドム・Jr.)、公爵夫人(ジュディ・デンチ)という目的地以外は共通点のない乗客たちと車掌(マーワン・ゲンザリ)をあわせた13人が、殺人事件の容疑者となってしまう。そして、この列車に乗り合わせていた世界一の探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)は、列車内という動く密室で起こった事件の解決に挑む。


 1974年に映画化もされたアガサ・クリスティの名作ミステリーをケネス・ブラナーの製作・監督・主演で新たに映画化しています。

豪華な列車の中で起きた凄惨な殺人事件の真相に挑むポワロ。犯人の動機や大筋は原作や前作映画と同じですが、細部は変えて現代にも合うスタイリッシュな作品に仕上げています。・・・が・・私は新しいポワロのイメージがしっくりこなかったかなぁ ポアロ像には若いし、あの口髭も大き過ぎな気がして やっぱり子供の頃に観た前作映画のイメージが頭に刷り込まれているせいかしら。

何といっても見どころの一つは豪華列車・オリエント急行内部のゴージャスな描写です。ただ、欲を言えば、思わず唾を呑み込むような贅を尽くした食事風景をもっと見せて欲しかったかな

冒頭からアクティブな動きで事件を解決したポアロですが、列車の屋根の上や雪崩で立ち往生した橋脚でのアクションなどもあり、まぁこれではある程度若さが必要だよなと納得

対する乗客の面々の個性は初めのうちは見えてこないのですが、謎解きで彼らの過去や正体が次々と明かされていくと深みが出てきます。一人の悪党の引き起こした事件が大勢の人間を深い苦しみと悲しみに突き落としたことが示されると、悪党の末路にはいささかの憐憫も浮かんでこないですね

ジョニーは悪党のラチェットを演じていますが、これがまたとにかく思いっきり嫌な奴で、そういう意味ではやはり上手いなぁと思ってしまいます。

真相が見えた後のポアロの決断は原作通りですが、そこに至るまでの苦悩が描かれている点が新しいかも

列車を降りたポアロを待っていたのは次の事件。「ナイル殺人事件」ですねこの映画は昔劇場で観た思い出のあるものなので、このラストシーンは個人的にかなりツボでした


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ストリート・オーケストラ

2017年12月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年8月13日公開 ブラジル 103分

バイオリニストのラエルチ(ラザロ・ハーモス)は、憧れのサンパウロ交響楽団のオーディションに落ち、生活のためにスラム街の学校で音楽教師の仕事に就く。ある日、ギャングに襲われたラエルチは、ギャングを前にバイオリン演奏を披露し、その演奏に感動をしたギャングはラエルチへの銃口をおろす。そのエピソードを聞き、暴力以外にも人を変える力があることを知った子どもたちは音楽が与える喜びを実感し、失意にあったラエルチも情熱を取り戻す。そんな矢先、校長(サンドラ・コルベローニ)から次の演奏会で最高の演奏ができなければ、学校の存続が難しいという現実を告げられてしまう。


ブラジルのスラム街の子どもたちによって結成されたクラシック楽団「エリオポリス交響楽団」誕生の実話を映画化したんだそうな。監督は教育や文化の力がどのように市民生活を変えることができるのかを視点に、ブラジルの抱える問題の解決方法は、教育の向上と万人に行き届く教養にあるという考えを示しています。平たく言えば、音楽が喜びを与え、喜びこそが悲しさや苦しさを乗り越える力だということですね
 
貧しいスラム街の子供たちとクラシック音楽を演奏するのはミスマッチに見えますが、音楽を愛するという意味では同じなんですね彼らが普段慣れ親しんでいるのはヒップホップなどのポップスだったりします。貧困から抜け出すにための手段として選択している節もあるかな
劇中に登場するのはバッハ・パッヘルベル・パガニーニの名曲だったり、流行りのポップスだったりします。
 
ラエルチはかつては神童ともてはやされた才能の持ち主ですが、プレッシャーに弱くオーデションを落ちてしまいます。生活のために引き受けたスラム街の子供たちに演奏を教える仕事は、楽器の持ち方から教えなければならない始末。ド下手な素人集団に溜息をつくラエルチでしたが、子供たちと関わり、特にサムエル(カイケ・ジェズース)のバイオリンの才能に触れてやる気が出ちゃうんですね 
子供たちの方も、ギャングをバイオリンの演奏で黙らせたラエルチに音楽の持つ力を教えられて真剣に楽器と向き合うようになります。
 
サムエルと彼に負けないくらいの才能を持つVR(エウジオ・ビエイラ)は親友。VRは悪い仲間とつるんでカード詐欺やらの悪事に手を染めていて、サムエルは心配していましたが、ある夜、警官に追われて逃げる途中でサムエルが撃たれて亡くなってしまいます。この事件が元でスラム街で暴動が起きるというエピソードは実際に起きた事件をベースにしているんだそう。
 
子供たちに教えることで、音楽への自信と情熱を取り戻したラエルチは、サンパウロ交響楽団の主席バイオリンの座を勝ち取るのですが、サムエルを喪ってそれでも演奏会に向けて必死な子供たちを見捨てられず・・・(実はこのあたりの展開がいまいちよくわからなかったのですが、彼は両立できたんでしたっけ?
 
ラストの演奏会で、奏でる彼らの音に酔いしれる聴衆の姿はまさに音楽の力を示していました。

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奇跡がくれた数式

2017年12月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年10月22日公開 イギリス 108分

1914年、イギリス。名門ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジのG・H・ハーディ教授(ジェレミー・アイアンズ)は、当時イギリス植民地のインドから届いた1通の手紙に夢中になる。そこには著名な数学者である彼も驚く“発見”が記されていた。ハーディは差出人の事務員ラマヌジャン(デヴ・パテル)を大学に招聘する。ラマヌジャンは妻(デヴィカ・ビセ)と離れることに胸を痛めながらも、研究を発表できる喜びに海を渡る。しかし、独学で数学を学んだため、学歴もなく身分も低いことから教授たちに拒絶され、頼りにしていたハーディも公式を証明することしか頭にない。妻からの手紙も途絶え、孤独と闘いながらひたすら研究に身を捧げるラマヌジャンは、遂に命にかかわる重い病に倒れてしまう。ラマヌジャンを失うかもしれないと知ったハーディは、初めて彼への友情と尊敬の念に気付き、ラマヌジャンを救うために立ち上がる──。第一次世界大戦下の激動の時代に、全てが正反対の二人が、文化と個性の違いに葛藤し、やがてそれを乗り越えて、かけがえのない絆で結ばれていく。歴史に名を残す二人の天才数学者が、今この時代に生きる私たちに、年齢や肌の色、生き方や信じるものが違っても、人は互いを思いやり、愛し合えることを教えてくれる。輝かしくも美しい二人の友情を描く涙の実話。(公式HPより)


「アインシュタインと並ぶ無限の天才」とも称されたインドの数学者ラマヌジャンと、彼を見出したイギリス人数学者ハーディ。国籍も身分も違う2人の天才が起こした奇跡と友情の物語を描いた実話に基づいた伝記ドラマです。

独学で数学を学んだというラマヌジャン。インド人の数学の能力については疑いを持ちませんが、高度な数学の知識をどのように学んできたかの描写がなかったのが残念。まさか学校にも通わずってわけじゃないよね この独学というのがミソで、彼の発見が正しいものであったにせよ、学術の場においてはそれを証明してみせて初めて認められるものなんですね

異郷の地を嫌がる母の反対を押し切り、結婚したばかりの妻には必ず呼び寄せるからと約束し、勇んでイギリスに渡ったラマヌジャンを待っていたのは、学歴のない彼に批判的で偏見のある教授たちの冷たい視線でした。ハーディの友人のリトルウッド教授(トビー・ジョーンズ)は温かく迎え入れてくれましたが、頼りのハーディは人付き合いが苦手な人物で、ラマヌジャンの直感による新しい公式の閃きに感動しつつもそれを証明できなければ意味がないと説きます。
 
第一次世界大戦に英国が参戦し、食糧事情が悪化して菜食主義の彼は食べるものさえ事欠くようになります。兵士たちに「俺たちは戦地へ行くのに」と暴力を振るわれ、妻からの便りも届きません。(これは彼の母が邪魔していたせいです。彼女は嫁がイギリスに行けば息子はもう戻って来ないと知っていたからですね。)そんな状況(顔のアザや、痩せた体)に気付きもしないハーディに、ラマヌジャンの怒りが爆発するシーンが印象的。この時やっとハーディはラマヌジャンを一人の人間として認識したのかも。ますます研究に没頭するようになったラマヌジャンですが、身体は衰弱し倒れてしまいます。病院へ駆けつけたハーディは、彼が重い結核に罹っていると聞き愕然とします。ここに至ってやっとハーディはラマヌジャンが対等な研究者であり大切な友人だと気付くのです。
病床にあっても二人は研究を続け、ハーディは以前却下されたラマヌジャンの大学のフェロー(研究員)への推薦を再度掛け合い実現させます。戦争が終わり、帰国することになったラマヌジャンと一年後の再会を約束して送り出しますが、その一年後、ラマヌジャンは病気で帰らぬ人となったのでした 
 
ラマヌジャンは自分の公式を発見する力は彼の信仰する女神が与えてくれたものだと言います。信仰心を持たないハーディですが、ラマヌジャンの才能はまぎれもない神の御業というわけですね
 
昔学んだ微分積分すら遠い過去の記憶な身には、彼らの「公式」は「絵」にしか見えないけれど、人としての苦悩は伝わってきました。登場人物の中で唯一親近感を覚えたのはリトルウッド教授だな

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鋼の錬金術師

2017年12月01日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年12月1日公開 133分

物質の構成や形状を変化させて新たなものに作り変える「錬金術」が存在する世界。幼い兄弟エドワード(山田涼介)とアルフォンスは、死んだ母を生き返らせたい一心で錬金術最大の禁忌である人体錬成を行なうが失敗し、その代償としてエドワードは身体の一部を、アルフォンスは身体全てを失い鎧に魂を定着させた姿になってしまう。数年後、国家錬金術師の資格を得たエドワードは、失った身体を取り戻すため、絶大な力を持つという「賢者の石」を探す旅に出る。(映画.comより)

荒川弘のコミック「鋼の錬金術師」の実写映画化です。私的にはTVアニメを少しだけ見たことがある程度でしたが、物語の世界観に惹かれていたので、実写が出来ると知り楽しみにしていました。劇中の登場人物は日本人ではないので、日本人俳優が演じるのは多少の違和感はあるのですが、概ね違和感なく楽しめました。

長編コミックの映画化ですから、当然序盤で時間切れになってしまうのですが、今作では賢者の石の秘密が明かされるところまでが描かれています。興行成績が良ければ続編が作られるんでしょうね

登場するホムンクルス(人造人間)はラスト「色欲」(松雪泰子)、エンヴィ「嫉妬」(本郷奏多)とグラトニー「暴食」(内山信二)。内山君はキャラそのものに見えたし、松雪さんの妖艶さはため息が出るほど美しかった!

失った身体を取り戻すために錬金術のパワーを増幅させてくれるという賢者の石を求めて旅する兄弟は、東部のリオールという町でコーネロという男を追い詰めますが、彼の持っていたのは偽物でした。イタリアで撮影されたバトルシーンが冒頭に登場しますが、日本のCG技術もまんざらではない域にきてますね。

ウィンリィ(本田翼)はオートメイル技師。エドの失くした腕や足の整備士です。彼らの関係については、単に幼馴染としか紹介されていないのですが、原作では詳しく描かれているようです。

エドたちの理解者としては、焔の錬金術師マスタング大佐(ディーン・フジオカ)やヒューズ中佐(佐藤隆太)が登場します。国家錬金術師はそれぞれ二つ名を持っていて、エドの二つ名はその義手義足からきているし、マスタングは焔の使い手というわけです。マスタング大佐の副官リザ・ホークアイ中尉(蓮佛美沙子)とヒューズ中佐の部下のロス少尉(夏菜)も協力者となります。

ハクロ将軍(小日向文世)やタッカー(大泉洋)は一見善人そうですが・・・

賢者の石の研究実験に関わっていたドクター・マルコー(國村隼)を訪れたことから軍の機密事項に触れることになるエドたち。ホムンクルスたちの暗躍で窮地に立たされながらも団結して戦いますが、この石が多数の人命を犠牲にして作られたことを知り愕然とします。兄弟は誰かの命と引き換えに自分の身体を取り戻すことを良しとしません。というわけで彼らの旅はまだまだ続くのであります。

劇場鑑賞の入場特典として、エドが国家錬金術師となった直後のストーリーや、旅に出る前の前日譚が描かれた「鋼の錬金術師0」とう小冊子を貰いました。監督と原作者のスペシャル対談も載っています。公開前には物語の第一話が載った小冊子がチラシコーナーに置かれてましたっけ


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