細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

自己嫌悪

2007-06-30 11:37:12 | 人生論
学生の皆さんの中にも、志の高い人や、向上心のある人の場合、「自己嫌悪」に陥ることがあろうかと思います。もっとこうやりたいのに、なかなかできない、など。

大人でバリバリやっている人も、必ずそういう時期を経ていると思うので、気にしないほうがいいと思います。学生の頃から何でも思い通りに行ってしまうと、逆にそれは恐ろしいことのようにも思います。

つまらないことですが、例えば休日やゴールデンウィークの過ごし方。以前は「よし!これをやろう!」と決心してもできた試しがない。「あー、こんなんじゃダメだ」とばかり思ってました。

あまりの自己嫌悪に自身の存在価値まで疑い始めたのが博士課程の1年後半~2年の前半。かなり苦しかったです。

自己嫌悪は突破した後も、自己コントロール能力が足りなくて精神的な不調に陥り、ひどいときは本当に自殺しようとしたこともあったのが、30才前後。自殺は悪いことだと当然分かっていても、そんな冷静な判断能力をすべて失ってしまうのが、「うつ」です。

それを突破した後も、苦しい時期はありましたが、今はとても楽しくやっています。何回か本当に苦しい時期を乗り越えて、自己コントロールもできるようにはなっているので、次に苦しいときがやってきても、もう少し上手に乗り切れるとは思います。

つまらない例に戻ると、今はもちろん、週末はとても大事で、家族との時間でもあるし、仕事にも有効活用するし、リフレッシュにも不可欠です。

自己制御能力や、時間を有効に使う能力などは、どんどんと身についていきます。「自己嫌悪」に陥っている人がいるとすれば、現状に満足せずに上のステップに脱皮しようと自分は頑張っているのだ、といい気分になってください。

研究会の次の手は?

2007-06-27 11:11:56 | 研究のこと
6/21に100名を集めて研究会を実施しました。当然次の手を考えます。

コンクリートに関連するいろんな分野の技術者が交流を持つことの良さは、皆が感じていただけたと思います。

「この問題は原因を究明して、解決しておかないとまずい」という重要な問題がいくつもあると思います。私としては、そのような問題を、幅広い技術者ネットワークで議論し、解決に向けて実質的にアクションを起こしたいのです。

そういう場で問題を公表できない、という方がおられると思います。そうであるならば、そのような問題はいつまで経っても解決できないし、若者がそういう姿に非常に敏感に反応するのを分かっていますか?今の世の中、きれいごとだけ述べていても、その薄っぺらさはすぐに感づかれます。本当にやるべきである、と心から思えることをやらないと、どの若者が付いてくると思いますか?

大人ももっと真剣に考えてください。

私から、いくつかの解決すべき重要課題を提示することになろうと思います。
その議論に加わっていただける方は、次回お越しください。本当に解決するために、調査して、勉強して、研究をします。

あれだけ人が集まったことで、一部の人的交流に化学反応が起こっています。そういうところからも、解決すべき重要課題が提示されてくると思ってます。

どうすればなれる?

2007-06-22 22:48:12 | 人生論
今日は学生実験の打ち上げという名目で学生と飲みに行きました。昨日飲みすぎたので,今日は緑茶にしておきましたが。

楽しく海の幸をいただきました。

「どうやったら先生みたいになれるのか?」と学生から聞かれました。
学生からすると,私も大分遠い存在に見えるようです。私と学生の距離は大分あるようではありますが,私から見てとんでもなく遠くにおられる方はたくさんいます。
私が土木技術者として最もすごいと思うのはやはり石橋さんで,石橋さんは私からするとかなり遠いところにおられます。

あこがれのような存在の人のようになりたい,といろんな人が思うでしょうが,
あこがれているだけではどうにもなりません。具体的な方策を考えないとどうにもなりません。なるべく具体的なヒントを学生には与えているつもりです。ただ,一夜漬けでは絶対になれませんので,地道に努力を重ねるしかありません。

また,ある人にあこがれているとしても,その人と同じようにはなれません。人間はみな資質も違えば,育つ環境も違う。その人のもって生まれた資質と,環境でそれが養われていって,その人が出来上がっていきます。もし私のようになりたいとすれば,東大のコンクリート研での経験,JR東日本での経験は不可欠。あと私の資質(長所という意味ではなく,能力)も当然関与します。たくさん読書もしてるし,日記をずっと書き続けていることの効果も大きい。

私は石橋さんになりたいとは思いませんし,思ったって無理です。実構造物の設計には携われないし,ピリピリするような実務で毎日感覚を鍛えられる環境にもない。私は,これまで形成してきた自分を,磨いていくことで,ステップアップしていけばいい,と今は思っています。その際に,いろんな一流の人の考え方は大いに参考にします。もちろん石橋さんの考え方は私に多大な影響を与えています。

さあ,学生はどうすればよいでしょうか。学生は石橋さんを目指すとあまりの遠さに気絶すると思いますので,とりあえず私レベルを目指すとして,

・私はどこか別の特別の場所で修行しているわけでもなく,研究室での生活がほぼすべてです。そこに成長するヒントがすべて散らばっています。そこから自分でヒントを拾い集めてください。
・心底すごいと思う人がいれば,その人のアドバイスをきちんと聞いて「実行する」。実行しないとただのあこがれで終わる。
・自分の置かれた環境で,とりあえず全力を尽くす。社会人になったら頑張る,学生の間は遊ぶ,というような今を大事にしない考え方をやめる。そういう人はいつまで経ってもそのままです。その積み重ねでいつか経験が連鎖反応をし始めます。そこまでは我慢。
・適切な読書をする。何を読んでいいか分からなければ,尊敬する人にアドバイスをもらう。読書は必須です。
・いろんな人の意見を総合すると,日記をつけるのがよい。何も書くことがない,とすれば,それだけ日々の生活で「何も感じていない」ということです。それが分かるだけでも収穫です。

さあ,なるべく早くスタートを切ってください。私は大学3年生の後期にスタートを切ったと思っています。

思いやり(メモ)

2007-06-17 21:40:26 | Weblog
・ホテルのサービス,すごく満足。必ず「原則」があるはず。客への思いやり?
そういう姿勢は,客は敏感に感じる。組織として原則的に統一が取れているのは,周囲に非常に好印象を与える。研究室も同じ。

・豪雨の中の運転。点灯しないのはマナー違反。自分さえ運転できればいい,と思っているガキどもが,大事故のタネをまく。命を失う危険性と隣り合わせということをもっと認識して大人になれ。全く思いやりに欠けてどうしようもない。そういう輩は絶対に仕事でも大したことはできないのである。

なかなかすごい

2007-06-16 17:10:12 | 趣味のこと
今日,目に留まったもの。

午前は瀬底島という島に車で渡ってビーチに行きました。
島に渡るにはニールセン橋を含む立派な道路橋。帰りにこの橋の写真を撮っておきました。来週は,橋のスケッチの講評を1年生の講義でやりますが,そのときはポンデュガールも含むいろいろな橋の写真を見せてあげることができそうです。

瀬底島のビーチはかなり上質で,熱帯魚もたくさんいました。
が,ある1種類の魚は人間を恐れて逃げず,むしろ真逆でどんどんと攻撃してきて,特に足先をかんできます。多くの人が同じことを言っていたので,相当に凶暴な魚でしょうか。これまで34年,あちこちの海で泳いできましたが,人間を襲ってくる魚には初めて遭遇しました。

ビーチから退散するまさにそのときにスコールが降ってきましたが,海の家みたいなところで,雨よけしながら,焼きそば,タコライス,フライドポテトを食べました。

全国的にも有名らしい水族館は大充実。世界で最大の観測窓の水槽では,ジンベイザメ,マンタがゆうゆうと泳いでおり,しかもそれを見ながら食事できるカフェがあり,感激しました。娘も20回くらい連続で「すごい,すごい,これはすごい」と言ってました。

この近辺は,琉球のディープな雰囲気が漂っており,やはり本土とはかなり違いを感じました。お墓が全然違う,家も全然違う。海岸近くの道路の地覆コンクリートはかなり劣化してました。琉球セメントの工場もあり,ほんとはいろいろと見学したかったですが,家族でリフレッシュに来ているので断念。いつか,沖縄のいろいろな構造物の状況やら琉球セメントの見学にも来たいものです。

来る前に思っていたよりも,ここはかなり面白いです。もちろん,戦争時のことや,戦後の米軍とのことも,それなりに知識は持っているので,その観点でもいろいろと見てみたいところはあります。これから何度か来ることになりそうです。



初上陸

2007-06-15 18:22:30 | 趣味のこと
今日は休暇をとってまして,南に来ています。ここには初めて上陸しましたが,
なかなか良いです。ホテルはかなり満足度が高く,空いていたので(おそらく)
スイートルームに無料でアップグレードされました。

肩を動かすとコリコリいってましたが,プールで泳いで体もほぐれ,癒されてます。
天気予報ではずっと天気が悪かったのですが,今日はものすごくいい天気でした。

日ごろの行いが○○から?

今月のセメント・コンクリートに蒸気養生の条件が強度特性に及ぼす影響の系統的な実験結果が紹介されており,とても興味深いです。今回のバカンスは読書の本は空港で買った一冊のみ。後はすべて専門書です。


ポン・デュ・ガール

2007-06-08 02:07:48 | 趣味のこと
今日は待ちに待ったPont du Gard (ポンデュガール)に行く日。
朝,ニーム駅に行ってみると,次のバスは11時とのこと。2時間以上時間があったので,円形闘技場に行ってみた。6年前にイタリアに旅行したときにローマのコロッセオに行ったけど,それよりもかなり保存状態が良いようだ。日本語の音声解説が相当に充実していたので,かなり楽しめた。闘技場のてっぺんまで行って,外側に落下しそうな箇所に座って,ニームを一望した。最高。

ポンデュガールへはニームからバスで40分ほど。近づくとドキドキしてきました。ポンデュガールに着いて,最初に水道橋を見たときは「オー」という感じだったが,展望場へ行ってからの眺めには感嘆。さらに橋の下側に回りこんでからの眺めにはため息が出た。とにかくいろんな角度から見ることができるので,あちこち動き回って良いスポットがあるとイスなどに座って眺めを堪能した。ポンデュガールは3層のアーチ構造で,最下層は川の流れに抵抗するためか,非常に剛健さを感じさせる寸法となっている。アーチのスパンも15m~20mはありそうで,ローマ時代のものでは圧倒的に長いらしい。どうやら自分は下から眺めるのが最も好きなようだ。剛健な最下層のアーチから,水道が流れていた最上層まで一望できると,構造物の壮大さを感じることができる。大きさ・迫力を感じる角度が好きなようだ。

ポンデュガールは完全に風景の一部となっていて,人工のものという感じがしない。このような土木構造物を遺産として持っていると,人間の土木に対する感じ方も異なってくるように思う。土木構造物に畏敬の念を抱くようになるのではないか。また,ポンデュガールは細部まで非常にデザインが工夫されている。石の表面には模様が刻まれているし,ときどき突起や穴が付けられていたり,水切りではないのだろうけどスカートが付けられていたり,と。ユリウス・カエサルの時代の技術力と美的センスに感心した。重い石(大きいものだと6トン)をクレーンのような機器で持ち上げたのだろうが,施工方法も勝手に想像してみた。帰国したら勉強してみようと思う。

結局,ポンデュガールには5時間くらいいた。今日は3万歩以上歩いてクタクタ。でも大満足。写真などは帰国してからアップします。

トゥール駅で思ったこと

2007-06-07 14:04:42 | 人生論
 人間に必要な能力の一つに,「いかに有用な情報を取得するか」がある。キーになる情報を入手することにより,自らの活動が大きく展開することもあり,自らの手持ちの材料との組み合わせにより新たな着想に至ることもある。どうやってその情報を入手するか,であるが,やはり人とのコミュニケーションによるものが多いと思う。
 ほとんど人とコミュニケーションしない秀才と,人と活発にコミュニケーションする凡才と,どちらが良いかと言われれば,土木工学においては,間違いなく後者であると思う。
 今回の国際会議では,特に2日目からアグレッシブに動いた。ランチは日本人とは食べず,見知らぬ人か,コミュニケーションしたいと思う人を捕まえて食べた。こういう国際会議で,人に話しかけられて嫌に思う人はいない。自分から話しかけるのをためらう人はたくさんいても,話しかけられればうれしいもの。また,こういう国際会議の場では,皆が,自分の手持ちの一級の情報を相手に伝えようとする。相手に認めてもらいたいからか,何なのか知らないが,人間はそういう風に振舞う。よって,ランチを始める前は全く知らないもの同士でも,ランチが終わるころにはすっかり打ち解けて,しかも相手の珠玉の情報を手にすることができるのである。今回,すごくそう感じた。本当に有用な情報とは,ある人が相当に時間をかけて獲得した貴重な知識である。それを,ほんのわずかの間,人とコミュニケーションすることで得られるというのは,実は相当にすごいことなのである。そのような貴重な情報を,相手から瞬時に引き出すためには,それなりの人生経験,能力,人間性が必要であると思う。くだらない本を10冊読むくらいであれば,人と1時間話した方がよっぽど有用な情報を得ることができる。その人は,その人なりに一生懸命生きているに違いないのであって,耳を傾ける意味はあるに決まっているのである。
 自分は今回のごく普通の国際会議でも,非常に多くの情報を得,楽しみ,いくつかの将来的に意味のある人脈を築いた。
 今は,どのような場であっても,国内であっても外国であっても,動けば動くだけ,いろいろと発見があり,自分を高める情報を見つけることができる。

アクティブに (国際会議2日目)

2007-06-06 02:29:24 | 研究のこと
今日は会議の2日目で,ガンガン動きました。

朝のセッションでプラスチック収縮ひび割れのことを発表しているイギリスの研究者がいたので,セッションの後に捕まえて情報交換。オーストラリアの大学で研究しているベトナム人も寄ってきて,議論しました。

そのままランチに突入して,今日は左はカナダ人,右は上記のベトナム人,という席で見ず知らずの人たちとランチ。ところがどっこい,非常に貴重な研究情報をいくつも仕入れることができて大収穫。

午後は,セッションをサボって,フランスの超重要人物2人とたっぷり話しました。一人はポンデショセーのDr.ベロニク。もう一人は,メインテナンス戦略会社をやっているブルーノ。どちらの人も,ほんとのキーパーソンなので,たっぷり話せて幸せ。

今日は国際会議としてあるべきすごし方をしたように思います。
日本人はよく日本人だけで固まって,「乾杯」しちゃいがちですが,
やっぱりどれだけ情報を得られるか,将来への人脈を作れるか,ですから。
英語を使える,というのはやはり基本スキルですね。

明日の朝は自分の発表。表面含浸材の研究ですが,
エンターテイナーとして最善を尽くします。一寝して発表練習。

フランス滞在中

2007-06-05 14:01:46 | 研究のこと
3日(日)にフランスに到着しました。
朝の6時半に自宅を出て,パリに到着,モンパルナス駅に移動してTGVでトゥールへ,トゥールのホテルに到着したのは日本時間で朝の3時半。疲れました。

今回はCONSECという国際会議に参加しています。
トゥールを良く知っている人には怒られそうですが,あまり魅力的な街には思えないと勝手に判断し,また時差・発表準備などであまり余裕も無いので,ほとんど散策してません。

発表は6日(水)の最終日で,ようやくパワーポイントが8割方できました。

最終日の会議が終了したらすぐに,TGVでパリを経由してニームに移動し,翌日はポンデュガールを見ます。今回の出張のハイライト?です。感性を研ぎ澄ませていろいろ感じてきます。カエサルの時代に思いを馳せてきます。

フランスの国際会議なので,フランス人の特性もいろいろ感じることができます。今回の出張では英語があまり通じず,フランス人は英語が苦手というのがよく分かります。前回,旅行で来たときは隣にフランス語ぺらぺらの人がいたので,あまり英語を使わなかったのでしょうか。

今回は読書は行きの飛行機だけにして,時間に余裕ができたら研究のことをひたすら考えるようにします。普段,もっと考えないといけないのに,仕事にかまけて大事な思考をさぼってしまいます。これぞ研究の醍醐味!好きな研究のことを,好きなように考えて,アイディアをたくさん溜め込もうと思います。