行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

高卒35歳、大企業で働く労働者の生活

2012-02-23 22:34:07 | Weblog

私が顧問を務める金属労協から春闘前の労働条件や実態の資料が送られてきた。金属労協は自動車、電機、鉄鋼、機械、造船等日本のものづくりをになう200万人の組織だ。円高と震災、タイの洪水の被害を最も被った産業群で春闘の要求も賃金カーブが上方へシフトするベースアップの要求はできず、定期昇給の実現と賞与の要求だけとなった。

高卒35歳の生産労働者の実態をデータから見てみると、月例賃金は扶養家族3人で30万円、賞与は年間4ヶ月から6ヶ月、年収は500万円前後だろう。不況とはいえ、10%ぐらいの時間外収入や、奥さんもパートに出て100万円前後は収入を得ているので、家族年収は600万円ぐらいと推定できる。残念ながら、この水準は20年前とほとんど変わらないか産業によっては減少している。

年間労働時間は1900時間前後、20年前に目標としていた1800時間にまだ到達してない。

正規労働者の賃金がこの程度だから非正規労働者は年収で半分ぐらい、生活は大変だろう。企業の海外展開を含む設備投資増に労働条件の向上が取り残された感じだ。

日本のデフレの元凶がここにもある。高度成長時代は賃金の上昇が内需を拡大し、企業は売り上げを伸ばせた。現在は賃金の引き下げで内需が不振となり、企業は外需を求め海外生産、輸出にたよらざるを得ない、そして円高は以前に増して企業業績を悪化させる。

このブログ「2012春闘の視点」で指摘したが、この悪循環を断ち切る春闘を期待したい。

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