細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

日本人はどこへ

2014-08-27 15:39:42 | 勉強のこと

仏滞在中の大型出張としては最後の出張になりそうです。トルコへ4泊の出張です。パリのシャルル・ド・ゴール空港へは何度来たか分かりませんが、パリからトルコへの出張になります。やはり、日本からの出張に比べるとはるかに気楽です。片道3時間ちょっと。時差も1時間です。

9月には、まだ調整中ですが、ロンドンへの日帰り出張と、フランス国内の2泊の出張が予定されていますが、これで出張は終わりです。家族ともしばらく離れるので、家庭を大事にしつつ、最後の勉強と、論文・原稿執筆、講義の準備に9月を当てたいと思います。

仏滞在中にはいろいろと、自分の勉強したいことを勉強してきました。自分がこれからどういう人間を目指そうとしているのか、勉強した内容を見れば明らかです。やはり、コンクリートについての勉強の割合はそれほど多くありませんでした。コンクリートに関する研究はたくさんやりましたが。

最後の1ヶ月を迎えるに当たり、自分の読みたい本は、やはり日本に関するものが多くなってきています。

福沢諭吉の「文明論之概略」、宮本常一の「忘れられた日本人」などを今回の出張に携帯していますし、今読んでいる真っ最中は、藤井聡先生の「政の哲学」です。大変に面白く、実践的に自らの活動にも役立ちそうです。

私はやはり哲学に興味があり、文明とは何なのか、今後どうあるべきなのか、について多大な興味があり、我が国家がどのように進むべきかについてなるべく確かな羅針盤を求めているように思います。

昨日は、仏滞在中にとても仲良くなったIFSTTARの研究者のNicholasと昼食を楽しく食べました。彼も、ヨーロッパで今後相当に活躍しそうな研究者なので、今後、交流を続けようと話し合っています。彼とも、フランスの現在の状況、今後への展望などを話しましたが、あまり明るい将来をイメージできていないようです。日本が襟を正して、日本らしく世界に貢献できるよう、まずは日本のことをきちんとしないといけませんね。

9月には、研究所の研究者も含め、いろいろな人とコミュニケーションをする機会がありそうです。とても楽しみです。

私は、一歩一歩しか進めない人間である、とよく分かりました。多くの方々と運命的な出会いをさせていただく幸運に恵まれているので、展開が激しいようにも一見見えますが、でも冷静に振り返ると、一歩一歩、牛歩のようにしか歩んでいません。それが私自身も持ち味であると思っています。

さあ、トルコでも、藤野陽三先生、春日昭夫さんら、超一級の方々ともたっぷりコミュニケーションできますし、日ごろからの同志たちとの議論もするでしょうし、新たな出会いも多くありそうです。

今回は、コンクリート標準示方書の施工編もリュックサックに入れてきましたので、私としては、気持ちは日本復帰以後の臨戦態勢になりつつあります。

先週のギリシャに引き続き、今回のトルコも初体験となりますが、ローマ人の物語の13巻、コンスタンティヌス大帝が遷都したイスタンブールでも、いろいろと感じてまいります。 


凡夫

2014-08-26 19:16:19 | 人生論

11ヶ月近くになろうとしている仏滞在の期間中に(日本にいる時間も多かったけど)、もちろんいろいろなことを学びましたが、その最たるものは、当たり前のことですが、自分は凡夫である、ということです。

自分一人で何かができるわけでは決してなく、あくまで人々の中にいて初めて役に立てるのであり、そもそも生きることもできるのであり、生き甲斐を持つことも可能になることを、心の底から感じることができたように思います。

日本にいるときには、あまりの忙しさに辟易するときもありましたが、仕事をできることの幸せは、やはりこの1年を経験することでより深く理解できるのではないかと思っています。

凡夫である、ということは、努力すべきことが無数にある、ということです。一歩一歩進んでいくしかないと思いますが、一度しかない人生を、悔いの無いように精一杯生きたいと思います。

最終月の9月には、日本から3件の来客がありますので、精一杯おもてなししようと思います。


真にフィットするもの

2014-08-26 00:25:44 | 人生論

より良い生き方は、真剣に生きていく過程で、模索しながらも、徐々に身に付いてくるもの、と現時点では思っています。

「もの」は、生きる上で主役では決してありませんが、現代社会で生きていく上で、自分と相性のいいもの、自分にフィットするもの、は人生を彩る友人でもあります。

私は万事において、あまりこだわりのあるタイプではないので、ものについてもこだわりは強い方ではないと思っています。が、試行錯誤や多くの失敗を重ねて、結果的に長く付き合うことになる相棒がいくつも増えてきています。

22歳のときの卒業旅行(アメリカ、約三週間、人生で二回目の海外旅行。一回目は7歳のときの家族で単身赴任の父親を訪問したカナダ。)で、確か東急ハンズだったように思いますが、首からぶら下げるパスポートなどの貴重品入れを購入しました。いろいろと入れることができて、コンパクトで首にぶら下げることができるので、危険な地域?に行くことも多い私にはとても重宝しました。幸いに耐久性にも優れており、実は今でも使っています。海外に行くときはほぼ必ず持っていくでしょうか。20年近く使っていますが、あまり汚れも目立ちません。いつまで使い続けるのか知りませんが、たまたま出会った大事な友人、でしょうか。

書き出すと切りがないので、本命のものに移りますが、サングラスです。

もともと、あまりサングラスが似合う顔ではなかったのですが、上記の22歳の中高の同級生とのアメリカ旅行の途中で、OAKLEYというブランドのそれほど高くないサングラスを、友人の真似をして購入し(こだわりの無さがここにも露呈)、しばらく気に入ってかけていました。その後、「大人」になり、サングラスを新調しましたが、OAKLEYのスポーティーなタイプのブラウン色のサングラスを購入し、30代の前半はそのモデルを使い続けました。途中で紛失し、30代半ばに2代目のブラウンOAKLEYサングラスを購入しましたが、微妙に顔にフィットせず、違和感をずっと感じながらかけ続けていました。

仏滞在中の春の日本出張時に、バタバタと激しい出張が続いたときに、OAKLEYのサングラスを紛失しました。昔から貴重品を紛失する癖があり、最近は失敗を重ねて多少は改善されてきましたが、今でも、マフラー、手袋等は紛失することが結構あります。

サングラスはヨーロッパでは必須アイテムなので、 4月8日に成田空港を出発するときに免税店でサングラスを新調しました。サングラスの選択肢が非常に少なかったのですが、その中ではとてもフィットしたブルガリのものを選びました。結構、値が張りましたが、それなりに気に入ってフランスで使っていました。

ところが、このサングラスは、ポケット等に入れていると、すぐにレンズが外れます。あまりにも頻繁に外れたのですが、比較的簡単にはめ直せるので、こだわりの無い私らしく、使い続けていました。

先日、最終の日本出張の初日、品川で、異業種のすごい方々とあまりに熱く飲みながら語り合った帰りに、いつものごとく上着のポケットの中でサングラスのレンズが両方とも外れていたのですが、何と、片方のレンズが無くなっていました。唖然としましたが、どうしようもありません。

最終日本出張中は、買い物する時間もあったので、最終日に実家に近い大宮でいろいろと買い物をしました。フランスではほとんど衣服を買っていません。なるべくであれば消費は日本でしたい、という気持ちもありました。

初めてですが、メガネ屋できちんと調整もしてもらい、GUCCIのサングラスを購入しました。店員にもいろいろとアドバイスをもらいながら購入しました。結果、当然ですが、形も非常にフィットし、レンズが外れることもなく、収納ケースと合わせてきちんと使っています。

たかがサングラスですが、非常に高い勉強料を支払ってきたことになります。ですが、今回のサングラスは、これまでの中では最も自分にフィットするものであり、今後も大切に使い続けようと思っています。

こだわりの無い私ではありますが、一旦出会った大切な友人とは長く付き合い続けるしつこさは持ち合わせているようでして、大事な友人(もの)を一人でも増やしていけると幸せだな、と思っています。


灼熱のギリシャと肌寒いパリ

2014-08-25 19:45:37 | フランスのこと

ブログの更新がすっかり滞っていました。

8月上旬に、最後の、5回目の日本出張を終えました。5回それぞれ、私にとってはとても大切な、思い出に残る出張となりましたが、今回も無事に終わりました。

日本出張中の最重要業務であった、指導学生の博士論文の最終審査も無事に終了し、私もホッとしました。博士論文はいつも死闘の様相を呈しますが、今回もまさに死闘であったと思います。4月上旬の予備審査の前からはタフな議論を重ね、Namさんもベストを尽くしたと思います。7月ごろからも何度もSkypeでのミーティングを重ね、最終審査では非常に良いプレゼンテーションであったと思います。私の指導が厳しい時もあったかと思いますが、お互いに心は通じ合っていたと思います。最後、8/9(土)の午後、彼の最終審査終了のお祝いを二人で、うなぎを食べて行った後、横浜駅で別れるときに抱き合いましたが、私は涙がこぼれました。

また、出張中に土木学会のコンクリート構造物の品質確保委員会(350委員会)の準備会を開催し、その準備会の直前には、田村先生、岩城先生とともに、小澤一雅先生にアドバイスをいただきに参りましたが、すべて含めて有意義な議論ができたと思います。頭の中ではそれなりに本質が整理されたつもりですが、少しずつ吐き出し、形にしていきたいと思います。かなりミッションの大きな研究委員会になりますが、これまで着実に進めてきた取組みを体系的に強力に前進させる大きなチャンスであると思います。

日本出張を終えてパリに戻り、数時間の差で入れ替わりでロンドンに出張した奥さんの不在の間、子どもたちのお世話をしました。特に長女は研究所で長時間一緒に過ごしたりもしましたが、家族で支え合いながらの生活です。

8/14(木)に鞆中学校の毛利先生ご夫妻が我が家に遊びに来てくれました。ハネムーンの最終盤でしたが、私と子供たち二人でおもてなしをし、濃厚な楽しい時間を過ごした後、最後に少しだけロンドン出張から帰ってきた奥さんとも面会でき、良かったです。毛利先生とは我が国家の教育について、秀逸なワインを飲みながら語り合いました。今後も、海野先生とともに、仲良くしていただければと思います。

その後、家族でギリシャにバカンスに出かけました。肌寒いパリとは異なり、まさに灼熱でしたが、アテネ、村上春樹が住んでいたスペッツェス島、サントリーニ島での家族でのバカンスは楽しい時間でした。私の仏滞在は最終盤に入っていますが、日本での生活にけじめを付けて家族でフランスに移住することも大変な出来事でした。まだ様々なことが現在進行形で、今後も家族にはいろいろな環境の変化が待ち受けていますが、気が付けば家族四人水入らずでの旅行は約1年半ぶりでした。夫婦間でいろいろと意思疎通がうまく行かないこともありましたが、今回のバカンスでは家族みなでとても良いコミュニケーションができました。その意味でも非常に楽しい時間でした。

バカンス中も、もちろん仕事はそれなりにしておりましたが、本格的には今日から仕事も開始です。パリは肌寒く、日本人からするといわゆる夏の時期はほとんど無かった印象です。今日も、終日次女のお世話をしながらではありますが、次女も行儀よく一人で遊んでおり、家事、育児、仕事は並行です。


最終日本出張へ

2014-08-03 16:27:22 | フランスのこと

朝からシャルル・ド・ゴール空港にいます。いつも、日本に出発するのは夜が多いのですが、今回は7時半前には空港に到着しました。羽田空港に朝の6時に到着する便を利用するためです。

いよいよ最終の日本出張となりました。合計で5回目になりますが、少し感慨深いものがあります。

毎回、季節も違うし、出張の内容も違うし、出張に出かけるときの気分は異なりますが、今回もこれまでにない気分です。

まず、今回はとんでもなく荷物が多い。私自身の荷物は少ないのですが、SWAT(表面吸水試験)関連のグッズすべてを持ち帰るとしたら今回だと思い、実行しました。4つの荷物を預けたので、相当な追加料金も取られましたが仕方ありません。自宅からパリの空港と、羽田空港からホテルまでの搬送、空港で無事に預けられるかなど種々の不安がありましたが、今のところ無事に進んでいます。

朝、6時半に自宅の前にタクシーをインターネットで手配していたのですが、来ませんでした。どうやら私のミスで、携帯電話に届いた4桁の確認コードで、予約を確定すべきだったようですが、それをしていませんでした。10分ちょっと過ぎても来ないので、私のミスに気付き、とんでも無い量の荷物をガラガラと運搬して、道路でタクシーを拾いました。非常に快活な運転手さんで、日本のことが大好きなようで、いろいろとおしゃべりしながら空港に到着。英語とフランス語が混じった会話でしたが、楽しい時間でした。

さて、今回は一週間弱と、これまでで最も短い出張ですが、これまでで初めての、首都圏から出ない出張です。最大の用務は、博士論文の最終審査ですが、その他にも今後につながる大事な仕事がたくさんスケジュールされています。やはり何と言ってもホームグラウンドですから、日本への出張はいつも楽しみです。

何事にも終わりはありますが、私の仏滞在も終わりが近づいています。現在の気分としては、すでに最終盤に差し掛かった気分で、むしろ気持ちは日本での生活に向かっています。日本出張に出発する直前だから、かもしれませんが。

酷暑の日本、ということもあり、出張期間はあっという間に終わってしまうと思いますが、パリに戻った後の最後の1ヶ月半をどのように過ごすか、帰りの飛行機でじっくり考えたいと思います。

改めて、1年間という貴重な機会を与えられて、本当に良かったと現時点では思っています。総括は別の機会に取っておくとしまして、日本の現場にどっぷり浸かっている当事者にしか分からないことももちろんありますが、離れてみないと見えないことはたくさんあったように思います。また、結局振り返ればこれが一番かなと思いますが、精神的なオーバーホールを十分に行うことができたように思います。それなりに視野を広く生きてきたつもりではありますが、世の中は広い、ですね。

体験したことのない、酷暑の時期の早朝到着+そのまま業務(ホテルで一息付きますが)、なので、ワクワク感は強いですが、無理しないようにゆったり行きます。


清々しさ

2014-08-01 20:45:56 | 研究のこと

私なりの発破をかけておりますので、研究室の学生たちが発奮してくれている状況も報告しておかないと、フェアでありませんね。

基本的には、清々しく(すがすがしく)やりたいわけです。 

自分たちの能力次第ではあるけれど、出来得るベストを尽くして、悔いの無いように頑張る。チャンスは一度ではありません。失敗することも度々あるでしょう。失敗すれば、その状況を受けてまたベストを尽くせばよい。とにかく自分たちに出来得るベストを尽くせば、それなりの道は拓けるし、拓けなかったとしても真の意味で諦めることができるので、清々しくなります。そうありたい。

もっともっとできることがあるのにチャレンジせずに、後悔ばかりする、愚痴ばかり言い合う、というのが最も私の嫌うところです。日本全体がそのような状況にあると言っても過言ではない。

私からの発破の影響も多少はあるのかもしれませんが、学生たちも頑張り始めています。その程度には差があって当然ですが、何のために大学院で研究・勉強をしているのかを再度自問して、ベストを尽くしてもらえればと思います。

今日も複数の研究ミーティングを行いましたが、少しずつ前進しており、よかったです。来週、私の最終一時帰国の機会も最大限に活用してもらえればと思います。

研究とは、研究テーマの設定の仕方がほぼ全てだと思います。テーマの設定がいいかげんなのに、良い研究成果が出ることはありえないと思います。

5年、10年前に比べれば、私たちの設定している研究テーマも、 社会的な重要度が増してきているように思います(もちろん、もっとレベルアップすることはいくらでもできますが)ので、主担当の最前線の学生も、もちろん指導する我々も、高いモチベーションをもって日々の研究活動に、清々しく邁進したいものです。