波打ち際の考察

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波屋山人

旅のお供に高野秀行

2010-08-25 22:20:41 | Weblog
ホーチミンから200キロほど北上したところに気軽なリゾート“ムイネー”がある。
数年前、ビーチフロントのコテージの前にあるハンモックにゆられてのんびりしていると、日本人旅行者に声をかけられた。

20代後半のようにも見える快活なその男は、「読み終えたからどうぞ」と言って手にした文庫本をくれた。
それが、高野秀行さんの著書との出会いだった。

波打ち際で知ったその本のタイトルは「幻獣ムベンベを追え」。
なんだか安っぽいSF小説のタイトルみたいだ。
著者の名前も聞いたことがない。印象的な名前でもない。

自分では購入することのない本だなと思いながら読みすすめると、これが意外におもしろかった。

旅先で読むのにちょうどいい。
好奇心を刺激する異国の香り。
読みやすい文体。
軽妙な話の流れ。
暇つぶしには最高の本だ。

この著書に魅力を感じたぼくは次から次へと高野さんの本を購入した。
「怪しいシンドバッド」★★★★
タイトルからは何のことかわからなかったけど刺激的な冒険話。
「アヘン王国潜入記」★★★★★
なぜこの本で大宅荘一ノンフィクション賞を受賞できないのか理解できない。
高野秀行さんはエンタメ・ノンフィクションを標榜しているらしいけど、おちゃらけているわけではない。
読者に疲労を感じさせない文体を工夫し、楽しく読んでもらえるように努力している。
そのことによってノンフィクションとしての価値が下がったりはしない。
「ミャンマーの柳生一族」★★★★
時代劇みたいなタイトルだけど、中身は時代劇と全然違う。
タイトルで損してるかも。
「西南シルクロードは密林に消える」★★★★
これも大作。この本を読んで、ミャンマー北部に長期滞在した吉田敏弘さんの本を知ったが、文章の読みやすさという点では高野さんのすごさを再認識。
「ワセダ三畳青春記」★★★★★
名作。読むべき。
「怪魚ウオモッカ格闘記」★★★
ちょっと羊頭狗肉。インドに行ってないし、釣る体勢にすら入ってないし。
「極楽タイ暮らし」★★★★
これは文化論。あいまいな日本以上にあいまいな国があることをはじめて知った。
「神に頼って走れ!」★★
片手間に書いたのかなといった印象。
「アジア新聞屋台村」★★★★★
青春物語。タイトルだけだと何のことかわからないけど、各国語版の新聞を発行している台湾出身女性とその仲間たち&高野氏のにぎやかな話。
モデルとなった会社はどこなんだろうとちょっと調べてしまった。
高田馬場の「ニューコム」に行ってみたくなる。
http://www.paonetwork.co.jp/sakuhin-data/sakuhin2000/00-07/hn.htm

まだ何冊か読んでいない高野さんの本が部屋にあるはずだ。
だけど、あと何冊か購入すると、著作をほとんど読み尽くしてしまいそうでこわい。
読み終えるのがもったいないと感じさせてくれる作家はそんなに多くない。

タイトルはおもしろくないのに、読んでみるととてもおもしろい。くせになる。
この作家はもっとその作品を高く評価されるべきだと思う。

秋に2週間くらい休みをとってしまおうかと考えながら、旅先を検討中。
バックパックに入れる高野さんの本も物色中だ。


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