杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

世界にひとつのプレイブック

2013年02月27日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年2月22日公開 アメリカ 122分

妻の浮気が原因で心のバランスを崩し、すべてを失ったパット(ブラッドリー・クーパー)。今は実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリ中だ。そんな時出会ったのが、近所に住むティファニー(ジェニファー・ローレンス)。愛らしい姿からは想像もつかない、過激な発言と突飛な行動を繰り出す彼女に振り回されるパット。実は彼女も事故で夫を亡くし、心に傷を抱えていた。ティファニーは立ち直るためにダンスコンテストへの出場を決意、パットを強引にパートナーに任命する。人生の希望を取り戻すための、ふたりの挑戦が始まった……!(チラシより)

マシュー・クイックの同名小説が原作。パットの父親役はロバート・デ・ニーロ
この父親のキャラは間違いなく息子に受け継がれているな~と思わせる作りに上手いなと

第85回アカデミー賞で作品賞を含む8部門にノミネートされ、ローレンスが主演女優賞を受賞した話題作なので劇場で観賞しましたが・・・そこまで絶賛される映画なのかな?
確かに躁鬱病の主人公たちという設定は病めるアメリカに合っているのかもしれませんが、日本で市民権を得るほどの認識と理解はまだ遠い気がします。
すぐに切れるパットの行動や考え方に引いてしまう自分がいました。

妻の浮気現場を目撃したらそりゃ~ショックでしょう。
パットの場合、自分の怒りを浮気相手にだけ向け、妻はまだ自分を愛していて、自分が彼女を許せたら丸く収まると信じ込んでいます。いえ、思い込もうとしているといった方がいいかしら。浮気の原因が自分にもあるとか、もう夫婦として成り立たないと認めるのが恐いのね。
そんな彼がティファニーと出会い、彼女の突飛な行動に振り回されるうちに変わっていきます。

ティファニーが薄れかけた夫婦の絆を結び直そうとした矢先の夫の事故死に動揺したというのは理解できるけれど、それが会社中の人間と関係を結ぶという行動になるのはやっぱり理解の外です自分を傷つけることが夫への償いになるなんてどうして思えるんだろう?または、誰でもいいから傍にいて欲しいとか・・

優秀な兄に引け目を感じて育ったパット、そんな末っ子を甘やかしてしまう母親。つい兄と比べてしまう父親。パットの家庭環境もちょっと問題ありに見えますが、結局は仲良し家族ってことで丸く収まっちゃうのね
別れた妻のニッキに未練たらたらのパットに対して、両親は嫁のことは既に終わった相手として認識しています。そりゃ、浮気した嫁は許せないよねティファニーのことも初めは認めようとしません。息子と同じ病なのにね。親って勝手です。

失業してステーキ店を開くための資金稼ぎにアメフトのノミ屋をしている父親が、贔屓チームの勝利とダンス大会での二人の得点に全財産を賭けてしまう展開はドラマティックではあるけれど違和感を覚えてしまいます。ダンスの前に強い酒を煽っていてもダンスは決めるティファニーにも無理がない?

ともあれ、二人の間にあった誤解も解けてめでたしなラストは嬉しいけれど、そんなに簡単に克服できちゃう病かしらん?・・とは余計なお世話ですね。
人間関係で傷ついた心は人間関係で修復するのがベストってことで

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ロック・オブ・エイジズ

2013年02月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年9月21日公開 アメリカ 123分

1987年のハリウッド。サンセット大通りの一角に、オーナーのデニス(アレック・ボールドウィン)の下、数々のロックスターを世に送り出してきた名門ライブハウス“バーボンルーム”があった。この店で働きながらロックシンガーを目指す青年ドリュー(ディエゴ・ボネータ)は、シンガーを目指してオクラホマから出てきたシェリー(ジュリアン・ハフ)と知り合う。泥棒に遭って無一文になったシェリーは、ドリューの紹介によって店で働くことになり、2人は恋に落ちる。ある日、バーボンルーム出身の大スター、ステイシー・ジャックス(トム・クルーズ)がボーカルを務めるロックバンド“アーセナル”の解散ライブが店で開催される。だが、女性をメロメロにする魅力を持つステイシーも、何年も無節制に生きてきた結果、今では酒浸りになり、堕落し切っていた。一方、ステイシーのマネージャー、ポール(ポール・ジアマッティ)にスカウトされたドリューは、控室でのステイシーとシェリーの関係を誤解し、彼女の前から去ってゆく。傷心のまま店を辞め、ダンサーとして働き始めるシェリー。ところが、ポールのもとで成功を約束されたはずのドリューも、ロックからヒップホップアイドルへの路線変更を余儀なくされ、大きな挫折を味わう。やがて、青少年健全育成のために街からロックを排除しようという市長夫人パトリシア(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)率いる抗議団体の運動もあり、資金難に陥るバーボンルーム。店を救うために、ステイシーのソロライブが計画されるが、それは新人グループのプロモーションのためにポールが仕掛けたインチキな代物。ステイシー本人にはライブがあることさえ知らされていなかった。バーボンルームの前では、それを知らないステイシーを待ちわびるファンと、パトリシアの抗議団体が一触即発の状態に。果たして、ステイシーのライブはどうなるのか……?ドリューとシェリーの関係は……?(goo映画より)

80年代にロックの洗礼を受けたファンにとっては垂涎の映画だろうと思います。
残念ながら日本音楽にどっぷりつかって育った身には、この作品の凄さは正直わかりません。そもそもトムがロックスターを演じるという一点に興味を持って観たんだもの。

ミュージカルも苦手なので、私にとっての見所は当時のファッション(皮ジャケットetc)やヘアスタイル。それとロックの聖地であるサンセット通りのバーボンルームの退廃的な雰囲気です。映画製作にあたっては、当時さながらのリアルな映像に凝ったとか。雰囲気だけは、しばしロックファンになれます ドリューのいかにもロッカーな外見が、路線変更で着させられたアイドル系のカラフルな衣装と髪型のダサさになった時は失笑でした。
(余談ですが、ジョニー・デップが新人の時にTVドラマの役柄でアイドル風のファッション&髪型をさせられていた時もドリューのような葛藤があったんだろうな~とつい連想してしまったわ

映画を観るまでトムが主役かと誤解してましたが、若い二人の恋模様が中心でした
歌手を夢見て田舎から出てきた娘が、ロッカー目指す若者と恋に落ちるけれど、誤解が元で別れてしまう。でも互いに忘れられず、ある出来事をきっかけによりを戻し日の当たる場所に出て行く。単純なストーリーだけど、いかにもロックな感じ?

初めてのデートでLAの宝石のような夜景を見ながら愛を語るふたりが、別れた後の偶然の再会も同じ場所というのが印象に残りました田舎から出てきたばかりのシェリーのカントリーファッションが次第にLA風に洗練されていくのを見るのも楽しかったな
それに比べたらステイシーと記者の女性、さらにパトリシアの過去などのエピソードは付け足しに過ぎないね。

劇中で歌われたり演奏される曲はおそらく有名なんだろうと思います。何となく耳にしたメロディもあるような・・・程度の知識では到底この作品を味わいつくすというわけにはいきませんでしたが、かといってつまらなかったわけでもありません。ファンには濃い、そうでない人にはストーリーを楽しむという方向で

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天地明察

2013年02月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年9月15日公開 141分

江戸時代前期。安井算哲(岡田准一)の生まれた安井家は将軍に囲碁を教える名家であるものの、算哲自身は出世欲のない不器用な男だった。星の観測と算術の問いを解くことが好きで、あまりにも熱中しすぎて周囲が見えなくなることもしばしばだった。算哲は形ばかりの勝負となった囲碁に次第に疑問を抱き、真剣勝負の場に身を置きたいとの願いを持つようになる。そんな算哲を、将軍・徳川家綱の後見人である会津藩主・保科正之(松本幸四郎)は暦の誤りを正す任に抜擢する。800年にもおよび使われてきた中国・唐の時代の暦がずれてきたため新しい暦を作るというこの計画には、星や太陽の観測をもとに膨大な計算を必要とし、さらには本来なら朝廷の司る改暦に幕府が口を出すという朝廷の聖域への介入という問題をはらんでいた。算哲は師や友人、算哲を慕いやがて妻となったえん(宮崎あおい)や、彼のよき理解者であった水戸光圀(中井貴一)らに支えられながら、この難関に誠実に取り組んでいく……。(goo映画より)


冲方丁の小説が原作ですが、山崎闇斎が反対派の襲撃の際、算哲を庇って死亡など、いくつかのエピソードは原作・史実と異なっているようです。
暦というものは生まれた時からあって、それをどのように作ったとか採択したなどということには関心を持つこともなかったのですが、この映画を観てちょっとだけ意識を新たにしたかも

冒頭、絵馬に書かれた設問に夢中になる算哲。そんな彼を好ましく見つめるえん(宮崎あおい)とその兄で塾を営む村瀬(佐藤隆太)との出会いから設問者で和算の第一人者の関孝和(市川猿之介)とも知り合います。彼の講本の数理を助けに天文の知識を合わせて歴の作成に取り組む様は天体観測や紙に書かれた膨大な量のデータで表されるのですが、具体的な説明がないので、正直ちんぷんかんぷんもう少し素人にも理解できるような補足が欲しかったかな。

算哲は自分の興味を持ったことに没頭するやや不器用な人間です。けれども彼を支える周囲の人が少なからずいた事は、彼の人柄の良さを示しているのだと思いました。
碁の指南役というのは将軍お目見えが出来るほどの文化人としての高い地位が認められていたのでしょうね。御前でガチ勝負した本因坊道策(横山裕)との友情も後々まで続いています。この勝負がきっかけで算哲は帯刀を許され武士として取り立てられて北極出地を命じられます。そして共に任に当たった建部伝内(笹野高史)と伊藤重孝(岸部一徳)という良き理解者を得ます。

当時朝廷が採択していた宣明暦では看過しがたい誤差が生じていることを知った算哲は保科や光圀の後押しで歴の改訂に挑みます。当時日本で知られていた三歴を比較し、授時暦こそが相応しいと結論した彼は三歴勝負に出ますが、最後の一番で予想が外れるの。
失意の算哲でしたが、関の助力やえんの内助の功もあり、やがて日本で初めての国産歴となる大和歴を編み出すのです。このあたりの時間の経過がわかりにくかったのも残念。だって岡田・算哲全然外見が年取らないんだもん。

大和歴の正しさを実証せんと再び日食の予測に賭けた算哲を幼馴染の京の公卿・土御門泰福(笠原秀幸)も支援しますが、当日の該当時刻になっても太陽は欠けません。いざ腹切りか?の瞬間・・という演出はあざとい気もしますが、確かにドラマティックではあります
刀を握って出血したその手でえんと抱き合ったら血がつくじゃん、とか余計な心配をしてしまう私って物語に感情移入してない証拠ですねだって結末は予測できるんだもの

この時、京の町民相手に「もし歴が狂っていたら大安だと思っていた日が実は仏滅だったり、良き方向と思っていたのが悪しき方向だったり。それでは暮らしが立ちいかなくなってしまう」と言っていたのに目からうろこの思いでした。そうか!!歴ってそういう意味でも凄く大切なんだよね

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ダイ・ハード/ラスト・デイ

2013年02月20日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年2月14日公開 アメリカ 98分

過去4度、国内の凶悪テロを阻止してきたニューヨーク市警刑事ジョン・マクレーン(ブルース・ウィリス)は、疎遠になっていた息子のジャック(ジェイ・コートニー)が、ロシアで警察沙汰を起こして身柄を拘束された事を知り、娘ルーシーに見送られながら、ぼやきと共にロシア・モスクワへ旅立つ。ところが、ジャックが出廷した裁判所が突如爆破され、大混乱の中で再会した父をジャックは拒絶し逃走する。状況を理解できないマクレーンだったが、息子が謎の武装集団に追われているのをみて彼らと壮絶なカーチェイスの末にジャックと合流する。隠れ家でジャックがCIAの人間だと知らされたジョンだが、再び襲撃を受けジャックの相棒が殺されてしまう。何とか脱出したマクレーン父子はターゲットのユーリ・コモロフ(セバスチャン・コッホ)を保護しながら巨大な陰謀に立ち向かうことになるが……。


シリーズ5作目の舞台はモスクワです。前回の相棒は娘でしたが今回は息子と共にひと暴れのジョン・マクレーン
しかし・・いいのか?よそ様の国でこんなに大暴れしちゃって。国際問題に発展しないのかい? いかにも「世界の中心はアメリカなんだぜ!」的発想にもう笑うしかない。でもスカッとするから、ま、いっか

“マクレーンの行く手に災いあり”の法則は今回も健在。国を超えてもついてない男ですしかし年を取っても彼の不死身さは変わりません。
ビルから飛び降りようが、爆破やガス爆発に巻き込まれようが、血だらけになりながらもピンピンして怪我を全く感じさせないタフさはどうよ
息子の方も、腹にボルトが刺さった後も普通に動いてるし・・さすがDNAを受け継いでるだけある・・なわけない
まぁこの不死身さが売りなんですけどね

コモロフは娘に裏切られるのですが、この話にはもう一つ裏があるのね。最初は父と子供の信頼と愛情の差を描こうとしているのかと思ったけれど、違ってました。最終的にはどちらの親子も強い家族愛はあったということですね

このシリーズは悪人はあくまでも同情の余地のないワルなので、マクレーンが彼らをやっつける様子は単純に楽しめるのがいいところです
チェルノブイリの事故がコモロフたちの陰謀の果ての産物だったというのは少し乱暴な気もするのですがね劇中で放射能の中和剤というものが登場しますが、「それ、福島原発に分けてくれ~!」と思っちゃいましたよ


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るろうに剣心

2013年02月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年8月25日公開 134分

明治11年。東京では、人斬り抜刀斎を名乗る男が誰かれ構わず斬りつける事件が発生していた。亡父から継承した神谷道場を切り盛りする神谷薫(武井咲)が無謀にも男に立ち向かおうとしているところを、通りすがりの男が助ける。彼こそ、10年前、幕末に反幕府軍の暗殺者として名を轟かせた抜刀斎本人(佐藤健)だった。今は緋村剣心と名乗り、逆刃刀を携え流浪の旅をしながら、どんな悪人でも決して命を奪わない不殺(ころさず)の誓いを立て人助けをしていた。
偽者の人斬り抜刀斎の正体は、実業家の武田観柳(香川照之)に用心棒として雇われた鵜堂刃衛(吉川晃司)だった。世界支配を目論む観柳は女医の高荷恵(蒼井優)に阿片を作らせ、それを元手に得た莫大な金で武器を買い漁っていた。元・新選組で今は警官を務める斎藤一(江口洋介)が観柳の目論みに気付くものの、観柳が握る絶大な権力を前になかなか手出しができない。観柳は手始めに神谷道場一帯を手に入れるべく、市井の人々を殺そうとする。神谷道場に身を寄せる剣心は苦しむ人々を見て、打倒観柳を決意。250人もの護衛をつける観柳に、剣心は喧嘩屋の相楽左之助(青木崇高)とともに立ち向かっていく……。(goo映画より)


TVアニメは観ていましたが原作は読んでいません。
イメージを損なうこと恐れる原作ファンも多かったようですが、私はアニメとほぼ同じ展開なことと、俳優陣、特に剣心や斉藤などの男性キャラについては違和感なかったです。

剣客ですから斬り合いは最大の見せどころですが、何しろ剣心は不殺とあって、暴力嫌いな私でも大丈夫そのスピード感ある立ち回りを楽しみました。

薫を救うため誓いを破ろうとする剣心の迫力は惜しいかなアニメの方が上な気もしますが、全体としてよくまとまった実写だと思います。

特典映像に登場キャラそれぞれのキャッチ付きの予告編が入ってました

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ティンカー・ベルと輝く羽の秘密

2013年02月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年製作 アメリカ 75分

ティンカー・ベルはとても気になるウワサを耳にしました。 それは、ピクシー・ホロウのはずれの、誰も近寄らない冬の森に住んでいる妖精たちのこと。好奇心旺盛のティンクは、フォーンたちが止めるのも聞かず、禁じられた境界線を越えて冬の森に入って行きます。初めて見る一面雪と氷の世界。そこでティンクはどこか自分と似ているペリウィンクルという、若い冬の妖精に出会います。不思議なことに2人の羽がぴったり重ね合わさると、まばゆい光を放ちます。 実は2人は同じ赤ちゃんの笑い声から生まれ、別々にピクシー・ホロウにたどり着いた双子の妖精だったのです。離れ離れになっていた時間が嘘のように2人はすぐに心を分かち合い、楽しく時を過ごします。 そして、もっと一緒にいたいと思うようになったティンクは、頻繁に冬の森を訪れ、ペリウィンクルを自分の住む森へと連れてきたりもします。お互いの仲間を紹介しあい、楽しい毎日を送る2人のそんな行動が、ピクシー・ホロウに重大な危機を招くことになると、ティンクもペリウィンクルもまだ気が付いていなかったのです……。


四季をテーマにした4部作の最後となる“冬の森”が舞台の物語です。
でもこれで終わりというわけではなく“ディズニー・フェアリーズ・シリーズ”としてこれからも新作が作られるみたい

今回はティンクに双子の姉妹がいたというお話。
同じ赤ちゃんの笑い声から生まれた妖精というわけです。人間なら一卵性双生児?
そりゃ、会えばすぐに仲良くなるし、そうしたらずっと一緒にいたいと思うでしょう。
でも冬と他の妖精たちは一緒に暮らせない・・らしい
寒過ぎて、暑過ぎて、羽が破れちゃうから。

でもティンクは何とかペリに自分たちの住む土地を案内したくて雪降らし装置を発明します。
ところがこれがピクシー・ホロウの危機を招いてしまうのです。
装置が暴走してホロウ全体が強烈な寒波に見舞われるのですが、このピンチを妖精たちが力を合わせて乗り切る中で、再び交流が始まる予感

元々境界線が引かれたのはピクシー・ホロウの女王と冬の妖精の王の悲恋故。
ティンクのペリを想う熱い心に刺激され、彼らの仲も再びなハッピーエンドでした。

シリーズがDVD発売されるたびに「何故日本で公開しないの?」と思うのですが、相変わらず映像は美しいです。一時間ちょっとという短さがネックなのか?
ティンクたちの羽の透き通るような輝きや、雪景色の映像は一見の価値ありです

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60セカンズ

2013年02月15日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2000年9月9日公開 アメリカ 117分
2013年1月16日 21:00~ 水曜プレミアシネマ(TBS)放送

高級車専門の窃盗をしていたメンフィス(ニコラス・ケイジ)は足を洗い地元を離れ子供相手のカートレース場を営んでいたが、ある日、昔の仲間のアトレーがやってきて、メンフィスの弟キップ(ジョヴァンニ・リビージ)が、闇の窃盗組織に雇われ高級車を盗む途中で失敗し、ボスのカリートリー(クリストファー・エクルストン)の怒りを買ったと告げられる。カリートリーからキップの命と引き換えにその後始末を迫られたメンフィスは、かつての仲間で、修理工場を営んでいるオットー、車の教習官をしているドニー、解剖医のスフィンクス、元恋人のスウェイ(アンジェリーナ・ジョリー)に声をかける。キップも仲間を連れて加わる。
一方キップたちが盗んだ盗難車の事件を捜査していたキャッスルベック刑事は、偶然町でメンフィスを見かけたという警官の話を聞き、彼が事件に関わっているとにらみ捜査に着手する。オットーの工場を訪ねてメンフィス達が集まっていることや、警察無線の暗号などを調べていることを知った彼はメンフィスたちの動きを監視する。
一晩で50台の高級車を盗むため、ターゲットに女の名前を付けて入念に下見し、綿密な作戦をたてたメンフィスたちだが、途中で警察の動きに気付き計画変更を余儀なくされながらも何とか残り2台までこぎつけるが・・・。


10年以上前の作品ですが、カーアクションは十分迫力があります。
車泥棒の話ということで、ニコちゃん今回は悪者かぁと思って観てたけど、弟のために犯罪から足を洗ったことや、今また弟のために命をかけて車を盗み出そうとしていることなどが判明してやっぱりある意味「正義の人」でした
恋人役はアンジー・・・え~~そうだったの若い製作年を考えたら当たり前ですが検索するまで気付かなかったボケボケな私

後半、警察の張り込みを承知で盗みを繰り広げる彼らのパフォーマンスを楽しみました。犯罪なんだけど、裏をかいて見事に盗み出す姿はユーモアもありなんか痛快なんだわ

最後の1台エレノア(1967 SHELBY Mustang GT500)はメンフィスの憧れの「ユニコーン」です。盗もうとするたび失敗して唯一盗み出せなかった車なの。それを知るキャッスルベック刑事はターゲットをこの車に絞り、現れたメンフィスと壮絶なカーチェイスが始まります。途中エレノアのドアミラーを壊したことで「彼女」が拗ねてエンストされるという不運のジンクスが顕在だったりするけれど、何と言っても見所はパトカーに囲まれ絶体絶命のピンチをキャリアカーからのジャンプで脱出するシーンかな

結局約束の時間を12分オーバーしてカリートリーに殺されそうになるのだけれど、そこへ仲間が助けにきてキャッスルベックも乗り込み、銃撃戦となります。殺されそうになった刑事をメンフィスが助ける拍子にカリートリーが転落死するのですが、落下先が自分が作ったメンフィス用の棺桶の上ってのが笑えるね

キャッスルベックは自分を助けてくれたメンフィスを逃がしますが、そのお返しにメンフィスは盗んだ車のありかを彼に教えます。これも男の友情の一種か?それともあちらではよくある取り引きってことでしょうか。あれだけ道路交通法を破り怪我人や事故を出したのにいいのか??

兄が自分や仲間を裏切って足を洗ったと思い込んでいた弟の誤解も解けてめでたしの結末では、弟が兄へ愛しの「ユニコーン」のキーをプレゼント。それは彼が自分で稼いだお金で買ったものでした

映画ではスウェイと乗り込んだユニコーンがエンストというオチがあるようですが放送ではカットされてましたね

娯楽作としてはなかなか面白かったのですが、この映画観て車泥棒ってカッコいい!なんて憧れるバカが出なきゃいいなと思っちゃったよ

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書道ガールズ!!わたしたちの甲子園

2013年02月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年5月15日公開 121分
2013年1月25日(金) 21:00~22:54 金曜ロードSHOW!

四国中央高校・書道部部長の里子(成海璃子)は、書道家である父(山田明郷)に認められるため、真剣に書道に取り組んでる。しかし真剣なあまり、他の部員との衝突もしばしば。そんなある日、産休教員の代理として臨時教師の池澤(金子ノブアキ)が赴任し書道部の顧問となるが、彼は教える気もなく、里子の書を見てつまらないと言い放つ。しかし、彼が生徒たちの前で音楽に乗せて大きな書を書くパフォーマンスを見て感激した書道部員の清美(高畑充希)は、父が営む文房具店の閉店セールの呼び込みに、里子たちを巻き込んだ「書道パフォーマンス」を計画し・・・。


愛媛県四国中央市は日本一の紙の町だそうです。不況の影響で活気を失っていた地元を盛り上げようと、愛媛県立三島高等学校書道部の部員達が、地元のイベントやショッピングセンターなどで書道パフォーマンスを始めたのがきっかけで、全国ニュースになりに知名度が上がったという実話を基に映画が作られたのだとか。

そういえば、数年前のエイベックスのイベントで書道家が大きな紙に書をしたためるというパフォーマンスを見たのですが、あれをチームで音楽に合わせて書くってわけね
個人と違い、息を合わせてリズムに乗らないと観る側に感動を届けられない。そのためにはチームワークが必要なのは集団スポーツと変わりませんね。

里子は書道家の父に認められたいために頑張ってきましたが、本当は自分のしたいことがわからずに悩んでいました。そんな時、いい加減なヤツと思っていた池澤先生に「お前の書はつまらない」と言われ傷つき反発します。清子がパフォーマンスをしようと提案した時も、「そんなの書道じゃない」と拒否します。けれど、清子の家の事情を知り渋々協力するの。でも気持ちがバラバラじゃ上手く事が運ぶわけありません。当然イベントは失敗します。

だからやりたくなかったと愚痴る里子を、副部長の香奈(桜庭ななみ)が諌めます。仲違いした美央(山下リオ)が家庭の事情で部を去ったことも聞かされます。部員の小春(小島藤子)が過去にいじめに遭い、書道が救いになったことも知ります。幼馴染の智也(市川知宏)の祖父(紙作りの名人)が不況のせいで紙作りを止めたこともあり、彼女の中で何かが変わるのです。

一致団結した書道部は池澤先生に教えを乞い、運動部さながらの筋力トレーニングに励み、町おこしに躍起になり、遂に書道甲子園の開催に漕ぎつけるのです。
一つ残念だったのは男子部員が単なる添え物的扱いだったこと。もう少し彼らにもドラマを与えてあげたら良かったのに。

で、大会ではお約束のひと波乱。でもこの失敗は逆に会場を一体化させる感動を巻き起こすのでした。めでたしめでたし

書道部は地味なイメージですが、こんな派手なパフォーマンスもあるのね
チームで仕上げる一枚の作品が感動を与えてくれます。

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カジュアル・ベイカンシー 突然の空席

2013年02月09日 | 
J.K・ローリング(著) 亀井 よし子(訳) 講談社(刊)

一見のどかなイギリスの町パグフォード、ある男が40代の若さで死んだ。その死をきっかけに立て続けに起こる事件の連鎖……。普通の人々の内面が次々と暴かれてゆき、次の場面がどうなるか気になって、読み出したら止まらない。小さな出来事が集まってやがて大きな流れとなり、最後は奔流となって、胸を締め付ける結末へ。


「ハリー・ポッター」の著者の新作は大人向け小説でした。ファンタジーではないことは承知していましたが、ここまで赤裸々な人間のエゴが書かれているとは予想外でした。

舞台はイギリスの田舎町。40代の地区議員バリー・フェアブラザーの突然死によって行われる補欠選挙を軸に、彼の友人や対立者、その家族たちの思惑がそれぞれの視点で語られる群像劇で、人種や宗教、貧富の差、ドラッグや性といったダークな部分をこれでもかと炙りだします。
そこにはインターネット掲示板を使った個人攻撃や、生活保護受給の低所得者の抱える問題なども含まれ、まさに現代が抱える問題の縮図になっています。

登場人物の多さにもちょっと閉口。徐々に増えていくのではなく、同時進行で次々と死者の友人や対立者及びその配偶者や子供まで出てくるので、頭の中に相関図が出来上がる頃には物語の後半に入っていました

(登場人物)
・急死したバリー・フェアブラザーと妻のメアリー、4人の子供たち
・バリーの死に立ち会ったマイルズ・モリソンと妻のサマンサ
・マイルズの両親のハワードとシャーリー
・ハワードの共同経営者のモーリーン
・工場労働者のサイモン・プライスと妻で看護士のルース、息子のアンドルーとポール
・外科医のヴィクラム・ジャワンダと妻で医師のパーミンダー
・彼らの3人の子供たち(スクヴィンダー、ジャスワント、ラジパル)
・ソーシャルワーカーのケイ・ボ-ドウィンと娘のガイア
・ギャヴィン・ヒューズ:弁護士。ケイのBF。マイルズとは仕事のパートナー
・副校長のコリン・ウォールと妻で生徒指導部主任のテッサ、息子のスチュアート
・フィールズに住む生活保護世帯のテリと子供たち(クリスタル、ロビー)

フィールズという貧困地区の扱いを巡って対立するバリーとハワードの図式がバリーの急死で崩れます。バリーの空いた議席を争うのはハワードの息子のマイルズとバリーの友人のコリン、変わりもののサイモンの3人。
ところがコリンは長年強迫神経症に苦しんでいて、サイモンは家庭内暴力者です。彼らの息子は親友同士ですが親とはうまくいっておらず、一方サイモンと妻の仲もぎくしゃくしていて、サマンサと義母のシャーリーは共に嫌い合っているという(^^;
ギャヴィンは恋愛に優柔不断でケイをイラつかせ、挙句は未亡人のメアリーに熱を上げる始末。パーミンダーは亡きバリーの崇拝者であることがばらされます。ハワードとモーリーンの長年の不倫関係も暴露され、全く大人は何やってんだと呆れる相関図が

狭い町のことですから、医者と患者、学校関係、ソーシャルワーカーなど複雑に交差する人間関係は大人も子供も一緒です。アンドルーはガイアに恋し、スチュアート(通称ファッツ)は性のはけ口としてクリスタルを利用します。ファッツに苛められるスクヴィンダーは自傷行為に逃げ、ガイアは母の都合で田舎町に住むことになった不満と鬱屈を抱えています。

誰も彼もが醜いエゴを抱え、一発触発の危険をはらんで進む物語は、やがて議員候補者やその関係者の中傷合戦の様相を呈します。しかしそれは誹謗された人物たちの子供たちが書きこんだものだったのです。掲示板の管理者であるシャーリーの防御意識の低さは親世代の無知の露呈でもあります。この書き込みは登場人物たちの間でかなりの波紋を起こしますが、町全体としては黙殺されていき、やがて迎えた選挙はマイルズが勝利します。しかし一件落着に思えた直後、クリスタルと弟のロビーに起こった悲劇的な結末を迎えるのです。

初めは野卑な少女に見えたクリスタルが、本当は家族思いの優しい子で、ジャンキーの母親と幼い弟を何とかして守ろうと必死なことがわかってきます。今の暮らしから脱出し幸せを手に入れようとしてファッツとの間に子供を得ようとする姿は狡さより憐れさを誘いました。
ロビーの死の直前に彼を見かけながら通り過ぎた大人たちの姿はフィールズを切り捨てようとしているこの町の人々に重なってみえました。

一人の死の波紋が広がっていく物語。登場人物たちはいわゆる普通の人々です。それだけに本質が曝け出される展開は愉快とは言えませんが、同時に目を背けられない真実を突き付けられている気がしました。

唯一の救いはスクヴィンダーに起きた変化です。ロビーを助けようとしたことで自分自身をも救う結果になったことに安堵しました。

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ムーンライズ・キングダム

2013年02月08日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2013年2月8日公開 アメリカ 94分

1965年、アメリカのニューイングランド沖に浮かぶニューペンザンス島。12歳のスージー・ビショップ(カーラ・ヘイワード)は、厳格でお堅い父ウォルト(ビル・マーレイ)と、口うるさくいつもせわしない母ローラ(フランシス・マクドーマンド)、そして3人の幼い弟たちと海沿いの大きな屋敷で暮らしていた。趣味は本を読んで自分だけの世界に浸ることと双眼鏡での観察。ある日、スージーはその双眼鏡で母とシャープ警部(ブルース・ウィリス)の密会を目撃する。同じ頃、ウォード隊長(エドワード・ノートン)率いるボーイスカウトのキャンプ地では、隊員の一人が置き手紙を残して姿を消す事件が起きていた……。1年前、ボーイスカウトの活動で劇を観に行ったサム・シャカスキー(ジャレッド・ギルマン)と、カラス役で出演していたスージーはわずかな言葉を交わしただけで惹かれ合い文通を開始。1年にわたる手紙のやりとりを通して密かに駆け落ちの計画を練っていた。草原で落ち合った二人は“3.25海里 潮流口”を目指し愛の逃避行に出る。手つかずの自然が残ったその美しい入江を“ムーンライズ・キングダム”と名付けた二人は、海に飛び込み、絵を描き、本を読み、夢を語り合い、ダンスを踊り、初めてのキスをする。翌朝、二人がいなくなったことに気付いた大人たちは右往左往。娘を誘惑したとウォード隊長に食って掛かるビショップ夫妻だったが、ボーイスカウトの少年たちによって二人は見つかり、離ればなれにされてしまう。だがサムの両親は里親で「変わり者のサムはもう引き受けられない」と言い、福祉局(ティルダ・スウィントン)の説明によると、問題児のサムは少年収容所に戻される可能性が高いという。長年トレーラーハウスで孤独な生活を送ってきたシャープ警部は、身寄りのないサムを預かり、男同士で愛について語りあう。そしてスージーも自分の思いを初めて母親に打ち明ける。サムをのけ者にしていたボーイスカウトのメンバーたちも同情するようになり、ウォード隊長に内緒で二人の駆け落ちを手助けすることに。やがてスージーとサムは、小さなボートを漕いで島からの脱出を図るのだが……。(goo映画より)


劇場で予告編を見た時「絶対観る!!」と決めてました。
ポイントが貯まったので初日にいそいそと出掛けました

スージーもサムも同年代の子供たちに比べると早熟な面があり、そのため周囲から浮いています。彼らが惹かれあったのは類友で自然なことだと思います。
サムは両親を亡くし、里親に預けられていますが問題行動(と大人が受け止めている)があってボーイスカウトを脱走した時点でもう受け入れられないと拒否されます。そうなると彼の行く先は養護施設(孤児院)なのですが、そこは電気ショック療法で強制的に大人しくさせるようなところです。おそらく当時はそういうのもありだったんでしょうね

二人を探しにボーイスカウトの面々も駆り出されますが、追走劇の中で不思議な友情が芽生え、後には二人を彼らが助けるという流れになるのも面白いです。

無慈悲なソーシャルワーカーに腹を立てたシャープに引き取られることになったサムの未来はきっと明るい!と思わせるラストにでした。

ナレーターが出てくるけれど、その意味がよくわからなかったのは残念。きっと何か元ネタがあるんだろうなぁ(^^;
作品自体にも妙なズレ感があって、そこから生じるユーモアも味わいにつながっています。
不思議な懐かしさというか人情味がある映画でした


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ローマ法王の休日

2013年02月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年7月21日公開 イタリア=フランス 104分

現ローマ法王の訃報に接し、新しい法王を選出するために各国からヴァチカンへ枢機卿たちが招集される。システィーナ礼拝堂で投票が行われるが、枢機卿たちは心の内では重責を担う法王に選ばれたくないと一様に思っていた。投票の結果、メルヴィル(ミシェル・ピッコリ)が選出される。すでに聖ペドロ広場には新しい法王の就任を祝いにきた人々で溢れかえっていた。就任の演説が控えていたが、メルヴィルは重圧から逃げ出してしまう。新法王が行方不明になったのを知った事務局広報は、そのことが公にならないよう画策し、街中を捜索する。一方ローマの街に逃げ込んだメルヴィルは、市井の人々と触れ合ううちに、人生における大切なものや信仰心、なぜ法王が必要なのかなどを見つめ直していく。(goo映画より)

もっと明るいコメディかと思ってました。予告もそんな風に作られていたと記憶してます。
でも・・違うのね意外に真面目に人生を考える作品でした。

コンクラーベで選出された新法王が、その責任の重さに怖気づいて、自分はその重責に相応しい人間ではないと逃げ出してしまいます。そもそも信仰心の篤い枢機卿クラスが多々集まる中で、いかに心理的駆け引きの谷間で生まれた法王とはいえ、それなりの覚悟を期待するのは買いかぶりなのかしら?それに枢機卿たちの誰もが法王に選出されませんようにと本音で思っているというのもなんだかなぁ。

もちろん、突然降ってわいた地位に恐れをなす気持ちはわからなくもないし、信仰心があるからこそ、その場でNO!と言えず(神から選ばれたに等しいのですから)一度は「シー=はい」と返事をしたのでしょう。けれど心は正直で、現実に押しつぶされる前に気持ちがブロックしてしまったという生身の人間故の葛藤ということでしょうか。

ローマの町に逃げ出したメルヴィルが、市井の人たちと交わることで自分の使命を自覚するのかと思って見ていたのですが、そういうありがちな展開にはならず、逆に残された枢機卿たちや法王の治療のために呼ばれたセラピスト(ナンニ・モレッティ監督自身が演じているのね)の様子に焦点が当てられます。枢機卿たちの世間知らずで時代遅れな感覚がちょっとコミカルに描かれています。(隔絶されているのだから当然ではあるけれど)世間の騒ぎをよそに、無邪気にバレーに打ち興じている枢機卿たちの笑顔につい和んでしまいました

一方苦境に立たされたのが広報官(イェジー・スツール )です。粛々と進む筈だったセレモニーが台無しにされたばかりか、よかれと思って町のセラピスト(最初に呼ばれたセラピストの元妻)に連れて行ったら逃げられてしまうのですから。どんなに腹が立っても相手は法王ですからあくまで穏やかに従いつつも次第に懇願の度を強くしていくの。衛兵を法王の部屋に置いて枢機卿たちを誤魔化す苦肉の策に出たり、メルヴィルを連れ戻すための最終手段の奇策を提案したり・・・客観的には笑えるエピソードですが、個人的には彼に激しく同情しちゃいますね。

連れ戻されたメルヴィルがいよいよ腹を決めたまでは良いのですが、それってやっぱりダメなんじゃな結末にちょっとあっけにとられてしまいました。
この映画はカトリック信者への冒涜と受け取られないかとか余計な心配をしちゃいます
だって、枢機卿たちが法王に選出されたがってなかったり、不眠を囲って薬に頼っていたり、果てはセラピストが聖書に書かれている事柄をうつ病の症例だと読み説いたりするんですものね。

身の程を知ることは大切。例えどんな大物でも凄い立場の人でも。ん?まてよ・・だからこそ出来ないことはできないと素直に認めることができるって素晴らしいと受け止めたらいいのかしらん?う~~ん・・

(追記)
本日(2013.2.12)現ローマ法王が今月をもって退位のニュースが
85歳という高齢で職務を果たすのが難しくなってきたことが理由とのこと。
存命中の退位は600年ぶりの出来事らしい。
この映画、あながち絵空事でもないのかも

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感染列島

2013年02月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年1月17日公開 138分

正月明け、市立病院に務める救命救急医の松岡剛(妻夫木聡)の元に1人の急患が運ばれてきた。新型インフルエンザに類似する症状だがワクチンが通用せず、患者は死亡。やがて同僚の安藤医師(佐藤浩市)や他の患者に感染が広がり、病院はパニックになってしまう。WHOのメディカルオフィサーで松岡の元恋人・小林栄子(檀れい)が事態の収拾と調査に乗り出し、松岡も彼女と共に戦うことを決意するが、感染は日本全国に広がってしまい……。


医療ものとしてみれば細部の甘さが気になりますが、新型インフルエンザによるパンデミックの脅威が注目された数年前に公開されたこの作品は、当時はよりインパクトがあっただろうなと想像しながら観ました。

初めは新型インフルエンザが疑われ、そのため養鶏場の経営者が自責の念から自殺するような事態になります。病気も恐いけれど、マスコミが煽ることで世間の非難が向けられたことも恐ろしいことです。似たような展開が実際にあったこともまだ記憶にありますし

ウィルスの特定にしても、狭い医療界の学閥やら権力争いやらで正規ルートでは発見されなかったというのも皮肉です。偏屈な研究者を演じた竹山隆範(カンニング竹山)と看護士(国仲涼子)の夫を演じた田中裕二(爆笑問題)。外見が似ている二人の芸人さんが人間の本質の善と悪(欲)のような対照的なキャラを演じているのが面白かったな

原因となる病原体が特定されても有効な治療法が見つからない中で感染はますます拡大していき、都市機能も麻痺に陥っていく様子は映画公開後に起こった大震災もあってリアルに想像できるのでより恐ろしく感じられます。しかし、医療関係者なら「血清」という選択肢はすぐに思いつく気がするのですが病を克服した人は抗体を獲得しているだろうことは容易に想像できるんじゃないの?

松岡と栄子、養鶏場の娘の茜とそのBFという二組のカップルの明暗にもウィルスが大きく関わってきますが、この結末も容易に想像できちゃったのは個人的にはつまらなかったかな。

エボラ出血熱に似た症状の描写は目や口から血を吐いたり流したりという出血の様がホラーみたいで気持ち悪かったのですが、そういう目ではっきりわかる状態の方が恐さを強調するには有効ってことですかね

パニックになってものを買いだめしたり、封鎖された道路を突破して逃げ出す車の列という描写もありますが、感染が拡大していく状況の中でも己の仕事を黙々とする医療関係者や、家族のために祈る人々、病気に倒れながらも一生懸命生きようとする人々の姿に勇気を貰えます。

それにしても未知の病の大流行は映画の中だけにしてほしいものです

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