細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

学生による論文(56) 「身を持って知った公共事業の重要性」 小野寺 一馬(2022年度の「土木史と文明」の講義より)

2022-11-16 16:50:39 | 教育のこと

「身を持って知った公共事業の重要性」 小野寺 一馬

 これまでの授業でインフラ設備、ストック効果の重要性は何度も説かれてきた。その都度、刺激を受け私の考えに大きく影響を受けた。その中でも、過去の日本と現在の日本との違いについては非常に敏感になったと思う。日本は、戦後大きな経済成長の末に先進国に名を連ねるようになった。しかし、そのような高度経済成長さらにその中のバブル景気は1990年初頭に崩壊を迎える。その原因は、それまで引き下げていた金融の引き締め政策によって地価や株価が大暴落したことに起因するという。このバブル崩壊の時期と、日本の名目GDPの成長が停滞した時期は同じ時期である。まず、バブル崩壊に関しては政府や日本銀行の政策の失敗だと言えるが、ある種仕方のないことだと言えるだろう。問題はそこから政策が低迷し、現在もデフレから脱し切れていないことだ。もう一度、バブルのような急なインフレを起こさないように慎重になっているということを昔聞いたことがあるが、なぜ過去に起こった問題が改善されずに、また繰り返される前提なのだろうかと疑問に思う。また、そのような問題が挙げられると、必ずと言っていいほど論じられるのは少子高齢化や、人口減少による生産年齢人口の問題が挙げられるが、授業内で示されたラトビア、リトアニア、ジョージアも同程度なのを考えると、それも言い訳に過ぎないと思う。日本は、世界的に見ても公務員に対する賄賂が非常に少ないという数値が出ているが、ニュースなど、マスメディアによる情報操作に関しては蔓延している。国を統制することによって、一番有効になることは、武力ではなく情報統制である。人々の考えの根底から、政治の進めやすいように変えることで人々の反感を抑える。この方法は、基本どの国でも行われていることではあるし、中国、北朝鮮、ロシアなど現在問題に上がっている国では顕著だろう。日本人は、この他国における政治の在り方を非常に批判しているが、日本はどうだろうか。私自身もそうであったように、大半がマスメディアの情報に踊らされて、都合の良い善良な納税者となっていないだろうか。今回の講義で提示されたような資料が、ニュースで同じように提示された時はないだろう。道路建設などの公共事業が重要だと、どこの報道局で報じられているのだろうか。私は、青森県十和田市出身で、昨年まで八戸の学校に通っていた。今回の講義で三陸復興道路のことが紹介されていたが、それによりストック効果というものを身を持って再確認できた。復興道路は現在、無料で開放されており、供用中も含め何度も利用してきた。現に、この道路ができたことによって経済活動は身近なところでもこの復興道路を通して消費が増えていることもあり、この道路が完成したことによる沿道の地域の経済活動は活発になっていると感じる。日本全体のGDPを上げるためには、一都市に経済を集中させ、そこを伸ばすよりも地方の生産性を上げることが必須だ。これは紛れもない事実である。それには、道路をさらに張り巡らせることや、地方の設備を整備することなど、公共投資が基本となる。これには、情報操作に惑わされない国民の声が必要である。国の根幹を担っているのが何であるかを国民全体がしっかりと理解するような社会構造が作られていくことを望む。


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