細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

9/7(土)防災シンポジウム@東京都慰霊堂

2013-07-30 16:42:06 | 研究のこと

シンポジウムの内容

タイトル:「迫りくる大地震,日本をどう守るか?」

日時:2013年9月7日(土)13:00~16:00

場所:横網町講演・東京都慰霊堂 (300名程度収容可能。参加費無料。問い合わせは細田まで。)

コーディネータ:細田 暁(横浜国立大学)

13:00~15:00 講演4件 (藤井聡、細田暁、岩城一郎、赤間遼太ほか)

15:00~16:00 パネルディスカッション
 

シンポジウムの趣旨

防災は我が国にとって根幹的に重要です。ですが,我が国にとって最も大切なことは,日本人が「本来の日本人の生き方・考え方」を取り戻すことです。日本人が本来の『意識』を取り戻すことです。そういう意味では,すでに変化は生じています。もちろん,3.11の大震災に続いて,これから悲劇的になるかもしれない大地震,津波,火山の噴火などが起こるでしょうが,それでも,日本人はこの国で生きていきます。

防災は「手段」と思っていますが,非常に重要な手段です。かけがえのない命を守り,我々日本人がどのような国土に住んでいるのかを良く知るきっかけとなる手段です。しかも,我が国のレジリエンス(しなやかな強靭性)を高めつつ,デフレ・雇用の問題も解消する,我が国が力強く歩み続けていくために,必要不可欠な手段です。

このシンポジウムでは,土木分野での防災・インフラの高耐久化の取組みについて,最先端で実践的に活躍する技術者,研究者,市民に話題提供いただきます。その上で,パネルディスカッションも行い,聴衆の皆様と日本の進むべき方向について考えます。
 

講演者紹介

(1) 藤井 聡 教授(京都大学,内閣官房参与)による,「国土強靭化とデフレ脱却」

 我が国の置かれている危機的状況を近現代史の流れとともに分かりやすく説明し,National Resilience(国土強靭化,国家強靭化)の具体的なビジョンについて,防災,防災教育の重要性とともに熱く,面白く語ります。
 

(2) 岩城 一郎 教授(日本大学,熱血ドボ研2030のリーダー)による,「我が国の膨大な既存インフラの性能確保,市民と協働のシステム作り」

 今すぐにでも大地震が来る可能性も指摘されていますが,防災とは,我が国が続く限り取り組まなければならない宿命です。そして,これまでに整備されてきた国民の活動を支えるインフラには,すでに深刻な劣化に至っているものもあります。財政,人財不足の問題にも真正面から向き合い,市民と協働してインフラの性能を確保するビジョンを熱く語ります。
 

(3) 細田 暁 准教授(横浜国立大学,熱血ドボ研2030メンバー)

「防災授業を通した日本再生」

「驚嘆する,鉄道構造物の耐震補強の実績」

 防災は目的ではなく,手段である。何が目的であるか。我々日本人が,住ませていただいている日本という国土について興味を持ち,勉強し,郷土愛を持つこと。そうなるためのきっかけが防災である,と考えています。小中高の授業で新たな防災授業を展開する徹底実践主義の研究者が熱く語ります。

 また,鉄道構造物の地震に対する安全性は年々高まっており,真のエンジニアたちの責任感と地道な努力が無ければ,3.11の東日本大震災では,新幹線構造物は,想像を絶するとてつも無い被害をこうむっていました。驚嘆する耐震補強の実績について分かりやすく説明します。
 

(4) 赤間遼太君(横浜国立大学卒業生),渡辺啓太君,伊藤愛梨さん(横浜国立大学4年生)による研究発表,「鞆の浦の防災力向上と地域活性化のための実践的研究」「命を守る家具固定の実践と普及」

 皆さん,「鞆の浦」って知ってますか?日本の歴史,文化,街並み,国宝級の人情が詰まった広島県福山市の港町です。「崖の上のポニョ」の舞台としても知られています。鞆の浦の地域で支える介護は日本の最高レベルのものです。

 この鞆の浦も,過疎高齢化,家屋の老朽化などに直面しており,防災力向上と地域の活性化が強く求められています。この難題に,大学4年生が果敢にチャレンジしました。日本中がこれから活性化していく必要がありますが,その大きなヒントになるかと思います。我が国の若者のアイディアの斬新さ,エネルギー,可能性を感じてください。

 赤間君の後を引き継いだ渡辺君,伊藤さんに鞆の浦の防災研究の最新情報と首都圏での展開についても紹介してもらいます。


9割

2013-07-30 15:46:17 | 職場のこと

昨日は、種々の理由が重なり、午前の土木学会での委員会の後、午後はとても仕事をできる体調、精神状態ではなくなり、JR東日本の落雷による停電による列車運行の遅延もあったので、帰宅して静養しました。

今日は大分持ち直して、朝から仕事をしております。

種々の理由のうち、一つは未処理の仕事が溜まりに溜まっていることなのですが、私の段取りの悪さによる面もありますが、やはり本当にやりたいわけではない仕事の量が多すぎることも一因。 

9割の仕事をこなしてしっかりと前進していても、1割が詰まってしまってどうにもならなくなることもあります。その1割もいずれなんとかなるのですが、責任をしょい込んでしまっている状況では、それが重荷になってしまう状況もあります。

昨日は、その1割が、重く重くのしかかり、体調も悪いこともあって、精神状態が非常に悪くなりました。9割をしっかりとこなしていることをプラスにとらえればよいのに。

昨日は子供たち二人のお迎えに行き、夕食も一緒に自宅で食べて、お風呂にも一緒に入り、絵本を読んでやって、非常に早めに三人でぐっすりと寝ました。

体調が回復すれば、同じ状況でも見え方が違ってくるので、今日は現実を受け止めて、できることからコツコツとこなしていくいつものスタイルに戻りました。

何事も、どんな状況も、一つずつ、一歩ずつ、こなしていくしかありません。

今日も、子供たちのお迎えに出発するまでのあと1時間、できうることをしっかりとやりましょう。 


自律分散的な研究

2013-07-24 18:22:14 | 研究のこと

昨日は、私が代表を務める、今年度から発足したSWAT研究会の小ミーティングでした。

実態があるような無いような組織ですが、研究同好会だと割り切らせていただきます。

短時間のミーティングでしたが、とても期待のできるプロジェクトをゼネコンからご提案いただき、まさにSWAT研究会にふさわしいテーマだと思いました。

東北被災地の復興道路の一部を構成するトンネルでの品質確保のチャレンジです。

大きな話題になりつつある目視評価(昨日、日経BPの取材も受けました)、施工状況把握、そして我々が開発したSWATも活用して、つまり使える手段は何でも投じて、品質確保にチャレンジします。実構造物ですよ。

私たちが土木学会の表層品質の335委員会で熱く議論した、表層品質の評価法を実務に実装していくフィロソフィーの中で、私が最もチャレンジしてみたかったストーリーで、この現場はチャレンジしてくことになりそうです。

しかも、そのトンネルの竣工が今年度末ということで、結果もすぐに出てきますね。

一連の取組みを、しっかりと研究論文にして発表しようという合意が取れました。

もはや、品質確保、とくにこれまで明確に意識されてこなかった耐久性上の観点からのかぶりコンクリートの品質、すなわち表層品質を重視する流れは、止めようがないと思われます。復興道路の品質確保で、確固たる流れとなるでしょう。

大きな流れの中で、自律分散的に、本質的な、本来技術者が心からチャレンジしてみたいと思う取組みがなされ、ポジティブスパイラルが形成されることを心から願います。

しかもこのプロジェクトは、YNUコンクリート研のOBたちがたくさん、いろんな方面から関わるプロジェクトになりそうなのが、なおさらうれしいです。みんながやりがいを感じ、その努力の結果が東北復興道路の高品質のトンネルにつながると、素晴らしいですね。

それをテコに、全体への展開を図るのは私の役割です。 


死にゃーせん

2013-07-23 08:50:12 | 人生論

ベストを尽くすつもりで努力はしているものの,本当に自分のベストを尽くしているかというとそうではないわけです。力を出し切れない,ということも含めて能力ですので,結局は全てを含めるとベストを尽くしているわけですが。

自身のパフォーマンスに十分に納得しているわけでは全くありません。しっかりできていることもあれば,手を抜いていることもあるし,手が回らないこともある。人の尻ぬぐいをしていることもあるし,逆にしていただいていることも多々ある。

私と年齢も誕生日も全く同じ,徳島大学の渡辺健先生と名古屋で話していた時に,「死にゃーせん」というキーワードが出ました。まあ,どんなに怒られようが,仕事が回らない状態に陥ろうが,死にはしないし,そもそも完璧な人はほぼ皆無です。皆,ベストを尽くそうと努力をするけど,何かしらの迷惑もかけている。持ちつ持たれつです。

今日の午後は,土木史と技術者倫理の講義の最終回です。3年目が終了しました。

学生のレポートの中には,行き詰まった自分自身について悩み,どう打開すればよいか,と私に相談するものもあります。

最後の講義で,どのようなメッセージを受講生たちに発するか,これまで積み重ねてきた講義の内容,学生との信頼関係と,今の私の実力(持っている情報)で決めたいと思います。 


ドッジボールの本気トレーニング

2013-07-20 11:23:40 | 家族のこと

今日から長女は夏休みです。

昨夜は,私が久しぶりに長女と次女をお迎えし,一緒に夕食を食べて帰宅後,くつろいで一緒に寝ました。翌日から夏休み,ということで毎日の活動を記録する小学校からもらった一枚のシートを見せてくれて,「運動」の観点で毎朝ラジオ体操をしたい,とか,「勉強」の観点でフランス語の勉強をしたい,とか,非常に前向きな希望をいろいろと聞かせてくれました。翌朝は6:25からのテレビ体操(Eテレ)をやろう,と約束して就寝しました。

今朝,約束通り娘たちと三人で,6:25~のテレビ体操を実施。さらに,長女は,ドッジボールのトレーニングをしてほしい,しかも本気でトレーニングしたい,と言い出しました。今日は昼前には二人とも習い事もあるので,やるなら朝やろう,と合意して,すぐに外に出ました。

長女は三年生ですが,小さいころから私とキャッチボールしたり,ドッジボールもしたりしてはいましたが,すごく上手だとは思っていませんでした。しかし,今朝はびっくり。私は手の球技が得意で,小学校のときもドッジボールは非常に得意でした。部活でもバスケットボールをやっていたので,今でもかなり速くドッジボールを投げられます。今朝の長女は,非常に上手にキャッチするし,上手に投げていました。小学校でたくさんやっているのでしょうね。

途中から,本気のトレーニングになってきて,10球投げて何球受け取れるか,というようなまさに部活のような状態に。しかも,結構な至近近い距離で私もかなり強く投げているので,スパルタ的トレーニングに見えるかもしれません。長女は10球中8球くらい受けられる実力。

数球の失敗をくやしがって,何度もやりたがりました。もちろん,何度もやってやりました。最後は9球キャッチして,喜んでいました。

頑張り屋さんのところは,私の血なのか奥さんの血なのか知りませんが,私が見ていても感心します。

小学校の夏休みシートには家事の手伝い,という項目もあるので,料理やお風呂掃除などを積極的に頑張るそうです。

昨夜,くたびれていたのでお風呂に入れなかったので,ドッジボールの後,三人で長女の準備したお風呂に入りました。

「今日は,いい一日になりそうな気がするよ」と体を洗いながら長女が言っていました。ドッジボールのトレーニングを夕方もやりたい,と言ってました。

夏休みシートとは別に,音読シートを作ることにして,今日は私と一緒にヘレンケラーがサリバン先生と出会うところを音読することにしています。

夏休みの初日を,そのように過ごそうとする長女を,そのまま真っ直ぐに伸ばしてやりたいものです。フランスに滞在中は,私も自己鍛錬を徹底してやろうと思っていますので,娘たちといろんなチャレンジをしてみたいと思います。 


効率

2013-07-20 10:19:08 | 研究のこと

昨日,超大型の研究プロジェクトの予算申請のための少人数での打ち合わせをしました。

私は,そのプロジェクトの一部を担う,という役割なのですが,予算申請書を書く立場にはなく,その立場にある方々が私の意見を聞きに来ていただく,というある意味ではとてもありがたい打ち合わせでした。

とても楽しい打ち合わせでした。

私が貢献しうるのは,山口,東北の品質確保関係のプロジェクトと,防災授業を核とした地域防災の研究,です。どちらも,いつの間にか私の研究プロジェクトの大看板になりつつあるものです。というわけで,これらの研究がその大型プロジェクトにどのように関連付けられるか,という楽しい議論だったわけです。

そのときに,いつも話題になるのが,私の研究のやり方の効率の悪さです。

私は徹底した現場主義で,実践主義で,また,感性で仕事をする人間です。昨日打ち合わせをした方々のリーダーは,私のことを「伝道師」という呼び方をされます。私のような伝道師的なやり方では,訪問現場数にも限りがあるし,広く展開していくのにとてつもない労力がかかるだろう,という意見です。だから,それを展開していくために,統合的なITのプラットフォームのような仕掛けが必要だったり,人と人が交わる場が必要だったり,と言われるわけです。

しかし,私は,自分のやり方を効率が悪いとは思っていません。効率は最優先の指標ではありませんが,でも効率は大事です。取組みが本質的であれば,自然に効率的に展開されていく,と思っています。

伝道師的なやり方を確かにしていますが,無作為に,手当たり次第に現場に行っているわけではなく,ここだけは,このタイミングでは,私が行かないと前進しない,展開しない,と分かっていて現場に行っているケースがほとんどです。また,私の関わっている現場は,すべて非常に,あまりに本質的な現場がほとんどです。従って,私の中では究極的に効率的に仕事をしているつもりです。

そして,私が伝道師として展開しているのは,ツール,手段ではありません。フィロソフィーです。フィロソフィーは,ITのプラットフォームから出てくるものでなく,常に現場での真剣な議論,コミュニケーションから出てくると思っています。もしくは,現場を知り尽くした人たちの議論からしか生まれてこないと思っています。

昨日議論をして,申請書を書かれる方々と,私の思っていることは,ほぼ同じでした。非常にご苦労されながら申請書を準備されていると思うので,何とか私も力になりたい,と心から思いました。そして,そうするための最も効率的な方法は,やはり現場に出続けること,だと改めて思いました。

フランス渡航まであと2.5ヶ月弱。それまでも,現場に出続けて,プロジェクト群を前進させ,展開させたいと思います。


2013-07-19 08:34:48 | 研究のこと

昨日,また山口から返ってきました。17日,18日と一泊で山口県に出張していました。

今回は複数の目的を帯びた出張でしたが,初日の午後は,下関市の殿居小学校という全校生徒数16名の小学校での,土砂災害についての防災授業の見学でした。山口県の砂防課の職員が行なう防災授業です。

非常に勉強になりました。また,同時に,私自身も防災授業を実践していますので,見学した授業の課題,改善点も多く見いだせました。授業の後,県の施設の会議室をお借りして,山口県の砂防課の職員3名と,いつもお世話になっている審議監の二宮さんと私とで,振りかえりをしました。私の感想,意見もお伝えして,また私どもが実施している地震と家具固定の防災授業の概要,意図についてもお伝えして,ディスカッションしました。

山口県の土砂災害の防災授業も先駆的で,これも全国で義務教育の中で実施すべき内容であると強く思いました。近い将来,土砂災害,地震+家具固定など(地域によっては津波も)の防災授業が,義務教育に取り込まれるようになるべく,私は全力で努力しようと決意しました。

二宮さんは,H21の大水害を受けて,この防災授業の立ち上げにも関わられたようですが,この日に私と一緒に防災授業を見て,非常に多くのことを感じたそうです。私と見ることで(振りかえりも含めて),当時担当者のときには思いもしなかった重要性,意義,可能性を感じられたようです。

以前から私自身の特長とは認識していましたが,「本質をつかみきる」ことが改めて私の特長なのだと認識できました。他の人には見えない本質をつかみきった上で,皆に本質を伝え,てこの原理を活用しながら展開していく。防災授業にしても,品質確保にしても,すべてやり方は同じです。

今朝は追い込まれていることもあってやや気合いが入っていますが,肝をつかんで握りつぶす,という言葉で上記のイメージを自身の中で高めようとしています。

私の信頼する田村先生は以前,私の上記のイメージを,「細田先生は,き○○まをわしづかみしとる」という究極の表現をしておられました(笑)。

要は,感性で仕事している,ということでしょう。


一身の独立

2013-07-14 11:19:40 | 人生論

藤井聡先生の「強靭化の思想」という本を購入して読んでいます。これまでに,藤井先生があちこちで発信してこられた小論をテーマごとに整理して発刊された本で,私も読んだことの無いものが多く,とても興味深く,勉強させていただいています。共鳴する考え方がほとんどであり,私たちが展開しようとしている種々のプロジェクトと相通じることが非常に多いです。

その第5章,「一身独立」して一国独立す,の中に以下のような文章がありました。実は,私が初めて藤井先生にお会いした2012年3月9日の夜の懇親会でお話ししたときも,福沢諭吉の「学問のすすめ」の内容でとても盛り上がりました。以下引用する文章は,2012年10月10日に刊行されたものです。「学問のすすめ」には,今の日本人こそが読むべき,身に付けるべき考え方がほとんどの箇所で書かれており,私も何度も読んでいますが,常に感銘を受けます。

「この福沢諭吉の志をこの平成の御代で引き継ぐ者が,何をすべきなのか - それは,驚くほどに単純なこと以外に何もない。あらゆる場面,あらゆる局面で,さまざまな心ある人々の言葉に耳を「傾け」つつ,自らの頭で「考え」,その場その場の状況の中で適切な言葉遣いのもと「発言」し続けること - それ以外に何もないのである。

言論の場を持つ言論人なら,一身の独立を前提としたあらゆる言論を公言し続けることが求められよう。言論の公的な場を持たぬ市井の民であるなら,さまざまな言論に耳を傾けつつ,自らが参画する共同体や社交の場で,適切な言葉遣いを続けることが求められよう。そして一国の総理であるなら,独立せんとする強い意志のもと,「戦後レジームからの脱却」を高らかに掲げ,そのために求められるあらゆる言論を発し続けることが求められよう -。」

福沢諭吉は,「一身の独立」のためには,「気力」が必要であり,その「気力」のためには「学問」が必要である,と言いました。

学ぶことで気力が充実する。適切な言葉遣いのもの「発言」し続けることとは,実践を続けることです。「さまざまな心ある人々の言葉に耳を傾けつつ」,「その場その場の状況の中で適切な言葉遣いのもと」,というところに非常に共鳴いたします。皆がそうなれるよう,私の持ち場では実践を続けます。 


積重ね

2013-07-14 09:55:25 | 研究のこと

私自身は,日々ベストを尽くすことを考えてやってきたつもりです。その日にできることをやる,という意味でもそうですし,中期的な,あるいは長期的な戦略を考え,人と議論することでブラッシュアップする,という意味でもベストを尽くしてやってきたつもりです。

鞆の浦の研究は昨年,赤間君と開始しましたが,そこに至る経緯や,その後の進展は,これまでの積重ね無しにはあり得ません。私自身には日常の積重ねなのであくまで日常なのですが,私自身よりも,私の側近で見てきた人の方が積重ねの重要性を認識できるようです。

鞆の浦に私たちが関わることになったのは,木谷正道さんと私が出会ったからですが,その出会いが無かったら,私が鞆の浦に関わることは絶対に無かったでしょうし,今の我々の防災研究もやっていなかったです。なぜ,私と木谷さんが出会ったか。

横浜市の熱血職員たちが木谷さんの活動に共鳴してサポートしておられたわけですが,その熱血職員たちが私と木谷さんを引き合わせてくれました。この二人を合わせたら面白いだろう,ということで。25歳も年が違う二人を引き合わせてくれました。木谷さんと熱血職員二人で私の研究室に来てくださり,二時間,お茶も食事も無しで夕方6時から話し続けて終わりました。そこから鞆の浦に関わる道が開けました。なぜ,横浜市の職員たちが私を木谷さんに紹介したか。

横浜市でコンクリートや維持管理の研修を数年にわたって実施してきました。大学と同じ熱血研修ですので,次第にファンが増え,横浜市の全技術管理課長の前でプレゼンをしたこともありますし,2012年の2月には150人を超える職員たちの前で2時間ほど講演をしたこともありました。その直後に,木谷さんが私のところに来られました。

横浜市でファンを作る研修や講演ができるようになったのは,山口県でのひび割れ抑制,品質確保の取組みに深く関わらせていただき,多くを学び,力を付けさせていただいたからであり,JCIのデータベース委員会なども通じて,東北の復興道路の品質確保の取組みにもど真ん中で関わらせていただけるようになったからです。

山口県の取組みに関わらせていただけたのも,それまでJR東日本での実務経験や,東大コンクリート研での本質的な物の見方がバックグラウンドにあります。

また,東日本大震災の学会調査団での経験や,土木史の講義を立ち上げてベストを尽くしてきた経験も大きいです。

もちろん,日々,読書を重ねてきたり,このブログなどで地道に情報発信してきたことの積重ねが無ければ,今の展開は無かったと思います。

これまでの積重ねのどれが欠けていても,今の状態には至っていないと思います。

積重ねとは,つまり,人との出会いです。どれだけ多くの素晴らしい方々と出会い,コミュニケーションを重ねてきたか,ということです。本当に素晴らしい方々とたくさん出会うことができ,私の人生は幸せだと感じます。世の中に貢献することでしか,報いることはできないと心から思います。

これから先の状態は,ある意味で予測不可能です。でも,積重ねの先に,結局は私自身が心から望む方向に展開がなされていくと思いますので,今後も変わらず積重ねて行きたいと思います。

久しぶりに3冊の本を並列で読んでいます。 


一区切り

2013-07-13 10:24:07 | 研究のこと

コンクリート工学会の名古屋での年次大会が終わりました。7/9~11の三日間で,私は連名の論文が6本あり,自分でも発表しました。

山口県のシステムに関わり始めて4年以上経過していますが,今回は2本,山口県の取組みについて論文を発表しました。目視評価によるシステムの効果の検証と,施工状況把握の研修についての2本です。

この2つの取組みは,東北の復興道路の品質確保に応用されようとしており,試行工事が実施されることが決まりました。まだチャレンジが始まったばかりですが,いろんな方々の努力,思いがつながって舞台ができようとしていますので,私も引き続き,全力でのチャレンジを重ねたいと思います。

7/11の学会最終日は,学会に参加せずに,山口県に移動しました。東北地方整備局から4名の方々が山口県に来られ,11日~12日の二日間にわたって山口県の品質確保について情報収集し,意見交換する場が設けられました。上記の目視評価,施工状況把握が主題です。いつもながら,山口県の皆様には万全の段取りをしていただいて,心から感謝です。初日は,山口県のシステムの開始前後の構造物群に対して,目視評価を実施しながら,暑い中,皆で熱く議論しました。

私も,山口県側のホストの一人としてお迎えしている状態が違和感のない状況ですから,この取組みの歴史の長さを感じるとともに,いよいよ山口県から国へ展開がなされようとしていることに,深い充実感を覚えました。

名古屋での学会に出発する前,8日には私の長女が通う,川崎市の小学校での防災授業を無事に終えました。正規の授業時間をお借りして,3年生の3つのクラスで3回授業を行いました。45分という限られた時間で,生徒たちとの双方向コミュニケーションを達成しながら授業を行なうのはかなり難易度が高かったです。さらに,我々の防災授業は,授業をやりっぱなしで終わるつもりはなく,その後,家庭の家具固定へといかに実践をしていくか,というアフターケアも含んだものなので,さらに難易度は上がります。難易度が高いので,研究として行っています。

非常に濃密な一週間が終わり,4泊5日の出張を終えて,昨夜,羽田空港に到着しましたが,さすがに飛行機の中ではくたばっていました。

ここのところ,本を読む気力も無くなっていたのですが,昨日から本も読み始めました。

今日は一日,入学試験ですが,ようやく7月後半の業務に思考が向かい始めました。一区切りです。海の日までの休日中に,休息も取って体制を立て直し,業務を進め,8月上旬までを戦略的に過ごせるよう, 大事に過ごしたいと思います。

今朝,アブラゼミを複数見たので,今夜は娘たちと羽化前のセミを探しに行く予定です。 


アクティブな7月に

2013-07-07 21:38:43 | 職場のこと

5月は,私のこれまで経験したことのない過密な講義のスケジュールを乗り切り,5月末には復興道路の橋脚の品質調査も行い,忙しくも充実したひと月でした。

6月は調子に乗りきれずに何とかしのぎ切ったひと月でした。

7月に入り,早くも一週間が終わりました。昨日は早くも梅雨明け宣言だそうで,非常に暑い週末となりましたが,無事に同窓会の総会,研究室OBOG会も終了しました。今年は研究室スタッフ構成にも大きな変化がありましたが,何とかなるものですね。研究室OBOG会の二次会は,これまでにないくらいの大人数で若者も多く,とても盛り上がったと思います。

7月の最初の週には,遅れていた原稿も一つずつ片を付け,今日,日曜日には土木学会の津波委員会の委員会報告書の草稿,常任委員会での説明用のパワーポイントも何とか形になりました。私が幹事長を務めていますが,幹事の田中先生の働きなしには全く成立しません。とても強力なバックアップにほれぼれいたしました。

7月初週には,鞆の浦にも行って大きな進捗がありましたし,熱血ドボ研の定例会もあり大変な盛り上がりで,私も多くのパワーをいただきました。

明日8日(月)はいよいよ,私の長女の小学校で,防災授業です。今日は,そのために,有明の東京臨海広域防災公園の「そなエリア」に長女と一緒に勉強に行ってきました。一緒に防災授業をする学部4年生たちに紹介されて。とても参考になり,明日の授業の資料にもフィードバックできました。

学生たちもそれぞれの役割を担うので,前日の今日もかなり作業をしてくれています。三人の連携で,面白い授業を提供できたら,と思っています。記録にも,記憶にも残る,私にとっては思い出深い授業になることでしょう。

明日は防災授業を三連発でやった後,帰宅して準備を整えて,名古屋へ出張です。名古屋3泊,山口1泊の長期国内出張です。学会と,山口祭りで,非常に濃厚な一週間になることでしょう。

くすぶった6月から一転,暑い夏とともに,熱いアクティブな7月になりそうです。


式年遷宮

2013-07-05 11:13:53 | 人生論

伊勢神宮の式年遷宮が今年行われるのは有名ですが,信じる信じないは別にして,式年遷宮と世の中の変動は関係があるようです。

最初の式年遷宮は690年に実施されたとのことですから,とんでもない伝統です。

前回の式年遷宮は1993年,その前は1973年。

1993年以降,我が国はバブル崩壊後の時代に突入し,阪神大震災,オウム事件を経験し,そしてとどめを刺すかのように東日本大震災が起りました。

その前の1973年の式年遷宮以降は,Japan as No.1の時代と言ってよいかと思います。

ある識者のコメントでは,過去の式年遷宮をさかのぼっても,やはりすべて時代のターニングポイントになっている,とのことです。1849年や1869年の式年遷宮はまさにそうですね。

というわけで,2013年の今年の式年遷宮も,時代の大きなターニングポイントになることは間違いないように思います。どのように変わっていくのか,歴史の最前線を生きる当事者として,わくわくするような,どきどきするような。

そして,私はたまたまですが,1973年生まれなので,自分の節目ごとに式年遷宮が行なわれることになります。次の遷宮が2033年だとして,私は還暦。その頃にはどのような社会になっているでしょうか。想像もできません。2053年は私は生きれいれば80歳のおじいちゃんですが,全くもってそのころの社会は予測不可能。

今年は時間を見つけて伊勢神宮にお参りに行こうと企んでいます。 


音楽,ハーモニー

2013-07-03 07:33:13 | 人生論

村上春樹は音楽が大好きで,ご自身はピアノはちょこっと弾ける程度だそうですが,小説家としての作法は音楽から学んできたことが非常に多い,とエッセーで書かれていました。

私も音楽は小さいころから大好きで,母親がピアノの先生をしていたこともあって,幼少のころからピアノをやっていました。残念ながら小学校4年生まででやめてしまったので,今は楽譜を見ながら詰まりながら弾ける程度です。

小学校の終わりごろにたまたま,洋楽を聴く機会があり,CDが普及し始めたときでもあって,洋楽にかなりはまりました。英語の歌詞を歌えるように何度も練習していたのも覚えています。特にロックやポップは,英語の発音をしっかりしないとリズムに付いていけないので,発音の良い練習にもなったと思っています。

音楽とはハーモニーですが,究極のバランスに思えます。

私の特長の一つはバランス感覚だと思いますが,これは音楽好きであることと関係があると思っています。

いろんな人とプロジェクトを進めて行くことが多いですが,それぞれの関わる人の特長を引き出せるように,私はいつも考えます。

iPodが出るまで,かなりの期間,日常的に音楽を聴く習慣が無くなっていました。5年くらい前からでしょうか。iPodで通勤時などに音楽を聴くようになり,その後はiPhoneでほぼ毎日,自分の好きな音楽を聴くようになりました。

今も,鞆の浦に向かう新幹線の中で,仕事の合間に音楽を聴いています。車窓から見えるインフラや田園風景,地形,街並みを見ながら土木史で教えていることなどを反芻したりしています。 

また,これからもうねりのように動いていくであろう,種々のプロジェクトで,ぶつかり合いながらもバランスを取って前進していくイメージを,気分を高めながら感じています。

音楽を聴く,という楽しい時間で,実は自分の根幹的なバランス感覚を日々研ぎ澄ましているのだ,と最近は思うようになっています。

さて,のぞみの乗車時間が残り2時間を切ったので,気分も高まったことですし,遅れている委員会報告書(津波)の原稿を執筆します。 


前へ

2013-07-02 17:42:46 | 職場のこと

7月に入りました。上手く回るのか不安もあった講義過密月間も6月の上旬で終了し,研究モードにシフトするつもりでしたが,なかなか心身が付いてこず,快調と言えない状態で何とか前進を続けています。

4月以降の3ヶ月はあっという間でした。これからの9月末までの3ヶ月はもっとあっと言う間かもしれません。そして10月からは自身初体験の長期海外滞在となる予定です。現状では家族全員で渡航する予定であり,また波乱万丈の期間になりそうです。一度しかない人生の貴重な体験となることでしょう。

なかなか仕事が思うようにさばけないながらも,とにかく一歩でも前に進むことを意識して,余計なストレスを溜めないようにしています。進めないときは仕方がない。

明日の3日は鞆の浦に出張です。昨年度の鞆の浦は全く未知の状態で進み始めましたが,今年はそれなりに戦略的に動けており,どのような展開になるのか我々も楽しみです。ぜひ,住民の皆様が幸せになる展開となるよう,我々にできることは本当に微力ですが,それでも重要な役割を担えると認識しておりますので,誠実にチャレンジします。

5日(金)には3ヶ月ぶりに,熱血ドボ研2030の定例会です。この集団は3ヶ月集まらないと,その間にすさまじく活動を展開するので,集まるのが楽しみでなりません。お祝い事も複数重なり,この夜はものすごく楽しい夜になりそうです。

6日(土)は横国土木の同窓会の総会と,研究室のOBOG会。我が研究室が同窓会の事務局となりましたので,ぬかりの無いように準備を進めております。

8日(月)はいよいよ,川崎市立の小学校で防災授業三連発。ほぼ構想は固まっていますが,具体的に授業コンテンツを完成させるには至っておらず,追込みの作業が重要です。これと何となく連動して,横浜市保土ヶ谷区(大学の地元)との連携も始まってしまいましたので,もはや,防災の研究も趣味のレベルを超えて,本職の一部に確実になってきております。

9日(火)からはコンクリート工学会@名古屋。今回は発表もしますし,連名の論文も多いし,座長も務めますし,学会を満喫しようと思います。

11日(木)は学会の最終日をさぼって?山口県へ出張。 東北地方整備局の方々が山口県を訪問して,実構造物の視察や,施工状況把握の体験,品質確保のディスカッションを12日(金)にかけて行いますので,私もフル参加です。建設新聞などでプレス発表もされましたが,東北地方整備局がいよいよ品質確保のプロジェクトを,私たちとも連携して本気で進め始めましたので,これからが本当の勝負です。

というわけで,来週は8日(月)に防災授業を終えた後,名古屋に向かい,フルに一週間出張です。いろんなことが動いていくことでしょう。

自ら動きを起こす力が足りなくても,動いている中でその流れを加速させることは十分にできます。自分にできることをしっかりとやりたいと思います。