細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

海外に来るということ

2008-11-28 00:47:23 | 人生論
 今回のオランダ・南アフリカの海外出張も、いろいろと得るところが大きかったです。

 普段、日本にいると、どんなにうまくマネジメントしているつもりでも、日常に忙殺されているように思います。遠く離れてゆっくり考える時間をもつと気づきます。

 「日本人はなぜ敗れるのか?」という山本七平さんの本を半ばまで読みました。トヨタの奥田さんが、トヨタの幹部に読むことを薦めた本らしく、日本人の欠点を考える上で非常に勉強になりました。私の周囲にも多々思い当たる節があり、今後世界と伍していくためには、少なくとも日本のリーダーたる人たちは認識しておくべき観点と思います。

 ISOに関する雑誌も、なかなか日本にいると読もうという気にならなかったのですが、先ほど読みました。現在は、私は、ISOにおける日本の活動に対して、全く何も貢献していません。情報を収集している程度です。が、そのうち必ず役割を与えられるものと認識しています。ヨーロッパを中心とする世界の人間たちと交渉をするのは、簡単なことではないと思いますが、やりがいはありそうです。

 帰国した翌週にも多くのイベントがありますが、12/4(木)には、私どもが主催するコンクリート材料-構造の最先端技術に関する研究会の第4回目が開催されます。「収縮とひび割れ②」と題しており、私は収縮とひび割れに関する土木の設計手法について講演します。実構造物で不具合が起こらないように、どのように設計手法が定められているか、その思想を丁寧に説明するつもりです。石橋さんがいつも言っていますが、結果オーライとなるように作られている。なぜ結果オーライとなるのかを、われわれは知る必要があります。その仕組みを説明します。

 さて、今後、どんどんと活動を展開していくには、自分自身、自己の属する組織を強化しておかないと、太刀打ちできません。もしくは、自己の足元から崩れていくことになると思います。私は、自分自身の強化と、私の研究室の強化が最優先であり、ここには生涯プライオリティを置くと思います。

 しかし、それだけではできる仕事は限られているので、示方書勉強会を組織し、チームで強力に向上していく仕組みを作り、またその成果を還元し、サポートしてくれるネットワークとして横浜国大の研究会を実施しています。

 海外に来て、特にその終盤にゆっくりと考えたり、作業する時間が取れたので、以上のような戦略的な思考をすることができました。

静養

2008-11-27 16:09:13 | 職場のこと
 26日(水)は起床後から非常に疲れを感じていたので、観光はすべてキャンセルして、静養することにしました。やはり出張に出発する前の蓄積した疲労が、緊張感からの解法とともにどっと出たのかと思います。

 読書、予算申請書の作成、プレゼンファイルの作成などをのんびりとやりながら、出国まで静養です。帰国後もハードな生活が続きます。体調が最優先です。

観光も

2008-11-26 16:43:07 | 研究のこと
 南アフリカの滞在も、あと1日半になりました。

 昨日の国際会議では、ドイツのシュツットガルト大学の研究が参考になりました。今朝のセッションでは、イギリスのDr.Matthewの発表がとても参考になりました。彼は、fibのcommission 5のチェアマンで、私も最近このcommissionのメンバーに加わったので、どのような研究をしているのか知りたかったのです。コンクリート構造物の維持管理について、国際的な連携を組織しているようで、かなり活発に活動していることがよく分かりました。今後、しっかりとお付き合いしようと思いました。彼も、私の自己治癒コンクリートに関する発表を聞いていたので、それなりにお互い認識し合ったようには思います。

 今日の午後は、ケープタウンのシンボルであるテーブルマウンテンに行ってきます。

 夕方以降はホテルの部屋にこもってお仕事します。帰国後の仕事がスムーズに進むためのいろいろな作業、段取りです。12/4(木)の研究会で私も発表しますので、そのパワーポイントファイルを作成します。

 帰路の飛行機は夜中の出発で、明日の日中が一日空いているので、サ○ァリに行こうと思っとります。はるばる南アフリカまで来てますからね。

国際会議@ケープタウン

2008-11-25 17:00:39 | 研究のこと
 南アフリカに来て2泊したところです。
ヨハネスブルグはとんでもなく危険なところのようですが、ここケープタウンは観光地でほとんど危険性を感じません。もちろん気をつけてますが。

 昨日、24日(月)がICCRRRという国際会議の初日で、午後にSelf Healing Concreteのセッションがあり、4件の発表がありました。2件がデルフト工科大学、2件が私と安さんの発表でした。結構たくさんの聴衆がおり、なかなか好評を得たようです。この国際会議には日本人の参加者は私のみ。ヨーロッパの国際会議という感じです。高名な研究者もたくさんおり、今夜のバンケットがとても楽しみです。

 今日は国際会議の2日目ですが、11:00-14:30のスケジュールで、RILEMのSelf Healing Concreteの委員会の会合が開催されます。私も安さんも参加し、私はJCIの自己修復委員会の活動状況を発表する予定です。

 国際会議全体の印象として、研究のレベルはそんなに高くはないと感じます。参考になる研究はありますが、感銘を受けるような研究はあまりありません。(ワルラーベン先生の招待講演は勉強になりました。)もちろん、今回の国際会議はごくごく一面なのは承知しています。彼らがISOを含め、標準化の主導を握っている現実はしっかりと受け止め、こういう人たちとどのように付き合っていくべきなのか、自分なりに模索していきたいと思います。

 国際会議で気後れするようなことは一切なくなりました。

瞬間ごとの燃焼

2008-11-23 14:59:31 | 人生論
 一日一日を、瞬間瞬間を情熱と興奮で過ごしたい、とはいつも思っていますが、それが出張や旅行においての考え方にも具体的に表れるようになってきました。

 行きの成田エクスプレスも、行きの飛行機も、ホテルでの一人の時間も、デルフトからのレンタカーでの小松君との時間も、ブロイゲル教授とのディナーも、電車の不具合により地元のトラムでウツラウツラしながらも、とにかくすべての時間をそれぞれ楽しむようにしています。

 というのは、そのようにしないと、一つ一つの時間の質を高めることができないからです。

 行きの飛行機は徹底してリラックスすることに努める。松本清張読みまくり、でよい。それがその時間の適切な過ごし方。ブロイゲル教授とのディナーは、自分のありったけの質問力、会話力をぶつける。寝不足でそうするためには、本当に全力でぶつかる必要があります。

 瞬間瞬間を情熱と興奮で過ごすようになると、出張中はもちろん、行きの時間も、帰りの時間もすべて意味を持つようになってくる。

 もうすぐケープタウンに向かって出発です。ケープタウンでの仕事の準備が7割くらいしか終わってませんが、3割は現地に着いてから。ふたたび、松本清張にどっぷりつかってリラックスします。

小松君との一日

2008-11-23 13:18:29 | 教育のこと
 出張の2日目、オランダ中を駆け回りました。とても充実した1日でした。
いろいろと段取りしてくれた小松君に感謝です。

 時差ボケで朝3時くらいに目覚めました。すっきり目覚めてしまったので、日本のお仕事をしました。29日に帰国した後の段取りをしておかないと大変なことになるので、このお仕事タイムはとても貴重です。

 予定より早くホテルを出発してスキポール駅からデルフトへ向かいます。軽く電車が30分遅れ、理由も不明。早めに出発したことが功を奏して、約束どおりの時間にデルフトに到着。小松君が出迎えてくれました。

 まずはド素人ながら、「ボンエルフ」を見学。中村先生に教わった、生活道路と車の道路が共存できるシステムです。最近、どんどんと交通の教育を受けておりますが、赤子のようにすくすくと育っておりまして、これも喜びでございます。

 デルフトでレンタカーをして、一路、北へ。「大堤防」を目指しました。海外での運転はそこそこ慣れてますが、左ハンドル、マニュアル車、長旅の疲労の三重苦がのしかかります。適宜休憩しながら、小松君の絶妙ナビに支えられて、大堤防に無事到着。学生にすれば、教員と長時間ドライブ、というのは打ち解けるにはいい時間かと思います。いろいろと普段の生活のこと、今後の希望のことを聞き、私ができるアドバイスはしておきました。実はこれが、オランダに寄った最大の理由です。教え子が無事に、もちろん苦労しながらも頑張っているのを確認できてよかったです。

 大堤防はその迫力にびっくり。30kmの長さで、北海側は立っていられないほどの強風、荒波。内海側はそれに比べると断然におだやかで、水位も相当に違います。視覚的にわかるほどでした。まさに自然の脅威から人間の生活を守っているのが良くわかり、土木構造物の偉大さを感じました。おみやげショップでお宝ものの大堤防の建設工事の写真の絵葉書セットを購入(細田、小松ともに)しました。

 デルフトへの帰路の途中、かなり疲れが出てきて、だんだんと私の口数が減ってきました(不機嫌ではまったくありません。時差ボケです)。が、デルフトに着いてレンタカーを返却してからバーでリラックスしながら、小松君の相談に乗りました。留学の素晴らしさを語り合って、彼の将来についても話は及びました。自分の将来は、自分で選択するものです。もちろん、周囲はそれをサポートしてくれます。

 多少、疲れがほぐれた状態でデルフト工科大学へ。土曜日なのでほとんど人がいませんでしたが、ブロイゲル教授はお仕事をされていて、われわれとディナーを一緒にしてくださいました。小松君の部屋、机を確認し、講義の資料なども見せてもらって、彼が頑張っているのも確認しました。

 時差ボケでブロイゲル先生とのディナーにやや不安を感じていたのですが、ものすごく楽しい時間でした。時差ボケさえなければ、こういうディナーはもともと得意なのは分かってました。ディナーが始まれば、お酒も入り、まったく問題なし。時差ボケの疲れは忘れているほどでした。

 小松君のような修士の学生はさすがにブロイゲル先生ほどの大物と1対1では話題に限界もあり、3時間も4時間も談笑を続けるのは難しいと思いますが、私は大人でありプロの研究者ですからまったく問題ありません。ブロイゲル先生が気さくな、好奇心旺盛なお人柄であることもあり、とても充実したディナーになりました。話題は私の研究のことから、日本での重要研究トピックのこと、日本そのものの問題点、オランダの現状までミクロなことからマクロな国家レベルの話題まで広がります。もちろん、小松君のことについてもブロイゲル先生にいろいろと理解していただき、それも収穫でした。小松君も普段お忙しくてほとんど話すことのできないブロイゲル先生とたっぷりとお話できて、とても満足していたようです。これも、小松君自身がこちらで頑張り、また今日のために段取りをしてくれたおかげです。

 とても疲れ、ホテルへの帰路でまた電車トラブル(デルフト-デンハーグ間不通)により、トラムも活用しながら、何とか深夜12時ごろにホテルに着きました。時差ボケ?により午前4時半ごろに目覚めて、この記事を書いてます。

 さあ、もうすぐ南アフリカ(ケープタウン)に出発です。国際会議で自己治癒コンクリートについて発表し、自己治癒コンクリートの国際委員会にも参加してきます。


アムステルダム着

2008-11-22 03:47:51 | 教育のこと
 出国前かなりバタバタしましたが、アムステルダムに到着しました。

 スキポール空港に小松君が出迎えてくれ、空港で軽く食事しながら団欒しました。明日は、レンタカーをして小松君と二人で大堤防を見学に行きます。その後、デルフト工科大学を訪問して、ブロイゲル教授とディナーする予定です。

 飛行機の中では、松本清張の「ゼロの焦点」を読みました。続いて同著者の「砂の器」を読み始めました。日ごろの疲れで飛行機の中では本を読んだり、眠ったり、でしたがモーツァルトを聞きながらリラックスに努めました。

 帰国したら再び激務に飲み込まれますので、出張中はきちんと仕事をこなしつつ、気分転換+リラックスです。

怒りもパワーに。信念を大切に。

2008-11-17 20:10:58 | 教育のこと
 ものごとを変えていく、というのにはパワーが必要です。

 だから、変えたくない、という人もたくさんいます。それはそれで理解できます。変えようという人と変えたくないという人が議論したとき、変えようという人の信念の強さがカギを握ります。

 私はほぼすべての言動をきちんと信念に基づいて説明できるつもりで生きていますので、あやふやな信念で私と議論しようとすると勝てるわけがありません。

 あやふやな信念でどんなに理由を取り繕っても、簡単に論破できてしまいます。高次の理念、信念に基づいた主張は、論破できません。

 だから、信念を私は大切にするし、ときには怒りもパワーに変えさせていただきます。変えたくないという理由が、それがレベルの低い保身であったり、めんどくさがりであったりする場合は、怒りが生じます。昨日から調子が悪かったのですが、今日の怒り、共同研究の打ち合わせで息を吹き返しました。がんばります。

初金沢

2008-11-17 20:05:54 | 人生論
14日の金曜日は金沢で委員会でしたが、夜はかなり弾けてしまいました。ご同行された方々はその後が気になったかもしれませんが、無事にホテルにたどり着き、そのまま爆睡。目覚めたら8:23で、見学会の集合時間8:30まであとわずかでした。

思い切り走って間に合い、しっかりと現場見学をいたしました。二日酔いが回復してきたのは夕刻羽田に着いたころでした。反省。

金沢、自己治癒

2008-11-14 07:17:37 | 研究のこと
 今日は生れて初めて金沢を訪れます。金沢大学で、JCIのひび割れ自己修復の委員会があるためです。24日には南アフリカで自己治癒の研究発表をし、おそらく25日あたりに、RILEMの自己治癒委員会(TC SHC、Self Healign Concrete)にも出席し、JCI委員会の活動を紹介したりします。今日の金沢の委員会で、RILEMで発表する資料や情報をいただいたりすることになろうかと思います。

 2009年6月28日から、アメリカのシカゴで、第2回のSelf Healing Materialsの
国際会議が開かれるそうです。もちろんわれわれのチームも参加します。

 今日は金沢に一泊し、段取りをしていただいたので、明日の午前中はアルカリ骨材反応で劣化した構造物を見学に行きます。

ローマ人の物語

2008-11-05 21:33:26 | 職場のこと
ローマ人の物語Ⅰ~Ⅴ巻までを2冊ずつ、購入して302室の細田ライブラリーに置くことにしました。学生(研究室の学生に限らず、学部生たちも)たちが読んで、楽しんでもらえればと思います。教養も身につきます。

全15巻ですが、学生たちがよく読むようであれば、15巻までそろえようと思います。

人は誰でもコンプレックス

2008-11-04 22:25:04 | 人生論
東大コンプレックス?

横国の学生の大半が持っていると思われる、不必要なコンプレックスの一つです。

まずもって、人間は誰でもコンプレックスを持っていると思います。
一見、自信の塊のように見える人でも、実は大小様々のコンプレックスを抱えています。また、人間はいくら若くても、いずれ必ず老いていきます。何も悩みの無いように見える若者でも、老い、死は免れえません。必ず人間の肉体、精神は変化していきます。コンプレックスも刻々と変化します。

いろんな人を見てください。東大コンプレックスなんて屁のようなものです。すごい人などいくらでもいます。なぜ横国の学生が自分に限界を勝手に設けてしまうのかが分からない。もっともっと世の中のたくさんのすごい人たちを見てください。

研究室に閉じこもるのはある意味では害悪です。先生の教えに薫陶を受けるのもよいが、なるべくたくさんの一流の人を見たほうがよい。書物でも出会えるだろうし、映画や絵画や音楽など芸術、スポーツなどの一流の人の作品やパフォーマンスにも感動した方がよい。

コンプレックスを抱えつつ、克服できるものは少しずつ克服し、どうしようもないものは共存し、少しずつ成長して、少しでも周囲に貢献できる人間になりたいと思ってほしい。

だから、コンプレックスなど当たり前。私だって克服しがたいと思っていたコンプレックスを6つも7つも(肉体的なものも含めて)抱えていましたが、今は楽しそうでしょう?

コンプレックスを抱えたままで全然よいので、立ち止まるのではなく、前へ前へと進みなさい。