人に教える、人を教育する、ってことほど難しいことはないのかもしれません。
人によっては「手取り足取り」手厚く指導することが教育と思っているだろうし、人によっては突き放して自ら学ぶ力を付けさせることが教育と思っているでしょうし、手法もてんでばらばら。どれが良い、と断定することはできないでしょう。
しかし、私は、手取り足取りがいいとは思えません。人間とは、教わったことを大事にしながら、自分で学んでいく生き物であり、自分で学べる人こそが伸びていけることを、私のこれまでの経験、観察で確信しています。
幼少のころはしっかりと基礎を叩き込んだ方がよさそう。「自分で学ぶ」と言っても、そのようにできる基礎を養成しておいてやることは、親や幼少教育に携わる方々の責務でしょうか。
我々のような大学教育になると、手取り足取りは、時間の浪費になります。やってもいいけど、組織のトータルパフォーマンスのことを考えるとできません。我々にできるのは、一級の情報、考え方、やり方を見せることでしょうか。その環境の中で、体得して伸びていく人はどこまでも行くでしょう。大学とは、悪平等の世界であってはならず、伸びる人たちがどこまでも伸びる環境を整備すべきと、私は思います。
今の私の研究室は、以前に比べると、「手取り足取り」の程度がさらに低くなってきているように思います。それで苦労する方もおられると思いますが、苦労することがご自身の将来に役立つと思って、頑張っていただければと思います。
だんだんと自分の師匠のスタンスに近くなってきているようにも感じますが、学生と同様、私自身も徹底して自分を鍛えないと、世の中で活躍できません。自分のための時間を確保する、ためには、このようなやり方となります。手取り足取りの代わりに、より良質のものを見せることができるので、それを教育と思ってもらえればと思います。