2008年1月19日公開 ドイツ=オーストリア 96分
1936年。世界的贋作師だったサリー(カール・マルコヴィックスサリー)は犯罪捜査局のヘルツォーク(デーフィト・シュトリーゾフ)に捕まり強制収容所へ送られる。ナチによるホロコーストが始まっていた。息抜きで描いた絵が気に入られた彼は、親衛隊の肖像画やプロパガンダの壁画を描くことで生き延びようとするが、5年後、突然別の強制収容所へ移される。そこで再会したヘルツォークは、大量の贋ポンド紙幣をばら撒き、イギリス経済を混乱させる目的の「ベルンハイト作戦」の指揮を執っていた。そこは各地から集められた職人たちが働く秘密工場だった。作戦が成功すれば家族や同胞への裏切りに、失敗は死を意味していた・・・。
紙幣偽造作戦「ベルンハイト作戦」に携わっていたユダヤ人技術者たちを描いた作品で、実際に強制収容所で贋造に携わった印刷技師アドルフ・ブルガーの著書をベースにしていますが、主人公はサリーです。
過酷で劣悪な環境下の一般収容所に比べ、清潔なベッドに温かい食事、美しい音楽など、秘密工場での待遇は天国のよう。一匹狼として生きてきたサリーは、ここでブルガーやコーリャたち仲間と心を通わせていきます。けれど、ナチスに協力することは家族や同胞への裏切りであり、彼らの心の負い目となっていきます。でも、生き延びるためには協力するしかないのです。
ポンドの贋札作りに成功すると次はドルの贋札作りを命じられます。
正義感から決起を迫るブルガーを一蹴したサリーですが、自分の仕事を拒否するブルガーを責めることも密告することもせず、贋札の完成のために心血を注ぐことで仲間を守るのでした。
結核に罹患したコーリャのためには、ヘルツォークと裏取引をして彼ら一家の偽パスポートを作ることで薬を手に入れるのですが、結核がばれてホルスト小隊長(マルティン・ブラムバッハ)の指示で?殺されてしまうのです。ヘルツォークは紳士的で先見の明もある人物として、ホルストは尊大で卑しい人物として描かれています。
数日後、工場は閉鎖され印刷機材は親衛隊によって運び去られます。ドイツは連合軍に敗れたのです。親衛隊が去った後、工場の扉を破ったのは、収容所の囚人たちでした。「外」の界の悲惨さに言葉もなく歩くサリーの背が印象的でした。
戦時中の出来事を挟んで冒頭と終局にモナコのカジノでスーツケースに詰った札束(ホルストとの最後のやりとりを連想させる意図でしょう)を湯水の如く使うサリーの姿と美女とのシーンが挿入されているのは所謂芸術的要素ってやつですかね
題名にヒトラーの、と入っていますが、ヒトラー自身は肖像画でしか出てきません。
1936年。世界的贋作師だったサリー(カール・マルコヴィックスサリー)は犯罪捜査局のヘルツォーク(デーフィト・シュトリーゾフ)に捕まり強制収容所へ送られる。ナチによるホロコーストが始まっていた。息抜きで描いた絵が気に入られた彼は、親衛隊の肖像画やプロパガンダの壁画を描くことで生き延びようとするが、5年後、突然別の強制収容所へ移される。そこで再会したヘルツォークは、大量の贋ポンド紙幣をばら撒き、イギリス経済を混乱させる目的の「ベルンハイト作戦」の指揮を執っていた。そこは各地から集められた職人たちが働く秘密工場だった。作戦が成功すれば家族や同胞への裏切りに、失敗は死を意味していた・・・。
紙幣偽造作戦「ベルンハイト作戦」に携わっていたユダヤ人技術者たちを描いた作品で、実際に強制収容所で贋造に携わった印刷技師アドルフ・ブルガーの著書をベースにしていますが、主人公はサリーです。
過酷で劣悪な環境下の一般収容所に比べ、清潔なベッドに温かい食事、美しい音楽など、秘密工場での待遇は天国のよう。一匹狼として生きてきたサリーは、ここでブルガーやコーリャたち仲間と心を通わせていきます。けれど、ナチスに協力することは家族や同胞への裏切りであり、彼らの心の負い目となっていきます。でも、生き延びるためには協力するしかないのです。
ポンドの贋札作りに成功すると次はドルの贋札作りを命じられます。
正義感から決起を迫るブルガーを一蹴したサリーですが、自分の仕事を拒否するブルガーを責めることも密告することもせず、贋札の完成のために心血を注ぐことで仲間を守るのでした。
結核に罹患したコーリャのためには、ヘルツォークと裏取引をして彼ら一家の偽パスポートを作ることで薬を手に入れるのですが、結核がばれてホルスト小隊長(マルティン・ブラムバッハ)の指示で?殺されてしまうのです。ヘルツォークは紳士的で先見の明もある人物として、ホルストは尊大で卑しい人物として描かれています。
数日後、工場は閉鎖され印刷機材は親衛隊によって運び去られます。ドイツは連合軍に敗れたのです。親衛隊が去った後、工場の扉を破ったのは、収容所の囚人たちでした。「外」の界の悲惨さに言葉もなく歩くサリーの背が印象的でした。
戦時中の出来事を挟んで冒頭と終局にモナコのカジノでスーツケースに詰った札束(ホルストとの最後のやりとりを連想させる意図でしょう)を湯水の如く使うサリーの姿と美女とのシーンが挿入されているのは所謂芸術的要素ってやつですかね
題名にヒトラーの、と入っていますが、ヒトラー自身は肖像画でしか出てきません。