杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

新しい人生のはじめかた

2011年02月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年2月6日公開 イギリス 93分

CM音楽家のハーヴェイ(ダスティン・ホフマン)は、離婚してNYで1人暮らし。ある週末、イギリスで働く一人娘(リアン・バラバン)の結婚式に出席のためロンドンを訪れたハーヴェイは、娘に義理の父とバージンロードを歩くと言われ寂しさを感じる。トラブルから仕事も干され、落胆してヒースロー空港のバーでヤケ酒をあおるハーヴェイ。一方、空港の統計局で働くケイト(エマ・トンプソン)は、過干渉な老いた母親マギー(アイリーン・アトキンス)を抱える独身の40代。友人が良い相手を紹介しようとお膳立てしてくれても、うまく溶け込めず孤立してしまう自分に諦めを持っている。そんな2人が空港で出会い、ロンドンの街で一緒に過ごす中で見つけ出したのは・・・。

たった一日で新しい人生を踏み出す決意が出来るかどうかは別としても、上質な大人のラブストーリーです。

ハーヴェイは仕事も人生も曲がり角にきています。娘の結婚式出席のため、NYからロンドンまで長旅をしてきたら、自分独りが他の招待客と別のホテル。式前夜の会食でも、離婚した元妻とその再婚相手が娘を囲んで談笑する姿に疎外感を味わいます。

一方ケイトは父が愛人と家を出て、残された母は彼女に過干渉。夢見るよりは諦めが先に立つ40代の独身女性です。

仕事を口実に披露宴を欠席したハーヴェイですが、渋滞で搭乗予定の飛行機に乗り遅れ、仕事自体も首になります。一杯引っ掛けずにはいられない気持ちはわかるなぁ。
そんなハーヴェイの目に映ったケイトは前日に素気無くアンケートを断った女性。思わず話しかけたハーヴェイですが、友人の設定したデートがうまく行かず落ち込んでいたケイトは初めは相手にしません。けれど会話するうちに互いに何か惹かれるものを感じたのでしょうか、やや強引な彼に付き合ってロンドンの街で半日を過ごします。
周囲から浮き上がった孤独感が2人を惹きつけたとみれば、違和感ない?かな(^^;

話の中で、娘の披露宴に出席するよう諭され、友人として一緒に行って欲しいというハーヴェイ。ドレス選びのファッションショーシーンは要らないと思うけど(しかも黒のドレス以外はコスプレ状態だし)、これはエマのための演出?

ともあれ、参加者の心に沁みるスピーチもして、ケイトとダンスも楽しんで、一夜を楽しく過ごした二人はお昼に再び会う約束をします。しかし、ホテルで不整脈を起こしたハーヴェイが病院に運ばれて・・・という展開は月並み。一瞬悲恋モノなのかと思っちゃったけど、持病の薬を忘れただけってのがなんだかなぁ~。でもこの年頃の哀しい現実をしっかり描いているともいえるかな。

約束の場所に現れなかったハーヴェイを心のどこかで諦観していたケイトは、誤解が解けても傷つくことを恐れて今までの平穏で楽な生き方にしがみつこうとします。そんな彼女に優しく寄り添おうとするハーヴェイ。先のことはわからないけれど、この幸せを壊さない努力をするという彼の言葉が彼女に新しい人生の扉を開ける勇気をもたらすのでした。

エマ・トンプソンは「日の名残り」でも胸に沁みるロマンスを演じていましたが、この作品でもとても魅力的。挫折と孤独感を抱えていたケイトがハーヴェイと会話が弾んで生き生きとしていく過程を表現豊かに演じていてさすがでした。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする