杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ハドソン川の奇跡

2017年01月31日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年9月24日公開 アメリカ 96分

09年1月15日、乗客乗員155人を乗せた航空機がマンハッタンの上空850メートルでコントロールを失う。機長のチェズレイ・“サリー”・サレンバーガー(トム・ハンクス)は必死に機体を制御し、ハドソン川に着水させることに成功。その後も浸水する機体から乗客の誘導を指揮し、全員が事故から生還する。サリー機長は一躍、国民的英雄として称賛されるが、その判断が正しかったのか、国家運輸安全委員会(NTSB)の厳しい追及が行われ・・・。

 

クリント・イーストウッド監督作品。2009年、NY起こった航空機事故を、当事者であるチェズレイ・サレンバーガー機長の手記「機長、究極の決断 『ハドソン川』の奇跡」をもとに映画化しています。

本作撮影にあたって、本物のエアバスを購入、救助ボートも実際に使用されたものを使い、オペレーターも同じスタッフを動員し、救助隊やボランティア、警察官、ニュースキャスターやパイロットなど、救出に携わった当時の関係者を本人役で多数出演させているそうです。(ウィキより)

体験したことのない未曽有の危機を冷静な判断で乗り切り、一人の犠牲者も出さずに全員の命を救った機長の行為は、称賛されこそすれ非難される筋合いはないと思うのがごく一般的な感想だと思いますが、事故調査をする側にとっては違うのね

高価な機体を水中に沈めたのですから、もし空港に引き返すことが可能だったとしたら、サリーの取った行動は間違いだったということになる。不幸にもエンジンの機能は完全に停止していたわけではなかったとする調査結果が出て、サリーに対する不信感がNTSBのメンバーに生じていたということでしょうか。理論的に、数値的には空港へ引き返すことが可能だったという調査結果はサリーを精神的に追い詰めていきますが、彼を支えたのは愛する妻ローリー(ローラ・リニー)や一緒に飛んだ副機長のジェフ(アーロン・エッカート)や同僚のマイクら、数人の仲間たちでした。

検証の最終段階でもある公聴会の日、異例ではあるけれど、サリーやジェフを交えた検証が行われます。シミュレーションでは難なく空港に引き返せる結果が出るのですが、サリーはそこに人為的要素が含まれていないことを指摘します。シミュレーションを行った2チームはそれぞれ前もって状況を知らされており、何度も実験を繰り返していますが、現実にはサリーたちにはそういう猶予はなかったからです。NTSBはその時間35秒分を考慮して再びシミュレーションをさせますが、今度は2チームとも失敗してしまい、同時にエンジンに対する調査結果も誤りだったことが判明し、ここにサリーたちにミスはなかったことが証明されるのです。

うんうん、そうだよね~~理論と現実は違うもんね改めてサリーの冷静かつ的確な判断に賞賛を贈りたいです。


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ミュータント・ニンジャ・タートルズ 影(シャドウズ)

2017年01月31日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年8月26日公開 アメリカ 112分

タートルズの宿敵シュレッダー(ブライアン・ティー)は、マッドサイエンティストのバクスター・ストックマン博士(タイラー・ペリー)と、マヌケな子分ビーバップ(ゲイリー・アンソニー・ウィリアムズ)とロックステディ(ステファン・〝シェイマス″・ファレリー)の協力で脱獄を果たし、再びNYを恐怖に陥れようとする。タートルズたちはTVレポーターのエイプリル・オニール(ミーガン・フォックス)、そして新たな仲間、ホッケーマスクをかぶったNY市警のケイシー・ジョーンズ(スティーヴン・アメル)らとともに悪事を阻止しようとするが、彼らの前に立ちはだかるのはイノシシとサイのミュータントに変貌したビーバップ&ロックステディだった!
さらには異次元からきた新たな敵、悪の帝王クランゲの世界征服の野望も加わって、戦いの舞台はNYからブラジル、そして空中戦へともつれ込む!
そんな中、甲羅よりも強い絆で結ばれていたはずのタートルズに分裂の危機が…?!最大のピンチを迎えたタートルズは世界を、そして仲間を救えるのか――?(公式HPより)

 

ニューヨークを舞台に活躍する忍者のカメ4兄弟「タートルズ」を描いたアクション「ミュータント・タートルズ」のシリーズ第2作で、前作に続きマイケル・ベイ製作、監督はデイブ・グリーン。

真面目で責任感の強いリーダーのレオナルド(ピート・プロゼック)、短期で暴れん坊な特攻隊長のラファエロ(アラン・リッチマン)、お調子者で愛嬌たっぷりなムードメーカーのミケランジェロ(ノエル・フィッシャー)、頭脳派でメカに強い天才発明家のドナテロ(ジェレミー・ハワード)。4人のキャラも二作目でだいぶ呑み込めてきたぞ

陰の存在でいようと決め、手柄はヴァーン(ウィル・アーネット)に譲ったものの、NYの人々からヒーローとして脚光を浴びるヴァーンと自分たちの境遇の差に不満が募るラファエロやドナテロと、そんなことには興味がないレオナルドやミケランジェロとの間に微妙な気持ちのズレが生じます。

人間から動物に変身したビーバップとロックステディを見て、その逆になったら自分たちも人間に受け入れられるのではと思ったラファとドナはレオ達に内緒で行動してタートルズの分裂危機を招くのです

今回は異形ゆえの悩みや友情の危機とそれを乗り越えての結束が描かれています。

事件が解決し、彼らが真のヒーローであることも警察関係者にわかって、世間に公表という段になったとき、彼らはやはり影の存在でいることを選択するのでした。


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ペット

2017年01月30日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年8月11日 アメリカ 91分

ニューヨークで暮らすテリアのミックス犬マックスは、大好きな飼い主ケイティと幸せな毎日を送っていた。ところがある日、ケイティが毛むくじゃらの大型犬デュークを保護して連れて帰ってくる。互いに自分が優位に立とうと反発しあうマックスとデュークだったが、ひょんなことから2匹は大都会のど真ん中で迷子になってしまう。ケイティが帰宅するまでに家に帰るべく奔走する2匹だったが……。

 

飼い主がいない間にペットたちが巻き起こす騒動を描いたアニメーション作品で、吹替版では「バナナマン」の設楽統がマックス、日村勇紀がデュークの声を担当しています。

飼い主が留守にしている間、ペットたちは一体何をしているのか? という疑問からこの作品が生まれたとか。扇風機とテレビをつけ、向かい風を受けながら壮大な景色を飛んだ気になるインコ、冷蔵庫の中のごちそうを前に食べようか止めようか迷う猫、ガンガンに音楽をかける犬など、ペットたちの“秘密の日常”が映し出される冒頭で対照的なのがケイティの帰りを1日中ドアの前で待つマックスです。

ある日帰宅したケィティは保健所から大型犬のデュークを引き取って来て、一緒に暮らすと宣言。それまで彼女の愛情を独り占めにしてきたマックスにとっては青天の霹靂です。自分の優位性を保とうとするも、デュークの方もやっと手に入れた安全な暮らしを手放す気は毛頭ありません。

ぎくしゃくする二匹でしたが、野良猫集団と遭遇して首輪を盗られてしまい、野犬狩りに捕まったところをウサギのスノーボールに助けられます。ところが彼は飼い主に見捨てられたペットたちを集めて軍団を結成し、身勝手な飼い主と、毎日をのんきに過ごしている幸せなペットたちに復讐をしようと企んでいました。逃げ出した二匹を追うスノーボール(彼は敵キャラではありますが、ふわふわの愛くるしい姿が何とも可愛いの。)たちと二匹を助けようとするペット仲間も加わり騒動が繰り広げられます。

マックスに恋するギジェットの強い事ったら・・・まさに恋する女の強さです彼女にかかれば鷹のタイベリアスだって太刀打ちできません

この逃走劇の中で、デュークの身の上(迷子になり保健所に捕まった)も明かされます。やっと見つけた飼い主の家には新しい住人とペットがいて、飼い主が亡くなったことを知らされます。やけになったデュークのせいでまたまた保健所に捕まりそうになるマックスでしたが、助けてくれたのもデュークでした。マックスとスノーボールは仲間を助けるために手を組んでNYの街を大暴走

最後はそれぞれ飼い主の元へ戻り何食わぬ顔でお出迎えです

スノーボールにも新しい飼い主が

冒険と友情、定番ではありますがハッピーな結末、お子様安心な作品です。


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恋妻家宮本

2017年01月30日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年1月28日公開 117分

ひとり息子の正(入江甚義)が結婚して一人立ちしたことで、2人きりになった陽平(阿部寛)と美代子(天海祐希)の宮本夫婦。2人は大学時代に大学生時代に出来ちゃった婚で結婚したため、50歳にして初めて夫婦ふたりきりでの生活を送ることになる。そんなある日、陽平は美代子が隠し持っていた離婚届を見つけてしまい……。

 

重松清の小説「ファミレス」の映画化です。熟年離婚が当たり前になった現代で、子どもが独り立ちした後の夫婦がどのように向き合っていくのかが、コミカル&ハートフルに描かれています。

宮本陽平は中学校教師で優柔不断な性格。妻の美代子は専業主婦として家庭を切り盛りしてきたしっかり者です。陽平が妻の離婚届けを見つけたのは一人息子が結婚し家を出た夜。彼が昔妻に贈った本に挟まれていたソレが夫婦の間に大きな波を立てます。

実は美代子は陽平が急に料理教室に通いだしたのを、自分に不服があるのでは?夫は離婚したいのでは?と疑い不安になっていたのですが、そうとは知らない陽平は自分の何がいけないのかと混乱し疑心暗鬼になっていきます。

彼が相談した料理教室の仲間との会話もユーモラスながら含蓄があります。

五十嵐(菅野美穂)は美代子に似た感じのしっかり者。その夫(佐藤二郎)とは顔を合わせれば喧嘩していますが、喧嘩するほど仲が良いというまさにソレな感じです。門倉(相武紗季)は花嫁修業で入会していて、最初はおのろけ放題だったのが、婚約者が元カノと切れてないことがわかり破談となって逆に恋愛を否定するようになります。

離婚届問題とは別に、職場である中学校でも問題が!教え子の井上克也(通称ドン)の家庭問題です。母親が若い男とドライブ中に事故に遭い入院しているが見舞いに行けない息子の心理。これは確かに難しいクラスメイトの明美(通称メイミー)は何かとドンを気遣い、陽平にもっとドンのことを考えるよう辛辣に言うのですが、ドンの祖母(富司純子)は妻は家族のためにすべてを捧げるべきと考える昔気質のキツイ性格で、とりつくしまもありません。しかし、陽平得意の料理が解決の糸口になるの

食事を殆どとらずに点滴をしているお母さん(子供に合わせる顔がないと苦しんでいたのです)にお弁当を作って持っていくよう勧めたことがきっかけで、井上家の家族関係の修復もできちゃうという、実は教師に向いていたのね

改めて妻に恋してる自分に気付いた陽平は美代子に会いに行きますが、一足違いですれ違ってしまいます。この時、正のお嫁さんの優美(佐津川愛美)に叱咤されます。彼女はほんわか可愛いイメージですが実はしっかり者で、やっぱり息子はお母さんに似た人を選ぶんだな~

陽平と美代子の仲直りシーンは駅のホームと待合室。停電となり、美代子が持っていたろうそくを灯しながらの会話に涙ぐんでいると、明かりが点いた瞬間、待合室には他の乗客もいて・・・あの気まずさに心の中で爆笑でした。

大学生の洋平を工藤阿須賀が、同じく大学生の美代子を早見あかりが演じています。ラストはインド映画さながらに登場人物総出の歌のリレー。

あ~あ、あんな風に気持ちを伝えてくれるなら離婚届隠してみようかな


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高台家の人々

2017年01月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年6月4日公開 116分

平野木絵(綾瀬)は、“妄想”が趣味の口下手で不器用なOL。そんな彼女が勤める会社に、ある日、名家“高台家”の長男・光正(斎藤)が転勤してくる。長身でイケメン、祖母がイギリス人のクォーターで、東大卒、オックスフォードに留学経験もある光正と木絵にはまるで接点がない。決して交わるはずのないふたりだったが、光正が木絵をいきなり食事に誘い、その関係は次第に深くなっていく。
しかも、木絵が“妄想”で頭の中をいっぱいにしているときに、普段はクールな光正がキュートな笑顔を見せるようになる。まるで彼女の“妄想”を一緒に楽しむかのように。そう、彼は人の心を読める“テレパス”だったのだ。心が読めるがゆえに人間関係に辟易していた光正にとって、木絵の奇想天外な妄想と、純粋で温かい心の声は心地よかった。
しかし、順調に交際する二人に名家“高台家”という壁が立ちはだかる。
釣り合わない恋だと二人の関係を許さない光正の母(大地真央)。
そして、“テレパス”が二人の関係を変えていくことに……。(公式HPより)

 

森本梢子のラブコメ漫画の映画化です。

妹の茂子(水原希子)、弟の和正(間宮祥太朗)もテレパスですがその父親(市村正親)は違います。隔世遺伝というやつね

木絵の妄想は他愛のないファンタジーというか少女趣味全開なのですが、それが光正には癒しとなったようで。なんせ、彼の周囲には欲望丸出しな本音が充満しているんですから、砂漠にオアシスを見つけた感じかな。

自分がテレパスであることを打ち明け、木絵もそれを受け止めるのですが、そうはいってもだんだん心を読まれることが苦しくなってきます。今までの無邪気な妄想も大好きな人にダダモレだったと思うとどうしても以前のように自由に妄想なんてできません。まあ当然の反応よね。

彼女の変化を察して光正からも笑顔が消えていきます。そして結婚式当日、耐えきれなくなった木絵は逃げ出してしまうの。う~~ん、それはちょっと・・・傷心なのは彼女だけじゃないでしょ

ともあれ、好きというその気持ちを大事にして真っ直ぐに向き合おうという結末になり、ハッピーエンドなのはラブコメのお約束。

サイドストーリーとして妹や弟も光正たちに触発されて、好きな相手(坂口健太郎、夏帆)に自分の気持ちを素直に伝える勇気を持つというのもですね。


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ターザン:REBORN

2017年01月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年7月30日公開 アメリカ 110分

イギリスの貴族で実業家、美しい妻ジェーン(マーゴット・ロビー)と裕福な暮らしを送るジョン(アレクサンダー・スカルスガルド)には、生後間もなくアフリカのコンゴの密林で動物に育てられた過去と、ターザンという別の名があった。ジャングル育ちの野性と貴族としてのスマートさを持ち合わせた特別な人物として、英国政府から一目置かれる存在のターザンだったが、ある時、政府の命令で故郷へ戻るがそれは巧妙なわなで、ジャングルを侵略された上に、妻がさらわれてしまう。愛する妻と故郷を取り戻すべく、ターザンは内なる野性を呼び覚まして戦うことを決意する。

 

エドガー・ライス・バローズの「ターザン」シリーズを原作に、ジャングル育ちの英国貴族ターザンの新たな冒険を描くアクションアドベンチャー。

コンゴの領有権を得たベルギー国王が経営に行き詰って莫大な負債を抱え、事態を打開すべく側近のレオン・ロム(クリストフ・ヴァルツ)にダイヤモンドの採掘を命じます。ロムは族長ムボンガと取引し、ダイヤと引き換えにターザンを渡すという密約を交わします。ムボンガの息子が前作でターザンの育ての母であるゴリラを殺したためターザンに殺されているんですね~

そんなこととは露知らないジョンは、レオポルド2世からのコンゴ視察依頼をいったんは断るのですが、アメリカ特使のジョージ・ワシントン・ウィリアムズ(サミュエル・L・ジャクソン)にかの地での奴隷労働の実態を暴きたいと協力を持ちかけられ引き受けることにします。ジェーンも同行を熱望し、共に彼女と出会った部族の村に到着した一行をロム率いる公安軍が襲撃、ジョンはウィリアムズに助けられますがジェーンが連れ去られてしまうの。 ここからジョンの野生が目覚め、ジャングルを駆ける様はまさにターザンそのもの 兄弟ゴリラたちとの再会シーンも迫力ありました。

二人は部族の若者と共に追跡を開始。奴隷輸送列車を襲って奴隷売買の動かぬ証拠である帳簿を入手、さらに傭兵を使ってコンゴ全域を制圧しようとしていることを知るのです。ジャングル奥地でムボンガと対決したジョンたちは、兄弟ゴリラたちにも助けられながら、ムボンガに彼の息子を殺したいきさつを話し、ロムの計画を阻止しようと協力を仰ぎます。

傭兵を乗せた船団が着いたボム港。ターザン率いる動物たちが街を襲撃して公安軍は全滅。船に乗り込んだ彼はロムからジェーンを取り戻して船を爆破、ロムはダイヤと共に海に沈みます。それを見ていた銀行家(ダイヤと傭兵が引き換えなのね)は船団と共に撤退。ベルギー王は手を引かざるを得なくなるのでした。めでたしめでたしっと

そして舞台は1年後へ。ジョンとジェーンは部族の村で出産を迎えています。う~~ん、貴族の暮らしより生まれ育った故郷の暮らしが二人には合っているのね REBORN とは、ジョンがターザンとして(つまりは故郷で)新たな人生を歩むということかしら。

イギリスの城の重苦しさ(それはジョンやジェーンが感じている息苦しさの象徴でもあります)と対称的なコンゴの自然のダイナミックな美しさを堪能し、超人的な動きのターザンに目を瞠り、ドキドキの冒険に胸がときめく映画です


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この世界の片隅に

2017年01月25日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2016年11月12日公開 126分

昭和19年、故郷の広島市江波から20キロ離れた呉に18歳で嫁いできた女性すず(声:のん)は、戦争によって様々なものが欠乏する中で、家族の毎日の食卓を作るために工夫を凝らしていた。しかし戦争が進むにつれ、日本海軍の拠点である呉は空襲の標的となり、すずの身近なものも次々と失われていく。それでもなお、前を向いて日々の暮らしを営み続けるすずだったが……。

 

こうの史代の同名コミックを、「マイマイ新子と千年の魔法」の片渕須直監督がアニメ映画化。第2次世界大戦下の広島・呉を舞台に、大切なものを失いながらも前向きに生きようとするヒロインと、彼女を取り巻く人々の日常が生き生きと描かれています。アニメーションのほのぼのとしたあたたかで素朴なタッチも好き。

すずは絵を描くことが好きな少女でした。呉に住む北條周作がすずを見染ての縁談ですが、当時は親の決めた縁談で会ったこともない人の元に嫁ぐのも当たり前の時代。大人しいけれど、どこか天然で前向きな性格のすずは、舅・姑にも良く仕え、はっきりした性格の元モガの径子の小言にも耐え、不器用ながらも楽しく暮らしています。(径子がすずに対して抱く苛立ちは、ちょっとわかる気がします。)戦時中とはいえ、この頃はまだ生活も逼迫しておらず、貧しいながらも楽しく暮らす様子が伝わってくる描写です。(すずが迷子になった時に出会った遊郭の少女リンは子供の頃に出会った座敷童子と重なるね~~)幼馴染の哲が訪ねてきた時の周作の対応は、死地に赴く兵隊である哲へのはなむけの意味もあったのでしょうが、同時にすずの中にまだ残っていた哲への想いに気付いていたのかな?この日を境にすずと周作は本当の意味で夫婦になったのかもね。

しかし、軍港の街である呉も、昭和20年3月19日を境に、空襲が頻繁になります。6月22日の空襲による時限爆弾で、すずは右手を失い、一緒にいた姪(径子の娘)の晴美も亡くなってしまうの。径子に責められ、すず自身も心身に痛手を負う中、今度は北條家にも焼夷弾が落下。燃える火を見つめながらすずの心に怒りがこみあげてくる場面が切なかったな~~。

妹のすみに実家に帰るよう誘われたすずは、自分がこのまま北條家にいても役に立たないと思い、密かに家を出ようと思っていました。でも周作と本音で話し、径子とも和解したことで、北條家に残る決意をします。それが広島に原爆が落ちた8月6日の朝のことでした。

実家の家族の安否もわからず迎えた8月15日。ラジオで終戦の詔勅を聞いたすずは今まで抑えていた感情が爆発して家を飛び出し泣き崩れるのです。真っ青な空といつも通りの穏やかな風景が戦争の与えた痛みを増幅させています。

翌年の1月にすずはやっとすみと再会します。両親は既に亡くなり、すみにも原爆症の症状が出ていました。この時出会った戦災孤児の少女をすずは連れて帰るの。

市井の名もない家族の暮らしを淡々と描いているからこそ、戦争の酷さ、虚しさがより際立って胸に迫ってきます。おっとりしたすずが、大好きな絵を描く右手を失い、姪を喪い、一度は絶望しながらも周作や北條家の人々に支えられ立ち上がる姿に、踏まれてもまた起き上がる雑草の力強さが重なりました。すずというキャラクターにのんの声はぴったり合っていました


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さだまさし アコースティックコンサート

2017年01月24日 | ライブ・コンサート他

2017年1月24日 和光市文化センター

開演18:05 終演20:48

・案山子

・BIRTHDAY

この会場は2009年以来8年ぶりなんだとか。確かその8年前に私は参加してたような

(トーク)先日他界された松方さん関連

・無縁坂

・精霊流し

・秋桜

(トーク)新しいアルバムの製作開始、インスタグラムを始めたこと、和風PPAP

・関白宣言→関白失脚

(トーク)永六輔さんとの思い出

・遠くへ行きたい

(トーク)アルバム「永縁」について

・上を向いて歩こう

・見上げてごらん夜の星を

・生きるもののうた

(トーク)東日本大震災~風に立つライオン基金

・セロ弾きのゴーシュ

・主人公

(トーク)相撲中継中入りゲスト、春日大社

・まほろば

・修二会

Ac風に立つライオン

友人のおかげで前列(肉眼ではっきり見える位置)に座らせてもらい感謝です。

ビジュアル重視ではないけれど(ごめんなさい)やっぱり前の方が良いな~~

(この日は最前列の中央4席が空席で、さださんもかなり気にされていたようです。そうだよね~~気になるよね~~日にちを間違えてたんだろうか?インフルエンザになった?まさか来る途中に事故?とこちらも気になって色々想像してしまいました。)

終了後はさだ友さんと新年会。コンサート後のコレも楽しみなのです♪


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本能寺ホテル

2017年01月23日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年1月14日公開 119分

勤務先の会社が倒産して職を失った倉本繭子(綾瀬はるか)は、恋人の吉岡恭一(平山浩行)からのプロポーズを受けて恭一の両親の金婚式を祝うため京都を訪れるが、手違いで予約していたホテルに泊まることができず、偶然たどり着いた路地裏のレトロな宿「本能寺ホテル」にチェックインする。エレベーターの扉が開いた先は何故か1582年の本能寺だった。訳がわからないまま本能寺ホテルと安土桃山時代の本能寺を行き来し、信長(堤真一)や信長に使える小姓・森蘭丸(濱田岳)と交流を深めていく繭子だったが……。

 

綾瀬はるか、堤真一、鈴木雅之監督ら「プリンセス トヨトミ」のメインキャスト&スタッフが再結集し、本能寺の変の前日にタイムスリップした現代女性が織田信長の命を救うべく奔走する姿を描いたオリジナルの歴史ミステリーです。恭一の父親の征次郎を近藤正臣、ホテルの支配人を風間杜夫、明智光秀を高嶋政宏が演じています。

新年一本目が随分遅くなってしまったけれど、どうせ観るなら明るいのがいいな~と選択。自分に自信が持てず、流されるままに交際半年の恋人のプロポーズを受けたヒロインが、信長や恋人の父との出会いにより本当に自分がしたいことに気付いて自らの人生を切り開く決意をする物語でした。
 
繭子が泊った本能寺ホテルは戦国時代に繋がっていました。きっかけは信長に献上されたといういわくのあるオルゴールとフロントの呼び鈴、そして繭子が買った信長の好物という金平糖。これらが合わさった時、エレベーターの扉は1582年の本能寺に繋がるのです
天下統一を目前にした織田信長が森蘭丸ら少数の家臣と共に滞在していた本能寺で起きた明知光秀の謀反「本能寺の変」は有名な史実。繭子はまさにその前日に居合わせることになるの。

彼女が最初に出会ったのは森蘭丸。絶世の美少年の筈なんですが・・・金太郎顔の濱田君だしぃぃ
彼曰く冷酷非道お館様を怒らせちゃった繭子ですが、何とか現代に逃げ帰ることができました。(このきっかけも呼び鈴だったりします。
現代に帰ってくれば、恭一の父親と会ったり、彼の友人たちと会ったりで忙しい。繭子の意見も聞かず強引に事を進めていく恭一に違和感を持ちつつも自分のことを思ってのことと流されてしまう彼女がちょっともどかしく見えます。
 
繭子は現代では優柔不断な印象ですが、本能寺ではけっこうKYさを炸裂させています。でもその率直なものいいが逆に信長に気に入られたようで、二人の間に不思議な交流が生まれます。信長の顔色を窺い戦々恐々とする家臣に笑顔が無いと指摘した彼女を京の町 に連れ出し、その活気溢れる様を見せて平和な世の中を作ろうという思いを語る信長を見て、繭子はその人間性に 惹かれていきます。
 
1582年の迷い込んだその日が「本能寺の変」が起きる前日である事に気づいた繭子は歴史を変えることになると知りつつも信長に自分が未来人であることやこれから起こることを教えてしまうの。でも現代に帰っても歴史は変わっていませんでした。理由を知りたい繭子は再び本能寺へ。そこは一面の火の海。まさに謀反を起こした明知軍に攻め込まれている最中です。
蘭丸に導かれ信長に対面した繭子はなぜ逃げなかったのかと尋ねます。信長は太平の世を作るのは自分でなくても構わないのだと言って、秀吉に後を任せるという選択をしたのでした。そんな信長を最後まで敬愛し共に果てる蘭丸の最期はちゃんと凛々しかったです
 
現代では、金婚式のスピーチで恭一の父親が自分が本当にやりたかったことをするために料亭をたたむと宣言し、人生に遅すぎるということはないということを繭子に語り掛けます。今やりたいことが見つからなくても明日見つかるかもしれない!!まさしく繭子にとって信長との出会いが人生の転機となったのでした。
 
恭一との交際を白紙に戻し、(おそらく心の底に眠っていた)教師になりたいという夢に向かって一歩踏み出した繭子の瞳は輝いていました。
恭一も悪い人じゃないのだけど、思い込みが強いというか、頼りなげな繭子を守ってやるのが自分の務めだ!と勝手に決め付け、彼女が何を望んでいるのかを汲み取ろうとしなかったのが敗因ですね
 
基本コメディタッチで、風間さんの少し古風な支配人姿も似合っていました。
でもマッサージ師のエピソードはなくても成立するというか・・・要らないよね

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ブルックリン

2017年01月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2016年7月1日公開 アイルランド・イギリス・カナダ合作 112分

アイルランドの小さな町エニスコーシーで姉と母と3人で暮らす少女エイリシュ(シアーシャ・ローナン)。町の食料品店で働く彼女は、意地悪な女店主にこき使われながらも、どうすることもできな閉塞感に苛まれていく。そんな妹を心配した姉ローズの力添えを得て、エイリシュは一大決心の末に単身アメリカへと渡る。過酷な船旅を経て、ようやく新天地となる大都会ニューヨークへと降り立ったエイリシュ。ブルックリンの高級デパートで売り子として働き、同郷の女性たちと寮生活を送る。しかしなかなか新生活に馴染めず、辛い日々が続く。そんな中、ダンスパーティで知り合ったイタリア系の好青年トニー(エモリー・コーエン)との恋をきっかけに大きく変わっていく。洗練されたニューヨーカーとして生き生きと日々を過ごすエイリシュだったが、そんな彼女のもとに故郷からある悲報がもたらされる。

 

コルム・トビーンの同名小説の映画化で、1950年代、アイルランドの田舎からニューヨーク・ブルックリンにやってきた移民の少女が、新天地と故郷の狭間で揺れ動きながら繰り広げる恋と成長の物語です。

妹の将来を心配したローズがNYに住むフラッド神父(ジム・ブロードベント)にお願いして妹の就職先を世話してもらいます。

初めての一人旅で不安なエイリシュに船で知り合った女性が綺麗に化粧して堂々とした態度でとアドバイスをするシーンが印象的で、これは後にエイリシュ自身が初めてNYへ行く少女に同じように助言する場面に繋がっています。こういう演出、良いよね

ブルックリンでは同じアイルランド出身者が暮らす寮に入り、寮母のキーオ夫人(ジュリー・ウォルターズ)も真面目なエイリシュに好感を持って接してくれます。慣れない仕事や人間関係に疲れホームシックになるエイリシュを神父や夫人は温かく見守ります

やがて、トニーという恋人ができ、彼女の生活は華やいでいきますが、最愛の姉の死という突然の訃報がもたらされるの。故郷へ戻る前にトニーと結婚したエイリシュですが、母に打ち明けられずにいるうちに、昔密かに思いを寄せていたジム(ドーナル・グリーソン)に好意を寄せられ心が乱れるのです。(そりゃ、一人ぼっちになった母も心配だし、お金持ちでハンサムな初恋の人?が自分を好いてくれているとなったら揺れちゃうよね~~)けれど、ここであの意地悪な女店主が登場、彼女が結婚しているという事実を突きつけるのね それで目が覚めたというわけではないと思う(思いたい)のだけれど、エイリシュは母に真実を告げ愛するトニーの待つブルックリンへと戻っていくのでした


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