杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ヴェルサイユの宮廷庭師

2016年03月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年10月10日公開 イギリス 117分

1682年、フランスの田園地方。心に傷を負い、ひとりで生きるサビーヌ・ド・バラ(ケイト・ウィンスレット)は、裕福とはほど遠いながら、造園家という天職を得て、樹木や土と格闘する日々を送っていた。そんな彼女のもとに、時の国王ルイ14世(アラン・リックマン)からの書状が舞い込む。それは王が造営するヴェルサイユ王宮の庭園建設参加を求めたものだった。サビーヌは腹心のメイドが用意したシンプルなドレスに、間に合わせの羽飾り付帽子を被り、庭園建設の責任者ル・ノートル(マティアス・スーナールツ)の面接へと向かう。鬘をつけて飾り立てた同業者たちは、サビーヌが女性であることを理由にあからさまな皮肉を口にする。緊張の面持ちで対面したル・ノートルとは意見が対立し、あっという間に面談は終了。落選を覚悟したサビーヌだったが、ル・ノートルは彼女の感性に新しさと可能性を感じ、〈舞踏の間〉建築の任を与える。
 噴水に囲まれた野外の舞踏場は、硅石とアフリカやマダガスカル産の貝を階段状に積み上げる野趣溢れるデザイン。それは伝統と調和を重んじるル・ノートルの知識と、ほんの小さな無秩序を愛するサビーヌの感性の融合物だった。しかし、水なき地であるヴェルサイユに水を引き、滝を造るという作業は困難を極める。限られた予算と時間の中で困難なプロジェクトに立ち向かう2人は、自然と対峙しながら夢の庭を築くという目標を共有するうち、次第に惹かれ合っていく。
 そんなある日、マリー・テレーズ王妃が亡くなり、とある小庭(のちの)で国王が鬘をはずして悲嘆にくれていた。そうとは知らず、やってきたサビーヌは、国王を梨の木の専門家であり造園家のムッシュ・ド・ラ・カンティニと間違えてしまう。しかし、そんなハプニングによって傷心を癒された国王は、庭や植物を愛し、率直に物申すサビーヌと心を通わせ、彼女をルーヴル宮へ招き入れる。
 貴族たちの好奇の目にさらされても、王の前で心のこもった挨拶をして王の寵姫をはじめとした女性宮廷族たちをも魅了するサビーヌ。そんな彼女を見つめるル・ノートル。ところが彼には契約結婚によって夫婦となった妻がいた。互いに干渉しない約束だと公言するマダム・ル・ノートル(ヘレン・マックロリー)は平然と愛人との逢瀬を楽しんでいたが、夫と身分違いの女性庭師との仲に気づき、謀を企てる。一方、仕事中に娘の声の空耳を聞き、心乱されるサビーヌにも、人知れず胸の奥にしまい込んだ悲しい過去があった―――。(公式HPより)


フランス・ヴェルサイユ宮の庭園建設に関わった造園家の話ですが、ルイ14世を演じたのはイギリスの名優アラン・リックマン(ハリポタのスネイプ先生役)。何故?思ったら彼の監督作品だったのですね。ル・ノートル役の俳優さんがけっこう好みのビジュアルでした

ル・ノートルはサビーヌの感性に自分にはない新しさを感じて彼女を舞踏の間建築に抜擢します。既に高名を馳せ守りに入っていた彼にとって、サビーヌの感性は新しい可能性をもたらしたのね。彼らが惹かれあうのは自然で当然な成り行き。ル・ノートルと妻の関係はほぼ破綻していましたが、自分は浮気を重ねていても、夫が自分以外の若い女に惹かれて行くのは我慢できないというわけで、妻は嫌がらせで庭園建築の邪魔をします。いや~それやっちゃダメでしょ妻のしたことはむしろ二人を近づけることになります。

サビーヌは王を造園家と間違える失態を犯しますが、率直なサビーヌを王は逆に気に入って宮廷に招きます。権謀術策の宮廷では、彼女のような飾らない人柄はある種の癒し効果があったのかもね

庭仕事をするサビーヌのドレスは土や泥で汚れています。ル・ノートルとの面接の時には派手な羽根飾りのついた帽子を被りますが、これは彼女なりの見栄ですね
宮廷出仕の時はちゃんとしたドレス(地味ですが)姿も見せてくれます。

この映画では最後に完成した舞踏の間の見事な景観が一番の見所です
建設段階の何もない空間があのような素晴らしい場所に変わる・・・人の力って凄いね

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Dearダニー 君へのうた

2016年03月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年9月5日公開 アメリカ 107分

満員の観客の大歓声に迎えられ、往年の大ヒット曲「ヘイ・ベイビードール」を歌い踊るダニー・コリンズ(アル・パチーノ)。内心はマンネリなステージにウンザリしているダニーは、長年のマネージャーで親友のフランク(クリストファー・プラマー)に「いい公演だった」と言われても、楽屋ではどんよりと落ち込んでいた。
翌日、婚約者のソフィー(カタリーナ・キャス)が、豪邸でダニーの誕生パーティを盛大に開く。宴が終わる頃、フランクから驚きのプレゼントを渡されるダニー。それは、崇拝するジョン・レノンからダニーへの手紙だった。デビュー間もない43年前、雑誌のインタビューで成功への不安を語ったダニーに、ジョンが励ましの手紙を書いてくれたのだ。編集者がコレクターに売りつけたために、ダニーのもとへは届かなかった。
「金持ちで有名になることで君の音楽は堕落しない。音楽と自分自身に忠実であれ。」ジョンの言葉に目を開かされ、人生を変えると決めたダニーは、ソフィーに別れを告げ、ニュージャージーへと旅立つ。
ダニーが小さなホテルに飛び込みで入ると、ドアマンのニッキー(ジョシュ・ペック)もフロント係のジェイミー(メリッサ・ブノワ)も、突然現れた有名人に舞い上がるが、支配人のメアリー(アネット・ベニング)だけは落ち着いていた。ダニーのジョークに気の効いた返しで応え、夕食の誘いを感じよく断る彼女をすぐに気に入ったダニーは長期滞在を決める。
ダニーはフランクを呼ぶと、ツアーはキャンセル、クスリと怠惰な生活とは縁を切り、30年ぶりに新曲を書くと宣言する。実は作曲以外にも、やるべきことがあった。顔も見たことのない息子のトムに会いに行くのだ。ずっと訪ねる勇気が出なかった住所には、妊娠6カ月の妻サマンサ(ジェニファー・ガーナー)と7歳になる娘のホープ(ジゼル・アイゼンバーグ)がいた。元気で愛くるしいホープが、多動性障害だと聞いて動揺するダニー。さらに妻からの電話で勤め先の建設会社から駆け付けたトム(ボビー・カナベイル)に、「2度と来るな」と言われてしまう。
ホテルのバーで泥酔するダニーに、声を掛けるメアリー。ダニーは息子のこと、メアリーは離婚して一人で娘を育てていることを語り合う。話題は尽きることなく、軽妙な掛け合いを楽しみながら飲み明かす二人。部屋に運び込んだピアノで書きかけの曲を披露するダニーに、メアリーは新曲も息子も諦めないようにと励ますのだった。
次の日から、なりふり構わず息子一家に愛情を捧げるダニー。コネを駆使してホープを障害に取り組む有名学校へ入学させたダニーは、「今日の恩で恨みは消えた」とトムから許される。だが、喜んだのも束の間、亡き母と同じ白血病が進行しているというトムの告白に愕然とするダニー。2度とこの手を離さないと誓ったダニーは、思わぬ行動に出る──。(公式HPより)


ビートルズを解散したばかりの頃のジョンが、何の面識もない新人ミュージシャンを励まそうとして書いた直筆の手紙が、数十年後にようやく本人に届いたという実話からインスピレーションを得た作品です。

43年遅れで届いた憧れのスターからの手紙に一念発起したダニーは今まで顧みなかった家族(ただ一人の息子)と絆を結ぼうとするのですが、そんなの見捨てられてきた者としては赦せる筈もないですよねけんもほろろに追い返されるダニーですが、そこで諦めずに猛アタックする姿が何だか愛しく見えてきます。

多動性障害の孫娘に適切な教育をしてくれる学校(学費も半端なくかかるため両親は諦めていた)を探してきたことで息子の頑なだった心がわずかに溶けてくるのですが、白血病に罹っていると告白され動揺するダニー。必死に治療法を探し出し、息子に受けさせます。辛い治療を傍で支えるうち、父と息子の間にあった溝が埋まっていきます。

ダニーを励まし背中を押したのはジョンの手紙だけではありません。逗留するホテルの支配人のメアリーと意気投合し、粋な大人の愛を育んでいきます。

書き上げた新曲の初披露の場で躊躇い不安に襲われたダニーは、ファンが期待するいつものヒット曲に逃げて新曲を封印し、再びクスリと酒に逃げ込もうとします。そんなダニーに再び勇気とチャンスをくれたのもメアリーや家族、そしてマネージャーで無二の親友でもあるフランクでした。

遅すぎることはない、いつだって明日が人生最高の日!
勇気をくれる人生の応援作です

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映画 暗殺教室

2016年03月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年3月21日公開 110分
2016年3月18日フジテレビ『金曜プレミアム』放送

有名進学校椚ヶ丘中学校の落ちこぼれクラス3年E組。ある日、奇妙なタコ型の超生物が担任に就くことに。すでに月の7割を破壊した彼は、来年の3月には地球をも破壊すると予告していた。この危険生物を仕留めるために、これまでに幾度も暗殺が試みられてきたが、マッハ20で飛び回る相手に、いずれの作戦もことごとく失敗に終わっていた。そんな彼が、なぜかE組の担任を政府に希望したことから、潮田渚(山田涼介)らE組の生徒たちに、この生物の暗殺という極秘任務が託される。やがて渚たちはこの生物を“殺せんせー”と名付け、あの手この手で暗殺を試みるのだったが…。
<allcinema>


松井優征のコミックスの実写映画化です。
殺せんせーの声は嵐のニノ(二宮和也)ですが、公開まで伏せられていましたね。
中学生に暗殺を依頼(しかも成功報酬100億円)するという設定がまず滅茶苦茶ですが、意外に教育熱心な殺せんせーのキャラもとってもユニーク。外見以外は普通に教師と生徒の絆の物語じゃないですか。
過去に教師に裏切られてから教師不信に陥っているカルマ(菅田将暉)の心を開かせたり、
「暗殺に励めば勉強はしなくて良い」と慢心する生徒たちに「暗殺者だからこそ“二の矢”を持つために勉強しなさい」と諭すなど、普通の人間の先生以上にまともです。

暗殺者は生身な生徒だけじゃなく、律(自律思考固定砲台)という人工知能搭載の新型兵器や巨乳なビッチ先生(知英)もいて賑やか。烏間(椎名桔平)は防衛省臨時特務部所属の自衛官で殺せんせーの監視役です。
鷹岡(高嶋政伸)は烏間の同僚自衛官ですが、その暴力的で独裁的な性格により生徒を傷つけたことで失脚。逆恨みでウィルスを使った卑劣な復讐に出るも渚の活躍で失敗に終わります。(こういう役をやらせると上手すぎる演技で本当に嫌なヤツに見えちゃうよね~高嶋さん

設定は荒唐無稽で、暗殺という内容なのにやたら明るい展開でその重さを感じさせない手法は娯楽として観る分には良いのかも。

『暗殺教室〜卒業編〜』は2016年3月21日公開で、放送終了後に予告映像も流れました。エンドロール直前に映る茅野カエデのうなじから見える触手とか、最強の殺し屋は誰かと聞かれたビッチ先生が「死神」と答えたその正体などが明かされるのかな。

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しあわせへのまわり道

2016年03月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年8月28日公開 アメリカ 90分

ニューヨークの売れっ子書評家、ウェンディ(パトリシア・クラークソン)は順風満帆の人生を歩んでいたが、それが突如崩壊する。長年連れ添った夫のテッド(ジェイク・ウェバーテッド )が、すきま風の吹いた結婚生活に見切りをつけ、浮気相手のもとへ去ったのだ。深い悲しみに暮れつつ、車を運転できないという現実に直面したウェンディは、インド人タクシー運転手ダルワーン(ベン・キングズレー)に教えを乞う。伝統を重んじる堅物だが、人種も宗教も文化も異なるダルワンとの出会いは、ウェンディの考えを一変させ、再び前進する勇気をもたらすのだった……。(Movie Walkerより)


米ニューヨーカー誌に掲載された実話を映画化したハートフルドラマです。
突然夫に離婚を突きつけられた妻というのは日本の夫婦と逆パターンだね。
時として親であることより夫婦であることを優先するアメリカ社会では、相手に寄りそう気持ちを見せない者に厳しい現実があるのかな。

ウェンディはテッドを愛していないわけじゃなくて、ただ彼の愛に甘えて過ごしてきた女性です。
側にいるのが当然で、夫も同じように感じていると思い込んでいた彼女にとって、浮気した夫の方から離婚を切り出すなんてパニックもいいところ。どうして?なんで?私が何をしたの?・・・彼女の思いは共感できるなぁ味方の筈の娘からも「お父さんはもう戻って来ないのよ。前を向いて歩きださなきゃ」と言われる始末。本当はウェンディもわかっているのだけど、心がまだ受け入れられないのよね。化粧してタイトスカートを履いてテッドに迫るシーンは痛かったけど、彼女の心情をよく表していました。(けっこうズバリな下ネタトークもあるのだけれど、嫌らしくはなかったです。)

夫婦を乗せたタクシーの運転手がダルワーンでした。(彼は自動車教習の仕事もしています。)偶然修羅場に立ち会った彼にとって、この出会いはかなりインパクトがあったようです。車内の忘れ物を届けに行ったことから、免許が必要になったウェンディの講習をすることになります。
ウェンディは今まで車の運転をする必要もなかったし、する気もなかったのですが、遠い地で農業研修(ボランティア?)をする愛娘のターシャ(グレイス・ガマー)に会いに行くため一念発起したのでした。

おっかなびっくりハンドルを握る彼女に根気良く丁寧に運転を教えるダルワーン。あちらはいきなり路上で実地に練習するんですね。 縦列駐車や流れに沿っての運転、橋を超えてクイーンズまでのドライブなど、ウェンディのドキドキが伝わってくるような気がしました。離婚の話し合いと平行して話が進んでいきますが、運転に慣れ、上達していくに従い、初めは離婚を受け入れられなかった彼女が、現実を受け止め前向きになっていく様子が描かれていきます。

離婚の原因を作った側の夫から財産分与の請求をされるのはなんだかな~ですが、そもそも夫婦関係を保つ努力をして来なかった妻に非があるという考え方なんですね

一方、ダルワーンはインドからの亡命者(政府によるシグ教徒への弾圧)ですが、自分の信じる宗教(シグ教徒)と故郷の慣習に従い、姉の選んだ相手ジャスリーン(サリタ・チョウドリー)と結婚します。会ったこともない相手といきなり結婚なんて現代日本では考えられないけど、ダルワーン曰く、「家族は自分自身より自分を知っている。その家族が選んだ相手だから間違いない」らしい
ターバンを巻いている彼はアメリカ社会では異端者であり異邦人であり、偏見の対象者です。(彼の甥は不法入国者ですが、当局の目をかいくぐり自由の国アメリカで生きていこうとしています。)ダルワーンの落ち着きと諦観は宗教という拠り所があることが大きいのかな?

インドで先生をしていた彼は、言葉の専門家であるウェンディに尊敬と親愛の気持ちを抱いています。それは恋とは違うのね。
アメリカでの生活に慣れるよう、外出や英語での会話を強いるダルワーンに、ジャスリーンは孤独感を募らせるのですが、ウェンディの助言(贈り物よりもただ手を握って欲しい、傍にいて欲しいのだということ)もあって、この夫婦は徐々に距離を縮めていくのでした。

試験に落ちて、一度は投げ出したウェンディでしたが、再び人生をやり直すために再チャレンジします。合格してすぐに車を買いに行くあたりはさすが車社会のアメリカだね。
新車のハンドルを握るウェンディは、過去の自分(とテッドへの想い)にきっぱりと別れを告げた良い顔をしていたな~~


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脳内ポイズンベリー

2016年03月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年5月9日公開 121分

携帯小説の作家として生計を立てている櫻井いちこ(真木ようこ)は、駅のホームで、飲み会で出会い気になっていた23歳の早乙女(古川雄輝)を見かける。彼女の頭の中では、「理性(西島秀俊)」「ポジティブ(神木隆之介)」「ネガティブ(吉田羊)」「衝動(桜田ひより)」「記憶(浅野和之)」という5つの思考がせめぎあい、声を掛けるか否かで会議を繰り広げ始め、その結果、早乙女を食事に誘ったいちこは彼の部屋にまで押しかけて肉体関係を結び、やがて2人は付きあうことになる。だが、いちこの年齢を知り引く彼の様子にショックを受けてしまう。そんな中、彼女の前に頼れる存在である仕事相手、越智(成河)が現れる。脳内会議が紛糾し通しのいちこの恋の行方は……。

漫画家・水城せとなの同名コミックをもとに、年下男性に翻弄されるアラサー女性を、彼女の脳内の5つの思考を擬人化して描いたラブコメディです。同時期に『

結婚する予定だった社内恋愛の相手に浮気された上にその相手と出来ちゃった結婚された過去がトラウマとなり、自分に自信が持てなくなったいちこですが、早乙女に対してはけっこう積極的にぶつかっていきます。
好きという感情が他を押しのけてしまうというのはありがちだよね~~その象徴が、謎の「黒い女」(本能)ですが、あのコスチュームはもう少し何とかならんのかい?違和感あるというか浮いているというか・・

一方、会議を繰り広げるのは5つの感情たち。それぞれに苗字や名前が付けられているのが可笑しいです。議長の吉田は多数派に従いがちな風見鶏、ネガティブな池田はいちこの行動全てに否定的消極的で後ろ向きです。ポジティブ・石橋は陽気で前向き。衝動のハトコはその時々の感情をストレートに表します。岸は記憶を表しいちこの人生の記録係ですが、うっかり黒歴史をめくって墓穴を掘ってしまうタイプ。演じる役者さんたちはいずれも芸達者なので、会議を見てるだけでも楽しい

客観的に見れば、23歳の売れない芸術家の早乙女より、定職に就き、人柄も穏やかな越智の方が結婚相手としては理想的なんですが、いちこちゃんってばキスされても彼にときめきは感じないのよねでも、好きという感情は理性を押しのけてしまうもの。会えば喧嘩になるのに、会わないと苦しいその気持ちは理解できるなぁ。

ふらふら迷った挙句に早乙女を選んだいちこですが、携帯小説が本になり、映画化されることになりと仕事が順調な彼女に対し、嫉妬やプライドが邪魔をして素直になれない早乙女との間にどんどん溝が出来て行きます。ポジティブな石橋が眠りにつくのは本当の自分を殺してしまっている状態を表しています。自分自身を好きでいたいからと、辛くても別れを告げたいちこの決断は正しいことだね。

30歳であのファッションはどうよ(特にニット帽、小人かよ)ないちこですが、あの不器用さがちょっと愛しくなってきました。自分を好きになると決めた後の表情が晴れ晴れとしてとても良かったです。
お気に入りの西島さんや神木君が出演しているのも嬉しかったですが、我儘で感情的でガキだけど、不思議に魅力的な早乙女を演じた古川君、ちょっと注目かも

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アーロと少年

2016年03月18日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年3月12日公開 アメリカ 93分

恐竜が絶滅を免れた世界。恐竜のアーロは、兄や姉と比べて身体が小さく、怖がりで父親に甘えてばかりだった。ある激しい嵐の日にアーロを庇って父が亡くなってしまう。別の日、蓄えた食料を盗み食いしていた人間の子を追い払おうとしたアーロは川に落ちて激流に飲み込まれ、家族から遠く離れた見知らぬ土地で目覚める。ひとりぼっちになったアーロを助けたのは、人間の子スポットだった。言葉は通じないものの、小さな身体で懸命にアーロを守ろうとする勇敢なスポットに、アーロは少しずつ心を開いていく。ふたりはアーロの家族の待つ家を目指し冒険の旅始めるをが、行く手には大自然の脅威や敵が待ち受けていた。アーロとスポットは力を合わせて困難を乗り越え、やがて言葉を超えた心で通じ合う人生初の友達になっていくが・・・。


いつものシネコンでは字幕版の上映が無く、吹替えで鑑賞です。ママ(安田成美)、Tレックス一家のブッチ(松重豊)とラムジー(片桐はいり)とナッシュ(八嶋智人)は俳優さんが声をあててます。

アーロのパパは息子が本当は強い子だと信じていて、恐がりを直そうと夜の草原に連れて行ったり、嵐の中を食料泥棒を追いかけていったりします。自分の性急さに気付いて反省するところは親だって試行錯誤しているんだよな~と感じさせてくれました。(後にアーロがピンチの時、夢の中で彼を導いてもいました。)
夜の草原の蛍の乱舞はとても美しい光景で、後にアーロがスポットに父親と同じことをする場面にも登場します。

冬に備えて一層の蓄えをしなければならない中、パパの死の一端になったスポットがまた食料を荒らしているのを見つけたアーロは追い払おうとして一緒に川に落ちてしまうの。家から遠く離れた場所で目覚めたアーロは、迷子になってうろたえましたが、そんな彼を助けてくれたのがスポットでした。スポットは虫や獣を獲ってきてアーロの前に差し出すのですが、草食恐竜のアーロにはその意味がわかりません。でも三度目に木の実を差し出され、やっとスポットが自分に食料を探してきてくれたのだと理解します。

アーロはスポットに、木の枝を家族に見立て、○で囲んで「家族」を表現してみせます。言葉が通じなくてもそれが家族を意味するのだとはっきりとわかる素晴らしいシーンでした。次第に打ち解けていく二人。テロダクティル(翼竜)に狙われた彼らを助けてくれたTレックスの一家(普通彼らが最大の敵だけどね)の手助けをして、牛泥棒のラプトルをやっつけたりと子供が喜びそうな冒険が繰り広げられていきます。

やっと懐かしい家の近くまで辿り着いた二人ですが、また翼竜に狙われてしまいます。攫われたスポットを取り返そうと頑張るアーロは、最早弱虫の甘えん坊じゃありません。しかし、スポットと同種の(彼の家族は亡くなっているので、種族としての仲間ですね。)人間が二人の前に現れた時、アーロは自分といるより人間たちと新しい家族になった方がスポットは幸せになれると気付くのです。アーロがスポットと彼らを大きな○で囲んでスポットを彼らの方に押しやるシーンも感動的でした。

恐竜が繁栄している世界という設定なので、人間は言葉を持たず、狼か犬程度の存在として描かれています。スポットの仕草はどう見てもわんこでしかないし新しい家族は目と髪の色が違い、さらに二足歩行をしている点でより進化した種族ってことなのかしらん?

特筆すべきは、実写と見紛うほどの自然描写です。津波のように押し寄せる増水した川の水、険しい山の景色、生命に溢れる森などなど・・・これはスクリーンで観て正解ね
逆に、恐竜たちは子供受けするいかにもアニメっぽい可愛らしさがあって、幼児でも怖がらずに楽しめるようになっていました。内容的にも大人も楽しめるという宣伝文句に嘘はなかったかな

本編の前に『ボクのスーパーチーム』という短編が上映されるのですが、全く世界観が異なる作品(仏教か密教の宣伝かよ?本編が短いからおまけなのか、スポンサーがそちら系だとかあるのかな?)なので、「あれ?スクリーンを間違ったかな?」と一瞬焦ってしまいました。

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えどさがし しゃばけ外伝

2016年03月15日 | 
畠中恵(著) 新潮文庫

時は流れて江戸から明治へ。夜の銀座で、とんびを羽織った男が人捜しをしていた。男の名は、仁吉。今は京橋と名乗っている。そして捜しているのは、若だんな!? 手がかりを求めて訪ねた新聞社で突如鳴り響く銃声! 事件に巻き込まれた仁吉の運命は――表題作「えどさがし」のほか、お馴染みの登場人物が大活躍する全五編。(裏表紙より)

「しゃばけ」シリーズ初の外伝です。

・五百年の判じ絵
おぎんと佐助の出会いから500年経った江戸の、まだ一太郎が生まれる前のお話です。
江の島で怪我をした仁吉を助けた縁で、おぎんからある約束をされてから500年。当の佐助はすっかり忘れていたのですが、旅の途中、箱根の茶屋で妙な判じ絵を目にしたことから何だか賑やかな道連れが出来、江戸の京橋まで同道することに・・・。
弘法大師の絵から生まれ出でた佐助が妖となり長い長い時をさすらう中で、大師様以上に大事な相手に巡り合えるきっかけの物語であり、長崎屋で佐助はようやく守るべき者と、友と、顔馴染みと暮らしていく場所を得たのですね。

・太郎君、東へ
河童の大親分の禰々子のお話。
利根川の主である坂東太郎がご機嫌斜めのせいで、泳ぎの達者な河童ですら流される始末。禰々子は太郎の不興の原因を探ろうと出かけて、大規模な治水工事を始めた人間たちを見つけます。川へ身を乗り出している禰々子に「危ない」と声をかけてきた工事の指揮を執る侍の小日向や、その許嫁だったなみと知り合った禰々子は、人と川(太郎)双方の間でしばし悩みますが・・・
禰々子が小日向に抱いた感情は人間でいえば仄かな恋心かも。小日向がなみとの縁談を断ったのは、治水工事が失敗した時(その可能性が高かった)に責任を取らされるため、なみを巻き込みたくなかったからです。そんな小日向に真っ直ぐ気持ちを伝え、逐電してでも共に生きようとするなみに「負けた」と思う禰々子がなんだか可愛いです。
姑息な手段で工事を邪魔しようとする太郎に怒り追い回したことで川の形が変わるというその発想がとても神話的で面白かったです。太郎ってば禰々子に惚れているんだねぇキャラ的には力は強いが性格は子供の駄々っ子みたいでした。

・たちまちづき
広徳寺の寛朝と弟子の秋英さんのお話。
口入れ屋の大滝屋の主人安右衛門がおなご妖に憑りつかれているので祓って欲しいという妻の訴えに翻弄される僧たちの姿がユーモラスです。
一見頼りない亭主が実はかなり冷静に物事を判断できる男で、大名家相手の粗相の後始末を見事につける様は読んでいて爽快なほど。
妻の方も夫に何とか主としてしっかりして欲しいと願った末の妖騒動でした。
寛朝が鳴家たちを甘やかす姿や、そんな師を叱る秋英のコンビもなかなか微笑ましかったです。

・親分のおかみさん
日限の親分の妻・おさきはこれまで病弱という設定でしたが、その本人が主人公のお話。
ある日、長屋の土間に赤ん坊が捨てられた!もしかして夫の隠し子?と一抹の不安を覚えてしまうおさきです。
捨て子は周囲の皆で世話をするのが当たり前というこの時代の感覚はとてもほっこりしますね
もらい乳をしたおなみは最近赤ん坊を亡くしたばかり。彼女の辛さを思いやるおさきも優しい女性です。
長崎屋にも捨て子があり、背景に押し込み強盗の影がという展開で、若だんなもちらっとですが登場します。
いつもは頼りない親分ですが、今回は推理も当たって大活躍?です。
最後はおなみとおさきがそれぞれ捨て子を引き取り育てることに。
女は弱いけど母は強し!おさきの病って、うつ病みたいなものだったのかな?

・えどさがし
時代は明治。
仁吉は「長崎商会」を営みながら若だんな(の生まれ変わり)を探しています。
本編での神様たちとの約束のその後というわけですね。
新聞の投書欄に載った意味深な言葉に、もしや若だんなでは?と投書した人物を探して新聞社を訪れた仁吉が殺人事件に遭遇。ところがこれには裏があり・・という展開です。
実はこの投書をしたのは盗人に持ちだされて蔵に閉じ込められていた付喪神の屏風のぞきでした。長崎商会には鳴家や貧乏神の金次、獺や鈴彦姫などお馴染みの顔ぶれが勢揃いしています。新たに巡査に化けた妖も登場。
佐助から若だんならしき人を見つけたという手紙が届いたところで終わるので、このメンバーで続編がありそうですね。

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家族はつらいよ

2016年03月14日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年3月12日公開 108分

初秋。東京の郊外で暮らす三世代同居の平田一家の主・周造(橋爪功)は、モーレツサラリーマンだった時期を終えて今はすっかり隠居生活を送っている。今日も仲間とゴルフを楽しんだ後、美人女将・かよ(風吹ジュン)がいる小料理屋で散々女房の悪口を言って盛り上がり上機嫌で帰宅。長男・幸之助(西村雅彦)の嫁・史枝(夏川結衣)は酔っぱらっている周造に気を遣いながらも義父の苦言に笑顔で付き合う。妻の富子(吉行和子)もまたそんな夫を優しく迎え、寝室で脱ぎ捨てる服を拾い歩きながら着替えを手伝うのだった。周造はいつものように靴下を脱ぎ捨てながら、ふと寝室に飾られたバラの花瓶を見て「その花どうした」と尋ねる。なんでも誕生日に花をプレゼントする事は仲間の決まりで、今日は私の誕生日なのだと富子は言う。すっかり忘れていた周造だったが、たまには妻に誕生日プレゼントでもしてやろうかと欲しいものを聞いてみると、富子が机から持ち出してきたのはまさかの離婚届であった。突然の宣告を受け唖然と凍りつく周造。一方、富子はそんなことはお構いなしに冷静に部屋を出ていってしまう。こうして、平田家の“離婚騒動”は幕を開けた……。10月26日、秋晴れの日曜日。周造と富子、幸之助と史枝、長女・成子(中嶋朋子)と夫・泰蔵(林家正蔵)が集まっている。件の離婚問題について議論しようとしたとき、今日が家族会議だと聞かされていなかった次男の庄太(妻夫木聡)が恋人を紹介するため憲子(蒼井優)を連れてくる。なかなか本題に入れない一同だったが、ようやく憲子を交えた8人で家族会議が始まった。だが幸之助と成子が口論を始め、ついには史枝、庄太、泰蔵まで巻き込まれ、会議は思わぬ方向に進んでしまう。やがて長年抱え続けた富子の思いがけない本音が暴露されると、事態は更に思いも寄らぬ局面を迎えるのだった……。(Movie Walkerより)


山田洋次監督が「男はつらいよ」シリーズ終了から約20年ぶりに手がけた喜劇です。『東京家族』で一家を演じた8人のキャストが再集結し、別の家族を演じるという趣向に興味を惹かれ、公開を楽しみにしていた作品です。氷雨の平日なのに客席は8割方埋まっていましたが殆どが中高年でした。上映中もあちこちから苦笑・失笑が漏れてきました。三世代が登場するので、どの世代、男女どちらにも自分を重ねることができて、幅広い共感を得られると思います。

橋爪さん演じる周造は、仕事一筋で家庭は妻任せが当たり前だった一昔前のどこにでもいるお父さん・お爺ちゃん像です。妻の方もそれが当たり前と家庭を守ってきたけれど、子育ても終わり自分の時間を持つようになると、夫との関わり方に疑問を持つようになったということかしら?脱ぎっぱなしの靴下や肌着に抵抗を持つようになるってヤバイんですよねでも一番彼女が欲しかったのは、夫に労いや感謝の気持ちを言葉にしてもらいたかったということです。言わなくてもわかるのではなく、言葉にしなければわからないのですよこれ、世の夫諸氏に肝に銘じて頂きたいものです
雨降って地固まったあと、周造が脱いだものを畳んで置いてあったのがちょっとツボでした

劇中「男はつらいよ」「東京物語」のシーンが挿入されていたり、正蔵さんが故三平師匠の「どうもすいません」を言うセリフがあったり、他にも昭和な小ネタ満載でした。 少しだけ不満を言うとすれば、孫二人は終始蚊帳の外だったこと。二人ともお祖父ちゃんお祖母ちゃんっ子なんだから、少しでも話に絡んでもいいんじゃないかなぁと。ま、大人の揉め事に子供を巻き込まないという配慮なんでしょね。 

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ひなこまち

2016年03月13日 | 
畠中恵(著) 新潮文庫

長崎屋へ舞い込んだ謎の木札。『お願いです、助けて下さい』と書かれているが、誰が書いたか分からない。以来、若だんなの元には不思議な困りごとが次々と持ち込まれる。船箪笥に翻弄される商人、斬り殺されかけた噺家、売り物を盗まれた古着屋に、惚れ薬を所望する恋わずらいのお侍。さらに江戸一番の美女選びまで!? 一太郎は、みんなを助けることができるのか? シリーズ第11弾。

・ろくでなしの船箪笥
一太郎の数少ない同年代の友人である七之助&冬吉兄弟の頼み事は、祖父の形見の船箪笥を開けて欲しいということでした。
大阪の本家・伊勢屋の隠居である祖父が兄弟に遺したものですが、開かない引き出しにお宝が隠されているのではと疑った本家が、江戸の親戚筋である叶屋に預けたところ、怪異が起きたというのです。河童が欠けた甲羅を取り戻そうと騒ぎを起こしていたのですが、叶屋の大番頭と二番番頭の諍いは、商いのパッとしない本家が江戸でそこそこ成功している分家に対する嫉妬も遠因なんですよね。人間の欲深さもさり気なく盛り込まれていました。

・ばくのふだ
悪夢を食う獏・場久と若だんなとの出会いの話です。
人の悪い夢を食べ続けてきた獏が、話の下手な噺家の悪夢と出会い、自分ならもっと面白い話ができると思いついて、人の世に出てきたのです。
寄席で話すことで自分もストレス解消になっていたのですが、人に知られたくない悪夢を場久に語られた侍が、自分の悪事が露見したと勘違いして場久を襲いかかった折に、噺を聴きに来ていた若だんなたちと知り合ったのでした。

・ひなこまち
美しい娘を一人雛小町に選び、その顔を手本に雛人形を作る話で持ちきりの中、長崎屋を覗き込む怪しい娘を追いかけて屏風のぞきが受難に。当の娘に助けられたことから、仁吉を巻き込んでの着物詐欺の盗人たちの捕り物に化けていきます。屏風のぞきがメインって珍しいね

・さくらがり
広徳寺で花見をすることになった若だんな一行の下に、船箪笥の件で迷惑をかけたお礼にと河童の大親分の寧々子がやってきて、河童の秘薬を持って来たことから騒動が!
惚れた女房・雪柳のために惚れ薬の秘薬が欲しいという安居という侍も絡んでのドタバタが面白かったです。その惚れ薬が盗まれての大騒ぎが解決したお礼にと、安居は若だんなから秘薬の一つを貰いました。
花見のご馳走の描写が何とも豪勢かつ美味しそうです。

・河童の秘薬 
幸せになれるという秘薬を夫に貰って飲んだ雪柳の夢の中に若だんなたちも取り込まれます。身元不明の幼子が浚われ、その子を必死に探して守った雪柳とそれに力を貸した若だんな。謎の木札はこの夢の中で書かれたものでした。
安居と雪柳の素性とか、雪柳の願いの中身は簡単に推測できますが、この夫婦が幸せでありますようにとつい応援したくなるキャラです。

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ストロボ・エッジ

2016年03月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年3月14日公開 116分

高校1年生の木下仁菜子(有村架純)は、ある日帰る途中、女子に人気の同級生、一ノ瀬蓮(福士蒼汰)と出会う。それ以来二人は少しずつ話すようになり、仁菜子は一見クールな蓮の優しい面や彼の笑顔を見ているうちに、これまでに体験したことのない恋しい気持ちを抱くようになる。蓮が中学時代から年上の麻由香(佐藤ありさ)と付き合っていることを知ってもなお気持ちを止められず蓮に告白するが、フラれてしまう。彼とただの友達でいようとする一方で、好きという気持ちをますます募らせる仁菜子。まっすぐな彼女と過ごすうちに、蓮の中で少しずつ何かが変わっていく。仁菜子と蓮、仁菜子のことが好きな安堂(山田裕貴)と大樹(入江甚儀)、麻由香、安堂と付き合っていた真央(黒島結菜)、それぞれの思いが交差する。(Movie Walkerより)

咲坂伊緒のコミックが原作。
駅のホームでの告白シーンから始まる物語は、初めから青春の甘酸っぱさ満開です。
電車内でスマホに付けたアクセサリーを踏まれたことから始まった二人の出会いはその後で紹介されるため、最初は唐突な印象を受けました。
二年に進級して同じクラスになった二人。安堂の登場もあり、波乱の予感です

彼女がいると断られ、友人でいられることだけで満足しようとするけれど、気持ちはやっぱり揺れちゃう。
そんな仁菜子に関心を持った安堂は、いつしか彼女を本気で好きになってしまう。彼は中学時代につきあっていた真央が、本当は蓮目当てで近づいてきたことに深く傷つけられた過去がありました。それが原因で親友だった蓮と溝が出来てしまっています。

けれどね~~、このヒロインってばとっても素直で正直で優しいの。
こんな娘にまっすぐ接して来られたら、普通気持ちが動くよね
蓮が麻由香(大樹の姉という設定ですが、何歳違いなんだ?・・原作だと二歳年上のようですね。)と付き合い出したのは彼らの両親の離婚がきっかけのようです。傷付いた麻由香を自分が守るんだという意識と彼女を好きだという気持ちをいつしか混同してしまった蓮が、仁菜子に惹かれていくのに気付いたのは、麻由香の方が先でした。一緒に大人になりたかったねと蓮に別れを告げるシーンが印象的です。

フリーとなった蓮ですが、転校してきた真央が邪魔します。
でもその理由は蓮に未練があったからではなくて、本当に好きだったのは安堂だと気付いた真央が、彼のためにしたことだったのでした。
それを知った安堂は、仁菜子の背中を押してくれます。
もう、ほんと青春だ~~!!

登場人物は誰もが皆自分の気持ちに正直で熱い。
舞台となる高校もかなりスタイリッシュな建物で、文化祭などのイベントも懐かしさを感じさせます。最初と最後の告白場面である駅のホームも効果的に使われていました。

女子高出身なので、こういう「青春」は味わったことがありませんが、疑似体験の気分で楽しみました。

やっぱ、有村架純ちゃん、可愛いね~~。
可哀相なのは大樹で、出番も少なく完全脇役だったな
でも、今回のツボは安堂役の山田裕貴君ヒロインを傍で見守り最後は潔く身を引くという、もしかしたら蓮よりオイシイ役柄をきっちり演じていました。(この役、窪田君がやってもはまると思うな~~

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ハイネケン誘拐の代償

2016年03月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年6月13日公開 ベルギー・イギリス・オランダ 95分

1983年、オランダ・アムステルダム。事業に行き詰まっていた会社経営者のコル・ヴァン・ハウト(ジム・スタージェス)は、幼なじみの親友で妻の兄でもあるヴィレム(サム・ワーシントン)ら仲間と結託し、大ビール企業「ハイネケン」の会長フレディ・ハイネケン(アンソニー・ホプキンス)の誘拐する。警察は巨大組織による犯行を疑っていて、史上最高額の身代金を要求した計画は成功したかに見えたが、その後の身代金交渉は遅々として進まず、人質であるハイネケンの傲慢な言動に翻弄され、強い絆で結ばれていたはずの仲間たちの間に溝が生まれ始め・・・。


有名ビール企業ハイネケンの経営者が誘拐された実在の事件を映画化したクライムサスペンスで、犯罪ジャーナリストのピーター・R・デ・ブリーズのノンフィクションをもとに、誘拐犯と被害者双方の視点から事件を追っています。

アンソニー・ホプキンスが出演ということでかなり期待を持って選択したのですが、正直肩透かしな感じです。ハイネケンに犯人たちが翻弄される様をもっとコメディタッチで観たかったな。

ハイネケンは運転手のアブともども誘拐されるのですが、アブは計画が上手くいかない時の見せしめ要員なんですね。それを察知したハイネケンはアブを気遣い、彼を救うために犯人たちを翻弄していたのかもしれないなぁと感じました。

コルたちは身代金を手に入れますが、ここで仲間割れが起き、ハイネケンを置き去りに逃走しますが、警察の手でハイネケンとアブは無事解放されます。この時も自分よりまずアブの安否を問うハイネケンが印象的でした。
コルの仲間たち、子煩悩な愛妻家の“カット”(ライアン・クワンテン)、神経質な“スパイクス”(マーク・ファン・エーウェン)、コルの弟の“ブレイクス”(トーマス・コックレル)が次々逮捕される中、ヴィレムとコルはパリに逃亡潜伏しますが、妊娠中の妻ソーニャ(ジェマイマ・ウェスト)への里心が募ったコルが電話したことでばれて遂に逮捕されてしまうの。

10年以上の刑期を終えて出所した5人ですが、大金と引き換えに彼らの絆は完全に崩壊していたそうです。それは監禁中のハイネケンがコルに予言した「金持ちになるということは友人を失うということだ」そのままの結果だったのですね。

犯罪素人集団ゆえに初めは警察の裏をかけてもやっぱり素人は素人。お金に困っていたとはいえ、こんな割に合わない賭けをどうしてする気になったものか?

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ワールド・ウォーZ

2016年03月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年8月10日公開 アメリカ 123分
2016年2月19日金曜ロードSHOW!放送

その日、ジェリー(ブラッド・ピット)と妻、2人の娘を載せた車は渋滞にはまっていた。
一向に動かない車列に、これがいつもの交通渋滞でないことに気付くが、次の瞬間、背後から猛スピードで暴走するトラックが迫ってくる。必死で家族を守り、その場から逃げだしたジェリー。
全世界では爆発的に拡大する“謎のウイルス"によって感染者は増加し続け、大混乱に陥っていた。
元国連捜査官として世界各国を飛び回ったジェリーに事態を収束させるべく任務が下る。
怯える家族のそばにいたいという思いと、世界を救わなければならないという使命の狭間で、ジェリーは究極の選択を迫られる。感染の速度は加速する一方で、人類に残された時間はわずかだった―。(アマゾンより)


ブラピが出ていたのは知っていましたが、ゾンビ映画だったんだ~~
劇場鑑賞予定もレンタル予定もなかったけれど、地上波放送してたのでうっかり録画しちゃったじゃないか。
でもあまりグロいシーンはなかったので、ま、いっか~~!

医者でも特殊能力を持っているわけでもないジェリーですが、冷静な判断力があるので、パニックに的確に対応していくことができます。これが彼の強みですね。

逃げ込んだアパートで助けてくれた住人の息子を連れ何とか空母に避難することができたジェリー一家。任務を受けるなら家族の安全を保障すると言われたジェリーは仕方なく単身 韓国 → イスラエルへと原因究明に向かい、女性兵士と共にWHOの研究施設へ辿り着きます。ここで、ゾンビが病気や怪我をした人間を襲わないことに気付いたジェリーは、自らを実験台にして自説を証明します。いやいや、病気の人間は襲わないにしてもその病気で死んじゃうんじゃないの?との疑問が残るんですけど
ともかく、これによりゾンビに察知されないワクチン(らしきもの)が開発されて一安心って結末。
察知されないだけでゾンビはいるわけだし、人間と共存できるのか?するのか?

飛行機が墜落しても人体実験でも死なない強運の持ち主ジェリー主人公(と家族)は無事な定番ストーリーです。後半の研究所のシーンは「バイオハザード」っぽいけど、前半はけっこうスピード感がありスケールも大きく、ゾンビ映画としては合格なんじゃないでしょうか。

それにしても公開時、ゾンビ映画だとわかるような宣伝は無かったような気がするんだけど・・・(しつこい

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ヘイトフル・エイト ネタバレあり

2016年03月09日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2016年2月27日公開 アメリカ 168分

どこまでも続く白銀の世界。北部の元騎兵隊で今は賞金稼ぎのマーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)が、レッドロックへ運ぶお尋ね者3人の凍った死体を椅子代わりに座っている。寒さで馬がやられ、誰かが通りかかり拾ってくれるのを待っているのだ。やがて1台の駅馬車がウォーレンの前で停まる。馬車の客は、同じく賞金稼ぎのジョン・ルース(カート・ラッセル)。腕にはめた手錠の先には、連行中のデイジー・ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)が繋がれていた。1万ドルもの賞金をかけられた重罪犯のその女は、散々殴られた顔で不敵に笑っている。迫り来る猛吹雪から避難するため、ルースはレッドロックまでの中継地でうまいコーヒーにシチュー、装飾品から武器まで何でも揃っているミニーの紳士用品店へ向かうという。途中、クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ)が乗り込み、新任保安官だと名乗るが、ルースは彼が黒人殺しで名を馳せる凶悪な南部の略奪団の一員だと知っていた。ミニーの店へ着くと、見知らぬメキシコ人・ボブ(デミアン・ビチル)が現れ、母親に会いに行ったミニーの代わりに店番をしていると話す。ルースは早速ストーブの上のコーヒーを飲むが、ボブが作ったらしいそれは泥水のようにマズく、自分の手で淹れ直す。店には3人の先客が吹雪で閉じ込められていた。絞首刑執行人のオズワルド・モブレー(ティム・ロス)は、洗練されているがどこか胡散臭い英国訛りの男。カウボーイのジョー・ゲージ(マイケル・マドセン)は、何を考えているかわからず、母親とクリスマスを過ごすために帰る途中だということ以外は一切語らない。そしてサンディ・スミザーズ(ブルース・ダーン)は、大勢の黒人を虐殺した南部の元将軍。ルースはこの怪しげな男たちに疑いの目を向けていた。この中にドメルグの仲間がいて奪還するチャンスを待っているのではないか。あるいは1万ドルのお宝を横取りしようとしているのではないか……。偶然集まった他人同士のはずが、マニックスは父親がヒーローと崇めていたスミザーズとの出会いに感激し、そのスミザーズの息子の謎の死につてウォーレンが何かを知っていた。それぞれの過去の糸が複雑にもつれ出した時、コーヒーを飲んだ者が激しく苦しみ、間もなく息絶える。夜も更け、外の吹雪はますます激しくなっていく……。(Movie Walkerより)

大雪のため閉ざされたロッジで繰り広げられる密室ミステリーを描いた西部劇です。
全員が嘘をついているワケありの男女8人が雪嵐のため山小屋に閉じ込められ、そこで起こる殺人事件をきっかけに、意外な真相が明らかになっていくという展開ですが、最後は「そして誰もいなくなった・・・。」おぃおぃ

タランティーノ作品独特のバイオレンスシーンは今回も健在でした。
飛び散る血飛沫に、銃弾に吹っ飛ぶ頭、毒を盛られて盛大に(まるで噴水)吐血するは、女でも容赦なく殴るわで、とてもじゃないが子供と一緒に見られるもんじゃない。(もちろんR指定です)
それでも、この監督の手になると、何故か陽性、明るい暴力(そんなのがあるとすればだが)というか、おどろおどろしくないので、暴力苦手な私でも楽しめちゃうのです。

「ロード・オブ・ザ・リング」級の三時間近い長編なのに、気付けばあっという間に過ぎていました。
チャプターに別れていたのも舞台劇みたいで飽きさせなかったのかも。

登場人物が全て悪人で嘘付きなので、彼らの誰にも同情が沸かず、それゆえ、誰が殺されても自業自得感が満載なのも突き抜けていて逆に楽しめる所以ですね。それにしても、ただ一人の女性(ミニーたちを除けばね)なのに、目に青痣、肘の一撃で鼻は潰れ、歯は折られ、血と吐しゃ物にまみれてなんとも醜悪な姿を曝すデイジー役のジェニファーさんってば凄い女優魂だわ

スミザーズの息子とマーキスの因縁は、南北戦争に端を発していました。親父憎けりゃ・・というわけで、息子に対する非道は目を覆いたくなりましたが、それでも賞金稼ぎに出かけていったこの息子にも非はあるわけですからねぇ。(凍える寒さの中を全裸でって、観てるだけでも震えるわ。しかもしっかり見えちゃってるし

結局、マーキスとマニックスの二人が招かれざる客であったというのが面白いです。
全員を疑ってかかっていたマーキスが、これまた因縁の相手(なんたって黒人殺しのリーダーの息子だもんね)であるマニックスを信用した理由が、彼が毒の入った珈琲を飲もうとしていたからというのもシュール。

場面は一度、事件の日の朝に戻ります。ミニーが不在のわけも、扉が壊れていたわけも、ゼリービーンズが床に転がっていたわけも、ここですっかりわかってしまうのです。しかし、なんて残虐非道なやつらだ!!
やたら明るい御者娘についてはあまり同情しないけど、それでも彼らは何の罪もないのにね
そして予期せぬもう一人の登場人物。そうですか、デイジーの弟でしたか。極悪非道なやつらでも、家族愛は強いのね。でもあっさり返り討ちにされちゃうあたり、まだまだだな弟の頭が吹っ飛んだ時のデイジーの悲鳴はそれまでの中で一番人間的だったかも。

マニックスがデイジーの甘言に乗らなかった理由も、珈琲に毒が入っていることを知っていた彼女が、彼が飲もうとするのを止めなかったからと言うのも納得。騙し騙されの場では誰を信じるかが生死の分かれ目ってわけですね。最後は何故か親友同士みたいに仲良くなってるし

マーキスが持っていたリンカーン大統領からの手紙も嘘。黒人である彼が白人の中で生き残るために考えた嘘だったというのがちょっと哀しい。手紙の内容は何だか読んだことがあるような・・これは何かのオマージュだった? 

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アデライン、100年目の恋

2016年03月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年10月17日公開 アメリカ 113分

アデライン・ボウマン(ブレイク・ライヴリー)はジェニー・ラーソンという偽名でサンフランシスコの中央資料館で働いていた。実は彼女は1908年1月1日生まれ。21歳のときにゴールデンゲート・ブリッジの建設技師と結婚し娘フレミングが生まれるが、夫は建築現場で事故死。29歳のときに車が真冬の川に転落、低体温症により心臓が止まったその瞬間に車に雷が落ちて蘇生。この雷の電磁圧縮作用で老化が止まり、それ以来アデラインは29歳の外見のままであった。そのため警官に怪しまれたりFBIに拉致されかけたりすることもあり、娘のためにも離れて暮らすことに。そして10年ごとに名前を変え各地を転々としていた。アデラインは年越しパーティーで出会ったエリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)に言い寄られその日はすげなくタクシーで彼から離れたものの、後日彼女が勤める資料館に現れ貴重な本の寄付を申し出る彼に押され、デートをすることになる。積極的に社会貢献の支援をするエリスの人間性に感銘を受けるアデライン。デートを重ね次第に二人の距離は縮まっていく。フレミング(エレン・バースティン)も、秘密を抱え孤独に生きる母の幸せを願っていた。ある日、エリスに誘われ彼の両親の結婚40周年パーティーに向かったところ、彼の父親ウィリアム(ハリソン・フォード)の顔色が変わる。ウィリアムはアデラインが本名を打ち明けるほど惹かれたかつての恋人だった……。(Movie Walkerより)

老化が止まり、100年以上も生き続けた女性が、自らの運命に翻弄されながらも真実の愛に巡りあうまでを描いたファンタジックラブストーリーです。

年を取らないといえばヴァンパイアを連想しますが、この作品のヒロインは雷の電磁圧縮作用(科学的なようで何となく胡散臭い)で老化が止まってしまったという設定です。いつまでも変わらぬ若さを周囲に怪しまれぬよう、名前や居場所を転々と変えて生きてきた彼女ですが、過去にただ一人本名を打ち明けた恋人がいて、それがエリスの父親だったのです。同じ遺伝子を持つからこそエリスに惹かれたのかも。

長い間の、一種の逃亡生活を送っていたわけですが、暮らしの不自由はなかったようで、彼女の衣装や居室はかなり豪華な設えです。美貌だけでなく、将来を見通す賢さをも備えていたということですね。娘との仲も極めて良好で、母が年を取らないことをフレミングはごく自然に受け止め対応しているように見えます。外見だけでなく、恋する母へ娘がアドバイスするなど立場も逆転しているように思えました。

ウィリアムに自分がアデラインであることを知られて動転した彼女はエリスの元を去ろうとしますが、途中で思い直して引き返そうとしたところを事故に遭い、そこに再び電気ショックで息を吹き返すの最初の事件に帰結することで再び彼女の時間が動き出す(老化が始まる)と言う結末はご都合主義的ではありますが、納得できる落としどころだと思います。

アデラインの出現に昔を思い出すウィリアムですが、そこにあるのは彼女への忘れられぬ恋情ではなく、遠い日の思い出の名残のようなものです。彼女が去った後の生活は妻キャシー(キャシー・ベイカー)と共にあり、妻への愛情とは全くの別物であることに安堵を覚えます。

ファンタジーとして見る分にはハッピーエンドなのですが、現実に元カノが自分の息子と恋愛関係にあるというのはかなり複雑な気がしますね。特にキャシーが知ったらかなり衝撃を受けるのではないかしら?まぁ、余計なお世話ですが。

一世紀の時の流れを感じ、アデラインを演じたブレイク・ライヴリーの美しさを堪能できる映画でもありますね。

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ダイバージェントNEO ネタバレあり

2016年03月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年10月16日公開 アメリカ 119分

最終戦争から150年後。人々を性格別に振り分けて5つの共同体で管理する近未来の世界。その中で危険視される「異端者(ダイバージェント)」のトリス(シャイリーン・ウッドリー)とフォーは厳しい戦いの末に生き残るが、宿敵である「博学(エリュダイト)」の指導者ジェニーン(ケイト・ウィンスレット)の策略により逃亡の日々を送っていた。トリスとフォーは次々と降りかかる困難に立ち向かいながら、「異端者」を排除する理由を突き止めようとする。彼女の両親が死守しようとしてジェニーンに奪われた「箱」には、異端者とこの世界にまつわる衝撃の真実が隠されていて・・・。


ベロニカ・ロス原作による近未来SFアクションシリーズ第2弾です。一作目は劇場鑑賞でしたが、一年後の続編の公開は見逃してました。冒頭、「平和」のコミュニティに逃げ込んだトリスたちの関係やそれまでのあらすじを忘れていて、???なまま観始めましたが、観ているうちに何となく思い出してきたぞ

トリスは、操られていたとはいえ仲間を殺してしまったことや、両親を救えなかったことを後悔して苦しむ一方、愛する人々を守るために手段を選ばない苛烈さが出てきます。その行動はかなり暴力的で短絡的です。フォーは終始お守り役というか宥め役の立ち位置です。
そういえば、トリス・ジェニーン・フォーの母親・・全て女性であり、物語も彼女たちが中心となり動いて行く感じですね。近未来も女性の方が強いのか?

今回、5つの共同体の他に「無派閥」という派閥が現れます。そのリーダーはフォーの母親ですが、一癖も二癖もあるような思わせぶりなキャラです。何しろ6歳のフォーを棄てて去った女性ですからねぇ

ネタバレしてしまうと、『勇敢』『無欲』『高潔』『平和』『博学』のいずれにも属さない異端者=ダイバージェントは秩序を脅かす危険分子とみなされていましたが、実は彼らこそが世界の救世主だったというオチです。「箱」には彼らの世界を作った祖先のメッセージが隠されていて、それを開ける鍵となるのがダイバージェントでした。ジェニーンは彼らを捕えては箱を開けるための実験(バーチャルゲームみたいな世界観でした。)に使いますが、半端な適性では耐えきれずに死亡してしまうのでした。彼女の目的を叶えるには100%の異端者であるトリスが必要というわけです。異端度を測る器械があるのね~

仲間の裏切りもあって捕らえられたトリスは、「実験」を次々クリアしていきます。この裏切り者が助けられた借りを返して協力者となってフォーと一緒にトリスを助け出すのですが。(兄のケイレブが実の妹を平気で裏切るのと対照的な描かれ方です)、彼女は箱の真の意味に気付いて自ら最後の実験に身を投じます。5つの試練に打ち勝ったトリスにより、メッセージが開封されますが、それはジェニーンが「箱」に期待していたのとは真逆の内容でした。トリスたちを殺して真実を葬り去ろうとするジェニーンの前に絶体絶命に陥ったその時、手を組んだ勇敢と無派閥の仲間が救出に現れます。

メッセージが無事世に出た後、囚われのジェニーンを密かに抹殺したのはフォーの母親です。
前回「無欲」から政権を奪った「高潔」は「無派閥」にその地位を取られたってことですかねそして、この母親はやはり只者ではなかったのね。そして物語は完結編となる次回作へ続くのかしらん?できれば、この展開を忘れないくらいの間隔でお目にかかりたいものですが、公開はあるのかな?DVDだけでもちゃんと出して下さいよ~~。尻切れトンボは嫌よ

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