杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

プリンセスと魔法のキス

2010年02月28日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
試写会場:一ツ橋ホール
開映:13:15~

2010年3月6日公開予定 アメリカ 97分

アメリカ・ニューオリンズでウェイトレスをしているティアナ(声:アニカ・ノニ・ローズ)は、死んだ父との夢だった自分のレストランを持つことを目指して懸命に働いていました。ある日、幼なじみの富豪の娘シャーロット(ジェニファー・コーディ)の家で開かれた仮装舞踏会で得意料理のベニエを振舞うよう頼まれたティアナは、会場で服が汚れてプリンセスのドレスを借ります。そこへ一匹のカエルが現れ、自分は呪いで姿を変えられたマルドニア王国のナヴィーン(ブルーノ・カンポス)王子だと告げ、呪いを解くためにキスを請われます。その必死さに勇気を出してキスしたティアナでしたが、カエルが王子に戻るどころか、ティアナ自身がカエルに変身してしまったから大変・・・。


現代の御伽噺の王子様は理想の花婿とは程遠く、今回のナヴィーン王子は甘やかされて育ち、仕事もせずに遊び呆けて親に勘当され一文無しの身の上です。富豪の娘と結婚して何とか今の生活を維持したい下心でニューオリンズにやってきたのです。それって・・あんまりじゃない?(^^; 

魔術師のドクター・ファシリエ(キース・デイヴィッド)はそんな王子に愛想尽かしをしている執事の心を操ることで、王子に呪いをかけ、自分が支配者になろうと企むのでした。

カエルになった2人は魔術師の手を逃れ、何とか呪いを解いてもらうため良い魔術師ママ・オーディにお願いします。このときママが2人に説いた「希望と必要は違う」という言葉の意味がラストで効いてるんだなぁ

2人を手助けしてくれる一番星に恋するホタルのレイとジャズ奏者になりたいワニのルイスがまた愉快です。レイには地上で悲しい運命が訪れますが、それは同時に彼の夢を叶える出来事にもなっていて、胸が熱くなりました。ちょっと「夜鷹の星」を連想しちゃった。

ママ・オーディを探して旅するうちに、2人の心に変化が起こるのも、共に苦労を分かち合うことで恋に落ちるという定番のパターンだけど、身分も人種の違いも超えたカップルというのもまさに御伽噺ですね

シャーロットが我儘お嬢様ではなくて、本当の愛に憧れる純真な女の子という設定もなんだか嬉しかったです。悪役以外に悪人が出て来ないのはディズニー映画の良さですね。

2023.12.1 金曜ロードショー放送 再見

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ひかりの剣

2010年02月28日 | 
海堂 尊(著)  文藝春秋(発行)

時は1988年、医学生たちも普通の大学生と同様サークル活動に励んでいた。東城大剣道部の猛虎と称される主将の速水晃一は、「医鷲旗」奪還に向けて部員達を引っ張り、稽古に励んでいた。一方、帝華大の臥龍と称される清川吾郎は、剣道の才能を持て余し、部活をサボる日々を送っていたが、顧問の高階との手合わせをきっかけに、前年の大会で自分を負かした速水を倒すため打倒東城大を目指していく。

「医鷲旗大会」は、年に1度夏に大学医学部の剣道部員達の間で行われる大会で、医鷲旗の覇者は外科の世界で大成すると言い伝えられているという設定で、学生時代に剣道を経験している著者ならではの試合描写には門外漢をも引き込む迫力がありました。

自らの才能を持て余し、目の前の勝負から逃げていた清川と、責任感ゆえに自らを高める機会を逸していた速水の2人が、それぞれの転機を迎え、雌雄を決するまでが書かれています。ま、平たく言えば、今までのシリーズの登場人物たちの青春物語ですね

「ジェネラル・ルージュ」救命救急医・速水は、外科系の成績以外は低くて授業もさぼるけれど、剣道には意欲的に取り組んでいます。
「ジーン・ワルツ」帝華大学医学部産婦人科学教室准教授となる清川吾郎はというと、剣道の才能には恵まれているけれど、ちゃらんぽらんな性格で、どちらかというと白鳥タイプ
剣道や外科の世界でも「阿修羅」の異名を持つのはご存知たぬき親父・高階権太(後の病院長)です。 10年前にたった一言の檄で帝華大を「医鷲旗大会」優勝へ導いたという伝説の持ち主で、速水と清川の才能に気づき、この2人の運命を左右する形で導いていく役割を果たしています。

速水の雀荘仲間として 愚痴外来の田口公平、 放射線科准教授の島津吾郎(当時から優等生)も出てくるし、世良や渡海「ブラックペアン1988」ともシンクロしています

シリーズを読み進めていくうちの箸休め的お楽しみとも言えるかな。

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インクハート/ 魔法の声

2010年02月27日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
日本未公開 アメリカ 106分

モー(ブレンダン・フレイザー)は一人娘メギー(イライザ・ホープ・ベネット)と二人で旅をしながら、ある本を探していました。そしてとうとう探していた本が見つかった時、イタチを連れた男が現れます。彼はホコリ指(ポール・ベタニー)といい、モーに本を読んで自分を元の世界に帰すよう迫ります。モーはメギーを連れて逃げ出し、大叔母エレノア(ヘレン・ミレン)の屋敷に辿り着きますが、突然現れた怪しい男たちに捕われてしまうのでした。

コルネーリア・フンケ(ドイツ)の人気児童文学『魔法の声』が原作です。全米公開時、日本でも公開が噂されていたのに結局未公開のままDVD化されたみたい。

実はモーは魔法舌と呼ばれる能力を持っていました。
本を読むことで、本と現実の世界の人物を入れ替えてしまうのです。

「インクハート」という本を読んだ時にその能力が出てしまい、本の中の邪悪なカプリコーンとその手下、それからホコリ指もこちらの世界に来てしまったのでした。そして彼らはもう一度モーに本を読ませて最強の闇の化け物を出してこちらの世界を乗っ取るつもりなのです。

物語は、父親の才能を受け継いでいたメギーに目をつけたカプリコーンが彼女を捕らえ絶体絶命の危機を迎えた時に、メギーが自ら本の結末を作り変えて危機を脱していくのですが、城に乗り込む時の冒険は面白かったです。
でも人間の弱さや醜さの描写は良し悪しかなぁ・・「インクハート」を書いた原作者が現実から逃避して本の世界に入りたがっているのはどうかなぁと(^^;

聞きなれないホコリ指、という呼称は戸惑いますが、ポール・ベタニーは上手いです。彼のずるさは、同時に彼の愛する人への執着なのね。そして自分は作者の人形ではなく、ここに生きているのだから、自分の思うように生き抜いてやるという強い意志も持っています。

モーが呼び出してしまったもう一人の人物(盗賊団の手下)がなかなかユニークな若者です。でも彼の機転で、きっとホコリ指の人生は良いほうに変わった筈

声を失いカプリコーンのメイドとなっていた妻(いつ現実世界に戻ってきたの?)とか、本自体の物語の結末も気になるところですが、『ハムナプトラ』のブレンダン始めそこそこ有名な俳優陣なのに未公開って・・本国での評判はイマイチだったのかしらん

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極北クレイマー

2010年02月24日 | 
海堂 尊 (著) 朝日新聞出版

財政破綻にあえぐ極北市。赤字5つ星の一つである極北市民病院に、極北大第一外科から赴任した非常勤外科医の今中は、病院のずさんな実態を目撃することに。病院内の環境は不衛生で患者の褥創は緑濃菌だらけだし、病棟スタッフ達は怠慢で、院長と事務長の対立も根深そう。唯一人望があり事実上病院を支えていたのは産科医師の三枝久広だが、以前手術中に妊婦が死亡する事件に見舞われていた。

病棟スタッフに白い目で見られながら病院の改変に地道な努力をする今中の前に、派遣皮膚科医の姫宮香織がやってくる。姫宮のもたらした嵐のような影響力は病院を少なからず変えたが、一方水面下では医療ジャーナリストの西園寺さやかが三枝の事件で死んだ妊婦の遺族の広崎宏明を巻き込み、刑事事件として世間の耳目を集め一大センセーショナルを巻き起こしていく・・。


財政破綻した夕張市や、福島県立大野病院産科医逮捕事件をベースに書かれたフィクションということもあり、医師である筆者の怒りも伝わってくるような気がしました。

産科医逮捕の報道時には、実際医師会の方から抗議声明が出された記憶があり、立場的には彼らの肩を持ちたくなったことを思い出しました。が・・・本に登場する団子三兄弟の扱いに関する限り、彼らの職席に対する医師の感覚に少なからず落胆させられもしました。物語においてさえも、「団子三兄弟」として十把一絡げに語られ、名前も与えられない扱いしか受けないその職業の何と弱く小さいことかと

今回は愛しの白鳥調査官自身は出て来ないけれど、姫宮の口から出る「上司の言葉」の中に十分すぎるほどの存在を感じることが出来るので、寂しくはないかも
そして田口に相当するキャラが今中医師というわけです。

小役人たちの無能ぶりや、天下り組織の日本医療業務機能評価機構の悪辣さなど、笑って読んでばかりもいられない薄ら寒さを感じるのも毎度のことですね(^^;

「螺鈿迷宮」や「ジェネラル~」他、シリーズに登場するキャラがあちこちで見受けられ、その繋がりを頭の中で整理しながら詠み進めるのも楽しいです。

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恋するベーカリー

2010年02月24日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年2月19日公開 アメリカ

10年前、敏腕弁護士の夫ジェイク(アレック・ボールドウィン)と別れ、3人の子供を育てながら人気ベーカリーの経営に精力を注いできたジェーン(メリル・ストリープ)。シングルライフを子供たちや友人たちと満喫してきた彼女だが、その実何か心満たされない日々を送っていた。そんなある日、自宅の増築で建築家のアダム(スティーブ・マーティン)と知り合ったジェーンは互いに離婚経験者ということもあって距離を縮めていく。ところが、息子の卒業式の夜にジェイクとNYの高級ホテルのバーでお酒のはずみで一夜を共にしたことから・・・


実業家としても母としても立派に務めを果たして幸せなシングルライフに見えるジェーンですが、子育ても終わりを迎え、子供たちがそれぞれ巣立っていこうとしている家の中に独り取り残された寂しさは拭えません。

そんな時に、元夫とふとした弾みで過ちの一夜を、というハプニングが起こり、忘れていたときめきを感じるのです。そもそも離婚から10年、彼女の中で終わったことではなかったのかもしれません。ジェーンがセラピストに助言を求めるシーンの中で「自分の気持ちに素直に従え」と言われてとった行動も、最後の選択した道も、私の中では十分共感できることでした。

ある選択が間違いかそうでないかは、選んでみて初めてわかるものなのかもしれません。
ジェーンとジェイクの場合も、10年経ってようやくそれぞれの「結末」を確認することができたのかも。

この映画の面白さは、どろどろした愛憎劇にならずに、全編笑いのオブラートに包まれたコミカルさにあると思います。何といっても一番はアレック演じるジェイクの全身から滲み出るような「男ってしょうがない」感かな。浮気が原因で別れたのに性懲りもなく元妻に言い寄りものにしようとする図太さと子供のような独占欲に苦笑しながら、そのあまりの直線的なアタックがちょっと羨ましく思えたりも。

2人の密会を目撃してしまう長女の婚約者の慌てぶりも可笑しかったです。
最大の笑いのツボはもちろん、PCに映し出された(であろう)ジェイクの下半身。

ジェイクの若妻(ジェーンから夫を奪った本人)は我儘で自分本位な女性かと思って見ていたけれど、彼女の決断は潔かったなぁ。

映画の題名通り、ジェーンの作るチョコクロワッサンや他のお料理の美味しそうなことったら お腹が鳴りそうになりました。

先々週に観た「50歳の恋愛白書」は私的には×だったけど、これは◎大満足です。
同じような年齢のヒロインなのに、物語が違うとこうも違うものなのかしらん。
そういえば、ナンシー・マイヤーズ監督の『ホリディ』も『恋愛適齢期』も観てるし、どちらもお気に入りの作品だわこの監督とは相性良いかも

俳優陣の演技力は見事の一言。熟年なのに可愛さ溢れていました。
でも・・・どうしても見るたび岡田真澄に見えてしまうアレック

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グッド・バッド・ウィアード

2010年02月23日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年8月29日公開 韓国 129分

混乱が続く1930年代の満州。こそ泥のユン・テグ(ソン・ガンホ)が大陸横断鉄道で日本軍人相手に強盗を行っていたところ、パク・チャンイ(イ・ビョンホン)率いるギャングたちの襲撃に遭う。彼らはユン・テグが偶然日本軍人から手に入れた日本軍の宝の地図を狙って来たのだ。さらにそこに列車に乗っていた賞金ハンターのパク・ドウォン(チョン・ウソン)も参戦し、3人は宝の地図を巡って争奪戦を繰り広げることになる……。

韓国版西部活劇ですね。
こそ泥(変な奴)が手に入れたお宝?地図を巡って、ギャング(悪い奴)と懸賞稼ぎ(良い奴)の三つ巴の争奪戦は、列車内に留まらず、雑多な満州の闇市でのドンパチ(銃撃戦)に日本軍・ギャング相乱れてのガンアクションなど、男性にはたまらない娯楽作品なのではないかしら?しかも殆ど全てが俳優本人によるリアルアクションだけに迫力の方も満点でしょう。

「私の頭の中の消しゴム」でウソンのファンになった身ですから、どんな作品に出ていようと一応は観てみたかったの
元々西部劇・活劇は趣味じゃないけど、ウソンの長身が映えるアクション、馬の扱いに長けた姿、そして華麗なガン捌きに目が。酔いしれました。それだけで満足です。


冷徹な悪人を演じたイ・ビョンホンのイっちゃってる目も凄かったな

韓国人から見た日本人なんて、あれでも良く描いている方なんだろうなぁ
「お宝」は確かに軍人にしたら宝石・貴金属より遥かに価値あるものだろうなと納得

そして最後に笑ったのは・・・人は見かけじゃないのね

DVDには監督と主役の三人による音声解説が入っていて、ウソンのジョーク好きな面やそれぞれの仲の良さ(ノリの良さ)も楽しめました。

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ビバリーヒルズ・チワワ

2010年02月21日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年5月1日公開 アメリカ 92分

ヴィヴに溺愛されるクロエ(声ドリュー・バリモア)は、ビバリーヒルズの豪邸で贅沢三昧のセレブライフを送る高慢で我儘な性格の真っ白なお姫様チワワです。ある日、ヴィヴは急な出張のため、クロエの世話を姪のレイチェル(パイパー・ペラーボ)に託します。ところが、メキシコ旅行に連れて行かれたクロエは、レイチェルに邪険にされ置いてけぼりにされたことにおかんむりで外に出たところを犬の窃盗団に拉致されてしまいます。闘犬場で危機一髪のところを元・警察犬のデルガド(声アンディ・ガルシア)に助けられるのですが…。

セレブなご主人に可愛がられ、ブランドの洋服にダイヤの首輪、靴まで履いてるお犬様のクロエは性格も高慢なお嬢様そのものです。庭師のサムの飼い犬であるパピの熱い求愛を無視し気にもかけなかった彼女が、異国で迷子となり、誘拐犯バスケス一味に狙われながらの逃避行をデルガドとするうちに、本来の自分らしさや愛を知り成長するという物語です。

愛玩犬でしかないと自分を卑下するクロエに、チワワ本来の勇敢さ、誇り高さを思い出させるのは、野生のチワワ達のリーダーであるモンテです。200頭を超すチワワの群れに撮影の苦労が偲ばれます

クロエのダイヤの首輪を騙し取るネズミのマヌエルとイグアナ?のチコのコンビも愛敬があり、物語にコミカルさを加えています。

クロエがいなくなって必死に行方を捜すレイチェルに協力するサムとパピ。彼らがクロエを探し出す過程で闘犬場から共に逃げた犬たちを拾い、それぞれに「家=ご主人」を見つけてあげたり、ラストで他の犬たちも皆幸せになるというのはディズニーならではのハッピーなお約束ですね。

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ころころろ

2010年02月20日 | 
畠中恵/著  新潮社/刊

「しゃばけ」シリーズ第八弾

体の弱さじゃ天下無双、今日も元気に(?)寝込んでる若だんなに、シリーズ最大のピンチ! 朝起きたら、目から光が消えていた! みんなで助けないといけないってときに、佐助が奥さんと暮らし始めたって!? どうなる、若だんな? 

「しゃばけ」で気に入ってからシリーズを追いかけて読んでいますが、この巻で8冊かぁ。

5編の物語は「はじめての」と「物語のつづき」が対になり、間に3つの物語が入っていますが、いずれも若だんなの目が見えなくなったことと関係があります。

「ほねぬすびと」は、骨盗人・つまり相手の骨折りを盗む、ただ働きをさせるという意味だそう。一太郎が 長崎屋に降りかかった罠(久居藩の岩崎から依頼された「干物」が消えた)を見抜き、窮地を救うお話です。からくりがわかると題名の意味も腑に落ちます。

「ころころろ」は、若だんなの目に河童が持つ玉が必要と聞いた仁吉が河童を探しに出かけた先でなぜか人助け&妖怪助けをすることになってしまうお話。

「けじあり」では、妻・おたきと共に小間物屋を営む佐助だが、毎日けじありという紙が置かれ・・・。妻という段階で既に現の物語ではないとわかりますね。
こちらは佐助が玉を手に入れます。

この「玉」というのは、初めの編で一太郎が関わった事件の神様に奪われた視力を取り戻すために必要な財宝のことです。
けれど、この神様の本当の狙いはその昔に契った愛しい女の消息を探すことでありました。

一太郎は、神と人との時間の流れの違いが悲劇を呼んだことに気付き、視力は無事に戻ってめでたしめでたし、なのですが、今回心に残ったのは

神は祟り・犯し・喰らう存在だけれど、神にも抱える思いがある、という一節です。
そして一太郎はそれを「神は人に、時に、置き去りにされる」と解いたことでした。

作者の目線は妖にも神にも、そして人にも等しく優しいようです。
だから好きなのかも、このシリーズ

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バレンタインデー

2010年02月17日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年2月12日公開 アメリカ 

一緒に暮らすモーリー(ジェシカ・アルバ)に、朝一番でプロポーズをした花屋のリード(アシュトン・カッチャー)。笑顔で婚約指輪を受け取った彼女だったが、リードが昼に帰ると彼女は荷造り真っ最中・・。飛行機で隣り合わせた軍人のケイト(ジュリア・ロバーツ)と洗練された物腰が魅力的なホールデン(ブラッドリー・クーパー)。会話を交わすうちに惹かれ合う二人だが、共に目的地には意外な人が待っている…。前夜を共にしたジョシュ(トファー・グレイス)とリズ(アン・ハサウェイ)は同僚カップルだが、リズには秘密の副業があった。バレンタインなのに恋人のハリソン(パトリック・デンプシー)が出張で消沈している小学校教師ジュリア(ジェニファー・ガーナー)は親友の励ましで彼をこっそり追いかけることにしたのだが・・。エドガーとエステル(シャーリー・マクレーン)は結婚50年を過ぎても変わらぬ愛を誓い合う夫婦。だが、よりによってこの日に、妻は夫に重大な告白を始める…。2人の孫のエジソンにも胸のときめく恋が訪れ、子守のグレース(エマ・ロバーツ)はBFとの初体験を計画していた。
スポーツキャスターのケルビン(ジェイミー・フォックス)は大嫌いなバレンタインデーの取材を命じられるが、頭の中は引退が噂されているアメフト選手ショーンのことで一杯だった。ショーンのマネージャーのカーラ(ジェシカ・ビール)は毎年“バレンタインデーなんか大嫌いだ!パーティ”を開催していたが、今年の参加者がまだゼロと知り焦る。


ロンドンで19人が織りなす9通りのラブストーリーが「ラブアク」なら、こちらはロスで展開する15人の男女の愛の物語でした。若手から大御所までとりどり揃えた俳優陣と、甘い恋や苦い恋、様々な恋模様がたった一日のバレンタインデーに繰り広げられます。

それにしても、日本では商業主義が蔓延し、チョコを渡す日と化しているバレンタインデーですが、英米では広く愛を告白するセレモニーとして親しまれているんですね。あ、尤も最近では日本でも友チョコ全盛で、少しあちらの趣旨に近づいてきたかのようではありますが・・。

親子の愛、夫婦の愛、特殊な愛。成就する愛もあれば、壊れる愛もあり、様々なドラマが繰り広げられた2時間でした。何通りものラブストーリーの中に、一つか二つは共感できるものがあることも、男女年齢問わず楽しめて、普遍の娯楽性がある作品だと思います。

初め、全く無関係に見えた登場人物たちが、後にあの人の親がその人で、この人の友人はあの人で・・・と言った具合に繋がってくるのも、この手の作品のお約束。でもそこが楽しいの

『プリティ・ウーマン』のゲイリー・マーシャルが監督ということからか、ジュリアのセリフにはあの映画に引っ掛けたものが登場し、クスッと笑えます。
クィーン・ラティファ演じる上司の副業にも、その声音にも爆笑ものです。定規はわかるけど、ゴム玉にそんな使い道があったとは・・・
ただ、シャーリー・マクレーンの真っ赤なドレスは?でした。何のオマージュなのか、元ネタがわからないので(^^;

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運命の子―グイン・サーガ〈129〉

2010年02月16日 | 
栗本 薫(著) 早川書房(発行)

ミロク教の聖地ヤガは、“新しきミロクの教え”によって、大きく変貌を遂げていた。ヤガを出ることにしたヨナをスカールが助け何とか彼の部下と合流したのも束の間、ヨナは“ミロクの聖姫”に捕らえられ、スカールの助けを得たフロリーも、化け物にさらわれてしまう。ブランが駆けつけスーティとスカールの三人は何とか危機を脱するが、そこにグラチウスやイエライシャまで現れて・・・。

作者逝去のため、エピグラフもあとがきもないことがより悲しみを引き出します。
発刊はあと一巻。それで物語は途切れてしまうのが何とも惜しいです。

ミロク教団の変貌がキタイのヤンダルの陰謀だとか、グラチが自分の傀儡にしようとスーティを狙っていたりとか、いよいよ物語が大きく動き始めそうなのになぁ
グインが無事にケイロニアの危機を脱したみたいなのは安心材料(外伝では既に書かれていましたが)なんですが

それにしても仮にも「聖姫」なんだから、あの下品さはどうにかして欲しかったかも。
ユリウスが大人しすぎて物足りなかったのとで釣り合ってるのか?

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地球が静止する日

2010年02月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年12月19日公開 アメリカ 

巨大な謎の球体が地球に飛来し、中から宇宙からの使者クラトゥ(キアヌ・リーヴス)が降り立つ。友好か侵略か、その真相を究明しようと米政府が科学者たちを召集する中、彼らの攻撃が開始される。人類の最先端テクノロジーの遥か先を行く破壊力になす術もない米軍。軍の基地からクラトゥを逃した縁で、彼と行動を共にするようになったヘレン(ジェニファー・コネリー)と彼女の義理の息子(ジェイデン・スミス)は、クラトゥの真の目的に気付き愕然とするが・・・・。

キアヌって、「スピード」以後、「マトリックス」は別としてもあんまりこれ!!って役に恵まれない気がするなぁ(^^;先日観た「50歳の恋愛白書」もイマイチだったし・・・。恋愛もアクションも中途半端で体温が感じられない(今回は宇宙人だから当然だけど)

「地球」を救うためにした宇宙人の決断が、そんなにあっさりと覆って良いのかいな というか、サンプル少な過ぎじゃない?
相変わらず、独りよがりなアメリカという国とその軍隊って構図だしね。然も最後の決め手は「愛は勝つ!」だもんな。なさぬ仲の息子と心が通じ合ってめでたしめでたしのヒロインでございました。

でも虫型の破壊ロボットは恐いぞ~~。イナゴの大群を連想しました。

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アイス・エイジ3/ティラノのおとしもの

2010年02月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年7月25日公開 アメリカ 

マンモスのエリーに子供が生まれるとあって、マニーは大はしゃぎ。生まれてくるわが子のために専用遊び場まで作って楽しみにしています。一方サーベルタイガーのディエゴは平和な暮らしに物足りなさを感じ始めていました。そんなある日、ナマケモノのシドは、氷の穴に落ち、そこで3つの卵を見つけて持ち帰ります。卵から孵ったティラノ・キッズを“ママ”として育てると宣言したシドでしたが、卵を追ってきたティラノ・ママに連れ去られてしまい、マニーたちはシドを探しに地底世界に足を踏み入れるのでした・・・。

シリーズ三作目の舞台は地底に広がる恐竜世界です。ジュラシックパークをアイスエイジに置き換えたような安直さは感じたけれど、マニー、ディエゴ、シドのお馴染みメンバーを始め、ティラノ・キッズとママや、冒険家のイタチ(パイレーツのキャプテン・ジャックっぽいのはご愛敬)が登場し、前作にも増して大暴れするのは面白かったです。

マニーたちが羨ましくて、自分も家族を作りたいシドの気持ちはわかりやすかったです。生まれたティラノ・キッズを我が子として慈しむ様もなんか良いなぁ。キッズがシドの真似をする様子がまた可愛いの。いつものことですが、周囲を引っ掻き回している自覚のないシドの行動もメチャクチャ笑えます。やっぱりメインキャラの中ではシドが一番好きだなぁ

今回は脇役ながらその強烈な個性が人気のスクラットにも新たな出会いが待ちうけていて、サブストーリーとしても楽しめました。
お相手のスクラッティはスクラットと対照的なキャラ設定がされており、優雅で悪知恵の働く美女ですルパンと不二子みたい尤もスクラットの方は甚だずぼらなキャラですが 美女かどんぐりか。さてさて、スクラットが最終的に選んだのはどっち?そしてその結末は・・・本編より気になったりして

アニメでも本家の俳優陣による声を楽しむ方が好きな私ですが、この作品ばかりは日本語吹き替え版で観ます。だって太田光さんのシドがあまりにもはまり役で、彼=シドのイメージが頭に定着しているんですもの。

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50歳の恋愛白書

2010年02月10日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2010年2月5日公開 アメリカ 98分

年上のベストセラー作家ハーブ(アラン・アーキン)との結婚後、2人の子供を育て、完璧な妻を30年近く演じてきたピッパ・リー(ロビン・ライト・ペン)は誰もが理想の妻として羨む存在だった。けれど、ピッパ自身は型にはまった自分に退屈と息苦しさを感じていた。そんなある日、彼女は15歳年下のクリス(キアヌ・リーブス)と出会う・・。

予告で観て抱いていたイメージとは全く違う内容で、戸惑いと幻滅を感じてしまいました。
ごく平凡な妻が夫の浮気に傷つきながらも新しい恋と人生に踏み出す話かと勝手に思っていた私がいけないのブラッド・ピットが製作総指揮だそうだけど、内容のどこに惹かれたんだ?

ピッパは母の影響で、少女の頃から薬に手を出し、ジャンキーとなり破滅的な人生を送っていました。それは母の愛への束縛感や閉塞感からの逃避でもあったけれど、やはり最終的には彼女自身の弱さだったと思います。叔母のレズビアン相手カット役はジュリアン・ムーア。独特の存在感がありましたが、変なビデオは何だかな~~な世界観。若い頃のピッパはブレイク・ライヴリーが演じています。

ハーブと出会い保護される幸せを覚えたのも束の間、彼の当時の妻ジジ(モニカ・ベルッチ)の壮絶な復讐を心に受けてしまいます。その負い目から逃れようとするかのように、ピッパは善き妻・善き母を演じ続けていたのです。ここまでは理解できる。

けれど、夫がピッパの親友サンドラ(ウィノナ・ライダー)と浮気していたことを知り、彼女の心を縛っていた重しがとれ、気になっていたクリスに一直線って、急すぎない? どちらかというと、老人扱いするピッパが重くなったハーブの気持ちの方に肩入れしたくなっちゃうんですが(^^;  ウィノナのぶっとんだ演技も目が点だったけど。

さらに、突然ハーブが倒れ脳死状態になっちゃうという都合の良い展開に。母親に反抗的だった娘とも心を通わせることが出来、家族で夫を看取った(延命装置を外した)後、クリスと旅に出る。う~~ん、これってハッピーエンドなのか??? 
面白かったのは、疎遠だった娘が母の心を理解したのに、ママっ子な息子の方は訳がわからず戸惑っていた点です。

心の病や母娘・パートナーとの関係について、考えるところはあるけれど、悩める大人たちに向けた50歳からのセカンドライフメッセージって・・・ダメだこりゃ


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ボルト

2010年02月08日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2009年8月1日公開 アメリカ 96分

アメリカの人気ドラマのスター犬、ボルト(声:ジョン・トラボルタ)は少女ペニー(マイリー・サイラス)を守り、スーパーボイスで敵をやっつける超能力犬です。もちろんそれはドラマの中だけのお話ですが、ボルトには全てが現実の世界の出来事だと信じ込ませてあったのです。ところがある日、勘違いからハリウッドのスタジオを飛び出したボルトはニューヨークに運ばれてしまいます。迷子のボルトを助け支えてくれたのは、人間に捨てられた猫のミトンズ(スージー・エスマン )とボルトの大ファンでヒーローおたくのハムスターのライノ(マーク・ウォルトン)でした。


ディズニーのファミリー向けCGアニメーションです。
主人公たちの動きはもちろんですが、絵画的な背景もとても素敵です。

自分はスーパーパワー犬と信じて疑わなかったボルトですが、旅の中で本当の自分は平凡な犬だと気付きます。人間は裏切るというミトンズの言葉に、ボルトの心は揺れます。大好きなペニーは役者だから、演技で自分を愛してくれたのか?あの優しい笑顔も演技だったのか?そんな筈はない、ペニーは僕の人間だもの!!

長いアメリカ横断の旅の末、ハリウッドのスタジオに辿り着いたボルトが見たのは「待っていたのよ!」と別の『ボルト』役の犬を抱きしめるペニーの姿でした。
気がくじけてスタジオを後にしようとしていたボルトに、ハリウッドの手前で別れた筈のミトンズが声をかけます。「ペニーは本当にあなたを待っていたのよ」

その時、スタジオが火事になり、逃げ遅れたペニーの声がボルトに聞こえます。
僕が助けなくちゃ!! 燃え盛るスタジオに飛び込んだボルトとペニーの運命は・・・

家族で安心して見られるストーリーと結末です。
スーパーボイスのオチも
視聴率優先のTV局ディレクターや、金儲けしか考えていないマネージャーという現実世界の暗部も描かれていますが、ボルトと旅の仲間たちの関係がなにより面白いです。

特にライノの仕草や行動が楽しくて最高!もしかして一番のヒーローは彼かも
ミトンズの、初めは嫌々ボルトと繋がれて旅をしていたのが、次第に心を開いて親しみを持っていく様も良かったです。飼い主に捨てられた過去を持つミトンズですが、本当は誰よりも人間の愛情を欲していたのかもしれません。
鳩たちも良い味出してました
物語の脚本のアイディアをボルトに話すシーンで「ニモには断られた」というのに爆笑です。


日本語吹替え版では ボルト(佐々木蔵之介)、 ペニー(白石涼子)、ミトンズ (江角マキコ)、ライノ( 天野ひろゆき)でした。

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さくらんぼ 母ときた道

2010年02月07日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2008年11月1日公開 日本=中国 107分

豊かな自然と棚田の風景が美しい雲南省の小さな農村に暮らす桜桃(ミャオ・プゥ)は知的障害を抱えていました。足の不自由な夫葛望(トゥオ・グォワン)との暮らしは貧しかったけれど、仲良く肩を寄せ合って暮らしていました。ある夜、子供の欲しい桜桃は、村に捨てられていた赤ん坊を見つけ、家に連れ帰ります。赤ん坊は女の子で、紅紅と名付けられすくすくと成長します。小学校に通うようになった紅紅は次第に母のことを恥ずかしく疎ましく思うようになるのですが・・。


この映画、製作は中国と日本の共同なんですね。雲南省の美しい農村風景と、無垢な桜桃の心が共鳴し、優しく清冽な効果を与えています。桜桃役の女優さんは素顔はとても美しい人のようです。女優って・・凄いなぁ

一人っ子政策が始まり、寒村では働き手となる男の子が望まれ、女の子は疎まれ捨てられるという背景も織り込まれています。捨て子を育てることで本当の自分の子を持てないと危惧した葛望は赤ん坊を売り飛ばしてしまいますが、赤ん坊を追って飛び出した桜桃の必死な姿を目にし、村人たちに諭されたこともあって、遂に捨て子を自分たちの子として育てる決心をするのです。

紅紅が小さい頃は、ただただ母を慕い共に遊ぶ幸せな日々だったのですが、物心がつくと、周囲の蔑みに気付き、自らも母を恥じる気持ちが芽生えます。
そんな娘の変わりようを感じながらも、ただただひたすら優しい愛情を示す桜桃の姿がいじらしくも切なくもありました。

雨の日、自分はずぶぬれになりながらも紅紅のために傘を持ってきた母を嗤った同級生との喧嘩とそれに続く事件を機に、紅紅は再び桜桃を母として愛するようになります。しかし、紅紅の好きなさくらんぼを採りに行った桜桃は増水した川に流され行方不明となってしまうのでした。(悲)

父親となる葛望は、紅紅を引き取るまでは身勝手な夫という印象でしたが、父親となってからは、なかなか愛情溢れる男に変化します。母を疎ましく思う娘に「お前がこうしていられるのは母さんのおかげ」と諭すシーンが良いです。家族を守るために敢えて桜桃を村人の前で殴ってみせる場面では、貧しさゆえの辛さが滲み出ていました。

母の愛の尊さを訴える成長した紅紅のナレーションで幕を閉じるというラストはありきたりかもだけど、それでも胸を打つものは確かにありました。

幼児の頃の紅紅がつぶらな瞳でさくらんぼ越しに枝の上に座った母を見つめる画が、とても印象的だったので、この画像を選びました

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