杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

モンスターズ・ユニバーシティ

2014年01月29日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年7月6日公開 アメリカ 110分

人間の子どもたちを怖がらせ、その悲鳴をエネルギー源として用いるモンスターの世界。
幼い頃から怖がらせ屋になることを夢見ていたマイクは、努力の果てに難関を突破し、モンスターズ・ユニバーシティ怖がらせ学部に入学する。そこで名家の出身で怖がらせの才能にあふれたサリーと出会う。マイクはサリーをライバル視するが、自信に充ち溢れたサリーはマイクを見向きもしない。明朗活発でポジティブ思考のマイクだが、仲間よりも体が小さくて見た目も可愛いため、学長からは不適格のレッテルを張られ、傲慢なマイクともども学部を追いだされてしまう。夢をあきらめないマイクは、「最恐の怖がらせ屋」を決める怖がらせ大会での優勝を条件に学部復活を目指すが・・・。


「モンスターズ・インク」(2001)から12年。シリーズ第2作目です。サリーとマイクの出会いから、怖がらせ屋のコンビを結成することになったきっかけが描かれます。
一作目はTV放送の吹替版で観たので敢えて今回も吹替バージョン

そっか~~この二人、最初から仲が良かったわけじゃないんだ
それにランディの意外な過去マイクとルームメイトだったんだぁぁ。
しかも初めはなんかイイ奴じゃん
ただ、上昇志向が強い彼は、サリーが抜けた後のロアー・オメガ・ロアーというエリート集団に入り大会でサリーにしてやられてからは対抗心を燃やすようになった・・・らしい。彼らの不仲の原因も描かれてました

夢を諦めないこと、友情の大切さなどが盛り込まれた子供向けではあるけれど、大人にも楽しい作品です。

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小さいおうち

2014年01月29日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年1月25日公開 136分

健史(妻夫木聡)の親類タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。それは晩年の彼女がつづっていた自叙伝であった。昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)は、東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働き始める。そこには、玩具会社に勤める主人の雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)、夫妻の5歳になる息子の恭一が暮らしていた。穏やかな日々を送っていたある日、雅樹の部下で板倉正治(吉岡秀隆)という青年が現れ、時子の心が板倉へと傾いていく。それから60数年後、自叙伝を読んだ健史は、それまで秘められていた真実を知る。

山田洋次監督の82作目は、第143回直木賞を受賞した中島京子の小説が原作です。
初めは不倫ものかと気が乗らなかったのですが、既に観た友人の評価が良かったのと、山田監督ならえげつない作品は作らないだろうと選択しました。その期待は裏切られませんでした

雪深い山形から女中奉公に上がる際に訛りを早く直すようにという会話や、青森出身の板倉と東京のお正月の空の青さについて語る場面は同じ雪国出身者にはたまらないツボです。おそらくこの時タキは板倉に仄かな思慕を覚えたのだろうと推察されます。タキ役の女優さんは容姿に恵まれない純朴な田舎娘という設定にぴったり過ぎるくらいはまっていました。(案外別の作品では同じ人とは思えない垢ぬけた美人なのかもですが・・女優って化けるもんね

一方板倉は密かに憧れていたモダンな赤い屋根の家の住人が上司とその美しい奥様と知ります。ある台風の夜、雅樹が出張先から戻れないことを伝えに行って停電に遭い、そのまま代わりを務めたことで時子を意識します。更に時子が夫から板倉への見合い話をまとめるよう言われたことから二人の仲は逆に深まってしまうのです。
映画では直接的な場面は登場しませんが、例えば板倉の下宿を訪れる時子の帯の柄の出方が行きと帰りでは逆になっていることで鮮やかに描き出してみせます。

さて、当時の日本は昭和モダンな空気に溢れていました。時子の家に象徴される洋風な家やインテリア、彼女の親友の睦子さんのモガな様子、帝都銀座を行きかう人々の華やかな様子などがさり気なく映し出されます。支那事変の初期は勝利に沸き景気も期待され、玩具会社に勤める雅樹も社長も意気軒高です。しかし長期化する争いに景気は沈みやがてアメリカとの戦争に突入していきます。戦局の悪化に伴い近視で気管支の弱い丙種の板倉さえ召集される日が来ました。

今生の別れに取り乱す時子を案じたタキはある提案をします。
彼女にとって、奥様も板倉も、とても大切な憧れの人だったのだと思います。だからこそ苦しみ悩んだ末にある選択をし、そのことを生涯申し訳なく心の中で詫びながら生きてきたのでしょう。そんな彼女の心中が切なく伝わってきました。

戦時中の重苦しさは最小限に描かれています。やがてタキは暇を出されて田舎に帰りますが、戦争が終わると主人夫婦の消息を捜します。そしてあの「おうち」は空襲で焼け、夫妻も防空壕で亡くなったことを知ります。この時夫妻は「抱き合って」死んでいたと語られるの。これはとても重要なメッセージです。少なくとも時子は秘密をタキ以外誰にも知られることなく夫と添い遂げたということなのですから。
この小さなお家が焼失する様はリアルさを排しいっそ美しいくらいの描写でしたが、それでいて胸を塞ぐような切なさがありました。

事の善悪は別として、戦争はこんな「小さいおうち」に住む普通の人々の人生をも大きく変えてしまうのだということが、静かな余韻とともに胸に残りました。

年老いたタキに自叙伝を書くよう勧めた健史が、本や教科書で読んだ「歴史」としての知識を振りかざしてタキが書いた内容を間違いだと非難するシーンがあります。タキは「だって事実だもの」と笑ってかわします。戦争の暗い影の下でも幸せはあったのだし、それを一律に否定することは誰にもできないのにね。
伝えることの大切さが、こんなエピソードにも込められている気がしました。

タキが健史に遺したものの中に、日記の他に宛名のない未開封の封筒が一通ありました。
映画を観ている人にはこれが誰の手紙かピンとくるんですねぇそしてタキの生涯胸に秘めた秘密が何だったのかも。健史が恭一に会いに行くエピソードは蛇足な気もしますが、わかりやすさという意味では必要だったのかもね。

なお題名と同じ「ちいさいおうち」という絵本(バージニア・リー・バートン作絵)が映画の中でも登場します。何気ない日常が続くことこそが幸せなんだという気持ちが込められている気がしました。この絵本は「東京家族」でも出てきたそうな。(私は忘れてしまっていたので先日の録画しておいたTV放送分で確認してみようかな)

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ノートルダムの鐘

2014年01月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1996年8月24日公開 アメリカ 90分

15世紀末のパリ。街の中心にそびえ立つノートルダム大聖堂の鐘楼に、カジモド(声=トム・ハルス)という心優しい鐘つき男が住んでいた。母親は彼が赤ん坊の時にジプシー狩りで冷酷な最高裁判事のフロロー(声=トニー・ジェイ)に殺され、自身も醜いとの理由で井戸に投げ込まれるところを司祭(声=デイヴィッド・オグデン・スティアーズ)に咎められ命を救われます。フロローに引き取られて塔に軟禁状態で育った。カジモドの友はラヴァーン(声=メアリー・ウィックス)、ユーゴー(声=ジェーソン・アレクサンダー)、ヴィクトル(声=チャールズ・キンブロー)の3体のガーゴイルのみ。塔の上から下界を眺めて暮らす日々だったが、純粋な心は常に自由を夢見ていた。年に一度の祭の日。.浮かれ騒ぐ人々の様子に我慢できなくなったカジモドは、生まれて初めて鐘楼を抜け出した。“道化の王”コンテストで、美しいジプシー娘の踊り子エスメラルダ(声=デミ・ムーア、歌=ハイジ・モーレンハウアー)に手を引かれ舞台に上がったカジモドは、道化の王に選ばれる。人々に讚えられ有頂天になるカジモドだったが、彼が仮装をしていないことが分かると称賛は残酷な嘲笑に変わり、彼は逃げるようにしてその場を去った。腹を立てたフロローは、新しく近衛隊長に就任したフィーバス(声=ケヴィン・クライン)に、カジモドをかばったエスメラルダの逮捕を命じるが、彼女はいかなる権力も行使できない聖域であるノートルダム大聖堂に逃げ込んだ。カジモドは醜い自分を差別せず、優しい言葉をかけてくれたエスメラルダに好意を持ち彼女を逃がした。エスメラルダの美しさに邪な欲望を感じたフロローは、兵士たちに彼女の捜索を命じる。民家に火を放ち、街の人々を迫害するフロローのやり方に憤激したフィーバスは、罪なき人々を助けたことで任を解かれ命を狙われて重傷を負う。エスメラルダに救われ、大聖堂に逃げ込んだ二人の間に恋が芽生えたことを知ったカジモドは、これまで経験したことのない心の痛みを感じながらも、愛するエスメラルダのためにフィーバスをか匿う。フロローは、エスメラルダの隠れ家である“奇跡の法廷”を襲撃する計画をわざと漏らし、危険を知らせようとするカジモドとフィーバスの後をつけ、全員を逮捕、エスメラルダを火炙りにしようとする。カジモドは渾身の力で縛られた鎖をちぎると、エスメラルダとフィーバスを助けた。フィーバスの訴えで民衆も立ち上がり、戦いが始まるが・・・。


ヴィクトル・ユーゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』を原作に、ノートルダム大聖堂の醜い鐘つき男カジモドと美しいジプシー娘エスメラルダの触れ合いを描いた、ミュージカル・アニメーションです。ディズニー作品にしては珍しいシリアスな描写もあるけれど、原作と異なり結末はハッピーなんだとか(実は原作未読

フロローは厳格で冷酷な人間です。自由を愛するジプシーなど他人と異なる者を異端とみなし容赦のない迫害を行います。自らの邪恋を正当化しようとし、拒まれると自分を誘惑した魔女として殺そうとするという、あまり悪人の出て来ないディズニーには珍しいキャラです。自身が正義であると信じて疑わない点はまさに中世の腐敗した権力者然としていて、妙にリアルでした。そんなフロローが、神の怒りに触れ業火の中へと転落死する最期はまさに天罰ね

彼はカジモドに「お前の母親は醜いお前を捨てたのだ」と話しており、それゆえにカジモドは孤独の中で育ちましたが、その心根はまっすぐで優しいの。
(ちなみにフロローが名付けた「カジモド」という名前は出来損ないを意味するそう。このことだけでもフロローの酷薄さが窺えます。)
どんなに孤独でも、いえ、孤独だからこそカジモドは友を、愛する人を切望しています。勇気を出して塔を抜け出した彼は、眩しいくらいに自由を愛するエスメラルダに出会い生まれて初めての恋をしますが、同時に民衆の残酷な仕打ちを受け傷つきます。さらにエスメラルダがフィーバスを選んだことが追い討ちをかけるのですが、それでも愛と友情を求める心がカジモドを支えます。

隊長のフィーバスは美男で腕もあり、正義の心と慈悲を持ついわば王子様キャラ。
カジモドには気の毒だけれど「美女と野獣」の話じゃないんだからエスメラルダが彼と恋に落ちるのはごくごく自然な成り行きです。

ガーゴイルの三人組は孤独なカジモドの唯一の心の友であり、物語にユーモアを与える存在でした。デブちんでおとぼけキャラのユーゴと長身、温厚で涙もろいヴィクトルの名前は原作者から拝借したようです、婆さんガーゴイルのラヴァーンは、まとめ役といったところかな。
フィーバスの愛馬やエスメラルダのヤギもいい味出してました

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探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点

2014年01月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年5月11日公開 119分

探偵(大泉洋)がよく行くショーパブの従業員で、友達でもあるオカマのマサコちゃん(ゴリ)が殺害される。警察の捜査は遅々として進まず、探偵が独自に調査を始めるが、事件の背後にカリスマ政治家(渡部篤郎)の影がちらつく。やがてマサコちゃんが熱狂的ファンだった美人バイオリニストの弓子(尾野真千子)が現れ、探偵に事件の真相を暴くよう依頼する。友達の死の真相を探るため、探偵と相棒兼運転手の高田(松田龍平)は、再び札幌ススキノを駆け巡る。

「探偵はBARにいる」(2011)の続編です。これってシリーズ化するの?
今回は小説のシリーズ第5作「探偵はひとりぼっち」が原作だそう。

マサコちゃん殺害の容疑者として浮かんだのが原発反対運動の先頭に立つ政治家・橡脇孝一郎。これって政治的要素が入って拙くない?と思ったら、真犯人は別にいました。でもこの犯人のあまりに身勝手な理由が呆れを通り越してうすら寒くなります。不遇な人間が、同じような立場(世界)にいた者の幸せというかちょっとした成功が許せないで妬む図って哀しすぎるね。

最近ではあまちゃんや「舟を編む」の演技が注目されている松田兄ですが、このとらえどころのない虚無感を発している高田というキャラを演じる彼は、父親である優作さんを彷彿とさせますね。やっぱり親子、血を感じてしまいます。

橡脇の支持者・反支持者双方から追われることとなった探偵ですが、極道さんより普通の市民の方がよっぽど無茶苦茶だし、こえ~~よ数の力で正義ぶる輩なんて最低だけど、現実にこういうのが増えているから物語として成立するんだと思うと何とも恐い話です。

マサコちゃんと弓子の関係は、最初からある程度は想像がつきます。そこに意外性は求めない方がいいね。何気にオカマバーのフローラ役の篠井英介さんが役になりきっていて受けた~~

DVDの特典に入っていた「CINEMATIC SAPPORO」という映像、札幌の四季折々の風景がただ流れるだけ、ただそれだけなんですが、「探偵」のお喋りの後でこれ観たら、何か凄く癒された~

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ルパン三世VS名探偵コナン

2014年01月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年12月7日日テレ金曜ロードSHOW! 放送

ヴェスパニア王国のサクラ女王と王子が、叔父のジラード公爵(屋良有作)と出掛けたキツネ狩りの事故で死亡した。母と兄を突然失ったミラ王女(堀江由衣)を案じ、事故に疑問を抱いた側近・キース(緑川光)は、日本でのレセプション出席を口実にミラを国外に連れ出すが、日本も安全ではなかった。レセプション会場のワインに仕込まれた毒に偶然居合わせたコナン(高山みなみ)が気付き事なきを得るが、直後ミラが会場のホテルからいなくなってしまう。同じ頃、ルパン(栗田貫一)は次元(小林清志)とヴェスパニアの鉱山に潜入していた。王国に伝わる秘宝「クイーンクラウン」を手に入れるにはヴェスパニア鉱石が必要なのだ。しかし、次元が鍛えた軍隊に発見され、鉱石を手に命からがら現場を後にする。一方、ホテルの近くで偶然蘭(山崎和佳奈)と出会ったミラは、機転を利かせてお互いの洋服を交換。制服姿で行方をくらませようとしていたところをコナンと出会い見破られてしまうが、不二子(増山江威子)が助けに現れ、二人は東京の夜の街へ…。その頃、ホテルに戻り事情を説明した蘭は、キースに頼まれてミラの代理を務めることになるが、そのままヴェスパニアへ連れていかれてしまう!!蘭のピンチを知ったコナンは決死の覚悟で飛行機に潜り込んだ。不二子に連れられてヴェスパニアに戻ったミラは、ルパンと合流。一方小五郎も、銭形警部(納谷五郎)とともにヴェスパニアに入り、五ェ門(井上真樹夫)も密かに行動を開始した。


劇場版『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』公開前日にTV放送されたものを録画して・・本日観ました
どちらも好きな絵柄・キャラなので最後まで楽しく観賞
ルパン三世ファンには色気と毒気がやや足りず、コナンファンには少し多過ぎかもだけど、なかなかバランスよくまとめているんじゃないかな

キースを怪しく見せるようなエピソードはフェイントだってすぐにわかる
謎解き自体は難しいものではないので(だって叔父さんは見た目だけで十分怪しい)大抵の女の子が憧れる「お姫様」に、蘭になったつもりで自分を置き替えて観るのもいいかも
命を狙われるのはごめんだけどね~

ルパンが手に入れた鉱石にはステルス効果があるという設定で、難攻不落のセキュリティを解錠して王冠を盗むために必要だったというわけね

サクラ女王とルパン三世の接点はラストで出てきます。「王冠を盗むのに一度失敗している」という設定で想像ついちゃうんだけどね。これは「カリオストロの城」へのオマージュでしょうか。

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最上のプロポーズ

2014年01月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
BeeTVドラマ

そこで花を買ってプロポーズすると必ず幸せになれると噂の花屋に今日も男性客が訪れる。ある男は再会した初恋の相手に想いを打ち明けるため。またある男は理屈で説明できない一目惚れの愛を告げるため。またある男は病に伏した相手に自らの存在を示すため。そして最後の男は--。伝えたい気持ちを花に託した男たちのプロポーズは、果たして噂通り意中の彼女たちへ届くのだろうか?「プロポーズ」にまつわるオムニバス恋愛ドラマです。


恋愛ものって女性側から描かれることが多いけれど、これは男性(しかも美男)の視点で進む物語です。そもそもこれを観ようと思ったのは斉藤工が出ているから(最近ちょっとブレイクしてきてるよね)

Episode1『スノウドロップ』 “初恋は実らない”
中学時代の同級生で、初恋の相手である真白(美波)と再会した元(斎藤 工)。付き合い始めた二人だが、元の苗字が両親の離婚で変わっていたため真白は気付いていなかった。過去に思春期特有の恥ずかしさから彼女を傷付けてしまった元は、そのことで恋愛に臆病になってしまった真白に自分がその当人であることを告白する。二人のすれ違う心を結びつけたのはスノウドロップの鉢植えだった・・・。

苛められていた真白を庇ったことで親密になった二人ですが、なんせ中学生、周囲にはやし立てられたら男の子は思いっきり否定しちゃうのよね~~。それが彼女をどんなに傷つけるかその時は考えもしない、というか考え付かないんだよね。でもそのあとずっと後悔してきた彼は、再会した彼女がキャバクラ嬢でも気にしない。というより負い目があるから何も言えないんだね。もどかしいほど不器用な二人だけど、彼女が好きだといった花を覚えていたことから再び二人の時が動き出すのでした


Episode2『アイリス』 “住む世界の違う2人を結びつける”
「世界は全て元素で出来ている!」。科学を愛する研究者の慧(金子ノブアキ)は、ある日、スケッチブックに絵を描いている亜湖(入山法子)と出会う。彼女の描く絵を見た瞬間、彼の中でなにかがはじけ気付け・・・プロポーズから始まった科学では証明することができない恋。

現実にこんな男性からいきなりプロポーズされ付きまとわれたらかなり迷惑、というか恐い。
でも科学バカな慧が何だか憎めないというか愛嬌があるのよね
彼の理解者である友人(同僚?)役はムロツヨシ。この人メレブさん(勇者ヨシヒコの冒険)にしか見えない話し方も同じなんだもん
一番好きなお話です


Episode3『ブルーローズ』 “かなわぬ願いをかなえる”
彼女は海のなかの人。もう1年間も眠り続けている。そんな彼女・遥(波瑠)のことを思い献身的に病院に通う男・友哉(小出恵介)。ある日奇跡が訪れ、彼女が目を覚ました。けれども、男は、とても大きなひとつの嘘をついていて・・・。彼女を思う、彼の悲しいプロポーズ。

他の話がハッピーに終わるのに反し、こちらだけは悲しい結末です。
実は遥は婚約者と破局していました。友哉はカメラマンで、撮影で知り合った遥に片思いしていて、たまたま遥が倒れた現場に友哉が居合わせ意識のない彼女の看病をしてきたようです。
意識を取り戻した彼女との束の間の幸せの時間が切ないね。奇跡って・・・他力本願じゃダメなのね。


Episode4『ウェディングベール』 “魔法使いに魔法をかける方法”
青児(向井理)は、突然家を出て行ってしまった妻あずさ(伊藤 歩)の気持ちがわからずにいる。思い返せば、彼の思い出にいる彼女は笑っていなかった。やっとの思いで彼女を探し出したものの、彼は彼女に話しかける勇気がない。もう一度気持ちを取り戻すために奔走する彼の2回目のプロポーズ。

これまでの話の中でストーリーテラーだった青児自身の物語になっています。
花屋の主人が妻のあずさで、彼女を応援しようと青児がネットに奇跡の花屋の噂を流したのです。
仕事人間だった彼は妻への思いやりに欠けていました。突然去られてやっとそのことに気付きます。
傍にいて当たり前だった妻は彼の中でかけがえのない存在だったのです。
あずさという女性はある意味男性の理想像のように思えるなぁ
青児の仕事関係者で佐藤二朗が出ているけれど、こちらも「ホトケ」(ヨシヒコ)にしか見えん

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アンコール!!

2014年01月19日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年6月28日公開 イギリス 94分

英ロンドンに暮らす72歳のアーサー(テレンス・スタンプ)は、無口で気難しい頑固老人。息子との関係もうまくいかず、笑顔を見せられる相手は最愛の妻マリオン(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)だけだった。病弱だが陽気なマリオンは、ロックやポップスを歌う風変わりな合唱団「年金ズ」で歌うことが楽しみで、アーサーは渋々送り迎えをしていた。ある時、「年金ズ」は国際コンクールのオーディションに挑戦することになるが、そんな折、マリオンのガンが再発し亡くなってしまう。塞ぎこむアーサーに手を差し伸べたのは合唱団の指導をしているエリザベス(ジェマ・アータートン)だった・・・。

気難しくて口が悪くて頑固な老人・・・こりゃ、あまりお近づきになりたくはない人物像です。
でもアーサーは妻だけには本当の自分を見せられるのそして何より妻を心から愛しています。
だから、彼女の体を心配して合唱団で歌ったり、友人を招いたりして体力を消耗することを嫌います。
いつまでも共に暮らし、彼女の明るい笑顔を見たいという彼の願いはしかし無情にも潰えます

アーサーが合唱団に参加したのは、亡き妻が輝いていた姿が忘れられなかったのかなぁ?彼女がそれほどまでに打ち込み愛したものを確かめたかったのかなぁ?もちろん、絶望の中にいた彼に優しい言葉をかけてくれたエリザベスの存在もあるよね

合唱団に加わり意固地だった心が少しだけ溶けてきたアーサーですが、自分が拒絶してしまった息子との関係をやり直そうとして逆に拒絶され打ちのめされてしまいます。
この息子がまた実に出来た人柄なのよね妻は出て来ないので死別か離婚していると思われますが、男手一つで幼い娘を育てている設定。そりの合わない父親に対しても気遣いを見せます。
彼にとって母親は父親との緩衝材になっていましたから、母の死で心がちょっと折れちゃったのね。

コンクールへ向かうバスにも姿のないアーサー・・・でもね、ちゃんとステージには登場しちゃうもんね。この展開はやや唐突な感がありました。

映画の中でマリオンとアーサーの独唱があるのですが、互いに相手を想う気持ちのこもった歌でした。
この歌だけでも観る(聴く)価値ありだと思います
そして歌が父と息子のわだかまりも消してくれたのでした。めでたしめでたし


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ジャッジ!

2014年01月15日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年1月11日公開 105分

落ちこぼれの広告マンの太田喜一郎(妻夫木聡)は、社内一のクセモノ上司、大滝一郎(豊川悦司)に押し付けられ、テレビCMの世界一を決めるサンタモニカ国際広告祭で審査員を務めるはめに。現地で毎夜開かれるパーティーに同伴者が必要と知り、仕事はできるがギャンブル好きの同僚、太田ひかり(北川景子)に同行を懇願する。さらに、審査会に詳しい窓際族の鏡さん(リリー・フランキー)から怪しげな特訓を受けサンタモニカへやってきた太田は、ちくわのCMで賞を獲らなければ、会社をクビになってしまうという事実を知る。ライバル会社のエリートクリエイター、木沢はるか(鈴木京香)をはじめ、世界中のクリエイターたちが駆け引きや小芝居に躍起になるなか、太田は持ち前のバカ正直さと鏡さん直伝の技を武器に奔走し、ひかりの助けを借りるうち2人の距離も次第に縮まって・・・。


今年初の劇場鑑賞はこれ。本音を言えば、これと言ってそそる作品がない中で、コメディだからという理由で選んだだけなんですが、予想外に良かったの昨年末公開の「謝罪の王様」より断然面白かったです。

昔見た靴のCMに励まされて、自分もこんな作品を作りたいと広告業界に入ったものの、自分の失敗は部下のせい、部下の成功は自分の手柄という最低な上司にいいようにこきつかわれた挙句、彼になりすましてサンタモニカに行かされ、最低のCMを受賞させろと無理難題を言われて奔走することになる主人公をブッキーが演じてるのですが・・この人、母性本能をくすぐる演技が上手よねぇ
その超性格悪い上司役はトヨエツ。すご~~く楽しんで演じてる感が伝わってきました。

そもそも太田が審査員を命じられたのは、上司の大滝があまりにも出来の酷いちくわのCMを受賞させなければならないという任務から逃れるために、仮名にすれば同じ読みの「オオタ・キイチロウ」に押し付けたからで、さらに太田がひかりを誘ったのも、彼女が同じ「オオタ」だからという安易さ
そりゃ~アジア人の顔なんざ、西洋人には同じに見えるかもだけど、いくらなんでもそりゃ無理だろ!な設定が逆にもしかしてありなんじゃ?と思わせられちゃうから不思議

冒頭、カップめんのCM現場やクライアントから無理難題を吹っ掛けられる太田や大滝の様子が流れますが、これもいかにもあの業界でありそうな展開で笑えます。しかもこの時のCMが劇中何度も流れるので、駄作に見えたこれがだんだん傑作に思えてくるという・・・擦り込み効果、侮りがたし!

はるかが手掛けたトヨタのCMは、個人的にはキモイ系でしたがその意図はきちんと伝わってくる斬新なもの。逆にちくわのCMは素人作成のような安易さがマジ最悪でした。サントリー「グリーンDAKARA」CMの永井聡が監督で、東京ガス「ガス・パッ・チョ!」、トヨタ自動車「ドラえもん」シリーズのCMの澤本嘉光が脚本を書いているだけあって、一筋縄でいかないひねりがあるね

ひかりはギャンブル好きという設定で、競馬に例えて審査員を抱きこむためのレース予想をするエピソードが笑えました。彼女が太田に惹かれていくのも、私が何とかしてあげなくちゃという母性本能の他に、ギャンブラーの血が騒いだからかもまさに大穴だもんね

鏡さんに教わったボールペン回しの技術とオタクTシャツ、美味しい食事にありつくための英会話本が太田を窮地から救うエピソードもです。審査員長とバーテンダーと鏡さんの関係や、太田が感銘を受けたCMを誰が作ったのかなどオチもしっかりありました。

世界のクリエイターのキャラ設定や、彼らの日本人に抱くイメージがオタクとゲイシャってのも、ベタで誇張はされているけれど、そこから生まれる笑いを最大限に引き出しています。
賞をとるための策を弄する彼らの中で、一人バカ正直に自分で良いと思ったものを推す太田の姿は、現実では踏みつけられておしまいとなるでしょうけど、そこは映画の中、最後は彼の誠実さが周囲の人間を変えてしまうハッピーエンドで、気持ち良く席を立つことができました。暫くは美味しいものを食べたら「にゃー」って言いたくなるかも

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竜との舞踏1,2,3

2014年01月13日 | 
氷と炎の歌シリーズ5
ジョージ・R・R・マーティン(著) 酒井 昭伸(訳) 早川書房

第一巻
白竜、緑竜、黒竜の三頭の竜を従え、デナーリスはミーリーンで女王として君臨していた。だが、その前途には暗雲がたちこめる。都の中では内乱をもくろむやからが殺戮を繰り返し、外では敵対勢力が都を包囲せんと軍を進めていた。さらに、竜たちはどんどん巨大化し、残虐さを増して、デナーリスでさえ抑えきれなくなったのだ。そのころ、父タイウィン公を殺害したティリオンは、密告者の長ヴァリスの手によってキングズ・ランディングを脱出、“狭い海”を渡りペントスのマジスター・イリリオのもとに身を寄せていた。イリリオから、女王デナーリスが軍を率いて七王国へ帰還するときの軍師になるよう求められたティリオンは、勇躍ミーリーンへと旅立った。だが、ドーンのプリンス、クェンティンもまた、父である大公の密命を受け、三頭の竜とデナーリスを七王国に帰還させるべく、女王の都に向かっていた…。

第二巻
青白い太陽が昇っては沈み、また昇る。空は黒雲に覆われ、稲妻が閃き雷鳴が轟くなか、黒い手と青く光る目の死者が、丘の斜面に口をあけた裂け目のまわりをうろつく。だが、決してなかへは入れない。丘の内部では、半身不随の少年がウィアウッドの玉座につき、ささやき声に耳を傾けていた。“冷たい手”に導かれ、ついに目的地に到着したブランは、“最後の緑視者”である“三つ目の鴉”から「空の飛びかた」を学んでいたのだ。そこからさらに南へと下った、といっても酷寒の地であることに変わりはない黒の城では、スタニス王が南へと発って以来、奇妙な虚脱感が漂っていた。そんななか、総帥であるジョンは古株の黒衣の兄弟たちが考えもしなかったような施策をつぎつぎに打ち出していく。なんとしても“壁”を死守するという固い決意のもとに。一方、さらに南の白い港では、捕えられ処刑の日を待つサー・ダヴォスの前に、思いもかけぬ人物が現われ…

第三巻
は「讃えよ、ル=ロールを、光の王を」雪が舞うなか、メリサンドルが歌い、結婚式の参列者が唱和する。北の果て〈黒の城〉では、アリス・カースタークとゼン族の族長シゴーンとの結婚式が執り行われていた。背リース王妃と騎士たち、ジョン・スノウと黒衣の兄弟が見守るうちに、式は滞りなく終了し、宴へと入ったその時、突如角笛が鳴り響いた。それも二回。敵襲の合図だ。野人を率いて、〈巨人殺しのトアマンド〉が、ついに襲撃してきたのだ!一方、ミーリーンの宮殿の大広間でも、華やかな宴が繰り広げられていた。ヒズダール王の招きを受け、和平条約への調印と、世に名高い闘技場見物のために、ユンカイ人が大挙してやってきたのだ。そしてその宴のさなか、デナーリスは公子クェンティンの手をとり、大ピラミッドの地下のあなぐらへと赴いた。二頭の竜、ヴィセーリオンとレイガルに会わせるために。だがまさかその翌日、自分がもう一頭の竜、ドロゴンと思いもかけぬ状況で出会うことになろうとは、その時のデナーリスには知る由もなかった・・・・。


第4部 『乱鴉の饗宴』 と合わせて1冊の本になる予定があまりに長くなり過ぎてこの第5部と二つに分けられたのだとかしかも時系列ではなく登場人物や場所で分けられているので、物語が前後してしまって混乱を覚えました

まずは私の押しキャラであるティリオンから
ヴァリスによってペントスにいるイリリオの元に逃されたティリオンは、デナーリスの味方になるよう持ちかけられます。あれ?ターガリエン家にとってラニスター家は憎むべき敵じゃなかったっけ?敵の敵は味方というわけですか
その気になってミーリーンを目指す彼は、死んだ筈のターガリエンの王子(デナーリスの甥)と出会います。王位継承権が上の王子とデナーリスを結び付ければ王位簒奪の強力な目になるとほくそ笑むのですが、ジョン・モーモントによって捕えられた彼は、さらに海賊に襲われ、モーモント共々奴隷にされてしまうの。また、ジョフリーの結婚式の余興に出ていた小人の娘ペニーとの出会いも描かれます。
この巻のティリオンは無意識に父親殺しの罪に苛まれているように思えます。彼が南へ下ったのは、最初の妻であるティシャの行方を捜したいという思いもあるのかな?「娼婦は何処へ行く?」というのは謎かけであり禅問答のようでもあります。
どんなに辛辣な物言いをしても、彼の本質は善なる優しさに満ちていて、だからこそ自分のせいで都から逃げ出さねばならなくなり、さらに自分と間違われて兄を殺されたペニーに対して、保護者のような気持ちを持ってしまうのね。
紆余曲折を経て、奴隷から傭兵へと駒を進めたティリオンの今後がますます楽しみ

デナーリスの方はなんだかパッとしないなぁ。ミーリーンでぐずぐずしているうちに進軍の機会を逸し、疫病や謀反人たちに翻弄され、意に染まぬ結婚をしながらも愛人に対して小娘のような胸のときめきを感じているという展開です。
ドラゴンたちは大きくなりすぎて手に負えなくなってきていますが、第三巻でようやくドラゴンライダーたる姿がこの先、竜たちを意のままに操ることができるようになれば物語もぐっと面白くなるかな? ドーンの公子がデナーリスの求婚者として登場しますが、いかんせん世間知らずのボンボン自分にもドラゴンの血が(一滴)流れてると軽率にも思いあがってドラゴンを解放したものの、彼らに火ダルマにされ絶命しちゃうという何とも情けない最期でした

ジョンはといえば、こちらも壁でスタニスやメリサンドルや野人たちへの対応で精一杯。壁を守るために彼なりに色々考えているのだけど、「兄弟」たちには受け入れられず次第に溝ができているようです。そしてとうとう仲間に裏切られて・・・でもここで死んじゃったらあっけなさすぎだから、きっと次章で命はとりとめてるんだろうな

ブランはいよいよ人ならぬ者になりつつあるようです。そういえば、スターク家の中で彼とジョンとアリアは皮装者なのかな?

今回一番悲惨だったのがシオン
あれだけ酷いことをスターク家に対してしたのだから当然の報いではあるけれど、皮剥ぎボルトンの残酷さは常軌を逸しています生きるために自我を抹殺せざるを得なかったシオンですが、アリアの身代りの娘を助けたあたりから少しずつ昔の自分を取り戻していくのかな?彼の姉のアシャはスタニスの軍に捕らわれ人となりますが、彼女は弟とは違っていざとなれば潔く死を選ぶタイプですね
アリア救出に向かった野人たちの末路も悲惨。スタニス軍は本当にウインターフェル城を落とぜす全滅したの?その様子が描かれていないので、まだ先があると推察するのですが・・

サーセイも今回は窮地に立たされています。
罪を告発され、屈辱の道を歩まされ、さすがに精神的にも追い詰められたかのようですが・・いやぁ、このまま大人しくしているタマじゃないもんね。絶対盛り返して恐ろしい復讐をするに違いないと思うんだけど

今回はヴァリスやリトルフィンガーの視点は出て来ないのですが、デナーリスやエイゴン(死んだとされていた王子)を匿い育てた背後に彼らがいたのは明らかで、まさに王位を狙ったゲームの駒を動かしているのは各貴族たちではなく彼らなのではないかと思えてきました。

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レイトン教授と永遠の歌姫

2014年01月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年12月19日公開 99分
2014年1月9日(木)TBS 24時13分~放送

グレッセンヘラーカレッジで考古学を教えているレイトン教授(声:大泉洋)の研究室に、ある日、一通の手紙が届く。手紙の差出人は、レイトンの元教え子でオペラ歌手のジェニス(水樹奈々)だった。一年前に死んだ親友が永遠の命を手に入れた少女になって現れたという。そこでレイトンは、助手のルーク少年(堀北真希)を連れて調査を始める。

DS用ソフト「レイトン教授」シリーズをベースにした、オリジナルストーリーのアニメーション作品で、大人も楽しめる本格的ミステリーという触れ込みですが、それはちょっと・・・

ジェニスの招きでクラウン・ペトーネ劇場を訪れた教授とルークは、他の観客とともに強制的に謎解きゲームに参加させられます。実はジェニスの親友ミリーナの父であるウィスラーが、死んだ娘を永遠に手元に置きたいがために科学者デスコールと結託して、娘の記憶を移植しようとしていたのでした。サブストーリーとして「永遠の命」を持つ伝説の都の謎を絡めているのだけど、なにやらどこかで聞いたような物語をつぎはぎした感は拭えませんでした。
海に投げ出されサメに襲われても平気なグロスキー警部(大塚芳忠)はルパンの銭形のキャラを思わせるし、デスコールは「ラピュタ」に出てくるムスカのようだし、彼の操る道具は「ハウル」の「動く城」然としているといった具合なんだもの

ウィスラーの中では、ミリーナの記憶を他の娘に移植することで娘と永遠に生きることになるとの解釈ですが、当の本人は無論そんなことを望んでいたわけではなかったの。実は既にミリーナは父の実験によりジェニスの体の中で生きていた(記憶を乗っ取っていた)のですが、病弱だったミリーナは親友の体の中とはいえ、外で自由に動けることに初めは喜びますが、じきに友を犠牲にしてまで生きることへの罪悪感に苛まれます。それがレイトン教授に手紙を送った理由なのね。彼女は父の計画を止めて欲しかったのです。

デスコールは伝説の都を蘇らせ、不死(と彼は解釈していたようです)の秘密や都の科学力を解き明かしたかったという、これは科学者の狂気が動機ですね。

人間の中にある不変の欲望をテーマに、うまくまとめてはいますが、やはりお子様向けには違いないかな。

レイトン教授の声が大泉洋とは知らずに観たので違和感なく楽しめました。知ってたらやはり顔が浮かんでしまって困ったかも。

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詩人、愛の告白

2014年01月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
日本未公開 フランス/ドイツ/イギリス 121分

19世紀のパリ。女を“所有"することが愛だと思っていた貴族の息子オクターヴ(ピート・ドハーティ)は、年上の未亡人ブリジット(シャルロット・ゲンズブール)に初めて真の愛情を抱く。社交界でスキャンダルになることを恐れるブリジットだったが、互いを求める気持ちは抑えきれず、二人は激しく愛しあっていく。だが至高の愛を知ったことで、オクターヴは次第に狂おしいほどの嫉妬にかられてしまい……。


ロマン派作家、アルフレッド・ド・ミュッセの自伝的小説の映画化だそうです。
何故この作品をレンタルリストに入れたかというと・・・コスチューム目当てだった・・筈
だって内容そのものは実にくだらない。簡潔に言えば、どこぞの貴族のバカ息子の恋愛観の垂れ流しでした。 彼の思春期が戦争という抗えない事態により踏みにじられてしまったとはいえ、それが免罪符になるわけじゃないだろうに 

特権階級の手に汗して働くことのない自堕落な若者たちが、息詰まる毎日から逃れるために退廃的で享楽的なひとときに溺れる図は、現代の富裕層のバカ息子・娘たちの無軌道さと変わることがないのかもなぁと思ったりして。

愛ゆえにと言えば文学的だけど、恋人に裏切られた男が女性不信に陥って放蕩三昧の末、未亡人というハードルの高さ故に再び恋に落ち(たと錯覚し)、彼女が陥落すると今度はまた裏切られるのではないかと疑心暗鬼になったあげく、関係を壊してしまうというだけの話です。いや、こういう風に書くと身も蓋もないんだけどね 

貴族のコスチュームや社交界の華やかさを楽しむという本来の目的は達したので、ま、いいか

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レジェンド・オブ・メダリオン -時空を超えた秘密の島-

2014年01月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年製作 アメリカ 日本未公開 85分

世界支配する力をもつメダル・・・。果たしてビリーは世界を救うことができるか。
考古学マイケル・ストーン博士は失われた伝説のメダルを探していた。息子のビリー(ビリー・アンガー)も父の夢をかなえるため日夜メダル探しを手伝っていた。そんなある日、いつものように発掘をしていると偶然にもメダルを発見する。ところが、ビリーと友人のアリー(サミー・ハンラッティ)はメダルとともに200年前のアウマクア島にタイムスリップしてしまう。ビリーたちはそこでメダルを狙われることとなりメダルをかけた大冒険が始まる! ビリーは無事に元の世界に戻ることができるのか・・・・。



養護施設に暮らす子供たちにプレゼントを届けにきた男(施設出身者のようです)が、最近入ってきた3人の子供が施設に馴染めずにいることを知り、彼らの名前を登場人物につけた物語を皆に語って聞かせるの。

親に愛されていないと感じているビリーとアリーが主人公で、乱暴者の男の子(名前忘れた)はメダルを失くした王子役
物語の中で、メダルを見つけて父の窮地を救おうとするビリーは、最初は王子と反目しますが、次第に力を合わせるようになり、敵を倒しメダルを取り返します。
メダルの力は正しい心の持ち主にしか使えないこと、本当の宝は自分自身の心の中に宿っていることが語られ、お話の終わる頃には3人の子供たちも他の子と同じようにお話の輪の中にいるというハッピーエンドです。

3人を助けてくれるお爺さんは仙人のようなキャラでした

B級作品ではあるけれど、子供に安心してみせられるお話ですね

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俺はまだ本気出してないだけ

2014年01月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年6月15日公開 105分

子持ちバツ一の42歳、大黒シズオ(堤真一)は、「本当の自分を探す」と会社を辞めてしまうが、毎日ゲームばかりで同居の父親・志郎(石橋蓮司)から怒鳴られてばかり。ある日、本屋で立ち読み中に突然漫画家になろうと決意し、父と娘の鈴子(橋本愛)に熱く夢を語る。しかし、出版社に原稿も持ち込むも不採用の連続。生計を立てようとバイトをしてもミスを繰り返し、若いバイト仲間から店長というあだ名を付けられ、合コン相手の女性からは諭される始末で・・。


見た目も中身もダメな中年男が奮闘する姿を描いた青野春秋の同名漫画の映画化です。
監督は「勇者ヨシヒコと魔王の城」の福田雄一ということで、あの独特のかったるいチープ感が満載です。山田君やムロさんも登場しています。下はパンツ一丁でも堤さんだから許せる?お正月のだらだら気分で観るには丁度良い作品でした。

シズオはどうしようもない中年男だけれど、何故か周囲を発奮させる不思議なパワーがあります。
親友の息子が言う「パパがシズオみたいになったらヤダ!!」は名言。あんなオトナになっちゃいけないという意味では最高の反面教師です。
ただ、これは普通の一般市民的感覚であって、何か人と違ったことを成す人物はシズオのような型破りな人間でなくてはいけないのかもそうなれない人々はせめて彼から希望というパワーを分けてもらってちょっとだけ人生のレールから外れてみる勇気を出すのが精一杯なのかもしれないなぁ、なんて思ってしまいました。

そんなシズオも実は色々悩んでいるのです。
脳内でカミ(カミと手書きされたシャツを着て現れる珍妙な神はシズオの疚しさの象徴なのかも)や10代、20代、30代の自分:全部堤さんが演じてます。 と論じあったり喧嘩するシーンは笑えるけど、よく考えればなかなかにシュールです。

シズオの父は世間一般の親父像そのもの。突然会社を辞めてバイトしながらのぐーたら生活を始めた息子に怒りと情けなさが渦巻いていて、事あるごとにお説教するけど、相手は馬耳東風、のれんに腕押しです。父親は仕事をしているようには見えないので、一応はシズオに扶養されているのか年金暮らしなのか?もし世帯主ならとっくに息子を追い出しているんじゃないかな

娘の鈴子が出来過ぎの孝行娘。あんな父親を応援するなんてありえないっしょ?ついでにあのバイトも、シズオにばれた時の状況もね。自分のことしか考えていなかったシズオが親らしい言葉をかけるシーンは、でもちょっとなんだかほわっとします

シズオと出会って変わっていくのが、バイト先の後輩だった市野沢(山田孝之)。金髪の無気力男だった彼は、シズオの大人らしくない、でも何だか羨ましいほど自分のやりたい事に向いてるその行動に惹かれ始めます。一方、次のバイト先であるキャバクラの新人のおっさんは、家族を養うために年若の店長の横暴にもじっと耐えています。その卑屈な笑顔を見ているうちに市野沢の中で何かが弾けるの。

シズオの幼馴染の親友・宮田(生瀬勝久)は、真面目で心優しいサラリーマン。優しすぎて妻(水野美紀)から離婚されちゃうほど突然シズオから呼び出され奢らされても怒らない彼でしたが、妻から再婚すると聞かされて変わります。もう自分たちのことは忘れてと言われた彼は、せめて息子が好きなパンで繋がっていようと脱サラしてパン屋を始めようとするのそんな彼の元に件の息子が「パパがシズオみたいにならないように」と一緒に暮らすことを望み、妻とも復縁。いや・・それはちょっとファンタジー過ぎ?でも良い人がハッピーエンドになるのは嬉しいからいっか

シズオの漫画持ち込みの担当者・村上(濱田岳)のキャラも独特。どんな作品もけなさず相手を持ち上げ次の作品へのモチベーションを高めて帰すその技に脱帽です。シズオの作品自体は私には善し悪しがわからないけれど、あんな風に言われたら「褒めて伸びるタイプ」だったら凄く嬉しいよね。
そんな彼もめげないシズオに影響されて自分が本当にしたいことのために会社を辞めちゃうという。でも彼のしたいことって何だったの?

蛭子能収(居酒屋の主人)、佐藤二朗(怪しげな占い師)やムロツヨシ(いい加減そうな不動産屋)などチョイ役ですがクスッと笑えるシーンが用意されていました。

映画はシズオのデビュー前に終わりますが、新しい担当の宇波(指原莉乃)相手に意欲満々で終わるラストは未来への希望があってよろしいかと

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プラチナデータ

2014年01月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年3月16日公開 133分

政府が水面下で収集した国民のDNAデータ「プラチナデータ」をもとに犯罪捜査が行われ、検挙率が大幅に上昇した2017年。皮肉屋で自信家の天才科学者、神楽龍平(二宮和也)は、DNA捜査の専門家として所長・志賀孝志(生瀬勝久)指揮の下で難事件を解決してきた。DNA捜査が通用しない連続猟奇殺人事件“NF13(Not Found13)”を担当することになった彼は、同一犯人と思われる手口により、システム開発者の天才数学者・蓼科早樹(水原希子)とその兄・耕作を殺されてしまう。現場に残されていた皮膚片のDNAデータ分析の結果、適合率99.99%で容疑者として特定されたのは自分自身だった。身に覚えのない神楽は逃亡。この事件の捜査担当となった警視庁捜査一課の浅間玲司(豊川悦司)は、逃走する神楽を追い詰める中で、遺伝子学教授の水上利江子(鈴木保奈美)から、神楽の中のもう1つの人格“リュウ”の存在を教えられる。同僚、白鳥里沙(杏)のサポートを得て逃走を続ける神楽と浅間は、真相を求め手を組むが・・・。

東野圭吾の同名小説の映画化で、自信家の天才科学者と捜査にこだわる刑事を軸としたサスペンス仕立てになっています。公開時、神楽が二重人格者であることは聞き知っていましたがその先の展開については情報を入れていませんでした。が・・後半には既に真犯人が推理出来ちゃったので、その点は意外性がなかったかなぁ

ニノの二重人格の演じ分けはまあまあ良かったと思います
街中いたるところに仕掛けられている監視カメラは「踊る大捜査線」の時も背筋が寒くなる気持ちになったのですが、今回もなかなか不気味さがありました。
あれだけの監視網の中で逃げられちゃうってのは警察としてどうなのよという感もあるけれど、捕まっちゃったら話が進まないのでその辺はまぁ目を瞑るしかないか。

国民全てのDNAをデータとして管理するというのは、犯罪抑止になる反面、使い方を誤れば権力者の暴挙を許し、狂信者の欲望を満たす悪魔の道具にすら化ける。恐いお話です

映画はリュウと早樹の純愛も絡めています。二重人格のどちらが主なのかという展開もあり、色々な視点から楽しむのもありかな

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