細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

4年半前の高熱

2014-06-29 14:56:42 | 人生論

健康であること、タフであることは、どんな職業をしていても大事なことだと思います。

日本では、花粉症を除いて体調を崩すことはほぼ皆無の状況でしたが、最後に熱を出したのはいつだろう、と、暇な?日曜日の朝に調べていたところ、4年半前でした。

2009年12月19日(土)に、おそらく初めての研究室冬合宿の翌日に、39℃近い熱が出ています。 新型インフルエンザが流行っていたころで、ついに観念したのを記憶していますが、結局陰性で、翌朝、ケロっと治っていました。喉がとても痛く、真っ赤ですよ、とかかりつけの先生に言われたのを覚えています。

このときは、仕事には実質的な影響はありませんでした。

これ以降では、2010年3月17日(水)に次女の保育園で流行っていた胃腸炎に感染し、体調不良で一日仕事を休みました。

さらに、2011年6月11日(土)夕方にベトナムのダナンで激しい腹痛に見舞われ(食あたり)、ハノイへの夜のフライトを延期してホテルでもだえ苦しんでおりましたが、翌日の日曜日はハノイで友人・知人たちと楽しく会食し、ワインも楽しんでおりました。。。

それ以降は、3年間、体調を崩した記憶がありません。

もっと若いころは私もよく体調を崩していたので、健康の基本は、本当に食生活にあることを実体験として痛感してきました。特に、果物、野菜を適切に採取することが、致命的に重要であると体得してきました。

いつまで続くのか分かりませんけど、歯医者に行かない期間(結婚後、30代以降、ほぼ皆無)と、高熱を出さない期間は、チャレンジするつもりで記録を伸ばしてみたいと思います。


SWAT

2014-06-29 13:30:41 | 研究のこと

私たちの研究室で開発を進めてきた表面吸水試験(SWAT)ですが、一般販売も行われており、基礎研究は変わらず推進しております。現場での計測の経験も蓄積しており、高耐久のコンクリート構造物の構築に少しでも貢献できる技術となるよう、開発者としても全力を尽くしたいと思っています。

SWATの開発、基礎研究、応用研究の展開は、私の研究室と、香川高専の林 和彦准教授の研究室とで連携して行っています。

こちらの動画は、2013年3月時点でのSWATの技術的な説明(10分程度)ですが、何らかのご参考になればと思います。

最新の技術動向についても、随時、動画等で情報提供していけるよう、努力いたします。 


74の法則(2006年7月21日の日記再掲)

2014-06-29 05:23:36 | 人生論

以下は、2006年7月21日の私のブログ(当時の手作りブログ)の内容を、一部修正して再録したものです。

企業の知り合いから、社内教育に活用したいので教えてほしい、と言われたことがかなり以前にありますが、私もときどき見直す内容なので、こちらのブログに移植しておきます。

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2006.7.21(金)
昨日,高知工科大学の大内先生に送っていただいた本が届きました。「平成の竜馬をめざせ! 高知工科大学特別講義録」-これからの日本に必要なものは何か?実業界のリーダーが放つ,熱いメッセージ!-です。小学館から発売されています。

超一流の人たちの学生へのメッセージが凝縮されており,すごく面白い本です。昨夜はさっそく,最初のセントラル硝子株式会社 取締役社長の中村禎良さんのものと,岡村 甫高知工科大学長のものを読みました。

岡村先生の話は,半分強はこれまで聞いたことのあるものでしたが,やはりとても勉強になるもので,最後に「リーダーシップ」について書かれてました。ジム・ドノヴァン著,「誰でもできるけど,ごくわずかな人しか実行していない成功の法則」から引用されてます。以下の項目は,すべて誰でもできるが,実際にはごくわずかな人しか実行していない。これらを実行すれば,あなたの人生は必ず豊かになるし成功するそうです。

岡村先生もこの内容を信じているそうで,おそらくご自分が実行されているのでしょう。私は,この岡村先生の講義録は以前に読んだことがあります。多分2年くらい前だと思います。そのときはとても全部実行できているとは言えなかったのですが,昨夜読んでみると,なんとほとんど全部実行していました。いくつか実行できていないものがあり,,「究極の目標を立てる」などです。それらもすべて実行することにしました。したがって,私は以下の項目を現在ほとんど全て実行しています。

■始める
1.今すぐ,始める  2.行動を起こす  3.好きな仕事をする  4.自分のための時間をつくる
■ものの見方を変える
5.ものの見方を変える  6.ありのままを受け入れる  7.自分を否定しない  8.自分で自分をほめる  9.完璧な人ではなく完璧な自分になる 10.ネガティブな態度をやめる  11.感謝の気持ちを持つ  12.とにかく行動を起こす  13.自分は状況を変えられると信じる
■自分を信じる
14.できると信じる  15.常識から自由になる  16.自分の能力を信じる  17.夢を壊す人を避ける  18.自分を成功者と見なす 19.人生は変えられると信じる  20.理想の自分になったつもりになる  21.手に入れたいものを毎日想像する 22.理想を自分に言い聞かせる
■人生を自分で創る
23.人生に変化を起こすと決意する  24.一瞬で変化を起こす  25.今,こう変わると決める  26.夢を見る 27.自分は夢を見る資格があると信じる  28.夢を持ち続ける  29.人生に何を望むか明確にする  30.夢を実現させる方法を考える
■ゴールを達成する
31.人生を偶然にまかせない  32.目的を持つ  33.ゴールに集中する  34.ゴールは必ず達成できると信じる 35.ゴールを具体的に書く  36.ゴールは小さく分けて達成する  37.ゴールを決めることを恐れない  38.とにかくゴールを設定する 39.綿密にゴールを決める
■人生を楽しむ
40.心身の健康を保つ  41.健康を考えながら食べる  42.定期的に簡単な運動をする  43.ゆっくりと深く呼吸をする 44.健康を最優先する  45.今日という日を最大限に生きる 46.情熱と興奮とともに一日を楽しむ
■恐れを克服する
47.自分のするべきことをする  48.危険を冒す  49.完璧にできなくとも気にしない  50.失敗など存在しないと考える 51.望んだ結果を得るまで行動する  52.安全地帯から外に出る  53.恐怖に打ち勝つ  54.エゴが傷つくのを恐れない 55.すべてうまくいくと信じる
■困難を乗り越える
56.毎日の自分の選択を見直す  57.新しい選択をする  58.ゴールを目指して真剣に取り組む  59.逃げ道を残さない 60.自分にテコ入れする  61.得るもの・失うものを書く  62.結果に意識を向ける
■行動する
63.最初の一歩を踏み出す  64.適切な行動を増やす  65.きちんと計画を立てる  66.必ず優先順位を決める  67.人に任せる
■「成功の道具」を使う
68.自分の望みを何度も確認する  69.夢を細部まで思い描く  70.宝の地図をつくる  71.夢とゴールの日記をつける 72.アイデアのリストをつくる  73.究極の目標を立てる  74.成功すると決心する

以上。どうでしょうか?みなさんは実行できてますか?

私の「究極の目標」とは何でしょうか。
おそらく,
① 細田研究室を世界でトップレベルの情報を発信できる研究室にする。(もしくは,世界でトップレベルの研究室にする)
② コンクリートのひび割れをこの世から無くす。

今のところはこの2つかと思います。

実は,この研究室のホームページ(日記も含む)を作る作業で,以上の結構な項目が達成されているのです。
30,35,39,52,59,61,66,69,70あたりが今の私にとって,なかなか難しいと思う項目です。ので,常にこれらも意識して,日々を過ごしたいと思います。

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2014年6月28日時点で、もう一度74の項目を見てみました。

70の宝の地図をつくる、というのが、どういうことなのかよくイメージできませんが、自分の本当に達成したいことを、時空間軸(特に空間軸)ではっきりとイメージしよう、ということなのでしょうか。もう少し考えてみます。

70以外はほぼ実践しているように思います。 

究極の目標についても、そろそろ見直して、再度掲げるようにしたいと思います。 


コミュニケーション

2014-06-27 20:49:17 | 研究のこと

昨日の夕方には、研究室リーダーのVeroniqueと初めての研究ディスカッションを1時間ほど行い、二週間後にまたやることになりました。私もこの機会を活用して、自分自身や関連する日本の研究者の優れた研究成果を紹介するパワーポイントも整備したいと思います。議論の中でVeroniqueからも多くの情報を教えてもらえそうです。ですが、Veroniqueに適切にインプットしておくことは、今後の様々な国際的な展開にもつながると思っています。

今日のランチは、研究室でNo.2の実力を持つNicolasと一緒にしました。私がIFSTTARで最も仲の良くなった研究者の一人で(もう一人は、Francois Toutlemonde)、今日のランチでも様々な情報交換をして、私も楽しかったです。またときどきランチを一緒にしよう、ということになりました。彼は、来年の冬くらいからスイスのETHに滞在するようなので、できればその間に会いに行きたいなと強く思っています。

この年になると、人とのコミュニケーションからが最も多くのことを学べます。

相部屋の女性研究者Assiaとは、来週に研究のディスカッションを開始することになりました。アルジェリア出身で個性的な女性ですが、研究についての真剣な議論ができることを楽しみにしています。

IFSTTARにはその他にも多くの研究者がいますが、帰国までに少しでもコミュニケーションを重ねておきたいと思います。フランスには今後も何度も来るだろうし、フラッと来たときにたくさん友達がいると楽しいですしね。

今週末は、仕事を頑張らなくてはなりません。フランス滞在も4分の3が終わりました。残り4分の1、充実した期間となるよう、ベストを尽くします。


愛しいメトロ6号線

2014-06-27 18:28:29 | フランスのこと

パリのメトロ6号線での通勤時間がとても大事な時間であることは、すでに書きました。参考までに、ウィキの6号線の説明はこちら

地上区間が結構多いことも、私が6番線を好きな理由の一つですが、どれくらい地上区間があるのかを、今朝、乗車中に確認しました。 

・Etoile (ターミナル、凱旋門のある駅) ~ Trocadero まで、4駅は地下

・Passy,Bir Hakeim(最寄駅)、Dupleix、~ Sevres Lecourbe まで、6駅が地上,その間にセーヌ川を渡る

・Pasteur から Denfert Rochereau まで5駅が地下

・Saint Jacques から Corvisart まで3駅が地上

・Place d'Italie のみ地下

・Nationale から Quai de la Gare まで3駅が地上,セーヌ川を渡る

・Bercy から Daumencil まで3駅が地下

・Bel-Air のみ地上

・Picpus と Nation (ターミナル)が地下

こうしてみると、本当に地下と地上を行ったり来たりです。パリの地形に合わせてそうなっているようですし、地上区間では二ヶ所でセーヌ川を跨ぎます。

これだけ景色の変化も激しいので、リズミカルで、私も心地よく感じるのだと思います。もしかすると、これまでに私が乗った電車の時空間で、最も好きなものになるかもしれません。

セーヌ川を跨ぐときはよく分かるのですが、 Bel-Airのようにどうしてその駅だけ地上にあるのか、すぐには理解できない部分もあるので、もう少し観察、調査してみようと思います。パリの地形図があれば購入してみよう。


三陸国道事務所の現場(小本)でのレクチャーの動画 (2014.6.6)

2014-06-26 20:35:00 | 研究のこと

土木学会コンクリート委員会の350委員会の活動が本格化したら、品質確保のHPも整備しようと思っています。

その中で、動画コンテンツも整理しようと思いますが、6月6日(金)に三陸国道事務所管内の小本の現場事務所で行った1時間の品質確保のレクチャーの動画を公開します。

冗談等が多すぎるきらいがありますが、いたって真剣に、品質確保のために語っております。前夜、佐藤南三陸国道事務所長らとトンネル調査の打上げで飲み過ぎたため、ひどい二日酔いでしたので、その分を差し引いてご笑覧くださいませ。

品質確保レクチャーその1

品質確保レクチャーその2 


350委員会(コンクリート構造物の品質確保小委員会)の委員募集

2014-06-26 18:21:17 | 研究のこと

土木学会 コンクリート委員会「コンクリート構造物の品質確保小委員会」(3種委員会)の委員募集

応募締切日:8月15日[月]

コンクリート委員会では,下記の研究小委員会を発足させることになりました。積極的に活動に参加してくださる委員を募集しますので,奮ってご応募下さい。なお,本委員会はコンクリート委員会3種委員会のため,委員会出席のための旅費等は支給されません。

なお、委員長からの以下のメッセージも合わせてご紹介します。

「『勉強させてもらいに来ました。』は無しで、自分の持っているノウハウをさらけ出すこと、品質確保のためにこれこれをこうしたいという思いを持って参加頂ける方々に集まって頂きたい!」


1.委員会名称

コンクリート構造物の品質確保小委員会(350委員会)

2.構成

委員長:  徳山工業高等専門学校 土木建築工学科 教授 田村隆弘
副委員長: 横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院 准教授 細田 暁
幹事長:  東京大学生産技術研究所 准教授 長井宏平

委 員:  公募による委員

3.委員会設立の主旨・目的と活動内容

本研究小委員会では,橋梁,トンネル覆工等,コンクリート構造物の品質確保を達成するための技術の開発・整備・実装及び,品質確保マネジメントを実践的に行う過程で得られる知見の規準類・制度等へのフィードバックのあり方について議論する。東北地方の復興道路等でのコンクリート構造物の品質確保,山口県で運用されてきたひび割れ抑制システム(品質確保システムへと移行中)を二つの核として,実構造物の品質確保を実現するために有効なノウハウを現場から情報収集し体系化する。さらにこれらを品質確保指針類へフィードバックさせながら,全国へ展開するための具体的な方策を,建設マネジメントの分野の知見を適宜取り入れながら議論する。以下が委員会に設置予定の3つのWGの活動目的である。

WG1復興道路品質確保システム研究WG:東日本大震災からの復興が急ピッチで進む中,東北の復興道路,復興支援道路等でのコンクリート構造物の品質確保が具体的に動いている。ここでは山口県で開発された施工状況把握チェックシートや,透気試験,表面吸水試験,目視評価法などの技術が活用され始めている。これらの技術を活用して寒冷地であり凍結防止剤散布下において高耐久化が求められる構造物での品質確保を達成するPDCAシステムを構築する。具体的には厳しい寒冷環境において耐凍害性を確保するための空気量の確保や,適切な設計・施工がなされるための仕組み作りといった課題も取り扱う。

WG2品質確保システム高度化研究WG:現在,山口県では,H19から運用されているひび割れ抑制システムが発展し,品質確保ガイドが発刊され、6月12日に講習会が開催された。コンクリート施工記録を設計段階から活用して初期ひび割れを抑制する真のPDCAシステム構築のチャレンジが重ねられている。本委員会では,山口県の取組を参考にして品質確保システムの高度化とこれを全国各地で展開するための検討を行う。

WG3品質確保マネジメント研究WG):上記の二つの実践的なシステムと密に連携し,品質確保,適切な総合評価システム,人財育成を全国に展開していくための具体的な方策を,建設マネジメント分野の技術者,研究者とも実践を念頭に置いた議論を重ねたい。

本委員会では,品質確保マネジメントについて実践的な議論を行いたいため,コンクリートの分野に限らず,建設マネジメント分野等からの研究者・実務者の参加も期待しております。

4.活動方法

年間数回の委員会,東北や山口県等での実践的な実構造物の品質確保の調査研究・議論等を通じて活動を行います。

5.応募の方法

本委員会に委員として参加を希望される方は,氏名,所属,連絡先を明記の上,応募理由,興味のある研究内容または貢献可能な研究内容を簡潔に沿えて,下記連絡先へご連絡下さい。

6.申込み先

東京大学 生産技術研究所 都市基盤安全工学国際研究センター 長井宏平

E-mail:nagai325@iis.u-tokyo.ac.jp


研究ミーティング

2014-06-26 17:25:01 | 研究のこと

今日の夕方、渡仏後初めてになりますが、研究室リーダーのVeroniqueと1対1での研究ミーティングをします。

私は、自分の研究プロジェクトの紹介をパワーポイントを用いて行い、有意義なディスカッションをし、情報交換、今後の連携のあり方の議論につながればと思い、準備を進めています。渡仏後も大いに研究は進み、特に復興道路での実践的な品質確保を、表面吸水試験や目視評価法等の技術も駆使しながら前進させてきたことは非常に大きいです。それを軸に据えて、私のこれまでの経歴や実績も小ネタとして盛り込んだプレゼンテーションファイルを準備しています。

今日が初回ですが、今後、滞在期間中にも何度かミーティングをできればと思っています。

そのことを、相部屋の女性研究者Assiaに伝えたところ、「私もあなたと研究のディスカッションをしたい。3月のワークショップで十分に議論する時間が取れなかったから。」というような反応があり、来週から研究のディスカッションをすることにしました。

明日は金曜日ですが、仲良しの研究室サブリーダーのNicolasとランチを取りながら情報交換です。彼は、来年度にサバティカルでスイスのETHに半年滞在するようで、先日のノルウェーでの国際会議で私が強く興味を持ったETHのいくつかの研究のこともよく知っていました。NicolasがETHにいる間に、一度遊びに行ってみようかなと話しています。

少しずつでよいので、欧州でのネットワークも拡げていければと思っています。


馴染む

2014-06-24 16:17:40 | フランスのこと

土木チャンネルでの藤井聡先生と浜崎洋介先生の対談で、馴染むこと、待つことの重要性が語られていました。

私は、パリでの通勤では、メトロとRERのA線を乗り継いでいますが、特にメトロの中の時間を気に入っています。それが、「馴染む」ということととても深く関連していることに気付いたのでまとめておきます。

メトロの6号線で、おそらく車両はメトロの中でも最も古いと思います。ドアの開閉は、手でレバーを回転させる必要があるし、座席もオンボロ、おそらく扇風機以外の冷房もありません。 乗り心地も異常に悪く、PCでの仕事は絶対にできません。ですが、このメトロの中での朝の時間が、私にとっては思考のためには最適の時間なのです。なぜなのか、今朝の通勤でじっくり考えていました。

まず、乗っている時間が長い。始発は凱旋門のあるEtoile駅ですが、5駅目のBir Hakeimから乗車します。長女を通学バスに送った場合は、隣駅のDupleixから乗車します。そして、終点のNationまで乗ります。Bir Hakeimからだと22駅。乗車時間にすると30分程度だと思いますが、長い。もちろん座れる。狭いですがボックス席で窓側に座るのが好きです。これが第一点。

そして、メトロなのですが、この区間は地上区間が多い。景色が次々と入れ替わり、朝の人の生活の営みも見える。 駅間が非常に短いので、テンポが良い。リズムは大事です。ずっと高速で走り続ける列車よりも、頻繁にテンポよく止まる列車の方が、長く乗る場合には思考には適しているようです。さらに、終点まで行くので乗り過ごすなどの余計な心配をしなくてよい。どっぷりと思考に浸れる。もちろん、ほとんどの場合、好きな音楽を聴いています。



写真1 私の好きなオンボロのメトロ6号線のボックス席。窓の外に、高架橋の鋼アーチ橋も見えています。



写真2 Bercy駅に到着する直前のセーヌ川。斬新なデザインの歩道橋も見えます。

それから、列車や線路システムがボロいこと。メトロの6号線の構造物(鋼アーチ等)はしょっちゅうメインテナンスをしています。しかも、6月末からは何と2ヶ月間も、私の最寄駅を含むある区間が運行停止になり、集中メインテナンスをするそうです。このように、古いシステムを手をかけながら使いこなしている状況をいろんな角度から知っています。だから、オンボロの列車で乗り心地は悪いのですが、何か落ち着くのです。

そして、もちろんメトロの中は様々な人種がいる空間ですが、私自身がすでにパリの都会での生活に馴染んでいることももちろん大きいです。

最後に、朝のそれなりに慌ただしい家庭の準備を終えて(これはこれでクリエイティブな仕事)、メトロに乗って一息付いている、という心の余裕もあると思います。RERは職場の最寄駅に着くので気が引き締まるのですが、メトロでは次に乗り換えもあるので、より解放感があるのかなと思います。

まだ要因はあるかと思いますが、これらの結果、メトロの中では他の場所よりも格段に思考をすることができます。

藤井先生、浜崎先生の対談でも、現代人は「待つ」という時間を持てなくなってきている、と憂いておられます。私もそう思います。とにかく時間の浪費をしないように社会があくせくしている。特に、インターネット社会となってからさらにスピード感を増し、スマホが出現してからは、特に日本では私のメトロでの時間のような過ごし方をしている人は激減し、メール、Web、ゲームなどに興じる方がほとんど。異様な光景です。LINEとやらは使う気が全くしませんが、さらに悪い方向に加速させるツールでしょう。そんなにあくせくして何をどうしたいのか、明確に語れる方はいるのでしょうか。

また、「馴染む」ということが重要。現代社会はとんでもない社会だと思いますが、それでも馴染むことはできる。日本は、古くなったら捨てる、古くなったら造りかえる、という良くない文化?が蔓延しており、メトロ6号線のように、使いこなしていくということがやはり重要なのだと思います。そうすることで、一見汚い都市であっても、何らかの愛着なり、先人への感謝の意、子どもたちを守る覚悟、将来への希望などを持つことができるのだと思います。馴染むためには、どうしても時間が必要です。待つことが必要です。

フランスでは、私はスマホでのインターネットを使っていません。それもあって、メトロでの有意義な時間を発見することになりました。

日本では、私も相当なタフスケジュールの中で生きていますので、どうしても効率を求めてしまいがちなのですが、それにより失うことがとても大きいであろうことに、気づかせてもらいました。

もう一点、今朝、RERに乗り換えた後の時間で思ったことは、「実践」を信条とする私ですが、人から教わった概念、考え方などを、必ず自分の生活、プロジェクトの中で実践して、真髄を体得しようとするのが、やはり私の特長なのだということです。 実践することで血肉となり、自分の言葉で語ることができる、ということです。今後も貪欲に勉強し、実践していきたいと思いました。


「恥」の心

2014-06-24 00:15:56 | 人生論

2013年3月19日に、横浜国立大学の都市イノベーション学府の修了イベントの一つとして、藤井聡先生と公開の対話をさせていただきました。

藤井先生がゲストで、私がホストという設定でしたので、私が話題を振りながら、藤井先生にお話をいただく、という基本構成でした。

その中で、人間が、特に日本人が、本来やるべきことをしっかりとやっていく原動力は何か、というような話をしていたときに、藤井先生は「恥の心でしょうねえ」とおっしゃいました。私は、そのときはその考えがしっくりと来ず、「そうですかねえ」と返してしまいました。

この間、日本出張の最終版6/9に東北地方整備局での官学勉強会があり、そこでの懇親会で、よく知っている女性職員から「細田先生のそのモチベーションはどこから出てくるのか、といつも思ってるんですよ」と聞かれました。そのような問いは以前からよく受けます。

自分なりのモチベーションを保ってきたことは以前から変わらないのですが、その根源が少しずつ変わってきているように思います。今は、藤井先生の言われた「恥の心」がかなりしっくりくるようになりました。

今、私たちが最前線で取り組んでいる東北の復興道路の品質確保の問題は、かなり重要な問題であると認識しています。我が国の建設業が、明治の会計法以来の公共調達、品質確保の歴史の中で、相当に大きな転換点を迎えている状況での、品質確保の真剣勝負です。我が国の歴史の一部であることを明確に意識して、先人たちのご努力への敬意を心にしっかりと抱いて、私自身にできることをすべてやろうと決意して取り組んでいます。

その根底には、確かに「恥」があります。偉大な先人の方々に対しても、決して恥ずかしくない行動を取りたい。そうしないと自分自身が最も後悔することを知っています。それが強力な原動力です。

一方で、私は、みんなが心から笑って、本分に気付き、本分を果たすという協働の状態を心から心地よく感じます。人間らしい時間を過ごしていると心から思えるからです。そのような協働の状態の構築に、私が役立てるのであれば、まさに本望です。それは私の非常に得意なスキルであるので、全力を尽くします。本当にやりたいことだから、モチベーションという次元ではなく、自然に全力を尽くせます。

「恥」の概念を認識できるためには、成熟する必要があると思います。1年ちょっと前の私に比べ、少し成熟した、ということでしょうか。大人になるということは、いろいろなことが見えてくる、素敵なプロセスです。 


師匠の言葉

2014-06-21 17:09:41 | 教育のこと

長期出張から戻り、パリでの平日の一週間を奥さんが日本出張で不在の中、子どもたちと連携して頑張り、奥さんも昨日戻ってきて、今日の土曜日は久しぶりに家族4人がそろっての休日です。

家族それぞれがやりたいことに溢れていて、朝から買出しに出かけたり、プランを話し合ったり、と活発です。私は、読みかけの東野圭吾の「パラドックス13」を読み進め(かなりエキサイティングなストーリーで、人間に対する深い洞察にも満ちた良書)、体操+シャワーの後、少し離れたお気に入りのIenaのマルシェに果物等の買出しに出かける直前です。

シャワーを浴びながら、以下のことを思っていました。

私が教えていただいてきた師匠たちは、心から尊敬できる方々ばかりです。学生時代には不肖の弟子と思っていましたが、その尊敬できる先生方とのコミュニケーションも最近増えてきています。

いよいよ、私の本当にやりたいことの一つである、実践的なコンクリート構造物の品質確保マネジメントが大きく動き始めています。すでにマネジメント色が相当に濃くなってきていると思いますが、私の師匠であり建設マネジメント分野の第一人者である小澤一雅先生との連携も本格的に始まろうとしています。8/7(木)の午前に小澤先生とミーティングをさせていただき、その午後には、コンクリート構造物の品質確保研究委員会(350委員会)の準備会を東大で開催します。 

震災前の2010年12月21日に、私が主催していた「第6回コンクリート材料-構造の最先端技術に関する研究会」を開催し、その回のタイトルは「発注者の役割」でした。山口県のひび割れ抑制システムの話を、田村先生、二宮さんにもしていただき、小澤先生にもゲストで来ていただきました。聴衆は100人を超えていましたが、かなりの熱気であったと思います。大懇親会も開催し、後日にメールであったと思いますが、小澤先生から「頑張ってますね。とてもうれしく思います。」という趣旨のお言葉をいただきました。

師匠からのそのような一言はとても心に染みますし、残ります。

震災後、いろいろとありましたが、山口県の取組みも大きく展開し、復興道路の品質確保も本格的に動き始めました。その間に我々自身も相当に鍛えられたと思います。

2010/12/21は種まきでしたが、いよいよ本格的に小澤先生と連携させていただけるように感じており、私自身もワクワクしています。

先月の5月末のデルフトでの会議では、前川宏一先生と5時間以上はお話ししたように思います。最近は、何かと前川先生とお話しする機会も増えています。学生のころはあまりに不出来な学生だったので、近づくのも怖いくらいでしたが。。。。

デルフトでも、「横浜では細田さんがしっかりやってくれているからな。」とのお言葉をいただきました。

心から尊敬する先生方からのちょっとしたお言葉で、自分自身のやり方を確認でき、必要な自信を持ち、将来へ向けての大きなチャレンジの原動力とすることができます。

教育の影響はかくも大きいものか、と自らを実験台に深く感じ入ります。

私はいつまでも少年であると思います(鹿島の坂田さん曰く)が、私自身も師匠でもあります。私を師匠と思う方々には大活躍していただきたいですし、それが何よりの喜びです。いよいよ、私の弟子?たちも最前線で活躍を始めたようで、田老第六トンネルの監理技術者であった八巻さんとの覆工コンクリートの品質確保の実務研究にはしびれました。そして、第一線で活躍している教え子のたくましい姿には、ほんとうに感激しました。

さて、Ienaのマルシェへ買い物に行ってきます。午後は、土木学会論文集の原稿の査読修正を行います。大変によい精緻な査読をいただいているので、よい論文となるようベストを尽くします。そして、まだまだ論文投稿すべき題材が和英ともにふんだんにありますので、残りのフランス滞在期間を最大限に活用したいと思います。


度胸

2014-06-20 19:17:23 | 職場のこと

ノルウェーでの国際会議CIC2014では、佐藤良一先生ともお話しすることができました。

私の発表(復興道路の品質確保)も見ていただきましたが、「たくましく育っとるな。えーことや。しかし、あんなに厚かましかったかいな。」と言われました。

佐藤先生には、私が博士課程の学生の非常に非常に未熟な頃、土木学会コンクリート委員会313委員会でかわいがっていただきました。 

私も多くの経験を積ませていただいているので、多少のことでは動じません。特に講演や、委員会等の会議を取り仕切る場合は、やりたい放題やってますので、緊張どころか完全に楽しんでおります。講演については、博士課程を修了した3月に、東工大の勉強会で博士論文の内容を話したのが最初だと記憶していますが、JR東日本の社員であったときも社外のコンクリート製品メーカーの勉強会で講演を依頼されたりもしました。大学に赴任してからは、非常に若輩でしたが、いろいろなところから声をかけていただき、講演をさせていただく機会を与えていただきました。

それらの方々に与えていただいた機会では、私も全力を尽くしてきましたし、決して出し惜しみしない、本音のみを語る、という今のスタイルと同じやり方でやってきました。出し惜しみしない、ということは次のネタが無くなる、ということでもあり、若いころは不安に思ったことも記憶していますが、今思えば間違っていないスタイルであったと思います。

その後は、非常に多くの講演、講義の機会を与えていただき、そのチャンスをフル活用するようにベストを尽くし続けています。度胸も付けさせていただきました。

これからは、皆様に鍛えていただいた講演能力、コミュニケーション能力を、世の中のためにフル活用するステージであると認識しています。 

さて、フランスの滞在期間も残り3ヶ月強となり、そろそろ帰国のことや、帰国後のことも考え始めています。もちろん、終わりが見えてくると、フランスにいる時間の貴重さがより身に染みますから、最大限に有効に使いたいと思っています。来週の木曜日には、ようやく念願の、研究室女性リーダーVeroniqueとのミーティングです。私の研究プロジェクトを紹介し、情報交換し、今後の連携についてで議論したいと思います。、

帰国後は、相当にタフな状況に置かれることは覚悟しています。

フランスに来る前の状況を当時のブログで見てみると、息も絶え絶えのような状況も少なくなく、我ながらよく回っていたと思います。

帰国後は、これまでよりもさらにタフな状況に置かれるであろうことは容易に想像できますが、多少のことには動じずに度胸を持ってどっしり構えていきたいです。

帰国後の半年は講義も2倍の量をこなします。当然に、帰国までに講義のできうる準備は済ませておきます。  


8月上旬の日本出張(最終)の予定

2014-06-20 18:48:30 | 職場のこと

気が早いようにも思いますが、8月上旬の日本出張の予定が固まってきております。これで最後の日本出張になります。早めにアップロードした方が各方面との調整もしやすいので公開します。今回は飛び回らずに、会議系の仕事が多くなりそうです。。。

8/4(月) AM6:00 羽田空港着。とんでもない量の荷物(SWAT関連が大半)とともに到着するため、羽田空港近くのホテルにチェックイン後、体制を整えてからゆったりと大学へ。翌日の最終審査を控えた留学生の研究指導。もしくは、他の学生の研究指導。夜は、品川にて知人と面会。
8/5(火) AM10時から来客。11時から博士論文の個別審査。午後は学生の研究指導数件。17:00~18:30 博士論文最終審査(主査:細田)。夜は教室の若手教員と懇親会の予定。
8/6(水) 午前は住居関係の雑用。午後は未定
8/7(木) 午前:石田先生とミーティング後、小澤一雅先生とミーティング、午後:土木学会コンクリート委員会350委員会(コンクリート構造物の品質確保研究委員会)の準備会@東大
8/8(金) 午前:PC工学会の新規研究委員会(PC防災構造,細田:副委員長)の準備会,午後:熱血ドボ研定例会
8/9(土) 午前:SWAT関係の研究ミーティング。午後は未定
8/10(日) 夜 羽田発でパリへ出発。 


素敵な採点

2014-06-19 18:33:31 | 家族のこと

母親が日本短期出張中の家族なので、子どもたち二人と私との三人で、お互いを思いやりながら、連携しながら日常を紡いでおります。

昨日、長女が以下のような話をしました。

「今日のパパのお弁当は本当においしかった。特にアスパラガスの味がよくて。」

私もうれしかったので、「それはうれしいことを言ってくれるねえ」と返しました。

その後、

長女「おばあちゃんが来てくれてた間、おばあちゃんがお弁当を作ってくれてたのだけど、お弁当の採点をしてたよ。」

父「採点?」

長女「そう。100点が合格。」

父「え?それすごく厳しくない?」

長女「いやそんなことないよ。今日のお弁当を採点してみようか?アスパラガスが20点でしょ。」

どんな採点なのか、とても気になりましたが、

長女「おにぎりもすごくおいしくて60点。これで80点でしょ。ソテーもすごくおいしくて40点くらいかな。」

どうやら加算法のようでして、全部足すと200点近く行っていました。

長女「ほらね、すぐに合格するでしょ。」

とのことでした。減点法ばかりが蔓延する世の中で、上限無しの加点法で採点されるとすごくうれしくなりました。

大した娘だと思いますが、世の中もそうありたい??? 


経験

2014-06-19 17:18:38 | 人生論

池谷裕二さん・糸井重里さんの「海馬」によれば、人間が起きている間に収受した情報について、寝ている間に脳の海馬が要・不要を判断して仕分けし、記憶としてストックしていくそうです。しっかりと寝ることも、人間のパフォーマンスを向上させる上で非常に重要。

一方で、起きている間に、経験してきたこと、ストックされた記憶などを呼び起こしてつなぎ合わせて思考することも非常に重要。

今朝は、かなり久しぶりに研究所のオフィスに通勤しました。もちろん、長期出張や子どもたちのお世話があったためです。通勤には1時間ちょっとかかりますが、その間に様々なことを考えました。昨日まで数日間は、自宅その他でいろいろなことをしていましたがそのような思考をするには至りませんでした。やはり通勤時間中の時間は自分にとっては考えごとをするために特別な時間のようです。そして、今はオフィスにいますが、その時間ももちろん特別。

改めて、すさまじい時代に生きているのだと感じます。

産業革命はもちろんのこと、交通革命(航空機や新幹線などの登場)、化学革命(石油製品の登場)、情報革命などが次々と起こり、我々の生活、人生は激変しています。

池田尚治先生が、7~8年くらい前に私たち若手に講演をしてくださったとき、「現代の人間は、昔の人間の何人分もの人生を経験する。多い人だと10人以上くらいの経験をする。」とおっしゃっていました。まさにそのように思います。

しかし、だからと言って今の時代が幸せとは限りません。何事においても、全体像をつかむのが非常に困難になっていると思います。よく言われることですが、昔の、自分の村から一歩も出たことのないようなおばあちゃんの方が、今の我々のほとんどよりも、人生とはどういうものか、人間社会とはどういうものか、について深く理解されていたのでしょう。特に大都会においては個人が砂粒のような存在になってきており、自分自身の存在意義を認識することすらも難しく、家族のあり方、所属組織のあり方、国家のあり方など、全体像について適切な認識を持つことは至難の業でしょうか。いつの時代も修身斉家だと思いますが、自らを律することが大変に困難な時代になってしまっています。

私は、皆様に支えられて、かなり多くの経験を積ませていただいていると思います。心から感謝しております。

非常に多くの方々とコミュニケーションさせていただいています。東日本大震災は悲劇的なできごとですが、東北の力強い復興は国家的な重要課題であり、微力ながらも関わらせていただいており、その過程でも大変に多くのことを学ばせていただいています。フランスに滞在する期間にも、非常に多くのことを学び、感じ、考えさせていただいていると感じます。

すべての経験が重要であり、自身の血肉になっていきます。全体像をつかみにくい世の中で、少しでも全体像が見えてきている人間として、周囲の特に若い人たちに自身の経験を伝えていくことは、教育を職業とする私のとても重要なミッションであると思っています。

昨夜も、長女は帰宅後必死に宿題をし(とても宿題の多い先生なので)、スズキと野菜のグリルの夕食を娘二人とおいしくいただいた後、三人で家の掃除を頑張り、寝る準備を整えてから、ドリフのコントを見ました。

長女も次女もドリフのコントが大好きで、志村けんの大ファンです。今の私が見ても、笑ってしまいます。

これだけすさまじい時代だと、一所懸命生きることも大事なのですが、腹の底から笑うこともとても大切です。真面目一本やりではどうしても息が詰まります。

私も東北の現場、工事事務所、地方整備局等で講演、レクチャーをする機会はたくさんありますが、基本的にはネタのオンパレードです。真面目に、本音ばかり、大事なことばかりを語っているのですが、笑いも大事。日本人は本来はお祭り好きの人種なのに、今のすさまじい時代に抑圧されて鬱憤が溜まりすぎています。笑いとともに解放し、日本人本来の力を発揮する場を整えなければならない。

今朝のメトロの中では、私自身のこれからの役割の重さにひしひしと闘志を感じるとともに、昨夜のドリフのコントで子どもたちとケタケタと笑うことの重要性も思っていました。

どんなことが起こってもおかしくない時代が始まっていると思いますが、どんな状況になろうとも、明るく前進していければと思います。