Scarving 1979 : Always Look on the Bright Side of Life

1979年生な視点でちょっと明るく世の中を見てみようかと思います。

映画生感想『CASSHERN』

2004年05月07日 01時36分53秒 | 映画
この作品についてはeiga.comさんや読売さんで、
わりと手厳しい批評が展開されてましたが、
実際観てみると、そんな批評以上にスゴイ映画でした。

まさか35歳のいい大人が、
こんなにも幼稚なメッセージ表現をしてくるとは。。。

私もいいだけ子供っぽいですけど、
「少年のような純粋な心を持った」という、
お決まりの言葉さえも使えないくらい、
中学生の妄想物語のようでした。

しかも明るくバカな妄想でなく、根暗で陰湿な方の。

観たのが25歳の私ではなく、中学生の私だったとすれば、
そのメッセージに対して素直に感銘も受けたかもしれません。

しかし残念ながら私は25歳で、色々と知り過ぎてしまいました。

中学生に向けて発信した映画だったとすれば、
よく出来ていると思います。

・・・とは言いつつも、48歳になる私の父親が大絶賛していたので、
偏にそうでもないのかもしれません。

私達の年代は『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』等で、
根暗で陰湿な作品に触れ、通り過ぎてきてしまったので、
今更感を感じてしまったのかもしれませんね。

・・・とか言いつつ、私の父親は初代ガンダム好きですけど。

もう少し歳を重ねれば、いちいち目くじら立てず、
全てを許せるのかもしれません。

映像は、さすがPV出身だけあって、
全カットいちいち加工してて面白かったです。

2時間30分観てて飽きなかったのは、
めまぐるしく変わる幻想的な映像美があったからな気がします。

外国のPV出身監督でも、
映画という物語を語るべき媒体で、
延々PVっぽい幻想的な実験映像を流し続けた人は、
おそらくいないんじゃないでしょうか。

この点については、
映画に固執せず、よく自分の表現を貫き通した、
と賞賛したいくらいです。

ただ、あまりに映像に凝るばかりに、
殺陣が意味不明になってました。。。

いつの間に刺したの、刺されたの、という感じで、
チョット置いてけぼり感がありました。

置いてけぼり感といえば、肝心の物語なんですが、
これがあまりに説明なく事が運び過ぎてついていけません。

制作側は、脳内補完が出来るでしょうけど、
観てる側は、その補完材料がありません。

文字でも、言葉でも、目線でも、
その表現はなんでもいいのですが、
物語を語るときは、観ててわかりやすい、
心に引っ掛かる伏線が必要なのです。

そうした伏線もなく、キャシャーンもさしたる活躍なく、
ヒーローものである意義がわからないまま突き進んで、
ラストが『伝説巨神イデオン発動編』そのまんまというのもまた。。。

どうにも言葉に困ります。。。
劇場内、誰もなにも言えません。。。

スタッフロール中でも席を立たず、
無言で宇多田ヒカルの歌を聴くのみです。。。

・・・なんて批判めいたことを書いてきましたが、
私の個人的感想で言えば、
根暗で陰湿な妄想話の洗礼を受けて育った世代なので、
「そういうことしたいのね、したいよね」という感じで、
実は、そんなに問題なく観ることが出来ました。

前述の『イデオン』なんて、
きっと私的に最も回数観た映画ですしね。

よく考えると『キャシャーン』って、
『ガンダム』『イデオン』のトミノ監督が、
演出して名を馳せたんですよね。

冷静に物語を振り返ると、
反戦メッセージも、女性観も、人間の業も、
家族内の亀裂も、表現手段も、皆殺しも、
まんまトミノ作品の流用ですし。。。

そう考えると、キリヤ監督は、
単なるトミノコ族なんじゃないかと不安になってきます。

アニメで観たことを、
アニメで観たまま表現し過ぎちゃったかな、っていう。

ホントは『イデオン』で観た、子供の首が吹っ飛ぶ映像とかも、
戦争の空しさを伝えるために撮りたかったんですか?

・・・とかキリヤ監督に聞いてみたいです。
その辺で話は合いそうな気はします。

ただトミノ監督は娯楽性も重視して、
殺陣やアクションもちゃんと描いて、
一応はヒーローさせてましたけどね。

戦わず、ずっとヨロヨロのヒーローというのも。。。

それはそれでいいんですけど、
大衆の大多数はそういうものを求めては。。。

つまらない映画ではないですけど、
他人に面白いと公言できる映画でもありません。

なんか変なものを観た感があります。
表現しづらい珍味食べたときのような感覚が。

美味しいとも言えず、
でも不味いというものでもなく独特な。。。

そういう意味では、
記憶に残るスゴイ映画だと思います。

いっそのことDVDで所有してもいいのかもしれません。

「キャシャーンがやらないから、誰もやらない」

一言で言うなら、そんな映画でした。

みんな星になってしまえ!

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
読んでみました (aliz)
2004-12-25 20:13:15
天邪鬼なので、逆に興味が出ました。



ただ絵コンテがまだ間に合うかどうかが、

かなり大きな要素となる気が。。。
返信する
ついでに、、、 (a_bee)
2004-12-25 16:32:35
こんにちは、aliz さん。

私のブログの記事に書いた、

実写版『CASSHERN』の商業デザイン的見地(その2)

と、

実写版『CASSHERN』の商業デザイン的見地(その3)

も合わせてお読み下さいm(__)m

その記事を読んでみて、DVDの購入のご検討を(^^ゞ

買う気になるか、逆に買う気が失せるか・・・

返信する
3枚組 (aliz)
2004-12-25 15:34:48
私も期待してた娯楽作品とは全く異なり、

暗い世界観と、イデオンぶりに驚愕しました。

イデオンとか観てる人少ないだろうに。。。



けど、PVというか映像という視点では独特で面白くて、

ずっと気になり続けてる作品であることは確かで、

DVDを購入したいとずっと思い続けているのですが、

3枚組というのが、逆に買いづらくて。。。
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TBさせていただきました (a_bee)
2004-12-25 13:18:24
私も、『CASSHERN』を劇場公開の初日に見て、

なんで後半イデオンが始ってしまうの?と、びっくらこいた口です(^^;;

『CASSHERN』は、映画というより超大作PVと言えるのではないでしょうか…(^^;

私は、研究のため、DVD買ってしまいましたが(^^;
返信する
ミーハー (aliz)
2004-05-08 11:37:56
私の父親はチョットした肩書きに弱い、

単なるミーハーですから。。。
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Unknown ()
2004-05-08 09:22:00
オヤジが絶賛って。。
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