2004年1月17日公開 110分 G
平成4年、夏。妻を亡くし、男手ひとつで8歳になる娘・美咲を育てている泥棒専門の新米刑事・関川仁(役所広司)は、ある日、偶然にも大泥棒の“ネコ”こと猫田定吉(柄本明)を逮捕する。しかし、ネコはのらりくらりと取り調べを交わすばかりで、どんなヴェテラン刑事をしても彼に自供させることが出来ない。ところが、仁の実直さを気に入った彼は、仁にあっさり自供を始めた上、泥棒刑事としてのイロハや一流の泥棒の手口、哲学、プロフェッショナリズムを教えてくれるのであった。それから、10年の歳月が流れた。ネコの教えのお陰で、今ではすっかりヴェテラン刑事となった仁は、出所して仕事を再開したネコを再び逮捕する。だが、今回のネコはなかなか自供しようとしない。そんな中、仁は看護学校に通う美咲が、卒業したら海外で看護活動をしたいと聞かされ動揺する。いつまでも幼いと思っていた娘は今、自らの翼で飛び立とうとしているのだ。しかし、そのことがきっかけで、彼は不幸な生い立ちのネコもまた、自らの翼で飛び立とうとして盗みを始めたのだと知る。そして、それを理解した時、遂に自分の力でネコを自供に導くことが出来たのであった。(映画.comより)
刑事と泥棒の間に芽生えた奇妙な絆を描いた人間喜劇で、飯塚訓のドキュメンタリー短編集『捕まえるヤツ 逃げるヤツ』を基にしているそうです。
役所さん、若い!!というのが最初の感想。そりゃそうだ、18年も前の作品だものね
駆け出しの刑事が、その素直で真っ直ぐな性格をベテランの泥棒に気に入られて逆に刑事としてのイロハを教わり成長していくという何ともゆる~~い時代のニュアンスがありました。
娘の壊れた自転車を直してくれた男の道具箱を見た関川仁が、ネコと呼ばれる伝説の大泥棒の7つ道具と同じものが入っていることに気付き職質をかけて捕まえます。意気揚々と取り調べを開始したものの、相手の方が何枚も上手で、いつのまにか自分が取り調べを受けているような状況に。この場面はほぼコントに見えます仁を気に入ったネコはあっさり自白したのですが、実況見分では沢山の場所を回らねばならず大仕事になります。トイレに行かせたら姿が消え、青くなって探すと駅のホームにいて「油断大敵、目を離すな」と逆に説教されたりと振り回されっ放し。
忙しい仁に代わって娘の美咲(菅野莉央)の面倒を見てくれたのは教会の牧子先生(夏川結衣)で、美咲も慕っていました。仁と牧子先生は互いに惹かれ合っていて、熱を出した美咲を家まで送ってくれた夜に結ばれます。しかし、二人の様子に何かを感じ取った美咲はその日以来先生を拒絶し食事しようとしませんでした。亡くなった母を忘れられない娘のために、仁は泣く泣く先生と別れます。
ネコが仁に捕まったのは、痔の治療を(国のお金で)したかったからとわかり、自分の手柄だと思っていた仁はがっくりしますが、そんな彼にネコは「俺がシャバに戻ってくるまで立派な刑事になっていたら、また相手をしてやる」と言います。
その後、仁は転任先でも泥棒刑事として経験を積み成長していきます。美咲(前田綾花)も看護士の道へ進んでいきます。(小児患者役で大後寿々花が出ていました)ネコがまた盗みを働いているという噂を聞いた仁は、今度こそ実力で捕まえようと彼の過去まで調べ追ううちに、ネコが病を患っていると知ります。ネコを捕まえた仁は、だんまりを決め込む彼の心を解きほぐし自白させることに成功します。ネコが泥棒を始めたのは父親の暴力から逃げるためだったのです。 取り調べ中、娘が外国で看護士として働きたいと言われ動揺した仁は、我知らずネコに相談します。すると、ネコは父親としての仁に助言を与えるんですね。それで、仁は娘の背中を押してやる気持ちになります。
ネコの体の状態が気にかかる仁でしたが、今回も重病じゃなかったという この人、病気になるとわざと捕まって治療を受けてるような
護送途中、またトイレに行きたいというネコと河原で用を足しながら(前回の轍を踏んだ=刑事として成長している)、「体に気をつけて、お互いまだ頑張ろう。」と仁が言うと、ネコは笑って頷きます。二人は刑事と泥棒の立場を超えた友人なのね