杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

トロピック・サンダー/史上最低の作戦

2008年11月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年11月22日公開 アメリカ

ベトナム戦争の映画のために、三人のスターがベトナムのロケ地にやってきた。落ち目のアクションスターのタグ・スピードマン(ベン・スティラー)は返り咲きのチャンスを賭け、下品なコメディで人気のジェフ・ポートノイ(ジャック・ブラック)は芸域を広げるのが目的。そして演技派のカーク・ラザラス(ロバート・ダウニー・Jr.)は、黒人軍曹の役のために肌を黒くする手術まで受けるほどの役者バカ。しかし撮影は進まず、困った監督はリアリティを出すために彼らをジャングルに放り込む。しかしそこは本当の無法地帯だった…。

冒頭から、個性的な三人のスターの出演作が次々と紹介されていく。え?もう映画始まってるのよね?予告じゃないよね?と少しばかり不安になるほど次々と・・。
落ち目のアクションスター、下ネタ主義のコメディアン、やり過ぎ演技派俳優、三人の個性をしっかり植えつけたところで本編がスタート。

いきなり戦争映画や有名感動作のパロディがこれでもかと画面に出てきてのっけから笑えます。半分ほどしか観てない私でもそこそこ楽しめるので、全部観たという映画通には可笑しさも倍増しかしら。

冒頭のシークエンスにも、トビー・ワグワイアが出てたり、他にもいろんな有名人がゲスト出演してて、これを見るだけでも楽しいです。

下敷きにした名作たちは
「ランボー」「プラトーン」「地獄の黙示録」「プライベート・ライアン」「未知との遭遇」「レインマン」「フォレスト・ガンプ」「アイ・アム・サム」「ナッティ・プロフェッサー」「MIⅢ」「クロコダイル・ダンディー」「アポロ13」他

スター俳優たちに振り回されて早くも製作ピンチに陥るのが英国人(アメリカ人じゃないのがミソ)のデミアン・コックバーン監督(クーガン)。ハリウッドの幹部からの脅しに追い込まれた彼は原作者の助言に従い、俳優たちを東南アジアのジャングルに放り出すのだけれど、地雷を踏んで敢え無く自分が最初の犠牲者になってしまうの。ここ、涙するとこじゃなくて笑えるとこってのがなかなかブラック。

軍人姿の彼らは武装集団に狙われるのですが、実はこのジャングルは麻薬組織のアジトなわけ。あくまで撮影と信じるタグと、ヤバイことに気付くカークの間で諍いが起こり、別行動を取ったダグは捕まってしまうのだけど、過去の出演作が身を助けることになり・・。

タグを助けようと、残りの4人は計画を練るのだけれど、その過程でジェフが麻薬中毒だったり、成金黒人ラッパーのアルパ・チーノは実はゲイらしいとか、数合わせで連れてこられた新人俳優のケヴィンが彼らの中で一番まともなこととかが判明するのも可笑しいの。

彼らと共にヘリでジャングルに来た爆破コーディネーターのコディと原作者のジョンも捕まっていますが、ここでも実は嘘っぱちの実話だったとか、爆破で俳優を危険な目に合わせた過去があるだとかボロボロと出てくるのが妙にリアルな感じ。

タグが捕まって身代金を要求されても平然と無視する映画会社の幹部役は意外な大物俳優が演じていますが、あの外見と体格では想像もつかないわ。普段はスマートな二枚目しか演じない彼がよく引き受けたものだと感心しますが、逆にあれだけギャップのある役だから良かったのかしら?実に楽しそうに踊ってましたが(笑)

そしてそんな幹部だって、ハリウッドには当たり前に存在しそうなところが一番恐かったりして(^^;

お下品でグロかったりもしますが、個人的には

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サーフズ・アップ

2008年11月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年12月25日公開  アメリカ 85分
 
イワトビペンギンのコディ(シャイア・ラブーフ )は、子供の頃に見た伝説のサーファー、“ビッグZ”に憧れ、サーフィンに情熱を注いでいた。ある日プロモーターの目に留まり、新人サーファーとしてワールドカップに出場することに。しかし、戦いの舞台ペングー・アイランドには、コディにとって最大の試練が待っていた…。落ちぶれた元プロサーファーのギーク(ジェフ・ブリッジ)や、優しくセクシーなライフガードのラニ(ズーイー・デシャネル)との出会い。彼らと共に過ごす中で、勝つことがすべてだと信じていたコディは、本当に大切なものに気づいていく。

恐いもの知らずの新人サーファー、コディがチャンピオンのタンクに負けて鼻柱を折られるが、ギークにサーフィンの楽しさを教えられ、必ずしも優勝した者がチャンピオンだとは限らないことに気付き、成長する姿を描いている。
ギークの正体はすぐにわかってしまうが、子供向けだもん、それはお約束。

吹替え版では小栗旬(コディ)と山田優(ラニ)が声を充てているのね とはいえ、DVDは字幕で見たので・・

しかし・・・主人公のコディはイワトビペンギンなのに、普通に歩いている??
彼らは陸上では両足揃えてピョンピョンと跳びながら歩くのが特徴じゃなかったっけ?

ところで、ラニはジェンツーペンギン、ギークはオウサマペンギン、チャンピオンのタンク(ディードリック・ベーダー)はコウテイペンギンと皆種類が違うというのもミソか

典型的ないじめっ子タイプのタンクは母親には頭が上がらないらしいのが笑える。

コディの親友のチキン・ジョー(ジョン・ヘダー)は名前の通り鶏だ。彼の父はフライドチキンにされてしまったという設定がシュールだが、本人はサーフィンを純粋に楽しんでいて友達思いの良い奴だ。

逆に大会のプロモーターのレジー(ジェームズ・ウッズ)は金の亡者でわがままな奴だし、スカウトマンの鳥のマイキー(マリオ・カントーネ )はレジーにこき使われてストレスが溜まっているといった大人の事情もさり気なく挿入されているのも楽しい。

ビッグGが姿を消した理由は少し動機付けが弱い気もするが、波の迫力ある映像やサーフィンの様子に免じて許せちゃうかな

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谷中銀座商店街

2008年11月23日 | 日々の出来事
2008年11月23日 都内てくてくウォーキングに参加しました。 最後に辿り着いたのは谷中銀座商店街。 まずは美味しいコロッケを夕食用に買い求めます。サトーさんとスズキさんの二軒が有名らしいのですが、この日はスズキさんはお休みとのことで、サトーさんの前に行列が。メンチカツ一枚150円。冷めたらレンジでチンしても油っぽくならずに美味しいと書かれたポップが貼ってましたが、まさしく、チンしてもカリっとして旨かったです。

他にもお惣菜屋さんで30円コロッケを買い、これはその場で熱々をいただきました。んまんま♪ パン屋さんの店先にアトムとウランちゃんがいる~~~良く見るとお店の中にもたくさんのアトムが。そして店名自体アトムでした。

商店街の終わりは有名な「夕焼けだんだん」の階段です。丁度夕日の時刻を見計らってのコース設定だったけれど、やっぱり高層マンションが邪魔して美しい夕日は遮られていたのが残念。

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しゃべれどもしゃべれども

2008年11月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年5月26日公開 109分

東京・下町。うだつの上がらない二つ目の落語家、今昔亭三つ葉(国分太一)は、ひょんなことから落語教室を開くことになる。生徒は、美人だが無愛想で口の悪い五月(香里奈)、口は達者だが関西弁のためクラスになじめない少年・村林(森永悠希)、元野球選手で強面だが上がり症の湯河原(松重豊)の3人だ。最初は言い争ってばかりだった彼らだが、少しずつ上達していく。ある時、村林はいじめっ子と野球対決をして負けてしまう。悔しがる村林に、いじめっ子を落語で笑わせてやれ、と三つ葉は提案する。

三つ葉は古典落語にしか興味がなく、普段から着物で通す噺家。落語への愛情は人一倍あるのに腕のほうがついていかず行き詰まりを感じている。そんな彼が、自分を変えたいと思う三人と関わることで、自らも何かを掴んでいく物語だ。

無愛想な香里奈というのも面白く、口の悪い松重や口達者な子役との組み合わせもなかなか良い。国分の着流し姿もだんだんしっくり感じられてくる。

三つ葉の祖母・春子に八千草薫、師匠の今昔亭小三文に伊東四朗を配し、二人の粋な雰囲気も楽しい。

浅草の下町の風情や都電沿いの風景など、今時(都会風)じゃない雰囲気が懐かしいような温かさを伝えてくれる。誰にでもある、伝えたいことを上手く言えないもどかしさと伝わった時の嬉しさを優しい目線で描いている。見終わって心がふんわりする作品。

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JUNO/ジュノ

2008年11月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年6月14日公開 アメリカ 

16歳のジュノ(エレン・ペイジ)は、バンド仲間のポーリー(マイケル・セラ)と興味本位でした一度きりのセックスで妊娠してしまう。親友リア(オリヴィア・サールビー )に相談して中絶することにしたが、中絶反対運動中の同級生に「赤ちゃんにはもう爪も生えているわよ」と言われ、産む決心をする。フリーペーパーで子供を欲しがっている理想的な若夫婦を見つけ、里子に出す契約を交わしたジュノだったが・・・。

ヒロインのジュノはまさしく「変わった」女の子。
好奇心でセックスした相手は友達以上恋人未満の男の子。妊娠がわかっても、高校生の自分には育てられないと中絶や里子という選択肢を選ぶことに後ろ暗さは全くない。里親のカップルの元へも気が向けばふらりと立ち寄り、趣味の合う夫の方と親しげに話し込む。

日本で同じ状況だったら、本人も周囲もこんな風にあっけらかんとした明るさがあるだろうか?絶対無理だな~~と思う。昔「金八先生」で15歳の母がセンセーショナルな衝撃を与えたけれど、今も決して世間的に受け入れられているとはいえないだろう。

そもそも、両親が黙っちゃいない。父親は相手の家に怒鳴り込むだろうし、世間体を考えて中絶はさせても、産んで里子に出すということは考え付かないだろう。
学校だって妊娠した生徒に寛大ではないだろうし、周囲の目だって冷たい。

ところが、ジュノの父親も継母も彼女の行動を決して非難なぞせずに、その判断を尊重し、彼女を見守るのだ。学校でも、興味本位の目では見られるけれど、表立っての非難や苛めはない。町のドラッグストア?の主人でさえ、妊娠検査薬を買いにきたジュノを責めることはしないのだから。

中絶施設や里親制度など、アメリカ特有の土壌があるのだろうけれど、どうにも違和感は拭えない。けれど、それは決して嫌な感じじゃなくて、その明るさが羨ましいくらい。

理想的なカップルに見えた里親ヴァネッサ(ジェニファー・ガーナー)とマーク(ジェイソン・ベイトマン) だが、実はマークがまだ親になる心の準備が出来ていなかったり、完璧主義で神経質に見えたヴァネッサの方が善人だったりする。
ポーリーに対する自分の本当の気持ちが見えてきたり、少し疎外感を持っていた父マック(J・K・シモンズ )や継母ブレン(アリソン・ジャネイ)の自分への愛に気付いたりして、妊娠・出産を通じてジュノは確実に成長したのだ。

監督は『サンキュー・スモーキング』のジェイソン・ライトマン。
あの軽妙なタッチは今作でも健在。ちょっと嬉しいような温かいような気持ちになれます。

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いっちばん

2008年11月19日 | 
2008年8月発行
畠中恵 著  新潮社 発行

「しゃばけ」シリーズ第七弾

前作では親しい人(妖)との別れが多かったので、ちょっと寂しいところもあったのだけど、今回はその後の様子が描かれている。相変わらず、大甘な兄やたちや妖に囲まれて、ほんわか楽しく温かい若だんなの周辺に安心して読み終えた。

若だんな・一太郎の周りの人間(長崎屋の奉公人たちも)や馴染み妖まで勢揃いの「いっちばん」は、別々の3組のお話が最後に一つに合わさってストンと結びつくのが楽しい。

「いっぷく」では前作で三途の川のほとりから逃げ出した若だんなに関係する人物が登場する。人には見えないはずの鳴家の噂の出所を探る若だんなの前に、店対抗の品比べという難題が。商売人としての長崎屋の実力が示されるエピソードとなっている。

「天狗の使い魔」では大天狗に攫われてしまった若だんなが、彼に勝負を挑むお話。か弱く無力そうな若だんなだけど、いざという時には妙に肝が据わって冷静なんだよねぇ。大天狗のキャラも好ましく、最後は上手くまとまるのも嬉しい。

菓子作りの修行のため奉公に出た栄吉の視点で彼の悩みを描いた「餡子は甘いか」では一太郎は完全に脇役扱い。栄吉の目から見たら、一太郎ってこんな風に映るんだねぇというのも面白かった。

「ひなのちよがみ」ではお雛と一色屋のその後が描かれ、先の江戸の大火で店を消失した一色屋を建て直そうと奮闘するお雛と許婚の正三郎、白粉の厚塗りを止めた彼女の前に現れた紙問屋の秀二郎との三角関係をどう解決するか、という楽しみも。

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Xファイル:真実を求めて

2008年11月12日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年11月7日公開 アメリカ 

FBIを引退し隠遁生活を送っていたモルダー(ディビッド・ドゥカプニー)と、医師として病院に勤務するスカリー(ジリアン・アンダーソン)の元に、女性捜査官・モニカの失踪事件への協力要請がきた。超能力を持つジョー神父の透視により雪の中から切断された腕が見つかったのだ。やがて事件はおぞましい大量殺人へと発展し、驚愕の展開を見せていく・・。

「X-ファイル」は海外ドラマブームの先駆けとなった作品だ。
超常現象に執着するモルダーと科学者で現実主義者のスカリーのコンビが復活ということで興味をそそられ、月曜にTV放送された「ザ・ムービー」を見てから映画館に足を運んでみた。

しかし、今回は宇宙的な謎ではないのね(^^;

協力者ではあるが、忌まわしい前科を持つサイキック神父のジョーと関わりながら、異常な事件の謎に迫っていく二人。このジョーという人物と事件の犯人との繋がりは偶然なのか、それとも神の采配か?こういう問題の投げ方はやはり宗教国らしい作り方だなぁ。(^^;

ジョーがスカリーに言った「諦めるな」という言葉が事件の解決やモルダーとの関係においても深い意味を持つ鍵となっていることや、スカリーの抱えていた問題が良い方向に解決したのだろうと思わせるエンドロール後のラストシーンからも神の関わりを示したいのでしょうね。

しかし、今回の事件は、未知の恐怖と謎というより医学的な猟奇事件という印象。
ちょっと期待外れだった。ロシア人医師による悪魔的実験というオチのつけ方もなんだかな~~。冷戦が溶けても悪役(の片棒担ぎ)はロシアなのね(^^;

FBIを去ったモルダーとスカリーの現在が描かれているのは当時のファンには嬉しいポイントだろう。で・・ウィリアムって誰?

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私は貝になりたい 試写会

2008年11月11日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年11月22日公開予定

2008年11月11日(火)18:30開映
東京厚生年金会館

高知の漁村で妻(仲間由紀恵)と理髪店を営んでいた豊松(中居正広)は、召集令状により本部防衛の部隊に配属され、過酷な戦争を経験する。終戦後、家族との平穏な日々も束の間、豊松のもとに軍警察が現れ、従軍中の戦犯として逮捕されてしまう。必死に無実を訴える豊松だったが……。

フランキー堺主演の1959年の同名作品のリメイク。脚本は当時のものに忠実ですが、今回は夫婦愛を軸にした作りになっています。

豊松と房江のなれそめから二人で高知の漁村で理髪店を開くまでの苦労、一人息子の健一を慈しむ夫婦の睦まじさを丁寧に描き込むことで、その後に起こる理不尽な逮捕や裁判での過酷な判決に苦しむ夫婦の姿により一層の悲劇性が浮かび上がるようになっていました。

また、雄大な海や山といった自然を強調することで人間の犯す過ちの醜さや哀しさと対比させてもいます。

試写会場は満員御礼の混雑で、前評判も上々というところ。

普段のバラエティのイメージとは一線を画した役者・中居を見ることが出来るこの作品ですが、音痴ネタが浸透しすぎたせいか、豊松得意の「よさこい節」を歌うシーンになると笑いが漏れるのがどうにも気になる・・・。
下手でも何でもないのに~~笑うシーンじゃないのにぃ~~~

それでも、房江や子供たちとの面会シーン(TV予告でも流れている金網越しに差し出された指に触れるシーン)や、房江が減刑の嘆願署名を求めて家々を訪ね歩くシーン、それに処刑シーンでは会場から嗚咽が漏れ、鼻をすする音があちこちから聞こえてきました。

足を引きずる豊松、この引きずり具合がまた絶妙で、演技者・中居の底力を見たって気がします。褒めすぎ?だってファンだから仕方ないでしょ♪
特に、処刑数時間前の鬼気迫る表情が秀逸。この表情を引き出すことが、監督の一番の目的だったかもとも思えてきます。

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レッド・クリフ PartI

2008年11月10日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年11月1日公開  アメリカ=中国=日本=台湾=韓国  145分

西暦208年。曹操(チャン・フォンイー)軍に追われる劉備(ユー・ヨン)軍は孫権軍と同盟を結ぶため、軍師の孔明(金城武)を孫権(チャン・チェン)のもとに遣わした。しかし孫権軍では曹操に脅威を感じているものの非戦を唱える臣下が多く、同盟は容易に成立しそうもない。そんな中、孔明は赤壁で孫権軍の司令官・周瑜(トニー・レオン)と出会い、そのカリスマ性に魅了される。一方の周瑜も孔明の人柄と戦術眼に驚嘆し、その存在を意識するようになる。そして二人は信頼を深め、共に戦う事を決意するのだった。

言わずと知れた「三国志」の中でも最も有名な「赤壁の戦い」の映画化だ。ジョン・ウー監督の描く壮大な戦い絵図と人間模様を堪能出来る二時間半です。
初め、2部構成と聞いて劇場鑑賞を躊躇ったのだが、公開後の評判も良く、我慢できずに足を運んで正解でした。

第1部となる今回は、周瑜・孔明を中心に「赤壁の戦い」に至るまでの経緯が描かれています。字幕版にも冒頭に日本語で登場人物の相関図説明が挿入されているので、三国志を知らない人でも物語に入り易くなっているけれど、これはエイベックスが資金協力しているため、従来では考えられない編集が出来たということです。

カードゲームの三国志大戦人気と相まって、若い世代から壮年世代まで、またロマンティックな要素を盛り込んだことで女性の人気も高いようです。

たしかに、周瑜と妻の小喬(リン・チーリン)の仲睦まじい美しいベッドシーンに見惚れたり、小喬に横恋慕して呉の国に触手を伸ばす劉備の弱さを哀れと思うシーンなど、女性にも同調を得るエピが盛り込まれていました。また孫権の妹、尚香(ヴィッキー・チャオ)のお転婆ぶりが笑いを誘い、荒々しい戦場にひと時の安らぎを加えています。

また劉備軍の関羽・張飛・趙雲といった名将たちの活躍を丁寧に見せ場を作って魅せてくれています。私生活ではパッとしない中村獅童君も、この作品では気性の荒い甘興という武将がはまり役になっていました。
周瑜と孔明の間に芽生える静かで熱い友情に酔い、知将と呼ばれた彼らの素晴らしい戦略が絵巻物のように展開される赤壁の戦いの前哨戦はとにかく圧巻です。

元々ファンだった麗しい孔明様が扇を打ち振る優雅な姿を見るだけでも目の保養~~♪口元に微笑みを絶やさない優雅な孔明を金城さんが好演してます。

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ジェシー・ジェームズの暗殺

2008年11月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年1月12日公開 アメリカ 160分

南北戦争にゲリラとして参加し、その後は犯罪集団となったジェシー(ブラッド・ピット)とその兄フランクが率いるジェームズ一味。彼らが新たに企てた列車強盗計画に、ひとりの若者ロバート(ケイシー・アフレック)が加わった。彼は新聞や本でジェシー一味の活躍を知り、ジェシーに心酔していたのだ。列車強盗を行なった後、一味は分散して身を潜めることに。ロバートはジェシーに側に残るように言われ有頂天になるが……。

アメリカで最も愛されたアウトローを背中から撃った卑怯者の物語、だそうだ。
正直、映画を観るまでは名前も知らなかったアンチヒーローだし、仲間の顔ぶれや人間関係を把握するまでも時間がかかったので、前半は眠気すら覚えた。

このまま退屈で終わってしまうのかと少々心配になってきた頃に、二人の間に疑心が生じ、俄然スリリングな雰囲気となってきた。

ジェシーに心酔してきたロバートが暗殺者となるまでの心情の変化と葛藤がじわじわと伝わってくる。ジェシー役のブラピの存在感はもちろんだが、ジェシーに心酔した挙句、彼を越えたいと望んだ若者の負の熱情を演じたアフレックも凄い・・かも。

そもそも、彼は何故背中から撃ったのか?殺らなければ殺られるという追い詰められた緊迫感と恐怖ということだろうか?そう考えても、それが卑怯な行為を正当化する理由にはならないということは、彼に対する人々の賞賛が皆無だったことからもわかるだろう。逆にジェシーは悲劇の(アンチ)ヒーローとして祭り上げられていく。

思い描いた賞賛も名声も与えられず、自らの行為を後悔するようになったロバートが、今度はジェシーの心棒者に殺されて人生の幕を閉じるというのも因果応報ということか。

ロバートの視点で語られるこの物語に足りないのが、ジェシーという人物の魅力的な部分が理解しにくいところだ。家族に対する愛情は描かれても、強盗や殺人を犯す彼が民衆に愛される理由(義賊のようなもの?)が明確に描かれていないんだもの(^^;

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ハンサム★スーツ

2008年11月05日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2008年11月1日公開 

母の残した定食屋を継いだ琢郎(塚地武雅)は、ブサイクなため幾多の女性に告白してはフラれ続けてきたが、料理の腕前は天下一品の優しい男だ。ところがバイトに来た心優しい美人の寛子ちゃん(北川景子)にもあっけなくフラれたことで酷く落ち込んだ彼は、怪しげな洋服店店長から着るとハンサムになれる“ハンサム・スーツ”を勧められてスーパーハンサム(谷原章介)に変身、一転女性にモテモテになる。これで人生バラ色かと思われたのだが・・・。

レディースデーだけど、意外に男性客が目に付きました。 

ブサイクな塚地君がハンサムな谷原さんに変身・・ってんなバカな!な設定だけど、映画初主演の谷原さんが塚地さんの特徴を上手く捕らえて演じているせいか、違和感なく物語に入っていけました。

容姿にコンプレックスを持つのは女性の専売特許じゃないのねぇ。ということを改めて思わせられるのだけど、最後には外見より中身!の結末なのに胸のどこかでその組み合わせかよ!・・と思ってしまうのは、美女とぶさいくのカップルだからかしら?これがぶさいく同士のハッピーエンドにならないところが、脚本家の鈴木氏の願望が現れているようで笑えるのだけれど(^^;いや、笑えないか?外見ばかり気にする主人公を見ているとね(汗)登場人物も類型的だし。

その結末のからくりは、持ち歩くスーツケースのようなBAGや靴のデザインなどでけっこう早くからわかってしまうのが惜しいかな。

モデルの來香役の佐田真由美さんは超綺麗だし、橋野本江役の大島美幸さんのフリフリの衣装も可愛い。友人役の本上まなみさんの普段の大人しくて清楚なイメージと全く違う弾けた役柄にびっくり。ブラザートム 、温水洋一 、中条きよし 、伊武雅刀などの個性的な脇役も楽しめます。

ゲスト出演で石田純一・ジローラモ・デーブといった濃いハンサム(デーブは?だが)も登場します。
渡辺美里の「My Revolution」がテーマ曲として流れ、他に久保田利伸、佐野元春らの名曲も。ちょっと前の時代の曲という軽めの懐メロ感と人情溢れるコメディが不思議にミックスされ馴染んでいました。

そして問題のハンサムスーツ。このキャラがまた可愛いの。エンドロールでも活躍します。洋服の青山が全面協力というか、これではまんま青山の宣伝じゃない?(^^;

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逆光のメディチ

2008年11月03日 | 
藤本ひとみ/著  新潮社 出版 1996年11月 発行

レオナルド・ダ・ヴィンチが、死を目前にして初めて弟子フランチェスコに語った過ぎし日のフィレンツェでの生活。それは、フィレンツェを実質上支配していたメディチ家の、最後の輝きの日々でもあった・・・。

ダ・ヴィンチが自らをアンジェラという少女に置き換え、彼女の物語として弟子に語るという試みが面白い。

当時のメディチ家の次期当主候補の二人、当主ピエロの嫡男・ロレンツォと祖国の父と呼ばれた先代の当主コジモの庶子で女奴隷を母とするカルロ(通称レオーネ)。熾烈を極める二人の継承争いを、アンジェラという画家の卵の目を通して描いている。

出生のコンプレックスを払拭するためにも当主になりたかったレオーネはその強い上昇志向が仇となってメディチ家にもフィレンツェにも嫌われ追放されてしまう。激しい恨みと共に復讐を誓ったレオーネの策略により危機に陥るロレンツォと弟のジュリアーノの兄弟。

彼ら三人と不思議な縁で巡りあったアンジェラはジュリアーノへの一途な恋心を胸に秘め、真っ直ぐでひたむきな絵の探究心に突き動かされて行く。

ジュリアーノとの恋が叶うかという矢先に起こった悲劇と、それを勝利へと変えた一枚の布にかかれた絵の凄まじさが胸を打つ。

ローマ教皇とフィレンツェ・メディチ家との関わりや、小国分裂していたイタリアの歴史という面から見ても興味深い一冊。

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