波打ち際の考察

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波屋山人

美しい都市よりも、美しい町

2010-01-30 16:39:22 | Weblog
アメリカの経済誌、フォーブスが世界の美しい都市ランキングを発表した。
フォーブス日本語版は昨年休刊となってしまったが、本場の英語版は相変わらず世界的影響力を維持している。
さまざまなランキングを発表して注目を集めることも、ひとつの広報活動なのだろう。

http://news.livedoor.com/article/detail/4576308/
<世界で最も美しい都市ベスト12>アジア唯一、東京がランクイン―米誌.2010年01月29日13時30分 / 提供:Record China
22日、米誌・フォーブス電子版は「世界で最も美しい都市ベスト12」を発表した。
(略)
同ランキングは、都市の見た目の美しさだけでなく、その都市の持つ歴史・象徴
性・都市計画・建築物・発展の持続性など、各方面の専門家の様々な調査・評価を
考慮して選出された。ベスト12に選ばれた各都市は以下の通り。
1位―フランス・パリ
2位―カナダ・バンクーバー
3位―オーストラリア・シドニー
4位―イタリア・フィレンツェ
第5位―イタリア・ヴェネツィア
第6位―南アフリカ共和国・ケープタウン
第7位―米国・サンフランシスコ
第8位―米国・シカゴ
第9位―米国・ニューヨーク
第10位―英国・ロンドン
第11位―英国・ケンブリッジ
第12位―日本・東京

元ネタはフォーブスの下記の記事。
■World's Most Beautiful Cities
Tim Kiladze, 01.22.10, 04:00 PM EST
http://www.forbes.com/2010/01/22/paris-london-travel-lifestyle-travel-tourism-new-york-top-ten-cities.html

■In Depth: World's Most Beautiful Cities (TOKYO)
http://www.forbes.com/2010/01/22/paris-london-travel-lifestyle-travel-tourism-new-york-top-ten-cities_slide_13.html

ぼくが行ったことがあるのはランキングの半分。
1位のパリ、4位のフィレンツェ、5位のヴェネツィア、9位のニューヨーク、10位のロンドン、そして12位の東京。

どこもいい町だけど、美しさを求めて行くところではないように感じる。
どの都市も規模が大きいので、表もあれば裏もある。
混雑した地区もあれば、洗練された地区もある。
美醜あわせ持ってこそ真の美しい都市だと言いたいのだろうか。

あるいは、有力政治家や有力マフィアがいる都市は経済的価値が大きいから、経済誌に取り上げようと思ったのだろうか。

経済的価値といえば、観光客の多さも大事な要素だ。
だが、人気のヒット曲が音楽としてハイレベルだとは限らないように、観光客の多い都市が観光地としてすばらしいとは限らない。

このランキングは、正確には「“経済的に価値のある”美しい都市ランキング」なのだろう。
経済や政治にあまり関心のないぼくが再訪したい町は、もっと小さくて控えめだ。

イタリアならサン・ジミニャーノとかポジターノ。
チェコならチェスキー・クルムロフ。
ハンガリーならエゲル。
昔ながらの農村や、古い宿場町も好きだ。

小さな町では住んでいる人たちの呼吸や、通り過ぎる風を感じることができる。
そこには、下水管から漏れてくるヘドロ臭さや、アスファルトの上で熱せられたくたびれた空気や、急ぎ足で行き交う会社員たちに感じる緊張感はない。
自然と人が調和した、やさしい町は美しい。

世の中の価値は、政治的価値や経済的価値で判断されることが多かったが、そのような時代は過ぎ去ろうとしている。
小さくて弱くてかすかな存在でも、人々を感動させ、安心させることができる。

都市から町へ小さな旅に出かける人々が増えれば、世界はもっと豊かに、美しいものに満ちてくるだろう。
ぼくも週末はどんどん関東周辺の静かな町に足をのばしたいと思う。


コメント
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