細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

指導

2023-04-22 10:14:21 | 教育のこと

今週もいろいろと学ばせていただきました。

21日の金曜日の夕方が、ある投稿論文の締切日でした。私が連名で投稿する論文が2編。1つは、3月から準備が進められ、3月末の段階で8割くらいは仕上がっていたので、4月に就職した筆頭著者の元学生のH君は最後の仕上げをして投稿へ、という状況でした。

もう1つは、論文の執筆が4月に入ってから、という状況で、これまた4月に就職した筆頭著者の元学生のM君の担当でしたが、苦労するだろうなとは事前に思っていました。そして、案の定、仕上がり不十分な状態で締切りの週に入りました。状況を私の目で見て、そのままのやり取りを続けても締切りまでに仕上がるのは不可能、と判断して、オンラインでのミーティングを持つように指導しました。

指導した内容はまっとうなものであるし、M君と私の関係も、近い皆さんは想像付くと思いますので、ここで公開します。結論としては、締切りに間に合い、無事に投稿でき、私の指導の内容もM君はしっかりと受け止めたようです。

私が間に合わない、このままでは不可能、と判断した理由はいくつかあります。
・M君のワードのスキルが低く、投稿論文執筆のためのキャパシティーが足りない。
・論文のテンプレートをダウンロードできるので、それに上書きしていけばそんな変な体裁にならないはずなのに、ダウンロードもせず、自分で勝手に作っている。(そんな原稿を添削している暇はない。指摘しても、修正に反映も適切にされないので)
・私がワードの添削機能で添削したことが、次の稿に適切に反映されない。要は、「雑」ということ。(教員が添削意欲を失う)
・図表の作り方も不適切。見栄えもよくない。

結局、4/18(火)の夜の段階で、論文執筆は私が引き取り、テンプレートをダウンロードして、私が仕上げることになりました。図表も不適切なものは私が修正。考察、まとめ等も結局、私が執筆。

今回の件は、M君を非難したいわけではありません。それは十分に彼にも伝わっています。

元々、査読論文に投稿する、というチャレンジをしているから遭遇している困難であり、投稿しないで社会人になる学生など無数にいます。

スキル不足は自分で改善してもらうしかない。性格が雑な点については、改善はできます。また、テンプレートを活用する、など方法を知らないのであれば、それは学べば進歩します。

細かい指導は省きますが、田坂広志さんから私が学んだ「人格を自分の中に育てる」という考え方も伝えました。自分の中に一つの人格があるのではない。いろんな人格がいてよいし、それぞれの人格を育てることが、才能の開発、ということである、と。雑であると、良い仕事はできない場合が多い。であれば、しっかりした仕事をする、という人格を育てる。

4/18(火)の夜に、今後のアクションのために、私が指示したことを、ミーティングの最後に復唱させましたが、案の定、4つのうち2つしか言えない。メモを取っていたようではありますが、結局、きちんと把握できていない。雑、そのもの。これもしっかり指摘しました。

この後、ご本人が伸びるかどうかは、自分次第。

結果的に、この3月に修士を修了した私の指導学生3名は、皆、査読論文に投稿して修了していきました。これはとても良かったと思います。

後輩たちもこういうチャレンジに続いてもらえるとよいと思います。

そして、M君が在学中に一緒に研究に取り組んでいたウズベキスタンからの留学生のS君が、4/20-21に糸魚川のDENKAの工場で、彼の修士研究の本命の実験の供試体の作製をしました。私もフルに立ち会いましたが、これがまたいろいろと学ぶ貴重な機会になりました。この件は、次のエッセーにて。

私も教員として、いろいろと学ばせていただいております。ありがたい仕事です。

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後日談。。。

何と、早めに準備を開始して、原稿も早めに仕上がっていたはずのH君が、投稿の締め切り日をきちんと確認していなかったのか、詳細は知りませんが、締め切りまでに投稿できなかった、と痛恨の後悔とともにメールで連絡してきました。。。

私も開いた口がふさがりませんでしたが、別の論文集への投稿を薦め、本人もそうすることに決意し、早速準備を始めました。まあ、H君もしっかりけじめをつけないと、生涯気持ち悪いでしょうからね。別の論文集でしっかりと採択され、掲載されることですっきりすると思います。

まあ、教員という仕事は、若い方々と多くの時間をともにしますので、いろんな経験をさせていただける、ありがたい仕事です。。。


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