日向夏(著)しおとうこ(イラスト) ヒーロー文庫
中央に戻り、外廷の医務室勤務になって医官たちの仕事を手伝う猫猫。
後輩もでき、新しい部署にも慣れていく。
しかし猫猫たちが不在の間に、宮廷では妙な派閥争いが起きつつあった。
正しき血統を維持しようとする皇太后派と、新しき流れを作ろうとする皇后派。安氏と玉葉の意思とは裏腹に、周りは次第にきな臭くなっていき、特に若い武官たちの間では、傷害沙汰が繰り返されていた。
そんな中、猫猫は姚に頼まれて「名持ち」の一族の会合に参加することになるのだった。(内容紹介より)
皇帝によって一族を表す『名』を与えられた「名持ち」の者たち。時は流れ、滅族滅となった一族もあれば、新たに起こる一族もある。
そして、元上級妃である里樹の実家、卯の一族は衰退しつつあった。
名持ちの会合で猫猫は卯の一族とかつて親交があった辰の一族と対面する。
辰の一族がかつて皇帝より賜りし家宝を探すために――。
また、花街でも女華が持つ玉牌が何者かに狙われる。辰の家宝、翡翠牌、華佗の書。皇族の末裔の謎に絡む陰謀!馬閃、そして羅半兄の恋の行方は?時代の移ろいに翻弄される猫猫たち。錯綜する思惑の中、猫猫は真実を見抜けるだろうか。(イントロダクションより)
一・二話 名持ちの会合 前後編
三話 辰の家宝
四話 兎と龍
五話 心に響く銅鑼
六話 馬と兎
燕燕に植物図録で釣られた猫猫が連れて行かれたのは丑の別邸で行われる 「名持ちの会」一応猫猫は羅のお嬢様ですもんね。羅漢・羅半兄・羅半も参加。姚と燕燕 は随行です。5年に一度の開催で、羅の一族の参加は15年ぶり。一族の長と若者の組み合わせは見合いや後継者の顔見世、コネ作りや商売の意味合いもあり密室も完備されているという😁
娘を溺愛する羅漢が猫猫に贈った簪は超悪趣味なものでしたが、謎解きの重要なアイテムとして利用されます。
姚たちが同行したのは、辰の「恋文男」の求婚を断るため。良家のお嬢様ならではの悩みです。
実は羅半は羅漢や猫猫の力を借りて卯と辰 の家の仲違いの原因となった辰の家宝を探し出し両家を和解させ恩を売ろうとしていました。
猫猫は見事にこの謎を解きます。羅漢の嘘を見破る力も効力を発揮しますが、このおっさん、最後にどえらいことをやってくれちゃうんですね~~😖
猫猫たちの密談中に姚を恋文男から守った羅半兄。決闘で飛蝗や盗賊の襲撃を退け開墾で鍛えた体力で見事勝利し、燕燕に俊杰さまと本名で呼ばれ篤い感謝を受けたことですっかり彼女に💛を奪われてしまいます。う~~ん、この二人上手くいくのか??
一件落着と思いきや、今度は麻美に連行され、彼女の夫の馬琴・馬閃とともに里樹の祖父 である卯の当主の元へ。趣旨を理解した猫猫は里樹の不幸話と馬閃の活躍話をして馬閃を売り込みます。やれやれ😓 この場にいた里樹の異母兄の卯純 がなにやら曲者っぽい。
七・八話 消えた盗人前後編
九話 妓女の引き際
十話 花押
女華の翡翠の牌を狙った盗人が入り、白鈴を心配した李白が馬を駆って猫猫を緑青館に連れて行きます。いちゃつく李白と白鈴はすっかりバカップル様😁
牌は女華が別の場所に隠していて無事でしたが、盗人の手掛かりを探す謎解きが始まります。女華が風呂で部屋に不在の時間を狙い、隣の部屋にいた白鈴たちには睡眠薬入りの粥を盛った犯行は身請けされた梅梅の後釜を狙った梓琳姉が盗人を手引きしたからでした。梓琳姉の逞しさと卑しさが強調されてますね~~。😞
身の危険を感じた女華は翡翠の牌を手放し、猫猫に託します。
猫猫は壬氏様に相談に行きます。13巻の終わりに非常に気まずい結果になっている二人ですが、翡翠の牌が華佗の牌 と判明し、持ち主を問い質す壬氏様と女華を守りたい猫猫の思いがぶつかる場面を救ったのが雀さんの言葉。
二人っきりになっても進展しない猫猫と壬氏様を扉の外で盗み見る水蓮と雀さんでした。ちなみに前話で水蓮が阿多の母 であることが明かされています。😆
十一話 後輩たち
十二話 修練場医務室勤務
十三話 決闘とその代償
十四話 二人はなかよし
十五話 矛盾と目的
十六話 妤
恋文男がまた決闘で負けて、卯純に連れられ医局に来ます。
決闘の理由は恋文男が里樹を莫迦にしたのを卯純が笑い流したのを偶然見ていた馬閃が両方に激怒したというもの。職務で馬閃にも聞き取りにいった猫猫は、武官に絡まれそうになりますが李白が助け舟を出してくれました。
文官だった卯純は家のゴタゴタで武官にされ(見せしめのようなもの)李白の部下となっていましたが、李白は彼を弱いが無害だと庇います。
猫猫と馬閃は「質が悪い、そういう奴ほど危険視すべき」と意見が一致します。
猫猫に医官見習いの後輩ができます。妤と長紗です。妤から『ここ数年で薬屋を始めた訳ありの男』を探していると相談を受けた猫猫は左膳のことかと思ったのですが、妤の捜し人は克用でした。😮 彼は妤のいた開拓村で医者をしていましたが、呪い師をしていた村長に疎まれ追い出されており、その後村は疱瘡で滅びました。医療知識のある克用が村に残っていたら村は滅びなかったと理不尽とわかっていても恨まずにいられなかったのね。妤の家族が無事だった のは、克用に 種痘を受けていたから。
彼は流行病の研究をしていた師匠から双子の弟とともに疱瘡の種を植えられていて、そのため顔半分に痕が残っていたのです。弱毒性の種を植えられた弟には後遺症はなかったけれど既に死んでいます。さらに彼は師匠が華佗の書 を子孫が隠し持っていると聞いたと話します。
十七話 禁猟区
十八話 華佗の末裔
十九・二十話 残された秘宝 前後編
二十一話 帰り道
天祐の故郷が狩猟地として選ばれ、解体研修で李医官・猫猫・天祐が参加することに。政のお付き合いに壬氏様が参加するのは異例でしたが、実は皇太后派の若者が暴れる予兆を聞きつけたためでした。案の定事件が起こります。天祐の実家に火の手があがり、猫猫たちが駆けつけると天祐の父親に刃物を向ける名持ちの若者たちの姿が。その中には恋文男の姿が。こいつどうしようもない一族の恥さらしだな😠
皇子を手にかけた罪人の子孫という間違った情報を鵜呑みにした若者たちが先走り、罪人の子孫を私刑にして皇弟である壬氏様に取り入ろうとしたのですが、全く壬氏様の人となりを理解していない馬鹿者たちですね。
事の顛末に伝説の毒鳥(実は罪人の子孫の比喩だった)を餌にされた猫猫はがっかりしますが、天祐から華佗の書があると聞き燃えている家に水をかぶって飛び込もうとして壬氏様に止められます。羅の血筋を感じさせる一幕でした。
天祐父から華佗の書を見つけて処分して欲しいと頼まれ、割れた二つの牌を合わせることで見事に場所を特定した猫猫。馬閃に続き壬氏様に俵担ぎで運ばれる図は笑えますね。見つかった華佗の書は復元が必要なのでお預けです。
発見に浮かれていた猫猫はうっかり水蓮に壬氏様と馬車で二人きりにされます。
猫猫に触れたい気持ちを我慢する壬氏様ですが、猫猫じゃなくてもぞわ~~っとする変態セリフはいただけません。悪戯心を起こした猫猫が壬氏様に仕掛けますが、微妙に後が続かず・・・二人ともいい加減いい歳なんですけどね~~😅
終話 悪意をばらまく者
雀さんが卯純のところにやってきます。
実は一連の騒動の火種は卯純が起こしていました。王芳に卯の龍の置物の話をし、皇太后派の血気盛んな若者たちに天祐父と翡翠の牌の存在と卯の弱体化をリークし煽っていたのです。彼は自分を強者と驕り高ぶっている者を憎んでおり、特に家族(里樹を虐めていた父と姉)を嫌っていました。でも母親と里樹は好きなのね。そんな卯純に親近感を覚えた雀は、自分の後継者(スパイ)にスカウトします。ろくでもない師弟関係の誕生です。
何気に雀さんの「母に可愛がられる異父弟はそのうち事故にみせかけよう」という一文に虎狼の行く末に待っている悲惨な運命を予感してしまいました😁 ま、あいつに思い入れはないのでちょっと楽しみだったりして。
水蓮の素性や華佗の書の登場に加え、猫猫の壬氏様への気持ちが少しずつ動いている様子や、羅漢に対しても軟化している感じが見られ、なかなか盛り沢山な内容でした。
特に、名持ちの会での羅一家団欒??の愉快な会話は笑わされました。😁