2015年11月27日公開 アメリカ=イギリス 109分
1998年、ロサンゼルス。マリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、小さなブティックを切り盛りしながら、夫亡きあとも一人で溌剌と暮らしていた。そんなある日、ユダヤ人として波乱の人生を共にした姉のルイーゼが亡くなり、彼女が故郷のオーストリア政府にナチスに没収された絵画の返還を求めようとしていたことを知る。法が改定され、近々過去の訴えの再審理が行われるのだ。姉の遺志を継ぐと決めたマリアは、友人の息子で弁護士のランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)に相談を持ちかける。彼は一度独立したがうまくいかず、妻パム(ケイティ・ホームズ)と赤ん坊を養うために再び雇われの身となっていた。問題の絵画はベルベデーレ美術館が所蔵するクリムトの名画で、モデルになったマリアの伯母アデーレが遺言で寄贈したとされているが、マリアも姉も遺言書など見たこともなかった。マリアは、家族や全てを奪われ友人を殺された国に二度と戻る気はなかったが、実の娘のように可愛がってくれた伯母の面影を胸に過去と向き合う旅に出ることを決意。ウィーンに着き、かつての自分の家の前に佇み、偉大なアーティストや音楽家、作家たちが出入りした日々をマリアは懐かしむ。その時、ジャーナリストのフベルトゥス・チェルニン(ダニエル・ブリュール)が二人の手伝いをしたいと声を掛ける。政府は国のイメージアップとして返還を持ち出したが、重要な美術品は手放さないはずだというのだ。その後、美術館を訪れたマリアは伯母が描かれた絵画との再会を果たし、当時を思い出す。ヒトラー率いるナチスの軍隊をオーストリアの人々は歓喜のなか花を投げて迎えた。一方、ユダヤ人は次々と捕えられ監視下に置かれ、マリアの家族も国外脱出どころか近隣への外出さえ制限された。フベルトゥスの力添えで、美術館の資料室からアデーレの遺言書が見つかる。確かに寄贈すると記されていたが、夫の死後という条件が破られていた。しかも絵画の所有権は実は伯父にあり、マリアと姉に全財産を残すという伯父の遺言だけが法的な効力を持っていた。審問会の日。審問会は新たな証拠を却下して返還を拒否、文化大臣は「ご不満なら残る道は裁判です」と言い放つ。マリアは毅然と「恥を知りなさい」と一喝するが、この国で裁判を起こすなら180万ドルという法外な預託金が必要だった。9か月後。何とか法の抜け道がないかと仕事の合間に勉強を続けていたランディは、アメリカで訴訟を起こせる条件を見つけ出す。過去は忘れたと一度は拒んだマリアも、ランディが事務所を辞めてまでこの戦いに全てを懸けようとしていると知り心を決める。やがて、一人の女性と新米弁護士がオーストリア政府を訴えるという前代未聞の裁判が幕を開けた……。(Movie Walkerより)
グスタフ・クリムトが描いた名画「黄金のアデーレ」をめぐって実際に起こった裁判と名画に秘められた数奇な物語が描かれます。毅然とした品のあるマリアをヘレン・ミレンが好演しています。
もしオーストリア政府が自国の面子に拘らず罪は罪、非は非と素直に認める姿勢があったなら、あの名画は今もかの国の美術館に飾られていたかもしれないのね どんな歴史も、その真実には個人の思惑が関わっているのかもしれませんね。
マリアは本当は自分の家族や幸せを奪っていった故国に謝って欲しかったのかも。当時の故郷の人々の、ユダヤ人への手のひらを返したような冷たい態度や裏切りを、悪かった、酷い過ちだったと詫びて欲しかっただけなのだと思います。
文科大臣(女性です)の居丈高で高慢な態度と逆に、マリアに尽力するジャーナリストのフベルトゥスは、かつてナチの熱烈な支持者だった父の贖罪の気持ちがあります。過去に目を背ける人々と過去を見つめてそこから前に進もうとする人々の図は今の日本にも当てはまる気がします。
ランディがマリアの依頼を引き受けた当初の目的はずばり「お金」でした。名画に莫大な金額の価値があると知ったからです。しかし、自分のルーツもまたオーストリアにある彼は、マリアの過去を辿るうちに考えを改めます。法外な預託金を前に諦めてしまったマリアでしたが、訴訟の道を見つけて、自分の職を投げ打ってまでこの戦いに踏み出したランディの気持ちに打たれ、裁判に臨むのです。
難癖をつけるオーストリア側に小気味良く釘を刺すアメリカの判事に喝采
そしてまさに「正義は勝つ」的決着が
ところでこれってオーストリア国内では上映されたのかな?
1998年、ロサンゼルス。マリア・アルトマン(ヘレン・ミレン)は、小さなブティックを切り盛りしながら、夫亡きあとも一人で溌剌と暮らしていた。そんなある日、ユダヤ人として波乱の人生を共にした姉のルイーゼが亡くなり、彼女が故郷のオーストリア政府にナチスに没収された絵画の返還を求めようとしていたことを知る。法が改定され、近々過去の訴えの再審理が行われるのだ。姉の遺志を継ぐと決めたマリアは、友人の息子で弁護士のランディ・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)に相談を持ちかける。彼は一度独立したがうまくいかず、妻パム(ケイティ・ホームズ)と赤ん坊を養うために再び雇われの身となっていた。問題の絵画はベルベデーレ美術館が所蔵するクリムトの名画で、モデルになったマリアの伯母アデーレが遺言で寄贈したとされているが、マリアも姉も遺言書など見たこともなかった。マリアは、家族や全てを奪われ友人を殺された国に二度と戻る気はなかったが、実の娘のように可愛がってくれた伯母の面影を胸に過去と向き合う旅に出ることを決意。ウィーンに着き、かつての自分の家の前に佇み、偉大なアーティストや音楽家、作家たちが出入りした日々をマリアは懐かしむ。その時、ジャーナリストのフベルトゥス・チェルニン(ダニエル・ブリュール)が二人の手伝いをしたいと声を掛ける。政府は国のイメージアップとして返還を持ち出したが、重要な美術品は手放さないはずだというのだ。その後、美術館を訪れたマリアは伯母が描かれた絵画との再会を果たし、当時を思い出す。ヒトラー率いるナチスの軍隊をオーストリアの人々は歓喜のなか花を投げて迎えた。一方、ユダヤ人は次々と捕えられ監視下に置かれ、マリアの家族も国外脱出どころか近隣への外出さえ制限された。フベルトゥスの力添えで、美術館の資料室からアデーレの遺言書が見つかる。確かに寄贈すると記されていたが、夫の死後という条件が破られていた。しかも絵画の所有権は実は伯父にあり、マリアと姉に全財産を残すという伯父の遺言だけが法的な効力を持っていた。審問会の日。審問会は新たな証拠を却下して返還を拒否、文化大臣は「ご不満なら残る道は裁判です」と言い放つ。マリアは毅然と「恥を知りなさい」と一喝するが、この国で裁判を起こすなら180万ドルという法外な預託金が必要だった。9か月後。何とか法の抜け道がないかと仕事の合間に勉強を続けていたランディは、アメリカで訴訟を起こせる条件を見つけ出す。過去は忘れたと一度は拒んだマリアも、ランディが事務所を辞めてまでこの戦いに全てを懸けようとしていると知り心を決める。やがて、一人の女性と新米弁護士がオーストリア政府を訴えるという前代未聞の裁判が幕を開けた……。(Movie Walkerより)
グスタフ・クリムトが描いた名画「黄金のアデーレ」をめぐって実際に起こった裁判と名画に秘められた数奇な物語が描かれます。毅然とした品のあるマリアをヘレン・ミレンが好演しています。
もしオーストリア政府が自国の面子に拘らず罪は罪、非は非と素直に認める姿勢があったなら、あの名画は今もかの国の美術館に飾られていたかもしれないのね どんな歴史も、その真実には個人の思惑が関わっているのかもしれませんね。
マリアは本当は自分の家族や幸せを奪っていった故国に謝って欲しかったのかも。当時の故郷の人々の、ユダヤ人への手のひらを返したような冷たい態度や裏切りを、悪かった、酷い過ちだったと詫びて欲しかっただけなのだと思います。
文科大臣(女性です)の居丈高で高慢な態度と逆に、マリアに尽力するジャーナリストのフベルトゥスは、かつてナチの熱烈な支持者だった父の贖罪の気持ちがあります。過去に目を背ける人々と過去を見つめてそこから前に進もうとする人々の図は今の日本にも当てはまる気がします。
ランディがマリアの依頼を引き受けた当初の目的はずばり「お金」でした。名画に莫大な金額の価値があると知ったからです。しかし、自分のルーツもまたオーストリアにある彼は、マリアの過去を辿るうちに考えを改めます。法外な預託金を前に諦めてしまったマリアでしたが、訴訟の道を見つけて、自分の職を投げ打ってまでこの戦いに踏み出したランディの気持ちに打たれ、裁判に臨むのです。
難癖をつけるオーストリア側に小気味良く釘を刺すアメリカの判事に喝采
そしてまさに「正義は勝つ」的決着が
ところでこれってオーストリア国内では上映されたのかな?