波打ち際の考察

思ったこと感じたことのメモです。
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波屋山人

長い雨

2008-04-10 20:07:15 | Weblog
昨日からまだ降り続いている。
よく降った次の日は、田んぼの間を流れる小川に向かうことが多かった。

川幅は、ジャンプ力のある子どもがなんとか跳び越えられる程度。
水深は30センチもないところが多い。
ムール貝そっくりなカラス貝や、タニシ。オパールのように光るタナゴという小魚。
フナやメダカもたくさんいた。

そんな小川も、大雨の翌日は様子が一変する。
草は水に浸かって倒れ、あふれそうな水面は濁り、川幅いっぱいにゆっくりと流れる。
そこに、直径が1メートルほどもある大きな網をがっしりとしかける。
虫取り網を100倍大きくしたような代物だ。

夕方に引き上げてみると、鯉やナマズなどが入っていたりする。
鯉もナマズも煮物になって食卓に並んだ。雑魚は鶏のえさとなった。

雨が降ると、大物が小川にのぼってくる。
草のにおいと土のぬかるみ、川のにおいと草のぬめり、
そういった感覚とともに、雨が降ったあとの魚取りを懐かしく思い出す。

だけど、まっくらな中で親と蛍もながめたその小川は、もうない。
耕地整理事業は、小さな田んぼをつぶして機械で作業をしやすい大きな田んぼに変えた。

小川はつぶされ、コンクリートで固められたまっすぐな水路となった。
しばらくたって、コンクリートの水路を、一歩一歩、亀がさかのぼっている姿を見た。
中学生の私が、もうここにはふるさとはない、と感じた時だった。

あの頃に感じた、自然を平気で蹂躙できる人たちに対する不信感は解消していない。
いつかお金持ちになったら川底のコンクリートをはがし、石と土で川を再生するんだ、と念じたことは忘れていない。

コメント
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