細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

豊穣だより、第2号、第3号

2024-06-24 07:53:08 | 研究のこと

豊穣な社会研究センターの発行する、豊穣だより、第2号第3号がリリースされました。

手作りで広報しておりまして、第1号の発刊から少し時間がかかりましたが、ご愛顧のほどお願いいたします。



豊穣な社会研究センターの秘書さん公募!

2024-06-23 06:47:17 | 職場のこと

皆さんへ 豊穣Cの秘書さん、公募です!

https://www.ynu.ac.jp/hus/ias/31979/detail.html

周囲にいい方おられたら、ご紹介してください!


「スランプ保持型の混和剤の活用について」

2024-06-18 04:52:04 | 研究のこと

「スランプ保持型の混和剤の活用について」

 本稿では,スランプ保持型の混和剤を用いたコンクリートの土木分野での活用の状況や今後の方向性について,筆者が知る情報をお伝えする。

 筆者の学部の卒業論文の指導教員である小澤一雅先生の博士論文は,自己充填コンクリートの開発であった。しかし,土木分野では長らくスランプ8cmが当たり前とされ,ようやく12cmに標準的な値が移行するような状況であり,スランプの比較的小さなコンクリートが今でも用いられている。そして,スランプロスの問題が当然に品質確保の達成を阻害する大きな要因となる。

 筆者が2009年から関与する山口システム(品質確保システム)の発端は,田村隆弘先生(当時,徳山高専)をリーダーとするコンクリートよろず研究会(一期目)であるが,長い休止期間を経ての二期目(筆者もメンバーの一人)の活動テーマが混和材料であった。その動機は,コンクリートに関わる産官学の様々なプレーヤーのほとんどが,混和材料についての深い知識をほとんど持っていないことであり,今後のコンクリートは混和材料なしには成り立たないことは自明であろう。

 コンクリート用化学混和剤を使用する際,現場で重視される機能は何かについて,コンクリートよろず研究会が業界関係者へ幅広くアンケートを実施した。約2ヶ月間の実施期間で全国から521件の有効回答を得た。「化学混和剤を使用する際に重視している項目」,「化学混和剤について機能を追加,強化して欲しい項目」への回答を集計したところ,いずれの問いにおいても,最も多くの回答が寄せられたのが「スランプ保持性能」であった。スランプロスの問題が業界で大きな課題になっている証左であろう。

 筆者は,2023年に改訂された土木学会コンクリート標準示方書の施工編の改訂部会の代表幹事を務めた。その改訂において,スランプロス問題に風穴を開けるため,暑中コンクリートの35℃問題に取り組んだ。コンクリートの打込み温度が35℃を超え,38℃以下の極めて厳しい暑中環境において,十分なスランプ保持性と適切な凝結遅延性を与える混和剤の使用を条件とすることとした。暑中期にスランプロスの問題が顕著になり,施工時の不具合が発生するリスクが極めて高くなるからである。JIS規格が十分に整備されていない領域の混和剤であったため,JSCE-D504「暑中環境下におけるコンクリートのスランプの経時変化・凝結特性に関する混和剤の試験方法」を制定した。この試験方法による試験を実施し,示方書の施工編に示される判定基準を満たした混和剤を用いる仕組みとした。

 この改訂は,土木分野で深刻化するスランプロスの問題を改善するための重要な一手,というのが筆者の認識である。筆者は個人的には,フレッシュコンクリートの世界からスランプロスという問題が無くなることが理想と思っている。一気にその状態に飛ぶことはできないため,今回はその出発点としてでき得ることをやったという認識である。

 上記の改訂のための準備は,土木学会コンクリート委員会の3種委員会である「養生および混和材料技術に着目したコンクリート構造物の品質・耐久性確保システム研究小委員会」(356委員会,委員長は筆者)のWG2(菅俣匠主査)で行い,JSCE-D504の叩き台を作成した。その叩き台が土木学会コンクリート委員会の規準関連小委員会での度重なる審議を経て,制定された。

 現在,コンクリート委員会の2種委員会である「暑中コンクリートの設計・施工に関する研究小委員会」(253委員会,委員長は筆者)が指針の原案の初稿が出来上がり,常任委員会での審議にかけられるよう段取りを進めている。この指針には,スランプ保持型の混和剤の活用がさらに進む社会となるような仕組みが盛り込まれるよう,全力を尽くしているところである。

 ここからは,国内外でのスランプ保持型の混和剤の活用状況について事例を紹介する。

 筆者は,2021年12月に,広島県の生コン工場を視察した。この工場では,2021年6月にJIS A 6204(コンクリート用化学混和剤)に規定され,JSCE-D504に準拠した試験で示方書の施工編の判定基準も満たすスランプ保持型混和剤(暑中対策用混和剤)を社内標準化した。同工場では土木配合による暑中期の打設において,スランプロスの慢性化が課題となっていた。更に山間部の災害復旧現場では運搬時間だけで60分以上を要するため, 汎用の高機能AE減水剤ではスランプロスが生じ現場での品質確保が困難となる事例があった。そこで,スランプ保持型の混和剤を採用し,その結果,フレッシュコンクリートの性状は極めて良好な状態が保持され,スランプ値は製造直後から2時間経過後においてもJISの規定範囲を維持する品質となった。筆者は,生コン工場を視察した同日に,災害復旧現場の砂防堰堤を視察した。コンクリートの仕上がりは素晴らしく,筆者らが開発した目視評価法で私が点数を付け,非常に素晴らしい出来であることを定量的な数値でも確認した。なお,この工場では,混和剤を切り替えた後は,厳しい暑中環境下においてもスランプロスによるクレームはゼロであったとのことである。

 JIS A 6204に規定されているスランプ保持型の混和剤は,ある混和剤メーカーにおいては,全国で使用されるAE減水剤の年間数量ベースで1割程度(西日本では2割)の使用とのことで,普及が進んでいる状況にある。生コン工場数の減少は,生コンの安定供給の観点からはゆゆしき事態であると認識しているが,荷卸しの時間制限,土木分野での打込みに関する時間制限,打重ね時間に関する時間制限などの緩和についても,構造物のコンクリートが品質確保されることが前提で,慎重な検討が重ねられることを期待したい。

 国外での動向を述べる。シンガポールなどの日本より厳しい暑中環境の国では,このような化学混和剤の活用について日本よりも進んだ状況にあるようであり,生コンの製造会社にヒアリングを行った。

 ヒアリングは,2023年7月18日(火)に,シンガポールの第2番目の規模の生コン会社であるISLAND CONCRETE (PTE) LTD.のSenior Technical Managerに対して筆者が行った。ISLAND CONCRETE社は,シンガポールで2番目の規模の生コン会社であり,7工場で,一月の出荷量が200,000m3/月程度をほこる。ちなみに,シンガポール最大の会社は,350,000~400,000m3/月程度の出荷量とのことであった。

 暑中コンクリートの温度について尋ねたところ,コンクリートの温度に対して付加価値が認められており,28℃以下の場合に+12ドル(シンガポールドル),30℃以下の場合に+8ドル,32℃以下の場合に+4ドル,とのことであった。ちなみに,コンクリートの単価はおよそ100ドル/m3とのことであった。フレッシュコンクリートの温度を下げるために氷が使用され,練混ぜ水の35%程度を氷で置換することもあるようで,氷はマレーシアから輸入しているとのことであった。1トンの氷が90ドル程度とのことであった。

 水和熱を低減するために,高炉スラグ微粉末を70%以上置換したコンクリートも出荷されているようで,+5ドルの付加価値とのことであった。フライアッシュは,産業廃棄物との扱いで近隣の国からは輸入できない状況のようで,日本からフライアッシュを輸入しているそうである。フライアッシュを30%程度置換した,水和熱抑制型のコンクリートが出荷されているとのことであった。

 スランプ保持型の混和剤についても,スランプ保持時間の付加価値が付いたものが流通している.日本のJIS製品に近いと思われる”Concrete Family”と呼ばれる一般的なメニューには無いそうであるが,発注者が希望すれば,通常2時間程度のスランプ保証が,4時間,6時間,8時間,10時間といった長時間のスランプ保持が可能なコンクリートが出荷されている。また,アジテータ車が9~12m3を積載可能なものがシンガポールのRoad Authority(道路管理者)のルール変更により許可されており,生産性が向上しているとのことであった。工場のミキサーも4.5m3の容量とのことであった。自己充填コンクリートの普及率は5%程度であろう,とのことであった。ヒアリングを通じて,シンガポールの生コン会社に大きな活力があることが感じられ,コンクリートの温度やスランプ保持時間などの品質に明確な付加価値を認める市場が形成されていることに大きな刺激を受けた。

 以上,筆者の知る情報を述べた。読者の何らかの参考になれば幸いである。

 

 


豊穣な社会研究センター 爆走?体制が構築

2024-05-24 03:39:42 | 研究のこと

豊穣な社会研究センターが設立されて1年1ヶ月が経過しました。

準備に時間がかかりましたが、2024年度に入ってメンバーも変更となり、体制も構築され、3つの研究所の所長も確定しました。

メンバー表に掲載されているメンバー以外にも、学外に無数の連携者がおり、さらに増えていきます。豊穣Cのメンバーは今後、どんどんと充実していきます。

豊穣Cの本質は、「コンサルティング」です。お悩みに寄り添い、必ず解決策を提示します。不安が解消します。

「困ったら?」

「豊穣センターへ!」

あなたが知っている豊穣Cのメンバーや関係者に、なんでも相談してください。様々なプロが、どんなお悩みにも相談に乗り、具体的な解決策をご提示します。

行政、民間企業、大学関係者、一般の方々、
インフラや、数値シミュレーションなどに限らず、
(インフラについては、すでに「元気なインフラ研究所」のコンソーシアムが設立。申し込みはいつでも)

「つながり方研究所」という、人と人のつながりについてもプロ集団がそろっていますので、「孤立と分断」という近代社会の象徴的な現象の中で苦しんでおられるあなたも、ぜひご相談ください。

様々なイベントも展開していきます。

1) 「和のAI・コーチング」をYNUから発信!2024年5月27日(月)15:00~17:30
https://note.com/hojo_ynu/n/n541acf5e9d59

2) 真に我が国が発展するためのインフラのありかた 2024年5月28日(火)13:30~15:30
https://note.com/hojo_ynu/n/nd5eaeeea0395

3) YNU dialogue 「福島の今を知り、100年後の豊穣な社会を考える」のご案内  2024年5月28日(火)18:00~
https://note.com/hojo_ynu/n/n952e35a34a31?magazine_key=m76da01fc3a4f

今後の豊穣Cの様々な展開に、乞うご期待!


体調の回復

2024-05-17 08:47:42 | 人生論

私のことを心配しておられる方もおられると思いますが、体調がようやく回復しました。

5/10(金)にほぼ完調に戻った感覚を持てたのですが、それまでアップアップで乗り切っていたので、いろいろとご迷惑をおかけしたかと思います。

5/13(月)の週も、「生き返った」ような状況において、慌ただしい日常生活をどう回していくか、に適応していくのに時間がかかり、私を支えるスタッフたちと連携しながら、回復のプロセスがほぼ完了しました。リハビリがほぼ完了した、というイメージです。

まだ少しご迷惑をおかけしてしまうことがあるかもしれませんが、ほぼ回復しましたので、ご安心ください。

5/16は一泊で岡山へ出張しておりました。

来週あたりから動きが激しくなり、5/27の一週間は、激動となります。何とか心身が付いていけるよう、整えたいと思います。


YNU dialogue 「福島の今を知り、100年後の豊穣な社会を考える」のご案内

2024-04-18 14:58:16 | 人生論

豊穣センターの主催で、5月28日(火)の夕刻に、素敵なセミナーを開催します。

とみおかワイドメーヌ代表の、遠藤秀文さんをスペシャルゲストにお招きします。

私は、遠藤さんのことを2024年3月3日に初めて知りました。富岡町で活躍する様々な方々の実際のお話を伺う2日間のツアーに参加し、何度も感激するような素敵なツアーでしたが、ツアーの二日目の朝に、遠藤秀文さんのお話をオンラインで伺いました。

私は、遠藤さんのお話の後半はずっと泣いていました。魂が震えるような感覚でした。

16,000本のワインのための葡萄の木を植える。もうすぐ16,000本に届きます。この数字は、大震災の前の富岡町の人口。

葡萄の木は時間をかけて質が高まっていくそうなので、まさに100年後の富岡が豊穣になるための取組みを実践しておられるのです。

2024年4月13日に、富岡町で開催された「福島再生塾」の開塾式に私も参加させていただき、そこで遠藤さんと初めて対面でお会いしました。

福島再生塾での遠藤さんのご発言の中に、「双葉郡8町村は、復興の方向性がバラバラで、方向を見失っているように思える。分断と孤立が加速している。」というような主旨のものがありました。これは、我が国の状況そのものではないか、と私は瞬間的に感じました。

さあ、5月28日に、遠藤秀文さんを横浜にお招きします。対面で参加できる人数には限りがありますが、ぜひぜひ、オンラインでもなるべく多くの方々に遠藤さんのヴィジョンを聴いていただき、福島の、そして我が国の将来について考えませんか?



豊穣センターのニュースレター

2024-04-18 11:39:58 | 研究のこと

豊穣な社会研究センターのニュースレター第1号が、発刊されました。

広報担当の古川さんが、デザインしますので、細田のテイストとはかなり異なった素敵な感じになります。。。

豊穣センターでは、様々な魅力的なセミナーやイベントも開催していきますので、ぜひ、ご興味のあるものに参加いただき、仲間になってください!


「品質確保物語」から「元気なインフラ物語」へ

2024-04-10 09:05:43 | 研究のこと

道路構造物ジャーナルNETという、ウェブ上の専門誌にて、「品質確保物語」という連載を続けてきました。

私が2009年3月3日に出会って衝撃を受けた「山口システム」(当時は、コンクリート構造物のひび割れ抑制システム。現在は、ひび割れ抑制も含む品質確保システムへ拡張。)が立ち上がる経緯や、発展していく経緯、2011年の東日本大震災の後に復興道路で多くの構造物の品質確保や耐久性確保へとチャレンジが展開していった状況を、物語として連載してきました。

連載は、49回まで続き、皆さんが見やすいように、私自身が運営しているHPに集約してあります

ところが、出版社の事情で、道路構造物ジャーナルNETは今後、更新がなされないことになってしまいました。というわけで、「品質確保物語」も終了となります。

ところが、ところが、同様のウェブ専門誌が別途立ち上がり、私の連載も新装開店で4月下旬ごろにオープンすることとなりました。

新連載の最初の原稿はすでに書き上げ、編集者に送りました。

新連載の名称は「元気なインフラ物語」としました。なぜ、このような名称にしたのか、どのような内容を発信していく予定か、も初回の原稿に記しました。オープンになったら、皆さんが読みやすいように私のブログや、豊穣な社会研究センターのHPからも発信していきます。

引き続き、ご愛顧のほど、よろしくお願いいたします!


断酒生活のその後

2024-04-05 12:38:51 | 趣味のこと

2022年4月6日から断酒しました。その前、飲み過ぎていたということもあり、「飲み飽きた」という理由にしております。

断酒してから最初の2週間くらいは飲酒欲が強かった時期があったのを記憶していますが、その後はほとんど飲みたい欲もなくなり、1年9ヵ月ちょっと全く飲酒していませんでした。その間、飲みたいとも思わず、お酒にまつわる執着心とか、飲んだ後などに生じ得る嫌な気分、体調不良などからは全く解放され、自分では断酒生活を気に入っていました。

2024年1月下旬にイタリアに出張があり、ミラノ、ヴェネツィア、ブラノ島などを訪れ、まあいいか、ということで白ワインを飲んでしまいました。この出張中、2日間でワインを飲酒。

2月に鞆の浦で一回飲酒。高岡市での懇親会でおちょこにほんのわずか飲みましたが、これは無視できる量。

2024年3月は途中から解禁状態になってしまい、14日において飲酒。特に、3月の最後は23日から31日まで9日間連続で飲酒し、Finish。

それで、2024年4月に入り、新年度ということもあるのか、3月末に9日間連続して飲酒してやはり飲んでいる状態に不快感を感じ、再び断酒スタート。今日で5日目となりました。やはり飲まない方が体調が良いし、余計な執着心から解放され、心地よく感じます。

断酒についての報告は以上。

⇒ 順調に?断酒が継続されるものと思ってましたが、誕生日直前の4/7に、ここのところ低かったバイオリズムがさらに低くなり、酒に頼ってしまいました。。。さて、今後の展開はどうなることやら。。。(この部分、4/10に追記)

2024年1月30日から、坐禅を始めました。自宅でも出張先でも、毎日基本的に朝に15分間の坐禅を日課としています。今日で67日連続です。坐禅については、別のエッセーにて。


「和のコーチング」をYNUから発信! 2024年5月27日(月)15:00~17:30

2024-04-04 15:50:38 | 研究のこと

豊穣Cのセンター長の細田です。

豊穣な社会研究センターの「つながり方研究所」の具体的な活動の一つとして、「和のコーチング」(細田の付けた暫定タイトル)というプロジェクトを立ち上げます。

5月27日(月)に、横浜国立大学のメディアホール(中央図書館内)にて、「和のコーチング」の公開セミナーを開催することが決まりました。学長も参加されます。

今回は無料の公開セミナーとしますが、今後、これを契機にプロジェクトを進め、上手く運べば、大学で受講できる講義として「和のコーチング」が実装されるヴィジョンを私は描いています。

さて、「和のコーチング」とは何か?

このプロジェクトは、プロのコーチたちと連携します。東京コーチング協会のつわものたちです。

私も彼らとしっかりと対面したのは2023年7月末の「コーチング祭り」というイベントにおいてでした。コーチングの達人たちは、プロスポーツ選手や、誰でも知ってる大企業の重役さんなどをコーチングしたりしています。クライアントの持っている能力をフルに引き出すための伴走者、というイメージです。コーチング祭りでは、まさにコーチング界のレジェンド級の方々4名の講演をたっぷり生で聴かせていただき、私自身は講演者たちの考え方やメソッドに共鳴するところが多々ありました。

私も大学教員として、まさに学生たちをコーチングしているわけだし、「コーチング」というものはもっと社会に開かれ、活用されていくべきものであると感じたのです。私の認識では、コーチングとは、対話であり、傾聴、質問力、内省力、思考力であり、人間のポテンシャルをフルに引き出すための考え方です。

「和」と付けたのはなぜか?

私の認識では、コーチングという方法も西洋から入ってきたものです。それはそれで良いのですが、現在は日本が大ピンチの状況で、日本人としての誇りも失いかけている危機的状況。日本人や日本が本来持っている強さ、美しさ、誠実さ、などを前面に押し出して、もしくは取り戻して、社会を良くしていきたいと私は思っています。そこで、「和のコーチング」。

5/27の公開セミナーでは、「つながり方研究所」に集う、本物の僧侶の方も参画予定。私も大ファンの素敵な僧侶の方々です。

近代という社会は、個人がそれこそバラバラの砂粒のようになってしまいかねない、生き方を見失いやすい難しい社会です。

宗教と科学もこれまでは別物だったのかもしれませんが、物事の真理を追究していくと、同じところに行き着くのではないかと我々は議論しています。

つながる、ということは、我々が人間らしく生きていく上での根幹と思います。

プロのコーチたち、現役の僧侶、つながり方の研究者、学長、学生、豊穣な社会への挑戦に興味のある方が集い、つながって、「和のコーチング」を一緒に模索していきませんか?

皆さんのご参加、心よりお待ちしております!


元気なインフラ研究所 第2回セミナー(3月22日(金)15:30~、オンライン)

2024-03-15 07:56:53 | 研究のこと
3/22(金)15:30~、
元気なインフラ研究所の第2回セミナー(オンライン)を実施しました。動画は、こちらです。

元気研のコンソーシアムの情報もポスターの下にありますので、ご覧ください。



今後もセミナーは何度も重ねて実施していきます。膨大な既設インフラの維持管理はもちろん、新設インフラの品質確保と長寿命化、圧倒的な環境負荷低減型の建設材料の開発と実装、などを推進していきます。

セミナーなどで語られる哲学に基づいて、着実に実践、実装を重ねていきます。粘り強いこと、しつこいこと、良いことはいつまでも続けること、などが我々の取り得と思ってます。。。

元気なインフラ研究所のコンソーシアムへの行政機関の会員が増えてきています。民間企業の会員も増えてきています。

コンソーシアムが軌道に乗ってくると、会員限定のセミナーを開催したり、共同研究やコンサルティングなどもどんどん増えていくと思いますので、ご興味のある方はぜひ、コンソーシアムへの入会をご検討ください。こちらを参照ください

豊穣Cのプロモーションビデオ

2024-03-11 11:48:36 | 研究のこと

豊穣な社会研究センターのPVが出来上がりました。

豊穣Cのつながり方研究所の河野さん(客員教授)のコーディネートで、右脳に働きかける映像作成のプロが創り上げた作品です。

センターの目指すところが魅力的に伝われば幸いです。



都市基盤学科の卒論生たち5名の発表会

2024-02-23 06:43:18 | 研究のこと
3/5(火)の12:30~15:30の予定で、都市基盤学科の卒論生5名の発表会・対話会を実施します。ハイブリッドでの開催で、部分参加も可能ですので、ご興味ありましたら参加いただければと思います。



YNU都市基盤学科の卒業論文で、豊穣な社会研究センターの関連の皆さんに聴いていただいて議論したら面白いものをピックアップして、発表会をしてみることにしました。YNUの教員、豊穣Cの研究者や学外の豊穣Cの連携者たちを招いて聴いてもらい、対話できればと思います(基本、どなたでも参加可能です)。学生一人に発表・質疑・対話で30分ずつは確保できるかと思います。

1. 落合君(細田指導):分野横断・ビジョンドリブン型組織における参画者の意識変容・行動変容について → つな研
2. Yan君(細田指導):混和剤もしくはスラッジ微粉末を用いて製造した造粒ポーラスコンクリートの圧縮強度および透水性の比較 → 元気研

3. 渡さん(比嘉先生指導):社会生態システムを考慮した都市沿岸環境デジタルツインのフレームワーク構築 → もしも×可視化研、つな研

4. 李君(小松先生指導):地震応答解析を活用した建築物の倒壊リスク評価 → もしも×可視化研

5. 小林航汰朗君(比嘉先生指導):日本沿岸における自然共生社会に向けたインフラベストミックスのための地域特性の評価

会場:横浜国立大学の土木工学棟セミナー室を予定(変更になる可能性あり)

オンライン参加はZoomで
トピック: 豊穣な社会研究センター セミナー
ミーティング ID: 838 4255 1766
パスコード: 702778

研究の幅

2024-02-12 14:35:43 | 研究のこと

2月3日の土曜日に、毎年恒例の研究室の冬合宿を実施しました。過去、コロナ禍の時期を除いて、宿泊付きのまさに合宿での開催をしてきましたが、今年は現役学生たちの意向もあり、大学で実施し、宿泊なし、でした。今後、どのような形式で開催するかは、学生やスタッフともよく話していきたいと思います。私は宿泊付きが好きですけど。ちなみに、昨年、2023年2月の冬合宿についてのブログはこちら

今年の冬合宿も、前川先生がフル参加してくださいました。日常の研究室ゼミには参加されないため、特別感があり、M2や4年生の各研究に対する前川先生のコメントからは、私もいろんなことを感じさせていただきました。大変、贅沢な時間ですね。

一つ、感じたことに、「研究の幅」という観点がありました。前川先生のコメントで、研究に取り組む場合は、研究の当事者はどうしても視点が狭くなりがち、というものがありました。工学的な成果を出そうとすると、どうしてもある範囲の条件を設定し、その中で最適な解を見つける、というようなスタンスを取りがちです。あえて両極端の視点を持ってみて、物事の本質に迫る、というようなスタンスを持ちましょう、というようなコメントでした(より広い範囲に適用できる知見、技術であれば、真実に近いのでしょうね)。そうすることができれば、研究すべき課題はたくさん見つかるし、研究テーマに困ることもない。

研究すべきテーマが無くなる研究者が少なくないが、上記のような視点で取り組んでいないからではないか、と前川先生はコメントされました。

私自身も、40代半ばを過ぎるころに、研究者としての自信を失いかけた時期がありました。いろんな理由が複合していたように思いますが、今はその状況は脱し、現時点で研究者として自信がある、ということでは決してなく、研究すべきことがたくさんある、という状況にあると感じています。人間、やるべきことがたくさんあると、元気になります。

前川先生のコメントにあるように、視点を広く持つ、ということは以前から心がけてはいるつもりですが、今はさらに心がけるようにしています。

人との出会いによって、研究テーマが開拓された、という経験も何度もしました。生コン業界の猛者たちとの出会いで、オワコンやイワモルの研究テーマが拓け、このテーマだけでやるべきことがたくさんあります。また、以前から暑中コンクリートの研究をすべき、とは思っていましたが、これも私自身から身近な信頼できる研究者たちに発信したり、様々な周辺状況が折り重なって、一つの大きな動きになっています。豊穣な社会研究センターの設立により、挑戦すべき領域が大きく拡がり、様々な研究にいろんな優秀な方々と取り組める状況になり、逆にその拡がりに驚いている状況です。

私のような凡人で、根っからの研究者ではない人間でも、誠実に努力を重ね、真実に近づこうとし、心を開き、多くの方々と出会い、社会の課題を解決するという強い意思を持ち続ければ、工学の研究者として50歳になっても幅を拡げていける、ということを自分の人生で学びました。

今の私がそのように感じている、というだけで、人生は無常ですから、今後、どのように変化するか分かりません。私自身の状況も、周囲や社会の状況もどうにでも変わり得ると思っています。禅のマインドで、その瞬間瞬間を生きる、ということに尽きるかと思います。


禅、坐禅

2024-02-11 12:39:28 | 人生論

1月30日に、坐禅を始めました。横浜国立大学の豊穣な社会研究センターの部屋(高等研究院の207室)で、つながり方研究所の河野さんに指導してもらって、5分の坐禅をしました。それ以降、自宅や出張先のホテルなどで、一日15分の坐禅を日課にしています。

禅との明確なかかわりは、大愚和尚のYoutube番組の「一問一答」を見たことかと思います。コロナ禍の最中だったか、その少し前だったかと思いますが、たまたま大愚和尚の番組を見て、感銘を受けたり、様々な気付きがありました。たくさんの大愚和尚の動画を見て、悶々としていたこともあった私は、癒されたり、新たな考え方を取り入れたりしました。大愚和尚の本も数冊購入して勉強しました。大愚和尚の考え方は、私にも結構な影響を与えていると感じています。

その後、2023年2月にゼロ・ポイント・フィールドの考え方を知り、つながり方研究所のメンバーと、この考え方についていろいろと議論しました。禅の考え方と通じるところも多く、仏陀の言う「空」はゼロ・ポイント・フィールドのことであろうと私は思います。

ゼロ・ポイント・フィールドについては、2023年7月末にコーチング祭りでの講演の中で村松大輔さんのことを知って、著書を2冊読んで、理解が深まりました。

つながり方研究所の活動を通して、僧侶の島津清彦さんと知り合い、ご本人から著書をプレゼントしていただきました。「心が回復する禅問答」という素敵な本で、何も知らない青年と禅の僧侶との対話形式の本で、大変分かりやすく、読みやすく、禅の本質を理解できたように感じました。この本のおかげで、私の散歩や、毎朝のお弁当作り、毎日の通勤での山登り・山下り(上星川駅と大学間)なども、すべて禅なのだな、と認識することができました。読書も禅。

さらに、つながり方研究所の活動を通じて、浄土真宗の僧侶の新田崇信さんとも友達になり、新田さんは禅の方ではありませんが、禅の話でも盛り上がり、いよいよ潮時?という感じで、坐禅を始めることになりました。

1月26日(金)に福島大学の地域未来デザインセンターを新田さん、つながり方研究所の河野さんらと訪問し、その夜の懇親会で1/30に坐禅をやりましょう、という話になり、冒頭の207室での坐禅につながります。

坐禅を始める前に、鈴木大拙の名著「禅」を読み始め、私の最初の坐禅を指導してくれた河野さんに推薦された、鈴木俊隆の「禅マインド ビギナーズ・マインド」も坐禅を開始した直後から読み始め、鈴木俊隆の説くように坐禅の修業をするように心がけています。

禅や坐禅の極意は長い人生をかけて体得していくものとは思いますが、鈴木俊隆の言うように、坐禅とは「初心を持つ」ことであり、無心になり、空になることであり、坐禅に目的はない、ただ坐禅する、という気持ちで毎日坐しています。

豊穣な社会研究センター長に就任して一週間後に50歳になり、天命のつもりで全力の活動を重ねていますが、このタイミングで初心に戻る坐禅を始めることができたのは、とてもありがたいことだと思っています。

豊穣な社会研究センターでは、ほんとに多様な素晴らしい方々と出会うことができ、楽しいです。センターが創り出すつながりの場は、なるべく多くの方々に活用していただければと願っています。