2016年1月29日(金)の10:30~、横浜国立大学にて、二宮 純氏(山口県土木建築部審議監)の博士論文(主査:細田 暁)の公聴会を開催します。
山口県のひび割れ抑制システムの構築の立役者であり、その後の品質確保システムへの展開までを取りまとめた研究になります。復興道路等への品質確保・耐久性確保の展開の発端になった取組みですので、ご興味のある方はぜひ、公聴会に来ていただければと思います。
ご参加を希望の方は、細田までご一報、お願いいたします。
博士論文タイトル 「地方自治体が建設するコンクリート構造物の品質確保システムの構築に関する研究」 です。
どうぞよろしくお願いいたします。
相変わらずグチャグチャのスケジュールですし、先ほど、近い将来(年末くらいまで)にやらなくてはならないタスク(日常的なタスクでないもの)を書き出してみると、ゲッと思うくらいリストアップされたのですが、なぜか気分はよろしいです。
講義の準備や実施にも相当な時間を取られてはいるのですが、それらから学ぶものもそれなりにあり、また、学内の会議も非常に多い厳しい状況においても、研究活動が何とか進んでいるのが気分のそれなりに良い理由かと思います。
今日は、私が初めて主査を務める論文博士の予備審査会でした。多くを論じることはできませんが、非常に充実した議論がなされ、とてもよい審査会になったものと思います。今日のためにいろいろと準備を重ねてきましたし、今後もとても楽しみです。
12月2日(水)には近畿地方整備局で、12/9(水)には福島河川国道事務所で、12/16(水)は三陸国道事務所で、12/17(木)は南三陸国道事務所で、コンクリート構造物の品質確保に関する勉強会・講習会で講師を務めたり、品質確保の手引きのブラッシュアップの議論を行ったりします。これらすべて、研究活動でもあるのですが、実務が大きく前進する駆動力にもなります。
明日、11/27(金)は横浜市のコンサル向けに、維持管理に関する講演を依頼されたので、現状の私が提供できる最良の内容をすでに準備完了しています。
研究は常に難しいですが、現時点での私は、実務と連携した研究の中で、博士課程の留学生の研究もテーマ設定しており、現在3人の博士留学生を指導していますが、それぞれが、ステージは異なるものの、しっかりと前進しつつあるのもうれしいことです。10年先のことを全く考えていないわけではありませんが、研究とはとても難しく、私には今の私のできうることをやることしかできません。何十年も、もしくはもっと先に花開くような基礎研究で勝負する方もおられるでしょうし、私のように、そんな能力はとてもないけれど、世俗的かもしれないけれど、現実の問題を何とか解決するためにベストを尽くすスタイルもあってよいかと思います。将来のことは自分なりに見据えつつ、もうこの年になれば自分のスタイルを貫くしかないので、共鳴してくれる仲間、留学生や日本人学生たちと前進し続けたいと思います。
彼らとの研究成果は、上記の実務にも直接フィードバックできる状況、体制になってきているので、私自身も非常にやりがいがあるし、私の研究室チームのメンバーもそれを敏感に感じ取ってくれているのを感じます。
先週末は私がベトナム出張でしたが、今週末からは奥さんが海外出張です。
親族にも相当に支えられていますが、年末年始まであと1ヵ月、全力疾走できればと思います。
昨夜、YNU土木の見学会企画としては初めての試みだったのですが、土木学会のイブニングシアターに参加しました。
私以外に6名の男子学生と、飛び入り?のOGも1人が参加してくれました。 OGは、いまだにYNU見学会ブログ等も見てくれているようで、それもうれしく思いました。
昨日は第87回のイブニングシアターだったそうですが、土木学会でのイブニングシアターには初めて参加しました。
非常に秀逸な内容で、トルコのボスポラス海峡鉄道トンネルで現場所長をされた大成建設の今石さんのお話から始まり、ボスポラス海峡の工事記録の動画、明石海峡大橋の上部工の記録映画、昭和17年に鉄道の運行を開始した関門トンネルの記録映画、を堪能しました。大変に感銘を受けました。
鑑賞後、東京駅近くの餃子、中華の店で、男子生徒6名と懇親会。私はベトナムから帰国した日で睡眠時間も2時間程度だったので極めて疲れていましたが、心地よい談議に話が咲きました。
土木史を講義で教えているものにとっても大変に貴重な、楽しい勉強の場となります。
今後も、自分自身のためにも、また学生たちのためにも、活用していきたい場です。皆さんもぜひどうぞ。
一つ一つの仕事をできる範囲で誠実に行うしかない、というのがいつもの結論ではあるのですが、なぜ?という話になると、「ストック効果」というのが物の見方の参考になるかと思います。
土木学会の全国大会の全体討論会で紹介されていた、「社会資本の効果」について。
1. 社会資本のフロー効果
(公共事業の事業実施に伴うお金の動きにより、生産、雇用、消費等の経済活動が派生的に創出され、経済全体が拡大する効果)
生産活動の創出 → 雇用の誘発 → 所得増加による消費の拡大。
上記のフロー効果にばかり注目が集まりますが、実は社会資本の真骨頂は、以下のストック効果、です。
2. 社会資本のストック効果
(1) 安全・安心効果 (地震、津波、洪水等への災害安全性を向上させ、安全・安心を確保する効果)
(2) 生活の質の向上効果 (衛生状態の改善、生活アメニティの向上などの生活水準の向上に寄与し、生活の質を高める効果)
(3) 生産拡大効果 (移動時間の短縮、輸送費の低下等によって経済活動の生産性を向上させ、経済成長をもたらす効果)
++++
そして、ストック効果の威力の大きいのは、社会資本が供用される間、ずっと効果が継続する、ということなのです。
紀元前6世紀につくられたエトルリアの灌漑用トンネルは長さ1200mもあるものですが、現在でも機能しているそうです。
1670年に貫通した箱根用水(深良用水)のトンネルは1280mですが、この事業は投資としては失敗したそうで、請負人は失意のうちに立ち去ってしまったそうです。しかし、この箱根用水は深良川周辺で米6000石の増収をもたらし、村は後代に至るまでその恵みを享受した、とのことです。事業としては失敗、すなわちフロー効果は十分に発揮されなかったのだけど、ストック効果は著しかったわけです。米1石は、人間一人が一年間で食す米の量です。現代の私たちは、公共事業のフロー効果ばかり気にしてはいないでしょうか。無駄だ無駄だと騒ぐ人たちは、本当に歴史のことを知っているでしょうか。
さて、社会資本と自分自身の生活を比べるのはおこがましいかもしれませんが、個人の生活においても、誠実に生きることのストック効果は無視できません。
面倒くさいとは思うときも無くはないですが、外部での講演の準備や、講義資料の準備も、そのときどきの自分の実力、知識を反映したものを造っておくと、それが本質的なものであるならば、様々な状況で活用することが可能になります。上記ストック効果の(2)と(3)でしょうか。
様々な外力が個人にも襲いかかりますが、ストック効果により、多少は安全・安心な気持ちで荒波に向かっていくことも可能になります。
怒涛の秋学期も、あと1ヵ月で年末年始の小休止です。その間も様々な活動をすることになりますが、一つでも二つでも、優良なストックを築けるよう、地道ですが努力を重ねたいと思います。
トータルコーディネートを私が務めております、「品質確保物語」の連載の3回目が掲載になりました。
(1) それはコンクリートよろず研究会から始まった 「コンクリート構造物の品質確保とコンクリートよろず研究会」 田村 隆弘 著
(2) 山口県のひび割れ抑制システムの構築 -不機嫌な現場から協働関係へ- 二宮 純、細田 暁、田村 隆弘 著
(3) ひび割れ抑制システムから品質確保システムへ -施工の基本事項の遵守と表層品質の向上- 細田 暁 著
第4回以降も、まだまだ続きますので、乞うご期待!
この世に生きるということは、とかく手間のかかることです。
教育が大事、と誰もが言うけれど、教えている側も、教わっている側も、双方が心から教育が大事である、と思うようになれば、大半の問題は解決するようにすら思います。
そのように教える側も教わる側も双方が感じることのできる場は、現場にしかありません。
授業評価アンケートをやろうが、その結果に対する改善案を大学に提出しようが、何をしたっていいのですが、現場が大事です。
第5回目が終わった土木史の講義は、変わらず300名程度が受講しています。この人数で最後まで行くものと思います。
レポートには、自分がいかに無知であるか毎回痛感させられる、正しい情報を得るということがいかに難しいことであり大事なことであるか強く認識している、結局世の中が正しい方向に行くためにも教育が極めて重要である、などの学生の意見が多いです。
教育は極めて重要です。私自身は教える側と教わる側の間の信頼関係を大切にします。教わる側は盲目的に信じなさい、という意味では決してありません。教わる側は、ぜひ教師を乗り越えて行っていただきたい。そのためにも、信頼関係が大事です。
土木史の講義には非常に多くの工夫を凝らしてはいますが、一言でいうならば、「誠実に学生に接する」ということに尽きます。300枚のレポートを毎週見ることは相当な負担ではありますが、必要だからこの方法を選択しているのであり、結局は私も多くを学ぶことになっているし、学生たちとのわずかなりとも双方向のコミュニケーションにもなっています。そして、誠実に接していることが、学生たちにも通じるのです。
このような講義を行うことは大変に手間がかかります。でも、場として整備しているので、やらざるを得ません。そして、手間がかかるのですが、場ができれば、その場で多くの精神が育っていったり、私自身もその場から数えきれないことを学び、種まきもさせてもらっています。
実践するための場を創ること、これに尽きるのであろう、と思います。
学部3年生の少人数ゼミナールも始まっており、昨日の1限、第2回目が終わりました。私の少人数ゼミのタイトルは「人間学とリーダーシップについて考える」です。
2名の3年生と、研究室に所属しているM1とB4の二人も参加してくれ、計5名でゼミを行っています。
「7つの習慣」が課題図書で、これを読んでいることを共通の土壌にして、様々なことを議論し始めています。
この極めて難しい現代社会において、自らを適切に導いてくれる人なり、何かが無いと、あっという間に自分を見失ってしまう可能性もあります。
私自身がどのように人格を築いてきたか、様々なコツも含めて、彼らの参考になるように話もしています。
彼らに自分自身のことを話す内容を考えている間に、私は半ば必然的に、今の状態に導かれてきたように感じました。また、今後もどこかへと偶然も伴いながら、しかし結局は必然的に導かれていくのだろうと思っています。
現場とこれだけ密着して研究をするようになっているのも、JR東日本での修行時代に感じたこと、学んだこと、考えたことが必ず根底にあります。私が本心から望んでいるので、日々の無数の選択の結果、それなりに時間はかかるものの、自然にその方向にすべてが進んできたのだと思います。
また、一昨日の11日(水)は第一回の土木史サロンに出席しました。土木史の講義をしているからもちろん土木史には多大な興味、情熱を持っていますが、大変に勉強になる会合でした。実は、このサロンの案内をいただく経緯には、山口県のひび割れ抑制システム、学校での防災教育、藤井聡先生との出会い、等々、いろいろなものが重なって、新たなご縁が重なって、ご案内をいただきました。ご案内をいただいたのは、土木の絵本や映画等の作成にも携わっておられる、土木史研究の第一人者の一人である緒方英樹さんです。すでにいろいろと教えていただける関係になっており、私の土木史に対する興味、情熱はますます大きくなっていくものと思います。
現在の日本における土木史研究の大家でおられる高橋裕先生のお話には、必ず廣井勇先生とそのお弟子さんたちの話が出てきます。世界に誇るべき日本の傑出したエンジニア、です。何せ、廣井勇先生の札幌農学校時代の同級生は、内村鑑三であり、新渡戸稲造、です。
実は私は廣井勇先生の弟子筋の末端にいます。廣井勇先生、吉田徳次郎先生、國分正胤先生、岡村甫先生、と連なります。だから、土木史サロンの内容にも心から共鳴するし、 これら大先生の教えに恥じないよう、襟を正して生きていこうという原動力にもなります。このようなことも、少人数ゼミの学生には話しています。
私が土木史を講義で教えるようになったことも必然であろうと思います。
導かれているような感覚は、一つの安心感でもあり、そのおかげで全力で頑張ろうと思う気持ちの源泉にもなっているように感じています。
我が家で飼っていたハムスターが亡くなりました。
長女の塾通いが3月に始まり、様々なストレスも溜まることへの対策の一つとして、奥さんと長女がよく話し合って、ハムスターを飼い始めました。「そら」という名前でした。
長女は勉強もしっかり頑張り、ハムスターのお世話もしっかりする、という約束で飼い始め、次女も加わって、本当によくかわいがっていました。
長女の夏休みの自由研究は、ハムスターについてでした。現在、家の廊下に、この自由研究のスケッチブックとお花が飾ってあります。
今朝、この自由研究のスケッチブックを見て、特に、「そらちゃんへ」という作文を見て、涙がこぼれそうになりました。学校の担任の先生も、「そらちゃんへの気持ちがよく伝わってきました。これからもかわいがってあげてください。」というコメントを書かれていました。
一昨日、そらが亡くなったことを知り、長女も次女も奥さんも皆、号泣していました。
悲しい出来事でしたが、小さな命と真正面から向き合い、長女も次女も多くのことを学んだのではないかと思います。
一つ一つ、小さなことを大事に思えるか、真剣に向き合うか、が我々皆に、問われているように思います。
パスタをゆでるときの塩かげんをしっかりする、しわの無いようにアイロンをしっかりかける、そんな些細なことが大事だ、と村上春樹は言います。邪悪なものにこの世が壊されてしまうのに抵抗するために大事なこと、です。
明日の350の中間ワークショップがまさに全国各地から来られる方々のために有意義な会合になるよう、全力で切り盛りする。
12月には16-17日に三陸・南三陸、9日は福島で、復興道路関係の業務が入りました。自分にできることを全力でやる。12月には、鞆の浦の鞆中学校での国語の授業にも参画します。西湘高校SSHでの特別講義もあります。すべて、できうるベストを尽くす。
11月は東北の現場への出張が入らないかもしれませんが、私が初めて主査を務める論文博士の審査も段取りが進んでいます。私にとってもとても大切な仕事です。
講義も相当な数になっていますが、すべてに100%の力を注ぐことは残念ながらできないのですが、限られた時間の中で優先順位を付けながら、学生たちとの対話を重ねていきます。土木史の講義の受講生たちも受講できるよう、私がこれまで拝聴した講演の中で最も感銘を受けた、深松組の深松 努さんの特別講演を2月2日(火)の13時から、横浜国大で開催する段取りも進めています。
一つ一つの仕事に可能な限り心を込めて、まっとうな誠実な議論がなされるよう、ベストを尽くすしかありません。当たり前のことが当たり前のようになされる世の中でありますように。今朝もしっかり体操しました。
コンクリート構造物の品質確保小委員会(350委員会)の中間ワークショップを開催します。11/7(土)で、場所は土木学会の講堂です。
当日のプログラムは、こちらです。
大変、盛りだくさんの内容であり、非常に実践的な内容が多いので、ぜひご参集いただければと思います。
参加費無料ですが、会場が溢れかえっても大変ですので、参加ご希望の方は、事前に細田(concrete@ynu.ac.jp)までご一報いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。