2018年6月1日公開 104分
真面目で確かな腕を持つメカニックの兄・檜山篤洋(東出昌大)と、世界ラリー選手権へのステップアップを目指す天才ドライバーの弟・檜山直純(新田真剣佑)。篤洋の助言を無視して、無謀で勝気なレースを展開する直純はラウンドごとに篤洋と衝突を繰り返し、いつしかチームにも険悪なムードが漂い始めていた。ある日、直純の新しいマネジメント担当として、ラリーの知識がまったくない場違いな遠藤ひかる(森川葵)がやってくる。そんな彼女を待ち受けていたのは、檜山兄弟の確執に秘められた過去、そしてチーム全員を巻き込む試練だった。(映画.comより)
ラリーに生きる兄弟のお話。「オーバードライブ」とは変速比が1.000の直結ギヤより小さい数字の変速比を示す用語らしいですが、それって結局どういう意味?? でも大丈夫、「モータースポーツに関心がないカップルが見ても楽しめる青春映画」(監督談)に仕上がってますから
世界ラリー選手権(WRC)は世界最高峰のラリー競技。その登竜門であるセイコーカップラリーシリーズで熾烈な優勝争いを繰り広げるのが、檜山兄弟の属するスピカレーシングファクトリーと新海(北村匠海)率いるシグマ・レーシングです。新海は自分の走りにしか興味のない直純と正反対のタイプで、常に冷静に状況を判断し、オフの時間もチームメンバーと共に車のメンテナンスをするようなドライバーです。
素行の悪い直純のマネジメント担当としてやってきたひかるですが、元々ゴルフ担当だった彼女は新たな仕事に対する情熱もなく、レースの知識皆無で、完全に場違いな存在でした。しかし、兄弟の確執やレースにかけるチームの情熱を知るにつれ、次第に変わっていきます。レースのことを何も知らない観客は、ひかると共にこの世界に入っていく感覚を共有できますね。
冒頭で、小高い丘からマウンテンバイクで下る兄弟の子供の頃の一コマが流れます。そのゴールに待つ一人の少女が兄弟の間のわだかまりとなっていることが次第に明らかになっていきます。二人ともヒナという少女に惹かれていましたが、彼女が想っていたのは兄の篤洋の方でした。ヒナに告白して断られた直純は、思わず兄には別に好きな人がいると嘘を言ってしまい、直後にボストンに留学したヒナは事件に巻き込まれて亡くなってしまったのです。彼女の死の原因が自分の嘘にあるという自責の念が直純の無謀さに繋がっていたというわけです。篤洋の方も、勇気がなくて彼女に思いを告げることができないまま終わってしまったという負い目があったようです。
最終戦を前にリタイアを余儀なくされた兄弟は、彼らの出発点であり分岐点となった浜辺で過去を清算します。逆転優勝のため、未完成のターボチャージャーの使用を決意した篤洋に、7年前の事故でドライバー生命を絶たれた直純のナビゲーターが賛意を示すシーンが良かったな (実はこの事故の時の原因にも篤洋が関わっていて、彼の自信のなさの遠因でもあったという)
ところが、僅差で新海を追う直純は、前を走っていた車の事故に巻き込まれてクラッシュ、コース脇の湖に水没してしまうんですね もうダメだと諦めかけた直純に篤洋が「待ってろ、すぐに直してやるから」と。くぅぅ~~泣かせるねぇ
奇跡の復活を遂げ、優勝する直純。まぁお約束ではありますが、ここは素直に喜びましょう
とさそして、日本を離れる前日。兄弟は「あの丘」から子供の頃のように自転車を走らせるのでした・・・うん、まとまったな
お台場。五箇山・群馬・富士・北九州など日本各地の公道ラリーの様子は迫力満点で、出来ればスクリーンで観たかったな