2019年3月22日公開 アメリカ 114分
父親を亡くした哀しみから立ち直れない思春期の少女チャーリー(ヘイリー・スタインフェルド)は、18才の誕生日に、海沿いの小さな町の廃品置き場で、廃車寸前の黄色い車を見つける。自宅に乗って帰ったところ、その車が突如、変形《トランスフォーム》してしまう。驚くチャーリーを前に、逃げ惑う黄色の生命体。お互いに危害を加えないことを理解した瞬間、似たもの同士のふたりは急速に距離を縮める。チャーリーは記憶と声を失い“何か”に怯える黄色の生命体に「バンブルビー(黄色い蜂)」と名前をつけて、かくまうことに決める。ボロボロに傷ついたバンブルビー(声:ディラン・オブライエン)と、心に傷を抱えたチャーリー。思いがけない友情が芽生えるのだが、しかし、予測不能の事態に巻き込まれていくのだった-(公式HPより)
「トランスフォーマー」シリーズのキャラクターの一人(一体)のバンブルビーを主役に、シリーズの始まりを明らかにする物語です。1作目の主人公サムとバンブルビーが出会う以前の1980年代を舞台に、バンブルビーとチャーリーの交流と友情、彼らに待ち受ける予想外の運命が描かれます。監督はマイケル・ベイではなく、「KUBO クボ 二本の弦の秘密」のトラビス・ナイトで、初の実写映画なんだそう。
シリーズに登場するキャラの中では小柄で愛嬌のあるバンブルビーが好きです。予告でも流れているように、チャーリーの留守中にガレージから居間に入って、好奇心からあちこち触りまくるバンブルビー。でも自分のサイズと重量を失念しているので派手に壊しまくり、パニクっている姿が可笑しいやら可愛いやら また、砂浜で「隠れる」練習をする姿も笑いを誘います。
映画では、冒頭にメガトロンでの戦いと撤退が描かれ、バンブルビーが先発隊として地球にやってきたことが明らかにされます。彼を追いかけてきたディセプティコンの攻撃で発声機能を失いますが、チャーリーが着けてくれたラジオのチューニングで会話をしたり、シャッターとドロップキックに攻撃されて彼女が危険に晒されると勇敢に戦う姿がかなり「男らしい」のです。
チャーリーは亡き父のことが忘れられず、母(パメラ・アドロン)の再婚相手のロン(スティーブン・シュナイダー)を素直に受け入れられません。彼女は才能のある飛込選手でしたが、父の死がきっかけで引退していて、家族にも壁を作っているんですね。そんな彼女が記憶を欠いたバンブルビーと出会って、心に傷を抱えた者同士惹かれ合うのです。
チャーリーに気があるけれど、シャイな性格のためアプローチできずにいたメモ(ジョージ・レンデボーグ・Jr)も、バンブルビーの変形する姿を見てしまったことから彼らと友達になります。チャーリーの弟のオーティス(ジェイソン・ドラッカー)も協力者になるんですね
一方、バンブルビーと遭遇し、彼を敵とみなすセクター7配属のバーンズ少佐(ジョン・シナ)は、バンブルビーを追って地球にやってきたディセプティコンの甘言に騙されたパウエル博士と共に彼を追跡します。パウエル博士はディセプティコンの科学力に心酔するのですが、後に彼らの企みを知って自分の過ちに気付くものの後の祭りの最期を遂げます。科学者の常ではありますが、純粋な探求心と未来への想像力は反比例するんですかねぇ
トランスフォーマー同士の戦いも自由自在に変形してスピード感がありますが、戦い自身にはあまり興味がないのでそこは敢えてスルー。
戦力的にはやや劣るバンブルビーですが、愛するものを守るという強い気持ちを持つとき、飛躍的にその能力がUPします。
でも私的には、チャーリーと一緒に隠れる練習をする姿や、留守番をしていて意図せずに部屋を滅茶苦茶にしてしまい狼狽しているバンブルビーの方が愛嬌があって魅力的です。 声を失っていたバンブルビーにチャーリーはラジオのパーツを取り付け、音楽を声代わりに会話することができるようになるのも、後の物語に繋がっていますね。
車に変形しているときのバンブルビーはビートルでしたが、チャーリーと別れて去っていくときはカマロになります。(シリーズ一作目の主人公サムが出会うのはカマロのバンブルビーですね)車種の変更は(軍を含めた)敵の追跡をかわすためでもあるけれど、彼自身の成長を示しているのかもね。
もう一度、シリーズ一作目を観たくなりました