杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

マイマイ新子と千年の魔法

2011年02月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年11月21日公開 93分

時は昭和30年代。平安時代には周防の国と呼ばれ、遺跡や当時の地名を今もとどめている山口県防府市国衙の町に住む小学3年生の青木新子(声:福田麻由子)は、おでこにマイマイ(つむじ)がある想像力豊かな女の子。祖父から千年前の町や人々の話を聞いては、その時代の様子を鮮やかに思い描いていた。ある日、東京から島津貴伊子(水沢奈子)が転校してくる。田舎の生活に馴染めず独りでいる貴伊子に好奇心旺盛な新子は声をかけ、仲良くなっていく。2人は同級生のシゲルや上級生のタツヨシたちと一緒に、ダム池を造り、赤い金魚に、大好きなひづる先生の名前を付けて可愛がるが、ふとしたことで金魚のひづるが死んでしまい、彼らの絆も揺るぎ始めていく。そんな折、ひづるに似た金魚を川で見たという話を聞いて、新子は仲間たちと金魚探しを始めるが・・・。

高樹のぶ子の自伝的小説『マイマイ新子』のアニメ映画化で、製作スタジオは『サマーウォーズ』を手がけた「マッドハウス」。うんうん、似た雰囲気あるなぁ~。

田舎の豊かな自然の中で暮らす子供たちが、遊びを通して触れ合い成長していく様子が、新子の描く千年前の空想の世界を織り交ぜながら描かれています。

新子たちの町には、まだ各家庭にTVもなく、外の自然が遊び相手です。
広大な麦畑に隠れたり、水路をせき止めて小さな池を作ったり、都会の子では考え付かないような遊びの様子が生き生きと描かれ、実際に経験がなくても郷愁をそそります。

憧れの先生に亡き母親の面影を重ねる貴伊子の寂しさや、警官の父親への複雑な思いを持つタツヨシの大人びた言動など、現実の厳しさや辛い出来事も交えたエピソードは、大人の鑑賞にも十分に耐える出来です。というより、大人だからこそ理解できる内容なのかもしれません。

新子と貴伊子が見上げた夜空の天の川の煌きとホタルの小さな灯火の美しさに、忘れていた子供時代の懐かしい記憶が蘇りました。

新子の祖父は元教師で、父親も研究者という設定ですが、彼女の好奇心と真っ直ぐな心持と前向きな考え方は、まさしく親から子へと受け継がれた長所なのね。


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