2016年10月29日公開 インド 153分
留学先のベルギーで大きな失恋を経験したジャグー(アヌーシュカ・シャルマ)は、いまは母国インドのテレビ局で働いている。そんなある日、ジャグーは、地下鉄で黄色いヘルメットを被って大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の装飾を身に付けてチラシを配る奇妙な男(アーミル・カーン)を見かける。男は「PK」と呼ばれ、神様を探しているということを知ったジャグーは、男になぜ神様を探しているのか話を聞くのだが……。(映画.comより)
インド映画らしい二時間超えの長尺と、いきなり歌って踊りだす展開はともかく、この雰囲気どこかで観たような既視感があると思ったら「きっと、うまくいく」のラージクマール・ヒラーニ監督作品だったのね
PKは地球に調査のためやってきた宇宙人。彼らの星では裸が当たり前なんだそうな 唯一身に着けていたのが時に宇宙船を呼ぶためのペンダント型のリモコン。これがピカピカとエメラルド色に光るもんだから、最初に出会った地球人(インド人)に盗まれてしまうの。必死に追いかけた彼が手にしたのはリモコンじゃなくてカセットレコーダー(パナソニック製なんだそう)
一方、ジャグーはベルギーでサルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)と出会い恋に落ちます。でもヒンドゥー教徒のジャグーの父はパキスタン人(ムスリム)のサルファラーズとの交際に猛反対。導師のタパスヴィー(サウラブ・シュクラ)は恋人が彼女を裏切ると予言し、その通りになってしまいます。傷心を抱えインドに戻ったジャグーはテレビ局で働きだしますが、電車内で「神様が行方不明」と書かれたチラシを配るPKと出会うのです。
興味をそそられたジャグーは彼の後を尾け、賽銭箱のお金を盗んで捕まりそうになったところを助けて接近します。
PKは自分は宇宙人で、手を握ることで相手の考えを知ることができると言います。何とか地球人と手を握ろうとするPKですが、変態と間違われ追い払われるばかり。うっかり轢かれたトラックの運転手のバイロン(サンジャイ・ダット)と仲良くなって、彼に連れていかれた売春宿の売春婦の手を6時間握り続けることで言葉を覚えたこと、お金や洋服は「踊る車」=カーセックスから調達したこと、バイロンにリモコンを盗んだ泥棒はデリーにいるはずと教えてもらってやってきたものの、そのふるまいが酔っ払いと思われPK(酔っ払いの意味)と呼ばれたこと、リモコンを見つける手助けができるのは「神」だけだと言われて「神」を見つけようと様々な宗教的行為を実践したものの役に立たなかったことなどなど・・初めは信じなかったジャグーですが、PKが本当に人の心を読める出来事に遭遇し、また導師が彼のリモコンを持っていたことを知ってPKのためにリモコンを取り返そうと考えるの。
PKは宗教家が神との連絡を「かけ間違え」ているのだと推測します。それは宗教に無縁で無垢な精神を持つPKならではの素朴な疑問から起こった考えでしたが、ジャグーはそれを利用して導師の不正を暴こうとします。この「かけ間違い」キャンペーンが一気に広がって狼狽した導師はPKと直接対決することになるのです。
そんな時、バイロンが泥棒を見つけ出し、その泥棒が導師にリモコンを売ったと認めたと伝えます。でもデリーでPKと再会する直前、爆破テロに遭い死んでしまうの(このテロは導師一派の仕業なのね)これによって、PKは導師が「かけ間違い」をしたのではないこと、彼の不正に気付くのです。
直接対決の場で、リモコンを賭けて導師のインチキを暴く証拠として持ち出したのは、ジャグーの恋人の裏切りはなかったという主張です。
ジャグーの手を握ったことでPKはその事実に気付いたのね実はジャグーに少なからず惹かれていたPKですが、彼女が今も恋人のことを忘れられずにいることを知り、ひと肌脱いだ形になりました。番組内でサルファラーズを探して直接電話するという進行が面白かったし、実は・・・的な伏線があったことに気づかされます
誤解が解けて元鞘に戻ったジャグーとサルファラーズ。ジャグーの父親もインチキ導師の行いに目が覚め、めでたしめでたし
リモコンを取り戻したPKは、トランク二杯分の電池をお土産に星へ帰ります。カセットテープを聞くための電池。そしてそのテープに入っていたのはジャグーとの会話、彼女の声でした 傷心を隠し去っていくPKがなんか男らしかったぞ
ラストはそれから一年後。再び現れた宇宙船から出てきたのは、もっともらしく地球での注意事項を説明するPKと探索員たち。お~~い・・戻ってくるならあんなにたくさんの電池、要らなかっただろ??
同じ地球人だったら宗教問題は血なまぐさいことになりますが、無垢な宇宙人の単純で素朴な疑問という形で語られると説得力がありますね インド映画、なかなかやるもんですね