杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

3月のライオン 後編

2017年11月28日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年4月22日公開 139分

桐山零(神木隆之介)が川本家と出会って1年が経ち、今では家族の一員のように3姉妹と自然に食卓を囲んでいる。今年も獅子王戦トーナメントの季節が始まったが、幸田柾近(豊川悦司)は引きこもってゲームばかりしている長男・歩を叱り反対に突き飛ばされてしまい、頭のケガで緊急入院して不戦敗となる。長女・香子(有村架純)は仕事も続かず、不倫相手のプロ棋士・後藤正宗(伊藤英明)への想いを持て余し、幸田家は崩壊しかかっていた。一方、後藤は入院中の妻の容体を案じていた。二海堂晴信(染谷将太)は実は難病を抱えていたが、それでも戦うことを望んでいた。初タイトルを目指す島田開(佐々木蔵之介)は故郷・山形の人々のプレッシャーに押し潰されそうになり、“将棋の神の子”と恐れられる宗谷冬司(加瀬亮)も重大な秘密を隠していた。そんななか、川本家の次女ひなた(清原果耶)のクラスでいじめが発生する。さらに3姉妹を捨てた父親(伊勢谷友介)が現れ、とんでもない要求を押し付ける。大切な人たちを守るため、零はトーナメントに挑む。(MovieWalkerより)

 

2部作の後編は18歳になった桐山零のプロ棋士としての戦いや、零を取り巻く人々とのドラマが描かれています。

伊勢谷さんってば、この作品も、今出演しているTVドラマでも「悪~~い」キャラです 狡いのに人当り良く見せてあまり憎めない人物像を演じるのが上手いです。零が身勝手な父親から姉妹を守ろうと思う気持ちが空回って逆に姉妹の心を傷つけてしまうシーンは辛いものがあります。零が父親に向けて放った言葉は、理路整然としていて的を射ているだけに辛辣さがヒリヒリと突き刺さるの。どんなにダメな人間でも父であり家族であることは消せないのです。それでも姉妹は辛い決断をします。零の言葉には動じなかった父親も姉妹から突き付けれられた決別宣言の前にはすごすごと去るしかできないのです。

飄々として浮世を超越しているように見えた宗谷名人にも人知れぬプレッシャーの重圧で体に変調を抱えているとか、妻危篤の知らせに長考時間を使って病室に飛んで行った後藤とか、人間の弱い部分もちゃんと描かれているのが良いです。

香子は零との対局に集中するため後藤に遠ざけられていよいよ将棋を恨みますが、父親から零に負けた幼い日の将棋は諦めなければ生きる道があったことを指摘されたことで、自分の不幸は自らが招いたものであることに気付きます。零との対局に負けた後藤を家の前で待ち、寄り添う彼女は、片意地張った以前の姿とは違って見えました。

ラストシーンは宗谷名人との対局に赴く零から向かい合う二人の姿までが描かれます。その勝負の決着は映画では見られません。ここまできたら勝ち負けはどうでもいい気がしてきます。一回り成長した零をもっと見ていたくなりました。


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ダイバージェントFINAL

2017年11月26日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年8月19日公開 アメリカ 120分

近未来、人類が5つの派閥に分類・管理されていた社会体制が崩壊し、世界の真実を告げるメッセージがシカゴの街にこだましていた。『皆さんを隔離から解放する時がきました。仲間が待っています、希望を胸にフェンスの外で──』新たなシカゴの支配者の座にのし上がったイブリン(ナオミ・ワッツ)は、街全体を巨大なフェンスで封鎖し、外へ脱出しようとする者たちを強権的に阻んでいた。イブリンら新勢力は混迷を極める民衆を鎮静化させるため、前支配者であるジェニーンの部下を裁判という名のもとに処刑していた。その惨状を目の当たりにした元【平和】の派閥リーダー、ジョアンナ(オクタヴィア・スペンサー)は、新たなコミュニティ【忠誠者(アリージェント)】を名乗り、イブリンとの対決姿勢をとる。内戦の気運が漂うなか、フェンスの外の世界に希望を見出そうとしたトリス(シャイリーン・ウッドリー)は恋人のフォー(テオ・ジェームズ)、兄ケイレブ(アンセル・エルゴート)、トーリ(マギー・Q)、クリスティーナ(ゾーイ・クラヴィッツ)、ピーター(マイルズ・テラー)らと共に脱出作戦を決行する。イブリンの部下エドガー(ジョニー・ウェストン)たちの執拗な追撃に阻まれながらもそびえたつフェンスを突破し、生まれて初めて未知なる外界へ──。しかしそこには汚染で荒れ果てた大地が広がっており、期待していた世界とは全く違った。
「遺伝子繁栄推進局」へと案内された5人は、人類が過去に試みた遺伝子操作が世界の格差を生み民衆の間に亀裂が生じたことよって地球規模の大戦争が起きたこと、それを教訓に純潔な遺伝子を持つ“純粋者(ピュア)”を誕生させるプロジェクトが進められ、人類が実験台として利用されているという衝撃の事実を知る。
局長のデイビッド(ジェフ・ダニエルズ)と面会したトリスは、“損傷者(ダメージド)”だった亡き母がここで損傷遺伝子の修復を受け、人類に希望を与えるため自ら志願して実験台になったこと、その結果自分だけが“純粋者”の遺伝子を持つ人間として誕生したことを初めて知らされる。 一方、フォーとクリスティーナは訓練官ニータ(ナディア・ヒルカー)ほか軍隊とともに汚染された地域の子供たちを救出し遺伝子繁栄推進局で保護するという任務に就いていた。だが、フォーたちが実際目にしたのは健康な子供たちを強引に略奪し、記憶消去ガスによって強制的に人格修正をするという恐ろしい企みだった。その頃、【忠誠者】たちの反乱を封じる手段を考えていた支配者イブリンは、デイビッドがシカゴに秘密裏に配備させていた記憶消去ガスを発動させ、全市民の記憶を抹消しようと動き出していた。果たして、トリスたちは故郷シカゴを救い人類の記憶を守ることができるのか――!?(公式HPより)


「ダイバージェント」シリーズの第3作は、「無欲」「平和」「高潔」「勇敢」「博学」の5つの派閥で構成・管理される社会体制がクーデターで崩壊した後の物語です。派閥が解消されたらみんな仲良く・・とはいかないところが人間社会ってこと?人はあくまで支配に固執する生き物なのでしょうか

トリスはメッセージの主に会いに行こうとシカゴからの脱出を試みます。志を同じくするフォー・トーリ・クリスティーナと自分を裏切り殺そうとした兄のケイレブ、勝手についてきたピーターも含めた一行はフェンスを越える際、トーリが撃たれて犠牲に 

初めて見る外の世界は赤い放射能の雨の降る殺伐とした場所でしたが、連れていかれた遺伝子繁栄推進局はシカゴより遥かに進んだ科学を持っていました。驚くことに、シカゴは彼らの常に監視下にあったのです。

デイビッドはシカゴは実験だと言います。それ自体が非常に傲慢不遜です。フォーは汚染地域での子供攫いの実態を目の当たりにして、デイビッドに不信感を抱きますが、トリスはデイビッドに吹き込まれた理想を信じて自分が世界を変えられると意気込むの。恋人たちの間に束の間溝ができますが、すぐに隠された真実に気付いたトリスはフォーや故郷シカゴの人々を救うために仲間と共に戻っていくのです。

さて、今回もピーターは見事なヒールぶりを見せてくれます。ある意味裏切らない男デイビッドと取引をして、イブリンを唆し、記憶消去ガスを放出させるのですが、安全と思っていた操作室にもガスが入り込んでくるとパニクって墓穴を掘っちゃうあたり、まだまだ甘い!このガスはどうやら空気より重いようで底面を漂う仕様ですが、あんなに大量にばら撒いておいて、主要人物が一人も吸い込まないあたり、だいぶご都合主義な展開ではあります。(イブリンも撃たれたのに死なないしなぁ)

前作では裏切り者だったケイレブが今回は兄妹愛をみせ頑張ってくれて、危機は回避。トリスはデイビッドにシカゴの独立を宣言して終わるのですが・・・ファイナルと銘打っているからには完結編だと思っていたけど、ラストのワンシーンがちょっと意味ありげ(評判良かったらまたまた続編作っちゃう?

 


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3月のライオン 前編

2017年11月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年3月18日公開 138分

春のある日、東京の将棋会館で、17歳のプロ棋士・桐山零(神木隆之介)は、義理の父で師匠の幸田柾近(豊川悦司)との対局に勝利する。9歳の時に交通事故で両親と妹を失った零を内弟子として引き取ったのが、父の友人の幸田だった。零は幸田家を出て、下町のアパートで一人暮らしを始めていた。1年遅れで再編入した高校では、会話を交わすのは担任の林田先生(高橋一生)だけだ。中学生でプロ棋士としてデビューした零は、史上5人目の天才ともてはやされているが、家も家族も友達もなかった。ある時、具合が悪くなって道に倒れていた見ず知らずの零を、近隣の町に住む川本あかり(倉科カナ)が自宅へ連れて帰り介抱してくれる。その日から、長女のあかり、次女のひなた(清原果耶)、末っ子のモモ(新津ちせ)の3姉妹、すぐ側で和菓子屋〈三日月堂〉を営む祖父の相米二(前田吟)と零との温かな交流が始まる。冬を迎えたある夜、零の部屋の前で義姉の香子(有村架純)が待っていた。妻のいるプロ棋士の後藤正宗(伊藤英明)と微妙な関係を続けている香子は、かつて弟の歩と共にプロ棋士を目指していた。二人が零に勝てなくなった時、幸田は自分の子供たちにプロへの道を諦めさせる。荒れる香子を見て零は家を出たのだが、香子も父親を避けて家をあけるようになっていた。新年を川本家で迎える零。楽しいお正月は、皆で初もうでに出かけた神社で、後藤と香子に出くわしたことで一変する。零は香子から、もし自分が獅子王戦トーナメントで後藤に勝ったら、家に戻るという約束を強引に取り付ける。獅子王戦─それは、将棋界の最高峰を決めるビッグタイトルの一つ。タイトル保持者の宗谷冬司(加瀬亮)と闘う挑戦者をトーナメントで決めるのだ。零が後藤に当たるには、島田開(佐々木蔵之介)を倒さなければならない。さらに幼い頃からのライバル、二海堂晴信(染谷将太)が「新人王になる」と宣戦布告した、新人戦トーナメントも待ち受けていた──。(公式HPより)

 

羽海野チカのコミックの実写映画化で二部作の前編です。

家族をいっぺんに喪った幼い零は、自分を引き取ってくれる者がないことを察知して、生きるために「将棋が好きだ」と嘘を付きました。プロ棋士である父の友人の幸田に引き取られた後も、そこでの居場所を作ろうと必死に将棋を学びますが、逆に幸田の子供たちと溝ができてしまいます。零より劣ると悟った幸田は子供たちにプロの道をあきらめさせるのですが、そのことで姉の香子はより強い憎しみを零に感じるようになるのです。彼女は少女の時から零を敵視してことあるごとに虐めますが、それは父親の愛情を取られてしまうことへの恐れだったのかな。

プロ棋士となった零は家を出て独り暮らしを始めていますが、その住まいは川を臨んだアパートで、窓からの眺めは素晴らしいものがありますがなぜかカーテンがない夜景の美しさが逆に孤独感を高める景色です。

幸田と対局して勝ったことがさらに零の孤独を高めます。飲めない酒を飲んで苦しんでいた彼をあかりが連れ帰ったことで川本家の姉妹や彼女たちの祖父と知り合い、そのアットホームな雰囲気に癒されていく零。川本家の食事風景がまた何とも美味しそうで和やかでいかにも下町の家族のあたたかさに満ちています

しかし、零は全く孤独というわけではないのね。林田先生は良き理解者だし、将棋の同輩や先輩にも恵まれています。癖のある棋士たちが次々登場するのも観ていて楽しかったなぁ。零のライバルで親友の棋士・二海堂晴信を演じた染谷将太は特殊メイクでまんまるな風貌ですが、「ヒカルの碁」の倉田さんと外見は似ていますが、難病を抱えているための体型なのね 

香子と不倫関係にある後藤は零に敵視されますが、実は彼は病床の妻に献身的な看病をしています。単純なヒール役ではなさそう。彼との対決に固執するあまり、島田を軽んじて臨んだ一局で、零は自分の甘さを思い知らされ、彼の研究会に入ります。前編のハイライトは何といっても島田八段と後藤九段の対局シーンです。加瀬亮演じる宗谷名人の静謐な佇まいに圧倒されてしまいました。(そういえば、こちらも「ヒカルの碁」の塔矢名人と似てるなぁ

原作者は、3月のライオンのテーマは将棋そのものではなく、将棋を職業とした一人の男の子の人生を描いたのだと語っています。後編ではさらに彼と彼を取り巻く人間模様が描かれるのかな?


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彼らが本気で編むときは、

2017年11月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年2月25日公開 127分

11歳の女の子トモ(柿原りんか)は母親のヒロミ(ミムラ)と2人暮らし。ところがある日、ヒロミが育児放棄して家を出てしまう。ひとりぼっちになったトモが叔父マキオ(桐谷健太)の家を訪ねると、マキオは美しい恋人リンコ(生田斗真)と暮らしていた。元男性であるリンコは、老人ホームで介護士として働いている。母親よりも自分に愛情を注いでくれるリンコに、戸惑いを隠しきれないトモだったが……。


トランスジェンダーのリンコと育児放棄された少女トモ、リンコの恋人でトモの叔父のマキオが織り成す奇妙な共同生活を描いています。「かもめ食堂」を撮った監督(荻上直子監督)だったんですね~。しみじみした味わいのある良作でした。

トモは11歳の少女ですが、歳の割に大人びています。母親は育児より自分の欲求に忠実で、トモを置いて男とどこかに消えてしまいますが、以前にもあったことのようでトモは動じず、叔父の元へ(母の置手紙にそう指示されていたのかな)。ところが叔父のマキオは独りではなく、トランスジェンダーのリンコと暮らしていました。リンコ役の斗真君はガタイが良いので、外見はやはり男性が女装しているようにしか見えませんが、立ち居振る舞いは女性そのものに見えるのが凄いです。(胸はCGですかね

その少し前、クラスメイトたちが黒板に心無い落書きするシーンが登場します。それを消す同級生のカイはリンコと仲良しですが、二人は教室では素っ気ないふりをしています。母子家庭のトモは男子のからかいの対象で、裕福な家の息子だけど上級生の男子に淡い想いを抱くカイもまたクラスで少し浮いています。でもトモはそんなカイを自然に受け入れています。

初めはリンコの存在に戸惑いを隠せなかったトモですが、リンコの作る食事は温かく美味しく、コンビニおにぎりや居酒屋のつまみしか与えられて来なかったトモの心とお腹に沁みていきます。スーパーで偶然出会ったカイの母(小池栄子)から「変な人といない方が良い」と言われて思わず手に持っていた食器用洗剤をかけてしまったトモですが、それは彼女の精一杯の抗議です。カイの母親はトランスジェンダーに理解のない世間一般を代表したキャラとして登場しています。もしかしたら息子が他の男子と違うことに薄々気付いて動揺していたのかも。彼女にはリンコの存在を受け入れる余地はなく、児童相談所に通報したのも自分(とカイ)の周囲から異質な存在を締め出したかったのかもしれないなぁ

リンコが怪我をして検査のため入院した際にも、戸籍がまだ男性のため、男性の大部屋に入れられます。人権侵害だと憤るマキオの脇をすり抜け男臭い大部屋にいるリンコの元へ駆けつけたトモは悔しくて泣いてしまい、逆にリンコに慰められます。

様々な差別を受けてきたであろうリンコはその悔しさや怒りを編み物をすることで解消していました。リンコの手ほどきでトモやマキオもそれぞれ秘めている思いを編み物に込めていきます。リンコの作っているのは彼女が失くした男根です。それを人間の煩悩の数である108個作って燃やすことで、リンコは以前の性との最終的な決別をして戸籍も女性に変える決意をしていました。トモとマキオも協力し、海辺で焚き上げるシーンはとても美しかったです。

回顧シーンではリンコの中学時代も登場します。男性としての自分への違和感に苦しむ息子を母のフミコ(田中美佐子)は受け入れ、励まします。胸が欲しいという彼にブラと編んだ胸を贈るエピソードに胸が熱くなりました。ありのままの子供を受け入れることはとても難しいし、世間の目が気になるだろうし、でもフミコはそんな諸々を全て引き受けて応援しようと決めたのですね。その対極に描かれているのがカイの母というのも切ないな~。息子の部屋で上級生へのラブレターを見つけたカイの母はそれを破り捨てますが、それを知ったカイは自殺を図ります。罪深い存在だと母から責められたカイへ、見舞に忍び込んだトモは絶対違うと言います。大丈夫!トモがいたらカイは生きていけるよ。理解者がいるって本当に心強いことだよ

ある日、ヒロミが突然帰ってきて、トモを連れて行こうとします。母親としての態度を非難され、トモを引き取りたいと言われて思わずリンコに食ってかかる母に、トモが投げかけた言葉が切なく胸を刺します。ヒロミだってトモを愛していないわけじゃないんです。トモの祖母(りりィ)から厳しくされて育ったヒロミには愛し方がわからなかった・・夫が浮気して出て行ってから死んで帰ってくるまでの間、祖母は憎しみを編み物に込めていたこと、敏感だったヒロミがそれを察して決して袖を通さなかったことなどが認知症の祖母がリンコへ内緒話をするという形で明かされるのですが、祖母だってヒロミを憎んでいたわけではなく、愛情が歪んでしまっただけだったのですね

うん、誰も悪い人は出てこない。皆が誰かを愛していて、でもその愛を素直に表現できる人と屈折する人がいて・・間違いを指摘するのは簡単だけど、人の感情は単純じゃないものね。

どんなに放置されていたとしても、トモにとって一番はやはりお母さん。今度こそちゃんと抱きしめてもらえるといいね。そう願ってしまうラストでした。


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ローガン・ラッキー

2017年11月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年11月18日公開 アメリカ 119分

足が不自由で仕事を失い、家族にも逃げられ失意の人生を送る炭鉱夫ジミー・ローガン(チャニング・テイタム)にはある企みがあった。それは、まもなく開催される全米最大のモーターカーイベントNASCARのレース中に大金を盗み出すという<前代未聞の強奪計画>―。早速、戦争で片腕を失った元軍人で冴えないバーテンダーの弟クライド(アダム・ドライヴァー)と、美容師でカーマニアの妹メリー(ライリー・キーオ)を仲間に加えたジミーだったが、ツキに見放されてきたローガン一家だけでは頼りがない。そこで、この大胆な犯行を成功させるため、爆破のプロで現在服役中の変人ジョー・バング(ダニエル・クレイグ)に協力を仰ぐ。彼を脱獄させてレース場の金庫を爆破した後、看守が彼の不在に気づかないうちに刑務所に戻すという作戦だ。レース当日、ローガン一味は、何百万ドルもの売上金を運ぶ気送管設備があるサーキットの地下に侵入。全米犯罪史上最も驚くべき強盗事件は成功したかのように見えた…しかしFBI捜査官の執念深い捜査の手がすぐそこまで迫っていた――(公式HPより)

 

初めのうち、B級のおバカ作品かと思い「ハズレだな」と思ってしまいましたが、話が進むうち引き込まれていって、強盗が成功した後からの展開が更に面白くてさすが「オーシャンズ11」シリーズのソダーバーグ監督作品だけはある!と納得しました。

ダニエル・クレイグが出演していることも選択した理由ですが、ジミーの弟役を演じているのが「SW」のカイロ・レンを演じている人だったとは知らなかった~

登場するのはどうみても利口には見えない面々。(だからB級と誤解しちゃったんだよな~)計画も杜撰に見えたし、行動も行き当たりばったりに思えたし・・どうせ捕まっちゃうんだろうと思っていたら・・・あれ?・・意外としっかり綿密な作戦立ててるじゃないですか

脱獄の手口も、囚人仲間の協力をとりつけてあるし(囚人の暴動を公表したくない所長の性格も計算済だったの?)彼らの要求の一つがジョージ・R・R・マーティンの小説「炎と氷の歌」シリーズ最新刊というのに大爆笑しちゃいました。マーティンが宣伝活動に時間を取られて執筆が遅れているとか、ドラマの方が小説より先を行ってるとか、この小説のファンとしては非常にオイシイ「ネタ」でした 

爆弾犯を演じているダニエルの変人ぶりも見ものです。(絶対本人は楽しんで演じてるぞ

グミと接着剤?で爆弾作っちゃうんですが、化学式を書いて説明するあたりはやっぱり「プロ」 彼の弟のフィッシュ(ジャック・クエイド)はPCに強くカード決済機能をダウンさせ、サム(ブライアン・グリーソン)は雑用を一手に引き受け必要なものを調達します。ふたりともオツムの軽い人にしか見えないんだけどな~

ツキに見放されてきたローガン一家という触れ込みですが、その仕事ぶりはおおざっぱに見えて実はけっこう用意周到。ジミーが奪ったお金を返した意図が最初わからなかったのですが、全部返したわけじゃなかったのね。一部着服しても、サーキットの運営会社側は保険で補填できるので、誰も損をしないというからくりがありました。

ローガン兄弟とトラブルになったマックス(セス・マクファーレン)がクライドの姿を目撃していたのですが、彼の証言はある事情から嘘と見なされてしまいます。 マックスはイラク戦争に従軍して左腕を失ったクライドを嘲笑したことで兄弟から「報復」を受けるのです。

クライドの義手はストーリー展開において、一種のキーポイントになっています。事件後の義手は最先端のハイテクなものに変わっているの

事件を追うFBIは結局犯人を挙げられず退散することになりますが、ラストでクライドのバーに現れたのは捜査官のサラ(ヒラリー・スワンク)。諦めてないのか?

ジミーの娘がおしゃまで可愛い美少女コンテスト出場というのもいかにもアメリカ的ですが、あの手のコンテストでは、どうしてあんなにどぎつい化粧を子供に施さなきゃならんの

彼女が歌う上手とは言えないけど素朴な「カントリーロード」が何気にです。


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チア☆ダン 〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜

2017年11月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年3月11日公開 121分

中学を卒業した友永ひかり(広瀬すず)は、県立福井中央高校に進学。中学から一緒だった同級生の孝介(真剣佑)がサッカー部に入部したことを知り、彼を応援したいという軽い気持ちでチアダンス部の扉をたたいた。しかしチアダンス部の顧問・早乙女薫子(天海祐希)は全米大会制覇を目標に掲げ、額を出す髪形にすること、恋愛は禁止というルールを課して厳しく指導にあたっていた。あまりのスパルタぶりに続々と退部者が出たが、ひかりはチームメイトの同級生・彩乃(中条あやみ)の存在もあり、部活を続けることに。全米大会制覇を目指し、チアダンス部の挑戦がはじまった。(ムービーウォーカーより)


2009年3月に福井県立福井商業高等学校のチアリーダー部が全米チアダンス選手権大会で優勝した実話の映画化です。チアダンス初心者の女子高生たちが全米の大会で優勝という前代未聞の快挙を成し遂げる過程が描かれていますが、とにかくこの話が実際にあったというのが凄い!!

広瀬すずたち演者のダンスも本格的で、さぞや猛特訓したのだろうと想像できます。そしてここにも真剣佑君が出てる~~(去年あたりから間違いなくブレイクしてるよね

初めはバラバラだった部員たちが、次第に友情を育み、一つの目標に向かって一丸となって進様はまさに青春物語。お友達関係に浸かるのではなく、切磋琢磨しながら自分に厳しく向き合う姿も好感が持てました。

ヒロインのひかりは笑顔の素敵な女の子ですが、その笑顔は応援したい人がいるから、そして彼女の笑顔は周囲を巻き込み元気にさせる天性の輝きがあります。「端っこでもセンターで踊っているつもりで」という決意がチーム一人ひとりにも力を与えていくのです。

全米のダンス大会に出場して予選突破し、決勝でのダンスは本当に見事!スクリーンで観れば良かったなぁとちょっと後悔

顧問役の天海さんはTVドラマでも似たようなキャラを演じることが多いですが、あの豪快さは観ていて気持ちが良いです


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名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)

2017年11月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年4月15日公開 112分

ある日、大阪の日売テレビで爆破事件が発生。局内では日本の百人一首界をけん引する「皐月会」が開催する皐月杯の会見収録が行われており、現場はパニックに。そこに居合わせ、崩壊するビルの中に取り残された西の名探偵・服部平次は、駆けつけたコナンに間一髪で救われる。テロのようでありながら、犯行声明もない爆破事件に違和感を抱くコナンと平次だったが、そんな騒動の中、コナンは平次の婚約者だという女性と出会う。(映画.comより)


青山剛昌のコミックをアニメ化した「名探偵コナン」の劇場版21作目は、「百人一首」をキーワードにした大阪・京都が舞台。服部平次と東西の高校生探偵揃い踏みです。一年前の2016年春公開の「ちはやふる」で世間的にもかるた競技の認知度が高まりましたが、コナンにも早速取り入れられたのかな?と思ってしまいました

新一と蘭の関係同様、平次と和葉も傍から見たらバレバレなのに本人同士は互いの気持ちを確かめ合っていないもどかしさ全開のカップル。今時こんなプラトニックありえる?と突っ込むのは野暮でしょう

事件の裏には、「皐月会」をライバル視していた「名頃会」の代表で紅葉の師匠の名頃が絡んでいる・・と思わせて実はな展開。疾走という時点で「何かある」と思ってしまうんだよね~~なので推理の醍醐味は薄いのですが、(阿笠博士の発明品の力を借りてはいても)相変わらずなコナンの超絶運動神経とありえない窮地からの脱出を素直に楽しみました。

真犯人の「愛」故の動機は身勝手ではありますが、名頃の秘めた想いが明かされて更に悲劇を煽っていました。

紅葉は平次の言葉を一文字聞き逃していたために誤解していたのですが(「ヨメ」と「つよめ」・・それってありかよ)思い込みって恐いわぁ 

殺された矢島のライバル役の関根の声は宮川大輔ですが・・棒読みしてるのかと思ったぞ・・


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ラストレシピ 麒麟の舌の記憶

2017年11月13日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年11月3日公開 126分

1930年代、日中戦争前の満州国にやってきた天皇の料理番・山形直太朗(西島秀俊)は、陸軍の三宅大佐(竹野内豊)からの依頼で112品目から構成される伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」を考案する。しかし、そのお披露目の直前、とある陰謀によって「大日本帝国食菜全席」のレシピはいずこかへと失われ、歴史の闇に消えてしまった。それから70年後の現代、一度食べればどんな味でも再現できる絶対味覚「麒麟の舌」を持ちながら、料理への情熱を失ってしまった天才料理人・佐々木充(二宮和也)は、中国料理界の重鎮である楊晴明(笈田ヨシ)という老人から、失われたレシピを探して欲しいと依頼される。(映画.comより


「料理の鉄人」の演出家・田中経一氏の小説の映画化。「おくりびと」の滝田洋二郎監督と脚本が「永遠の0」の林民夫氏と知り、作品全体に漂う雰囲気に妙に納得しちゃいました。観客も平日の午前中の割にはけっこう入っていて、山場にくると鼻をすする音があちこちから聞こえてきましたが、個人的には少しうるっとしただけで泣くまでには至りませんでした。だって、充がレシピを求めて訪ね歩く早い段階から「あれ?もしかして・・」と先が読めちゃったんですもの

ただし、陰謀の中身については「そうきたか!」でした歴史的にも(軍部なら)ありそうな話だと思わせてくれます。

映画は1930年代と2000年代を行き来します。充や親友の柳沢健(綾野剛)が持つのは携帯電話でスマホじゃありません 充は一度食べた味を再現できる麒麟の舌の持ち主ですが、料理に妥協を許さない姿勢から店を潰し、借金返済のために人生最後に食べたい料理の依頼を法外な値段で受けていました。彼の料理への情熱は作るという一点に集約されていて、食べる人のことに思いが至っていなかったのです。

料理人になることを反対されて育った施設を15歳で飛び出して以降、一度も帰っていなかった充は園長に対してもわだかまりを持っていました。

ところが、お金目当てで引き受けた楊の依頼で失われたレシピを探す中で、彼は様々な人からレシピを考案した山形についての話を聞かされます。

天皇の料理番だった山形は軍の命令で妻・千鶴(宮崎あおい)、調理助手の鎌田(西畑大吾)と満州で「大日本帝国食菜全席」のレシピ作りを命じられます。日本と世界の架け橋になるべくレシピづくりに没頭する山形に千鶴は、彼自身が料理を楽しめなければ食べる人に伝わらないと諭します。千鶴が出産時に亡くなった時、彼は厨房に立ちます。それは妻との思い出の一品を作り偲んだのです。やがてレシピは完成しますが、三宅から恐ろしい陰謀を告げられ、共に働いてきた中国人の楊を守るため敢えて彼を追放し、自身はレシピを燃やしてしまうのです。山形には料理を冒涜する行為は例え殺されても出来なかったのです。 

初めのうち、山形の料理人としての姿勢に自分と共通するものがあると思った充ですが、自分しか信じていなかった山形が助手や楊へ信頼を置くようになるあたりからは反発を感じだします。 充にとって料理とは孤高の中を突き進むものだったから・・。

楊が全て知っ。た上で自分を欺いた理由を詰問する充に、楊は山形からの手紙を見せます。そこにはレシピが幻に終わった顛末が記されていました。山形は軍に提出したレシピとは別にもう一冊を手紙と共に楊の手に渡るよう手配していました。それは時を経て山形夫妻の一人娘・幸に届きますが、そのレシピを守るために幸は命を落としてしまいます。もうここまで進めば、充にも山形と自分の絆が見えて当然ですね そしてこの探索を仕掛けたのは充の料理人としての将来を憂えた親友の健だったことが明かされます。(いや~~健めっちゃ良い奴!)

レシピを探す旅は同時に充の頑なだった心を解きほぐす旅でもあったのです。山形のレシピの最初には料理への愛情溢れる言葉が、最後に付け加えられた幸の「カツサンド」のレシピには幼い充の写真が添えられていました。自分は誰からも愛されていないと思い込んでいた充ですが、彼の周囲には溢れるほどの愛に満ちていたことに気付き、充は変わる筈。そう思える余韻がありました。 エンドロールもこのレシピが紹介されていて、飽きることがありません。

服部幸應氏が全面協力したメニューの映像はまさに豪華絢爛。劇中に登場する料理はどれもこれも美味しそうで、これは空腹で観てはいけない映画です


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はじまりへの旅

2017年11月12日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年4月1日公開 119分 アメリカ

どこを見渡しても雄大な自然が広がるアメリカ北西部。電気やガスはおろか、携帯の電波さえ届かない大森林の中で、自給自足のサバイバル生活を送る奇妙な一家がいた。高名な哲学者ノーム・チョムスキーを信奉し、現代の文明社会に背を向けた父親ベン・キャッシュ(ヴィゴ・モーテンセン)と6人の子供である。18歳の長男ボウドヴァン(ジョージ・マッケイ)、15歳の双子キーラー(サマンサ・アイラー)とヴェスパー(アナリース・バッソ)、12歳の次男レリアン(ニコラス・ハミルトン)、9歳の三女サージ(シュリー・クルックス)、そして7歳の末っ子ナイ(チャーリー・ショットウェル)は学校に通わず、先生代わりのベンの熱血指導のもと、古典文学や哲学を学んで6ヵ国語をマスター。おまけにアスリート並みに体を鍛え、ナイフ1本で生き残る術まで身につけていた。子供たちにとって大森林での生活は毎日が冒険で、そこはまさにキャッシュ家の理想の楽園だった。ある日、“スティーブ”と名付けたバスに乗って山のふもとの雑貨店を訪れたベンは、数年前から病で入院していた妻レスリー(トリン・ミラー)が亡くなったという知らせに心を痛める。泣きじゃくる子供たちは、「お葬式に行かなくちゃ」「ママに会いたい」と懇願。レスリーの父親ジャックと折り合いが悪く、「来れば警察を呼ぶ」と警告されているベンはためらうが、意気消沈した子供たちを不憫に思い、彼らの願いを受け入れる。目指すは2400キロ離れたニューメキシコ。一家が成し遂げるべきミッションは、仏教徒のママを教会から“救出”すること。ベンが「戦闘開始だ!」と号令をかけると、バスに乗り込んだ子供たちは一斉に雄叫びを上げた。大森林の家から初めて“下界”に降りたサージやナイは、車窓の外に広がる光景に興味津々。お腹を空かせた子供たちはダイナーのホットドッグやハンバーガーに目を輝かせるが、コーラを“毒液”と見なすベンは何も注文せずに店を出て、スーパーマーケットでミッション“食べ物を救え!”を実行。まんまと盗んだチョコレートケーキを子供たちに振る舞った。この日の宿は、ベンの数少ない理解者の妹ハーパー(キャスリン・ハーン)とその夫デイヴ(スティーブ・ザーン)の自宅。ところが夫妻の2人の子も交えたディナーは、ベンらが常識外れの言動を連発したせいで最悪の雰囲気に。ハーパーはたまりかねて「子供たちは学校へ行くべきよ」と諭すが、そんな忠告に耳を貸すベンではなかった。ハイウェイを走り続けた一家がキャンプ場に泊まった夜、ボウドヴァンはそこで出会った大人びた美少女クレア(エリン・モリアーティ)とプールサイドでトンチンカンな会話を交わし、まさかのファーストキスを経験。心臓が破裂しそうな衝撃を受けた彼は、クレアの母親の目の前で跪き、大真面目に結婚を申し込んでしまう。こうしてボウドヴァンの初恋は切なくも砕け散った。遠路はるばるニューメキシコに到着した一家は、厳かに葬儀が進行中の教会にド派手なファッションで乱入。しかしベンを心の底から憎むジャックに、埋葬への参列を拒まれてしまう。このままではママを救えない。しかも大学進学を夢見るボウドヴァン、ベンの極端な教育方針に反発するレリアンが次々と不満をぶちまける。さらに子供たちの養育権を法的に争うとジャックに宣告され、新たなミッション中に起きたアクシデントで、たちまち窮地に立たされたベンの信念が揺らぎ出す。子供たちの未来を思い、父親として重大な選択を迫られたベンは、いかなる決断を下すのか。そして最大の危機に直面した一家は、綻びかけた絆を取り戻すことができるのか……。(公式HPより)

 

ヴィゴが出演しているのでセレクトした作品です。 ・・・が、演じているベンという人物には殆ど共感できませんでした

森の中で他人と交わらず自給自足の生活を送る一家ですが、教育度はかなり高いしサバイバル能力も桁違い。この父親(と母親)がどこでそのスキルを身に着けたのか気になるぞ(その辺のことは一切描かれていない)この両親に育てられた子供たちは自分たちの境遇に何の疑問も感じていない・・・かと思いきや、レリアンは自分たちの生き方が社会からずれていることに薄々気付き始め、ボウドヴァンは父親に内緒で大学を受験し合格(それも名立たる有名大学総なめ)しているという・・・これは彼が社会に出ていこうとしていることを意味します。

ベンは、世間一般からみればかなり浮いた存在で、自分の生き方を子供たちに強制しているという自覚がありません。独特の教育方針を持ち、例えば性や死に関してもタブー視せずにありていに事実を説明します。彼の子供たちには自然なことでも、甥っ子には刺激が強すぎるだろうとは思いつかないのです。また、彼が妻のために良かれと思って始めた森の生活も彼女の病気の回復には役立たなかったようですが、そのことにも目を背けていました。

その場に相応しいとは言えない恰好で葬式に訪れた一家に戸惑う祖父母。警察を呼ぶとは言ったものの、実際にベンを突き出すということはせず、孫たちを温かく迎えます。レリアンは祖父母と暮らすことを望み、彼を連れ戻そうとするベンの指示に従った双子の一人が怪我をしてしまいます。ここで初めてベンは自分が子供たちの人生を狭めているのではないかと気付くのです。また、ボウドヴァンの受験はレスリーの助言があり手助けをしていたということも明かされます。彼女は心を病んでいたとはいえ、ベンよりは客観的に子供たちの将来について案じていたのでしょう。

子供たちを祖父母たちに託し、独り去ろうとするベンですが、子供たちが彼についていきます。彼らは教会の墓地ではなく火葬してトイレに遺灰を流して欲しいという母レスリーの願いをどうしても叶えたかったのです。墓地から遺体を掘り出してスティーブに積み、自然の中で火葬する一家の姿は道徳に反しますがなかなか素敵です。キリスト教徒である祖父母たちと仏教を信じていたというレスリー。宗教のことはよくわからないけど、祖父母もベンや子供たちもレスリーを心から愛していたということは伝わってきました。

この後の顛末は省かれていますが、長男は広い世界に出ていき、一家は(おそらくは)田舎に住み、学校にも通うようになっています。ベンも自分の考えを子供に押し付けるのではなく、社会性を育みながら子供たち自身に選ばせることにしたのかな。


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ナイスガイズ!

2017年11月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2017年2月18日公開 116分 アメリカ

シングルファーザーで酒浸りの私立探偵マーチ(ライアン・ゴズリング)は、腕力で揉め事を解決する示談屋ヒーリー(ラッセル・クロウ)に強引に相棒にされ、失踪した少女アメリア(マーガレット・クアリー)の捜索を開始する。凸凹コンビに、13歳で車の運転までこなすキュートなマーチの娘・ホリー(アンガーリー・ライス)が加わり捜索を進めていくと、簡単なはずだった仕事は、1本の映画にまつわる連続不審死事件へと繋がり、やがて3人はアメリカ国家を揺るがす巨大な陰謀に巻き込まれていく―。コードネーム“オールドガイ”(キース・デヴィッド)“ブルー・フェイス”(ボー・ナップ)“ジョン・ボーイ”(マット・ボガー)…次々と襲い来る凄腕の殺し屋に標的とされ、3人は命がけで事件解決に奔走する―(公式HPより)


ライアン・ゴズリングとラッセル・クロウがタッグを組んだバディもののクライム・アクション・コメディーです。

酒浸りで倫理観に疑問符(守秘義務は簡単に破るし、クライアントに調査費上乗せをねだるなど)の付くマーチがボケ役なら、暴力的だけど以外と常識人なヒーリーは突っ込み役。この二人の凸凹さ加減はまさにコメディです。予告編にも登場するトイレでのやりとりや、銃を渡し損なうシーンなどは爆笑もの。(ライアンのこんなダメ男ぶりも案外イケるね)マーチの娘のホリーは父親の姿を冷静に見ていますが、嫌っているわけじゃなく、むしろそんな父親を愛しく思い心配している点では、亡くなった母親の代わりを務めているかのように見えました。(しかし13歳で車の運転していいのか??

二人が巻き込まれたのは、大気汚染を巡る行政と自動車会社の結託の証拠を隠蔽するために起きた殺人事件です。行方不明となったアメリアは州司法省長官(キム・ベイシンガー)の娘で大気汚染抗議団体を主催していました。娘の身を案じる母の依頼を受けた二人ですが、実はこの母親こそ、裏で自動車会社と結託して規制法案を葬ろうとしていたのです。

社会的事件に発展していくのですが、基本は二人のドタバタを楽しむコメディですので、気軽に観ることができます。お色気もアクションも程よく盛り込まれていて男性に受けそう。

女性の視点では、ぶっとび娘に見えて実は意外に純粋で父親想いのホリーに好感度が上がります。

この作品、おそらくは別の映画をレンタルした際に入っていた予告を観て選んだはずなんですが、既にどんな内容だったか覚えてなかったのですが、かなりでした。

 


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マイティ・ソー バトルロイヤル

2017年11月06日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2017年11月3日公開 アメリカ 131分

人工知能ウルトロンとアベンジャーズとの戦いから2年、アスガルドを追放された父オーディン(アンソニー・ホプキンス)を捜しにニューヨークへやってきたソー(クリス・ヘムズワース)だったが、突如として現れた強大な敵ヘラ(ケイト・ブランシェット)によって宇宙の果ての惑星に飛ばされてしまう。その星で行われていた格闘大会に出場させられたソーは、対戦相手として盟友ハルク(マーク・ラファロ)と再会。危機を乗り切った2人はヘラを倒すためアスガルドへ向かい、わけありの女戦士ヴァルキリー(テッサ・トンプソン)、そして宿敵であるロキ(トム・ヒドルストン)も仲間に加え、チームを組んでヘラに挑むが……。(映画.comより)


「アベンジャーズ」の一人、雷神ソーが主人公の「マイティ・ソー」シリーズ第3作です。

えっと・・・ソーが主役の時ってコメディだっけ? と思ったら監督のタイカ・ワイティティはコメディアンでもあると知りなんか納得してしまいました これまでも大抵は家族の揉め事(主にロキが仕掛けてくるんだけどね)の話で、一応神なので騒ぎが大きくなるって感じでしたが、今回も姉兄弟喧嘩のバトルですね

特にロキと一緒だと、漫才のような掛け合いとなって苦笑・失笑・大爆笑ですなんだかんだ言っても兄弟、仲良いじゃん!!(8歳の時のエピソードも常人なら犯罪だけど、彼らの間では日常的なことに思えるのがまた可笑しいです)

ここにヴァルキリーとハルクも加わり更にコメディ度が上がります。

ヘラも頑張ってるんだけど、彼らの掛け合いを前にすると迫力不足は否めない。加えてお父さんのオーディンもどこかとぼけた感があり、全くこの一家は~~

地球ではドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)も登場し、ソーとロキを軽~くあしらってくれちゃってます。 (次回作への布石?)

もちろんおちゃらけシーンばかりというわけじゃなく、アスガルド(の民)を守るための戦いとか、サカールの闘技場でハルクとのバトルなどは迫力ありました。コーグ(タイカ・ワイティティ)はサカールの革命を企てて投獄されていましたが、ソーと意気投合し友情が生まれます彼の岩のような容貌は「ファンタスティック・フォー」のベンを連想させます。

冒頭で登場するスルトはソーに簡単にやっつけられてましたが、ヘラへの最終対抗手段として復活させられ、それによりアスガルドは崩壊してしまいます。アスガルドは場所ではなく民そのものだとソーにオーディンは告げていたので、この奇策となったわけですが、ヘラをやっつけた後、スルトの始末はどうつけるの?

ちなみにヘラとの闘いでホーガン(浅野忠信)の見せ場はありましたが・・短かったな

ビフレストの番人のヘイムダル(イドリス・エルバ)は今作ではアスガルドの民を守り戦う英雄です。彼に代わり番人を務めていたのはスカージ(カール・アーバン)ですが、ヘラの手下となってしまいます。でも最後は民を守るために自らを犠牲にするスカージも根っこはちゃんとアスガルドの戦士なんですね

このシリーズは主役のソーより義弟のロキの方が個人的には魅力的です。すっげ~~悪賢い奴なのにどこか憎めない愛嬌があるのは、彼が北欧神話では悪戯好きな神であることによるのかな。もちろん演じているトム・ヒドルストンの演技力も一役買っているのですが。
オーディンになりすましてロキを讃える劇を上映させて喜ぶ様とか、ヘラから逃げ出そうとして逆に彼女をアスガルドに入れてしまったり、サカールに飛ばされた際にはグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)に取り入って厚遇されるも、ハルク(前作で痛い目に遭っている)を見て逃げ出そうとしたり、賢いのかおバカなのか迷うところです そんな弟を結局は許してしまうソーの人(神)の善さも好きですね。
 
ちなみに前述の敢えておっそろしく下手な素人芝居に見えた劇でソー役はクリスの兄のルーク・ヘムズワース、オーディン役はサム・ニール、ロキ役はマット・デイモンが演じています。超豪華じゃん

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