杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

レディホーク

2012年03月31日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1985年製作 アメリカ 121分

アクイラの大聖堂の地下牢獄から、スリの常習犯フィリップ(マシュー・ブロデリック)が脱獄に成功する。田舎の宿屋で司教(ジョン・ウッド)の輩下に捕えられたフィリップを救ったのは肩に鷹をとまらせた騎士ナヴァール(ルトガー・ハウアー)だった。森の中できこりに一夜の宿を借りた二人だが、夜になるとナヴァールの姿が消え、代わりに美女イザボー(ミシェル・ファイファー)が現れる。そして朝になると、イザボーが消えナヴァールがもどってきた。ナヴァールは司教に復讐するため、守りの固い聖堂の地下迷路を通ってきたフィリップに協力を求めるが、彼はしり込みする。しかし、追手の矢に傷ついたナヴァールの鷹を、山頂の修道院に住む僧インペリアス(レオ・マッカーン)に診せるよう命じられたフィリップは、そこで鷹がイザボーに変身するのを目撃する。かつてイザボーとナヴァールは愛し合う恋人たちだったが、横恋慕した司教が悪魔と取引して2人に呪いをかけ、イザボーは昼は鷹に、ナヴァールは夜は狼に変身し、2人が人間として出会えるのは日の出と日没の一瞬だけだった。2人の仲を司教に告げ口したインペリアスはそのことを悔い、彼らを元の姿に戻す方法を神の啓示により知って、償いをしようとしていた。初めは耳を貸さなかったナヴァールだが、インペリアスとフィリップの助けを借りてアクイラの門をくぐり、向かってくる騎士を倒し、ついに司教と対決の時を迎える・・・。


司教の邪恋によって鷹と狼に姿を変えられ、触れ合うことも語り合うことも出来ない恋人たちの姿が何とも痛ましいです。それを象徴する明け方のシーンが切なくも美しい

しかし・・私の関心はフィリップを演じたのがマシューだったってこと出演者情報はエンドロールで知ったので、「ええええ~~!これってマシューなんだ」と驚いたのなんの・・そういや27年も前の作品なんだよね~その割には映像が奇麗

愛し合う恋人たちの手助けをするフィリップが、イザボーに好意を寄せているように見えるのも、イザボーの方も意識しているように見えるのも、気のせい、気のせい若者の純粋な美しさへの憧れってことにしましょう。

司教への復讐心に燃え、インペリアスの助言を無視するナヴァールの意固地さも、騎士道精神の発露ってことにしておきましょう。 ところでこの作品の主人公ってナヴァールとフィリップどっちなんだっけ??

聖堂の中、大勢の僧達の前で司教を襲うナヴァールを止めるのがたった一人の手下の騎士だけで後は司教も含めただ見てるだけというのも置いときましょう

恋人たちが人間の姿で共にいられるのが日蝕の日というのは良いアイディア。
卑怯な振舞いをした司教がナヴァールの剣で成敗されるのもま~見事に串刺しざま~みろでございます

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ミスティカル・アドベンチャー

2012年03月24日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年製作 スペイン 81分

ファンタジーものはほんと玉石混交だなぁ
未熟で情けない主人公が、くそ生意気なニンフとあてずっぽうな旅をして、魔法らしい魔法も使わずに(単)純粋さで敵を打ち負かすというお話。

その昔、力のある魔法使いが邪悪な悪魔を壺に閉じ込めたけれど、時が経つにつれその存在は忘れられていったというような導入があって、冒険を夢見る弟子のエルディン(イバン・ガラテ)が、ニンフと言い張るフィラ(サビトリ・セバロス)を師匠である魔女モルカ(マイテ・アギーレ)の家に連れてきたことから災難の扉が開いちゃうのです。

好奇心旺盛なフィラが、入ることを禁じられている部屋に勝手に入り、壺を見つけてしまうのだけど、そこにフィラを追ってきた魔物が押し入り壺の封印が解かれます。そんなに簡単に壺開いちゃっていいのかよ!と突っ込みたくなるほどあっさりと解放された悪魔は、恩人?である筈の魔物をまずは吹っ飛ばし、封じ込めようとしたモルカも殺します。その時エルディンはと言えば・・・モルカの命令に従いさっさと逃げた。ま、あまりにも力の差はありすぎだけどね。

壊された家の前で呆然と立ちすくむエルディンにモルカの魂が「あなたは世界を救う力があるのよ」と語りかけますが、内容は残り2つの壺の守護者への伝言。パシリですかい

まずは竜がいる北の国に向かいますが、貰った地図の読み方すら知らないというおバカぶり。それでよく辿り着けたよな~~。でも時既に遅く、2つ目の壺の中の悪魔も解放されてました。おまけに地図を失くしてしまうし。何やってんだか。
竜のエヴァリストと友達になったはいいが、彼が案内したのはエルディンを閉じ込めフィラを食べようとする魔物の洞窟。何とか逃げ出して3つ目の壺の守護者を訪ねたらボケた爺さんで物事を理解出来ないでいるうちこれもあっさりと殺られてしまいます。おいおい

さて、めでたく悪魔の3揃いとなりまして、いよいよエルディンが勇者に?と期待も高まりますが、「色の魔法」が生まれる場所(虹の麓)へ来てみると、まさに悪魔たちが「地獄の門」を開きラスボスの登場~!!!駆けつけたエヴァリストもフィラもやられて絶体絶命の時、エルディンは自らを犠牲にすることで友達の命を救おうとするの。実はこの自己犠牲こそが最大の武器だったというわけです。あら、案外正攻法じゃありませんか

う~~ん、キャラとかCGはそれなりなんですが、どうも内容が薄いというか詰めが甘いというか・・・惜しいなぁ。

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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙

2012年03月21日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年3月16日公開 イギリス 105分

雑貨商の家に生まれたマーガレット(メリル・ストリープ)は市長も務めた父の影響で政治を志すが、初めての下院議員選挙に落選してしまう。失望する彼女に心優しい事業家デニス・サッチャー(ジム・ブロードベント)がプロポーズする。「食器を洗って一生を終えるつもりはない」野心を隠さないマーガレットを、デニスは寛容に受け入れる。双子にも恵まれ、幸せな家族を築く一方で、マーガレットは政治家としての階段も昇りはじめる。失墜した英国を再建する。それは気の遠くなるような闘いだったが、彼女はその困難に立ち向かう。愛する夫や子供たちとの時間を犠牲にし、たった一人で闘い続けた。深い孤独を抱えたまま。そして現在のロンドン。どんなに苦しい時も支え続けてくれた夫・デニスは既に他界した。だが、マーガレットは未だに夫の死を認識していないのか、時折不可解な行動が目立つ。思い出の洪水の中で、デニスの遺品を手に取り彼女はつぶやく。「あなたは幸せだった?」と。(チラシより)


実話ものはあまり好きではありませんが、メリルが演じていてオスカーを獲ったので興味を持ちました。世の中同じように思った人が多いようで、レディースデーとはいえ朝イチの回なのに8割くらいの入りで混んでました。

映画を観終わっても、イギリス史上初の女性首相で、その強硬な意思と政治方針から「鉄の女」と呼ばれたマーガレット・サッチャーさんに親近感は覚えなかったけれど、そのような女傑でも、時には葛藤や苦悩することもあったのだと窺い知ることができたのは収穫でした
何しろ男社会の中で頭角を現し、強いリーダーシップで国を導いた女性なのですものね。
(その政治的評価についてはここでは触れませんが

物語は痴呆症状が出てきたサッチャーさんが、亡き夫の幻覚と共に暮らすことから一歩踏み出そうと決意するまでを描いています。
夫デニスの人となりがまた温厚で彼女を深く思いやっていたことが偲ばれる作りになっていて好感が持てました
彼女は家庭的には善き妻、善き母とはお世辞にも言えないけれど、この夫あってこそ、政治家として成功し得たのでしょうね。

さすがにメリルの演技は堂にいっています。英語も米語も聞き分けられない私ですが、その発音の違いから発声の仕方まで熱心に研究した成果が出ているのでしょうね。

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聖なる嘘つき、その名はジェイコブ

2012年03月20日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
1999年製作 アメリカ 

1944年、ナチス占領下のポーランドのゲットー。塀の外から舞い込んだ新聞紙を追ったユダヤ人ジェイコブ(ロビン・ウィリアムス)は、塀の前で衛兵に止められ、規則違反で司令部に出頭を命じられる。司令部事務所で耳にに入ってきたラジオ放送で、この町から400キロ先にあるベザニカでドイツ軍がソ連軍と交戦したというニュースを耳にしたジェイコブは希望を抱く。帰り道、収容所に送られる列車から逃げ出してきたリーナ(ハンナ・テイラー・ゴードン)と出会い、屋根裏に彼女を匿うことにする。翌朝、床屋の友人コワルスキー(ボブ・バラバン)が自殺しようとしているところに出くわしたジェイコブは、咋夜のニュースを伝えて彼を引きとめる。やがてそのニュースは、ジェイコブがラジオを持っているという噂と共に広まり、ニュースの続報をせがまれたジェイコブは、ドイツ軍がソ連に反撃するために東に向かっていると出まかせの戦況を伝える。しかし、そのニュースを、収容所へと向かう貨車に乗っているユダヤ人たちに教えようとしたハーシェル(マチュー・カソヴィッツ)が兵士に射殺され、自責の念にかられたジェイコブは悩むが、医師の励ましに勇気づけられ嘘を重ねていく。やがてゲットーの住人たちは抵抗組織を作ることを思いつき、ジェイコブはリーダーに選ばれる。しかし、医師が心臓を病むゲシュタポの将軍の命令で呼び出され、噂になっているラジオの持ち主の密告を迫られて服毒死したため、将軍はラジオの持ち主の捜索に乗り出し、本人が出頭しなければ人質10人を殺すと言う。真実をコワルスキーに告白し司令部に出頭したジェイコブは、住民たちの前でラジオのニュースも抵抗運動も、全て嘘だったと言うよう強要されるが・・。


妻を射殺され、生きていく希望もすり減っていたジェイコブが、司令部でラジオニュースを偶然聞いたことで、周囲から期待と希望を向けられ、やがてはその希望を守るために、嘘をつき通して死んでいきます。彼らが置かれた状況は悲劇的ですが、物語は決して重苦しいものではなく、過酷な毎日の中でもユーモアと笑いを忘れない一抹の明るさがあり救われます。

病気になったリーナを元気づけるために、良くなったらラジオを聞かせると約束したジェイコブが、回復したリーナに、チャーチルの声色を使ってBBC放送を演じてみせる場面などはいかにもロビンらしさが出ていました。

絶望の中で縋る一縷の光はまさに希望と呼ぶ、命をかけて守るべきものでした。
ジェイコブが射殺された後の本人のナレーションには戸惑いもありましたが、救いのある結末に少し癒されます。

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フェア・ゲーム

2012年03月18日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年10月29日公開 アメリカ 105分

2001年9月11日の同時多発テロ以降、アメリカのブッシュ政権はイラク政府が大量破壊兵器を密かに保有し、世界にテロを“輸出”する「悪の枢軸」のひとつだとして、世論を動かしながら攻撃準備を進めていた。極秘にこの疑惑を調査していたCIAの秘密諜報員ヴァレリー・プレイム(ナオミ・ワッツ)は、潜入捜査の末、イラクに核兵器開発計画がないことを突き止める。一方、ヴァレリーの夫で、元ニジェール大使のジョー・ウィルソン(ショーン・ペン)も、国務省の依頼でアフリカ・ニジェールへ赴く。イラク政府が核兵器開発に必要な濃縮ウランを密かに買い付けているとの情報の真偽を確認するためだ。そして彼もまた、イラク政府によるウラン購入の事実はないとの結論に達する。だがブッシュ政権はヴァレリー夫妻の報告を無視、2003年3月20日、イラクへ宣戦布告する。4ヶ月後、ジョーは自身の調査報告を元にイラク戦争の真実をニューヨーク・タイムズ紙に寄稿、ブッシュ政権を揺るがす大論争を巻き起こす。核兵器開発計画が最初から存在しないならば、イラク戦争を始めたブッシュ政権の正当性が疑われかねない。ところがその直後、ワシントンの有力ジャーナリストたちに、ヴァレリーがCIAの秘密諜報員だという情報がリークされる。情報漏えいを指示したのは、チェイニー副大統領主席補佐官のルイス・“スクーター”・リビー(デヴィッド・アンドリュース)だった。身分を暴露され、たちまち世間の好奇の目に晒されるヴァレリー。家族や各国に散らばる協力者にも危険が迫り、彼女のキャリアと私生活は崩壊し始める。匿名で送られてくる脅迫状や無言電話、容赦ない世間の中傷……今まで証券会社勤務だと偽っていた彼女から友人も離れていった。ジョーは、メディアに自身の正義を論じるが、ヴァレリーは沈黙を貫く。公の場で事実を明かすべきだと言い募るジョーと対立し、唯一の安らぎの場所だった家庭さえもが崩れ落ちそうになったとき、彼女はいつも温かく見守ってくれた両親のもとへ向かう。家族との穏やかな時間を過ごす中、大切なものとは何か気付いたヴァレリーは、自らの名誉と家族を守るため、強大な国家に戦いを挑むのだった……。(goo映画より)


9.11以後のアメリカのイラクへの攻撃の正当性についての是非は今でこそ議論の俎上にあげられますが、渦中において国家を批判するということの大変さは想像に難くありません。

ヴァレリーは国を愛し、職務に忠実な女性です。その仕事が秘密保持を旨とするCIAでの諜報活動だとしてもです。しかし、調査の結果はまっすぐに上層部へは届かず、捻じ曲げられた意図の壁に阻まれてしまいます。忸怩たる思いを抱えながらも組織に従った彼女ですが、夫のジョーは敢然と立ち向かおうとします。

マスコミに向けて公然と政府を非難したジョーへの報復は妻であるヴァレリーの素性を暴露するというものでした。それは彼女のキャリアも家族の安全も揺るがします。

ジョーは妻を守るため、必死にマスコミにアピールしますが、それすらも巧妙に捻じ曲げられ、夫妻は世間から誤解され孤立していきます。さらに夫婦間の信頼にも亀裂が入り・・・テーマは国家による個人への攻撃ですが、事の大小はあれ、夫婦に訪れる危機と、それを乗り越えて信頼の絆を深めた二人の物語とも読めますね。沈黙を貫いていたヴァレリーが大切な家族を守るために口を開く姿はとても毅然としていました。芯の強い女性を本気で怒らせたら恐いんだぞ~~!!

それにしても、国家権力ってえげつないこと
ヴァレリーの身分をリークしたことで、彼女が携わっていた工作活動で救出される筈だった人々が犠牲になるというエピソードはやりきれません。一人の人間の命は地球より重いというのは現実の前には奇麗事でしかないし、権力者にとっては些細な気にかけることさえない出来事なのですから。政府に操作されるマスコミも情けないよね。そしてそれを鵜呑みにする人々も・・・でもちょっと待って!決して他所の国の話と笑えないのが今の日本にも起こっているかも

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トレジャー・オブ・エンペラー 砂漠の秘宝

2012年03月17日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年製作 中国/台湾 105分

古代遺跡の盗品を悪党から取り返しているチャオ・フェイ(ジェイ・チョウ)は、師・トゥから砂漠の“伝説の古城の宝”の地図を見せられる。地図を狙う財宝ハンター(エリック・ツァン)に人質に取られたトゥの娘ランティン(リン・チーリン)を助けに向かったチャオは、謎の男たちの襲撃から逃れ、ランティンと共に古城を目指すが・・・。

『グリーン・ホーネット』のジェイ・チョウ(この作品では小栗旬に似てたな)と『レッドクリフ』のリン・チーリンが主演なのに、B級色たっぷり。というか、内容は洋画のパクリ(オマージュと言った方がいいのか)じゃないの。

『ジョーズ』でお馴染の効果音の登場に?となり(しかも砂漠が舞台で海無し)、財宝ハンターの仲間の男がかぶる帽子とチャオの持つムチは『インディ』そっくり。また古城の内部描写や地図を奪って逃げる少年の存在も『インディ』っぽい。そして少年が楽器を弾くのは『マリアッチ』風ときたもんね

チャオはランティンと幼馴染のようだが、砂漠の守護者と関係があるらしい。しかも冒頭に出てくる砂漠での闘いは長を決めるもので、彼は負けて砂漠を離れたようだが、後にそれはわざと負けたのだと分かる。責任を逃れ自由を愛する男ということなの?

地図を盗んだ少年のボスは実は女性で、チャオは現守護者を慕う彼女に利用された形だ。こんなの三角関係でも何でもないじゃないかぁ
財宝ハンターを古城へ導く男はといえば、過去の冒険で友を亡くし生きるためにある忌まわしい経験をしたようだ。そんな彼が再び古城へ向かったのは死に場所を求めたから・・って謎めいた男風にそそっておいてそれはないんじゃないのぉ

とにかく彼らの冒険の目的や動機付けは観ている側をすんなりと納得させるには弱いのだ。 
そもそも古城を守る亡霊?たちが棺桶の中の「玉」で消滅するってどうなの?あの棺桶に入っていたのは誰?など疑問は置き去りのままで終わってしまったんだな。

包帯男とのバトルシーンはありえなさ過ぎて笑えるけど、砂漠でのアクションはそれなりに面白かったし、例え砂漠にロングスカートで冒険に出たってリン・チーリンは並はずれて美しかったけれど、筋書きとしてはやや無理くりな感じでした。

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シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム

2012年03月14日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年3月10日公開 アメリカ 129分

各地で連続爆破事件が発生し、ホームズ(ロバート・ダウニーJr.)も巻き込まれそうになる。世界中で発生している未解決の重大事件が一本の糸で繋がっていて、その黒幕がモリアーティ教授(ジャレッド・ハリス)だと見抜いたホームズだが、事件に関与していたアイリーン(レイチェル・マクアダムス)が姿を消し、「手を引かなければワトソンの命も狙う」とモリアーティから脅迫を受ける。鍵を握るジプシーの占い師シム(ノオミ・ラパス)と出会ったホームズは、ワトソン(ジュード・ロウ)と共にイギリス、フランス、ドイツ、スイスへと大陸を横断して捜査を進めていくが・・・。

ガイ・リッチー監督の「シャーロック・ホームズ」シリーズ第二弾です。
前作よりスケールアップして、ホームズの天敵のモリアーティ教授のヨーロッパ全体を巻き込んだ壮大な悪事を阻止しようと奔走する姿が描かれます。

何といっても従来のホームズ像を変えたロバート・ダウニーJr.のちょっと高田純次に似たいい加減さがとてもお茶目。それでいてセクシーなのよね。まさにこの人ならではのホームズに更に磨きがかかった感じです。原作ファンの評判は知らないけれど、私はこんなホームズも「あり」だわ。

ホームズの天敵となるモリアーティ教授は、高名な数学者で温厚な人格者の仮面の下で、良心のかけらもない恐ろしい陰謀を企む男です。自分の手を汚さずに民衆の命を奪い歴史を操作し、絶大な富と権力を手に入れようとする卑劣な悪の天才に挑む我らがホームズも、今回ばかりは劣勢で危機に陥る場面もありますが、盟友ワトソンの助けで九死に一生を得ます。

新婚旅行中のワトソン夫妻を守ろうと女装して乗りこんで教授の差し向けた男たちと派手な立ち回りを演じたり、シムの仲間のロマたちと敵陣へ乗りこんだり、かなりヤバイ状況の連続なのに、二人のユーモアに満ちた絶妙な掛け合いがあちこちで炸裂します。「仲良くケンカ」の見本市のようで何とも面白くて、何度もクスッと笑ってしまいました。まさに友情の深さ故なのね

クライマックスのスイス・アルプスのラインヘルバッハの滝での一騎打ちは圧巻です。相討ちで共に落ちていく二人ですが・・・もちろん、後で思えば、兄のマイクロフト(スティーヴン・フライ)の部屋で弄っていたあるものの使い道を想像したら「なるほど」と納得できるんですがね
それにしてもホームズ兄弟ってどっちもかなりの変人奇人ですなぁ

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ステイ・フレンズ

2012年03月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年10月1日公開 アメリカ 

ジェイミー(ミラ・クニス)は、ニューヨークを拠点に有能な人材のヘッドハンティングを仕事にしていた。彼女は、ロサンゼルスで活躍する敏腕アート・ディレクターのディラン(ジャスティン・ティンバーレイク)をニューヨークに招待する。その目的は、彼のヘッドハンティングだったが、会話を重ねるうちに自分たちの恋愛観が似ていることに気づく。2人ともあまりに多くの恋愛で失敗を重ねてきたため、諦めることに慣れ、恋愛そのものを楽しむことができなくなっていたのだ。ジェイミーの説得で転職を決めたディランは、ニューヨークで暮らすようになる。たちまち仲の良い友達関係になる2人。お互いにまったく恋愛感情を持たずに。しかし、ある時ジェイミーがもらした“セックスしたいわ”という一言がきっかけで、2人の関係に変化が訪れる。ジェイミーとディランは、恋愛なし、感情なし、甘い言葉厳禁を条件に、セックス・フレンドとして付き合うことにしたのだ。お互いの気持ちいい部分を言い合い、余計な感情を持ち込まず、純粋にセックスを楽しむ。しかし、関係を重ねるうちに、やがて2人の間に微妙な変化が生じてくる……。(goo映画より)

ま、結末は見えてるラブコメです
恋愛下手な二人が出会い、友人として、単なるセフレとして付き合ううちに互いへの想いが深くなっていくというお決まりのストーリーです。

恋に奔放な母を持ち、父親が誰かも知らされないままのジェイミーと、両親が離婚し父親がアルツハイマーを発症しているディラン。共に永遠の愛とか円満な家庭への幻想と幻滅を持つという共通点と、それゆえの臆病さでなかなか自分の気持ちに向き合えない二人が不憫なようなじれったいような・・・。

体の関係を持ったら友達ではいられない気がするのは旧タイプな考え方かしらん? 何度もベッドシーンが出てくるけれど、厭らしくはないのでカップルで観ても楽しいかも。 

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モンスター上司

2012年03月11日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年10月29日公開 アメリカ 98分

ニック・ヘンドリクス(ジェイソン・ベイトマン)は、上司デビッド・ハーケン(ケビン・スペイシー)が出世をチラつかせて出す無理難題に耐え、長時間労働をしてきたが、デビッドが彼を出世させる気が毛頭ないことを知る。ニックの親友の歯科助手のデイル・アーバス(チャーリー・デイ)は、口腔外科医のジュリア・ハリス(ジェニファー・アニストン)のセクハラに耐える日々。もう一人の親友で、会社で経理を担当するカート・バックマン(ジェイソン・サダイキス)は、急死した社長の跡を継いだ息子でヤク中のボビー・ペリット(コリン・ファレル)が、横暴に振舞うだけでなく有害廃棄物を外国に垂れ流そうとしていることに気づく。酔って愚痴を吐きあい鬱憤を晴らす3人だったが、もうこれ以上我慢の限界にきた。目の上のたんこぶであるそれぞれのボスの存在を葬り去るために、3人は、怪しげなバーで知り合った元詐欺師(ジェイミー・フォックス)のアドバイスに従い、交換殺人計画を実行するのだが・・・。


働いていれば、気に食わない上司の一人や二人は出てくるものですが、3人の上司はかなり常識を逸脱するツワモノ揃い。彼らが“上司殺害”を思いつく気持ちは同情できるのですが、やり方がねぇ思いつきで行動するものだから、計画は穴だらけですぐにばれてしまう。それも当の上司に

主役の3人は無名俳優ですが、上司には有名どころが並んでいます。ケビンは一番狡猾で憎たらしいキャラを熱演。コリンはハゲヅラまで被ってジャンキーを装っているので見間違えかと思ったけれど、あのゲジゲジ眉でわかりましたジェニファーのエロキャラにはちょっと閉口ですが、男性諸氏には嬉しい演技かも元詐欺師役のジェイミーのとぼけ加減も楽しかったです。

杜撰な計画は破綻して、三人は窮地に立たされますが、カーナビという思いがけない助けを得て形勢逆転、見事上司は失脚・死亡・弱みを握ることになるのですが、せっかく開けた明るい未来も新しい上司次第というオチが待っていました。ま、そんなもんさね、人生は





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ブリッツ

2012年03月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2011年10月15日公開 イギリス 97分

ロンドン市警の刑事ブラント(ジェイソン・ステイサム)は、妥協を許さず犯罪者には徹底的に制裁を加える。ダブロイド紙の記者ダンロップ(デヴィッド・モリッシー)に散々に書かれても気にもかけない。そんなある日、警官ばかりを狙う連続殺人事件が発生する。情報提供者から電話を受けたダンロップは特ダネに狂喜するが、その男・ワイス(アイダン・ギレン)こそが殺人鬼ブリッツだった。彼は自分を逮捕した警官を復讐のために殺害し、ダンロップに記事を書かせて有名になろうと目論む愉快犯だったのだ。ブラントの師や同僚たち、密告者までも次々と手に掛けたワイスの最終的な標的はブラントだった…


犯罪者に対して容赦のないブラントは、行き過ぎた暴力で物議をかもしながらも、あくまで自分のルールに従って行動するタフガイです。対するブリッツ(稲妻、急襲するの意)は過去度々警察の厄介になった小悪党ですが、逆恨みから連続殺人鬼となります。自己顕示欲が強い愉快犯というより病的な印象を受けますが、知恵は回るので、逮捕されても状況証拠だけでは起訴に持ち込めないのが歯痒いねぇ。

ブラントの理解者となり相棒となるのは新任警部のナッシュ(パディ・コンシダイン)。彼はゲイという噂で周囲から浮いていますが、実は前任地で未解決の事件の犯人に制裁を加えて配置換えになったという経歴があります。(ゲイというのは本当でしたが

本質が似ている二人は事件を追う中で厚い信頼で結ばれていきます。釈放されたブリッツを罠にかける展開は読めてしまうのでクライムサスペンスというには甘い気もしますが、その制裁にはスカッとします。それだけ憎たらしい犯人なんだもの

ゴシップ記者のダンロップの特ダネ至上主義の厭らしさもむかつきますが、ブラントが犬をけしかけるラストでちょっと溜飲が下がったかな

「トランスポーター」ではその身なりも影響して紳士的な印象がありますが、今作では乱暴だけど義理堅いハードボイルドな男を熱く演じていてこれもまた魅力的です

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ヒューゴの不思議な発明 ネタバレ

2012年03月07日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2012年3月1日公開 アメリカ 126分

1930年代のフランス・パリ。父(ジュード・ロウ)を火事で失ったヒューゴ(エイサ・バターフィールド)は、クロードおじさん(レイ・ウィンストン)に連れられ駅の時計台に隠れ住んでおじさんの手伝いをして駅の時計のネジを巻いて暮らしていたが、そのおじさんも姿を消してしまう。独りぼっちになった彼の唯一の友だちは、父が遺した壊れたままの“機械人形”だった。ある日、人形の修理をするため、駅構内でオモチャ屋を営むジョルジュ(ベン・キングズレー)から部品を盗もうとして捕まったヒューゴは、大切な父のノートを取り上げられてしまう。取り返そうとジョルジュの後をつけたヒューゴは、彼の家でイザベル(クロエ・グレース・モレッツ)と出会う。イザベルはヒューゴを本屋のラビス(クリストファー・リー)に紹介し、ヒューゴは映画を観ることを禁じられているイザベルをこっそり映画館に連れていくなど、二人は次第に仲良くなっていく。やがて、修理が完了し、イザベルが持っていた“ハート型の鍵”がヒューゴの機械人形の鍵だと判明し、鍵を差し込むと、機械人形は動き出し、「ジョルジュ・メリエス」という署名の入った月の絵を描く。それはイザベルの養父であるジョルジュの名前だった。人形とジョルジュの関係を探るうち、彼の過去が、映画界から忽然と姿を消した世界初の職業映画監督だと知ったヒューゴは・・・。


単純な冒険ファンタジーだと思っていたら違ってました。映画賛歌ですね

2005年の『オリバー・ツイスト』と社会環境が似ているな~と思ったら同じ1930年代でした。イギリスとフランス、国は違えど孤児になった子供には辛い時代です。博物館の火事で父を亡くしたヒューゴを引き取ったのはおじさんですが、飲んだくれの彼はヒューゴを学校にも行かせず仕事の手伝いをさせます。そんな「保護者」でもいるだけましなのです。やがておじさんが消えてしまうと、鉄道公安官(サシャ・バロン・コーエン)に捕まらないよう注意を払いながら、生きるために駅構内で食糧をくすね、おじさんの不在を知られないよう時計のねじを巻くことが日課になります。父親と暮らしていた時はこざっぱりした服装で髪も奇麗に整えられていたヒューゴですが、時計台暮らしでは浮浪児さながらの様子で哀れを誘います。

この公安官は、いつも独りで構内をうろつくヒューゴに目をつけて追いかけまわします。仕事熱心ですが、戦争で障害を負い義足なことと、要領も悪いので周囲を巻き込んでの大騒ぎを演じてしまうの。相棒の犬とともに「敵役」ではありますが、どこか憎めない人物です。
実は彼も子供の頃孤児となり、孤児院に入っていたことが後にわかります。映画では、彼と花屋のリゼット(エミリー・モーティマー)とのロマンスも語られます。あともう一組のカップルも出てきますが、小道具として使われる犬たちが愛らしいです。

亡き父との思い出の中に映画を一緒に観たことが登場し、最初に観た作品『月世界旅行』がメリエスの作品なの。他にもリュミエール兄弟の『ラ・ジオタ駅への列車到着』など、初期の映画作品が登場し、スコセッシ監督の映画創世記監督たちへのリスペクトに溢れています。

ヒューゴとイザベルの子供らしい好奇心溢れる冒険が、殻に閉じこもったジョルジュ老人の頑なな心を溶かし、忘れていた映画への夢を蘇らせるという筋書きは、人形が未知の冒険の案内役になるのかと期待した気持ちを萎ませてしまったのですが、根っからの映画好きにはそれこそわくわくするストーリーなのでしょう。

ヒューゴが住む時計台の内部描写が秀逸です。歯車やぜんまいやねじといった機械に囲まれた空間が冒険の舞台にマッチして、公安官から逃げるシーンではハラハラドキドキさせてくれます。

また、ヒューゴがイザベルに時計台の上から街を見下ろしながら語る「ここから見た街はまるで機械のよう。機械は不用な部品なんて一つもない。だから街に住む人間だって誰一人必要じゃない者なんていないんだ。」というセリフが胸に響きました。そう!みんな一人ひとり、誰かに必要とされているんだよ

機械人形はジョルジュが作ったものでした。夢破れた彼が唯一残した作品でもありました。ヒューゴが蘇らせたことで、彼の心に再び映画への情熱が蘇るのです。ヒューゴにも新しい「家族」と「家」が出来ました。めでたしめでたし

エンドロールでプロデュース:ジョニー・デップの文字が
出演はしていないようですが・・・

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クレアモントホテル

2012年03月05日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2010年12月4日公開 アメリカ=イギリス 108分

老婦人サラ・パルフリー(ジョーン・プロウライト)は、最愛の夫に先立たれ、娘エリザベス(アンナ・カートレット)から自立した生活を送るため、ロンドン市内のクレアモントホテルへ長期滞在に訪れる。想像とはかけ離れた設備に落胆しつつも、ドレスアップして夕食のテーブルについた彼女は、滞在客たちの注視にさらされるが、アーバスノット夫人(アンナ・マッセイ)が声をかけてくれる。翌日、朝食の席でロンドンに住む孫デズモンド(ローカン・オトゥール)の話をすると、皆の興味が集まった。ここでは、訪問客とかかってくる電話が一番の関心事なのだ。早速、デズモンドへ電話をするが彼からの電話も訪問もなく、言い訳も底をついた頃、外出先でつまずいて転んだところをルードヴィック・メイヤー(ルパート・フレンド)に助けられる。作家志望の彼は、孫と同じ26歳の青年だった。ホテルに戻りお礼に彼をホテルでの夕食へ招待した話をすると、皆に孫が訪ねてくるのだと勘違いされてしまう。困った夫人が、そのことをルードヴィックに話すと、デズモンドのふりをすることを提案された。約束の日、ホテルにやってきたハンサムな青年にホテルの住人は沸き立つ。一方、ルードヴィックは、この偶然の出会いを小説の題材にすることを思いつく。その後も夫人とルードヴィックは頻繁に会うようになり、お互いの孤独な生活の中で本音を語りあうようになるが・・・。

イギリスの作家エリザベス・テイラー晩年の小説が原作だそうです。

自立した晩年を過ごそうとミセスPが訪れたのは、長期滞在型のホテルです。想像していたより遥かに貧弱な部屋の様子と美味しいと聞いていたのに実際は不味い食事にがっかりはしたものの、ユーモアとウィットを忘れないホテルの住人たちとも次第に心を通わせていきます。
辛辣な物言いだけどさりげない気配りの人・アーバスノット夫人の口癖は「ホテルでの臨終禁止」。彼女はホテル内で倒れ、施設へ移って亡くなるのですが、新聞の死亡広告欄でそれを知る場面は切なかったです。逆にオズボーン氏(ロバート・ラング)からプロポーズされ、婉曲に断る場面はクスっとさせられます。

何より夫人をときめかせたのは、偶然出会った作家志望のルードでした。礼儀正しく夫人の愛読書のワーズワースや亡き夫が好きだったウィリアム・ブレイクの詩にも通じているルードに、夫人は亡き夫との思い出を重ね、ルードは夫人から人生の奥深さを学ぶのです。世代の異なる二人の間にあるのは恋愛感情ではなく、心の交流です。映画はそれを抒情豊かに描き出してみせます。ルードの母(クレア・ヒギンズ)と会って、母子のすれ違っていた気持ちを繋ぐシーンはまさに年の功。

夫人が薦めた映画「逢びき」が縁でルードはグェンドリン(ゾーイ・タッパー)と出会い、二人は恋に落ちます。脇で静かに見守る夫人の胸によぎったのは、若いころの自分と夫の姿でしょうか?しかし若い二人が親密になるほどに、夫人のもとへの訪問は間遠になり、寂しさを禁じ得ません。様子が変わった夫人を心配するホテルの住人たちですが、夫人はかまって欲しくないと突っぱねた直後、転んで腰の骨を折ります。

入院した夫人の元へ駆けつけたルードを、合併症で肺炎を起こした夫人は混濁する意識の中で亡き夫と混同します。書き上げた小説を持って訪れたルードを待っていたのは、夫人との永遠の別れでした。

ルードが本当の孫ではないことを誰もが疑わず、逆に本物のデズモンドを偽物と追い返す場面が何度か登場しますが、それは滑稽ではあるけれど、よく考えると本物にとっては不愉快で理不尽な災難です。夫人が実の娘と孫をあまり好いていないように見えて、その理由は彼らの振る舞いから想像するしかないのですが、ちょっと可愛そうな気がしたのが唯一残念な点でした。

物語のような美しくて気立てが良くて礼儀正しい青年と束の間でも交流出来たら、それはもう最高に贅沢な晩年で、これは老婦人の夢見たファンタジーといえるかも

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