杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

いつか晴れた日に

2006年09月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
原題 Sense and Sensibility

父親の死によって全てを異母兄に譲らなければならなくなった母親と三人の娘達は母のいとこの好意で田舎のコテージに移り住むことになる。分別のある姉エリノア(エマ・トンプソン)と多感な妹(ケイト・ウィンスレット)の恋模様を中心に描いた作品。ジェーン・オースティンの小説をベースにしている。

父親の財産は男子のみが相続出来、女性の幸せは「豊かな男性と結婚すること」だった時代。女性に許されていたのは「母」としての権利のみで、職業選択、離婚、教育、参政権に至るまで女性の基本的権利はなかったなんて・・・

主演はエマ・トンプソンで脚本も彼女が手がけている。少々年齢のいったエリノアも役得?いえいえ、映画が進むにつれて、そんなことは気にならなくなるのは彼女の実力

相手のエドワードはヒュー・グラント。妹マリアンヌのお相手のブランドン大佐がアラン・リックマンとくれば、どうしても「ラブ・アク」を思い起こさずにはいられない エマとヒュー、エマとアランの関係は恋人より姉弟、友人同士のように見えてしまったのが惜しい それにアランはスネイプ先生の印象が強烈なもので、「あ、ちょい明るいスネイプだ!」と

ケイトは若くて綺麗。彼女が原作の年齢設定には一番近いか?
去年公開の「プライドと偏見」の方がより現代的な解釈でもあったし、若さでは勝っていたかなファッションも「プライド~」の方が素敵に見えた

正直で、自制心が強く、知的で思いやりがあり、穏やかで優しく賢く自制心も強いエリノアと、感情的的で正義感が強いが、周囲への気遣いは不足がちなマリアンヌ。内気なエドワードとの恋は見ていて歯痒いしマリアンヌとウィロビーの恋は逆にハラハラしてしまう。二人の姉のロマンスの緩衝役になってくれるのが無邪気な三女マーガレットの存在。彼女はエマが創作したキャラだそう。

姉妹が共に幸せになるハッピーエンドは良いのだが、姉カップルの誤解が解けるシーンで涙した次の瞬間に何故か妹カップルの結婚式ってのはどうよ?ここが物凄く唐突で違和感が残った。あと5分延ばしてもこの辺の展開を整理して欲しかった。

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ロードオブドッグタウン

2006年09月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
すべては"空っぽのプール"から始まった――。
スケートボードで世界を変えた伝説の【Z-BOYS】
栄光と戸惑い、仲間との青春の日々。

アメリカ西海岸ヴェニスビーチ周辺、通常ドッグタウン。この見捨てられた街で育ち、スケートボードに明け暮れる3人の少年たち―トニー、ステイシー、ジェイ―にとって、風を切ってストリートをすべるときだけが最高に楽しい瞬間だった。やがて、溜まり場にしていたサーフ・ショップを中心にスケートチーム【Z-BOYS】が結成され、ますます彼らのワイルドなスケーティングに磨きがかかる中、平坦なストリートから立体的なスケーティングができる"空っぽのプール"こそが彼らの聖域となる。そして全米のスケート大会に出場し、突如としてメインストリームに登場した彼らはその革新的なスタイルで若者たちを熱狂させ、瞬く間にスーパースターになっていく。しかし同時に、その発狂を利用するメディアが彼らをビッグビジネスに巻き込もうとしていた。「20年後も僕たちの夏休みは続くんだ─。」そうプールのそこで誓った3人だったが・・・。 (公式HPより)



三人の少年(リーダー的性格ですぐ熱くなるジェイ、抜群のスケートセンスを持つ女好き派手好きなトニー、仲間から少し浮いているステイシー)の友情と成長を描いた物語でもある。自分と全く境遇の違う彼らではあるが、だからこそ妙に新鮮で心惹かれた

私は長髪と孤独の影に弱いのでステイシーのキャラがお気に(顔はもうちょっと・・

もちろんヒースも「ロック・ユー」入った感じで
シド役も母性を刺激される顔立ち~。
スケボー犬のタイソンも面白い。本当にスケボーが好きなんだとか

レンタルDVDなのに特典がちゃんと入ってて、けっこうな量。
監督が女性だったことを特典をみて知る。
彼女も撮影中にプールに落ちて怪我をしたことなど裏話も満載。
カメオ出演者(役の本人とか)をちゃんとチェック出来るのも嬉しい。

急激に起きたスケボーブームの波に大人も少年達も巻き込まれ、自分や仲間を見失っていく様が哀しいけれど、シドの病気をきっかけにまた仲間が集まるラストでは希望を与えている。

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SMAPライブ~in東京ドーム二日目

2006年09月28日 | ライブ・コンサート他
今月二度目のスマライブ~~

昨日が東京ドーム初日だったけど、私は今日参加。
前2回がアリーナの後ろで埋もれてたのに比べ、今夜は三塁側上階スタンド。
遠くなったけど、会場全体が良く見えて、SMAPがどこにいるのかも一目瞭然だったので、これも良席じゃま、彼らと同じ会場で同じ空気吸ってるだけで幸せな単純なヤツだから

ネタバレで昨日の様子は読んでたので、今日もソロがなくても平気
中居の左足は国立よりは確実に回復してる、筈・・だって右足を軸にけっこうダンス頑張ってたしおいおい、そんなに無理したら来月も踊れないじゃん、ソロないじゃんと心配になるほど。

花道の移動は電動自転車?を使用。これは大阪ドームから使い出した?でも漕がなくても進んでるからバイクみたいな仕様なのかなぁ?あれは楽そう

今夜はやたらと三塁側に来てたような・・・前半のリフターも復活してた。アンコールでのトロッコは行きが三塁側から慎吾・吾郎・中居の順で。帰りは木村・剛が三側を通ってセンターへ

黒ロンジャケ姿は相変わらず倒れそうなほどカッコイイステッキ、途中から使用せず。2TOPのダンスは中央花道で、国立と違ったバージョン、多分昨日と一緒?

MCではスタンドの客弄り。ステージから見える客席ということで、スタンド天井席や一階席のファンのウチワネタで沸かせる。今夜のVIP席に鶴瓶師匠がいて、ライトを当てられ、地声で挨拶までさせられる姿が妙に可愛い

慎吾のソロでは、今日だけ、ということで幸田來未ちゃん登場に会場大歓声

アンコールでのピンクのテンガロンハット・・脱いだら下にも一つ帽子?
ま~可愛いから許す 

途中視界をカメラクルーが横切っていく・・でもSMAPじゃなくてスタンドからアリーナの観客を撮っているような感じ。今夜のもDVDのどこかに収録?もちろん、メンバーをもカメラはちゃんと追っかけてたけど

サッカースタジアムと違って東京ドームは人の流れがスムーズ。会場ではそこそこ混んだが流れが大きく止まるほどではなく、今までより楽に移動できたのは嬉しい。さ~~来月は二日とも参加中居の復活を願っておやすま

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フラガール

2006年09月27日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2006年9月23日公開

人生には降りられない舞台があるーーー彼女たちは、まちのため、家族のため、そして自分の人生のためにステージに立つ。 (チラシより)

昭和40年、石油に主役の座を奪われた炭鉱の町の再生をかけたプロジェクトが立ち上がる。目玉となるのは炭鉱娘たちのフラダンス。東京から迎えた元SKDダンサーの先生(松雪泰子)も最初は嫌々ながら教えていたが、やがて生きるためにひた向きに踊る少女たちの姿に忘れかけていた情熱を思い出していく。

一年位前から予告を観て心惹かれていた映画。
福島県いわき市にあるスパリゾートハワイアンズは「常磐ハワイアンセンター」の時に一度訪れたことがある。当時子供だった私はフラダンスそのものには興味がなく異国情緒のみを楽しんだのだと思うたしか土産にフラダンス人形(ネジを巻くと腰を振って踊り出す)を買って貰ったっけ・・あの人形、どうしたんだっけな~

こういう地方を描いた作品でネックになるのは訛りの問題。
今回もうーーん、と首を傾げたくなる発音にちょっと気が引いちゃったがとりあえずは内容が良かったので○としておこう

男優位の炭鉱の古い意識が残る町で、肌も露わに踊るフラダンスはかなりの抵抗感があったと思う。フラガールに応募した娘達にもそれぞれ生きるための事情があったのだが、軸となる4人のサブストーリーも盛り込み、気付けばクライマックスという感じ。家族との衝突や落盤事故などの悲しい場面でもじわーっとさせられるが、最後のオープニングショーのシーンで不覚にも涙が落ちそうになった周囲の観客からも鼻をすする音が一際高く聞こえていた。

先生役の松雪さんも陰のある女役がはまっていた。少女(蒼井優)の兄(豊川悦司)との時にユーモラスに時にしみじみとした関係も

きみこ役の蒼井優がまた綺麗~肌の若さと白さが眩しいよ~
意外にはまっていたのが南海キャンディーズのしずちゃん。芸人としてはちょっと苦手なタイプなんだけど、このキャラはバッチリもっさりした話し方も田舎娘の素朴さに似合ってたし。

母役の富司純子さん、炭鉱婦役で汚れた格好をしても美しさと品の良さが透けてるんですが なかなか筋の通った良い母だ~もちろんトヨエツも汚ない炭鉱の男でもカッコ良さは隠せない

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ビッグママ・ハウス2

2006年09月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
日本未公開 
アメリカ・上映時間99分

FBI捜査官のマルコムは愛妻の妊娠を機に内勤に転じたのだが、ある事件の潜入捜査をすることになり、ビッグママ(文字通り巨大な女性)のコスチュームでナニーとしてフラー家に潜り込むことに成功するのだが・・・

2と付くからには1があったのね
変装達人のFBI捜査官が、凶悪脱走犯を捕まえるため、ベビーシッターに変装し、潜入捜査をするというのが1。

今回もマーティン・ローレンス主演で体重140kgを超えるビッグママの変装をした彼がベビーシッター先で大活躍。子供達とのコミュニケーションもバッチリで、家族の絆もしっかり結んじゃう

ドジな若手捜査官とのコンビも愉快車の屋根に飛び降りたり、水上バイクや倉庫の中でのアクションなど見所も多く単純に楽しめる。

フラー家の三人の子供達も個性的。15歳、思春期反抗期真っ最中の長女やおしゃまな次女。末っ子3歳のボクは高い所から飛び降りるのが大好きで言葉を話さないけどめちゃ可愛い
忙しいお父さんと触れ合えなくて寂しい子供達の悩みもビッグママにかかれば爽やかに解決して後味さっぱりの結末。

潜入捜査より入り込んだ家庭でのベビーシッター話が主。FBIものでもコメディなので「マイアミバイス」とは全く違う軽~いタッチ

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ウィンブルドン

2006年09月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2005年4月日本公開 上映時間 99分
製作国 イギリス/フランス

テニスの聖地“ウィンブルドン”が舞台の、落ち目の男子プレーヤーと売り出し中の若手女子プレーヤーの恋を爽やかに描いたロマンティック・コメディ。

ピーター(ポール・ベタニー)はかつて世界ランキング11位まで上り詰めながら、いまでは119位に甘んじ、この大会を最後に引退する覚悟の英国人テニスプレーヤー。そんな彼はひょんなことから、優勝候補の一人として注目を集める新人のアメリカ人女子テニス選手リジー・ブラッドベリーと出会い、一瞬で恋に落ちる。その恋が彼にエネルギーを与えたのか、ピーターはここ最近にない活躍を見せる。しかし大会が進むうち、マスコミも彼らのロマンスに気づき、2人を追いかけ回すようになり…。

実際のウィンブルドンの大会開催時に撮影されているので、作品中の熱狂は本物。

スポーツものはあまり好みじゃないのでなかなか手に取ることが無かったのだが、努力・根性ものじゃないと聞き食指を延ばしてみた。確かに爽やかなラブコメの要素と半々でテニスをよく知らなくても面白かった。

いつもは癖のある役の多いポール・ベタニーが体力・気力とも下り坂で引退を考えるテニスプレーヤーを演じているのだが、彼のロマンスものって初めて見るかも。恋の力で順調に勝ちあがっていく様も、リジーに会うためにあれこれ苦労する姿もなかなか楽しい。もちろん「お尻出し」は今回も健在ちょっと惚れそうになった

キルスティン・ダンスト も勝気なリジー役が似合う。会ってすぐ恋に落ちる展開の強引さも彼女なら自然に魅せてくれる。
リジーのお父さん役のサム・ニール、どこかで見た顔と思ったらジュラシック・パークのアランだぁ~~(^-^)゛恐そうだけど娘思いの良い父親

ピーターの家族もユニーク。喧嘩中の父母が彼の活躍を機に仲直りという場面でクスッと笑えるのが、母のレタス畑を荒らすウサギの運命
弟のキャラも大いに笑える。

解説者役にマッケンジーとエバート本人が出演してるのも面白い。初めクリスがエマ・トンプソンに見えてしまったテニス音痴の私

この大会で英国人プレーヤーの優勝は「あり得ない」快挙なの?その辺のテニス事情は疎いのだが、演じてる役者も監督も同じくこの撮影に入る前は全くの素人だったそう。逆にそれが一般的観客である自分には抵抗なく観られたのかも

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ネコのミヌ-ス

2006年09月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2001年オランダ作品 上映時間83分
(2004年3月 日本公開)

オランダで広く愛されている児童文学者アニー・M・G・シュミットの同名小説の映画化。

ある晩、トラックから転がり落ちたドラム缶からこぼれた薬品をなめてしまったネコのミヌースは、人間の女の子に! 行き場もなく困り果てた彼女は、引っ込み思案で取材が苦手な新聞記者・ティベの部屋に転がりこむ。置いてもらうかわりに、街中のネコから聞いた話を教えるミヌース。ネコ情報のおかげで、ティベは特ダネ記事を連発! ところがある日、街の有力者のよからぬウワサが聞こえてきて…。

ネコ好きにはたまらない映画、だと思う
ヒロインのミヌースは魅力的な女の子。犬に出会うと木の上に登ってしまうところやお魚大好きなところ、驚くと爪で引っかいてしまったり、鼻をスリスリするのが挨拶だったりと不思議ちゃんだけどとってもキュート。だって元はネコだもん♪

ティベはお世辞にも美男とは言えないけど、ネコ好きな優しい男性。人と対面して話すのが苦手で明日にも新聞社をくびになりそうな夜にミヌースと出会う。
彼女から特ダネを貰って次々スクープをものにするようになるにつれ、次第に積極的になっていく彼が良い

ティベの住む部屋の大家の娘ビビも彼が大好き。ミヌースとも仲良くなって二人でティベの危機を救うために大活躍~

本物のネコちゃんたちも沢山出てきて芸達者な演技を見せてくれる。
市長の飼い猫、編集長や牧師・学校ネコや野良猫にいたるまで、それぞれにキャラ設定があるのも面白い。それにしてもこの町、ネコとネコ好きが多い

悪役のエレメート(工場拡張のために市長に賄賂を贈ろうとしたりあれこれ画策してる)がミヌースたちの活躍のお陰で町の人に悪事がばれるシーンも痛快。児童文学のジャンルなのに大人にも十分に魅力的


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B型の彼氏

2006年09月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年1月公開作品 韓国 

運命の出会いを信じる女子大生のハミは、ある日間違いメールの相手ヨンビンに、「彼こそ、わたしの運命の相手!」と感じてしまう。でもヨンビンは、わがままで自意識過剰で自己中心的な典型的B型の男の子だった!一方、ハミは小心者で何事にも慎重なA型。自分とは全く違う性格のヨンビンに、彼女は惹かれていくのだが……。

今冬、劇場で流れる予告を目にする度に面白そう!と感じた作品。でもスクリーン鑑賞までの意欲は湧かず、DVDのレンタル開始を待っていた・・が、これがいつも貸し出し中で更に待たされること数ヶ月やっと観たけど・・
うーーん、普通、かな

血液型による性格キャラは当っているところも、違うだろ!というところもあるし、ラブコメとしては楽しかったけど、それだけ

主役の二人は良い意味で普通な顔立ち、に見えた。イ・ドンゴンもハン・ジヘも人気の役者みたいだが、全く疎いので

ハミのチョゴリをドレス風に着たファッションが可愛かった。ヨンビンが花束を渡すシーンが何度か出てくるが、気障だけど、実際貰ったらやっぱり嬉しいだろうな、とか大学の先生に仕返しするエピも爆笑だし、製作側のあざとさは置いておいて、気軽に観られる。

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ゲド戦記Ⅱこわれた腕環

2006年09月22日 | 
図書館より予約確保のメールを貰い早速借りてきて一日で読んじゃった

この巻ではテナーが主役。
「食らわれし者」アルハとして地下の闇の精霊達に仕える大巫女である彼女の生い立ちとゲドに出会って自己を解き放つまでの物語。
ここではゲドは完全に脇に回っている。

地下の迷宮の描写が凄い。まるで目の前に闇が広がって見えるようだ

ゲドの側にはテナーへの異性としての感情は殆どないようだが、テナーの方は無意識ながら、恋?と思われる感情が表れているのが興味深い。
この二人、「帰郷」か「アースシーの風」だったかな、とにかく壮年になってから初めて結ばれるのね

巫女もだけれど、魔法使いは異性に交わらないことが不文律になっている。これってゲド戦記に限らず、「神」や人を超える能力を持つ魔道という分野における常識のようなもの?純度、とか力の根源が異性との交わりにより薄くなる、不純になるという考え方の根源は一体どこから来るのだろうとふと疑問に思った夜

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プリティ・ヘレン

2006年09月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2006年3月公開作品 アメリカ

ゲイリー・マーシャル監督による『プリティ』シリーズ

マンハッタンのモデル・エージェントで働くヘレンは、華やかで自由な毎日を謳歌していたが、次姉・リンジー夫婦が交通事故で突然他界してしまったことから生活が一変する。姉夫婦は子供達の後見人に良妻賢母の長姉ジェニーでなく、子育て経験ゼロの妹ヘレンを指名していたのだ。子供達と暮らすために部屋を借り、母親業に悪戦苦闘する彼女の姿を笑いと涙で綴った一編。


ヘレン役はケイト・ハドソン、彼女のロマンスの相手(子供達の学校の牧師)役に ジョン・コーベット 。彼の顔に見覚えあり、と思ったら「 マイ・ビッグ・ファット・ウェディング 」の彼でした

ケイトのキュートなファッションと爽やかな笑顔が良い
登場人物がそれぞれに子供達を愛していることも伝わってくるし、思春期の長女オードリーを誘惑する男の子でさえ、根は悪い子じゃないとした描き方も好ましい。ブロムの夜の騒動でのジェニーの一喝はこれぞ母親!と思わせる。しかしヘレンも彼女なりの明るさと愛情で子供達を懸命に世話し、悩みながらも母親でいることを放棄しようとはしない。リンジーがヘレンを後見人に選んだ理由も明かされればなるほどと納得

ヘレンと牧師の恋模様も挿入され楽しませてくれる。

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出口のない海

2006年09月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2006年9月16日公開

太平洋戦争が激しさを増していく中、海軍の人間魚雷・回天への搭乗を志願した甲子園の優勝投手・並木浩ニ(市川海老蔵)ら4人を乗せた潜水艦は敵ターゲットと出会う・・・
彼らの胸を過ぎるのは愛する者を守りたいという気持ちだけだったろうか。

宣伝では滂沱の涙が云々とあったし、「半落ち」の原作者・監督の作品ということで、ハンドタオルを手に鑑賞したのだが・・正直泣けなかった。

何といっても主人公に感情移入出来なかったのが最大の原因。
まず外見がダメ。これは好みの問題なので役者には責任がないこと。しかしあの肥えた重そうな体とパンパンに張った顔は物資が不足していた戦争末期に似合わない 他の出演者がそれなりに精悍だったのに比べても違和感があった。

リベラルな家庭に育ち、戦争の本質をも理解していた彼が、なぜ海軍、更には特攻に志願したのか、整備員の伊藤とのキャッチボールの際に語られるのだが、自分には理解し難い理由でここで興冷めしてしまった
結局その本懐は叶えられたというべきか、ラストは意見が分かれるところだろう。

並木と同期の北(伊勢谷友介)の方が、貧しい環境から這い上がろうと努力し、遂には軍神になるという選択をした男として心情を理解し易かった。

死をかけて回天に搭乗し出撃する、その覚悟が故障というアクシデントで挫かれる場面は、彼らのやり場のない悔しさとほんの一抹の安堵が伝わってくる。

戦争末期には知識人の間では既にその先が見えていた筈。それでも志願し、国のためという名目で死んでいった人たちを、彼らの犠牲の上に平和を貪る現代人が非難はすべきでないと思う。しかし、彼らを死へ駆り立てていった時代の狂熱には断固としてNOを叫びたい。

並木の父(三浦友和)が息子に問いかける「おまえ、敵と会ったことがあるか?・・・国ってなんだろう」というセリフが重い。

一人一人の思い、なんて戦争を始めた一握りの指導者には決して届かない。己を犠牲にして他を救おうというのも思いあがりじゃないのか?そんな「国」の指導者を暴走させないことこそ国民の義務じゃないのか。戦争映画を観る度にそんな思いが浮かぶのです

先日の「僕たちの戦争」も人間魚雷・回天を扱った作品だが、こちらの方が軽いのにすっと心に入ってきた、かな

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僕たちの戦争

2006年09月18日 | 日々の出来事
TBSスペシャルドラマ 
2006年9月17日21:00~放送

2006年夏。台風が通過したばかりの海にサーフィンにやってきた尾島健太(森山未來)と、 昭和19年夏、九十三式陸上中間練習機を操縦していた石庭吾一(森山未來・二役)はタイムスリップによって入れ替わってしまう。

過去と現在の二人の若者が、それぞれの視点から捉えた太平洋戦争とは。そして戦争という特殊な状況下で、人間の精神状態はどのように変わっていくのか・・

原作は、「明日の記憶」でも知られる萩原浩。

例年、TBSでこの枠は戦争を題材にしたドラマを流しているらしいが、自分では「さとうきび畑の唄」に次いで感動したドラマとなった。終戦記念日ではなく一息ついた今という時期なのも良い。(「出口のない海」と同じ人間魚雷・回天を扱った物語でタイアップということもあるのか?

今時の若者の目から綴った 戦争の静かな狂気とその精神に感化していく様が 恐ろしい位にわかりやすく描かれている。

アッシュグレー?に染めた健太の髪が時間の経過と共に黒に戻っていく、そのこと自体が時代への同調を感じさせて痛ましい。国のためじゃない、ただ一人の愛する人のために死を覚悟する健太の姿に戦慄を覚える。

一方、平和ボケの現代に迷いこんだ吾一の方も、健太の彼女であるミナミの力を借りて怒りから希望へと変化を遂げる。

フリーターでなんでも中途半端だった健太と死によって国と愛する人たちを救おうと覚悟していた吾一が互いに知らずに一人の女性を愛し、そのことで自らも変わり、その運命をも変えていくという筋書きは見事。

二人がそっくりだったという設定で、入れ替わりは周囲には気付かれずに進んでいく。現代も戦時中も若者の本質なんて変わらない。イイヤツもいれば気に食わないヤツもいる。笑いもすれば泣きもする。誰かを恋し、その誰かを守りたいと願う。皆考えることは同じなんだと、さり気なく教えてくれる。

正しい戦争なんてないんだ!のメッセージがストレートに胸を打つ。
主演の森山未來が二役を自然に演じ切っていて見事だった

斜め見   ラストで戻ってくるあれは健太?吾一?
個人的には吾一だって子供の父親だもん、健太じゃ拙いよ~ 厭らしくないRシーンもあって、未來君大人になったな

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不機嫌な赤いバラ

2006年09月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1994年 アメリカ 原題 : Guarding Tess

プライドの高い我儘で気まぐれな元大統領夫人テス(シャーリー・マクレーン)ともっと大きな仕事に就きたい血気盛んなシークレット・サービス(ニコラス・ケイジ)が衝突を繰り返しながらも次第に心を通わせていくハートフルコメディ。

冒頭、一輪の赤い薔薇を載せた朝食を運ぶダグ(ニコラス)が嬉しそうな訳はすぐにわかる。気まぐれで我儘な元大統領夫人の警護からやっと解放されるのだ。ところが彼女の思惑で任務続行を命じられ憤慨することに。

些細な用事を言いつけたり、警備を巻いて遁走してみたりと彼女に振り回される姿が大いに笑わせてくれる。衝突して警備を降りようとしては大統領に直接頼まれたり命令される姿も然り

どうしようもない我儘老婆にも見えるテスだが、夫の浮気に悩んだ過去や、子供たちとの疎遠な関係、抱えた病気など、彼女の孤独やダグを手元に置きたい理由が徐々に明かされるにつれて、二人の繋がりは単に仕事の関係を超えた人間的なものとして見えてくる。

テスが誘拐された山場では必死に彼女の身を案じるダグの姿が胸を打つ。
あんなところに埋められていて、悪性脳腫瘍を持つ老婦人が無事でいられるのか、とか細かい事は言わないで、ハッピーな結末を楽しもう


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女王エリザベス

2006年09月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1939年 アメリカ 上映時間 106分


エリザベス王朝後期の激動の時代、老いた処女王エリザベスと寵臣エセックス伯の不幸な愛を描いた歴史ロマン。処女王エリザベスが選んだのは、愛か、王座か・・・

美しく知性と情熱に溢れる年下の若い恋人エセックス伯を当時人気絶頂のエロール・フリンが魅力的に演じている 対するエリザベスは眉を剃り、白塗りのメイクで徹底的に魅力を打ち消したアカデミー賞女優ベティ・デイビス。国への忠誠と個人の愛に苦悩する女王を見事に演じてみせる。

実はベティはエロールを嫌っていたという逸話が特典の中で語られるのだが、そういう実生活での感情を作品に持ち込まないところは流石に役者

数奇な運命を辿り、孤独で周囲の人間を信じられなくなった老女王と彼女がただ一人愛した年下の野心溢れる恋人への愛と猜疑の日々が綴られていく。
もしエセックス伯が純粋に愛だけを選び、臣下に甘んずることが出来たなら彼らの恋は悲恋で終わらなかったのか?

そもそも彼は純粋に女王を一人の人間として愛したのか?映画では答えはYESである。しかし彼にとって男なら誰でも持つだろう野心(王として国を治めたい)を捨てることは死と同等のことであった。
そんな恋人の真実の気持ちを知り、国と王位を守るために彼を断頭台に送りながらも、彼の翻意を願う女王の女心哀しさが胸を打つ。

結局彼女は一人の女としての愛より、国と王位を選ぶ事になるのだが、その決断は容易なものではなかったし、その生涯をおそらくは苦しみと後悔を持って涙した夜が数え切れぬほどあったに違いない。

1998年のケイト・ブランシェット主演の作品「エリザベス」に描かれるメアリとの確執や恋人に妻子がいたという設定はこの作品では出てこない。エセックス伯はここでは単に若い恋人として描かれているだけだ。

エロール・フリンが良いのよね~~
「海賊ブラッド」のような華麗な剣さばきは出てこないけれど、機知に富み、才気溢れるエセックス伯は女王でなくても惚れ~

彼が毅然として断頭台に上る姿から暗転、女王が塔の上階でその最後の「音」に一筋の涙を流すシーン、このラストシーンが彼女のこれからの孤独をまざまざと想像させてくれる

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ゲド戦記(Ⅲ~外伝)

2006年09月15日 | 
アーシュラ・K・ル=グウィン原作 岩波書店版

太古の言葉が魔法の力を発揮する多島世界(アーキペラゴ)・アースシーを舞台とした魔法使いゲドの物語。


映画(アニメ)を観てから気になって読み始めたこのシリーズ。
購入するには冊数が多いので図書館で予約したのだが、同じような考えの人が多いのだろう、ⅠとかⅡは数十人の予約待ちで、初めに読めたのは 外伝
でもこれが逆に世界観を大雑把に把握するのには役立った気がする。
ついで Ⅴ(アースシーの風)
    Ⅲ(さいはての島へ)
    Ⅳ(帰還)        と逆から読むことになる。
全部読んでから書こうと思っていたが、まだまだ先になりそうなので


まず外伝の中に収められた5編の物語を読むことでアースシーという世界の全容を知る事が出来た。

「カワウソ」はロークの学院開設者・初代の守りの長、メドラ(カワウソ/アジサシ)の一生が、「トンボ」では「アースシーの風」で登場するオーム・アイリアン(トンボ)の幼小から青春時代、ロークへの旅と呼び出しの長達との対立、竜への覚醒までが描かれ、どちらも本編の理解への大いなる手助けとなっている。また、「地の骨」ではアイハル(オジオン)が師と共にゴントの大地震を鎮めた時の顛末が書かれ、「帰還」でのゲドやテルーの暮らす「オジオンの家」への深みを与える。


アースシーでは「真の名前」を知る者はそれを従わせることができるため、人は自分の真の名をみだりに知られぬように、通り名で呼び合う。そのため一人の人間の名前が複数ということになり、登場人物が増えるほど名前で混乱してしまうこの段階を克服すれば、物語は遥かに容易に頭に入ってくるのだが・・


ついで『アースシーの風』
これは晩年のゲドで映画の中に描かれた内容も一部含んでいる。
ハンノキというまじない師が夢に脅えてゲドを訪れ、再度揺らぎ始めたアースシーの均衡を取り戻す為、少女テハヌーやテルーもレバンネン王と共に旅立つ。ここで物語は一応の終息を迎える。

ここで、竜と人の起源が同じことが明示され、ハード語圏(アースシー)の人々と竜、さらに異教の人々との間の和解も示唆される。


 『さいはての島へ』
大賢人となったゲドのもとに、エンラッドの王子アレンがやってくる。世界の均衡が崩れて魔法使いが次々と力を失う中、二人はその原因を探るため世界の果てまで旅をする。

映画の核となっているのがこの巻だ
しかしアレンは自分の影に脅えていないし、父王を殺したりもしていない。
死へ傾倒しているのはゲド?そしてクモは♂

   
 『帰還』
ここでは壮年のゲドが書かれる。アレンとの旅で魔法の力を失い、大賢人の地位を降りて故郷の島へ帰ってきたゲドは、未亡人となったテナー(ゴハ)や親に焼き殺されかけた少女テハヌー(テルー)と暮らす。彼ら三人の「弱き者」たちを容赦なく悪意に満ちた暴力が襲う。

読んでいて一番苦手だと思ったのがこの巻。
何より弱者(魔法使いではない者、外見の違う者、女)への強者の奢りや厭らしいプライドがゴントの「お屋敷」の魔法使いを通して書かれ、読むほどに嫌悪感が募る。ラストで彼の辿る末路にやっと溜飲が下がる思いがした。

ゲドの師であるオジオンから魔法を教わるが結局彼の下を離れ、一人の平凡な女としての暮らしを選んだテナーが子供を育て上げ、夫に先立たれた彼女の自分探しの物語とも言えよう。


一人の魔法使いの生涯を辿る物語ではあるが、今までの巻では彼以外が主人公であり、ゲドは脇に回っている。
むしろ「アースシー」世界の壮大なる変遷を描いたというべき?

この物語は「指輪物語」や「ナルニア」と並び称されるファンタジー小説ということだが、好み的にはイマイチ
言葉が力を持ち、その言葉を操るものが魔法を操る、ここまではOK。
でも真の言葉を系統立てて学べる(理解できる)のは男だけという考え方はどうしても馴染めない。別に男女間の差別撤廃主義者ではないけれど、女を数段低い位置に置き、侮蔑するアースシーという世界がⅤ巻で変わる兆しを見せたことは嬉しいのだが

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