波打ち際の考察

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波屋山人

相似形 (金明秀先生、他)

2013-04-25 23:15:34 | Weblog
自分と意見の異なる者に対し、排他的な姿勢を見せる人は多い。
罵倒する言葉をぶつけたり、相手の存在に価値がないように言いふらしたり。
見下したり、阻害したり。

そういった姿勢は、幼稚園であれ大学であれ、右翼であれ左翼であれ、会社であれ組合であれ、日本人であれ外国人であれ、さまざまなところで目にすることができる。
共同体から異端者や犯罪者と認定された人は否定されて当然、とみなす人は多い。

でも遠くから見れば、右も左も少数派も多数派も弱者も強者も相似形で、似た意識レベルの人たちに見える。

自分と価値判断の異なる者、意見の異なる者を否定しておかないと、そのうち自分の存在が脅かされるのではないかと感じているのかもしれない。
自分の存在を守る本能的な反応としては、罵倒も疎外も侮蔑もありふれた行為なのだろう。
だけど、それは知的な行為だと言えるだろうか。

意見の異なる相手を説得したいのであれば、まずは自分の認識を説明する論理を提示すればいいのではないだろうか。
大声や大げさな身振りでごり押しして力で受け入れさせようとするのではなく、論理的に内容を判断させればいい。
威圧に動じない人に対しては、声の大きさは説得力に関係ない。

文系の大学教授の著書や論文を見ると、論理や数学・化学式などからかけ離れた言葉遣いを目にすることがある。
学生運動に影響を受けた世代なのかもしれないけど、人をあおるような言葉は、何も構造を説明していないことが多い。
基本的に、科学の研究者は「常軌を逸した」とか「みっともない」とか「偏狭」「卑劣」とか「傲慢」「反動」などという雰囲気的な表現で研究成果を説明したりしない。
人に伝えるために客観的事実をきちんと数式や化学式で定義し、説明する。

社会学者や歴史学者も研究者であるなら、レッテル貼りや攻撃的な言語表現を多用せず、淡々と物事の仕組みを説明してはどうだろう。

攻撃的な言葉で人を批判し、見下し、世論に影響を与えようとする行為は、
攻撃対象となっている、物事の繊細な仕組みを感知できない人たちと似たような行為ではないだろうか。

進歩的とか開明的とか現代的とか寛容とか、そういったイメージが好きな左派陣営の人たちが
時として保身的で閉鎖的で排他的な姿勢を見せるのは残念に感じる。
右にしろ左にしろ、自分が正しいと思い込み対立意見を封殺するのは視野が狭い。
時には、「自分はこういう環境に育ったからこういう考え方の影響を受けたけど、今は違う意識の人も多いんだね」と自分の判断基準を客観視する余裕があってもいい。

差別を批判する関西学院大の金明秀教授の姿勢は「正義」なのだろうけど、
意見の異なる者をバカ扱いして否定する姿勢や乱暴な言葉遣いは、学問というよりもアジテーションに近い印象。
一般的に、威圧や言い逃れ・自己正当化などの言論テクニックを駆使しても、意見の異なる人を説得することはむずかしい。溝は深まるばかりだ。

千葉麗子さんも意見の異なるフィフィさん(在日外国人が生活保護を受けることに批判的)に対して「あの骸骨みたいなミイラババァ」などと、部外者が見たら引いてしまうような罵倒語を使用しているようだ。否定されるべき敵であると認識してしまえば、相手の容姿を酷評しても心は痛まないのだろうか。そういえば横山きっこさんと関係深そうな山口あずささんが西東京市の市議補選に出たとき、千葉さんも応援してらっしゃったんでしたっけ。ツイッターで何やらやりとりされていたような。句会は長く休まれているようだけど心身の調子はどうなのだろう。


声は小さくても、説得力のある人は少なくない。
マハトマ・ガンジー、マザー・テレサ。
チベット仏教のダライ・ラマ14世も、罵倒や疎外・侮蔑から遠いところにいる人のひとりだろう。声高に怒りを叫んだりもしない。
うるさくもなく押し付けがましくもないけど、それでも世界中に影響を与え続けている。
声の大きな人に流されない人々が増えていけば、やがて攻撃的に主義を主張する人は取り残されていくのではないだろうか。

もしかしたら、声高な人に動かされる人はだいぶ減少しているのかもしれない。
だからこそ、在特会の主張と同様に、金明秀教授や千葉麗子さんの表現も、違和感をもって多くの人に受け止められているのかもしれない。

今後、世界の人々の意識や思考パターンの変遷を調査するとき、金明秀教授の発言内容も、いいサンプルになるだろう。資料が多いので。だが、教授もいつかその姿勢を変える日が来るかもしれない。

侵略者や差別者と同じような意識レベルで対抗することだけが、生き残る方法ではないはずだ。

金教授の周辺の人たちも、フィフィさんやIBTimesの記者などを軽蔑し批判することは控えめにしてはどうだろう。自分たちが否定している人たちと、同じことをしてしまっていないだろうか。


以上のようなことを書くと、金教授から「勘違いも甚だしい最低の認識。読むにも値しない。名誉毀損だ」などと言われるかもしれない。
でも、研究に誠実な人であれば「どのような構造に対するどの角度からの認識を勘違いととらえているのか、価値がないと判断する価値判断基準は何か、名誉毀損に相当する表現はどこか」などを、淡々と伝えてほしい。
バカに説明する必要なし、と言われるかもしれないけど、それは誠実な態度だとは思えない。
まあ、それでもぼくは毒舌家を否定・疎外するわけではない。ぼくの知り合いには金教授よりももっと体重も威力もある、すごい罵倒語常用者がいる。真似しないけどね。


<参考>
フィフィに嫌がらせ?韓国人大学教授の謎
IBTimes 2013年04月23日
http://news.livedoor.com/article/detail/7617235/

【マスコミにも圧力?】エジプト人タレント・フィフィが関西学院大学教授・韓国人の金明秀に脅される!
オトナの会社設立 2013年4月24日
http://www.otonano-kaisha.com/news_4Q3deht3K.html?right

「骸骨ミイラババア!」あの元アイドルが外国人タレントを口汚く罵倒
メンズサイゾー 2013年04月25日
http://news.livedoor.com/article/detail/7625900/


コメント
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