細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

土木史、活物同期

2017-11-29 12:42:38 | 教育のこと

昨日の第8回の土木史の講義では、明治の近代化を推進した技術者たち、が題材でした。

この講義では、講義全体を貫く重要なキーワードを毎回一つか複数提示して、学生たちが深く考えるきっかけや、私との対話のツールに使います。

今回のキーワードの一つは、「大衆社会の処方箋」であり、その中身は、「活物同期」でした。処方箋の他の二つは「運命焦点化」「独立確保」ですが、これらについては今後に説明します。

(昨年の同時期にも、同じ「活物同期」のタイトルで、おんなじようなブログを書いていました。。。成長してませんね。)


もう一つ、「プラグマティスト」もキーワードとして今回提示しました。

近代社会に生まれた砂粒のような個人。その個人に宿る精神性が「大衆性」です。その特徴は、自己閉塞性と、どうしようもない傲慢性、です。完全に大衆化すると、人間としての精神が死ぬ、ということです。

非大衆化するための活物同期ですが、いくつも方法があります。その一つは、偉大な先人の生き様に触れ、共鳴し、感動し、自分の生き方を修正することです。

今回、深く勉強したのは、琵琶湖疎水で有名な田辺朔郎と、烏山頭ダムで有名な八田與一でした。

動画も使い、私の補足説明もしましたが、学生も活物同期してくれたかと思いますが、私もしっかりと同期させていただきました。

私も元気になったのか、いつもよりもさらにパワフルに講義したつもりですが、講義後に教務委員の会議があり、それが終わった16:30ごろにパタッとエネルギーが切れてしまい、思考停止に陥りました。

どんな仕事に着手しても手が動かない。思考も働かない。メールの返信も打てない。

その後、6限に、少人数ゼミ「人間学とリーダーシップについて考える」の最終回でしたが、ほとんど頭が働かず、学生たちの議論にも満足に参加できず。

もともと懇親会をする予定だったので、18:30にゼミを切り上げて、学内で懇親会を開始。20時前に横浜駅周辺に移動して、餃子や中華料理を食べながら二次会。エネルギーが補充されてようやく頭も働くようになり、それなりに盛り上がって解散しました。

今朝、体重が63.5kgと今期最軽量になっていたので、昨日はやはり相当なエネルギーを消費したのだろうと思います。

もうすぐ師走。さらに仕事の負荷がかかりそうですが、エネルギー補給もしっかりして乗り切ります。


生産性向上

2017-11-25 08:40:17 | 研究のこと

総人口の減少は軽微で、生産年齢人口が急減し始めてた、というのが正しい現状認識かと思います。

総人口はすなわち需要に相当する、とも解釈でき、生産年齢人口は供給の中核に相当する、と解釈できます。

需要を満たす供給力が相対的に減少する度合いが大きくなっていくので、生産性向上は国家としての大きな課題です。同時に、自然と給料も大幅に上がっていくべきですが、その真逆の方向に向かっている業種もあります。不適切な政策のせいです。

建設(土木)の分野でも生産性向上が大きなテーマとなり、国交省の主導で実践も始まっています。

コンクリートの分野でも、最先端の技術と社会で実装されているシステムに乖離があるものも少なくありませんでしたが、少しずつ、確実に社会実装が進んでいく雰囲気を感じています。システムの革新を唱えるかたもおられますが、私は先人への敬意も大切に、システムの改善の方を好みます。

まだ時間はかかるかもしれませんが、現場の生産性向上のために高流動コンクリート(願わくば、人が手をかけないことでこそ最大のパフォーマンスが発揮される、自己充填コンクリート)が普通に用いられ、しかもひび割れ等につながる発熱や収縮を低減するためにフライアッシュや砕石粉等のいわゆる廃棄物が有効に活用され、施工に起因する初期欠陥もなく、社会を支えるインフラが建設されていく。生産性向上、高品質、環境負荷低減、国土強靭化、経済発展、等がコンクリートを通して実現されていく。

これはワクワクする状況です。

上記のような観点を、現在行っている私の研究プロジェクトにおいても盛り込んでいくことにしました。研究の方向性を大きく変える必要はなく、そういう観点を付加していくだけでよいと思っています。

11月22日に香川の高松で行われた品質・耐久性確保の講習会・シンポジウムにおいても、上記の観点で講演をしました。

約1ヵ月後が締切りの研究予算申請においても、上記の観点で申請書を作成します。まだ完全にクリアではありませんが、少し新たな視野が開けたような感覚を持っています。


ストレス

2017-11-15 09:24:05 | 人生論

昨日、火曜日の夜、様々な理由でそれなりのストレスが溜まり、21時半ごろに帰宅しました。お酒を飲まない日と決めていたので、帰宅後は少し家族と団らんしてから寝ました。9月17日以降の休肝日率は43%程度で、7日のうち3日、というペースを何とかキープしています(目標はあくまで50%ですが)。

今朝の起床後、ストレスは軽減していました。ストレスの原因はいろいろ思い当たるところはありますが、寝て起きてさわやかな朝を迎えたことを、一度死んで生き返ったつもりで捉え、ポジティブに行くように微修正しました。

朝食時に、手伝いに来ている母も含め、家族団らん。大事な時間です。母の作ってくれたサンドイッチを、今日の昼食に持参です。

先週から、次女のリクエストをきっかけに、私も万歩計を付けるようになりました。約10年ぶりです。10年ちょっと前に、健康面で相当なテコ入れをしたときにも万歩計を使っていましたが、一日平均で12000歩は歩いていました。先週から計測を開始したのですが、ごく普通に働く日で10000歩は若干上回りますが、11000歩には届きません。

今朝は天気もよく、次女と一緒に家を出て百人一首を一つ暗唱した後、東海道線では英語教科書の読み込み。横浜駅から乗るバスを換えて、岡沢町から徒歩で行くことにしました。横浜国大の正門から入って歩いていくルートになりますが、改めて良いキャンパスだな、と思いました。こんな素敵な大学が苦境に陥ること自体、日本の政策が異常なのだと改めて思います。私は現場で闘うしかありません。

通勤ルートを少し変更したことで、オフィスに着いたときに5000歩でした。

体重、万歩計という簡単な定量的データで、自分の健康のコントロールが楽しくなり、工夫も引き出されます。

昨夜のストレスの一因にもなったJCIの研究委員会(私は幹事長)についても、今朝はポジティブにいろいろなアイディアが出始めたので、早速実践、です。

11月下旬に入ります。今日から手袋も着用しました。年末年始の小ブレイクまであと1ヵ月半、今年はまだトップギアに入った感覚がありませんが、徐々にギアは上がってきていると感じます。


フライ

2017-11-13 05:48:58 | 家族のこと

最近、フライを作るようになりました。

アジフライや、イワシフライはとてもおいしいですし、お弁当の材料のバラエティも拡がり助かっています。

揚げたてのフライに、ウスターソースやマヨネーズを付けて食べるとすごく美味です。

次女が転校して給食になったため、お弁当を日々作る必要がなくなりました。

逆に中学生となった長女のお弁当を作るようになりました。長女のお弁当に合わせて、自分のお弁当も作ってます。

今朝も、タラのフライの入ったお弁当を作ってます。私はJABEEの中間審査のため、今日は教員全員と審査員とで生協のお弁当で昼食会。。。

引き続き、娘よ、しっかり食べて、しっかり育て!


学生のレポート 「細田先生の授業のおもしろさの秘訣とは何か」

2017-11-12 14:41:04 | 教育のこと

JABEE(日本技術者教育認定機構)の中間審査のため、日曜出勤しております。。。

土木史のレポートに、表題のようなものがありました。レポートの一部を抜粋します。

「・・・・・・

だから、最近は何か面白いと感じた物事には、「なぜ楽しいのか?」という質問を自分の頭の中で繰り返し、考えている。細田先生の授業もその一つだ。「材料と複合」を受け始めたとき以来、ずっとそのことを考えてきた。今回は、頭の中でその答えがまとまってきたので、それを言葉で表現しようと思う。

細田先生の授業のおもしろさの秘訣は3つあると考える。

1つは、授業を受ける側に当事者意識をもたせること。

2つ目は、授業で教える内容から、その分野以外に発展させられるような情報を提示すること。

3つ目は、授業の情報と現実に起こっていることを結びつけることだ。

今回の授業で具体例を示そうと考えていたが、自分の言語化能力が拙いのでできそうにない。それというのも、この3つの秘訣どれもが、断続的に大きく訪れるのではなく、授業中頻繁に、というか常に小さく発動しているものだからである。

とにかく、自分をただの傍観者でいられなくさせることが、細田先生の授業の楽しさの秘密なのである。」

とのことです。

改めて都市基盤の学生に分析してもらえると、私自身が無意識的にも工夫していることをきちんと受け止めてくれている学生がいることを知り、とてもうれしく思います。

JABEEの中間審査に合格するよう、個人面談等では全力で我々の教育プログラムのことをアピールしようと思います。。。


当事者意識

2017-11-08 10:44:10 | 教育のこと

昨日は、「土木史と技術者倫理」の5回目でした。あっという間に5回目まで来た、という感覚です。教えている側も楽しいからでしょうか。

崩壊していく、大学での教養教育において、この科目は私たちの学科から提供される数少ない全学教養科目の一つです。もう7年目ですが、今となっては私にとって、大学という学問・良識の場を守るための闘いの場とも言える大事な場になっています。

今回のテーマは、「都市の巨大化と環境問題」。毎年、30分程度で、日本の歴史で史上最悪とも言われる産業廃棄物の不法投棄事件の話を折り込みます。例年は、この回辺りから、学生たちの当事者意識が強くなり始め、当初はうさんくさいと感じていた講義、講師への信頼感も醸成され始め、毎回の学生のレポートと私との対話も深くなり始めます。

今年は、第二回に高崎哲郎先生を講師にお招きしたこともあり、このテーマを待たずに学生たちの意識は高まっていたので、より一層、今回のテーマは学生たちにも重く響いたようです。

毎回、講義を始める前に、重要なキーワードを提示します。この講義の全体を通してのキーワードになるものも少なくないので、学生たちの中には、徐々に多くの視点を獲得しながら、本質的な問題を多角的に、多層的に見ることができるようになる人も出てきます。

今回のキーワードは、「当事者意識」と「大衆性」でした。

「大衆性」については、哲学者のオルテガの話もし、誰にでも宿る精神性であり、二つの分かりやすい言葉で特徴を説明すると、「傲慢さ」と「自己閉塞性」であることを説明します。大衆的な人は、ハイデガーのいう「非本来的な人間」であり、非大衆的であろうとすることは、本来的な人間であることも冒頭に説明します。

豊島(てしま)の事件を通して、学生たちも私も、世界最大の巨大都市に住んでおり、生きているだけで環境破壊という罪を背負っているまさに当事者であることを深く自覚するようになるようです。この事件が解決に向かっているポイントも、豊島の住民で香川県議会議員も務めた石井さんに私が教わったのは、住民の当事者意識が高まること、でした。住民が自分の言葉でこの問題を語れるようになることが、結局は解決に向かっていく最重要のポイントであった、と石井さんは教えてくれました。

また、物事すべてに、良い点、悪い点、表・裏があることもこの講義辺りから明確に、具体的に伝え始めます。

私たちが築くべき、「豊かな社会」とは何なのか。答えは一つではないのかもしれませんが、それなりに社会的な合意を取りながら私たちは前進していく必要があると思います。この講義では、学生たちそれぞれが、この問いに対して真剣に、深く考えてもらうための題材を、土木、文明の歴史を通じて提供していくことになります。


習慣

2017-11-01 20:46:18 | 人生論

44歳もの、いいおっさんになっても、多少精神面での調子を崩したり、持ち直したり、生きることは常に容易ではありません。

今日は良い気分で一日を過ごした日でした。微妙なバランスでいろいろと感じた日でもあったので記しておきます。

私自身の場合、目指す「原則」はそれなりに確立されており、その原則なるものに沿わない、すなわち、本来の「習慣」と離れた生活をすると、フラストレーションが溜まります。すなわち、自堕落な生活に陥ると、フラストレーションが溜まります。

本来の習慣に沿った生活を常に続けることも、本来が自堕落な人間の性のために容易ではなく、その中間を行ったり来たり、というのが現実です。

今朝は、当初の予定からは少し遅れましたが5時半ごろ起床し、朝のルーティン(コーヒーの準備、仕事、排泄、体操、柔軟体操、入浴、そして朝食)をこなし、手伝いに来ている母親とのコミュニケーションも行い、次女と一緒に出発しました。次女との短い朝の通学時間に、百人一首の暗唱を行いました。

次女と別れてからは、英語のSpeed Learningの視聴を歩きながら。電車に乗ってからは、大学院の講義で使用するNeville教授の教科書の第11章(コンクリート構造物の劣化に関する内容)の読込みを、ショパンのピアノ協奏曲を聴きながら。

大学に到着後は、研究の打ち合わせや、10時半からは少人数ゼミ「人間学とリーダーシップについて考える」の初回(学部3年生4名+コンクリート研の学生4名+細田)。このゼミでの共通の課題図書は、「7つの習慣」です。この少人数ゼミはとても重要な時間であるため、その指導者である私自身の今朝の行動(習慣)にも責任感が宿っていたのかもしれません。

人間とは、自分の大切にする原則に従った習慣に沿って生活していると安心し、充実感を覚えるものだと思います。

私も迷うことも無きにしも非ず、ですが、今日は初心に帰った気分です。

午前の少人数ゼミが終わった後は、その会議室で都合の付くメンバーと昼食をともにし、会話を楽しみました。

午後は、大学の雑用に借り出されたり、いくつもの研究ミーティングも行いましたが、出勤されていた前川先生と雑談、研究・技術的なお話をする時間もあり、いくつか重要なヒントもいただき、非常に有意義でした。

振り返れば、今日は、私にとっては珍しいのですが、ただ単に大学で日中を過ごした一日だったのですが、多くの方々とコミュニケーションした有意義な、刺激にも溢れた一日でした。

大学で一日を過ごすことでいろいろと感じることのできる環境で仕事をさせていただいている、ということに感謝すべきです。

11月が始まりました。私にとっての繁忙期の最初の一ヵ月が終わりました。これからが本番ですので、周囲の皆さんと少しでも充実した時間を過ごせるよう、努力のギアを上げていきたいと思います。