杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

アリスのままで

2015年06月29日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2015年6月27日公開 アメリカ 101分

ニューヨークのコロンビア大学で教鞭をとる50歳の言語学者アリス(ジュリアン・ムーア)は、キャリアを積み学生たちから絶大な人気を集めていた。夫のジョン(アレック・ボールドウィン)は変わらぬ愛情にあふれ、法科大学を卒業した長女のアナ(ケイト・ボスワース)と医学院生の長男トムにも何の不安もなかった。唯一の心配は、ロスで女優を目指す次女のリディア(クリステン・スチュワート)だけだった。まさに人生の充実期を迎えていたアリスに、まさかの運命が降りかかる。物忘れが頻繁に起きるようになって受診したところ、若年性アルツハイマー病で、しかも子供たちに50%の確率で遺伝する家族性だと診断されたのだ。アリスは気丈に闘うが、病の進行は止められない。ある日、アリスはパソコンに自分が残した映像を見つける。かつての自分から自分へのアリスのままでいるためのメッセージとは・・・。


若年性アルツハイマーの女性アリスが記憶を失っていく日々をつづったリサ・ジェノヴァの全米ベストセラー小説「静かなるアリス」の映画化で、主演のジュリアン・ムーアはオスカー、GG、英国アカデミーを制覇しました。

この病気を題材にした映画は「私の頭の中の消しゴム」や「」など洋の東西を問わず秀逸な作品があります。年老いての発症と違って、まだやり残したことがある、まだ未来が残されている筈の人生が突然閉ざされてしまう悲しみや口惜しさに身が震えるほどの切なさがあります。

アリスが自分の物忘れに異常さを感じ戸惑う印象的なシーンはジョギングの途中、良く知っている筈の大学構内で自分がどこにいるのかわからなくなるところです。視覚的には周囲がぼやけてしまうという描き方でしたが、これは少し違う気がしたなぁ。どちらかというと、周囲の建物や道がどれも同じに見えて見分けられないという感じじゃないかしらん?

神経科で、質問に答えるテキパキした受け答えとは裏腹にアリスの不安が感じられました。そしてスクリーンを観ながら担当医の質問を頭の中で繰り返す自分に気付いて苦笑

夫と共に気丈に診断を受け止めたアリスですが、自分の病気が遺伝性のものと知らされ更に絶望を味わいます。子供たちに真実を告げ、遺伝しているかの検査を受けるかどうかは子供自身に決めさせますが、リディアは検査を拒否します。幸いトムには遺伝していなかったのですが、不妊治療中のアナは引き継いでいました。(自分の運命を知ってなお双子を妊娠したアナの決断もまた凄いとしかいいようがありません

実はこの後、アリスが徐々に記憶を失っていく状況をこそ詳細に描いて欲しかったのですが、映画ではトイレの場所がわからず失禁してしまうシーンくらいしか出て来なかったのはちょっと物足りなかったかな。
逆に、講演会でのスピーチは、その内容は胸を打つ素晴らしいもので思わず涙が込み上げてきましたが、同じ場所を読まないよう蛍光ペンでなぞりながら話すような状態なのに、床に落としてしまった原稿を順番通りに揃えられるものかしら?という疑問を感じてしまい感動が差し引かれてしまったぞ

症状が進み、感情も乏しくなったアリスを前に家族がその処遇を話す場面で、リディアが母を庇う発言をするのですが、一番将来を心配していた末っ子が一番優しい心を持っていた、ということですね。

夫に最後まで妻の面倒を看て欲しいところではありますが、現実的にはあのような選択になるのでしょう。

問題の、まだ記憶が確かな頃のアリスが自分に向けて残したメッセージは、(おそらく宗教的な意味でも)とても辛く衝撃的な内容でした。記憶力が失われたアリスが何度も何度もそのメッセージをなぞりながらも、遂に成し遂げなかったことは、彼女にとって幸いだったのかしら?もし自分に同じことが起こったら・・・もう少し早い時期に実行しなくてはいけないのね、なんて考えてしまった

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

海街diary

2015年06月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2015年6月13日公開 126分

まぶしい光に包まれた夏の朝、鎌倉に住む三姉妹のもとに届いた父の訃報。15年前、父は家族を捨て、その後、母(大竹しのぶ)も再婚して家を去った。父の葬儀で三姉妹は腹違いの妹すず(広瀬すず)と出会う。三姉妹の父を奪ったすずの母は既に他界し、頼りない義母を支え気丈に振る舞う中学生のすずに、長女の幸(綾瀬はるか)は思わず声をかける。「鎌倉で一緒に暮らさない?」しっかり者の幸と自由奔放な次女の佳乃(長澤まさみ)は何かとぶつかり合い、三女の千佳(夏帆)はマイペース。そんな三姉妹の生活にすずが加わった。季節の食卓を囲み、それぞれの悩みや喜びを分かち合っていく。しかし、祖母の七回忌に音信不通だった母(大竹しのぶ)が現れたことで、一見穏やかだった四姉妹の日常に、秘められていた心のトゲが見え始める。


湘南・鎌倉を舞台に、異母妹を迎えて4人となった姉妹の共同生活を通して家族の絆を描いた吉田秋生のコミックの実写映画化です。
この手の作品は原作ファンからすれば賛否両論ですが、私はコミックは全く読んだことが無いので、新鮮な気持ちで鑑賞できました
舞台となる鎌倉や湘南の海は行ったことがあるので、海岸や極楽寺の駅などを目にする度に何となく懐かしいような親近感を覚えました。というより、あの景色が観たくて劇場へ行ったのですが

幸が帰りの電車の中からすずに「一緒に暮らさない?」と声をかけるシーンはやや唐突な感もありましたが、伏線として義母が頼りなさの仮面を被ったけっこうしたたかな性格らしいこと、なさぬ仲のすずとの折り合いもそれほど良くなさそうな描写が葬式の場面でしっかり描かれていたので違和感はありませんでした。

父だけではなく母からも捨てられた形になった姉妹は祖母と母親代わりの幸に育てられたようです。幸は長女としての責任と、両親を見返してやりたい思いに縛られています。教師だったという祖母の性格を受け継いでいるのかな?佳乃は、そんな姉に反発するかのように自由奔放に生きています。この性格は母親似?そして三女の千佳はどちらの姉にも似ず、マイペースのちょっと不思議ちゃんです幼い頃に出て行った父の記憶もあまりないので、父に対する負の感情も少なく、一番年が近いすずの良き相談相手になります。スポーツ店に勤め、店長(いわゆるイケメンではない)と地元の少年サッカーの応援をしていて、すずにチームに入るよう声掛けもします。

父親が出て行ってから15年という月日が経っていたことが、異母妹の存在を大らかに受け止められた理由かも。既に大人になっている三姉妹にとって、中学生のすずは保護すべき者です。そこにわだかまりの入る余地がないのね。

すずはサッカー少女で原作ではサッカーを通した恋愛感情も描かれているようですが、映画では家族の関係に主眼が置かれているため、友情物語としてサラッと描かれています。
姉妹やサッカー部員たちが訪れる食堂のおばちゃん(風吹ジュン)のアジフライが本当に美味しそうでお腹が鳴りそうでした
生しらす丼が登場するのも湘南ならではですね

四姉妹としての暮らしに馴染んできた頃に、祖母の七回忌に今まで音信不通だった母親が現れたことで、幸と母親の間に波風が立ちます。それはずっとぶつけられなかった幸の不満が爆発したかのよう。そんな幸を冷静に分析する次女の佳乃や、その不思議ムードで場を和ませる千佳。三人いると自然と役回りが出来てくるのね雨降って地固まるの如く、本音をぶつけあった幸と母は凍っていた関係が緩やかに溶けていきます。

一方すずは自分が生まれたことで色んな人に迷惑をかけているのではないかと思い悩んでいました。自分の居場所はどこにもないと感じていたのです。そんなすずに幸は「すずはここに居て良いのだ」と諭します。父の思い出や母の記憶をもう封じ込めなくても良いのだとねすずが本当の意味で姉妹になれた瞬間ですね

不倫関係にあった職場の医師(堤真一)との関係を清算し前を向いて歩き始めた幸、ダメ男に引っかかっては振られていた佳乃は職場の上司に淡い恋心を抱き始め、千佳と店長も良い雰囲気。三姉妹の気持ちもすずの登場で変化が生じました。

大叔母役で登場する樹木希林さんは相変わらずの存在感お節介で言いにくいことをズバッと言うこんな親戚のおばさん、いるいる~!!

鎌倉の景色、四姉妹が庭先で浴衣を着て花火をする風景、ちょっと懐かしいような日本の家族の姿が情緒たっぷりに描かれ、カンヌで好評価だったのも頷けます

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンシャイン/歌声が響く街

2015年06月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年8月1日公開 イギリス 100分

アフガニスタンでの兵役を終えたデイヴィー(ジョージ・マッケイ)とアリー(ケヴィン・ガスリー)は、故郷スコットランドの田舎町・リースに帰ってくる。デイヴィーの両親ロブ(ピーター・ミュラン)とジーン(ジェーン・ホロックス)、デイヴィーの妹でアリーと交際するリズ(フレイア・メーバー)は彼らの帰還を喜ぶ。彼らが新生活をスタートさせようとする中、ロブとジーンの結婚25周年を祝うパーティでロブに24歳になる隠し子がいることが発覚。リズはアリーからプロポーズされるが、遠く離れたフロリダで働くという夢のため断り、恋人イヴォンヌ(アントニア・トーマス)との新生活を始めたデイヴィーも、甘いだけではない現実を目の当たりにする。それぞれ傷ついた家族はバラバラになりかけてしまうが……。


幸せムードから一転、様々なトラブルに見舞われる家族の姿を描いた英国のミュージカルを基にした家族ドラマです。って、知らなかったよ~
冒頭、戦場のトラックの中で歌い出したのに驚いたのですが、ミュージカルだったのねぇ。歌詞は繰り返しが多く、比較的易しい英語でした。


80年代の曲も多く登場しますが、私がわかったのは「 I'm Gonna Be (500 Miles)」
『妹の恋人』で覚えたこの曲がかかって一気にテンションUP

信じていた夫に隠し子がいたことに深く傷つく妻の気持ちは理解できます。夫の方は、いきなり自分に娘がいたと知って驚きますが、同時に彼女に対する責任を感じるのね。娘の母親に対する気持ちはもう過去になっているけれど、現実に存在する娘に対しては、妻との間にできた子供同様に父親としての自覚を持っているわけです。だけど、妻としては、正面切ってその子に責任があるから見捨てられないと言われるのはちょっとショックだなぁと思うわけです。

一方、リズはキャリアアップのために故郷を離れようとしています。彼女にとってアリーは恋人だけどまだ結婚相手として見ていなかったのねプロポーズのために指輪を準備して舞い上がるアリーを単純に応援するディヴィー、男って単純でもいかにも若者らしいエピソードでした。プロポーズをきっぱり断られ面目を失い傷付いたアリーは再び軍隊に戻る決意をします。姉の家に居候して仕事を探していたアリーの気持ちを支えていたのは、リズとの未来だったのですから、それが失われた今彼が出来るのは兵士の道だった、というのは帰還兵の厳しい現実を現しているのかな

ディヴィーはリズの同僚のイヴォンヌと交際を始めますが、ある時感情を爆発させて彼女を怯え落胆させます。これも戦争という修羅場を経験した者のある種の心の傷だったかもしれません。

家族それぞれが悩みを抱える中、ロブが倒れたことで状況に変化が生まれます。
限りある命と向き合うことで、今を大切に生きることに気付いたのかな。
それぞれが最善の選択をして終わる物語は希望という余韻が残りました。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

捏造の科学者 STAP細胞事件

2015年06月23日 | 
須田 桃子 (著)  文藝春秋(出版)

はじまりは、生命科学の権威、笹井氏からの一通のメールだった。ノーベル賞を受賞したiPS細胞を超える発見と喧伝する理研の記者会見に登壇したのは、若き女性科学者、小保方晴子。発見の興奮とフィーバーに酔っていた取材班に、疑問がひとつまたひとつ増えていく。「科学史に残るスキャンダルになる」STAP細胞報道をリードし続けた毎日新聞科学環境部。その中心となった女性科学記者が、書き下ろす。 (「BOOK」データベースより)


笹井氏と若山氏への直接のインタビュー、メールの内容を中心に据えて構成されたもので、もっと人間的というか、個人について掘り下げられた内容を期待してたのですが、専門分野についての内容は半分も理解できませんでした。
当事者の一人が自殺してしまった今、真実がどうだったのかは結局解明されないのだろうなとの思いも抱きました。

学術的な経緯という意味ではとても貴重な資料だと思われますが、私が知りたかったのは、何故このようなことになってしまったのかという理由と、STAP細胞が本当に存在するのかということです。本作はノンフィクションで、記者として知り得た事実を積み重ねたレポートですから、小保方氏自身の心の内側については一切触れられていません。(直接コンタクトしていないのですから書きようがないですものね。)彼女の周囲の人間とのやり取りに限定され推測の域を出ない点で物足りなさが残りました。まだ、真相解明には時間が必要ということですかね

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ミュータント・タートルズ

2015年06月22日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年2月7日公開 アメリカ 101分

犯罪組織フット軍団が暗躍するニューヨーク。チャンネル6のTVレポーター、エイプリル(ミーガン・フォックス)は、スクープをモノにしようとフット軍団を追いかけていた港で何者かがフット軍団の犯罪を阻止している姿を目撃するが、決定的瞬間をカメラで捉えることができず、上司のトンプソン(ウーピー・ゴールドバーグ)にも信じてもらえない。そんな中、ニューヨーク市は犯罪対策として、サックス社との契約を更新。エイプリルの亡き父オニール博士は、社の代表であるサックス(ウィリアム・フィクトナー)とかつて同じ研究所で働いていたが、フット軍団に火を放たれて命を落としていた。ある夜、フット軍団が地下鉄の駅を襲撃し、居合わせたエイプリルの前にまたしても正義の味方が現れる。ニンジャの技で軍団をブッ飛ばし、SWATの到着と共に退却する彼らを追いかけ撮影に成功したエイプリルだが、フラッシュに気付いた彼らを間近で見て気絶してしまう。4人のヒーローの正体は、人間の言葉を話す身長180cmのカメだった。レオナルド(ピート・プロゼック )、ラファエロ(アラン・リッチソン)、ミケランジェロ(ノエル・フィッシャー)、ドナテロ(ジェレミー・ハワード )という名のニンジャで、ミュータントでティーンエイジャーのタートルズ。意識を取り戻したエイプリルはその名を聞いて、亡き父との研究所での過去の記憶がぼんやりと蘇る。一方地下の隠れ家へ帰ったタートルズは、勝手な行動を取ったことを師匠のスプリンター(ダニー・ウッドバーン )に叱られ、エイプリルを捜せと命じられる。タートルズに呼び出されたエイプリルに、スプリンターは彼女の父の死の真相を話す。その時、タートルズの存在を知ったフット軍団が隠れ家を急襲。壮絶なバトルの末、レオナルド、ミケランジェロ、ドナテロの3人が敵に拉致され、スプリンターもシュレッダーに倒されてしまう。フット軍団の目的は、タートルズのパワーの源を手に入れ、ニューヨークを壊滅させることだった・・。


1990年代に放送されたアニメ番組を見ていた子供にせがまれてタートルズの人形(玩具)を買ってあげたっけな~~>遠い目
忍者姿のカメが敵(悪者)と闘うというイメージは覚えているのですが、どうして彼らがカメなのか、どんな敵なのかはわかっていませんでした。

今回実写化されるというので劇場鑑賞しようかとも思ったけれど、時間が合わず見送り・・でも意外に早くDVD化されましたね~

リーダー格のレオ=レオナルド(二刀流)と、血気盛んな特攻タイプのラファ=ラファエロ(サイ)、ITオタクのドナ=ドナテロ(棒使い)と軽いノリが持ち味の末っ子マイキー=ミケランジェロ(ヌンチャク)の4人組は何とティーンエイジャーだったのね
てっきりおっさんだと思ってたぞ
予告編で見たエレベーターでのヒップホップ系のノリはだからなのね

エイプリルの同僚でカメラマンのヴァーン(ウィル・アーネット)は自意識過剰だけど根は良い奴。何度車をおしゃかにされても怒り狂うこともない(まぁ会社支給だから自分の懐は痛まないものね

いかにも正義の味方然としている奴が実は悪者ってのは王道で、だからサックスがフット軍団と繋がっていても驚きませんでも、彼が子供時代を日本で暮らしたとか、彼を育てたのがフット軍団のボスのシュレッダーだったとか、実験動物だったタートルズやネズミのスプリンターを火事の時に逃がしたのが幼いエイプリルだったとか、その家事は彼女の父親がサックスの計画を知り止めるために起こしたものだというのも初耳でしたが、ようやく彼らの関係が判明してなんかスッキリ~~

細菌兵器と解毒薬といういかにも近未来的な設定ですが、解毒薬に使われるのがタートルズの血液というのがミソですね。あんなにたっぷり血を吸い取られたのにアドレナリンの投与だけでパワー復活ってのは???ですが、超人的回復力も能力のうちってことかしら

元がコミックなのでファイトシーンはいかにも劇画的です。あんなにNYの街を破壊しても一般人に恨まれないのか?と毎回この手の作品で思うのですが、アメリカ人って大らかなのか心が広いのか?
そしてあの解毒薬のカプセルが割れてシュレッダーも姿を消していたラストからは続編の可能性も示唆されてますが・・・興行的にはどうだったのか気になるところです

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

監視者たち

2015年06月20日 | 日々の出来事
2014年9月6日公開 韓国 118分

並はずれた記憶力と観察眼を持った新人刑事ハ・ユンジュ(ハン・ヒョジュ)は、韓国警察特殊犯罪課SCU内で凶悪犯の行動監視を専門とするベテランのファン・サンジュン(ソル・ギョング)率いるチームに配属される。チームは武装犯罪グループのリーダー、ジェームズ(チョン・ウソン)の追跡捜査を開始。捜査を通してサンジュンとユンジュは信頼関係を築いていく。しかしジェームズは緻密な計画を立て彼らの監視の目をかいくぐり、犯罪を遂行。彼の手を止めるために、チームは総力をあげて捜査にあたる……。(Movie Walkerより)


「私の頭の中の消しゴム」のウソンが悪役で出演しているのもあってチョイス
寡黙で冷酷な殺し屋を熱演してました~~

一度見た事柄を記憶していられるって、もうそれだけで尊敬だ~~。
冒頭の尾行劇はユンジュの能力を確かめるためのテストでしたが、この時しっかりジェームズとの接点が作られていました。ウソンのファンならすぐに「あれ?」と思うシーンですが、彼を知らなければそのまま見過ごしてしまう確率大だね

ユンジュの同僚のリス役は韓国のアイドルグループ2PMのイ・ジュノです。愛嬌たっぷりなキャラは本人とかぶるのかな?リスがジェームズに・・・のシーンではファンの悲鳴が上がったのでは

それにしても今や世界中が張り巡らされた監視網の中で生活してるってことですかね

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パロの暗黒

2015年06月19日 | 
五代ゆう(著) 早川書房(出版)

聖女王リンダをめぐって暗躍する、殺戮王イシュトヴァーンが、パロに恐るべき喧騒を巻き起こす。イシュトヴァーンは、女王リンダへの求婚をいったんあきらめ、フロリーを追ってヤガへと軍を進める。しかしそれは見せかけで、魔道師による追跡の目をあざむいてパロへ戻り、身分を隠してクリスタルへ侵入するのだった。しかしヴァレリウスは対抗手段を講じていた。世界最大最高のファンタジイ・ロマン、満を持してここに再開幕!

グイン・サーガ正篇続篇、ついに刊行開始! 栗本薫先生の遺志を受け継ぎ、宿命の螺旋は次なる巡りを開始する。──


著者が亡くなって、もうこの長編サーガは未完のまま終わってしまうのかと残念に思っていたのですが、つい最近になって別の書き手により物語が続けられていると知り、慌てて調べたところ・・・早6巻ほども出版されているではないですか喜び勇んで借りてきましたとも

まずはヤガへ向かった筈のイシュトがリンダを我がものにしようと密かにパロに戻ってくる話です。自分の思い込みだけで突っ走る性格は変わらないねぇ~~そしてそんな彼をまたまた操ろうとする謎の人物。しかもこれってどう考えても愛しのナリス様が糸を引いてるようにしか見えないじゃないですか

対の指輪を「贈られた」ヴァレちゃんも半信半疑どころかパニクってるし
そういえば、このヒトも相変わらず我が身の運命を愚痴りながら、懸命にパロを支えようとしてるんだよねぇうぶなところもそのまんまでリギアもさぞかしからかい甲斐があることでせう

作者が変わったとはいえ、登場人物の性格はそのまま引き継がれているようだし、初めて読む人にも、忘れかけている人にもおさらいができるような筋書きになっていてとても読みやすかったです。

でも・・・ナリス様、悪役になっちゃうのぉぉ?

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス

2015年06月12日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2015年6月5日公開 アメリカ 122分

記念大会として特別に開催された第75回「ハンガー・ゲーム」の闘技場から危機一髪で救出されたカットニス(ジェニファー・ローレンス)は、滅亡したとされていた第13地区の地下にある、反乱軍の秘密基地に収容される。そこでコイン首相(ジュリアン・ムーア)率いる反乱軍は、スノー大統領(ドナルド・サザーランド)が君臨する独裁国家パネムを打倒し、自由で平等な新国家を建設するための戦いの準備を進めていた。政府軍に故郷を破壊され心を痛めたカットニスは、革命のシンボルとなり、反乱軍とともに戦うことを決意するが、狡猾な大統領は、人質にしたピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)をTV番組に担ぎ出しプロパガンダに利用して、反乱の芽を摘み取ろうとする。ピータのやつれていく姿に胸を引き裂かれるカットニス。やがて両陣営の緊張が高まるなか、反乱軍はピータ救出作戦を決行するが、その先にはカットニスを襲うさらなる過酷な運命が待っていた。

スーザン・コリンズによるベストセラー小説を映画化した「ハンガー・ゲーム」シリーズの3作目で、完結編「ハンガー・ゲーム FINAL」2部作の前編です。が・・・二部作ぅぅぅ???
知らなったぞ。劇場でエンドロールが流れる中、「う~~ん、なんて中途半端な終わり方だこれは観客にその先を想像させる類の作品なのか?」なんて思ってしまった自分が情けなくって悔しい

12地区は破壊されたけれど、ゲイル(リアム・ヘムズワース)やカットニスの母、妹ら何割かの住民は助け出されていて13地区に身を寄せている設定。
破壊された12地区の通りに溢れる焼死体の山の映像はかなり衝撃的です。
こういうシーンを敢えて入れているのには、戦争したらこうなるよ!綺麗ごとじゃないんだよ!という訴えが隠れていると思ったのは深読みでしょうか

カットニスやピータのブレインのヘイミッチ(ウッディ・ハレルソン)は今回ほぼしらふなのである意味かっこよくない今やすっかり保護者の立ち位置だね
エフィー(エリザベス・バンクス)のファッションセンスはドレスじゃなくて戦闘服に反映されているけど、やっぱり前作と比べたら地味でした

反乱軍の旗頭に利用されるカットニスですが、大人しく担がれたままではいないでしょうけど・・・。それにしてもコイン首相も腹に一物ありそうなキャラだね。

好きな彼女の「彼氏」救出に向かうゲイルの胸の内もさぞかし複雑だろうなぁ
いやにあっさり救出成功したと思ったら、そんな残酷な罠を仕掛けてたなんて、ほんまに極悪非道なスノー大統領でありました

そしてお話は続くのです・・・11月かぁ~~

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最高の人生のつくり方

2015年06月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年製作 アメリカ 94分 日本劇場未公開

自己中心的で変わり者の不動産エージェント、オーレン・リトル(マイケル・ダグラス)のもとに、突然、疎遠になっていた息子から、存在さえ知らされていなかった孫娘(スターリング・ジェリンズ)を預かってくれと頼まれる。9歳の少女の面倒などどうやって見ればよいのかわからない彼は、責任感が強く愛嬌のある隣人のリア(ダイアン・キートン)に助けを求め、奇妙な3人の生活が始まる中、頑固者のオーレンは少しずつ家族、リア、そして人生に心を開いていく。

マイケル・ダグラス×ダイアン・キートン が等身大の役柄を演じているこの作品がどうして日本未公開だったのか疑問だわ。若者向けの甘い恋物語だけじゃなく、こんなちょっとシニカルな大人のラブコメだってスクリーンで観たいぞ

皮肉屋で頑固なオーレンは、最愛の妻と暮らした家を売りに出しているけれど、相場より遥かに高い額を設定しているため、なかなか売れません。それって本当は売りたくないってこと?

オーレンの自己所有のアパートには、腕白な子供たちを抱えた若夫婦や、警官の夫と身重な妻の夫婦、夫を亡くしたクラブ歌手のリアが住んでいます。騒ぐ子供を叱りつけたり、車を停めるスペースを独り占めしたりで、オーレンは嫌われ者ですがちっとも頓着していない様子。逆に困っている様子を楽しんでいるかに見えます。いかにも意地悪爺さんって感じね。

ところが、突然現れた息子ルークの孫娘サラを預かることになり、事態は変わります。
見かねたリアがサラの面倒をみる中、オーレンはルークの別れた妻の所在を探し(アパートの住人の警官を利用して住所を突き止めるのは本当は法律に触れることなんだけどね)彼女にサラを押しつけようとするのですが、彼女がまだジャンキー(あるいはアル中)だと気付くと連れ帰るだけの分別は持っていました。

サラを通してリアとの仲も急接近。彼女の歌声を認めるオーレンは歌の合間に挟む話術を磨けとアドバイスします。亡くした夫の話をしては泣いて歌えなくなる彼女に自分のことを話すよう勧め、今より割の良い仕事も斡旋します。私なんてと謙遜するリアに「僕はもっとボロくて古い家を売ってきた」と言っちゃうオーレンは悪気のないダメ男そのもので笑えます。ちゃっかりベッドインにも成功するのですが、事が終わって二秒後に帰ると言い出し大顰蹙を買うの。

リアの機嫌を損ねたと気付き、親友であり共同経営者?でもある女性に助言を求める姿が何だか可愛いぞ。彼女とオーレンはとても性格が似ていて、だからこそ二人は親友関係なのよね。
禁煙の店で喫煙して注意を受けると「未成年じゃないから平気」とのたまうご婦人ですもの

昔素行の悪かったルークは今は立派に更生していたのですが、上司の責任をかぶり無実の罪で刑務所に入ったことがわかると、オーレンは弁護士を雇い息子を釈放させます。なんだ、ちゃんと父親として息子を愛してるんじゃないの。

オーレンは、自分の本当の気持ちを辛辣な言葉や態度に隠してストレートに見せようとしない面倒くさい奴ですが、決して冷酷な人間ではないことがわかってくると、彼ら老年のカップルを応援したいという気持ちになってくるから面白い。

警官の妻の出産時に立ち会わされた時は散々なダメっぷりを見せますが、全てが丸く収まってアパートの住人皆でサラの「芋虫の研究」を鑑賞するラストではすっかり和気藹々な微笑ましいシーンが映し出されます。

いくつになっても人は恋をするし、人を愛する気持ちが人間関係の潤滑油になっているのね。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドラゴンハート 最後の闘い

2015年06月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2015年製作 アメリカ/イギリス/ルーマニア製ビデオ 96分

騎士見習いのガレスは、貧しい者から強引に金品を取り立てることが出来ずにサー・ホーサー(ドミニク・マフハム)から見限られてしまう。金貨を持ってきたら騎士にしてやると言われたガレスは、森に堕ちた隕石に含まれているという金を探しに壁を超えるが、そこには隕石ではなくドラゴンがいた。ドラゴンを追ってきた悪の呪術師の襲撃で傷を負いながらも卵を守ったガレスにドラゴンは自分の心臓を分け与える。呪術師に母親を殺されたローニュ( タンジン・マーチャント)に助けられたガレスは、ドラゴ(声:ベン・キングズレー)と名付けたドラゴンや彼女の仲間と共に卵を奪い返し、呪術師率いる軍との戦いに身を投じていく。


1996年製作のアメリカ映画『ドラゴンハート』の第3弾です。(第2弾は未見)
ドラゴンが傷付いた勇者に自分の心臓を分け与えるという設定は同じですね。

ガレスは貧しさから脱しようと騎士を夢見て見習い修行に励み、その甲斐あって剣の腕は上達して騎士になるチャンスを掴みますが、税金取り立てで無慈悲になれなかったためにそのチャンスを逃してしまいます。侵略者から守るための巨大な壁(昔々の民族紛争の設定が冒頭で語られていました。)を超えることは禁忌なのですが、金が含まれるという隕石が落ちたのは壁の向う側。そりゃ行くっきゃないでしょ彼が卵を守ったのは偶然ですが、ドラゴンはその行為に騎士の資質を読み取ったらしいでも本当は卵の殻に金が混じっていたからみたいなんだけどね

十数年前に仲間を皆殺しにして権力の座についた呪術師は、ドラゴンに呪いをかけて自分の思い通りに操ろうとします。壁を超えて南の国も手に入れようと企む彼は、卵を盗んで逃げたガレスやローニュたちを追ってきます。呪いのせいで日の光も夜の松明も苦手なドラゴンって・・・吸血鬼じゃあるまいし・・影に潜んで移動する技をガレスにも教えるのですが、それが役立つシーンは一回しかなかったようななんか無駄にもったいない。

ドラゴやローニュたちに、自分は騎士だと嘘をついたガレスは、卵をホーサーに献上して騎士にしてもらった後、呪術師たちを追い払おうと計画したのかどうかは判断しかねますが、あっさりホーサーに卵を奪われ吊るされてしまいます。弱過ぎ~~彼を救ったのは同じく見習い呪術師のローニュの仲間の少年とドラゴです。この少年の術はそれまでは意志に反した結果を生むというコミカルな面が強調されますが、大事な場面ではちゃんと成功するの

ケルト民族を思わせる時代背景とコスチュームは、元がアーサー王伝説のイギリスの物語だからなのでしょう。身勝手で未熟なガレスが本物の騎士として成長する物語なのは良しとして、解せないのは卵の扱いだね
たった一個の卵を守っただけで自分の命を分け与えたドラゴなのに、逃げるために卵を爆弾代わりに使わせるってのはどうよ???納得いかんぞ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

恋するふたりの文学講座

2015年06月01日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2012年製作 アメリカ 97分 日本劇場未公開

NYで味気ない毎日を送る35歳の文学オタクのジェシー(ジョシュ・ラドナー)は、同棲する彼女にフラれたばかり。そんな時、母校オハイオ州の大学の恩師ピーター(リチャード・ジェンキンス)から、引退祝いのパーティーでのスピーチを頼まれ久しぶりにキャンパスを訪れる。そこでピーターの知人の娘で現役大学生のジビー( エリザベス・オルセン )と出会う。2人は年齢差や趣味の違いを超えて次第に意気投合し、ジェシーは彼女に好意を抱くようになる。しかし初体験を捧げようとするジビーを前に、彼女の魅力にひかれながらも戸惑いを隠せないジェシーは・・・。


お気楽な恋愛モノかと思って観たら・・・ちょっと違った
この邦題って・・・どうよ

冒頭で、学生に色々アドバイスをしている様子のジェシーは大学職員?英文学と歴史を専攻した彼は読書家で、過ぎ去った学生時代への憧憬が強く、その意味では大人になりきれていません。反対にジビーは19歳にしては知的で大人びていて、積極的で自由奔放な性格です。
最近目覚めたというクラシック音楽のDVDをジビーがジェシーに贈ったことがきっかけで文通をするようになった二人。接点の無さが逆に惹きつけあったのか、手紙という古典的なやり取りが効果を与えたのか、おそらく両方でしょうね

やがて、ジビーの求めに応じて再びキャンパスを訪れたジェシーですが、彼女が好きだという吸血鬼小説(若者に人気の三部作といえば、「トワイライト」のことでしょ)を巡って互いの間の溝に気付きます。ジビーの要求通り、読んでから議論をするジェシーはですが、低俗と決め付けるのは自分の価値観を押し付けることなのよね

さらにジビーがバージンだと告白した途端、逃げ腰になるのはいかがなものかと二人の年齢差とか社会的責任とかが先に来てしまうのは、まぁ仕方がないことではあるのですが、もしジビーが経験者だったらそのままベッドインしたのかよ!!と突っ込みたくもなります。ニューヨーカーの30台独身男のジェシーが処女性に重きを置いてるなんて不自然だぞと思ってしまうわけです。

揺れ動く中年男性と10代女性の心を表現したのでしょうが、彼女から逃げ出したジェシーが、学生時代に尊敬し憧れていた英文学教授のフェアフィールド(アリソン・ジャニー )女史にお持ち帰りされたり、やけになった?ジビーがそれほど好きでもない男とキス(おそらくそれ以上)したりのエピソードもちょっと理解に苦しみます。ただ、事が終わってジェシーを追い返そうとする女史とのやりとりはなかなか興味深いものがありました大人になりきれていないジェシーの心の成長に、大きな影響を与えた出来事ですものね

ジェシーがキャンパスで出会った謎の青年ナット(ザック・エフロン)の役割は助言者的なもの?何だか抽象的だったな。
逆に精神を病んで休学していたという学生ディーンのエピソードは現実感があります。愛読書が同じという共通点からジェシーは彼を気に掛けるようになり、彼の自殺を未然に食い止めます。まさに今のジェシーの仕事(カウンセラー?)に繋がる関係性です。

恩師ピーターとは、スピーチを頼まれるくらいですから相当親しかったのかしら?ピーターもNY出身なので、同郷のよしみがあったのかな?地方の大学教授と言う暮らしに飽き飽きして退職を決めたものの、いざ離れることになると未練が残り撤回を申し出るピーターでしたが、もう後任が決まったからと拒否されるくだりは、ちょっと切ないというか哀れさがありました。彼がジェシーに言う「気持ちは19歳なのに、鏡に映る自分は違う」というセリフが心に突き刺さりました。大学という場所は時の流れを切り取ったような空間で、その中にいる者は(少なくとも精神的に)時が停まっているのかもしれません。ここを去ることでピーター自身も何かが吹っ切れるのかも。

NYに戻ったジェシーはいつも行く本屋の店員のアナと交際を始めます。年齢も近く趣味も同じアナをジェシーは選んだというわけです。普通の恋愛映画なら、障害を越えてジビーと結ばれる流れになると思うのですが、そうならないところが逆に現実的です。ただ、「年も近いし~」の独白は余計な気がするな。それってジビーを忘れるための言い訳みたいに聞こえるんだもの。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする