杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ワーキング・ホリデー

2017年06月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2012年11月17日公開 88分

元ヤンキーで歌舞伎町のホストクラブで働く沖田大和(AKIRA)の前に、ある日、10年以上前に別れた元恋人・神保由紀子との間に生まれていた息子・神保進(林遼威)が現れる。家出をしてきたという進を追い返すわけにもいかず、初対面の息子との慣れない共同生活を始めた大和は、ホストを辞め、宅配便のドライバーとして再出発を図るが……。(映画.comより)

 

「EXILE」のAKIRA主演のハートウォーミングコメディ作品。初対面の小学生から息子だと告げられ困惑しながらも次第に親子の絆を結ぶというストーリーですが、子役の子が上手い!!彼の演技で作品が生きてます

ホストクラブのママ・ジャスミン役でゴリが、大和の友人ホスト雪夜役で綾野剛が出演しています。雪夜の恋人のナナ(逢沢りな)の、金銭的には不自由しない家庭に育ったけれど両親の愛情に飢えている寂しさと、父親の愛を求めていた進のそれがクロスするシーンは良かったです。

ジャスミンがホストをクビにし、代わりに転職先を見つけてあげるのも、大和を思ってのこと。そもそも進と最初に会ってるのが彼(彼女?)だから、いわば彼らの保護者みたいな役どころですね。でも転職先の宅配会社の社長も随分なキャラですが今時リヤカーで歩いて宅配、ありえないでしょ 普通、息子がいなくなったら母親は探し回ると思うんですが、これも裏でジャスミンさんと連絡取り合っていたのかな元々気持ちがうまく伝えられずに別れたみたいなので、今回の事をきっかけに復縁するのでしょうかとか余計なお世話ですね

それにしても家事一般そつなくこなし、お料理もできる小学生男子、普通に羨ましいぞ


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キング・アーサー

2017年06月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年6月17日公開 アメリカ 126分

両親を殺され、スラムの売春宿で貧しく生き抜いてきた青年アーサー(チャーリー・ハナム)。彼はかつてのイングランド王の一人息子。暴君ヴォーデガン(ジュード・ロウ)は兄であるユーサー王(エリック・バナ)に謀反を起こし殺害。ユーサー王は絶命する寸前まだ幼かったアーサーを船で逃がしたのだった。過酷な環境で鍛えられながら成長し、優しくタフな男として仲間の信頼を集めていたアーサー。やがて聖剣エクスカリバーを手にした彼は、自らの過去と運命を知ることになる。(チラシより)


王の子でありながら路地裏のスラムで育った貧しい青年アーサーが、伝説の聖剣エクスカリバーを手にし、救世主として語り継がれる存在へと成長していく姿を、ガイ・リッチー監督が現代的に味付けしたスタイリッシュなソードアクション作品に仕上げています。

個人的なツボとしては、アーサーを助ける仲間の一人として登場するビル役のエイダン・ギレン 観た顔だ!!と思ったら「ゲーム・オブ・スローンズ」のリトルフィンガー この人の優し気な眼差し、けっこう好みです知的で策略家なイメージは今作でも健在です。

アーサー王伝説といえば魔術師マーリンが欠かせないのですが、今作では登場せず、代わりに彼の弟子のメイジ(魔術師)としてヒロインが割り振られていました。演じているアストリッド・ベルジェ=フリスベは「パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉」のシレーネ役の女優さんです。王妃や王女も登場しますが、殆ど出番なしで、唯一メイジだけがヒロイン扱い、それも戦士として。そういう意味では男臭い映画です。

他にもユーサー王の家臣だったペディヴィア役でジャイモン・フンスーが出演。アーサーを導いていく役割ですね。

過去の記憶が断片的なのは目の前で両親を殺されたPTSDでしょうか。エクスカリバーを使いこなせず苦しみますが、「湖の乙女」に諭されて過去と向き合い現実を直視し未来を拓くことを決意します。

ヴォーデガンのまぁ憎たらしいこと!権力と保身のために最愛の妻や娘まで魔物( SWのジャバ・ザ・ハットを思わせるぶよぶよしたタコみたいな姿はちょっと笑えます。)に捧げる姿は狂気そのものです。

対して、育ててくれた娼婦や仲間の死に憤り、虐げられる民衆のために立ち向かうアーサーはまさにヒーロー

メイジの放つ大蛇や、冒頭に登場する黒魔術師モルドレッドの巨大な像など、CGも迫力があり、スピード感溢れる戦いの描写もです。

ランスロットもいないし、円卓の騎士(になっていくのかな?)も領主たちではなく、アーサーの幼友達やペディヴィアですが、アーサー王誕生の物語とすれば、ま、いいのかな


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ガチバン ULTRA MAX

2017年06月25日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2014年4月12日公開 75分

場末のスナックで用心棒として働いていた黒永勇人(窪田正孝)は、スナックに遊びにきた大山彦組の組長に気に入られるが、組の構成員・安藤忠臣(山田裕貴)はそれが気に食わず、勇人と忠臣は事あるごとにいがみ合うようになっていた。そんな中、勇人は先輩の吉田義男(鈴之助)を通じて知り合った、ザビエル女学院中学に通う星良(永野芽郁)と距離を縮めていくが……。

 
ヤンキー映画「ガチバン」シリーズ21作目。
今夏ドラマ「僕たちがやりました」で共演する窪田君と永野芽郁ちゃんが過去に共演していたというので観てみました。 思いっきりミーハーです

前作までで会社勤めもドロップアウトし、高校受験も失敗した勇人。でも食べていかなきゃならないからスナックの用心棒してるんですね~ で、ひょんなことからヤクザの組長に気に入られちゃった。今回のバトルは組の新人・安藤とですが、なんと勇人が負けちゃうんです

今まで自分のプライドと意地をかけて突っ張ってきた勇人ですが、今回は守らなきゃならない人が出来た。それが中学生の星良というのがまた純情一途な勇人らしいといえばらしいのですが

白血病で余命いくばくもないという設定はかなりベタだし、良いとこのお嬢様であるらしい星良にオーロラ見せたいために危ない仕事を引き受けるというのもなんだかな~ですが、何しろ勇人ってばバカもとい、純粋だから

でも、安藤が背負っているものに比べたら勇人のそれはやっぱり軽い。負けるのも当然だし、そもそも素手の喧嘩上等な勇人に銃は似合わない。まして人殺しはねというわけでスッキリしない勝負の行方も仕方なかったのかも。

そして相変わらずちゃらんぽらんなよっちゃん先輩それでも結局くっついてるんだよね~勇人は。だってただ一人の友達だもんね。(あ、先輩を友達とは呼べないか

この時20歳と中坊の設定の二人が、今夏ドラマ「僕たちがやりました」ではタメの同級生役というのも不思議な巡り合わせです。役者の世界って面白いな さすがに中坊とでは恋愛シーンは無理でしたが、今度はキスシーンとかいろいろありそうで、これも感慨深いです。


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ブラック・ファイル 野心の代償

2017年06月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年1月7日公開 アメリカ 106分

全米を牛耳る巨大製薬会社 ピアソン製薬はCEOアーサー・デニング(アンソニー・ホプキンス)の下、新薬の治験結果を捏造し、多額の利益を得ていた。メディアから激しい追求を受けていたが、決定的な証拠が無く、その不正行為は野放しのままだった―。

ベン・ケイヒル(ジョシュ・デュアメル)はニューオーリンズにある一流弁護士事務所に勤める野心家の弁護士。医師として激務に励む妻シャーロット(アリス・イヴ)とともに暮らしているが、流産をきっかけに夫婦仲は冷え切っており、仕事に打ち込むことでその悲しみを忘れようとしていた。 そんなある日、ベンのSNSに一通の友達リクエストが届く。相手はエミリー・ハインズ(マリン・アッカーマン)。男なら誰もが振り向く金髪美女で、ベンの元恋人だ。友達リクエストを承認すると早速メッセージが届き、10年ぶりの再会を果たす。ベンはそこで思いもよらぬ事実を知る。エミリーはピアソン製薬に勤めており、CEOのデニングと付き合っているというのだ。さらに、不正行為の決定的な証拠である機密ファイルを渡すと持ちかけられる。世間の注目を浴びている事件を担当し、勝訴すれば、昇進するだけでなく知名度も格段に上がる。ベンの野心に火がついた。機密ファイルを受け取るためにエミリーの部屋を訪れるベン。そんな彼をエミリーは妖艶に誘う。誘惑に負け、キスをする2人。しかし、ベンは我に返り、機密ファイルを手に部屋を後にする。 翌日、ベンは弁護士事務所の代表チャールズ・エイブラムス(アル・パチーノ)に、ピアソン製薬に対し訴訟を起こすよう持ちかける。機密ファイルを提示し、「正義のためなら手を汚せる弁護士が必要」と熱弁する。彼の熱意を認めたエイブラムスは訴訟に同意。慌ただしく準備が始まる。

しかし、この訴訟をきっかけにベンの周囲を謎の男(イ・ビョンホン)が嗅ぎまわり、訴訟から手を引かなければ妻シャーロットに危害を加えると脅迫を始める。また、デニングのもとには一通のメールが届き、そこには血だらけになったエミリーの写真とともに「12時間後に女を殺す」というメッセージが添えられていた・・・。

ベン、デニング、エイブラムス、謎の男、シャーロット、エミリー。それぞれの欲望と野心が絡み合い、人生の歯車が狂いだす。騙し合いに翻弄されたベンがたどり着く、戦慄のラストとは―?(公式HPより)


アル・パチーノとアンソニー・ホプキンスの大物俳優初共演のサスペンスです。これだけでも観る価値ありよね 謎の殺し屋役でイ・ビョンホンも出演、監督はシンタロウ・シモサワ。ん?日本人?と思ったらアメリカ生まれの日系2世だそう。

野心家のベンは家庭がうまくいっていないこともあり(妻が流産したあと関係が冷えたというのはいかにも男性に都合の良い解釈だこと)仕事で成功したいと焦っていました。そこに元カノのエミリーが現れ誘惑してきます。デニングと付き合っているから不正の証拠である機密ファイルを持ち出せるというのです。美女の誘いをキスだけで自制したベンですが、証拠ファイルはしっかり持ち帰るのね 

不当に入手したものだけど、手を汚しても勝ちを獲るという熱意に負けてエイブラムスはベンに担当させることにしますが、以後彼の周囲には殺し屋の影が・・・・。さらにエミリーが殺され、ベンに不利な状況になります。

実はエイブラムスとデニングは裏で癒着関係にあったのです。自らの名声を守り癒着を隠すため、殺し屋を雇ってベンを消そうとします。必死に真相に辿り着いたベンは殺し屋と格闘の末生き延びるのですが、殺し屋自身がデニング社の薬害の被害者で、真実を知ろうとしてエイブラムスに協力したけれど、彼らの癒着を知りPCに証拠をわざと残していました。

事件が無事解決し、シャーロットと新たなスタートを切ろうと引っ越しを決めて荷物を整理していたベンですが、妻の洋服にエミリーの香水の残り香が 浮気を疑った妻がエミリーを訪ねた際に薬物中毒で瀕死の彼女を見殺しにしたことを告白する妻の落ち着き払った態度がなんとも不気味。 かといって妻を犯罪者にする告発はベンにはできず(そりゃ彼が悪いんだものね)無言で退散するしかない状況。

彼が手にしたのは幸せ?それとも永遠の不幸せ? まさしく野心の高すぎる代償ですが、彼に同情する気にはなれないかな


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ザ・コンサルタント

2017年06月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年1月21日公開 アメリカ 131分

田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフ(ベン・アフレック)には、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を稼ぎ出す命中率100%のスナイパーというもう一つの顔があった。そんなウルフにある日、大企業ロボティクス社から財務調査の依頼が舞い込んだ。ウルフは重大な不正を見つけるが、その依頼はなぜか一方的に打ち切られ、その日からウルフは何者かに命を狙われるようになる。

 

ベンが演じるクリスチャンは知的発達の遅れを伴わない高度自閉症の会計士ですが、その裏の顔は凄腕の殺し屋です。演じるにあたって高度自閉症の症状をかなり研究し作りこんでいる感があります。物語の冒頭で、クリスチャン少年がパズルをしていたのは、精神障害児を専門にケアを行う森の中の静かな施設です。この時にパズルの一片を彼に手渡した少女は施設の所長の娘のジャスティーン。実は彼女に重要な役回りがあったことは最後に気付かされます。

周りと嚙み合わない会話はこの病気の特徴の一つでもあり、クリスチャンが好むルノワールやポロックの絵画には癒しの効果があるとされているようです。彼の父は軍人で、カウンセリングやセラピーに頼らず、体に直接教え込む教育を施しました。それは息子が独り立ちして生きていけるようにとの配慮であり深い愛情であったことは、後に別れた妻(クリスチャンの母)の葬儀に訪れた際の突発的な事件で体を張って息子を守ったことからも伝わってきました。

財務調査で不正を見つけたものの調査を突然打ち切るよう言われ、でも一度始めたら解決するまで止められないのが彼の性格というか病気の特徴でもあるので、当然続けるわけです。そして、この調査の発端となった指摘をした経理担当のデイナ(アナ・ケンドリック)ともどもトラブルに巻き込まれていくのです。

一方、謎の会計士の正体を探るべく、商務省長官レイモンド・キング(j・k・シモンズ)は分析官のメディナ(シンシア・アダイ=ロビンソン)を半ば脅して協力させます。彼の役どころは悪か善か迷わされるところです。

社長のブラックバーン(ジョン・リスゴー)は自殺者が出たことを理由に調査打ち切りを告げますが、こいつは自社株を上げるために暗殺者・ブラクストン(ジョン・バーンサル)を使って裏で相当汚いことをしている様子。実はブラクストンはクリスチャンの弟ということが山場で明らかになります。

この兄弟対決はいっそあっけないほど簡単に和解となり、ブラックバーンは殺され、兄弟は再会を約束して別れる・・なんじゃそりゃ そもそも兄弟が疎遠になった理由が母の葬儀の際の事件だったということで、誤解が解けたらもう仲違いする理由もないわけね。

父親が亡くなった事件でクリスチャンが入っていた刑務所で、フランシス(ジェフリー・タンバー)という闇組織の会計士と同室になり、彼からノウハウを教わり懇意になったこと(おそらくは父親のような愛情を感じたのでしょう)、そのフランシスが組織に殺されたと知り逆上して脱獄、組織へ復讐している現場でキングと出会い、その命を助けた(見逃した)ことからキングと秘密の関係が続いていることなど、色んな伏線が収束していき、最後にクリスチャンの相棒の声の主がわかる筋書もよくできていました。

キングは退職にあたり、クリスチャンとの関係を繋ぐ後継者にメディナを充てたんですね


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マグニフィセント・セブン

2017年06月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年1月27日公開 アメリカ 133分

冷酷非道な悪漢バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)に支配された町で、彼に家族を殺されたエマ(ヘイリー・ベネット)は賞金稼ぎのサム(デンゼル・ワシントン)、ギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)など荒れ果てた大地にやってきたワケありのアウトロー7人を雇って正義のための復讐を依頼する。最初は小遣い稼ぎのために集められたプロフェッショナルな即席集団だったが、圧倒的な人数と武器を誇る敵を前に一歩もひるむことなく拳銃、斧、ナイフ、弓矢などそれぞれの武器を手に命がけの戦いに挑んでいく―。(公式HPより)


黒澤明監督の「七人の侍」(1954)とハリウッドリメイクの「荒野の七人」(60)を原案に、舞台を西部開拓時代のメキシコに置き換えた西部劇です。

賞金稼ぎのサムを中心に、ギャンブラーのファラデー、流れ者のヴァスケス(マヌエル・ガルシア・ルルフォ)、スナイパーのグッドナイト(イーサン・ホーク)、ハンターのジャック(ヴィンセント・ドノフリオ)、暗殺者のビリー(イ・ビョンホン)、戦士のレッドハーベスト(マーティン・センズメアー)ら7人が、最初はお金目的だったけれど、次第にそれだけではないものに突き動かされて命がけで戦う姿がかっこいいのです。

南北戦争が終結し、資本家による西部開拓が進められた時代。大資本家で略奪王の異名をとるボーグはその財力と権力にものを言わせたなりふり構わぬ金鉱と土地開発を進めていました。エマの住むローズ・クリークの町へやってきたボーグは雀の涙の金で土地を手放すよう迫り、抗議の声を上げた夫のマシューは撃ち殺されてしまいます。まさに問答無用の理不尽な暴力です。

夫の復讐と町を守るため、お金を掻き集めて用心棒探しを始めたエマは、別の町で黒人委任執行官のサムと出会い、その働きぶりに用心棒を依頼します。初めは渋っていたサムですが、ボーグの名を聞き引き受けるの。何やら因縁がありそうです。

お金に困っていたファラデー、さらに別の町で遭遇した旧知の仲のグッドナイトとその相棒のビリーが加わり、また別の町ではメキシコ人のお尋ね者のヴァスケス、山男のジャック、ネイティブアメリカンのレッドハーベストと次々仲間が増えて総勢7名となったわけ。

町へ戻った一行はボーグの手下を一掃し、彼に買収されていた保安官をボーグの元へ送りつけます。来るべき決戦に備え、町の男たちに武器の使い方を教え、訓練する一方、罠をあちこちに仕掛けていきます。

団結の機運高まる中、離脱するメンバーがいたりの小波乱はあるものの、いよいよボーグの引き連れてきた大軍との闘いの火ぶたが切って落とされます。あとはもう撃ち合いと爆破のオンパレード。離脱した仲間も戻ってきますが、なんせ多勢に無勢。おまけに敵はガトリング・ガンを持ち出してきて絶体絶命のピンチに皆死を覚悟しますが、ファラデーが身を挺して危機を救うのです。

ボーグと直接対決したサム。彼は家族をボーグに虐殺された過去があったということが明かされます。でも隙を見せたサムに代わりボーグにとどめを刺したのはエマなのね

戦い済んで生き残ったのはサム・ヴァスケス・レッドハーベストの三人だけ。命を落とした4人は夕日の丘に埋葬され、のちに町を救った英雄「マグニフィセント・セブン」と称えられるのでしたとさ。

流れ者たちが力を合わせて悪者をやっつけるという基本は変わりませんが、黒人・白人・アジア人・メキシコ人にネイティブアメリカンと人種はバラェティに富んでいるのが現代風かも。武器も銃だけじゃなく、ナイフや斧、弓矢も活躍、さらにダイナマイトが出たかと思えば敵にはガトリング・ガンがこれは当時最強最悪な武器なんですよね

初めは報酬のために加わったメンバーが、次第に義のために身を賭して戦う図はヒロイズムの典型ですが、それだからこそ感動も生まれます。消極的だった町の人々とも、戦闘訓練を通して心が通じていくのも良かったです。

西部劇、たまにはいいかも


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溺れるナイフ

2017年06月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年11月5日公開 111分

東京で雑誌モデルをしていた望月夏芽(小松菜奈)は、急に父親の郷里・浮雲町に引っ越すことになる。都会とはかけ離れた田舎での地味な生活にがっかりする夏芽だったが、地元を取り仕切る神主一族の跡取り息子コウ=長谷川航一朗(菅田将暉)と出会い、彼の持つ不思議な魅力に心奪われる。コウもまた町には異質な夏芽の美しさに惹かれ、二人は付き合い始めるが、火祭りの夜、悲劇が遅い・・・。


ジョージ朝倉の同名少女コミックの実写映画化で、いわゆる青春ストーリーですが・・・これ、たぶんコミックの方が面白いんじゃないかな

田舎町の風景や、火祭りの情景など、場面だけ切り取ればとても情緒的で美しいのですが、登場人物に厚みがないというか、心情を丁寧に追えていないというか、どうも薄っぺらい印象を受けました。

コウと夏芽が惹かれあう過程が一足飛びなのに、そこから先が何だかもどかしいし、事件(無駄に煽ってる描写だし)が起こった後の二人の心の動きについても十分に描かれているようには見えないんだよな~

事件のあと、コウに代わって夏芽を支える大友君(重岡大毅)は、いわゆる「いいやつ」なんだけど、隠しきれない下心もバッチリ描かれちゃってるし、コウの幼馴染で二人を応援するカナちゃん(上白石萌音)の二面性も怖いぞ 

コウに憧れていたカナが夏芽に抱いた感情はけっこう複雑だと推測され、その辺の心情を萌音ちゃんはかなり上手く表現していたと思います。二度目の事件の時、カナはコウと罪の共有をすることで、コウをある意味占有したのではないかしら。

いわゆる当世風のカッコよさで、光の当たる場所に相応しい人物像なのかもしれませんが、夏芽を「遠い場所」に連れ出す役割の広能晶吾(志摩遼平)も好きになれなかったな~

夏芽とコウは事件がなくてもいずれは離れていったような気がします。互いに輝ける場所が異なっていたからね。

神主一族の跡取り息子という設定なので、面を作り、祭りで踊るシーンが登場しますが、白装束で踊るコウ=菅田君は美しかったので、ファンなら観て損はないかも


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ぼくのバラ色の人生

2017年06月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

1998年11月7日公開 フランス・ベルギー・イギリス 88分

映画天国 2017年6月13日放送

7歳の男の子リュドヴィック(ジョルジュ・デ・フレネ)の夢は女の子になること。スカートをはいて、着せ替え人形と遊んで、いつかは好きな男の子と結婚したい…。そんな無邪気なリュドに周囲はとまどう。成長の過程で訪れる一時的なものだと考えたピエール(ジャン=フィリップ・エコフェ)とアンナ(ミシェール・ラロック)の両親は見守ろうとするが、学校でも、ご近所でも、リュドはどんどん浮いた存在に…。リュドが思いをよせる男の子と“結婚式ごっこ”をする姿を目撃した男の子の母親は…!

 

トランスジェンダーの男の子のお話ですが、この映画が作られた90年代後半では、社会的偏見や差別が当たり前のようにあったのではないでしょうか。自分は神様の手違いで男の子として生まれたけれど、その間違いは将来正されると信じているリュドですが、友達も近所の住民も、家族さえも理解してはくれません。

リュドが化粧をしてドレスを着たり、父親の上司の息子ジェロームと仲良くなって彼と結婚したいと望んで皆を驚かせたのも、彼の心の性別が女の子だから。でも周囲はリュドを性的倒錯者とみなして両親のことも非難します。その両親さえも、リュドを理解できずに混乱し、父親は矯正を試みセラピーを受けさせます。最初はリュドをありのまま受け入れようとしていた母親も、度重なるトラブルと近隣住民の悪意と差別の目に追い詰められ、リュドを突き放してしまうの。

お母さんが家族の散髪をしているんだけど、今までは許していた女の子のように伸ばした髪をバッサリカットされるシーンは切なかったな~~。

やがてリュドは転校を余儀なくされ、父親もリストラに遭います。虐められているリュドを兄たちも見て見ぬふりをするなど、一家の中でも浮いてしまったリュドは同じ町に住む祖母の元へ一時避難。でも新しい仕事が決まり転居することになったとき、リュドは一緒についていくことを選択するのね。やっぱりリュドにとっては親兄弟が一番なんです。元々リュドの姉や兄たちは弟のことを受け入れているような節があり、このころには父親も一定の理解というか諦めを持って接している気がしましたが、逆に母親だけが一家の不幸はリュドのせい!みたいな意識が見えます。

引っ越し先で知り合ったクリスは男の子みたいな恰好をしています。本名のクリスティーヌと呼ばれるのも嫌がっている様子。ある日クリスの母親が、リュドの母に、うちの子(クリスティーヌ)は少し変わってるけど仲良くしてねと誕生日会に招待し、リュドは母親に三銃士の恰好(男らしさを意味している?)をさせられ出かけていきますが、お姫様の恰好をしたクリスに衣装をむりやり取り換えさせられ、それを見た母親は、またトラブルを引き起こしたと誤解して逆上し、リュドは逃げ出してしまいます。

映画では物語の要所でリュドの大好きな着せ替え人形のパムが登場するのですが、リュドを追いかけた母親が、このままでは愛する子供を失うかもしれないことに気付くシーンにも効果的に使われていました。ようやく母親にも今度こそありのままのリュドを受け入れる気持ちが芽ばえたようです。リュドにとって、愛する家族、特に母親に受け入れてもらうことが、何より望んでいたことなんじゃないかな

最初の引っ越しで登場する住宅街は、「シザーハンズ」に出てくるような画一的でカラフルな一見温かみのある雰囲気ですが、住人の心の許容は狭く、差別意識や偏見に満ちていました。対して、新しい引っ越し先はいわゆるどこにでもあるような町ですが、クリスのような少女も受け入れられていて、人々の心はずっと豊かで進歩的に見えました。

20年前の映画とはいえ、日本でもまだまだこのような偏見は根強く残っているように思えるので、今観ても全く違和感のない内容です。


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少女

2017年06月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年10月8日公開 119分

高校2年生の由紀(本田翼)と親友の敦子(山本美月)は、夏休み前に転校生が親友の死体を見たと話すのを聞いて以来、自分も人の死を目撃してみたいと思うように。そこで由紀は小児科病棟でボランティアをはじめ、余命わずかな少年たちと仲良くなって自らの欲望を満たそうとする。一方、陰湿ないじめに遭い生きる希望を失いかけていた敦子は、誰かの死を見れば生きる勇気を取り戻せるのではないかと考え、老人ホームでボランティアをするようになる。

 

湊かなえの同名小説の映画化です。

予告などから、女子高生の犯罪?と思っていたら違いました。 

敦子は推薦で入った高校で、剣道の試合で敗れたことが原因で虐めに遭っています。虐めに起因する極度のストレスで過呼吸を起こす彼女は試合の時に怪我をして片足を引きずって歩いていますが、実は足はもう治っているの。

敦子の幼馴染で親友の由紀は、祖母に対して行ったあることのせいで、敦子以外に心を閉ざしています。彼女の手の甲に残る傷跡は祖母の仕業ですが、そもそもそうなった原因は由紀にあり、クリスチャン系の学校に通う彼女の心の奥底には因果応報の呪縛があります。(認知症の祖母は教師だった昔を混同し偉そうな説教を声高に叫ぶ毎日。やがて老人ホームに入居しボランティアで訪れた敦子と出会うことになるの。)

虐められている敦子の心を救おうと書いた小説「ヨルの綱渡り」は国語教師・小倉(児嶋一哉)に盗まれます。その小説が新人文学賞を獲るのですが、小倉は平然としています。彼が盗った証拠はないけれど、教師という立場でよくもそんな破廉恥なことができるものだと思ったら、性癖も問題ありな人物だった由紀は職員室に忍び込んで彼のPCにある内申書を漏洩させるという報復に出ます。結果彼は失職し、やがて事故死するのですが、これが実は自殺だったと後に判明します。(教え子の作品を盗むような人間が自殺するか?と最初は思いましたが、実力のない彼がこれ以上の作品を生み出せる筈もないのは明らかですから、結局は自分のしたことに自身が潰されたとみるべきでしょう。)

一方、由紀の行為を目撃した敦子は彼女が何を考えているのかわからず距離を感じます。

そんな時、転校生の紫織(佐藤玲)が二人の間に入ってきて、親友の死体を見たことがあると告げたことから二人は「死」を見たいという願望にかられるのです。

敦子は紫織に痴漢詐欺の片棒を担がされ、由紀は死生観の似た牧瀬(真剣佑)という彼氏ができ、少女たちの友情にも亀裂が入り込んでいくの。

夏休みに入り、それぞれ意図を隠してボランティア活動をする二人ですが、実際に死に直面した敦子は無我夢中で助けようとし、由紀の方も入院患者である少年と仲良くなります。頭で考える死と現実のそれは彼女たちの想像を良い意味で裏切ったわけです。

そういえば、敦子のボランティア先のスタッフの高雄孝夫役で吾郎ちゃんが出てたのね 冤罪詐欺の片棒を担いでいた敦子と冤罪で人生を棒に振った高雄。牧瀬から小倉の死が事故ではなく自殺だったと聞かされた由紀。互いの胸に去来したのはどんな思い?

一見別々の独立したエピソードが、気付けば複雑に絡み合い、山場でつながっていく展開は見ごたえがありました。特に紫織の父親があのスケベ親父だったことや、ラストには驚かされました。逆にそんな狭い人間関係なのかいと突っ込む要素でもあるけどまさに因果応報

救いは由紀と敦子の友情が修復されたことかしら


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何者

2017年06月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年10月15日公開 97分

演劇サークルで脚本を書き、人を分析するのが得意な拓人(佐藤健)。何も考えていないように見えて、着実に内定に近づいていく光太郎(菅田将暉)。光太郎の元カノで、拓人が思いを寄せる実直な瑞月(有村架純)。「意識高い系」だが、なかなか結果が出ない理香(二階堂ふみ)。就活は決められたルールに乗るだけだと言いながら、焦りを隠せない隆良(岡田将生)。22歳・大学生の5人は、それぞれの思いや悩みをSNSに吐き出しながら就職活動に励むが、人間関係は徐々に変化していく。

 

朝井リョウの小説「何者」の映画化です。就職活動を通して自分が「何者」であるかを模索する若者たちの姿を描き、赤裸々でリアルな息遣いを感じる内容となっています。

就職をテーマにした青春群像といえば、バブル時代に観た「就職戦線異状なし」を思い出すのですが、まさに四半世紀経って就職戦線は激変しているな~と感じることになりました。企業がこぞって学生を獲ろうと、なりふりかまわない接待・囲い込みをする様子をコミカルに描いた前作と比べ、「何者」は企業優位な状況の中、必死に自分を売り込もうとする中で本当の自分を見失いもがく学生たちの姿をリアルに描いている分、観る側に重さがかかるというか・・・後味の良い楽しい作品とは言えないかな。

理系の院生であるサワ先輩(山田孝之)は、研究室の教授を通して内定が出ています。物語の中では一歩引いた立場で彼らを見守る役どころ。その分冷静で的確な見方ができるわけです。拓人は理系は良いなぁと羨ましがりますが、何も理系だからすんなり就職が決まったわけではなく、先輩はまじめに学業に取り組んだ結果として研究室繋がりの内定を貰っているのだということを見落としているのよね。

実家の事情で就職の方向性を変更することを余儀なくされた瑞月は、今の自分と将来の自分のスタンスをしっかり見つめ、目的意識をもって就職活動に臨み、仲間うちで最初に内定を勝ち取ります。

バンド活動をして出遅れたスタートだった光太郎も、就職先の分野を絞り、第一志望ではないものの、中堅どころに二番目に内定を手にします。翻訳家になるという夢を持つ元カノに近づけるようにという動機は傍からみれば不純かもですが、本人なりにしっかりした目的があるわけです。

対して、周囲の学生たちと自分は違うんだと斜に構えて就職活動に出遅れ、試験会場へも私服で現れる隆良や、自分が自分がと我を前面に出す自意識過剰の理香は、面接する側にとっては協調性のない人間に映ってしまうということに気づいていないイタさがあります。また、主人公の拓人にいたっては、仲間を一段上から見下ろしての批判に明け暮れるだけ。勝手に自分の限界を決め、好きなことからも逃げて安易な安定を求めようと就職活動をするその姿は、これも面接官にはバレバレなんでしょう。

「何者」は拓人が仲間に隠して批判を投稿する際のアカウントです。(そもそもメルアドで特定できると知ってる時点で仲間が目にする可能性について考えないのかと思うけど、そこが若さ故の未熟さなのかしらん)彼がスマホを手にする姿が何度も登場するのは伏線だったのね。案の定、理香は拓人の行為に気づいていました。内定を得た二人の就職先に関するマイナスな情報を探さずにはいられない拓人と理香の心情はちょっとわかる気がしますそれが互いに露見した時、本音をぶちまける理香、飛び出していく拓人・・・二人の中で変化が生まれたとしたらこの時だね。

就職活動をする仲間として集った彼らが、その活動を通して時に励ましあい、時に批判、陰口を言い合いながらも、自分がどうあるべきかという姿を模索する様子は、エントリーシートや企業訪問といった活動をしたことのない私が見ても、少し辛くなってしまいます。現役の学生たちにとってはより生々しい圧迫感がありそう。


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PK

2017年06月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年10月29日公開 インド 153分

留学先のベルギーで大きな失恋を経験したジャグー(アヌーシュカ・シャルマ)は、いまは母国インドのテレビ局で働いている。そんなある日、ジャグーは、地下鉄で黄色いヘルメットを被って大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の装飾を身に付けてチラシを配る奇妙な男(アーミル・カーン)を見かける。男は「PK」と呼ばれ、神様を探しているということを知ったジャグーは、男になぜ神様を探しているのか話を聞くのだが……。(映画.comより)


インド映画らしい二時間超えの長尺と、いきなり歌って踊りだす展開はともかく、この雰囲気どこかで観たような既視感があると思ったら「きっと、うまくいく」のラージクマール・ヒラーニ監督作品だったのね

PKは地球に調査のためやってきた宇宙人。彼らの星では裸が当たり前なんだそうな 唯一身に着けていたのが時に宇宙船を呼ぶためのペンダント型のリモコン。これがピカピカとエメラルド色に光るもんだから、最初に出会った地球人(インド人)に盗まれてしまうの。必死に追いかけた彼が手にしたのはリモコンじゃなくてカセットレコーダー(パナソニック製なんだそう)

一方、ジャグーはベルギーでサルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)と出会い恋に落ちます。でもヒンドゥー教徒のジャグーの父はパキスタン人(ムスリム)のサルファラーズとの交際に猛反対。導師のタパスヴィー(サウラブ・シュクラ)は恋人が彼女を裏切ると予言し、その通りになってしまいます。傷心を抱えインドに戻ったジャグーはテレビ局で働きだしますが、電車内で「神様が行方不明」と書かれたチラシを配るPKと出会うのです。

興味をそそられたジャグーは彼の後を尾け、賽銭箱のお金を盗んで捕まりそうになったところを助けて接近します。

PKは自分は宇宙人で、手を握ることで相手の考えを知ることができると言います。何とか地球人と手を握ろうとするPKですが、変態と間違われ追い払われるばかり。うっかり轢かれたトラックの運転手のバイロン(サンジャイ・ダット)と仲良くなって、彼に連れていかれた売春宿の売春婦の手を6時間握り続けることで言葉を覚えたこと、お金や洋服は「踊る車」=カーセックスから調達したこと、バイロンにリモコンを盗んだ泥棒はデリーにいるはずと教えてもらってやってきたものの、そのふるまいが酔っ払いと思われPK(酔っ払いの意味)と呼ばれたこと、リモコンを見つける手助けができるのは「神」だけだと言われて「神」を見つけようと様々な宗教的行為を実践したものの役に立たなかったことなどなど・・初めは信じなかったジャグーですが、PKが本当に人の心を読める出来事に遭遇し、また導師が彼のリモコンを持っていたことを知ってPKのためにリモコンを取り返そうと考えるの。

PKは宗教家が神との連絡を「かけ間違え」ているのだと推測します。それは宗教に無縁で無垢な精神を持つPKならではの素朴な疑問から起こった考えでしたが、ジャグーはそれを利用して導師の不正を暴こうとします。この「かけ間違い」キャンペーンが一気に広がって狼狽した導師はPKと直接対決することになるのです。

そんな時、バイロンが泥棒を見つけ出し、その泥棒が導師にリモコンを売ったと認めたと伝えます。でもデリーでPKと再会する直前、爆破テロに遭い死んでしまうの(このテロは導師一派の仕業なのね)これによって、PKは導師が「かけ間違い」をしたのではないこと、彼の不正に気付くのです。

直接対決の場で、リモコンを賭けて導師のインチキを暴く証拠として持ち出したのは、ジャグーの恋人の裏切りはなかったという主張です。

ジャグーの手を握ったことでPKはその事実に気付いたのね実はジャグーに少なからず惹かれていたPKですが、彼女が今も恋人のことを忘れられずにいることを知り、ひと肌脱いだ形になりました。番組内でサルファラーズを探して直接電話するという進行が面白かったし、実は・・・的な伏線があったことに気づかされます

誤解が解けて元鞘に戻ったジャグーとサルファラーズ。ジャグーの父親もインチキ導師の行いに目が覚め、めでたしめでたし

リモコンを取り戻したPKは、トランク二杯分の電池をお土産に星へ帰ります。カセットテープを聞くための電池。そしてそのテープに入っていたのはジャグーとの会話、彼女の声でした 傷心を隠し去っていくPKがなんか男らしかったぞ

ラストはそれから一年後。再び現れた宇宙船から出てきたのは、もっともらしく地球での注意事項を説明するPKと探索員たち。お~~い・・戻ってくるならあんなにたくさんの電池、要らなかっただろ??

同じ地球人だったら宗教問題は血なまぐさいことになりますが、無垢な宇宙人の単純で素朴な疑問という形で語られると説得力がありますね インド映画、なかなかやるもんですね 


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花戦さ

2017年06月05日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年6月3日公開 127分

戦国時代末期、花と町衆を愛する風変りな男がいた。男の名は池坊専好(野村萬斎)。京都・頂法寺六角堂の花僧で、いけばなの名手だ。専好がいけた松は、岐阜城大座敷で権力者・織田信長(中井貴一)の心を奪い、豊臣秀吉(市川猿之助)、千利休(佐藤浩市)をもうならせた。この男、人の顔と名前を覚えられないうえに、口下手である。その上、秀吉や利休など超有名人の眼前でも権力には全く興味なし! 花をいけることのみが彼の至福なのだ。時は流れて・・・愛息・鶴松を亡くして正気を失った秀吉は圧政を敷いて、己に異を唱える者どころか陰口を言った町衆にさえも残忍な粛清を始める。死に追いやられた者の中にはともに美を追い求めた友人・利休や、専好を慕う町衆たちの姿もあった。愛する人々を守る為、そして、平和な世を取り戻すため、専好は天下人・秀吉に対して一世一代の大勝負に挑む。彼が手にしたのは刃(やいば)ではなく花だった・・・。(公式HPより)


原作は鬼塚 忠の小説『花戦さ』。武力で弱者を虐げる権力者に、「刃=力」でなく「花=心」で“戦さ”を仕掛けて勝利した池坊専好を描いた時代劇エンタテインメントです。

専好は何よりも花を愛する子供みたいに純粋無垢な性格をしていますが、今なら高度自閉症の診断が下されそうな印象

岐阜城の大砂物の昇り竜を表現した松は素晴らしく、この時のいけばなに心奪われたのは利休や前田利家(佐々木蔵之介)、そして後の秀吉です。信長の目の前で枝が折れた時、とっさに専好の危機を救います。

映画では専好さんの活けた作品が多々登場しますが、この岐阜城の大砂物と前田邸でいけた大砂物の松は素晴らしいの一言に尽きます。また、流れるような躍動感のある菖蒲の立花や、利休の四十九日に活けた梅を使った弔いの立花、鶴松の弔いに松にツルを添えた立花なども心惹かれます。かと思えば、れん(森川葵)のための蓮の花、河原の行き倒れ人に供えた名もなき野の花などにも彼の温かな人となりを偲ばせます。

幼馴染の吉右衛門(高橋克実)や弟弟子でしっかりものの専武(和田正人)がフォローする中で、のびのびと花を楽しんでいた専好ですが、師の跡を継ぎ責任が両肩に重くのしかかると生け花を純粋に楽しむことができなくなるんですね~~。

そんな時に再開した利休との友情が彼に再び生け花への情熱を搔き立てさせます。大茶会の時の、利休の野点の場で枝に活けるカラフルな花々がとても楽しく気持ちを浮き立たせます。(金の茶室で悦に入っていた秀吉はこの時人気を取られたことでより利休を憎むようになるのですが)真摯に茶の道に向き合う利休と秀吉の関係はだんだん険悪になり、ついに秀吉の逆鱗に触れ自害させられるのですが 秀吉の寵愛を受けるために利休が目障りだった石田三成(吉田栄作)の告げ口が一層事を荒立てていくのね。 

花と茶を愛し、利休を師と仰ぐ前田利家は、利休を案じて専好に彼の説得(秀吉に詫びを入れるよう)を依頼します。茶室での短い会話の中で、利休と専好の間には言葉に出さない感情の共有が生まれたんですね。

専好が河原で命を救ったれんは秀吉に迫害された高名な画家の娘でした。それがばれて捕えられた時、物語の前半で登場する毒のある花をれんは掴んでいます。これ、けっこうなミスリード 量によってそんな効果があったとは!!なラストでした。

利休・吉右衛門・れんを次々喪い、一世一代の大勝負に出た専好。とはいえ、戦は戦でもいけばなで仕掛ける戦なんですね~。それも信長に見せたあの大砂物を彷彿とさせる作品で!

岐阜城で信長が成り上がろうとする秀吉に「茶と花と人の心を大事にせよ」と武人の道を説いた場面が甦ります。信長を崇拝していた秀吉には何よりの戒めとなったことでしょう


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マザーズ・デイ

2017年06月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年1月31日公開 アメリカ 118分

二児の母サンディ(ジェニファー・アニストン)は、離婚した元夫が自分より若いモデルと再婚したことを知ってショックを隠せない。ジェシー(ケイト・ハドソン)は、両親の猛反対を押し切って国際結婚し出産していたが、事実を知らない両親がいきなり自宅に訪ねてきて大慌て。通販番組のカリスマ女社長ミランダ(ジュリア・ロバーツ)は、16歳の時に極秘出産した娘からの突然の連絡をきっかけに、断ち切った自分の過去と向き合おうとする。ブラッドリー(ジェイソン・サダイキス)は最愛の妻を亡くし、娘たちのために奮闘する。様々な事情を抱える家族に、それぞれの“母の日”が訪れる。(Movie Walkerより)

 

「プリティ・ウーマン」のゲイリー・マーシャル監督(2016年7月他界)による、「バレンタインデー」「ニューイヤーズ・イブ」に続く「ホリデイ3部作」の完結編で“母の日”を巡るハートウォーミング・ストーリーとなっています。とはいえ、前二作は観てないのだけど日本以上に母の日はアメリカ人にも大事な日なのね

離婚しても息子たちの父親である元夫との交流はあるのが一般的なアメリカですが、年若い再婚相手(しかも美人で性格も良い)に子供たちがなつくことにある種の嫉妬を覚えてしまう気持ちはわかるな~~。 

ジェシーの両親は離れたところに住んでいますが、内緒で娘たちの家を訪ねてきます。結婚を反対されたインド人の彼氏と結婚し子供までいる事実を隠していたジェシーは大慌て。姉の方も同性愛者であることがばれてしまい、両親はカンカン。ジェシーの夫も事実を隠していた妻を非難し険悪になります。でもひょんなことから夫の母親とネットを通じて会話したジェシーの母が一計を案じ・・・ どんな状況でもやはり子供は可愛いし、だからこそ幸せでいてほしいのが母心なのよね 

実の母親を知らずに育ったクリスティ(ブリット・ロバートソン)は、同棲中の彼氏との間に子供が生まれても結婚に踏み切れません。自分が何者なのかの答えを見つけようと母に会いに行くのですが拒否されます。

その母がミランダなんですね~彼女は16歳でクリスティを産みましたが、事情があって養子に出し、その時の約束で名乗れずにいました。でもクリスティが会いに来たことで、密かに娘の成長を見守り続けた自分の想いを娘に打ち明ける決心をします。

男やもめのブラッドリーは亡き妻を忘れられずに悲しみから抜け出せずにいます。「母の日」も娘たちが母親を思い悲しむだろうからとあえてスルーしようとしていましたが周囲の女性たちに諭され、また娘たちの成長を感じて、母の日にホームパーティを開くのですがそこでハプニングが

近所だったり、ジムの会員つながりや病院でと、一見無関係に見えた登場人物たちが丸い円のように繋がっている構図はよくあるパターンではあるけれどなんだか微笑ましいです。

それぞれ最後はハッピーに終わる「母の日」はまさにハートフルな一日でした


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LOGAN ローガン

2017年06月02日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年6月1日公開 アメリカ 138分

ミュータントの大半が死滅した2029年。長年の激闘で疲弊し、生きる目的も失ったローガン(ヒュー・ジャックマン)は、アメリカとメキシコの国境付近でリムジン運転手をしながら、年老いたプロフェッサーX/チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)を匿い、ひっそりと暮らしていた。そんなある日、ローガンの前にガブリエラ(エリザベス・ロドリゲス)と名乗る女性が現れ、ローラ(ダフネ・キーン)という謎めいた少女をノースダコタまで連れて行ってほしいと頼む。組織に追われているローラを図らずも保護することになったローガンは、チャールズを伴い3人で逃避行を繰り広げることになるのだが……。


「X-MEN」シリーズのキャラクターの一人、ウルヴァリン/ローガンが主役の「ウルヴァリン」シリーズ第3作で最終章です。

2029年において、その治癒能力が衰退しているローガンはもはやウルヴァリンではないのね。

年老いて認知症気味のチャールズは、その能力を抑制することができず、ローガンが手に入れてくる薬でかろうじて抑えている状態。匂いでミュータントの居場所を特定する能力を持つキャリバン(スティーヴン・マーチャント)と二人でチャールズの面倒を見ているのですが、キャリバンは太陽に当たると皮膚がただれてしまうため、日中は布で全身を覆っています。(吸血鬼ではないのね)

ガブリエラは遺伝子研究所の看護師でしたが、そこでは兵器用ミュータントの開発をしていて、ローラをはじめとする子供たちは兵器として育てられていました。でもドクター・ライス(リチャード・E・グラント)ら科学者がウルヴァリンの遺伝子から作ったクローンX24の完成で、試作品である子供たちを処分すると知り、ローラを連れて逃げ出し、ローガンに助けを求めたのです。

初めは拒否したローガンですが、ガブリエラが殺され、隠れ家も襲われて、渋々ローラとチャールズを連れて逃避行の旅が始まります。ローラは殺人兵器として育てられたため、世間の常識を知らず、敵には容赦なく襲い掛かるさまはまさに手負いの野獣さながらです。R指定がかかったこの作品の中で、戦いのシーンはかなりグロいし、幼い少女であるローラの姿も異様に見えます。

ローラはアダマンチウムの爪を手足に持ちますが、それもそのはず、ウルヴァリンの遺伝子から作られているの。いわば父娘の関係ですね。

逃避行の中で知り合ったマンソン一家との束の間の安らぎの時間は、拉致されたキャリバンの能力で彼らの居場所を知ったドクター・ライスらにより奪われ、チャールズとマンソン一家は殺害されてしまい、既に不死身の人ではなくなっているローガンも重傷を負います。

彼らがたどり着いたのはノースダコタ州・エデン。コミックの中のユートピアだ、作り事だと信じなかったローガンですが、実際に研究所から逃げ出せたミュータントの子供たちが集団生活を営んでいました。彼らはカナダ国境を越えて安全な地へ向かおうとしますが、そこにドクター・ライスたちが襲い掛かるのです。

ローラを守ってX24の前に力尽きたローガン。ローラはローガンが持っていたアダマンチウム弾でX24を撃ち、仲間とともに国境へ向かうのです。

ラストでローラが墓標の十字架を「X」の形に置き直すシーンがあり、本当にローガンの物語が幕を閉じたのだと実感させられることになります。いつもエンドロール後に登場する次回シリーズ作の予告がないことも、終わりを印象付けていました。

愛する者を次々失い、孤独に生きてきたローガンの中に初めて宿った父性愛に似た感情。死にゆく身を憂うのではなく、むしろ歓迎するかのような生きざまが痛いけれど、ようやく安らかな死の腕に抱きとめられた彼は幸せなのかもしれないな~と感じました。

生身の人間として(外見的に)劣化したローガンを演じるヒューもまた、シリーズ当初の若さは喪われていますが、円熟味の増した味わいがありました。


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