Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

3日目のセーラム

2010-09-24 04:44:38 | MAへの旅
案内をしてくれた博物館ガイドの女性と。

その日は朝から夜まで予定がぎっしりだった。
手作りでチョコレートを作る工場見学、小学校の見学、農業高校の見学、モース博士の墓参。
夜はセーラム市主催のウェルカムパーティー。そしてそこでホームステイ先の方とご対面して、
各自ステイ先へと引き取られていく、という予定だった。

まず工場見学が予定時間を一時間近く上回ってしまった。
オーナーが事細かに説明、ヘアキャップをかぶり工場内部を見学。作業過程を見る。
その後、チョコレートの試食と販売。
工場見学、さすがにチョコレートが解けないようにエアコンが効いていて冷える。
そしてチョコレートの香りも長く嗅いでいると厳しい物がある。
大勢が買い物をしたのにもかかわらず一つのレジでのんびり会計している。
これって優先順位からすると最後の見学に持ってきても良かったのにと後日、意見が出ていた。


工場を出ると小学校の学バスが待機してくれていて、小学校へ。
校長が出迎えてくれて、体育館、音楽室、授業風景、学食、などを案内してくれる。
日本との違いとしてカウンセリングの充実、生徒に対しても親に対しても。
また移民としてアメリカに来た英語が母国語でない生徒、識字障害やいろいろの障害に対しての
カウンセリングが整っていて、その専門のカウンセラーたちがいる。
教師に対してのカウンセリングもあるようだ。
先生達も生徒の人気投票があったりで、教師も手を抜けない。
また海辺の町なのでそれに因んだ装飾やインテリア、また私たちを歓迎するために、
生徒達が飾り付けをしてくれて待っていてくれた。
最後は校長室で全員にハロウィンのカップに入ったお菓子を校長から手渡され、
校長は学校の出口まで見送ってくれた。
ここでも校長に感想と感動を伝え、そして握手をして別れた。


次は農業高校。学校役員の理事をそうとう待たせてしまっている。
駆け足で広い敷地の馬や牛の小屋、山羊の放牧される牧草地、
園芸の練習をする庭を見学。

獣医師を目指す生徒、園芸家、牧畜などいろいろな科がある。
それぞれの授業や実験室を見学。
友人のお嬢さんでこういう方向性で将来を考えている子がいるので、
留学は受け付けるのかと尋ねたところ、州立なのでそれは難しいかも、
とのことだった。

こちらでも学校の名前の入ったマグカップを頂く。
学校の理事でO区とセーラム市の交流の役員でもあるピーターと。


ここの学食で昼食となるが、食べ切らない内にダッシュで移動となる。
モース博士の墓地へと移動。
ところがこの時、時間に追われて慌てていたドライバーが石に乗り上げてしまい、パンク。
外に出て代わりの迎えの車を待つことになる。
この日はホームステイ先にスーツケースが持ち込めないとのことで、
ボストンバックとハンドバック、また買い物をした小物や頂いたお土産を入れるバッグなども持っていた。
それらをすべて持って下車。
しかし振り返って写真を見るとこの時の様子が何かとてものどかだ。
田舎町の雑木林の中で時間に追われることもなく、ぼーと立ち尽くしている。

セーラム市に着いてからO区との親善団体の役員の人が出迎えてくれて、この学校訪問や移動にも、
付き添ってくれていた。
私はその中の人達に自分がいかにモース博士を尊敬していているかと、
彼が日本で行った偉業の素晴らしさについて語っていたらしい。
墓地について献花が行われ、その後私は博士の墓碑の前にひざまずき、
二冊の本を差し出して見せている写真と合掌している写真がある。
自分では自然にしたことだったが、後から写真を見ると町の役員の方達はその様子をずっと見守っていてくれた。
博士の墓参ができて感極っていることもこの中の一人に話したような気がする。
その年配の女性は私を抱きしめてくれた。

その後、出会った人達にも私は自分の旅の目的はモース博士の故郷を訪ねて、認識を深めることだったと話していたらしい。
それがどうも噂になって他の方にも伝わっていた。
最後の日のパーティーで何人かの知らない方々がそれぞれ私に挨拶とお詫びに来てくれた。
この町で博士の功績が大切にされていないことに対して、そして自分はそれは間違っていると思う、
あるいは、「家には博士の写真とサインを飾っているよ。」とか、
「あなたはひとりでない。」とか、
日米でそれぞれ博士の功績を伝える役割を担っていこうとか、わざわざ声を掛けに来てくれた。
今思うと墓参をした時よりも、こういう一人一人の方の心遣いに胸が一杯になる。

その後、モース博士が元祖であり立ち上げにかかわったピーボディー・エセックス博物館を見学になる。
そこまで、またバスを降りて大荷物をしょって歩くことになる。

博物館に着くと私と同じ博物館ガイドのボランティア二人が待っていてくれた。
ガイドではなく、Docentと呼ばれていた。訓練を受けた案内人ということだろうか。
まずクロークで荷物を預けて札を受け取る。
そして連れていかれたのは、二軒の古民家。1700年代、アメリカの建国1776年よりも古い家もある。
この都市では貿易が盛んで、船主や貿易商は豪華な調度品や東洋からの輸入品を手にいれることができた。

しかし見せて貰った二軒の家、豪華とされる方よりも質素とされる方が、
フォークロア調とでもいうか今の感覚では素敵に見える。
当時の贅を尽くした家の内部

当時の豪邸だが質実な家の内部

その後、博物館へ。
博物館の内部に東洋館のような別館がある。
古くから東洋との貿易が栄えた港町らしい風物や豪華な展示物がスタイリッシュに飾らていたが、
残念なことに、モース博士のコレクションはひとつもなかった。
博物館のガイドとも話したが現在の展示は無いそうだ。
日本では今でもこのように展示されていて本も区内で出しているとガイドに見せる。
英文で書かれた翻訳を送る約束をした。

博物館からホテルへと戻ってきた。
ここで現地の人達、ホームステイの引受先の人達が迎えに来ている。
今日一日、持ち歩いた重い荷物は何だったのかという感じだ。
それなら最初から荷物ごと預けておけたのにと意見が出る。
ホテルがスーツケース以上の物を団体分預かれないとか諸事情もあったのかとは思う。

パーティーまでの時間、それぞれのスティ先の人と過ごすのだが、
私のスティ先の人は来ていないとのことで、先ほどの博物館ガイド、
私が案内して貰わなかった方の人がお茶に誘ってくれる。
紅茶、日本茶、中国茶の専門店に連れて行ってくれた。
ガイドが私と同じように仕事ではなく、ボランティアであること、
曜日が決まっている他に団体の予約が入ると引き受けることなど話してくれた。
私たちが帰国する日に中国10日間、日本20日間の旅へと出発するそうだ。
日本では以前預かっていた留学生が熊本出身なのでそこまで足を伸ばすらしい。

パーティー会場へと彼女は車で連れて行ってくれて同席してくれた。
受付ではそれぞれの名前の入った手作りのピンが用意されている。
私のステイ先の人はここにも来ていない。
ユダヤ教のその日は新年に当たり家族の集まりがあるために来られないそうだ。
なんだか家なき子みたいで心細くなる。
パーティーではそれぞれの代表の挨拶、そして記念品やお菓子などたくさんのお土産を頂いた。
記念品は綺麗な自然石に地球儀風の図柄が刻まれていてずっしり重い。
そして日本の形がちょっと違っているかなぁ。
でもひとつひとつに心がこもっていてありがたい。
テーブルも秋の落ち葉やハロウィンのミニカボチャなどで飾られている。
帰りにそれを「持って帰って。」と手渡してくれた。
今、我が家の玄関にそれをディスプレイしている。

パーティー終了後、先ほどお茶を一緒に飲んでくれた女性が、私のスティ先へと送ってくれる。
セーラム市内から隣町、さらに隣の市へと。ゆるい傾斜の斜面を昇っていくと、どんどん山の上へと。
街灯もなく、宵闇が深い。
着いた先のお宅の玄関でスティ先のRさんを紹介される。
そしてご主人のジョージと他州から訪ねてきて明日帰ると言うお嬢さんも。

事前に趣味がアートとガーデニングとのことだったので、お土産として、
最初は自作の陶芸作品にしようかと思ったが、余りに出来が悪いので、
かつて陶芸を教えてくれた陶芸家の作品の片口にする。
ドレッシングでもソースでもミルク入れにも使えるかと思って。
そして絵柄の描かれた和ろうそく、たまたま前日にみつけた筆ペンと一筆書きのセットを渡した。

陶芸作品は本人も作っていて素晴らしいアートが家中にある。
日本なら私設美術館にでもなりそうな邸宅だ。
自分の作品を持ってこなくて良かったとほっとする。
なんとお習字を習われているとのことで思いの外、筆ペンがうけた。

「明日はどうしたい?私のお習字のレッスンに一緒に行く?
それとも娘に市場を案内させてもいいし。その後は近くの海辺の町に案内するわ。」

市場に連れて行ってもらうことにしてその日は夜も遅いし、お互い疲れているので、
休むことにして、寝室やバスルームに案内してもらう。

山の上なので更に気温が低い。
「趣味にスイミングってあったけど、泳ぐ?」と聞かれて庭を見ると、
ボストンのホテルのプールよりも大きくて素敵なプールが。
「水を温めることもできるんだよ。」とご主人。
しばらくプールを眺めていた私だがさすがに丁重にお断りした。

しかし夜遅くに余所のお宅へ伺っていきなり寝るというのも、家の中の使い勝手がわからない。
もう少し明るい内に行けたら良かったと思った。


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